令和6年 6月26日(水) | ショウガに南日本新聞の『買いごろ食べころ』の記事を紹介掲載 |
令和6年 7月10日(水) | えだ豆に南日本新聞の『買いごろ食べころ』の記事を紹介掲載 |
令和6年 8月28日(水) | サツマイモに南日本新聞の『買いごろ食べころ』の記事を紹介掲載 |
令和6年 9月11日(水) | サトイモに南日本新聞の『買いごろ食べころ』の記事を紹介掲載 |
◆植付け・収穫状況は(ロードマン小菜園でこれまでに栽培した92種の野菜を紹介)
※本文中の
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植付け・収穫状況は ※薩摩国府跡にある小菜園の遠景写真・ほ場図は,今週の農作業計画策定のため毎週日曜日に更新中
[前語り……]
姉兄妹の四人が戦前・戦後と病死し,一人生き残った跡継ぎ故の宿命なのか,県外大学での考古学徒としての4年間の学業を終えた後,本人の意向は何ら一言も聞くことなく,昭和46年(1971年)地元への就職を当然かのごとく厳命。給料袋を3月分だけは父に見せたものの同年7月には父を見送る中,同奉職先での38年間の宮仕えを平成21年(2009年)3月定年で無事終えたのを期に,終戦後の食糧難時代,父親が職業軍人であったが故に戦犯として公職追放に遭う中,両親が食いつなぐため,しかたなく就農した実家前の農地を荒らすのは,農地解放で他人様へ手放すよりは,引き揚げ家族(娘・従弟)にと肥沃な農地を分け与えてくださった風口の祖母・叔父の好意に対し申し訳なく,加えて「林住期」の生きがいを,『身土不二』の観点からも,積極的に土に接し汗を流すことで、自身の農ライフで健康維持になればとして,本格的に学び始めた小菜園でのニューファーマーとまでは至らないままごと的な家庭菜園。
現在,お書物から学んだ輪作体系を構築すべく,また写真右(早や9月も第二日曜日/毎日「熱中症警戒アラート」下、35℃近くまで気温は上がり「猛暑日」が続く小菜園/南東側から撮影)のように,裏の市道よりも低く三面は擁壁に囲まれ容易に覗かれる凹地の畑で「オーィ,畝もヘソ曲がりの主人に似て曲がっとぉが!」と言われないよう,建設業を営む隣の従兄からトランシットを借用し,畑への出入り通路を変形ながら四等分に区分するため,東西南北線上に木杭を打ち込み,この木杭を基準に輪作を念頭に管理機で耕うんし,ポイントとなる木杭から畝ひもを張り,60㌢~75㌢基準の畝幅板で作畝方向を決め,どういう訳か力仕事では左利きとなっての鍬を使い,畝を東西南北に曲がらないように起こして,種播き・苗植え付け記録のほ場図を,失念しないようにと適時描き,野菜の栽培を日々楽しんでいます。
畑を管理機で耕うん,木板を使いほ場を均し,基準の杭から畝紐を張って紐にそって鍬を使い畝を起こし,施肥し,季節ごとの野菜の種を播き,苗を植え付け,草を取り,土寄せ,追肥を行うまでが小菜園の主の仕事で,間引き・収穫・ご近所さんへのおすそ分けは,X(YL)の仕事と,農作業も協働作業を行い,家族の会話はもっぱら野菜栽培中心の第二の人生を楽しんでいます。
なお,この頁では,ロードマンが次年度の野菜植え付け及び管理のために必要な事項を各種情報媒体から収集し,HP上の“農事手帳”+“備忘録”として編集しており,皆さまには十分ご承知おきの事項を多々掲載しているかもしれませんが,編集趣旨をご理解たまわりご笑覧ください。
※畑を訪れた元の職場の職友達からは,『スローライフを標榜しながら,こんなに色んな野菜を植え,買う野菜はなかでしょう? 年金生活者のお手本! 畝もまっすぐで,元のバンジョガネの性格をそのまま反映した畑ですがね!!』and『オイ!オイ! ロードマン 草も生やしておかないと,虫の隠れ家がなかがな!』と言われ困っています。(亡き父は,草取りなどの手仕事が苦手で,「せっかく芽生えてきた草を取ったら,野菜だけの光合成では,酸素が世間に供給されない。よって草は伸ばしておかないと」と,屁理屈を言い,草取り作業を敬遠し母を困らせていましたけど)
昭和40年代後半に発生したたび重なる市街地水害(44年6月28日・46年7月21日・47年6月18日)に伴い,高台にある我が集落(自治会名称変遷=上目農事小組合⇒国分部落⇒国分公民会⇒国分寺公民会⇒国分寺自治会,世帯数変遷=農事小組合時160世帯が現在では2倍の320世帯に)には,水に浸からない場所で学校にも近い(可愛小・川内高校)所に家を建てたいと,宅地を求める市民の住宅地化が急速に進み,幼小期の記憶には,初夏には白鷺が優雅に舞い,冬になると鴨が飛来し,田植えの時期には蛙の鳴き声がうるさかったり,ホタルが飛び交い,伯父さん達に叱られつつも,田んぼの中を流れる小川をせき止め,フナやドジョウ・ゴモンチンを捕って楽しんでいた,故郷の田園=“イギッバイ”(入来原)と“クレザコタンボ”(栗野ケ迫)の田圃は全部埋め立てられ,周囲には家々が。
平成6年(1994年)下台自治会の造成業者から「進入路提供のお礼に周囲の埋立工事に併せて,一緒におばさん土地を無償で埋め立ててあげますから」との有り難い申し出を,「一草一木に戦後の思い出が残る埋立は不要。進入路提供分は,普通は3倍だが倍の6倍の土地の提供を」として母が埋立を拒否した結果,我が家の畑は,周囲は擁壁に囲まれ1.5㍍以上低くなり,周りからの出水が集まり,水はけが悪くなってしまいました。特に梅雨時は,畑に入ろうにも膝まで足が埋まってしまい,農作業は最悪の状態に。
そこで畑の湿地改良対策として,亡き母が骨折入院して家を空けたのを機に,母に内緒で平成18年(2006年)畑に排水管を埋設したり,土を新たに入れて,梅雨時にもぬかるまない現在の状態の圃場に。生前の母からは「おまえの事だから,私の四十九日が済んだら,母屋を解体し,市道の高さまで土をいれるのでは?」と言われていましたが,土地が低い分だけ,台風時を除けば強風は上を通り抜け野菜の枝葉があまり倒れないというメリットもあり,母亡き後(平成24年に喜寿で逝去)も築70年の母屋は解体せずにロードマン農場の農機具小屋・休憩所等に使用し,周囲より低い小菜園(こざ園)で野菜の自給栽培を。
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※野菜の分類法には色々ありますが,食べる部位別では果菜類・葉菜類・茎菜類・根菜類の4分類で,これまでに栽培した野菜を掲載。
【果菜類】
キュウリ
河童の大好物とも言われています,キュウリ収穫の季節を迎え,我が畑でもお墓先の山からマダニに気をつけながら切り出し搬入し,竹の笹が落ちるまで保管しておいた“イザラ”を支柱にした枯れた竹枝に蔓を伸ばしたキュウリ。1期作~5期作までと植え付け畝を変えながら,6月上旬から9月下旬までの4か月間,毎日のように新鮮でみずみずしいものを収穫し朝夕の食卓を飾っています。
キュウリの原産地はインド・ヒマラヤ山麓で,日本へは中国を経て伝わり,昭和に入ってから,日常的に食べられるようになったそうで,現在,キュウリの種類は2,300種類もあるそうです。水分の多さと特有の香り,清涼感のある食感が特徴ですよね。
キュウリは比較的涼しい気候を好む野菜で,生育適温は20~25℃です。根が浅く,乾燥に弱いので,保水力のある水はけのよい土で育てましょう。
意外に病気が多く,多湿時に水はけが悪いと多発するのがべと病,逆に乾燥ぎみのときに窒素肥料が多すぎると発生しやすいうどんこ病は,キュウリにつきものといってもよいほどです。耐病性のある品種を選んだり,接ぎ木苗を利用したりするとよいでしょう。そんな中,昔からあって忘れられないお勧め品種が「四葉キュウリ」で,イボイボがあってシャキシャキ感の食感が特徴で,生でも漬物にも適しています。
肥料不足になると,株が疲れ収穫期間が短くなってしまうので,定期的に追肥します。
生のきゅうりにはにんじんと同様に,ビタミンCを破壊するアスコルビナーゼという酵素が含まれています。生で食べるときは,その働きを抑えるために酢が有効です。酢の物やピクルスにすれば,酢に含まれるクエン酸の効果も働いて,夏パテや食欲不振にはもってこいの夏のおかずになります。
梅雨の間と梅雨明け後とでは,気象条件が大きく変わります。キュウリにつきもののべと病は多湿な梅雨時に,うどんこ病は乾燥ぎみになる梅雨明け後に発生しやすくなります。よく観察し,発生に気づいたら,すぐに被害にあった葉を取り除きましょう。また,キュウリは,水を大量に必要とします。梅雨明け後に乾燥するときには水やりをして,実の肥大を促しましょう。
○わき芽かき・摘心・追肥のポイント
わき芽かきは,ハサミを用いて行うと病気になる可能性が高いので,きれいに洗った手で行うように。また,わき芽をかいた跡が直ぐ乾くように,晴れた日に。
①下から8~10節までのわき芽と雌花(実が着いているのが雌花)を摘み取る。放置したままにしていると,養分が奪われ株の生育が悪くなります。 ②8~10節よりも上の上の側枝(わき芽の伸びたもの)は,2葉残して摘心する。
実がなりはじめたら,畝の両脇に穴を掘り,20日ごとに追肥を。
キュウリは種播きから収穫まで約60日かかるので,6月後半の収穫を目指すなら,種播きは4月後半から5月。これからなら,種を畑に直播きできる。7月に種を播いて秋に収穫する計画なら,地這い品種を選んだほうが得策。
キュウリ栽培で最も気をつけたいのは,水分を好む野菜だが根の酸素要求量も大きいので,土壌が酸素不足になる過湿状態にしないこと。これは苗づくりでも同じで,水はけのよい培養土を用意し,過湿にならないように水やりする。そのコツは,水を毎日少しずつあげるのではなく,土壌表面を見て白く乾いてきたらポット全体に十分に水が浸透するくらいたっぷりあげる。
育苗自体は,地温15℃以上あれば発芽し,25℃前後あればスムーズに発芽する。育苗期間は約1か月。定植に最適な苗は,本葉3~4枚でポットに根が詰まるようだと遅い。
元気な苗を水はけのよい畝に植え付けてやれば,あとの栽培は簡単。ネットにツルを誘引し,8節くらいまでは樹枝元気にするため脇芽と雌花をすべて摘み取る。これをしっかりやっておりさえすればスクスクと育つ。
苗づくりで失敗が最も多いのが,ヒョロヒョロと弱々しく伸びる徒長した苗に育ってしまうことで,これは水のあげ過ぎや必要以上の高温で起きやすい。徒長苗は定植後の生育も悪くなり,期待通りの収穫ができない。
水やりは,種播きしたときにたっぷりあげ,その後,本葉が出るまではあげない。乾燥が心配なら,発芽まで新聞紙を上からかけておくのもよい。発芽して本葉1~2枚に育つ時期までが最も徒長しやすい。
本葉の枚数が増え,大きく育ってきたら,葉からの蒸散も大きくなるので,水やりの回数を徐々に増やすが,土壌水分が多過ぎると根腐れや徒長を起こすので,水は土の表面が乾いたら,下の土まで水分が行きわたるくらいたっぷりとやることを心掛ける。出典:『野菜だより』(2015年3月号)
■知っておきたい効用
夏が旬の野菜ですが、現在はハウス栽培の普及により、一年を通じて流通しています。水分が約96%と多く、余分なナトリウムの一部を排出させるカリウムを比較的多く含んでいることもあり、昔から優れた利尿作用が注目され「きゅうりは水気をおろす」とも言われてきました。夏は体がむくんだり、だるさが溜まったりしがちですが、そんなときにもキュウリが利尿・解毒剤代わりに一役。ナトリウムの排出をコントロールする働きにより、血圧の安定にも役立ちます。夏の野菜らしい涼やかな食感で、食欲を高めてくれるのもうれしいところです。
近年の研究では、皮の部分に含まれる苦味成分のククルビタシンに、腫瘍を壊す因子が含まれることが報告されています。また、青臭い香気の成分であるビラジンには、血液をサラサラにする効果があるともいわれています。(がん予防,高血圧の予防・改善,疲労回復,腎臓病の予防)
◇キュウリで暑い夏をさわやかに(鹿児島市青果市場主事・福永尚哉)平成23年6月22日/南日本新聞「かごしま 食べごろ」
本格的な暑さを迎えるこの時期にぴったりのキュウリも近年一年を通して店頭に並びますが,本来は夏が旬。風味が落ちやすいので食べ切るのが基本です。
たくさん手に入った場合は,新鮮なうちに漬物にするのがおすすめ。浅漬けなら栄養を損なわず,ぬか漬けはカリウムが3倍に上昇します。
全体の90%以上が水分で「世界一栄養が無い野菜」としてギネスブックに登録されています。しかし,身体を冷やす効果があり,カリカリとした歯ごたえで気持ちをさわやかにしてくれます。
糠漬けの進め
平成23年夏~秋は,キュウリの収穫時期が重ならないようにと配慮し,一期作~六期作と時期をずらして種を蒔き,毎日収穫を楽しんでいます。日々何十本もなるキュウリを飽きないように美味しく頂く方法として,キュウリの糠漬けがありますよね。畑仕事が終わって家に上がる前の仕事として,キュウリ(ナス・オクラ)の糠漬けを終えてから上がる日課を過ごしています。
キュウリをまず流水でよく洗い,次に両端をほんの少しだけ切り落とし(曲がったキュウリは真ん中で切断し),それから塩で「板ずり」します。そうするとキュウリのあくが出てきますので,また流水で余分な塩とアクを洗い流します。こうすると色鮮やかにすっきりした味に仕上がります。あとは水気をよくきり,ぬか床にたてて漬けます。漬かりすぎると酸味がでて,色も悪くなります。漬けこみ時間は,半日から一日ぐらいです。(漬ける時間はぬか床の保管場所の温度によって違います。冷蔵庫内なら一日が目安)。
※ご近所の農家の奥さんからお借りした『家の光』2010年8月号には,「夏こそ漬けもの」としてキュウリの浅漬け・糠漬けの特集記事が掲載されていました。
※『やさい畑』(2012年初夏号)の「図解Q&Aでよくわから! 夏野菜の手入れ術」の中に,「キュウリはどこをどう整枝する?」が掲載されており,5月23日から今初夏のキュウリを収穫し味わっている中,種をポットで育苗し植付けなおした2番手のキュウリや,種を直播きしました3番手のキュウリの,今年の整枝作業に活かそうと本を畑に持ち込み予習しています。
※台風襲来の少なかった平成25年の夏~秋にかけては,1~5期作まで植え付け,10月まで毎朝イザラに実を着けた実の収穫を楽しむことができたキュウリ。90%以上が水分であまり栄養分は無いと理解していましたが,『やさい畑』(2012年夏号)の「旬をいただく 畑薬膳」に,この水分こそが夏にふさわしい薬効の秘密として「暑気あたりを防ぎ,口の渇きを癒やす夏にふさわしい薬効を持つキュウリ」の記事が掲載されていました。実だけでなくつるや葉にも薬効があるそうです。
暑い夏にキュウリ=みずみずしい食感にカリッとした歯ごたえが特長のキュウリ。店頭では1年中見かけますが,本来は夏が旬の野菜です。ビタミンC,カロテン,カリウムを比較的豊富に含むため,高血圧予防や利尿作用によるむくみの解消に効果が期待できます。体を冷やし,熱を冷ます効果もあるので,これから本格的な暑さを迎える今の時季にピッタリな食材です。
サラダや酢の物,冷やし中華など,いろいろな料理に利用し,涼味を感じてみてはいかがでしょうか。選ぶときには,皮にハリがあり,太さが均一で,濃い緑色のものが良いでしょう。多少曲がっていても味に大差はありませんので,気にならなければそちらを選んでもよいかもしれません。保存する際は冷やし過ぎるとかえって傷んでしまいます。ラップで包むか,袋に入れて野菜室で保存しましょう。(平成28年7月6日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
※平成28年の夏は,3種類のキュウリ(接ぎ木苗の「夏すずみ」・「すうよう」・「節成りキュウリ」)苗をウリハムシ対策用にシルバーマルチで覆った畝に1期作~3期作までとして植え付け,6月下旬から8月下旬まで毎日収穫を楽しみましたが,『やさい畑』(2016年春号)に掲載されていた「野菜の相性を利用して品質向上,収量アップ! 究極の植え合わせワザ」として,病気予防 キュウリ×長ネギ 拮抗菌が働いて連作障害に強くなるとして,キュウリの代表的な連作障害である,つる割病は,土壌中の病原菌によって起こり,まん延すると株が枯れて,まったく収穫できなくなるが,長ネギの根には,この病原菌を退治する抗生物質を分泌する拮抗菌が共生しており,キュウリの植えつけ時に,根同士を接触させて長ネギも植えつける。これは栃木県で古くから行われてきたウリ科のユウガオと長ネギの混植を応用したものです─として紹介されていましたので,それぞれ苗植え付け時に九条ネギをキュウリ苗を挟むように植え付けました。
※他には,生育促進・効率利用として「キュウリ×ナガイモ」,害虫防除・病気予防として「キュウリ×ムギ」のコンパニオンプランツを利用した合わせ植えが紹介されていました。
※『現代農業』平成28年7月号の「あっちの話・こっちの話」に,「キュウリの灰色カビ予防に,通路への米ヌカ散布が紹介されていました。提供された情報の内容は,キュウリの灰色カビ病は,咲き終わった花に発生して実まで腐らせてしまう怖い病気。夏,長雨で湿度が高く,朝夕の気温が下がると多発します。福島県伊達市で雨よけキュウリを二反つくる千葉良子さんは,この灰色カピ病を米ヌカで抑えています。
やり方は,雨続きで病気が出そうだなという時に,通路の表面にうっすら米ヌカを振るだけ。米ヌカの表面に菌糸が現われ,甘い香りがしてきたら成功。1週間~10日おきにこれを繰り返せば,灰色カビ病はほとんど出ません。
「米ヌカに繁殖した菌が灰色カビ病の菌をやっつけるんだろうな」と千葉さん。効果を知るまではよく出ていて悩んでいた灰色カピ病だけに,「米ヌカで大助かりよ!」と嬉しそうに教えてくれました。―との内容です。
※『現代農業』平成30年4月号の「あっちの話・こっちの話」に,「卵の殻でキュウリはツヤツヤ うどんこ知らずが紹介されていました。料理で使った卵の殻を集め,それを砕いておき,堆肥とセルカ,高度化成をまいた畑に表面が白くなるくらいふりかけ,土に鋤き込み,その後に畝を立ててキュウリを定植。卵の殻を入れるようになってからツヤツヤでえぐ味も減り,パリッとして美味しいと評判。うどんこ病が出ないようになった。卵のカルシウムの効果と―の記事が広島から投稿されていました。
※平成29年5月31日放映のNHKの生活健康教養番組『ためしてガッテン』の「気分爽快!キュウリのおいしさ大発見SP」では,収穫後数日経過したキュウリを氷水に浸けみずみずしさを出す方法が紹介されていましたが,我が家では小菜園で収穫後2時間以内には口にしており,日々新鮮なキュウリを頂いていますが,キュウリの生育管理に関し『ドクター古藤の家庭菜園診療所』には,次のコツが紹介されていました。
●株元から5枚目まではすべて除去
定植後,背丈が1㍍近くになったら,株元から葉の5枚目までの脇芽と花はすべて除去。これは,根から吸い上げた養分が下段で止められ,大切な養水分がキュウリ全体に届きにくくなることを避けるためです。株元近くに成ったキュウリを初物なんて喜んでいるようでは家庭菜園1年生でだめです。
すっきり育てるのが栽培のコツで,下段が茂りすぎると,通気が悪く病気にかかりやすくなります。また収穫遅れは根や茎,葉に負担がかかり,生育が衰えて長く収穫できなくなります。
●まっすぐキュウリの必須事項
肥大する際,何らかの問題があると曲がったり先端が細くなったりします。舌て感じるほどの味の違いはないかもしれませが,プロからすると,バランスよくまっすぐ伸びたキュウリのほうがおいしいと自信をもっていえます。
まっすぐなキュウリを作るのに有効なのが,液体肥料。含水分が多いゴーヤ・ヘチマには7日~10日間隔で液体肥料を与えると樹勢が衰えずまっすぐな実が収穫できますよ。
体の中から涼やかに=今回は,猛暑の季節に向けて旬を迎え,みずみずしくパリッとした歯応えのキュウリを紹介します。ヒマラヤ山脈を原産地とし,日本には10世紀ごろに伝わり,江戸時代後期から栽培が盛んになりました。ギネスブックに“世界一栄養のない野菜”と不名誉な紹介をされたこともありますが,塩分の排出を促し,利尿作用によるむくみ対策が期待できるカリウム,免疫力を高めるベータカロテンなどを含みます。近年,脂質分解酵素のホスホリパーゼを含んでいることが発表され,注目を集めています。皮が濃い緑色で張りがあり,とげがピンととがっていて,重みがあり,太さが均一なものを選びましょう。塩,みそ,しょうゆといった日本の調味料と相性が良いキュウリ。サラダ,漬物,酢の物とさまざまな食べ方で楽しんで,体の中から涼やかになってみてはいかがでしょうか。
(平成29年7月5日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
鹿児島市の実家の庭でキュウリが食べ頃を迎えている。太陽の光を存分に浴びて育った深緑の実は,口に入れるとみずみずしい。しゃきっとした食感も楽しめる▼キュウリの旬は夏だ。ヒマラヤ山麓が原産地で平安時代にはすでに日本で栽培されていたという。昔は苦みが強いため不人気で,食通で名高い水戸藩主・徳川光圀も「毒多くして能なし」と言って嫌ったらしい▼9割以上が水分だからだろうか。「世界で最も栄養価の低い野菜」などとやゆされたこともある。だが,その水分や比較的豊富なカリウムが体を冷やし,熱を放出してくれる。夏パテや熱中症の予防に力を発揮してくれるに違いない▼同じ夏野菜のトマトはビタミン類など栄養素を多く含み,疲労回復にも効くとされる。ヨーロッパでは古くから「トマトが赤くなると医者が青くなる」といわれているほどだ。旬の野菜には時季に合った効能が詰まっているということだろう▼とはいえ,最近はキュウリもトマトも,一年中店頭に並ぶ。旬が夏だと知らない人もいるようだ。栽培や保存技術が発達して多くの恩恵を受ける一方,食卓から旬が消えつつあるのは味気ない▼きょうは二十四節気の大暑。一年で最も暑いとされているが猛暑はこれからが本番だ。夏野菜の力も借りながら乗り切りたい。漬物,酢の物,冷やし中華…。今夜は,キュウリで一品といきたい。(平成29年7月23日/南日本新聞『南風録』から)
夏が旬のキュウリ=シャキッとした歯応えと,みずみずしい食感で緑色が鮮やかなキュウリです。ハウス栽培の普及で1年中店頭で見かけますが,本来は夏が旬の野菜です。90%以上が水分で,ギネスブックに「世界一栄養のない野菜」と掲載されましたが,ビタミンC,カロテン,カリウムを含み,高血圧予防や利尿作用によるむくみ解消が期待できます。体を冷やす働きもあり,ほてりを抑えたいときにお薦めです。選ぶポイントは,皮が濃い緑色で張りがあり,とげがピンととがっているもの。曲がっていても味は変わらないため,安ければ選んでもよいでしょう。水気に弱く,冷やし過ぎると傷みやすいので,水気をふき,ポリ袋や新聞紙にくるんで冷蔵庫の野菜室に入れて保存してください。
サラダや酢の物,あえ物,妙め物とさまざまな食べ方で楽しみ,夏パテに負けないようにしましょう。(平成30年7月18日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『野菜講座/栽培収穫編(果菜・根菜)』(日本園芸協会),『やさい畑/2011春号』・『やさい畑/2016春号』(家の光協会),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『新野菜つくりの実際/果菜Ⅱ』(農文協),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜で体がよみがえる 知られざる野菜と果実の底力』(草思社),『ドクター古藤の家庭菜園診療所』(農文協),『農家が教えるキュウリ・ウリ類つくり』(農文協)
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な す
素人では種播きからの育生は難しいため,例年,数種の苗(苗選択のポイント=①本葉6~9枚で,がっちりした苗②一番花が咲いているか,蕾が着き始めている苗③双葉が残っているか④葉色が濃く,茎が太く葉と葉の間が短い苗+連作障害・病害虫に強く,収穫期間が長く多くの収穫量を期待するなら価格高めですが接ぎ木苗を選択)を購入して植えていますが,苗の植えつけは(畝幅90㌢・間隔60㌢)晴天の午前中に行い,苗の植えつけ当日の朝に水を張ったバケツにポットごと浸け,十分給水した苗を植え付け,植え付け後の3~4日間は,水を求めが根が深く伸びるように水を与えないよう留意を。根が活着したら支柱に誘引し,主茎と脇芽2~3本を伸長させ,他の脇芽は全て摘み取るのも肝心。草勢を強くするため,忘れずに第1花を摘み取ることを忘れず,「ナスは水で作る」とも言われていますので,収穫が始まったら,早朝にたっぷりと潅水をし,肥料切れが生じないよう半月ごとに有機肥料を追肥として施します。
「長なす」と「米なす」2種類に加え,今年は,京の伝統野菜の中で有名な「賀茂ナス」の苗を購入し,連作障害を考慮し,前作はヤーコン・サトイモ・ニンジンであった畑に植え付けていましたが,気温の上昇に合わせ一斉に花を咲かせ,毎日の食卓を飾るようになり,収穫果の下にある葉は,なす畝に頭を突っ込み,葉裏に潜むハダニを確認しては,ハダニ駆除のために自然農薬=「石けん液+インスタントコーヒー」を噴霧し駆除する中,垂れた葉を適時かき取って,果実に十分太陽が当たるように努めています。
「なす紺」と呼ばれている紫紺色の皮に含まれる成分は,ナスニンというアントシアニン系色素で,ポリフェノールの一種。アントシアニンは活性酸素の働きを抑制し,ガン予防や血管を浄化し,動脈硬化や高血圧予防効果があるそうです。
ナスの花に関する諺に『親の意見と茄子の花は千に一つも仇はない』=茄子の花は一つとして仇花がなく,咲けば必ず実をつけるのと同じように,親の意見というものはすべて子のためになることの教え。
『親の意見と茄子の花は千に一つも無駄はない』=なすの花は咲けば必ず実をつける。親の意見も同じように,すべて子のためになってむだがないということ。子を思って話す親の意見は聞くべきであるという教え。
また,「秋なすは嫁に食わすな」という諺もありますが,この諺は,秋になるとなすは皮がやわらかくなり実が締まっておいしくなることから,この諺は嫁いじめという解釈もありますが,体を冷やす野菜であるため,涼しくなる秋にお嫁さんが体調をくずさない様にと気遣い,またなすは種が少ないことから子宝に恵まれないことを案じ,赤ちゃんを産むお嫁さんを気遣うという解釈も。それから初夢に見ると縁起が良いと言われています「一富士・二鷹・三なすび」の中にもなすが出てきますが,最初の富士は日本一の山,二番目の鷹は「つかみ取る」というイメージでそれぞれ縁起ものとして初夢に見るにはよさそうですが,三番目の「なすび」?と
思っている現代人も多いのではないでしょうか。「なす」には,「成る」という意味があり「成功」するという意味があります。又は単純に,昔は冬に食べるなすが高級だったからという説も。
今日は大雨警報が出ており農作業に従事できないので,勝手ですがなす栽培について復習する中,秋なすを楽しむまでの,管理ポイントを予習してみました。
- 畝幅60㌢で畝中央に20~30㌢の溝を掘り,元肥の堆肥と化成肥料をまき戻し,10㌢高の畝を準備し黒マルチで覆う。
- 寒さに弱いので遅霜の心配がなくなってから,60㌢以上の間隔で畝中央に苗を仮支柱を立てて苗を植え付ける。
良い苗の見分け方=葉は大きくて濃い紫色・一番花が咲き始めている・葉は6~7枚・茎が太い・節間が詰まっている・子葉がついている苗を選ぶ。
- 生長し30~40㌢に育ってきたら,一番花のすぐ下の2つの枝のわき芽を残し,その下のわき芽は全部摘み取り,本支柱を立て枝をひもで誘引する。
- 葉枝が混みあわないよう適時整枝し,支柱を増やしV字型に樹勢を維持し,果実部への採光条件を確保する。
- 果長が10~15㌢になったら収穫。ただし一番果は,本株を疲れさせないため早めの収穫を。(葉が水平よりも下がると生育が止まってしまうので,ひもを使い吊り上げるように。)
- 裂果やつやを失った果実は,土の乾燥が原因。しっかりした水やりに努めること。
- 収穫期間が長いので肥料切れいないよう追肥は,収穫が始まったら2週間ごとにマルチの裾をめくり畝の肩に1㎡当たり30㌘の化成肥料を施す。施肥カ所は,回数が増すごとに株元から離していく。
- 害虫のアブラムシは手で取り除くか,オレイン酸ナトリウム液剤などを散布する。ハダニは,デンプン液剤などを散布する。
- 秋なすの収穫のためには,株を休ませるために8月に枝全体を三分の一程思い切って葉を1枚残し剪定すると同時に,マルチをはいでスコップで根切り・追肥し株周りには乾燥防止のため敷きワラをしいて霜降り前までつやのある秋なすの収穫を。(枝だけ切って根を切らないと,不要になった根が腐るので,株もとから30㌢離れた位置にスコップを深く差し込んで根切りを必ず行う)
★8月26日,今夏いっぱい実って食卓を彩ってくれたなすに感謝しつつ,秋なすの収穫を楽しむため,成長中の小さななすには申し訳なく思いつつも,黒マルチを剥ぎ,思い切ってばっさりと枝落とし(剪定),スコップを用いて根切りを行い,値切りのスコップで空いた土中に配合肥料を追肥として施し,株周りにワラを敷きこみました。さてさて,これでなすが若返り新芽がまた伸びてきて,お書物どおりに開花・結実し,霜が降るころまで秋なすを楽しむことができますように。
☆昨年は,思いっきり枝落とし,花芽がはたしてつくかと心配していましたが10月4日から「秋なす」の収穫を楽しみました。
①なす苗は,高い畝に定植し,吸水根が深く伸び吸肥根が地中に広がるように植付けます。
②不定根を傷めないよう購入苗は,たっぷりと水を吸わせておいて根鉢を崩さないよう 丁寧な植え付けを(植え付け後の水やりは行わない)。
③実がつき始めたら混み合った枝を随時剪定し,主枝と側枝の3本仕立てとし,支柱で誘引を。
④秋なすを収穫するには,更新剪定作業に留意し,加えて株元の根切り(株元から30㌢離れたカ所にスコップの刃を刺して)で根腐れ防止を。
■知っておきたい効用
奈良時代に中国から伝わった「なす」は,漢方では体を冷やす野菜として,鎮痛や
消炎のために使われてきました。血行の促進作用や利尿作用にも優れ,「秋なすは嫁に食わすな」という諺も,体を冷やすことにより流産を心配する気づかいから生まれたとする説が有力です。
機能性成分でよく知られているのは,皮に含まれる色素成分のナス二ン。これは強い抗酸化作用があるアントシアニン系の色素で,コレステロールの酸化を防ぎ,細胞の老化やがん化を抑える作用があります。ブルーベリーと同様に眼精疲労をやわらげたり,視力の回復を助ける効果で注目されています。
アク成分のクロロゲン酸も,抗酸化成分であるポリフェノールの一種。活性酸素による過酸化脂質の生成を抑え,生活習慣病全般の予防と改善に効果をもつとされています。(がん予防,動脈硬化の予防,高血圧の予防・改善,コレストロール上昇抑制)
◆調理と組み合わせのコツ
ナス二ンは皮の部分に含まれます。皮もしっかり食べましょう。
油と相性がよく,揚げたり妙めたりすることで甘味が増し,夏場のスタミナ強化にも役立ちます。ただし,吸油率が高いので,ダイエット中の人はほかの料理に。揚げるときは,小さく切り分けず,揚がった後に熱湯をかけて油切りをすると,余分な油脂分をカットできます。みそとの相性もよく,田楽やみそ汁,蒸しなすのごまみそ和えも美味。秋なすはアクが強いので,アク抜きも忘れずに。
◎春植え野菜をうまく育てるためのポイント/たなかやすこさん(ガーデニングクリエーター)平成26年2月26日(水)/南日本新聞
─花のサインに要注意─
ナスをコンテナで育てるのは,少し難しいです。原産地は気温も湿度も高いインド東部。みずみずしいこの野菜は「水食い」「肥料食い」といわれ,良い土を使い,水も肥料も切らさないことが大切です。
ポイント①は「野菜用培養土を使う」。価格は高めでも,大手種苗メーカーが開発した野菜用培養土は軽く,保水性が良い上,適度な水はけで,土が固まりづらいです。
良い土は保肥性にも優れ,育てやすいです。鉢は25~30㍑ぐらい入る大きめが適しています。
ポイント②は「追肥」。培養土にはもともと1~2カ月分の肥料が含まれています。ただ,ナスには足りないので,実が付きだしたら,私は土に置くタイプの「有機置き肥」をしています。
ナスは,見えない土の中の状態を花で知らせます。花の中心から出るべき雌しべが,肥料が不足していると顔を出さないのです。これだと受粉できませんよね。体がしっかり成長していなくては,良い実は成らないことを知っているのです。このサインに気付いたら,素早く液体肥料をあげましょう。日当たり不足が原因の場合もあるので要注意です。
ポイント③は「一芽切り落とし」。実を収穫したら,その枝の先端を切ります。切った部分の手前から新しい脇芽が出てきますから,これを繰り返すと収穫が長く続きます。
仕立ては「2本仕立て」がお勧めです。「一番花」が咲く主枝と,すぐ下の脇芽(側枝)は伸ばし,それより下の脇芽は全て摘み取ります。
3本仕立てが一般的ですが,鉢植えでコンパクトに育てる場合は,2本の方が日もよく当たっていいと思います。
※今年の初夏のナス苗の定植に関し,早くもタキイメールマガジン『植彩館』平成26年3月5日号に「ナスの栽培管理」に①畑の準備 ②育苗 ③定植 ④ホルモン処理 ⑤追肥 ⑥整枝方法 ⑦的確な草勢判断で草勢維持 ⑧梅雨明け前後の整枝摘葉 ⑨更新剪定と順に分かりやすく掲載されていました。
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ナス学探求入門
平成27年,我がこざ園では,「穀雨」を前にした4月12日に購入したナス苗(米ナス・庄屋大長・中長ナス・黒船・山科ナス)の定植を済ませたましたが,同月16日に南国では珍しい大粒のヒョウが降り,3本の苗が枝が折れる被害に遭い,植え直しを余儀なくされました。5月のGW中に図書館から借りてきた本などで「ナス学探求入門」として,ナスに関し再度復習学習してみました。
ナスは「キングオブ夏野菜」と評され,和洋中の料理のいずれにも使われている万能食材です。なお,ナスは紫という先入観を持って栽培されていますが,我が国に原産地のインド東部から中国・朝鮮半島・東南アジア経由で入ってきた渡来当時は,紫・緑・白色で入ってきたようで,我が先人には紫色が好まれ残って広がり,奈良時代の天正勝宝2年(750年)に茄子を献上したという記録があり,平安時代には重要野菜として栽培した記録が「延喜式」にあり,室町時代の『清浄華院本』には,茄子の畑が描かれており,民間薬として解熱・消炎・消腫・止血薬として用いられています。
現在,我が国には在来種が180種(世界では1,000種)もあると言われ,形状からは,小丸ナス・丸ナス・卵形ナス・中長ナス・長ナス・大ナス・米ナスに大別されます。(別に,千成ナス・長ナス・へびナス・丸ナス・白ナス・アメリカ大ナス・青ナスの分類に加え,丸形・小丸形・卵形・中長形・長形・大長形・アメリカナスという7グループに分ける方法もある。)
主な産地別では,大和丸なす・田辺なす・山科なす・賀茂なす・田屋なす・十市なす・水なす・鳥飼茄子・下田なす・民田なす・ていざなす・やきなす・十全なす・真黒なす・蔓細千成なす・山なす・奥三河天狗茄子・博多なす・ばってんなす・大長茄子・佐土原なすが。
「米ナス系」は,明治に入ってきた欧米品種で,ヘタは緑色。果皮は光が当たらないと紫色にならない日本古来の地ナスと違い,暗くても着色するのが特徴。「卵ナス系」は,果実が白色で小型の卵形か球形で,果皮にアントシアニン色素がなく,表面に厚いクチクラ層ができるため表皮が硬く,江戸時代に観賞用として栽培されてきたという歴史が。「長卵,中卵系」は,大陸から北陸に伝来した丸ナスで卵形で,小型化しながら東北地方で栽培が普及し,今では最もポピュラーに。「米ナス系」は,中国の華北から朝鮮半島経由で伝わった品種で,耐寒性が強く,北陸・機内で広がった品種で京野菜を代表する賀茂ナスがあります。45㌢以上の長さになる「長ナス系」は,中国の華中・華南から夏の暑さの暑い九州に伝わり。その後,東に伝わるにつれ早生性品種に変化し,小型化していった品種です。最近人気が出てきた「ヘビナス系」は,明治以降に中国から導入された品種です。なお,日照時間の長い「東南アジアのナス」は,果皮の紫色が濃いと,高温障害の原因になるため緑色や淡い紫色の品種が多いそうです。
お隣,宮崎県の「砂土原ナス」が,皮や果肉が柔らかく生食いできるほどアクが少なく,熱を加えるとトロリと溶ける食感があり,甘味があって焼きナス向きの“幻のナス”と呼ばれる「熊本赤ナス」(ヒゴムラサキ)のルーツだそうですが,病気に弱く栽培が難しく昭和50年代に市場から姿を消してしまったそうです。
また,鹿児島県独特な在来種として「薩摩白長なす」があり,果長20~23㌢の長めの青ナスで,果皮は硬めですが,果肉は柔らかく,アクが少なめ。色が淡い緑色ですが,昔から「白ナス」と言われています。生産量は,中国・インド・インドネシア・イラン・トルコ・エジプト・フィリピン・日本の順で,我が国の生産量は8位で,全国生産量ランキングでは熊本県が最も多く,続いて高知,群馬福岡の順となっています。
参考文献:『現代農業』(2015年2月号),『寛永七年刊和歌食物本草現代語訳』(源草社),『野菜前線』(タキイ種苗),『おいしくできる!ナス』(NHK出版)
Q よい果実をより確実にとるには?
A 新しく出てきた整枝方法「一果どり切り戻し法」を行うことをお勧めします。
これは,主枝から出た側枝①を,花が咲いたすぐ先で摘芯し,その枝の元部の勢いのよい次の側枝②だけを伸ばし,ほかはかき取ります。次に果実を収穫したら,なっていた側枝①は,次のなり枝の側枝②のすぐ上で切り捨ててしまいます。この側枝②も①のときと同様に花の先で摘芯し,元部の勢いのよい側枝1本だけを伸ばし,これを繰り返していくのです。
この方法はハウスでは一般に行われています,露地でも,茎葉が込み合わずによい果実がたくさんとれて,作業も楽なことが東京都農林総合研究センターで実証され,利用が勧められています。
出典:『家の光』/よくかる家庭園芸 2010年4月号
※南日本新聞の「エンジョイ園芸」に掲載された『ナス』記事のPDF版はこちらに掲載しました。
◎タキイ種苗株式会社のホームページ内に設けられた「菜園コンテンツ」⇒「家庭菜園栽培マニュアル/タキイのナス栽培マニュアル」には,ご自由に印刷してご利用くださいとなすの栽培方法が親切に2頁にわたり詳しく紹介・掲載されていますのでぜひ覗いてください。
○NHKの番組「今日の料理」で紹介されました
なすのレシピも合わせてぜひ覗いてみてくださることをお勧めします。
◎平成22年10月23日の南日本新聞『晴耕雨悦』に“なす”に関し東串良町出身の作家:木村幸治氏が「垣根のない畑で思う幸福」と題した随筆が掲載されていましたのでPDF版で紹介します。
※『野菜だより』2011年3月号の綴込付録の「人気野菜ズームUP!」に「ピカピカのナスを収穫しよう」が掲載されていましたので,今夏の栽培に向け,今から予習を。
※タキイメールマガジン『植彩館』(平成24年1月27日配信)「はじめてのナス特集」に,今夏のナスの栽培に関し,ナスは,無理な早植えは避け,最低気温が10℃を超えるようになってから苗の定植を。また,乾燥に弱いので保水性を保てる場所に育て,水分管理をしっかり行い,栽培のポイント(畑の準備から定植・定植後の追肥・定植後の栽培管理・梅雨明け後の整枝・収穫)をイラスト入りで分かりやすく紹介されていました。
※夏野菜の生育管理を学ぶため購入した『やさい畑』(2012年初夏号)に食養研究家:武 鈴子先生監修の「旬をいただく 畑薬膳」に,「解熱,消炎,抗がん作用 じつはすごいナスの働き」が掲載されていましたので,今夏のナスビの食べ方にも一工夫をして頂きました。
※『やさい畑』(2012年初夏号)の「図解Q&Aでよくわから! 夏野菜の手入れ術」の中に,「ナスはどこをどう整枝する?」が掲載されており,今夏の収穫を楽しみに3列12本の苗を植付けていますナスの,今年の整枝作業に活かそうと同書を畑に持ち込み予習しています。
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』(平成25年4月号)の「菜園くらぶ」に『重宝な夏野菜 ナス 収穫まで約1カ月半!』が掲載されていましたので,今夏の家庭菜園での植え付け・管理・収穫について十分事前の学習資料としてPDF版で紹介いたします。
※平成28年4月3日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「ナス 一手間で秋まで収穫」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
夏パテ予防にナス=7月になり,暑さが一段と増してきて夏パテになる方も多いと思われます。旬の食材である鮮やかな色彩の夏野菜は,夏を乗り切るための栄養がたっぷりです。今回はその中からナスを紹介します。ナスには,ビタミンB群,ビタミンC,カリウムなど,含有量自体は少ないものの,疲労回復に効果がある栄養素が数多く含まれています。さらに,夏野菜の中でも体を冷やす効果が一番高く,夏パテ予防に最適です。また,皮の色素であるナスニンは抗酸化作用があり,生活習慣病の予防が期待されます。ナス特有の苦味が気になり,苦手な方も多いようです。マーボーナス,はさみ揚げなど,妙める,揚げるといった油とあわせる調理法だと,苦味が抑えられ,果肉が柔らかくかつ甘くなり食べやすくなります。夏野菜をおいしく食べて,夏パテに負けないようにしましょう。(平成28年7月13日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ナスで夏パテ予防を=暑い日が続き食欲が減退する今の時季は,夏パテ予防に効果的なナスがお薦めです。ビタミンB群・C,カリウムなど疲労回復効果のある栄養素を数多く含み,夏野菜の中でも体を冷やす効果が高いため,夏場の食事にピッタリです。皮の色素・ナスニンには強い抗酸化作用があり,生活習慣病の予防に効果的。コレステロールの吸収を抑える作用もあります。へタの切り口が新しく,表面は濃い紫色で変色がなく,張りとつやがあるものを選びましょう。風通しの良いところだと常温で2,3日は保存できます。冷蔵庫にそのまま入れると張りがなくなるので,新聞紙に包みプラスチックの袋に入れて保存してください。マーボーナスやはさみ揚げなど,油と合わせる調理だと苦みが抑えられ,果肉が柔らかく甘くなり食べやすくなります。(平成29年8月23日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
体冷やす働きあるナス=ナスは,インドが原産とされるナス科の一年草で,日本には奈良時代に入ってきたといわれています。生活習慣病予防に効果的なカリウムのほか,皮に含まれるポリフェノールの一種「ナスニン」は,抗酸化作用や眼精疲労の回復に効果があるといわれているので,調理する場合は皮ごと使いましょう。皮が濃い紫色で,張りと艶があり,ふっくらして持った時にずっしりと重みがあるものを選びましょう。油との相性の良さを生かした天ぷら,揚げだしナスといった揚げ物のほか,妙め物,煮物,焼きナス,田楽,漬物など多彩な調理法があります。煮物は,一度高温でさっと揚げてからの方がうまみが出ますし,ナスニンの流出も抑えられます。身体を冷やす働きがあるといわれています。いろいろな料理で味を楽しみながら暑い夏を乗り切りましょう。(平成30年7月4日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
夏野菜の代表格のナス=皮の紫紺色はナスニンと呼ばれるポリフエノールの一種,アントシアン系の色素です。抗酸化力があり,がんや生活習慣病のもとになる活性酸素を抑える力のはか,コレステロールの吸収を抑える作用もあるそうです。冷蔵庫に入れておくと低温障害を起こしやすく,硬くなり,傷みも早くなるため,袋に入れて冷暗所で保存し,早めに使用することをお勧めします。張りと艶があり,持ったときにずっしりと重みのあるのがおいしいナスを選ぶポイントです。和食では天ぷら,煮物,焼きナス,洋食ではパスタ,グラタン,中華ではマーボーナスなど幅広い世代に愛される料理で食卓を彩ります。体を冷やす効果もあるといわれているので,暑い夏はナスを食べて乗り切りましょう。(令和元年7月24日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
多彩な料理に使えるナス=ナスは,とろけるような食感と癖のない淡泊な味わいで,どんな料理とも相性抜群です。水分が多く,栄養がないと思われがちですが,皮にはナスニンというポリフェノールの一種が含まれます。強い抗酸化力があり,生活習慣病の予防や,眼精疲労の緩和に効果が期待できます。体の熱を逃がす働きのあるカリウムも含まれており,夏パテ解消にもお薦めです。へたの切り口がみずみずしく,皮は濃い紫色で張りとつやがあり,ずっしりと重みがあるものを選びましょう。冷暗所に保管し,なるべく早く食べた方がよいですが,高温の時季や少し長めに保存したい場合は,新聞紙で包んでポリ袋に入れ野菜室で保存しましょう。天ぷら,揚げ物,妙め物,煮物,焼きナス,田楽,漬物,マーボーナスなど多彩な調理法で楽しめます。(令和2年8月12日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
夏も秋もおいしいナス=焼いても妙めてもおいしいナスは夏を代表する野菜の一つですが,「秋ナスは嫁に食わすな」のことわざがあるように,秋が旬のイメージもある野菜です。みなさんは夏と秋,どちらが旬だと思われますか。ナスの旬は初夏から秋にかけてと長く,どの時期もおいしくいただけます。夏のナスはみずみずしさがあり,秋のナスは種が少なく実が締まっています。皮に含まれるアントシアニンには抗酸化作用があり,免疫力の維持や老化防止に役立ちます。また,美肌効果もあり,紫外線が強くなるこれからの季節には欠かせない栄養素です。皮の色が濃く,バリとツヤがあり,へタやガクがしっかりとした,持ったときにずっしりと重いものを選びましょう。どんな料理とも相性抜群のナスをぜひお楽しみください。(令和4年6月29日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
油と相性抜群のナス=代表的な夏野菜の一つであるナスはこれから出荷量のピークを迎え、店頭に多く並びます。成分の90%以上は水分ですが、ビタミンKやカリウム、葉酸、食物繊維をバランスよく含んでいます。皮には抗酸化作用のあるポリフェノールの一種「ナスニン」が豊富で、高血圧などの生活習慣病予防や眼精疲労の緩和が期待できます。皮が濃い紫色で、張りとツヤがあり、ふっくらした重みのあるものを選びましょう。冷気と乾燥に弱いので、新聞紙などに包み、冷暗所か冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。冷やしすぎると硬くなり、味が落ちます。切って水にさらしてあくを取ってから、または素揚げなど加熱調理をしてから冷凍すると、みそ汁や妙め物にそのまま使えて便利です。油との相性が良く、加熱すると食感が滑らかになります。天ぷら、焼きナス、煮浸し、マーボーナスなど、幅広いメニューで味わえます。(令和5年6月28日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ナスで夏乗り切って=煮る、焼く、漬けるなど用途が幅広い万能野菜のナスは、これから出荷量のピークを迎えます。90%以上は水分で、体を内側から冷やす作用があり、ビタミンKやカリウム、葉酸、食物繊維をバランスよく含んでいます。鮮やかな紫色は、ポリフェノールの一種のナスニンに由来します。ナスニンには、活性酸素の発生や働きを抑制する抗酸化作用があります。活性酸素は増えすぎると老化の原因となるため、ナスニンの摂取は老化対策にも役立ちます。皮に張りと光沢があり、濃い黒紫色をしているものを選びましょう。ナスの原産地はインドのため、暑さや湿度に強い一方で、寒さや乾燥には弱い傾向があります。水気を拭き取ってラップで1本ずつ包み、ジップ付き保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れておくと、おいしさを保てます。栄養たっぷりのナスを食べて暑い夏を乗り切ってください。(令和6年6月5日/南日本新聞『買いごろ 食べごろ』から)
※令和2年7月1日(水)午後7時半からNHKTVで放映の「ためしてガッテン」で「旬到来!絶品なす最新調理術」が放映され,早速,明日収穫分の大長なすは,これで調理をと家族で語り合いました。
参考図書:『野菜講座・栽培収集編』(日本園芸協会),『やさしい家庭園芸』(家の光協会),『からだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店),『伝承農法を活かす マンガでわかる家庭菜園の裏ワザ』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『伝承農法を活かす野菜の植え付けと種まきの裏ワザ』(家の光協会),『おいしくできる!ナス』(NHK出版),『農家が教えるナスつくり』(農文協)
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ピーマン(パプリカ)
ナス科の野菜で,暑さや病害虫に強く,家族の員数+α株植えておけば初夏から秋まで収穫ができる重宝な野菜です。連作不可ですので2~3年は空ける必要があります。欧米系の「パプリカ」(カラーピーマン)と称されている完熟肉厚果実の大型のものから,小型の「シシトウ」まで,辛味成分を持たないトウガラシ類はすべて「ピーマン」と呼びますが,一般に親しまれているピーマンは,中型種の未熟果を収穫したものです。
ピーマンは高温を好む野菜なので,苗は必ず晴天の暖かい日を選んで定植し,窒素成分の少ない元肥を深さ20~25㌢の位置に施し,株間45~50㌢,畝間90~100㌢で植えつけます。次に,ピーマンは茎が弱く折れやすいので,しっかりした支柱を株元からⅤ字型に立て,誘引します。ピーマンにとって地温の低下は禁物なので,水やりは地温を下げないよう,気温が18℃以上の晴天の日にたっぷりと行います。
定植後すぐに開花して実を結びますが,これを残すと,その後,茎葉の生育がきわめて悪くなるので1~2番花は摘み取ります。ピーマンは無駄花がないので,小さな実がたくさんできてしまいがちですが,大きな実を収穫するためには,花の数を制御します。ピーマンは節ごとに花をつけ,腋芽を伸ばすので,ピーマンを1個収穫したら,同じ節から株の内側に伸びている腋芽を必ず一か所摘み取ります。なお,ピーマンは枝が弱く折れやすいので,収穫はハサミで行います。
樹勢が弱いときには,ピーマンを若採りします。こうすると,養分が茎葉に供給されるので,株が元気を取り戻し,長く収穫できるようになります。秋口に実が小さくなりだしたときも同じように若採りをすると,樹勢が回復して,大きな実を結ぶようになり,霜が降りる頃まで十分に収穫を楽しむことができます。
なお,ピーマンは果色もバラエティ豊富で,完熟した果を収穫する赤・黄・オレンジ・茶の4種と,未熟果を収穫する白・薄緑(ミント)・黒(濃紫)・薄紫・緑の5種類の計9種類が世界では栽培されており,一般的には緑色以外をカラーピーマンと呼んでいます。形からは,パプリカ・ジャンボピーマン・トマトピーマン・小型ピーマン・くさび型ピーマンの5分類に。
※米津玄師作詞・作曲で東京五輪公認応援ソングとして2019年7月からNHKの「みんなのうた」で小中学生の音楽ユニット「Foorin」が『パプリカ』を大きな動きを交え歌い,同曲が流れると幼児までTVの前に集まるとの好評を博し,年末には日本レコード大賞を受賞,年越しの晩にはNHKの紅白歌合戦にも初出場して,子供達だけでなく大人まで親しみ口ずさむようになった事から,令和2年の夏場には,多くの家庭菜園で植えられるでしょう。
■知っておきたい効用
独特な香りと苦みで,子供達が嫌いな野菜の代表とも言われていますが,ビタミンのなかでも抗酸化力が強いβ・力ロテン,ビタミンC・Eを多く含み,夏場の体力回復に欠かせない野菜です。
ビタミンCはコラーゲンの合成を促進する作用をもち,Eとの協働で毛細血管を健康に保つ働きもあるので,肌のトラブルを改善するうえで有効に働きます。また,青臭い匂いのもととなる成分はビラジンと呼ばれるもので,血液の老廃物を取り除き,血栓を防いで動脈硬化や心筋梗塞を予防する効果があるとされています。とうがらし類に特有の辛味成分カプサイシンも少量ながら含んでおり,新陳代謝を高め,夏パテの回復を早めてくれます。(疲労回復,高血圧の予防・改善,美肌効果,老化の抑制)
※平成23年4月の南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』の中の『菜園くらぶ』に掲載されていました「カラフルな果肉にビタミンタップリ!ピーマン」を添付いたします。
※平成23年は後植えの苗で,11月上旬まで収穫を楽しみましたが,『野菜だより』2012年1月号の綴込付録に「ピーマン/有機・無農薬で大収穫!育て方のポイント,もっと知りたいピーマンの話」の記事が写真入りで掲載されていましたので,今夏の栽培に向け(ピーマン,パプリカ,シシトウ,トウガラシの見分け方を含め)今から予習を。
※九州を除く西日本は,昨日“梅雨明け宣言”が発表される中,台風7号が東シナ海を北上接近する平成24年7月18日(水)の南日本新聞朝刊「かごしま 食べごろ」『ピーマンでビタミン摂取を』の記事が掲載されていましたのでPDF版で紹介いたします。
※平成25年4月5日に緑色のピーマン6本と黄色・赤色各1本の計8本のピーマンの苗を定植しました。なお今年もピーマン苗の定植に当たっては,平成24年4月号の『現代農業』の記事「植え方でガラリッ! ピーマンの浅植え・根洗い」を参考にして定植し,これまでと比べて多くの実を長期間(12月6日まで)収穫することができ,平成26年4月12日の購入苗定植に際しても前年に引き続き我が畑では継続実践させてもらいました。
また,『やさい畑』(2013年春号)の「旬をいただく 畑薬膳 ピーマン」に,ビタミンやミネラルに富んだ栄養価の高い緑黄色野菜で,薬効を考慮すれば,食わず嫌いはもったいなく,その働きを知れば,必ずピーマンを見る目が変わると紹介されていました。
◎春植え野菜をうまく育てるためのポイント/たなかやすこさん(ガーデニングクリエーター)平成26年2月26日(水)/南日本新聞
─ハーブとの相性抜群─
ピーマンが苦手な子が多いと思いますが,最近は,小ぶりでえぐみが少ない「こどもピーマン」「ぶちピー」,バナナみたいな形の「バナナピーマン」など,複数のメーカーが工夫を凝らした品種を出しています。
育てるのは比較的簡単です。原産地は暑い南米なので,植え付けは暖かくなる4月後半~5月ごろ。ゆっくり育ち,実が付くのは7,8月です。
実は熟すにつれて緑から赤へ変わります。ただ,木や根の生育が十分ではない段階で,1,2番目の実を赤く熟させることは負担が大きいです。次の実が付きにくくなるので,緑色のうちに収穫して食べましょう。土の量は,実が小さいピーマンなら20㍑くらいで大丈夫。私はバスケットで育てています。
周りにハーブのタイムを植えると,相性がとても良いです。夏に夕イムが花を咲かせ,蜂が寄って来て,ピーマンの受粉を助けてくれます。ピーマンの花は,ナスほどわがままではなく,下を向き,少し揺れるだけで受粉します。
根が土の表面に浮き出やすく,乾燥しがちなのですが,タイムが表面を覆ってくれます。また,花が咲いて実がなるピーマンは肥料成分のうち,リン酸を多く必要とします。すると,チツ素など他の養分が土の中で余って,アブラムシが来やすくなります。
この点でも,タイムのような「葉」を収穫するものを一緒に植えると,消費される養分バランスが整ってきます。ハーブはマジョラムなども良いですよ。
ピーマンが苦手なお子さんがいる家庭では,ぜひ子どもと一緒に育ててみてください。自分で育てると「食べてみようかな」と思うかもしれません。
ピーマンで食卓に彩りを=今週は栄養豊富でつややかに輝く緑色が美しいピーマンを紹介します。風邪の予防や疲労回復,肌荒れなどに効果が期待できるカロテンやビタミンCが多く含まれます。中くらいのものを4個食べれば,ビタミンCの1日の所要量を取ることができます。色が均一で濃く,つやがあり,軸の切り口が茶色く変色したり干からびたりしていないものを選ぶとよいでしょう。
独特な香りや苦味をもつため好き嫌いが分かれる野菜でしたが,最近はくせのない味に改良され,とても食べやすくなりました。赤やオレンジ,黄色などの完熟したピーマンはくせがなく,柔らかく甘みがあるので,ピーマンが苦手な方にもおすすめです。
独特な苦味が肉詰め,中華料理,サラダなどさまざまな料理において味を引き立ててくれることでしょう。ピーマンで食卓に彩りを,味にアクセントを加えてみませんか。(平成28年9月28日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ビタミン摂取が効果的に=中南米が原産地で,もともとトウガラシを改良したものです。フランス語でトウガラシを意味するピマン(Oiment)が語源ともいわれ,日本では第2次世界大戦の後で一般に普及しました。現在ではパプリカ,フルーツピーマンと幅広い品種が店頭をにぎわせています。主な栄養素は,血圧上昇を抑えるとされるカリウム,風邪予防や美容効果が期待できるビタミンC,免疫力を高めるベータカロテンなど。加熱でのビタミン類破壊を防ぐフラボノイドを含むので,効果的なビタミン摂取が可能です。皮につやがあり色鮮やかで,肩が張り肉厚で弾力があるものを選びましょう。 加熱すると苦味が和らぐので,肉詰めピーマンや野菜妙め,揚げ物,天ぷらがお薦めです。苦味の少ないパプリカ,フルーツピーマンはサラダやマリネで食べてみてはいかがでしょう。(平成29年7月26日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
赤ピーマンはビタミン類豊富=1年を通して店頭に並んでいるピーマンは,栄養豊富な緑黄色野菜です。これからの時期は県内産が多く出回ります。独特の香りや苦みから,以前は苦手な野菜の代名詞的な扱いを受けることもありましたが,近年は品種改良によって苦みが少ないものが多く流通しています。ピーマンは未熟な緑色の状態で収穫されるのが一般的です。しかし,さらに生育して完熟させると赤くなります。完熟した赤ピーマンは柔らかくてクセが少なく,含まれるビタミン類が倍増しているという特長があります。値段は少し高くなりますが,いつもとは違う彩りで料理を楽しむことができます。加熱すると苦みが和らぐので,緑色のピーマンはひき肉詰めのフライや野菜妙め,赤ピーマンはサラダ,マリネなどで味わってみてはいかがでしょう。(令和3年4月21日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ピーマンで免疫力アップ=ピーマンは唐辛子を品種改良し,食べやすくしたものです。パプリカやフルーツピーマンなどの種類があります。緑色のピーマンは未熟なうちに収穫したもの。完熟した赤ピーマンには甘みがあります。ピーマンのビタミンCは加熱調理による損失が少なく,風邪予防や美容効果があります。ベータカロテンも豊富で免疫力アップも期待できます。特に赤ピーマンには緑ピーマンの倍以上含まれます。皮につやがあり色鮮やかなもの,へタの切り口がみずみずしく,肉厚で弾力があり,ふっくらとしているものを選びましょう。加熱すると独特な苦みが減って甘みが増すので,苦みが苦手な人は加熱調理したほうがよいでしょう。シャキッとした歯触りと独特の苦みを味わいたいという人は,強火でさっと調理すれば風味が損なわれずおいしく食べられます。(令和4年5月25日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ピーマン苦み少なく改良=代表的な夏野菜の一つであるピーマンを紹介します。栄養豊富な緑黄色野菜で,パプリカやジャンポピーーマンと幅広い品種が店頭に並びます。これからが最も出回る時季です。独特の香りや苦みから,以前は苦手な野菜の代名詞のような扱いを受けることもありました。近年は品種改良によって苦みの少ないものが多く流通しています。パプリカや赤ピーマンはくせがなく,甘くて,生でおいしく食べられます。主な栄養素はビタミンCで,風邪予防や疲労回復,肌荒れに効果があります。パプリカならオレンジのものは6分の1個,赤色だと3分の1個で1日の必要量を摂取できます.色が均一で濃く,つやがあり,軸の切り口が変色したり,干からびたりしてないものを選びましょう。緑色のピーマンは加熱すると苦みが和らぐので,チンジャオロースーなどの妙め物や肉詰め,天ぷらにお薦めです。食卓を華やかに彩ってくれるでしょう。(令和5年6月14日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
赤ピーマンはビタミン倍=一年を通して店頭に並んでいるピーマンは、栄養豊富な緑黄色野菜です。これからの時季が最も多く出回ります。独特の癖と苦みから、子どもに嫌われる野菜の代表格でした。改良により癖が少なくなり、健康野菜として人気を集めるようになりました。 栄養価が高く、特にビタミンCが豊富。ピーマンのビタミンCは熟に強く、メラニン色素の沈着を防ぐので、シミやそばかすの予防に役立ちます。未熟なうちに収穫した緑色のピーマンに比べ、完熟させた赤ピーマンは甘みが強くなり、ビタミンCの量も倍増します。全体的に色が濃く、表面につやと張りがあるものを選びましょう。切り口がみずみずしく、変色していないものほど新鮮です。水分がつくと傷みやすいので水気は拭き取ってから保存しましょう。 油と相性がいいため、妙め物や揚げ物にもお薦めです。(令和6年5月29日/南日本新聞『買いごろ 食べごろ』から)
※平成30年12月16日(日)放映の「ためしてガッテン」で世界初!タネ無しピーマン「タネなっぴー」が紹介されました。
野菜・花のタネや園芸資材・造園工事など手掛けている,総合園芸会社「横浜植木株式会社」(所在地:横浜市南区,代表取締役社長:有吉和夫)は,世界に先駆けタネ無しピーマンの品種を開発しました。この技術は,2010年に特許を取得しており,苗で2年前より「タネなっぴー」の名称で販売を開始しましたが,本年より改良系として4~5月に全国の園芸店・種苗店・ホームセンター・専門店から苗は3.5号ポリ鉢で販売されています。
■特長=ピーマンは中が空っぽのイメージですが,タネ抜きが以外に面倒です。「タネなっぴー」は,タネを気にすることなく自由に切る事ができ,加工業務などに便利です。肉詰めなどもヘタを切り落とし筒状に詰めることができます。ピーマンは多くのビタミンやミネラルを含む機能性野菜で,成長期の子供に是非食べさせてやりたい食材です。しかし,子供から嫌われ者のピーマンを食べさせるのは至難の業です。「タネなっぴー」は苦味が非常に少なく,ピーマン嫌いなお子様にも受け入れてもらえます。
■なぜタネなしになるのか=ピーマンの花は両性花で1つの花に雌ずいと雄ずいがあります。雄ずい(葯)は開花期に裂開し花粉が雌ずい(柱頭)に受粉し果実に成ります。「タネなっぴー」は,葯の中に花粉が無く,受粉する事ができません。普通でしたら落花してしまい果実に成りません。しかし,単為結果性の特性も合わせ持っているため,受精しなくても果実となります。よって受精していないため種が入らないのです。ただし,周辺にピーマン・パプリカ・トウガラシなどが栽培されている場合は,花粉が虫により運ばれて来て受粉する事があります。その際には種が入ります。
参考図書:『野菜講座/栽培収穫編(果菜・根菜)』(日本園芸協会),『家庭菜園の裏ワザ』(家の光協会),『これで失敗しない家庭菜園Q&A』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『現代農業』平成28年2月号(農文協)
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シシトウ
ピーマンやトウガラシの仲間であるシシトウの苗を,4月上旬購入し,植え付け前に根を水で洗い,株間50㎝に浅植えで支柱を建て植え付け,途中で,生長した枝葉が倒れたり裂けないように,周囲にも支柱を建て紐で括っていましたシシトウに,6月下旬から白い小さな花が次々と咲き,5~6㎝になった一味辛味のあるシシトウ(実の形が獅子の鼻ににている事から,「獅子唐辛子」と呼ばれるようになったのが名前の由来)を,一実ずつハサミで収穫し,焼き物・煮物・揚げ物の一品として食卓に提供しています。(※最初の花が咲く頃になったら,最初の花がついた枝とそのすぐ下のわき芽2本を残して,それより下のわき芽は全部摘み取り,3本仕立てにする。一番果は小ぶりなうちに収穫し,株の成長を促す。追肥は実がなり始めたら,2週間に1回程度施す。水不足や肥料不足になると果実が辛くなる)
なお,葉と実が一緒の緑色で,開花後2~3週間で収穫期を迎えますので,地面の下から覗きあげ見落とさない=収穫遅れがないよう留意(収穫が遅れると実の先が曲がったり,樹勢を弱める原因にもなる)しましょう。
暑さにも強く(乾燥には,弱いので根元には敷き藁を)1本で80個以上も収穫でき,花が咲かなくなって収穫が終わりそうになったら追肥を施せば再び実をつけ,台風の強風被害に遭わない限り9月末まで,収穫を楽しめます。
■知っておきたい効用
とうがらしの仲間のうち,辛味の少ない甘味種に属する品種で,先端のくぼみが獅子の口に似ていることから「獅子唐辛子」の名前がついたといわれます。
特にビタミンB6やC・Eを多く含有し,β‐力ロテンも含まれます。ミネラルでは,カリウムが比較的豊富。カリウムには塩分バランスを調整し,利尿を促す作用があり,血圧の安定,むくみ予防などの効果が期待できます。
また,甘味種でありながら,とうがらしと同じカブサイシンを含むことも,特徴のひとつ。カブサイシンは新陳代謝を促し,脂肪やグリコーゲンを燃焼させ,体熱を上げる働きがある成分です。
一方,ししとうは栄養的にも味の面でも油と相性がよく,妙めると皮がやわらかくなってかさが減るため,比較的一度に多くの量を摂りやすいメリットがあります。(老化の抑制,動脈硬化の予防,コレステロールの上昇抑制,便秘の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
ビタミンCの抗酸化力によるがん予防,老化抑制などの効果は,ビタミンAやEの多い食材と組み合わせることで更にアップ。ステーキやレバーなど肉料理の付け合わせに適しています。カロリーが気になる人は,じゃこと一緒に妙め物にしたり,くし焼きなどにしてもよいでしょう。
金網などを使って素焼きで食べるときは,大根おろしと一緒に食べてみましょう。大根おろしにもビタミンCが多く含まれ,発がんや老化の抑制に役立ちます。
※『野菜だより』2012年1月号の綴込付録に「ピーマン/有機・無農薬で大収穫!育て方のポイント,もっと知りたいピーマンの話」の記事が写真入りで掲載されており,今夏のシシトウの栽培に際しては,ピーマン・トウガラシの仲間であるとの認識を深め,シシトウ栽培の参考にいたしました。
参考図書:『野菜だより』2012年1月新春号,『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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とうがらし
様々な品種が世界中にあり,大別すると辛味種と甘味種(ピーマン,パプリカ)に分けられ,香辛料として使用されているのは,赤とうがらしに代表される辛味種。
各家庭の食卓に「一味唐辛子」・「七味唐辛子」の小瓶が置かれ,うどんの食欲を増すために瓶入りのとうがらしが日本の食卓を飾る小瓶として定着していますよね。あの辛味は,ネズミが食べると哺乳類の消化器官を通過し,糞と一緒に排出された種は発芽能力が弱まるが,鳥は丸呑みし種を傷つけず,鳥が感じない辛味成分で,行動範囲に広い鳥に果実ごと丸呑みして食べてもらって種を遠くまで運んでもらい子孫を広げるという,ネズミ等の哺乳類が強く感じる辛味という特殊な味の果実になり,鳥だけに食べてもらうという進化の過程で生まれた辛味だそうです。
今春,セルトレイに種を播き,雨除け避難のため小屋にひと晩退避中にネズミに新芽を見事に食べられてしまい,種播きをやり直したという苦き思い出の残るとうがらしが,緑の実が着き,実が赤みを帯び始めてきました。この収穫前の熟した実を目ざとく見つけたカラスがついばみ,その苦さに慌てて吐き出した跡を発見。9月末から赤く熟した実は,順次収穫し天日干しし保存しています。
栽培のきっかけは,とうがらしが自然農薬として畑の一隅に2~3株植えておくと,エキスが病害虫の防除に何かと使えますよと! 糠床の腐敗防止に役立ちますとお書物にあったので,例年購入していた乾燥した「鷹の爪」を買い求めていた代わりに今年は,種から播いて畑に植え付けてみました。
なお,栽培方法は,ピーマンやシシトウと同じで,手間いらずで栽培が可能な野菜です。今回購入した種袋(生産地:ベトナムのキムチとうがらし,甘とう美人の2種)には, ○土を湿らせたポットに2~3粒播いて,新聞紙などで覆います ○発芽まで水はかけません ○発芽したら新聞紙を取り除き,水をやり光に当てます ○畑には1㎡当たり堆肥3㎏,苦土石灰100g,化成肥料100gを施しておきます 〇苗が育ち本葉6~7枚の頃うね幅70㎝,株間50㎝に定植します ○畑にはマルチフイルムを張っておくと地温確保に効果的です ○枝が折れやすいので1m位の支柱を立てて固定します ○果実が大きくなり始めたら化成肥料40gを施してください ○がっしりした苗に育てることが大切です…と記載されていました。
■知っておきたい効用
香辛料として使われるとうがらしには,「鷹の爪」・「伏見辛唐辛子」など我が国だけでも50種を越えるご当地とうがらしががあります。β‐力ロテンをはじめ各種ビタミン,ミネラル,食物繊維ともに豊富な緑黄色野菜ですが,辛味が強いので,多くは食べにくい野菜です。辛味成分のカブサイシンは,強い殺菌作用や抗菌作用があることで知られ,刺激的な香りが胃液の分泌を促すことから,消化促進や食欲増進に役立ちます。また,近年は新陳代謝を活発にする効用から,ダイ工ットに有効な食材として注目されています。
カブサイシンの辛味は,ホルモン分泌を促してエネルギー代謝を促進させます。これによって体温が上がり,体脂肪やグリコーゲンが分解されるだけでなく,発汗作用で肌をきれいにする効果もあるとされます。また,辛味の刺激を受けることで塩分を控えることができるので,高血圧予防にも有効です。(食欲の増進,肥満の防止,血行促進,美肌効果)
◆調理との組み合わせのコツ
とうがらしの粒子が細かいほど,カブサイシンの辛味が強く出ます。油となじみがよいため,妙め物や揚げ物に使用するのが一般的です。焦げやすいので,最初に弱火で辛みと香りを出してから,いったん取り出しておくのがコツ。アリシンを多く含むにんにくやたまねぎと一緒に使うと,抗酸化力が上がり,夏場のスタミナ強化に役立ちます。血液をサラサラにするビタミンC・Eも豊富なので,肉や魚などのたんばく質と合わせても,体力増強につながります。
※世界の唐辛子の栽培,画像集や唐辛子の名前の由来・伝説を紹介された「唐辛子のホームページ」がありましたのでURLを紹介します。ぜひ覗いて奥の深い唐辛子を学んでみてください。
トウガラシ液
自然農薬としてのトウガラシ液を作るには,真っ赤に熟したものより,熟す少し前の緑から赤みがかかってきたくらいの実が効果があり,これを天日で十分干したものを保存しておき,使用する際は,この干した一握りを口の広い瓶に入れて熱湯を約1リットル注ぎ,しっかり蓋をして24時間寝かせてエキスを抽出し,できあがった液をそのまま薄めずに散布します。
なお,害虫(アオムシ・キジラミ・ホコリダニ・アブラムシ)に効かせたい際は150倍,健康野菜作りのための予防散布の際は300~500倍に希釈して使用する方法と,これに石鹸5gを混ぜ,布でろ過し,薄めずそのまま葉面散布すると,ウイルスによるモザイク病やリンモン病によく効きます。
また,トウガラシ液をニンニク液に混合すると殺虫効果が高まります。殺虫,抗菌,忌避作用のある辛み成分(カプサシン)は,水に溶けにくい性質があるので,成分の溶け出しやすいアルコールをいれた唐辛子スプレーのつくり方としては,乾燥させたトウガラシ50gを水から20分程度煮たら取り出して,新しい水を1リットル加え,すり鉢などですり潰し,アルコール度35℃の焼酎100㍉㍑に水2㍑を加えて散布する方法もあります。
注意点:原液等を散布する際は,いきなり畑全面に散布せず,小面積でテスト散布してから使用されたいと先輩農家は念押しをされていました。加えてトウガラシ液の毒性は農薬よりも強いので,取扱いに注意し,出し殻は,有機物ですから土づくりのために,よく腐らせて土に混ぜましょう。
※タキイ種苗発行の『はなとやさい』の2022年(令和4年)5月号にトウガラシの育て方が掲載されていましたので,PDF版に編集し掲載しました。
参考図書:『自然農薬で防ぐ病気と害虫』(農文協),『植物エキスで防ぐ病気と害虫─つくり方と使い方』(農文協),『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『現代農業』(平成25年8月号・平成29年2月号)
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ブロッコリー(カリフラワー)
父が農業に勤しんでいた昭和30年代は“ハナヤサイ”・“ハナカンラン”という名前でしたが,ブロッコリーの苗(本苗5~6枚)とカリフラワーの苗を9月下旬購入or近所の農家から頂き,一列植えた後,中耕・土寄せを行い,アオムシの食害にも遭う中,生育途中の倒伏対策を講じ,生育を見守っていた,『緑の抗がん野菜』とも呼ばれる栄養満点のブロッコリーの花蕾が大きくなり11月末から収穫期を迎えました。
原産地は,地中海東部沿岸で,キャベツと同様にケールの原始型が起源です。日本へは明治初頭に導入され,戦後から本格的に栽培され始めた野菜です。
なお,アブラナ科野菜に発生する根こぶ病に注意が必要で,抵抗性品種もありますが,アブラナ科野菜の連作をしないように,畑の利用計画を立て植付けることが肝心です。(根こぶ病は,pH6以下の酸性土壌で発生しやすいので,pH7程度に調整を)
つぼみがこんもり盛り上がったら収穫適期です。ひとつひとつのつぼみが固く締まっているうちに収穫します。収穫が遅れると黄色い花が咲き,味が落ちます。
最初は,茎の上にできた直径10~15㌢くらいの花蕾を収穫します。これを頂花蕾といい,その後に,下の枝から,わき芽のような小さな花蕾が出てきます。これは側花蕾といい,のちに収穫します。
なお,2回目も大きな花蕾を収穫したい時は,1回目の収穫時に,頂花蕾に葉をたくさんつけて茎を長めに切り取ります。そうすることで株に残った少なく腋芽が少なくなるため,株元から定植した株と同じくらい太い腋芽が2~3本発生し,1回目と同じように大きな花蕾が収穫できます。
寒さにあたると花蕾が紫色っぽくなりますが,これはアントシアンという天然色素のためで,寒さに向かう植物で起こる正常な反応です。ゆでれば線色になり,味は変わりません。なお,我が家の調理主任のXからは,カリフラワーは花蕾を収獲したら終わりだが,ブロッコリーは最初の大きな花蕾を収穫した後からも小さな側花蕾が伸びてきて2月まで収穫を楽しめるからと,1回で収穫が終わりのカリフラワーよりもブロッコリー苗をたくさん植えてとの要望が例年寄せられています。
◎カリフラワーとの違い
ブロッコリーと一緒に紫色や黄色の花蕾のカリフラワーも数種類植えていますが,花蕾が白いカリフラワーは,ブロッコリーが突然変異してできた野菜です。つぼみの部分が軟化して癒着しています。茎の上にできた頂花蕾を収穫すると栽培は終わりで,ブロッコリーのような側花蕾は出てきません。栽培はブロッコリーと同様ですが,花蕾を白く仕上げるために外葉で覆うなどの作業があります。
■知っておきたい効用
なばなと同じアブラナ科の緑黄色野菜で,体内でビタミンAに変わるβ-カロテン,ビタミンB群・C・Eなど,多種類のビタミンを豊富に含みます。造血作用があり,認知症の予防にもつながる葉酸,高血圧の予防に働くカリウム,骨の形成に必要なカルシウム,貧血の予防に効果のある鉄などを含む万能選手です。特に,ビタミンCの含有量は100㌘中120㍉㌘と群を抜いており(いちごの2倍,レモンの2.5倍),風邪などのウイルスに対抗するほか,肌荒れやシミを防ぎ,肌を若く保つうえで有効に作用します。
また,発芽部分に多く含まれる抗がん物質のスルフォラフアン,胃潰瘍の予防に効果があるとされるビタミンU,抗アレルギー作用で注目されるα-リノレン酸,抗酸化作用をもつ辛味成分のアリルイソチオシアネートなど,さまざまな機能性成分の薬理作用が確認されています。(がん予防,老化の抑制,肥満の予防・改善,整腸作用)
◆調理との組み合わせのコツ
β-力ロテンの有効性を生かすには,油と組み合わせた調理を。下ゆでするとビタミンCが損なわれやすくなりますが,含有量が多いので,さほど気にしなくてもよいでしょう。ドレッシングや酢などを使うときは,酸の働きで緑色が褐変するので,すぐに食べるようにします。また,軸の部分(蕾の部分と同様の栄養成分が含まれています)には,甘味があっておいしいので,薄切りにして利用しましょう。食物繊維の供給源にもなります。妙め物,クリーム煮などのほか,おひたしやサラダなどがお薦めです。
なお,塩を加えたお湯でゆでてから調理しますが,ゆで上がりはざるに上げて冷ますのが原則です。蕾の部分は,水を含みやすく,水につけて冷ますと,食べた時の食感が水っぽく感じます。鮮やかな緑色を保つには,うちわであおぐなどして,できるだけ手早く冷ますのがコツです。
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』(平成24年1月号)の「菜園くらぶ」に『ビタミンの宝庫ブロッコリー春取り』が掲載されていましたのでPDF版で紹介いたします。
かわいい姿のカリフラワー=雪のように真っ白でモコモコした姿がかわいらしいカリフラワー。年中流通していますが,本来は11月から3月に旬を迎える冬の野菜です。風邪予防や疲労回復に効果があるビタミンCを豊富に含みますので,寒くなってきた今の時季には積極的に食べたいものです。熱による栄養の損失が少なく,独特の歯応えと癖のない味わいを持つことからサラダ,妙め物,あえ物などさまざまな料理に活躍します。オレンジや紫のものもあり,食卓に美しい彩りを添えることもできます。つぼみがこんもりと固く締まっていて重みがあり,葉の緑色が鮮やかで切り口がみずみずしいものを選びましょう。ゆですぎるとボソボソとした食感になるので注意しましょう。お湯にレモン汁か酢を入れるときれいな白に,小麦粉を少し入れるとふっくらゆで上がるようです。見て美しい,食べておいもいカリフラワーを食卓にどうぞ。(平成29年2月1日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
栄養価高いブロッコリー=緑黄色野菜の中でも栄養価が高いのがブロッコリーです。加熱による減少を見込んでも十分な量のビタミンCを含んでおり,抗酸化作用を持つベータカロテンや貧血予防効果のある葉酸なども豊富です。シチューやグラタン,妙め物などいろいろな料理とよく合います。水洗いして食べやすい大きさにカットし,適量の塩をかけて電子レンジで温めると,水道代やガス代がかからず経済的です。その上,ビタミンCの流出も少なく甘味が強くなっておいしくなります。パセリやホウレンソウと組み合わせると,貧血予防効果をさらに高め冷え性改善にもつながるため今の時季にピッタリです。濃い緑色で中央がこんもり盛り上がり,つぼみが小さく硬く締まって,切り口がみずみずしいものを選びましょう。栄養満点で旬のブロッコリーを使い,食卓に彩りを添えてみてはいかがでしょうか。(平成平成29年11月22日(水)/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
癖のないカリフラワー=カリフラワーは,ブロッコリーの突然変異と考えられ,日本へは明治の初めごろ伝わりました。戦後の食文化の変化で需要が増え,全国に普及しました。主な栄養素は,風邪予防に効果的なビタミンC,血圧上昇を抑え脳梗塞・動脈硬化を予防するカリウム,整腸作用のある食物繊維など。カリフテワ-のビタミンCは,加熱による損矢が少ないため今の時季は特にお薦めです。つぼみが硬く締まって形がこんもりとし,重みがあり葉が鮮やかな緑色で,軸の切り口がみずみずしいのを選びましょう。乾燥しないようビニール袋に入れ冷蔵庫の野菜室で立てて保存してください。ゆでる際は小麦粉を少し入れるとふっくらしますが,ゆですぎは食感が落ちます。癖のない味わいなので,サラダやピクルス,温野菜,妙め物,ポタージュスープなどでお楽しみください。平成30年1月17日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
便利なブロッコリー=サラダや妙め物をはじめ各種料理に使えて便利なブロッコリーです。旬は11月~3月で,今の時季は県内産の取扱量が多くなっています。ビタミンCをレモンやミカンより多く含み,2房(約30㌘)食べると成人の一日に必要な摂取量を満たすほどです。ビタミンCは強い抗酸化があり,しみ,そばかすを防ぐ美肌効果が期待できます。がん予防,疲労回復,免疫力アップ,老化防止にも効き目があるとされています。水や加熱に弱いため,沸騰した湯に入れて短時間でゆでたり,電子レンジで3~4分加熱したりして,栄養素が流出するのを最小限にした方が良いでしょう。つぼみが小さく粒がそろい,きっちりと詰まっているものがお薦めです。色が鮮やかで濃い腰色のものを選びましょう。パスタやピザの具,ソースやポタージュと,いろいろ試してみては。令和2年年1月8日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
疲れたらカリフラワー=モコモコした姿がかわいらしいカリフラワーは,通年出回っていますが,11月から3月にかけて旬を迎えます。主に高血圧予防に効果があるといわれるカリウム,風邪予防や疲労回復が期待できるビタミンCなどの栄養素が豊富に含まれています。ビタミンCは過熱しても壊れにくいので肌寒い今の時季にお薦めです。つぼみにしっかりと締まりがあり,硬く,周りの葉の切り口が変色していないものを選びましょう。乾燥しないようビニール袋に入れるか,ラップに包んで冷蔵庫の野菜室に立てて保存してください。冷凍保存する際は少し硬めに下ゆでし,小分けにしておくと便利です。見た目にも色合いが美しく,さまざまな料理で活躍します。サラダや温野菜,パスタ,ポタージュスープ,シチューなどでお楽しみください。令和2年2月12日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
疲れたらブロッコリー=ブロッコリーは,アブラナ科の植物で花芽を食べる野菜です。地中海沿岸が原産とされ,日本へは明治時代に入ってきました。つぼみが小さく粒がそろい,きっちりと詰まったもので,濃い緑色のものを選びましょう。ビタミンCが非常に豊富です。疲労回復のほか,風邪やがんの予防,老化防止に効果があるとされます。袋に入れるか,ラップにくるみ,冷蔵庫の野菜室に立てて保存しましょう。早めにゆでて冷蔵庫に入れておくと,すぐに使えて便利です。妙め物にする場合は,下ゆでしてから,最後にからめるように加えてください。ゆでたものをミキサーにかけ,ピューレ状にしたものに調味料などを加え,魚料理などのソースにするのがお薦め。タマネギなどとともに煮た後,ミキサーにかけ,ポタージュにしてもおいしく食べられます。令和2年12月16日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
カリフラワーで風邪予防=カリフラワーは,ブロッコリーの花蕾が白く突然変異したものです。ブロッコリーは緑黄色野菜で,カリフラワーは淡色野菜に分類されます。収穫時期を変えながら全国で栽培されるため,通年出回りますが,11月~3月に旬を迎えます。主な栄養素は高血圧予防に効果があるとされるカリウム,整腸作用のある食物繊維などです。カリアラワーに含まれるビタミンCは加熱による損失が少ないため,風邪予防や免疫力アップが期待できます。つぼみが固く締まり,重みがあり,葉の緑色が鮮やかで切り口がみずみずしいものを選びましょう。乾燥しないようビニール袋に入れるか,ラップに包んで冷蔵庫の野菜室に立てて保存してください。冷凍保存は少し硬めに下ゆでし,小分けにしておくと便利です。サラダや温野菜,パスタ,ポタージュスープ,シチューなどでお楽しみください。令和3年1月20日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
カリフラワーはビタミンC豊富=カリフラワーはブロッコリーと同じ花蕾を食べるもので,キャベツや白菜,菜の花などと同じ淡色野菜です。ハナヤサイとも,キャベツをカンランと呼ぶのに対し「花カンラン」とも呼ばれています。戦後,洋食文化が広まった昭和30年代後半から親しまれるようになりました。白いものが一般的ですが,最近は紫色,オレンジ色などカラフルな品種が増えてます。ロマネスコは緑色でサンゴのような形です。ビタミンCはイチゴやミカンより豊富です。甘味成分は茎に多く含まれますが,水に溶けやすいため,電子レンジや蒸し器を利用した調理法がお薦めです。ゆでてマヨネーズで食べるのが一般的ですが,細かく刻んでスープにしてもおいしいです。花蕾が固く締まり,こんもりと盛り上がっていてずっしり重いものを選びましょう。また花蕾は成長するので早めに食べ切りましょう。令和3年11月17日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
冬に甘み増すブロッコリー=ブロッコリーはアブラナ科で,主に花芽を食べる緑黄色野菜です。地中海沿岸が原産とされ,古くはローマ時代から日常的に食べられていたそうです。日本には明治時代にカリフラワーとともに入ってきました。国内産地の収穫期の分散化や輸入などにより,一年を通して流通していますが,寒くなるにつれて甘みが増すので,おいしくなるのは冬の時期です。ベータカロテン,ビタミンCなどを豊富に含みます。抗酸化作用や解毒作用があり,生活習慣病の予防,改善に効果が期待できます。全体的に緑色が濃く,中央がこんもりと盛りあがり,つぼみが固く締まっていて,切り口がみずみずしいものを選ぶのがお勧めです。時間がたつと,つぼみ部分が開こうとして,栄養素が消費されてしまいますので,購入後は早めに食べきるようにしましょう。令和3年12月15日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
つぼみを食べるブロッコリー=ブロッコリーは調理しやすく、癖がなくて食べやすい野菜です。キャベツの仲間で、原産地は地中海沿岸です。30年ほど前に普及し、今ではすっかり定着しました。 たくさんの小さな緑色のつぶつぶは花のつぼみ。それらが集まった「花蕾」と花茎の部分が食べられています。緑色が濃く、つぼみがすき間なく詰まり、丸く盛り上がったものを選びましょう。常温だとつぼみが黄色くなってしまうので、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存を。チルド室ならより日持ちします。ゆで時間が長いと歯ごたえがなくなってしまいます。塩を少し加えて3分くらいゆで、串がすっと通ればOK。冷水にさらすと水っぽくなるので、ザルに入れてそのまま冷ましましょう。ビタミンCや抗酸化作用のあるベータカロテンを豊富に含んでいます。シチューやサラダ、妙め物にして、鮮やかな色合いと食感の良さをお楽しみください。令和3年12月15日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
※タキイメールマガジン『食彩館』令和3年7月12日号に「ブロッコリーの上手な栽培方法・育て方」が記され,ブロッコリーとは,栽培手順,お勧め品種,ブロッコリーを使った料理が紹介されていました。皆さんもこの秋のブロッコリーの種播き・育苗を前に一読をお勧めします。
カリフラワーで風邪予防=独特の歯ごたえがあるカリフラワーは,くせのない味わいで,サラダ,スープ,シチュー,グラタン,妙め物,あえ物などさまざまな料理に使われます。豊富に含まれるビタミンCは加熱による損失が少なく,風邪予防や免疫力向上に効果が期待できます。血圧の上昇を抑えるカリウムや食物繊維も含まれます。シミがなく,つぼみが固く締まってこんもりとしているものを選びましょう。重みがあり,葉の緑色が鮮やかで切り口がみずみずしいのもポイントです。下ゆでの際,小房に切り分けて茎に切り目を入れると均等にゆで上がります。塩以外にレモン汁や酢を入れるときれいな白色に,小麦粉を少し入れると早くゆで上がってふっくらとなるようです。水溶性の甘み成分は茎に多く,電子レンジや蒸し器での加熱もお薦めです。11~3月ごろが旬で,甘みが強くなります。ご賞味いかがでしょうか。令和6年1月17日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
参考図書:『野菜講座・栽培収穫編/葉茎菜』(日本園芸協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『ブロッコリー・カリフラワーの作業便利帳』(農文協),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『やさい畑(2010夏号.2011夏号)』(家の光協会),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『伝承農法を活かす マンガでわかる 家庭菜園の裏ワザ』(家の光協会),『現代農業』(2017年12月号)
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スティクセニョール
中国野菜のカイランとブロッコリーを交配してできた新しい野菜で,「茎ブロッコリ-」の別名もあり,花茎の部分はアスパラガスのような食感で甘くてやわらか。ブロッコリーよりも暑さに強いので真夏も元気,春から初冬まで栽培できます。ただし,害虫が多いので,寒冷紗などを掛けて防ぐと安心です。主枝にできる頂花蕾を早めに収穫し,あとにできる10~15本の側枝を楽しみます。
スティックセニョールは,「夏に食べられるブロッコリー」をめざして作られた比較的新しい野菜です。アブラナ科を中心とする葉菜類の多くは,温帯性で冬の寒さには強いものの,夏の暑さには弱く,また害虫が多発してよいものができないなどの悩みを抱えていました。そこに登場したのがスティックセニョールです。
新しい野菜だけに栄養価についてのデータはそろっていませんが,両親のダロッコリー,カイランともにビタミンAとCを豊富に含むので,子どもも同様と考えてよいでしょう。夏のビタミン補給に適し,美肌効果も期待できます。ブロッコリーやアスパラガスと同様に調理します。塩ゆでしてサラダやいため物,煮物に,和洋中を問わず活躍します。我が小菜園では,ブロッコリーの収穫を終えた後の2月下旬から収穫を楽しんでいます。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会)
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カボチャ「南瓜」
3月上旬,クロマルチの畝に,遅霜対策用にアンドン型の防霜袋で囲む中に定植した,西洋カボチャの「えびす」苗が,敷き藁を超えるまでにつるを伸ばし,花を開花させ実をつけ,6月上旬から収穫できるようになりました。
なお,つるが十分に伸びる前に咲く雌花(花のつけ根に丸いふくらみがある)は,養分不足で大きく育たないので早めに摘み,10節より先に咲く雌花を育て,親つるが伸び出した時に先端を摘心し,脇から伸びてくる子つるを2~3本伸ばし,実が育ち始めてからのつるの摘心や,つるの移動は避けるように心がけました。
また,生育が進むと,孫つるに雌花が開花してきますので,着果した先のつるには,葉が10枚以上展開するようにします。15枚以上葉がある場合は2個残しても構いませんが,葉数が少ない場合は摘果して1個に。収穫の理想は,一株から4~5個です。
かぼちゃの甘さのもとである炭水化物は,葉でつくられ,葉より根元に近い位置にある実に送られるからです。したがって,着果した先の葉数が多いと,その分多くの炭水化物がつくられて甘いカボチャになります。逆に,葉数が少ないと炭水化物の供給量も少なくなるので,水っぽいカボチャになります。なお,株元(薬が5枚以下)に着果させてしまうと,つるの伸びが悪くなるので注意しましょう。
かぼちゃには大きく分けて西洋かぼちゃ,日本かぼちゃ,ペポかぼちゃの3種類があり,現在では圧倒的に西洋カボチャの栽培のほうが盛んです。
西洋カボチャの場合,開花後25日もたつと,一見,もう収穫してもよさそうに思える状態になります。しかし,まだ未熟で果肉が薄く,煮たときに煮くずれてしまいます。収穫適期は開花後40日ほどたったころ。へたの部分に白い筋が入ってコルク状になるので,それが目安になります。
ところで,収穫したカボチャは,すぐに食べるのではベストのおいしさを味わえません。カボチャの甘みはデンプンが糖化したものなので,収穫してから2週間ほど陰干しすると糖化が進み,甘くなって食べごろになります。
※幼き頃食したのは,父が日よけを兼ね縁側に孟宗竹で棚を組み栽培していた「鉄かぶと」と呼ばれる硬い表皮の日本カボチャで,実をつける頃になると,前に拡がっていた田んぼから“かめ”さんが登ってき,これを捕まえ,カボチャ棚の下で遊んだり,カボチャの花を餌にして“どんこ殿”(かえる)を捕まえた想い出が。
■知っておきたい効用
緑黄色野菜の代表的な存在で,「冬至にカボチャを食べると中風にならない(風邪をひかない)」という諺も,β・力ロテンやビタミンCが多く含まれていることに由来し=栄養価の高さは,野菜の中ではトップクラス。果肉の鮮やかなオレンジ色は,主にβ・力ロテンによるものです。
このβ・力ロテンには抗酸化作用があり,また,ビタミンAとして風邪などの感染症の予防やがんの抑制などの働きもあります。食物中のβ・力ロテンは約30%が吸収され,その内の50%がビタミンAに変わるといわれています。
β・力ロテンと並んで「抗酸化トリオ」と呼ばれるビタミンC・Eの相乗作用で,血行の促進や肌荒れの防止にも効果が期待できます。(がん予防,更年期症状の改善,貧血の予防・改善,美肌効果)
※『野菜だより』2011年11月・冬号の綴込付録に「初心者でもうまくいく!ホクホク甘~い!カボチャを育てよう」が掲載されていましたので,平成24年度のカボチャ栽培に向けてPDF版に編集して掲載しました。
※『現代農業』平成24年6月号の「あっちの話・こっちの話」に長崎の林倉一郎さんからの話題提供で,「尿素500倍液でウドンコ病が止まる」が掲載されていました。=雲仙市で,ジャガイモをはじめ,カボチャ,セロリなどを栽培する井上吉夫さんから,ウドンコ病の対策について聞きました。
カボチャは実がつき始めると,比較的古くなった色の濃い葉にウドンコ病がよく発生します。井上さんはウドンコ病を見つけたら,発生箇所を中心に尿素500倍液を散布しています。チッソ分の葉面散布で樹勢が回復するからでしょうか。病斑の拡大や周囲の葉に伝染することがなくなるそうです。尿素は薬剤と違って安いので,ウドンコ病が出たらまずは尿素散布で1週間ほど様子をみます。どうしても感染が止まらないようであれば殺菌剤で叩くそうです。
※『やさい畑』(2013年秋号)の「旬をいただく 畑薬膳」(食養研究家/武鈴子先生監修)の捨てるところなし すべて=種・花・へた・果実・わた・葉・茎・根=食べられる,秋におすすめの薬効を存分に取り入れて,味よし体にもよし秋のカボチャ,これから増える風邪対策にも最適としてカボチャが掲載されていました。
夏野菜のカボチャをどうして冬至に食べるの? 「八百屋さんもうなる野菜の小咄」(『やさい畑』2013年冬号)
カボチャは,「夏野菜」のひとつとして親しまれていますが,巷間では,「冬に食べる野菜」と認識している人もたくさんいます。その旗振り役を担ってきたのは「冬至カボチャ」です。昔から冬至には,風邪を予防しようということでゆず湯に入ったり,カボチャを食べる風習がありました。そのため「カボチャ=冬」というイメージが強く根づいたようです。
ではなぜ,冬至に食べる野菜としてカボチャが選ばれたのかというと,その秘密は「保存期間」にあります。冬至カボチャの風習が広まったのは江戸時代とも明治以降ともいわれますが,いずれにせよ冬場に出回る野菜は限られており,長期保存が可能なカボチャは,冬場の貴重な栄養源として重宝され,冬至に食べる象徴的な野菜とされてきたわけです。
当時,どれほど栄養の知識が普及していたかはともかく,カボチャは,肌や粘膜の抵抗力や免疫力を高める三大抗酸化ビタミンである「β-カロテン」「ビタミンC」「ビタミンE」が豊富な野菜。まさに風邪予防にはうってつけだったのです。
ちなみに,江戸時代に食べられていたカボチャは,現在「日本カボチャ」と呼ばれているものであり,私たちがよく目にしている「西洋カボチャ」は明治以降に広まりました。
また最近,冬至の頃に出回っているカボチャは,国内で時季をずらして栽培されたものや,輸入ものが多いようです。真夏に収穫したものを冬至までもたせるのは,難しいことも多いようですが,栽培品種を選んで,日本カボチャの秋収穫にチャレンジして,自作の冬至カボチャで冬場の健康増進を図ってはいかがでしょうか。
※平成26年2月17日にタキイメールマガジン『植彩館』で配信されました“見て楽しい!食べておいしい!カボチャの宙づり栽培に挑戦!” では,カボチャはつるが旺盛に伸びるため,栽培には広い面積が必要ですが,ミニカボチャなら立体的に仕立てることが可能です。アーチ状に支柱を立て,両側からつるを這わせる仕立て方を紹介。家庭菜園でも気軽にトライできるので,ぜひ挑戦してみましょうと=土づくり,植え付け,支柱立て,摘芯・整枝・誘引,人工授粉,追肥,つり玉,収穫までの8ステップを藤田智先生が紹介されていました。
美容や健康にカボチャ=鹿児島県が全国2位の生産量を誇るカボチャは,今が最も多く出回る時季となっています。皮膚や粘膜を丈夫にするベータカロテンをはじめ,コラーゲンの生成に欠かせないビタミンC,血行をよくし,強い抗酸化作用をもつビタミンEや便秘予防に効果がある食物繊維が豊富。美容や健康に効果が期待できる野菜といえます。皮が硬く濃い緑色で,重いものがおすすめです。カットしているものは果肉が濃い黄色で厚く,わたと種が詰まり,みずみずしいものを選ぶとよいでしょう。調理前にあらかじめ電子レンジで火を通しておくと,加熱する時間が短く済みます。また,皮が軟らかぜなりとても切りやすくなります。丸ごと保樹する場合,風通しの良いところで1,2カ月は日持ちしますが,カットしているものは,わたと種を取りラップして冷蔵庫で保存し,1週間ほどで使い切りましょう。(平成28年5月25日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
カボチャの美容効果期待=鹿児島県はカボチャの生産量が全国2位です。ニュージーランドなどからの輸入が多く年中店頭に並びますが,県内産の春ものはこれからが最も多く出回る時季です。皮膚や粘膜を丈夫にするベータカロテンをはじめ,コラーゲンの生成に欠かせないビタミンCや,血行を良くし強い抗酸化作用があるビタミンE,便秘予防に効果がある食物繊維が豊富です。美容や健康に効果が期待できる野菜でしょう。皮が硬く濃い緑色で重いのがお薦めです。カットしている場合は,果肉が濃い黄色で厚く,わたと種が詰まっていてみずみずしいものを選ぶとよいでしょう。調理前に電子レンジで加熱しておくと,皮が軟らかくなり切りやすくなります。煮物や天ぷらからケーキやパイなどのお菓子まで,さまざまな料理に利用できます。鮮やかな黄色の彩りを食卓に加えてはいかがでしょう。(平成29年5月24日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
免疫力高めるカボチャ=鹿児島県のカボチャの生産量は,北海道に次ぐ全国2位で約1万㌧です。国外品ではニュージーランドからの輸入が多く,年中店頭に並んでいますが,県内産の春ものはこれからが最も多く出回る時季です。免疫力を高め,がん予防に効果があるとされるベータカロテンを多く含みます。また,血液の流れを良くし,冷え症改善の効果が期待できるビタミン,血圧を抑える効果のあるカリウムも豊富で,生活習慣病対策に良いとされます。皮が硬く,形が左右対称のものがお薦めです。カットしてある場合は,果肉の色が濃く肉厚で,わたと種が詰まっていて種がふっくらしているものを選ぶと良いでしょう。煮物や揚げ物,スイーツなど料理法も幅広く,鮮やかな黄色が食欲を増進させます。彩り鮮やかで,栄養たっぷりのカボチャをぜひご賞味ください。(平成30年5月30日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
便秘予防にカボチャ=カボチャは,鹿児島県が全国2位の生産量を誇り,これから県産の春ものが最もたくさん出回る時季を迎えます。免疫力を高め,がん予防に効果があるといわれるベータカロテンが多く含まれています。カリウムやビタミン,食物繊維も豊富なため,血圧を抑える効果や便秘の予防・改善にも効果的です。皮が硬く表面に艶があり,ずっしりと重みがあるものを選び,丸ごとなら,風通しの良いところで1~2カ月ほど保存できます。カットされている場合は,果肉の色が濃く肉厚で,種がふっくらしているのを選びましょう。保存する際は,わたと種を取り除き,ラップなどでピッタリと包み冷蔵庫で保管し,1週間程度で使い切るのがお勧めです。栄養バランスに優れているカボチャを使った料理を,毎日の食卓に並べてみてはいかがでしょうか。(令和元年5月29日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
カボチャは元気の源=鹿児島県はカボチャの生産量が全国2位です。一年中,ニュージーランド産などの輸入品が店頭に並びますが,これからは県産の春物が多く出回ります。ベータカロテンやビタミンC,ビタミンEなどが豊富です。炭水化物も多く,エネルギー源になります。高血圧症の進行を抑えるカリウムや血糖値の上昇を抑える食物繊維などもバランスよく含みます。皮が硬く,へたがしっかり乾燥し,へたの周りが少しへこんでいるものは完熟しています。カットものは,果肉の色が濃く肉厚で,種とわたが詰まっていて,種がふっくらしているものがよいでしょう。丸ごとであれば風通しの良い涼しいところで長期保存できます。カットものは,種とわたを取り除いてラップし,冷蔵庫の野菜室で保存します。使いやすい大きさに切って,ゆでてから冷凍すれば便利です。(令和2年5月27日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
カボチャの春物出回る=鹿児島県は全国2位のカボチャ生産量を誇ります。外国産など一年を通して流通していますが、県産のホクホクとした味わいは、どこにも負けない一級品です。春と秋に楽しむことができ、これからは春物が最も多く出回る時季を迎えます。免疫力を高め、がん予防に効果があると言われるベータカロテンが多く含まれます。カリウムやビタミン、食物繊維も豊富で、血圧を抑える効果や便秘の予防・改善も期待できます。皮が硬く表面につやがあり、ずっしりと重みがあるものを選びましょう。丸ごとなら風通しのいいところで1~2カ月ほど保存できます。カットされている場合は果肉の色が濃く、肉厚で、種がふっくらしているものがいいでしょう。煮物やスープ、素揚げにしてカレーのトッピングにもお薦めです。色鮮やかなオレンジ色を生かし、食卓に彩りを加えてみてはいかがでしょう。(令和5年5月24日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『野菜講座』(日本園芸協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『伝承農法を活かすマンガでわかる家庭菜園の裏ワザ』(家の光協会),『新野菜つくりの実際/果菜Ⅱ』(農文協),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『野菜で体がよみがえる 知られざる野菜と果実の底力』(草思社),『野菜だより/20113月春号』(学研),『品質・収量を大きく変える育苗からわかる野菜づくり』(誠文堂新光社),『やさい畑』(2022年初夏号)
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ズッキーニ
平成29年の今夏も,ズッキーニ(別名「つるなしカボチャ」)の味を,さらに学習して楽しく味わいたいとの願望から,昨年に続き種(トーホク交配 グリーン=よくなる君 イエロウ=黄坊)を3月中旬にポットに播き,トンネル内で育苗し(出芽率100%)4月中旬に銀色マルチ畝2列に緑色・黄色各9本を防風・防虫用の行灯で囲み定植し,生育後に行灯から解放した後は,伸びた葉茎が折れないよう3本の支柱で茎を挟み補強する中,5月上旬から2日おきに実の下の葉を刈り取りながら収穫を楽しんでいます。
近所の農家から,植えてはみたが料理方法がわからないのでインターネットで調理方法を調べてと相談を受けたのが縁で知ったズッキーニ。葉はカボチャの葉に似ており,見た目はキュウリからトゲトゲを取った果実でウリの仲間かと思いましたが,ペポカボチャというカボチャの一種で,原産地は北米南部で南ヨーロッパを中心に古くから栽培されていたそうで,昭和40年代後半から,わが国でも生産栽培が急速に広がり.身近な野菜になりつつある野菜とのこと。
根元に実を着けつるが伸びないので,カボチャのように広い面積は不要ですが,葉が広がり大株に育つので,1株当たり1㎡四方の畑に,苗定植時の4月上旬は,まだ遅霜の心配もありビニールキャップの行燈で苗は被いました。5月になると見る見るうちに葉は生長し,支柱を建てひもで茎が倒れないようにしました。開花から5日以内が収穫の適期でキュウリよりも一回り大きい程度を目安に。果種にはグリーンとイエロウがあり,我が畑では,果種の大きさを比べてみますと,グリーンの果種の方が,イエロウの果種よりも大きくなる傾向でしたが,平成29年の栽培では果実の色の違いによる肥大の差はないことが確認されました。
1株当たりの収穫量は,5本~8本が目安だそうですが,我が家では,5月中旬になってから15㌢以上になったものをハサミを使って収穫し,輪切りにしたものをドレッシングで和えたり,塩・ゆず胡椒で炒めたものが食卓に。ヘルシーで一味違う食感で食が進みますよ!。βカロチン・ビタミンC・カリウム・カルシウムなどを含み,カロリーは低く,栄養豊富な新顔の健康食野菜だそうです。
なお,開花前の蕾(つぼみ)を実ごと収穫する花ズッキーニは高級食材となっているそうです。図書館から借りた『病気にならない 食べもの便利帳』(大和書房)のお勧め調理法には,ズッキーニは油と相性がよく,油で炒めて香りを出してから煮込むと風味がよくなり,脂溶性のβカロチンの吸収率も上がります。味にくせがなく柔らかいので,揚げ物・煮物・炒め物・グラタンやスープなどにも向きます。現在は細長いズッキーニが主流ですが,丸ズッキーニもあってオーブン料理に便利です。蒸し焼きにすると甘味が出て違った食感が楽しめ,ゴマ和えなどの和風の料理にも合います。皮は気になるならむいて使うとよいでしょうとの紹介とともに,上手な保存法としては,ラップや新聞紙などで包み,涼しくて風通しの良い所か,冷蔵庫の野菜室で保存をと。
確実に実がつくようにするには,雄花を摘み取り雄花の花弁を取り除き(写真左),雄しべの花粉を雌花の雌しべ(写真右)に着けてあげましょう。
なお,人工授粉は,花粉の受精力の盛んな午前9時までの間に(生育初期は雄花が多いですが,生育中期からは雄花が少なくなります。)。また,開花から4~5日目でキュウリよりひとまわり大きいくらいが収穫の適期で,収穫が遅れると味が落ちるだけでなく,株にも負担がかかり実つきが悪くなったり,病気にかかりやすくなるので注意を要します。
株疲れを防ぐための追肥のポイントは,収穫が始まったら,3週間に1回を目途に畝の両脇を少々掘って化成肥料を施しましょう。また,大きく広がった葉に白い粉を吹いたような斑が観られ,うどんこ病の発生?と見間違うことがありますが,手で葉を触って粉が付着しなければ,葉の模様ですのでご安心を。
①種子の胚軸のペタが自然に外れるように種を垂直にして播く。
②種子播きの方向を揃えて,左右に開いた双葉が生長したあと,葉が広がるのを妨げないように。(双葉は,種の向きに対し垂直に開きます)
③茎は,日光を求め南向きに伸びるので,東西畝の場合は,種播き位置は畝の北寄りに。
■知っておきたい効用
形はきゅうりに似ていますが,かぼちゃの仲間で,名前はイタリア語で「小さなかぼちゃ」を意味します。栄養素ではカリウムが多く,かぼちゃよりはずっと少なめながら,β‐力ロテンやビタミンCなどのビタミン類も含んでいます。
カリウムは,過剰なナトリウムの一部を体外に排出させてバランスを調整する働きがあるため,高血圧症の予防に効果的。さらに,カリウムと同様に多く含まれるビタミンKは血液を凝固させる成分として働くので,けがなどの際に止血する大切な働きがあります。また,吸収されたカルシウムを骨に取り込むのを助けるので,骨粗しょう症を予防するのに役立ちます。
イタリアでは開花前に収穫する花付きのズッキーニもポピュラーで,チーズを詰めて衣揚げにする料理が,初夏の料理としてよく登場します。(高血圧の予防・改善,老化の抑制,疲労回復,皮膚・粘膜の保護)
※『やさい畑』2013年初夏号に,茨城県石岡市であべ農園を営む阿部豊さんの「有機の匠直伝! まるわかり菜園レッスン」の中に,「踏みたおすことで茎折れを防いで長く収穫 ズッキーニ」の記事が掲載されており,平成25年5月13日の夕刻,掲載されていた写真の阿部さんの足元同様に地下足袋に履き替え畑でさっそく実践してみました。
しかし,足で踏み倒す力加減の要領が悪く1本は茎から折れてしまいましたが,同書には,「株が大きく育つと長く伸びた茎が折れることがある。これを防ぐため,株を足で踏んで寝かせる。第一果を取り始める頃,葉が地面に触れるくらいまで,しっかりと寝かせる。」
匠の勘どころ=けっこう力を入れて踏みます。但し急に力をかけると折れますので,株の根元近くをゆっくり,グーッと踏んでください──とありました。
また,平成25年のズッキーニ苗の育苗に際しては,種を播いたポットの色をカボチャと同色のポットに播いて育苗したため,途中でズッキーニ・カボチャ苗を取り違え,ズッキーニと勘違いして植え付けた苗が生長したらカボチャで,蔓が隣の野菜の畝まで侵入し,ニンジンの間からカボチャの実を収穫したり,逆にカボチャ苗と思いお隣さんに提供した苗がズッキーニだったりとのミスを起してしまい,2期作目のズッキーニの育苗に際しては,目立つ赤色のカラーポットで育苗しました。
タネをペンチで割れば,ズッキーニの発一芽がビシッと揃う
神奈川県厚木市の鈴木誠三さんは,露地とハウスで野菜をつくる直売農家。そんな鈴木さんの頭を悩ませていたのはズッキーニの発芽揃いでした。50穴セルトレイで育苗するのですが,種皮が硬いせいかダラダラと芽が出るため,苗のうちから生育がバラバラ。温度や肥料の一斉管理がうまくいきませんでした。
3年ほど前,発芽不良のズッキーニのタネの尖っているほう(根が出るところ)をペンチで挟んでみたところ,パカッと割れて隙間ができました。これを埋め戻したところ,翌日には芽が出てきたのです。これはと思い,次作の播種前,すべてのタネで同じ処理をしたところ,発芽がビシッと揃いました。カボチャも同じやり方で揃いがよくなるそうです。
(『現代農業』平成29年6月号「こっちの話」から)
平成29年の“ズッキーニ”の定植から収穫までの様子 (写真説明 左から=3/12種播きから60日目,4/11苗定植から30日目の5/11から収穫を開始し,6/30まで50日間収穫を楽しみました)
①3月中旬4号ポットに種を播き自家育苗(発芽率100%=30日間トンネル内で育苗) ②苗は株間を広く取り4月中旬銀色マルチ畝2列に定植 ③ウリハムシ防虫対策のためビニールキャップの行灯で定植した苗を覆い ④収穫前半は,伸びた茎が倒れ折れないよう1株ごとに3本支柱で囲み支える
⑤5月中旬から2日おきに実を収穫,併せて収穫した実から下の葉はすべて茎ごと除去し,風通し日当たりを確保して伸びてきた株は横に寝せて茎を伸ばしていく ⑥実は開花から10日以内の20~25㌢を収穫するのが多収の秘訣!(手では実が折れて摘み取れないので鎌の刃を使い採果)
※群馬県東吾妻町の小宮さんの実践事例として「風に・病気に強い ズッキーニの立体栽培」という記事が『現代農業』(平成29年5月号)に掲載されていました。3㌻にわたる記事で1㌻には「良品多収/誘引・仕立てでガラリッ」という見出しで,せん定や収穫作業がやりやすくなり+病害虫が出にくく+収量や秀品率が上がる。その方法は図入りで紹介されていましたが,ズッキーニの主枝を固定しないで主枝から伸びた葉柄の20~30㌢離れたカ所に支柱を建て,紐を葉柄(葉の付け根)に2回ゆったり巻き付けて,支柱に縛る前に1回ひねる(葉柄をきつく縛ると傷んでしまうため)という方法で,ポイントは支柱に主枝を固定しないことで,固定してしまうと風が吹いた時に茎の先端にある生長点が激しく揺さぶられて折れてしまうためで,葉柄を固定すれば強風が吹いても株全体が揺れ生長点が折れにくくなるためです。
なお,株の生長に準じ葉柄を支柱に縛っていくにはかなりの手間がかかり,遅れると修正が大変な作業になるため2週間に3回の頻度で縛る必要があるそうです。
また,メリットとしては,多収が一番のメリットで,立体となっていることから果実に光が良く当たり色むらが少なく,色乗りも良くなるそうで,生育に従い下葉を落とすことで風通しが良くなり軟腐病が出にくい。立体となっているため実の収穫作業が短縮でき,実の見落としが防げ果実の可肥大を防ぎ樹が疲れにくくなり収穫期間が延びるという効果もあるそうですので,今年度は3本支柱立て栽培での生育管理でしたが,次年度は主枝を支柱で囲む方法に加え,葉柄を支柱に紐で縛る方法でのズッキーニ栽培にも挑戦してみたいと考えています。
ズッキーニの立体栽培
平成31年4月号の『現代農業』の「あっちの話」に山口県田布施町の直売農家の方が,単価の高いズッキーニに注目していたところ,『現代農業』の平成29年5月号の「ズッキーニの立体栽培」の記事が目が留まり,普通は地這いで栽培することの多いズッキーニですが,支柱を立てて上に誘引する立体栽培なら受粉や収穫もラクで,密植して収量を上げることができるのではと考え,4月の上旬に定植し,根が張った頃に株のすぐそばに支柱を立てて主枝をヒモで固定。記事では主枝ではなく葉柄を支柱に結びつけてなっていましたが,直販農家の方は株が小さい最初のうちだけは,風のことを考えて主枝を結わえてみたのです。生育が進んで葉柄が長く伸びてきたら,株元から30㌢ほど離れた場所に支柱を立て直し,記事と同様,葉柄を支柱に固定するようにしました。
誘引は手間ですが,この方法なら風にも負けず安定して育ちます。その時々の作業は30分で終わるし,立体栽培だと果実に傷がつきにくく,出荷できる量が1.5倍になったそうです。(『現代農業』平成31年5月号「あっちの話」から)
※平成30年のズッキーニは,1期作(4月11日定植)は畝幅90㌢・株間は75㌢,2期作(5月29日定植)は畝幅75㌢・株間は80㌢で栽培し,1期作目の実を収穫(5月11日~6月16日まで1カ月余)しましたが,『現代農業』(平成30年4月号)の「密植なのに,風・病気に強い立体栽培」の中に,群馬県東吾妻町の小宮さんは,10年以上のズッキーニの栽培経験の中から,現在株間80㌢に落ち着き,収量アップにと。主枝を紐で固定するのではなく主枝から20~30㌢離れたカ所に立てた支柱に葉柄を固定し,株の生長に合わせ縛るカ所を上へ上へと移動し,下葉をかいておられる写真が掲載されていました。2期作目で株間は,小宮さんの経験株間に合致しましたが,畝幅は収穫作業時の通路確保を考慮し,来年は1㍍超える空間を確保したいと反省しています。
なお,2期作目のズッキーニの実は,6月22日から収穫を開始しましたが,梅雨の長雨時期の収穫となり,日照不足で開花が思いのほか進まず,実も太く生育せず7月5日には13日間という短期間で収穫を終えるという不本意な結果に。
※平成最後のズッキーニ栽培メモ=3月4日/3号ポットに種を播き温床トンネル内で生育管理 3月30日/30本の苗を元肥をたっぷり施し車庫横に14本,小菜園へ16本定植し,行灯囲みで防霜防虫対策を 4月24日/行灯囲みから開放 元号が平成から令和に替わった5月6日/定植してから37日目で収穫を開始 6月24日/隔日おきに収穫を楽しんできたが49日間の収穫を終える。Xからは,来年は時期をずらし種を播き,7月まで収穫できたらとの要望を受けるが,前年の例もあり梅雨時,露地栽培では難しい旨応える。
※令和5年4月2日に自家育苗した4列の西洋カボチャ「ズッキーニ」を、朝刊拾い読み作業を前に小菜園に出かけ、休憩所一服しながら今日の小菜園作業の段取りを考え眺める中、防風・防虫のため苗ガードで囲み生育管理中の我が家のズッキーニ。葉が生育し窮屈そうになっており、何時苗ガードを外し開放し、支柱を建て込むか悩む中、農家が教える栽培方法を紹介している「マイナビ農業」の中に、「農家が教えるズッキーニの育て方 初心者も簡単!支柱立てと栽培方法のコツ」が紹介されていました。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『やさい畑』(2012年・2013年・2017年初夏号,2022年初夏号),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『新野菜つくりの実際/果菜Ⅱ』(農文協),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜だより2012年7月号付録/夏野菜の健康診断ブック』(Gakken),『現代農業』(平成29年5月号・平成31年4月号),『品質・収量を大きく変える育苗からわかる野菜づくり』(誠文堂新光社),『農家が教える野菜づくりのコツと裏ワザ』(農文協)
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イチゴ
梅雨入りを前に農作業に精出す中,休憩中には,畑の片隅に植えた赤く熟したイチゴをちぎり,洗いもせずそのまま口にほおばり,また山にちょっと立ち入ると,草葉の陰から野イチゴの赤い実が。(野イチゴの方が,小粒ながら栽培したイチゴよりも甘味が高くジュウシィー)野生のイチゴは,石器時代から食され,現在のような栽培品種に改良がなされたのは18世紀になってから。我が国には,江戸時代にオランダから伝わり,明治時代には,英国・米国からも導入。本格的栽培は,昭和20年代以降です。
小粒ながら味の良い北米原産のバージニアイチゴと,色艶は良くないけれども大粒なチリ原産のチリイチゴが交雑し,原形種のような大粒で甘い品種が完成したと言われています。
クリスマスケーキと切り離せないことから冬の野菜かなと思われがちですが,冬越し野菜で,秋の低温で花芽を作り,春の高温・長日で開花・結実し,5月~6月に収穫期を迎えます。
バラ科のイチゴは,フルーツと思われがちですが,本来多年生の果菜類で野菜に分類されます。デザートとして利用されていることから,店頭では,果物として並べられています。
ランナー(親株から伸びたつる)で株が増え,ランナーの反対側に花が咲き実がなる性質があるので,方向を揃えて植え,うるさい程に茂ったランナーは適時取り除き,収穫を楽しみましょう。冬越しする果菜類ですので,元肥に溶リンを施すと色づきと育ちが良くなります。
なお,収穫を終えたら,来年収穫用に,ランナーから伸びた子株をポットに移植し,水やりに留意し育苗し,連作も可能ですが,できれば2年間ほど空けた別の畑に,秋になったら酸性土壌には不向きですので,事前に苦土石灰を散布し調整しておき堆肥と化成肥料,溶リンを施肥した高さ10㌢畝に,株・列間30㌢で植付けを行い,追肥管理とランナー管理に努めれば,赤く熟したイチゴの収穫が毎年楽しめます。(花が咲く前に,泥の跳ね返りで病気にならないよう黒マルチで覆い,更に敷きワラで覆っておけば実も汚れませんよね)
■知っておきたい効用
ビタミンCがタップリで愛らしい姿と甘ずっぽさが魅力で春を告げるフルーツとして人気がありますが、栄養価の面でも注目したい効果が色々。最もよく知られているのがビタミンCの豊富さで、その量はみかんに比べて約2倍。しかも、食物繊維も豊富。カロリーは低めなので、ダイエット向きの食材としても人気で、美肌効果もあります。
ビタミンB群の一種である葉酸も多く含まれています。葉酸は血液循環系のリスク低減に役立つほか、最近では、認知症予防の働きもあるとされています。中サイズのいちごを10個も食べれば、1日の推奨量を軽くクリアしてしまう計算に。
栄養素以外では、フラボノイドやアントシア二ン、フェノール酸などの有効成分を含み、その優れた抗酸化作用が、さまざまな慢性疾患の予防に効果的であるとされています。(風邪や感染症の予防,貧血の予防・改善,コレストロールの上昇抑制,動脈硬化の予防)
※『やさい畑』2011年初夏号の「旬をいただく 畑薬膳 イチゴ」に食養研究家・武鈴子氏監修で,イチゴはビタミンCが豊富なことは知られているが,熱を冷ましたり,胃腸の働きを整えたりと,他にも優れた薬効を秘めた野菜ですよ,との記事が掲載されていました。
※『家の光』2012年9月号の「家庭菜園」に,甘み・酸味・香りが三拍子そろったイチゴが掲載されていました。
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』(平成25年9月号)の「菜園くらぶ」に『イチゴ 収穫まで約7カ月!』が掲載されていました。
風邪予防にイチゴ=江戸時代の終わりごろには日本に伝わりました。本格的な栽培は,フランスの品種が導入された1899(明治32)年ごろから始まりました。ビタミンCが豊富で,風邪予防や美肌効果が期待できます。血をつくるビタミンと言われている葉酸も多く,貧血予防にも効果的です。血糖値の上昇やコレステロールの吸収を抑制する食物繊維のペクチン,ポリフェノールの一種でがん予防に効果があるアントシアンも含まれています。全体が均一に色付いて表面に艶があり,へたが青くて元気なのがお薦めです。保存の際はラップに包んで冷蔵庫の野菜室へ。水洗いすると果皮が弱るため,食べる直前に,栄養分が逃げないようへた付きのまま洗い,早めに食べましょう。先端側が糖度が高いので,へた側から食べると最後まで甘みが感じられます。(平成30年12月19日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
イチゴ食べて風邪予防=イチゴは世界各国で食べられていますが,生食での消費量は日本が世界一と言われます。多くの人に果実だと思われている部分は,花床という花の一部が発達したもの。表面にあるゴマのような粒々が果実です。風邪予防や疲労回復,肌荒れなどに効果のあるビタミンCに加え,眼精疲労回復やがん予防に効果のあるアントシアニンを多く含みます。表面がつやつやし,産毛のようなものが残っていて,へタの近くまでむらなく色が付いたものを選びましょう。へタが鮮やかな緑色で,ピンと先が立ったものもお薦めです。生で食べる場合は,時間がたつとともに甘みと香りが落ちるので,なるべく早く食べましょう。冷蔵庫に保存する場合はパックごとポリ袋などに入れると良いです。ジャムなどに加工する場合は冷凍で保存できます。(令和3年12月22日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
幅広く愛されるイチゴ=イチゴは冬から春にかけて旬を迎え、幅広い世代に愛されています。ビタミンCが豊富で、眼精疲労や視力の回復、がん予防に効果があるといわれるポリフェノールの一種、アントシアニンも含みます。表面にツヤがあり、へタがピンとしているものを選びましょう。つぶつぶがくっきりしているかも要チェック。パック売りなら底に傷んだものがないか、色づきの悪いものがないかも見ておきましょう。熟したイチゴは特有の甘い芳香があります。しっかりと香りを感じるものが良いでしょう。糖は先端に多く、へタをカットして中央から食べ始めると最後に甘く感じられます。パックごとポリ袋などに入れて冷蔵庫で保存を。時間がたつとともに甘みと香りが落ちるので早めに食べましょう。近年、需要期の12月に出荷できる品種が鹿児島県内でも登場しています。いろいろなイチゴを味わってみてはいかが。(令和5年12月27日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『NHK趣味の園芸ビギナーズ&野菜の時間』 (2009年11月号),『やさい畑』(2011年初夏号),『やさしい家庭園芸』(家の光協会),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜だより』(2015年冬号)
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スイカ
夏の風物詩的果物で畑の王様として誰もが1位にあげるスイカ。我が畑では,7月下旬の収穫直前になると,毎年カラスやムジナの食害被害を受け,彼らとの知恵比べの中で,家庭菜園でも育てやすい「小玉スイカ」の接ぎ木苗を例年購入し,栽培・収穫(悔しいかな食害被害の残り物)を楽しんでいます。
果物としてのスイカは,11~12世紀に中国へは西から伝わってきたことから「西瓜」と呼ばれ,それが日本に伝わってスイカとなったといわれていますが,「水瓜」と書いたり,「ウォーターメロン」とも呼ばれています。
高温で日当たりがよく,乾燥した気候を好み,生育適温は28~30℃です。苗の定植前に畑には堆肥などの有機物をたっぷりと入れますが,元肥をたくさん施しすぎると蔓ぼけや蔓割れの原因になるので,元肥は控えめにして,生育を見ながら追肥で補うようにしましょう。
スイカは連作すると蔓割病が発生しますので,輪作として4~5年畑をあけることが肝要で,接ぎ木苗のスイカは皮が厚くなりますが,その分,低温に強く,着果や果実の品質が安定しています。スイカは,あまり粘土質でなく砂質の排水性と通気性のよい土壌を好みます。また,土壌酸度はpH5.0~5.5と,ジャガイモと同程度の酸性を好み,高温を好むので,苗はGW後に植えつけると安心です。マルチは植えつけの1週間ほど前に覆っておいて,地温を十分に高めておき,苗は浅めに植えます。根鉢の上面が周りの地面よりもやや高くなるくらいにし,株間は1m以上とり植えつけ後はホットキャップやあんどん等で覆って保護すると,初期生長が促されます。なお,苗植付け直後の病害虫防除には,木酢液で葉の表裏を洗い流すように散布し,病気予防に努めましょう。
親蔓と子蔓の中から生育のよい2本の,合計3本の蔓を7~8節で先端の芽を摘み取り,3本仕立てが基本です。狭い菜園では,親蔓と子蔓1本の計2本だけでも可能で,蔓が絡み合わないように注意してあげましょう。最初の雌花は,まだ株が生長途中に咲くので,そこに着果すると,実の生育が不十分になりやすいので,2~3番花に着果させるように,花の下がふくらんでいる雌花の柱頭に,花の下にふくらみのない雄花の花弁を折り曲げ雄しべを出して雌しべに着ける人工授粉(晴れた日の午前9時ごろまでに行う)する「花つけ」作業を。そのためは,花が咲き出したら毎朝早起きして,受粉のタイミングを逃さないのがコツとなりますが,人工受粉を失念しても虫が朝寝坊したあなたに代わって受粉作業をしてくれますのでご安心ください。
着果してから2週間くらいまでに,形が整っていて,傷のない実を選んで,欲張ることなく各蔓に1果~2果つくように摘果をします。栽培時期が高温多湿なので,病害虫の発生には注意が必要で,炭痕病やべと病,疫病,うどんこ病などを防ぐには,枝葉が茂りすぎないようにして風通しをよくし,雨などで泥が跳ねないように敷きわらなどをすることが大切です。
収穫は,花が咲いてから35~40日が目安となります。品種によって収穫期間は異なるので,あらかじめ苗のラベルで,収穫適期を確認しておきましょう。加えて地面に接した側の実は色づきが悪いので,実の大きさが15㎝位になったら蔓ごと持ち上げ置き直す「玉直し」作業をお忘れなく。加えて同時に実が敷き藁上でも地面に接すると変色や虫の害を受けやすくなりますので,実の下に“座布団”(食品用のトレーに水抜き穴を施して代用可)を敷いいて実の変色を防ぐように努めましょう。父から伝授されたスイカ作りのコツは,甘味の増したスイカ作りには油かすの施肥でした。
店頭では輪切りにした冷やしたスイカが販売されていますが,我が家では冷蔵庫で冷やしたスイカを食べるのではなく,夏の暑さで熱を持ったスイカを畑から井戸端に持ち込み井戸水の流水で冷やして食べる(昭和30年代までは,井戸の中にスイカを入れたバケツを吊るして冷やしていました),冷やし過ぎない昔からの食べ方が,お腹を冷やさない最高のスイカの食べ方です。
●畑での収穫時の見分け方
収穫適期を見分け方としては,お書物には人工授粉した日を貼り付けて受粉後の日数を目安にすれば間違いありませんと書いてありますが,それを怠っていた場合は,実と蔓をつなぐ果柄の枯れぐあいで判断する方法がおすすめです=果柄が枯れ始めて茶色い線が入った頃が適期で果柄が完全に枯れてからは遅すぎます。収穫適期は,スイカを叩いて音で判断することもできます。熟すにつれて=音が低くなってきます。いくつか実をたたいて比較しながら,低い音のする実からとるとよいでしょう。実がついている節から伸びる巻きひげの状態で判断することもできます。実が熟してくると,線色だった巻きひげが枯れてきます。
■知っておきたい効用
果肉の90%が水分で占められ,残りの10%に栄養素の力ロテンやビタミンC,ミネラルとしてはカリウムが多く含まれます。果肉が赤いスイカには,カロテノイドの一種であるリコピンが,黄色の果肉にはβ‐力ロテンが多く含まれます。それぞれ抗酸化作用があることから,がん細胞の成長を抑制したり,動脈硬化の予防や老化を抑制する作用があります。
カリウムはナトリウムの排出を促す作用があるため利尿作用を高め,むくみの改善にも有効に働きます。白皮や果肉に含まれるシトルリンは,血管を若返らせる効果に加え,疲労回復,新陳代謝の促進効果も期待されています。
また,口先を尖らし種の飛ばしっこを誰でも楽しんだ想い出のあるすいかの種にはビタミンEやリノール酸なくの抗酸化物質が含まれることから,中国では昔からお茶菓子として親しまれています。(むくみの解消,利尿作用,高血圧の予防・改善,疲労回復)
◆調理との組み合わせのコツ
カリウムだけでなく,果肉と外皮の間の白皮部分にシトルリンが多く含まれ,利尿を促すなどの効果があります。白皮部分をぬか漬けなどで食べるほか,利尿作用の高いぶどう,その他の果物と合わせ,フルーツカクテル風に味わうなどの方法も効果的です。
天ぷらとの食べ合わせがよくないといわれるのは,天ぷらから油を摂ることと,スイカから水分を摂ることが原因となって,胃腸に負担をかけやすいから。食べすぎには注意しましょう。
◎先輩農家から学ぶスイカの鳥獣害対策
周囲が住宅地の中にあって,こんな場所まで獣は出没するようなことはないだろうと安心していても,一夜にして収穫直前のスイカが,夜行性の獣の被害に遭い,家庭菜園での楽しみを奪われた仲間も多いのでは。
私の従兄は,スイカ畑を上は防鳥ネットで覆いカラス被害対策を,地上はバッテリー式の電気牧柵を設けて,毎年大きく生長した実を従兄弟達にプロの技として届けるのを生きがいにしていますが,家庭菜園を楽しむ私たちにできる方法としては,ネットや竹を用いた棚を設置しての「空中栽培」方法(地上での栽培に比べ蔓の誘引・整枝・交配に時間を要する)が注目されており,今朝のローカル紙には「スイカぶらり 夏風でゆらりー」と鹿児島市小山田町で高さ約2mの竹の棚で小玉スイカを栽培しておられる内之倉さん宅の庭先の様子が写真入りで紹介されていました。
食害痕から探る獣の正体は,ハクビシンは「スイカに顔を突っ込んで中身を食べるので穴が大きくなっている」。アライグマは「500円玉程度の穴をあけ,手を入れて食べる」と農水省の「野生鳥獣被害防止マニュアル」では紹介されていました。
なお,地上から侵入する獣対策は空中栽培で防げますが,空中から日々偵察飛行を繰り返しているカラスからの対策としては,実を新聞紙で包み込んだり,空中栽培のネットを上からも覆う二重ネット方法が紹介されていました。
我が畑横の市道に設けられた側溝の隙間から昼間も顔を出していた親子連れの獣の正体は,ハクビシン?・アライグマ?・タヌキ?・アナグマ?なのか確かめていませんが,タヌキ・アナグマ以外の獣は,外来生物に指定されている憎き奴ですが,地上から夜間侵入してくる野生の動物に対しては簡易電気柵の設置は,コスト的にもとして「あんしも何か食い物が無ければ子育てもでけんしね!」と,残り果だけでも口にできたらと彼らの眼からバレナイ用にと生長前から寒冷紗で目隠しをやネットを被せ,昼間に食害をおよぼす黒い飛行物体のカラスの鳥害対策だけは厳に施し,共生・共存の中で,いかに家庭菜園をエンジョイするかがロードマン流の自嘲した今夏の過ごし方です。
しかし,直ぐ先のスイカ畑では,何の対策も施してないのに見事に実を着けたスイカを見るたびに,「畑を荒らすのにも差を着けるなよ! 此処にもスイカがゴロゴロしとっとに!」と,正直言葉を解しない相手に物申したくなっています。
平成25年までの鳥獣被害の猛省の上に立ち,平成26年のスイカ栽培(周囲よりも遅い5月7日に小玉スイカの苗を植え付け)では,山から切り出した太い竹柱で△屋根を造り,同屋根をネットで覆い,伸びる蔓を上に上にと誘引し,実を着け少々大きくなったら実を袋状のネットに入れて上から吊り上げるという,『やさい畑』(2014年初夏号)で学んだ「狭い畑でも作れて,作業もしやすい/小玉スイカの立体3本仕立て」の記事を忠実に実践に移した空中栽培に挑戦。(右写真)△屋根の中に実を隠し空から狙うカラスの眼には見えないし,地上から狙うムジナには手が届かないという計画。7月末の台風11号,8月上旬の台風12号の強風の中でも,ネット袋に護られ落果することなく,今夏は鳥獣害を受けることは無く,8月11日から美味しく口にすることができました。
△屋根の設置と蔓の誘引作業に手間がかかりましたが,実が7月になると見る見るうちに肥大していく様子を,畑に出かけるたびに観察できる楽しみ方が。しかし実を吊るしたネット袋で生長を期待しながら蔓がいつ重さに耐えかね落果しないかハラハラで,△屋根の横に補強用にと渡した支柱から紐でもってネット袋口の蔓を再吊り下げ補強しての最初の空中栽培挑戦でした。
※平成29年9月末,冬野菜苗を買い求めに出かけた店のレジ脇に「撃退」アポロの電子防護器エリアシステムのカタログが置いてあり,今夏もスイカ栽培でいじめられたムジナ対策用に,来夏は年金生活の中から大枚をはたいて約3万円の電気柵を設置しようとXに提案すると,「1個千円程度でスーパーで売っているスイカを買って食べた方が安い。趣味の家庭菜園にそこまで。畑に遊びに来る小動物との共生が貴方の主義・主張では」と諭されたその夜,市立図書館から借りてきた愛読書の『現代農業』(平成29年7月号)の読者から寄せられた「あっちの話」に,次の興味ある防獣鳥対策が記されていましたので,今夏までの空中栽培・嫌臭忌避剤袋の周囲吊り下げ防獣栽培の続行に加え,先輩農家のこの対策をまず次年は追加策として試してみることに。
キツネもカラスも食べられない肥料袋でスイカをガード
甘いスイカは人間だけではなく,獣たちにとっても魅力的な食べ物。北海道岩見沢市で自家用野菜を作る山本師子さんは10年前,収穫直前のスイカをキツネやアライグマに食べられました。残った実には獣除けのネットをかけたのですが,今度はネットの隙間からカラスが突っついて食べていき,さんざんな思いをしました。その状況を見た姑さんが教えてくれたのが,肥料袋でスイカをガードするという方法。以来,スイカの鳥獣害には困らなくなったといいます。
やり方は,手のひらほどの大きさになったスイカを肥料袋(20kg容量) の中に入れ,袋が飛ばないように端を石で押さえるだけです。獣が袋を引っ掻いたような跡があっても,中のスイカは無事でした。さらに,袋の中の温度が高くなるからか,ふつうに育てるよりも甘くておいしい実になるそうです。
夏パテ防止にスイカ=アフリカ原産で,中国より西から伝わった瓜のため「西瓜」と書かれるスイカが出回る時季になりました。日本には16世紀後半頃に入り,大玉種やラビットスイカなどの小玉種が,5~7月に収穫されます。疲労回復や利尿作用,夏パテ対策に効果的なカリウム,活性酸素を減らし老化予防に有効なリコピン,体内でビタミンAに変換され髪や皮膚,視力の維持に役立つベータカロテンを含みます。皮の白い部分に多く含まれるシトルリンは,血流改善効果もあります。果皮に張りがあり,緑と黒のコントラストがはっきりし,頭のつるがしなびていないのが選ぶ際のポイントです。温度8~10度が最もおいしく感じ,冷やしすぎは甘味が落ちるので,玉は風通しの良い涼しい所に置き,食べる1時間ほど前に冷蔵庫へ。カットしたらラップをして冷蔵庫で保管し早めに食べましょう。(平成30年6月6日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
スイカで夏パテ防止を=夏の風物詩といえば、スイカです。よく冷えた甘い果汁とシャリっとした食感は、夏パテ気味の体を癒してくれます。水分が豊富なため、熱中症予防にもぴったりです。血圧上昇を抑えるカリウムが含まれ、高血圧予防が期待できます。またシトルリンにはむくみの改善や利尿効果もあります。赤肉スイカに含まれるベータカロテンとリコピンには、抗酸化作用があるといわれます。持ったときに、重量感があるものを選びましょう。左右の形が整っていて、へタの切り口がみずみずしく、しま模様がくっきりと鮮やかなものが良いです。カットしてある場合は、切り口がすっとなめらかで、果肉に空洞がないものが新鮮です。収穫から日数がたつにつれて、肉質が劣化していきます。買ってからすぐに冷やして早めに食べるのが、おいしい食べ方です。(令和4年7月6日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
暑い夏にはスイカが最適=スイカは成分の約90%が水分のため、体を冷やす作用があり、暑い夏に最適です。血圧上昇を抑えるカリウム、むくみや利尿に効果のあるシトルリンが含まれています。赤いスイカのベータカロテンには抗酸化作用があるといわれます。近年はカット売りや、食べやすくサイコロ状に切ったパック売りが多く出回っています。少人数で食べきれる小玉の需要も増えています。玉で買うなら、丸みを帯び、しま模様がくっきりしていて、軽くたたいてボンボンと良い音がするものを選びましょう。カットしてある場合は、切り口が滑らかで、果肉に空洞がないものが新鮮です。収穫から日がたつにつれ、シャリつとした歯ざわりが失われてしまいます。買ったらすぐに冷やしま早めに食べましょう。皮の白い部分は薄切りにして漬物にするとおいしく食べられます。ごみも減らせるので、ぜひ試してみてください。(令和5年5月31日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『やさしい家庭菜園』・『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『やさい畑』(2011年・2012年・2013・2014年初夏号),『野菜だより』(2013年5月/初夏号)
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メロン
昨年の苦い経験からカラスやムジナの鳥・獣害を受けにくいのではとして,スイカ栽培は空中栽培に栽培方法を変更しましたが,メロンは露地栽培でも大丈夫ではと,5月末に苗を購入して植付けた,メロンが敷き藁の上に蔓を伸ばし生長し,実を着け収穫時期(平成26年7月)を迎えました。
メロンには,露地で簡単に育てられるマクワウリから温室で育てるマスクメロンまで多くのタイプがありますが,味がよいうえ,作りやすく改良された一代交配種(F1)メロンが家庭菜園向きです。
購入した苗は,カボチャを台木にした接ぎ木苗(蔓割病や土壌病害にかからないようにするため)です。
メロンは樹勢が強すぎても,弱すぎでも実がつきません。実がつくまでは,あまり樹勢が強くならないように,土づくりでは堆肥などの有機物をたっぷり施し,化成肥料などの元肥は控えめにします。
野菜の中でももっとも高温性で,適温は昼間28~30℃,夜間18~20℃で,15℃以下では生育が困難です。植えつけは気温がじゅうぶん上がってから行います。植えつけ後は水やりも控えめにしますが,実がついてからは,追肥と水やりもしっかりと行って,実の生育を促します。
子蔓が20㌢程伸びた時に,3~4本残して他の子蔓は摘み取り,形の良い果実を選び,各子蔓に3~4個残します。子蔓の先は20節程度で芯を摘み,脇芽は込み過ぎない範囲内で,できるだけ残した方が,株が疲れず最後まで果実の収穫が可能に。
味のよいメロンの甘さは,葉の光合成によって作られた糖の量に比例します。従って,甘いメロンを作るには,収穫まで葉が健全なことが肝要で,実一つに対し,健全な葉が6~8枚は必要であり,実がつきすぎている場合には適正な数に摘果することも,甘くするのに欠かせない作業です。
■知っておきたい効用
メロンの甘味は,果糖,ショ糖,ブドウ糖などで構成される糖分。体に吸収されやすくて素早くエネルギーに変わるため,夏パテの回復には効果的です。疲労回復効果の高いクエン酸も含まれています。
カリウムやビタミンCが豊富で,わたの部分にはβ-力ロテンや食物繊維も。わたの周辺には,血液をサラサラにするアデノシンという機能性成分も含まれ,脳卒中や心臓病予防に役立つとされています。体内でビタミンAに変わるβ-力ロテンは,果肉のオレンジ色が濃いものほど多く含まれます。
カリウムには余分なナトリウムを排出し,体内の水分バランスを整える働きがあり,むくみの解消や高血圧の予防に有効です。夏場は汗をかくことでカリウムも失われやすいので,メロンはよい供給源になります。(高血圧の予防・改善,利尿作用,むくみの解消,疲労回復)
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』(平成24年6月号)の「菜園くらぶ」に『メロン』が掲載されていましたのでPDF版で紹介いたします。
甘くて、後味さっぱり=濃厚な甘さ、とろけるような舌触りながら、比較的さっぱりとした後味が特徴のメロン。果肉の色で「赤肉系」「青肉系」「白肉系」、さらに網の有無で「ネット系」「ノ-ネット系」に分けられます。マスクメロンをはじめ、夕張メロン、アンデスメロン、肥後グリーンなど品種も多様です。栄養面も優れており、高血圧や動脈硬化の予防に効果的です。利尿作用があるカリウムは果物の中でも特に多く、便秘改善や美肌効果のあるペクチンなども豊富です。また、主成分であるブドウ糖、ショ糖、果糖などは吸収が早く、エネルギー補給や疲労回復に効果的です。果皮の色が均等でずっしりと重みがあるのがお薦めです。食べ頃になると甘い香りを放ち、お尻の部分に弾力を感じるようになります。食べる2、3時間前に冷蔵庫で冷やすと、より甘さが引き立ちます。(平成30年4月18日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
髪の健康維持にメロン=メロンは,網目が表面にあるものと,ないものがあります。また,両者を掛け合わせてできたプリンスメロンなども多く出回っています。バナナ以上にカリウムが豊富で,体内の塩分を排出し,高血圧に効果があります。赤肉のメロンは,ベータカロテンを非常に多く含んでいます。体内でビタミンAに変換され,髪,粘膜,皮膚の修康や視力の維持,喉や肺といった呼吸器系などを守る働きがあります。色むらがなく均整の取れた左右対称のもの,持った時にずっしりと重みを感じるものが選ぶポイントです。みずみずしい香りが出ているかも確かめましょう。生のままデザートとして食べたり,ピューレにしてゼリーやムースなどの生菓子を作ったり,グラニテ,シャーベットなどの氷菓にしたりと,いろいろな味を楽しんでみてはいかがでしょうか。(令和2年5月6日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
メロン食べて高血圧予防=メロンは周年出回っていますが,5~7月に最も流通量が増えてきます。皮の網目の有無によって大きく「ネット系」「ノーネット系」と分けられます。「ネット系」は繊細な甘みの高級品種が多く,マスクメロンや夕張メロンが有名です。「ノーネット系」はホームランメロンやパパイアメロンなど育てやすい品種が多いのが特徴です。塩分を排出し,高血圧予防に効果があるといわれるカリウムを多く含みます。赤肉メロンはベータカロテンの含有量が多く,体内でビタミンAに変換し,抗酸化作用により老化抑制やがん予防が期待できます。みずみずしい香りがあり,色むらがなく均整の取れた左右対称のもので,ずっしりと重みを感じるものを選びましょう。生のまま食べるほかに,ピューレにしてゼリ-やムースなどの生菓子,シャーベットなどの氷菓にするのもお薦めです。(令和3年5月5日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
品種増えメロン身近に=高級品の代名詞だったメロンは、最近は多くの品種が開発され、身近な果物として広く食べられるようになりました。果肉の色によって「赤肉系」や「青肉系」、「白肉系」に分類されます。赤肉は夕張メロン、青肉はアンデスメロン、白肉はホームランメロンがあります。カリウムを多く含み、動脈硬化や高血圧の予防を期待できます。水分バランスを調節する働きもあり、利尿作用やむくみ解消にも効果があります。網目がある品種は、筋が浮き上がり、均等に張っているもの、網目がないものは、形が整い、果皮に変色した部分がないものを選びましょう。また、持つ時に重みがあるものがお薦めです。完熟前なら、常温で追熟するとおいしく食べられます。カットした場合は、ラップで包み、冷蔵庫で保存しましょう。ジュースやシャーベット、サラダなどいろいろな調理法でもお楽しみください。(令和5年4月19日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『野菜講座/栽培収集編=果菜・根菜』(日本園芸協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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トマト
平成29年の夏,我が菜園では,ビニールシートで覆った簡易屋根棟2棟の下で雨除け栽培((成熟した果実に雨がかかると実割れ/裂果が起こるため,これを防ぎ,水分量制限で糖度の高い甘い実がつく)したトマトを,迷走台風5号が接近するとして雨除けシートを撤去整理する前日まで2日おきに収穫を楽しみました。
なおトマトは,8千種を超える品種があり,色ではピンク系と赤系に大別され,海外では赤系トマトが中心なのに,我が国で生食用品種は殆どピンク系だそうです。私は中玉トマトを栽培していますが,Xが自宅の庭先で栽培していますミニトマトは,大玉トマトと区別する呼び方で,果実は10~20㌘の小さなトマトの総称で,一般の大玉トマトの糖度が5~6度なのに対し,ミニトマトは8~10度と高く,食味が良いことから人気があります。黄玉の「オレンジ千果」は糖度が高くカロテンも豊富で今夏も家族に好評でした。
購入した苗は,生育するに従い支柱を増やし枝を紐で結び,脇芽をかき,整枝・誘引作業に努めましたが,一寸目を離すと,雨除けのビニールの外まで伸びてしまっていました。なお,カラスから狙われないように実が熟しはじめた頃から,ビニールの裾部分を黒の寒冷紗で覆い,飛行偵察するカラスの眼から見えないよう工夫をし,今夏もカラスには見つからず人間様の口に。
小さな実が実るミニトマトは,2本立てにすると収量が増えるとお書物にありましたので,主枝と第一花房の直下の脇芽を伸ばし2本立てにしました。7月上旬から,小さな赤く熟した一口サイズのミニトマトが食卓を飾る中,喉が渇いた畑作業の合間に,もいで口にほおばり,口中に甘酸っぱい水分を補給してくれています。
※このもぎたてのトマトの味は,半世紀以上も前の夏休みの親子会活動で,半鐘の鳴る音を合図に集まり,高城川に水泳(ミッジャブイ)に行く道中の風口にトマト畑があり,農家の叔父さんが悪ガキ達がだまって失敬しないように,パラチオンという劇薬の農薬を散布したとの赤い布きれ表示を完全に無視して,夏の太陽の下,引率の親達の目を盗んでトマト畑に潜り込み,赤く熟した熱いトマトをもいで,口にほおばった時の味と一緒の味でした。
■知っておきたい効用
西洋では「トマトが赤くなると医者が青くなる」といわれるほど,多くの健康効果をもつ緑黄色野菜です。特に,太陽の光で真っ赤に熟した露地栽培のトマトにはビタミンCが多く,β-力ロテン,ビタミンB群,ビタミンEなどほかの抗酸化ビタミンも含まれます。
赤い色素成分のリコピンはカロテノイドの一種で,ビタミンAの効力はありませんが,
β-力ロテン以上の抗酸化力があるとされ,近年はがんや動脈硬化に高い予防効果をもつことが報告されています。
ほかにも,血糖値の上昇を抑える働きがあるクエン酸,脳を活性化させるグルタミン酸,血液をサラサラにする香り成分のビラジンなど,多くの薬効をもっています。予防医学と美容健康の両面から熱い注目を浴びている健康野菜といえそうです。(がん予防,動脈硬化の予防,老化の抑制,風邪感染症の予防)
◎春植え野菜をうまく育てるためのポイント/たなかやすこさん(ガーデニングクリエーター)平成26年2月26日(水)/南日本新聞
─定植時期がポイント─
家庭菜園で最も人気があるトマト。初心者でしたら苗から育てるのがお薦めです。失敗が少ないのはミニトマトからゴルフボール大の中玉。始める時期は,桜の花が咲き始めた頃が目安です。
ポイント①は,「定植のタイミング」。ポットの苗に「一番花」が咲いた頃,「今,植え替えの」のサインです。大きな鉢やコンテナに移します。すると根がどんどん伸びます。一番花が咲かないうちに移すと,栄養のある土で葉や茎ばかりが育つ「株が暴れる」状態になり,一向に花が咲かないことがしばしば。トマトは割と荒れた土地が原産地で,危機感があるくらいの状態で最初の花を咲かせます。それまでは肥料は少なめでいいのです。逆に,一番花が実になり始め,下の2段目に花が咲く頃になってポットから移植すると,実への栄養は必要だし,根も伸ばさねばならず,アンバランスになります。
ポイント②は,「横に伸ばす。又はあんどん仕立て」。上え上えと育てるイメージを持つ方も多いですが,原産地では地面に這っています。横が無理でも,鉢に4本ほど支柱を立てて,朝顔と同じ要領で茎をぐるぐると誘引するあんどん仕立てで,コンパクトにたくさん収穫できます。支柱の先まで伸びても,できれば切らずに,バーゴラなどに沿わせて伸ばしっ放しにするのがお勧めです。夏は気温が30度を超すと,休んで実を付けませんが,そこを過ぎると再び実を付けます。
シーズン最後の秋に,青も緑も赤も,実を全部収穫して日当たりの良い場所に置けば,抗酸化作用で腐らず,追熟していきます。パスタにサルサソースにと,楽しめます。
①トマトの苗を寝かせ植えすると,茎から根が出て給水力・給肥力が高まり,樹勢を強くなり収穫量も増えます。
②茎を土の中に寝かせて植え付けるため,花が咲いた自根苗が対象で,接ぎ木苗はNO。
③土に埋まるカ所の葉は腐るのでかき取り,地上部分には本葉4枚以上,花が咲いていたら花は通路に向くように植え付ける。
④根が水を吸い上げ過ぎると味がぼけるので通常よりも高い畝にし乾燥気味に育てる。
⑤誘引支柱は,最初は仮支柱で強風害を対策を施し,ある程度伸びてきたら株元の本支柱に誘引し,
更に伸びてきたら株元から離れたカ所(45~60㌢)に2本目の支柱を立て誘引することで,寝かせ植えの効果が増大し樹勢が強くなり,実がよく着き・大きくなる。
●トマトの色々マルチ栽培
トマトは,高温を好む野菜であることからマルチ栽培が向いています。理由は,植えつけ時期の5月上旬は,まだ地温が十分でなく,マルチにより地温を上げることで,活着が早まり,その後の生育もよくなります。
また,トマトは乾燥した環境を好み,土壌水分量が急激に変化すると,実割れが多くなります。この対策からも,雨の影響を直接受けないマルチ栽培が有効です。その外,泥跳ねを防ぎ病気の予防にも役立ちます。
さらに,マルチフイルムを使い分けることで,収穫時期がコントロールできます。7月下旬までの短期間にたっぷり収穫したいのなら,透明マルチが向いています。地温を上げる効果が高いため,株の生育が旺盛になり,早くから収穫できるためです。但し,盛夏には地温が高くなりすぎて株が弱ります。
コンスタントに,盛夏になっても収穫し続けたいのなら,黒色マルチがよいでしょう。地温の上昇が透明マルチよりも低いため,出足はゆっくりですが,高温の影響が少なく,長く収穫でき総収量も多くなります。
秋まで採り続けたいのなら,銀色マルチがよいでしょう。黒色マルチよりもさらに地温が上がらないため,夏のダメージが少なく,長く収穫できます。 『やさい畑』(2017年冬号)/マルチ使い分けのすごワザ
夏にトマトで食欲増進=今週は,ジュースやケチャップなどでおなじみのトマトを紹介します。現在では,ハウス栽培が盛んに行われているので一年中食べることができますが,本来の旬は夏です。
夏場の露地物はさわやかな味で,5度前後に冷やすと,蒸し暑い時季にもおいしくいただけます。へタの緑色が濃く,ピンと張りがあり,皮にツヤがあるものを選びましょう。
ビタミンやミネラル類だけでなく,料理にうま味をプラスするグルタミン酸やアスパラギン酸を含み,また,クエン酸やリンゴ酸などの独特の酸味が食欲を増進させる効果があるとされています。さらに,鮮やかな赤色の素になるリコピンは抗酸化作用が強く,動脈硬化を予防する効果が期待できます。リコピンは加熱に強いので,ピザやパスタ料理のほか,スープや煮込み料理などにもおすすめです。トマトを使った多彩の料理で,この夏を乗り切りましょう。(平成28年8月3日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
美肌効果期待のトマト=九州南部地方が梅雨明けし,夏本番を迎えました。暑さが増すと体調を崩しやすくなりがちです。夏パテ解消・予防には,暑さからくるストレスを軽減させるビタミンCを含む夏野菜を取ることも大切です。今回はその中からトマトを紹介します。ビタミンやミネラル類,アミノ酸などが豊富で,動脈硬化,風邪,高血圧の予防などに効能があります。特に赤い色素のリコピンは抗酸化作用が強く,美肌や生活習慣病予防に効果が期待されます。日本での流通は桃太郎を代表とする桃色系トマトが主流ですが,近年では,より酸味や香りが強く煮崩れしにくいサンマルツァーノ種に代表される赤色系トマトや,皮が緑色で独特な風味を持つグリーン系トマトなど,さまざまな種類のトマトが出回っています。夏野菜を加えたバランスの良い食事で,夏パテ知らずの体を作りこの夏を楽しみましょう。(平成29年7月19日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
糖度,栄養価高いトマト=トマトは今の時季,糖度,栄養価とも高くお薦めです。サラダやパスタ,妙め物,煮込み料理などをおいしく,美しく彩ります。抗酸化作用があるリコピンやベータカロテンを豊富に含み,老化,動脈硬化,風邪,高血圧の予防が期待されます。アルコールの分解を促進する効果もあり,酒のつまみにトマトスライスを加えるのもいいでしょう。脂肪の燃焼を促し,脂質の吸収を緩やかにする効果もあります。赤くてずっしりと重く,皮に張りと艶があり,へタが緑でピンとしているのが新鮮です。果頂部に放射線状の筋があるものは甘味が強いといわれます。青みが残っている場合は常温の涼しい場所に置くと色づき,甘くなります。最近はフルーツトマトと呼ばれる甘くて濃厚な味わいを持つトマトもあります。苦手な人も一度トライしてみてはいかがでしょう。(平成30年5月16日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
種類豊富なトマト=種類が豊富で,赤や黄,緑などカラフルな色で料理を彩り,みずみずしくて甘いトマトです。大玉トマトの「桃太郎」は,甘みが強くて適度な酸味があり,ゼリー状の部分は多めで,稟肉がしっかりしています。長細いミニトマトの「アイコ」は,果肉が厚めで歯応えがよく,甘みが強く酸味はあまりありません。また,栽培時に水の量を抑えることで果実に糖度やうまみが蓄えられ,フルーツのように甘くて濃厚な味わいのフルーツトマト(高濃度トマト)も人気があります。抗酸化作用があるリコピンや,粘膜や皮膚を強くし風邪予防に効果が期待されるベータカロテンを豊富に含みます。全体が色づき,ずっしりと重く,皮に張りと艶があり,へタが緑色でピンとしているのがお薦めです。果頂部を見たときに放射線状のスジがきれいに出ているものは甘みが強いとされています。(令和元年8月14日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
トマトの酸味で食欲増進=トマトはナス科の野菜で,南米熱帯地方のペルーやエクアドル辺りが原産地と言われています。果実の大きさで大玉,中玉(ミディ),ミニサイズに分けられます。果皮の色は赤色だけでなく黄色や緑色などもあります。購入するときは,へタがみずみずしい緑色でピンとしていて,皮につやがあり,重量感のあるものを選びましょう。ポリ袋やパックのまま,へタ側を下にして冷蔵庫の野菜室で保存します。冷凍保存する場合は,へタ付きの状態で保存袋に入れましょう。トマトの赤い色の成分はリコピンで,体内では活性酸素の発生を抑え,動脈硬化を予防する働きがあります。ビタミンCも含まれ,鉄やカルシウムの吸収をよくします。酸味の主成分であるクエン酸は食欲を増進させる働きがありますので,暑い時期の食卓に積極的に取り入れたい野菜です。(令和3年7月14日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
シチューや煮込みにも=ナス科に属するトマトはアンデス高地が原産。江戸時代に日本に伝わりました。当時は観賞用で、食用栽培は明治以降、一般家庭に普及したのは第二次世界大戦後になります。今が旬の夏野菜です。大玉の桃太郎、ミニトマトのアイコ、品種ではありませんが塩トマトなど種類はさまざま。赤くずっしり重いもの、皮に張りとつやがあり、へタが緑色でピンとしたものが新鮮です。果頂部に放射線状の筋がきれいに出ていると甘みが強いとされています。青みがある場合は常温でしばらく保存しましょう。酸味が和らぎ果皮も赤くなってきます。完熟したものはラップするかポリ袋に入れて冷蔵庫で保存し、なるべく早く食べましょう。豊富に含まれるリコピンは、抗酸化作用が高く、免疫力アップや発がんを抑える効果があると言われています。油に溶けやすく、熱にも強いので、シチューやパスタ、煮込み料理もお薦めです。(令和5年7月5日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『野菜講座/栽培収穫編(果菜・根菜)』(日本園芸協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『やさい畑』(2014年春号),『野菜と果物を「安心」して食べる知恵』(二見書房),『おいしくできる!トマト』(NHK出版),『知って納得!植物栽培の不思議 なぜ,そうなるの?そうするの?』(日刊工業新聞社),『まるごとわかるトマト』(誠文堂新光社),『トマトはどうして赤いのかー身近な野菜を科学する』(東京堂出版),『永田農法トマトの本』(小学館)
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えだ豆
畑の一角が空いていたので,2ndのビールのつまみになればとして,普通は春に種を播いて夏に収穫する「えだ豆」を,『エダマメのお盆まき』=スマイル農園 畑の実験その9 いつまでとれる?どれだけとれる?=(「やさい畑」2014年夏号)を読み触発され,今夏「早生枝豆」の種を購入し,太豆の栄養+αを食べられる野菜で「畑の肉」といわれるほど栄蓋価の高い大豆がまだ緑色の未熟なうちに枝ごと収穫したできる枝豆を,7月中旬に種を直播き栽培してみました。
我が国で枝豆が食べられるようになったのは17世紀末ごろといわれて,豆と野菜の栄養を合わせて摂ることができるうえ,大豆にはないビタミンCを多く含んでいるのが大きな特徴です。
なお,名前の由来は,枝から莢を切り離すと急速に味が落ちるため,莢の着いた枝のままで流通したことが「えだ豆」の名の由来となったと言われ,鮮度が落ちやすいため,「鍋を火にかけてから畑に取りに行け」とも言われ,家庭菜園ならではの風味抜群の緑の実を美味しく食べられる特権が。
収穫の目安は,莢は上から下へ実ってきますので,下のほうの莢が5~6割太った時点で,株ごと引き抜いて収穫します。本当に収穫適期は数日と短く,時間が経つと莢が黄変して老化し始めますので,早めに引き抜きます。
我が家では,簡単調理の莢ごと塩を加え煮たり,実を塩ゆでで今回は,9月下旬3日間にわたり夕餉に出て来ましたが,実をつぶしてあえ衣にしたりして,食べる料理方も。
お書物によると,我が国には,枝豆の品種が400種以上あるといわれる。特に東北には,地域ごとに独自の品種があって,山形の「だだ茶豆」,新潟の「茶豆」,岩手の「かおりまめ」などがよく知られています。
栽培のポイントとしては,①根張りが浅く,風で倒れやすいので,株元への土寄せが大切で,葉が埋まらない程度に土寄せしまっすぐでがっちりした株に育てること。②マメ科の野菜ですので,根に根粒菌が寄生しており,元肥,・追肥とも,他の野菜の半分程度の量で十分です。根粒菌は窒素を固定する働きがあり,マメ科野菜に窒素を供給しています。窒素は葉肥とも呼ばれ,葉や茎などの植物体を大きく育てる働きがあり,そのため施肥量が多すぎると,草丈が伸びて葉ばかりが茂る蔓ぼけになります。
ただし,一度もマメ科野菜を栽培したことのない畑の場合は,肥料は標準程度に施してください。
■知っておきたい効用
夏の風物詩ともいえるえだ豆は,大豆の未熟な種子を味わうもの。「畑の肉」と呼ばれる大豆と同様,良質なたんばく質を含み,ビタミンB1や葉酸,カリウム,カルシウム,鉄,食物繊維などが豊富です。加えて,大豆には含まれないビタミンCまでも含んでおり,抜群の栄養価値を誇ります。
機能性成分としては,大豆ほど多くありませんが,更年期症状の緩和に有効とされるイソフラボンを含有します。さらに,コレステロール値の上昇抑制に有効といわれるレシチンも含まれており,生活習慣病の予防にも役立つでしょう。
また,必須アミノ酸の一種メチオニンには,ビタミンB1・Cとともに肝臓のアルコール分解を助ける働きがあるといわれており,飲みすぎが気になる人にとっては心強い存在といえます。肝臓疾患の予防にもなります。(コレストロールの上昇抑制,貧血の予防・改善,更年期症状の改善,肝巌疾患の予防)
◆調理との組み合わせのコツ
えだ豆に含まれるたんばく質には,肝臓や胃を守る働きがあります。また,コレステロールを抑える働きもあり,血行を促進するなどの効果が期待できるでしょう。あまりにも有名な「ビールと枝豆」のコンビは,アルールから肝臓を守るメチオニン,サポニン,ビタミンB1やCが作用し,肝臓への負担を減らすため,とても理にかなった組み合わせといえます。合わせてレバーやあさりなど,肝臓の機能向上によいとされる食品と一緒に摂るのも一案です。
栄養価高い工ダマメ=全国で栽培され,大人から子どもまで人気のエダマメ。エダマメは,末成熟な大豆を収穫したもので,豆と野菜の両方の栄養的特徴を持った栄養価が高い野菜です。美肌や若返り効果が期待されるほか,疲労回復,悪性貧血の予防にもつながると言われています。アルコールの分解を促し,肝機能を助ける働きもあります。飲み過ぎや二日酔いを抑える効果もあるため,お酒のおつまみに最適です。さやが淡い緑色で,産毛の密度が濃いのが新鮮です。豆が育ち過ぎておらず,粒ぞろいのものを選びましょう。時間がたつと,豆がやせて,甘みも失われていくので,その日のうちにゆでることが大切です。ゆでた後は,小分けにし,さや付きのまま冷凍保存をし,食べるときは自然解凍するとよいでしょう。(令和元年6月19日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
栄養価高いエダマメ=鮮やかな緑色で食卓を彩り,大人から子供まで人気のエダマメは,これから暑い夏に向けて旬を迎えます。全国で栽培されていますが,今の時季は県内産が多く出回ります。エダマメは大豆が未熟な緑色の状態のときに収穫したもので,栄養価が高く,たんばく質,カルシウム,食物繊維,鉄,カリウムなど多くの成分を含みます。ビタB1・B2も多く含むため,夏パテ防止や疲労回復の効果も期待できます。枝付きのものは鮮度が保たれているため,より新鮮な豆の風味を味わえます。色が鮮やかで,豆がふっくらとしているものを選びましょう。鮮度の低下が早いので,購入後はすぐにゆでるようにしましょう。保存する場合は硬めにゆであげて水分を飛ばし,保存袋に入れて冷凍します。食べる直前に凍ったまま熱湯でひとゆですれば,ちょうどよい食感とうまみを楽しむことができます。(令和4年6月8日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
夏は塩ゆで枝豆とビール=夏の風物詩として人気の枝豆は大豆の未熟な実を収穫したもの。呼び名は枝ごと出荷されることに由来するそうです。緑色のものだけでなく、香りの良い茶豆や大粒の黒豆もあります。さやがふっくらとして色が良く、うぶ毛の密度が濃いものが新鮮で、枝付きの方が鮮度を保てます。節の間隔が狭く、さやが密生しているものを選びましょう。時間がたつと痩せて甘みも失われるのでその日のうちにゆでて。塩をまぶしてもむとうぶ毛が取れます。ゆで上がったらうちわであおいで冷ますと色鮮やかになります。小分けしてさや付きのまま冷凍し1カ月を目安に食べきりましょう。血圧の上昇を抑えるとされるカリウムや、造血作用のある葉腰が含まれます。不溶性食物繊維も豊富で便秘予防が期待できます。塩ゆでするだけの手軽さから、おやつやピールのおつまみに最適です。旬の枝豆を存分にお楽しみください。(令和6年7月10日/南日本新聞『買いごろ 食べごろ』から)
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『野菜講座/栽培収穫編(果菜・根菜)』(日本園芸協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『やさい畑』(2014年春号),『野菜と果物を「安心」して食べる知恵』(二見書房),『知って納得!植物栽培の不思議 なぜ,そうなるの?そうするの?』(日刊工業新聞社),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会)『やさい畑』(2014年夏号),『現代農業』=エダマメに乾杯(2017年7月号)
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四角豆
平成26年,見習い農家仲間のM君からえんどう収穫後に種を播き,夏場に収穫できる豆でぜひ植え付けられたらとのお勧めがあり,種苗店で種袋に「栄養価の高い夏の健康野菜」との表示がある種を買い求め,5月5日にポットに種を播き,5月28日に畑に定植し,6月28日にイザラの支柱を建てた四角豆。熱帯アジア原産で,四角豆には,四方にヒダ状に翼のような稜(りょう)をもつ,変わった形の果実が実り,切った断面が四角いことからその名の由来が。英語では「ウイング・ピーンズ」=翼豆と呼ばれ,実をカットし並べて上から見ると,翼のようにも見えます。沖縄では,「新緑の季節」という意味の方言の「うりずん豆」,「ウリズン」とも呼ばれているそうです。タイ,インドネシア,マレーシアなどの熱帯アジアで広く栽培され,現地ではエスニックな料理に多様されているそうです。
インターネットで調べてみますと,食用になるのは豆の莢だけでなく,葉や花,そして葉が枯れた後地中にできるイモも食用になるそうですが,我がこざ園では,莢実だけを収穫して食べました。
四角豆は,露地栽培では,夏に高さ2.5㍍以上とイザラの先まで蔓が伸び花を付け,食べ頃の旬の時期は9月から10月といえます。収穫の目安は,莢の長さが10-15㌢ぐらいの大きさになったころが柔らかく,食べごろです。この頃の成長はとても旺盛で,あっという間に莢が巨大化してしまうので,採り遅れないようにしましょう。
インゲン豆と同じような味なので,様々な料理に利用でき,茹でてサラダや和えものにしたり,妙めもの,てんぷらなどがお勧めです。タンパク質や脂質が多く含まれ,ダイズと同じぐらいの栄養価があり,抗酸化作用が強いカロテンやビタミンCが含まれており,生活習慣病予防や免疫力を高めたりする働きがあります。ビタミンKはほとんど野菜からしか摂取できない脂溶性のビタミンの一種で,カルシウムを骨に定着させる働きや血液を凝固させる成分の合成に関わっています。
近年,化粧品業界の研究によると,シカクマメの完熟種子には,肌のハリと弾力を保つ効果(アンチエイジング)があるとで「美容豆エキス」配合の美容液が販売されています。ダイズと同等の栄養価をもち,美容効果もあるスーパー植物なのかもしれません。
四角豆は,側枝があまり出ず,株もとから出たツルがまっすぐ上へ伸びていきます。そのため,ツルが重ならずすっきりとした グリーンカーテンとしても使用できます。花はマメ科としてはやや大きめの,かわいい淡青色のスイートピー似た花が咲きます。
※今年は,8月末に後作との関係から,花がいっぱい咲いてまだまだ収穫を楽しめたのですが,思い切って抜根整理しました。後で学んだことですが,四角豆は,成長が早いので,こまめな蔓の整理が必要で,放任したままにしておくと,わき芽の蔓がどんどん絡まりあって茂り,強風時は支柱ごと倒れることがあるので注意し,親蔓と株元から発生する子蔓を数本残して仕立て,さらにほかの脇芽の蔓も摘み取りましょう。旺盛に生育して収穫の手が届かない高さを越えてしまうことがあれば,ばっさり刈り込むとよいでしょう。Xからは,高いカ所まで実がなり,手が届かないと不評な野菜となりました。
●先輩農家の指南書から(桐島正一さん=高知県)①5月中下旬にポットに1粒ずつ種を播くが,硬い殻に覆われているため2時間くらい水に浸けた種を ②発芽したら徒長しないように水を控え1か月かけて育苗を ③定植は6月初旬~中旬に畝幅1.5㍍・株間60㌢ ④蔓は日の当たる方に伸ばす ⑤肥料切れになると莢のヒダヒダが無くなるので,真夏中に2回追肥を ⑥収穫初めは小さく採って樹勢の維持を
参考図書:『桐島畑の絶品野菜づくり1』(農山漁村文化協会),『やさい畑』(2019年春準備号)
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むかご
連作ができないため,今年は庭先に種芋を植え付けたヤマイモの枝の葉の付け根に,幼き頃の山学校で自然からの贈り物として収穫し,ポッケに入れて持ち帰り,母におやつとして塩ゆでや炊き込みご飯に料理してもらった『むかご』(「エアーポテト」の別名も)が,初秋を迎えたお盆前,葉陰になっているのを見つけ,幼き頃のあの味をとコップ1杯分収穫し,Xにむかごの炊き込みご飯を作ってもらい,夕食に美味しくいただく事ができた。
なお,親の地下茎のヤマイモは,山の鰻の別名があるが,地上部の枝に実を着けるむかごもヤマイモと同様に生殖能力を強めるアルギニンと呼ばれる酵素が沢山含まれています。
■知っておきたい効用
丸くてつるりとした外見ですが,ヤマノイモ科に属するいもの一種で,ながいもや自然薯の葉の付け根にできる5~10㍉程度の小さな球芽を指します。やまいも類にしては粘り,水分が少なめで,さといもに近い食感。一般的に,塩ゆでにしたり,蒸してそのまま食べるほか,炊きこみご飯にも使われます。
ほかのヤマイモ類と同様にでんぷんが多く,口に含むとねっとりとした甘味があります。血圧を安定させる働きのあるカリウムを多く含み,食物繊維もたっぷり。また,血糖値やコレステロール値の上昇を抑制する水溶性食物繊維を比較的多く含みます。
ほかには炭水化物の代謝を助けるビタミンB1や,三大栄養素の代謝に必要で,抗ストレス作用をもつパントテン酸の含有量も多く,心身の健康づくりでさまざまなよい効果が期待できる野菜といえます。(高血圧の予防・改善,抗ストレス作用,便秘の予防・改善,疲労回復)
◆調理との組み合わせのコツ
ゆでたり,蒸したり,妙ったりするほか,生で刻んでもシャキシャキとした歯ざわりのよさが楽しめます。
ゆでたものや蒸したものは,そのまま塩をつけて食べる方法が一般的ですが,血圧の高めな方は塩分は控えめにしましょう。便秘の予防効果を高めるためには,秋が旬のきのこ類やごぼう,オクラなどとの食べ合わせがおすすめです。
にんじん,しいたけ,ぎんなんなどと炊くむかご飯は,秋らしい一品。むかごはよく洗い,皮をむかずに入れましょう。
参考図書:『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社)
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エンドウ
緑色のエンドウの入った豆ご飯を食べたくて,昨年11月,連作障害(5年マメ科野菜を栽培していない場所)を考慮しながら畑の一隅に,防寒対策のための藁を敷き,つるが絡んで伸びていくように根元に“いざら”を建て,植付けていたエンドウが4月になり,チョウが舞っているような蝶形花が咲き,実も膨らみ5月になると収穫の時期を迎え,莢から両手一杯ぐらいになるまで実を取り出しては,『えんどうご飯』を作ってと料理長に届け,初夏のエンドウの艶やかな味を,美味しく頂いています。子供の頃,母がエンドウの実を煮,すりこぎでつぶし,砂糖を入れて作ってくれたあの緑色の「ウグイス餡」も食べたいのですが…。
なお,エンドウは,収穫の時期と食用部位によってキヌサヤ(さやエンドウ)=莢が若く平たく豆が小さいうちに早取りすると,グリーンピース(実エンドウ)=莢の中の豆が太った頃に収穫する,スナップエンドウ=実も莢も食べられるにより名前が分けられています。鹿児島県は,全国2位のグリーンピース(実エンドウ)の生産地。農林水産省の地域特産野菜生産状況調査(2010年産)によると,作付面積・出荷量ともに和歌山県に次ぐ規模で,3位以下を大きく引き離しており,特に「かごしまブランド産地」に指定されているのは,お隣の出水地区(出水市,阿久根市,長島町)と指宿市だそうです。専業農家は,収穫期を手触りで「さやが堅く,しわが寄っているものを選ぶ」と新聞記事(平成25年5月1日(水)/南日本新聞「かごしま旬彩」・「今月はコレ!」)では教えてくれていましたが,私は莢の色が「緑色から白い色に変わりかけ始めた頃」をとして収穫しています。
なお,栽培管理のポイント(=隠しワザ)としては,エンドウはカリウムを好む野菜ですので,カリウムを多く含む草木灰の施肥を。葉の働きが活発になり,実の糖度も高くなるだけでなく,うどんこ病の発生を抑え,長い収穫が期待できます。加えて有機石灰の施肥は,根張りをよくし,莢をしっかりしたものに生育してくれますので欠かさず施すように努めて周囲と違う元気なエンドウ栽培に努めてください。
■知っておきたい効用
炭水化物が約60%以上を占めますが,良質なたんぱく質の含有量も,大豆に次ぐレベル。また,不溶性食物繊維も多く含み,腸の蠕動(ぜんどう)運動を盛んにします。それによって,便の量を増加させ,便の排泄を促進させるので,便秘や腸の病気の予防に役立ちます。
また,大豆ほどではありませんが,生活習慣病予防や抗がん作用,動脈硬化の予防の働きをもつことで注目されるサポニンも含んでいます。(コレステロールの上昇抑制,疲労回復,がん予防,動脈硬化の予防)
◆調理との組み合わせのコツ
ビタミンB1は,水に溶けやすいビタミンです。さまざまな健康増進作用をもつ苦味成分のサポニンも,水分に溶けて損失します。しかしサポニンはアクの成分ですから,多く含まれると味が落ちるので,アク抜きをします。
ミネラルではカルシウムがやや不足しているので,組み合わせる食材で補給をしましょう。寒天と合わせる「みつ豆」やみつ豆の一種で豆と寒天のみの「豆かん」は,エンドウに合ったデザートとして,好まれています。
※平成25年10月30日(水)/南日本新聞の『くらし』のページに,千葉県船橋市在住のガーデニングクリエーターでイラストレーターで「ちゃんと育つよ。ベランダ・ミニ菜園」などの著書があるたなか・やすこさんの寄稿で寒い冬場でも楽しめる野菜「エンドウ 取れたての味は絶品」が紹介されていました。
エンドウは寒い冬の間,寒さに耐えさせながら育てると,春先に一斉につるが伸びます。コンテナ栽培ではコンパクトに育つ「つるなし」タイプを選ぶのが一般的ですが,春の「禄のカーテン」に使いたくて,私は「つるあり」タイプを選んでいます。
エンドウには,実を食べる「実エンドウ」(グリーンピース),さやを食べる「サヤエンドウ」,その中間で両方食べられる「スナップエンドウ」の3品種があります。3品種を年ごとに選んで育てると,それぞれおいしさにも違いがあることが実感できて楽しいです。
一番のお勧めは実もさやも食べられるスナップエンドウ。止まらなくなるほどジューシーで,捨てるところがないからお得感があります。実エンドウは,狭いベランダで実がふくらむまで時間をかけて育てました。はじけるくらいの丸い実は,甘くて絶品! ペースト状にしたパスタは忘れられないおいしさです。
それに対して,実がふくらむ前の若いさやを利用するサヤエンドウは,次々と収穫できます。さやがやわらかく甘いので,おみそ汁に入れたり卵とじにしたり,彩り野菜としても重宝します。初めてエンドウを育てるのなら,サヤエンドウが気楽に収穫できていいですね。
わが家では「春が来た」という感じでかわいらしい花が咲き出します。エンドウの花は基本的には白ですが,サヤエンドウには赤い花の品種もあります。豆類は取れたてが一番おいしいんです。売られているものとは全然違います。台所でお湯を沸かしてから収穫してくださいね。
※『やさい畑』2014年春準備号の「旬をいただく畑薬膳 エンドウ」(監修:武 鈴子先生)の中で,江戸時代に編纂された薬物書『本朝食鑑』では,エンドウについて「百穀のうちでもっとも先に実るもの」と書かれ,厳しい寒さを耐え抜き,暖かくなると同時に真っ先に芽を出して,収穫できる野菜で,豆と緑黄色野菜,両方の薬効を兼ね備え,春先に起こりやすいトラブルを予防する働きを持っており,春の息吹を感じる野菜の生命力を取り込んで,今日の活力を養いましょう!と紹介されていました。
食味いいスナッフエンドウ=鹿児島県が収穫量全国1位を誇るスナップエンドウは,肉厚でふっくらしたさやが特長で,中の豆をさやごと食べます。1970年代後半ごろからアメリカで育成されたものを導入して販売が始まり,程よい甘さと食味のよさで普及していきました。主な栄養素は,風邪予防や美容効果のあるビタミンC,高血圧予防に適したカリウム,抗酸化作用を持つベータカロテン,整腸作用のある食物繊維などです。豆がさやの端まで詰まっているもの,鮮やかな緑色で張りがありみずみずしいもの,表面に傷や変色がないものを選びましょう。乾燥に弱いのでビニール袋に入れ,冷蔵庫の野菜室で保存し,3,4日をめどに使い切ってください。さやの硬い筋の部分を取り除き,1,2分程度ゆでて塩やマヨネーズをつけて食べたり,あえ物やサラダにしたり,下ゆでせずに妙め物や天ぷらなどでお楽しみください。平成30年3月14日(水)/南日本新聞『食べごろ』,『かごしま元気食彩』から
甘味強いスナップエンドウ=スナップエンドウは,鹿児島県が全国1位の生産量を誇り,今の時季は指宿からの入荷が多くを占めています。グリーンピースをさやごと食べられるようにした品種で,さやが軟らかく甘味が強いのが特徴です。ビタミンB群やビタミンC,カリウム,食物繊維が豊富です。動脈硬化などの生活習慣病の予防や,皮膚や粘膜を正常に保つ効果があるといわれています。さやがきれいな緑色で張りがあり,ふっくらとしているものを選びましょう。乾燥に弱いのでポリ袋に入れ,冷蔵庫の野菜室で保存します。へたと筋を取り,1~2分ゆでたら冷水にさっとさらしてください。塩やマヨネーズをつけておつまみにしても美味ですが,サラダやあえ物,妙め物や天ぷらもお薦めです。県内産スナップエンドウの甘味と,シャキシャキとした食感を楽しんではいかがでしょう。令和2年2月26日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
グリーンピースで健康に=グリーンピースは鹿児島県が全国有数の産地です。実が十分に膨らみさやが青いうちに収穫し,その中身だけを食べるため「実えんどう」とも呼ばれています。動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病を防ぎ,粘膜や細胞を正常に保つ効果が期待できるベータカロテンが多く含まれます。エネルギー源となる糖質やタンパク質も豊富です。乾燥に弱く,放置しておくと水分が失われるため,さやつきならビニール袋に入れて,さやから取り出した豆の状態なら水に浸して,冷蔵庫で保存しましょう。冷凍する場合は一度さっと硬めに塩ゆでしたものを小分けにして凍らせるとよいでしょう。優しい豆の風味をそのまま感じることのできる豆ご飯や,今が旬のタケノコとあわせた煮物,卵とじやかき揚げもお薦めです。春の味覚をお楽しみください。令和2年4月15日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
食卓彩るスナップエンドウ=スナップエンドウは,鹿児島県が日本一の生産量を誇ります。キヌサヤなどのサヤエンドウの仲間で,一般的なサヤエンドウはさやが薄いですが,スナップエンドウはさや全体がふっくらとしていて,やわらかく甘味が強いのが特長です。ビタミンB群やビタミンC,カリウム,食物繊維が豊富です。動脈硬化などの生活習慣病の予防や,皮膚や粘膜を正常に保つ効果があるといわれています。さやがきれいな緑色で張りがあり,ふっくらとしているものを選びましょう。乾燥に弱いのでポリ袋に入れ,冷蔵庫の野菜室で保存します。へたと筋を取り,1~2分ゆでるだけでおいしく食べられます。塩やマヨネーズをつけておつまみ,おやつとして食べるほか,サラダやあえ物,妙め物,天ぷらにして,色鮮やかな緑色を使った料理で食卓を彩ってみてはいかがでしょうか。令和3年2月10日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
栄養価高いグリーンピース=エンドウマメの中でも未熟な豆だけを食べるグリーンピースは,春から初夏にかけて旬を迎えます。実エンドウとも呼ばれ,主成分であるタンパク質や糖質のほか,ビタミン,ミネラル,食物繊維が豊富で栄養価の高い野菜です。タンパク質はアミノ酸バランスに優れており,脳を活性化するリジン,成長ホルモンの合成に関わるアルギニン,体力増強と疲労回復効果のあるアスパラギン酸などが含まれています。グリーンピースを主役にした豆ご飯や卵とじ,かき揚げ,妙め物などでおいしく食べられます。乾燥に弱いので,さや付きがお薦めです。さやがふっくらとしていて,濃い緑色のものを選びましょう。 新鮮なグリーンピースは甘みがあり風味が格別です。いろいろな料理に活用して季節の味を楽しみましょう。令和3年4月7日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
食感楽しめるスナップエンドウ=英語でポキッと折れる音(snap=スナップ)に由来する「スナップエンドウ」ですが、「スナックエンドウ」と呼ぶ人もいます。日本に導入された当初はいろいろな名で呼ばれていたため、農林水産省が1983年に統一名称を「スナップエンドウ」と定めました。サヤごと食べるので食物繊維を効率よく摂取できます。老化、動脈硬化、心筋梗塞を防ぐベータカロテンや、高血圧予防効果が期待できるカリウムを含みます。表面に傷や変色がなく、中身がしっかり詰まっているものが、豆本来の甘みを味わえます。あまり日持ちしないので、なるべく新鮮なうちに食べましょう。へたと筋を取って1~2分塩ゆでし、マヨネーズやみそを付ける食べ方が、おつまみとして絶品です。妙め物や天ぷら、サラダにしても美味です。県内産の甘みとシャキシャキとした食感を楽しんでください。令和4年3月2日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
栄養満点グリーンピース=グリーンピースは,えんどう豆の中でも未熟な豆です。缶詰や冷凍は一年中手に入りますが,旬は春から初夏。日本では,明治時代以降に食用が一般化しました。食物繊維が豊富なほか,高血圧に良いとされるカリウム,疲労回復に効果があるとされるビタミンB1,動脈硬化の予防や脳の健康維持をサポートして集中力を高めると言われるレシチンも含まれています。日持ちしないので,すぐに使わない場合は乾燥しないように,ポリ袋に包んで冷蔵庫の野菜室に入れましょう。ゆでたものを冷凍しておくと長期保存できます。調理する直前にさやから豆を取り出します。2~3分塩ゆでしたら,鍋の中に少しずつ水を足して冷やしましょう。直接冷たい水をかけるとシワがよってしまいます。豆ご飯,卵とじ,かき揚げ,スープ,サラダなどで楽しんでください。令和4年4月13日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
生産1位のスナップエンドウ=スナップエンドウは、鹿児島県が生産量全国1位を誇ります。グリーンピースの改良品種で、豆が成長してもさやが硬くならず、さやごと食べられます。実は肉厚で甘みが強く、さやは歯ごたえがあります。免疫力アップや美肌効果が期待できるビタミンC、抗酸化作用のあるベータカロテン、腸内環境を整える食物繊維などが豊富に含まれています。鮮やかな緑色で全体に張りとつやがありみずみずしいもの、豆がぎっしり詰まり、さやがふっくらしているものを選びましょう。乾燥しないようにキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。和風、洋風、中華風と、どんな料理にも合いますが、筋があると食味が悪くなるため、取り除いてから調理しましょう。たっぷりの湯にひとつまみの塩を入れて短時間でゆで上げると、色鮮やかになり、シャキッとした食感を楽しめます。令和5年3月15日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
栄養豊富なグリーンピース=グリーンピースはエンドウ豆が熟す前に収穫したもので,春から初夏が旬です。新鮮なものは甘みがあり,豆ご飯や卵とじなどにして季節の味を楽しめます。レシチンやオレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く,高血圧や動脈硬化の予防効果が期待できます。食物繊維も豊富です。疲労回復効果があるビタミンB1やアスパラギン酸,脳を活性化するリジンや子どもの成長に大切なアルギニンなどの必須アミノ酸,カリウムも含まれます。さやがふっくらとしていて張りがあり,きれいな黄緑から緑色のもの,さやの表面やへたが変色していないものを選びましょう。さやから出して時間がたつと風味が低下するため,さや付きがお薦めです。ご飯を炊くときなどに,さやも一緒に入れるとだしになり風味が増します。香りも甘みも格別な旬の味をぜひ楽しんでください。令和5年4月5日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
香り強く甘いグリーンピース=グリーンピースは熟す前の柔らかな豆を食べる「実エンドウ」の一種です。日本では明治時代に一般的に食べられるようになりました。缶詰や冷凍品などで一年中出回っていますが、春から初夏が旬です。香りが特に強く、甘みのあるおいしさを楽しめます。豆類特有のでんぷんやタンパク質、糖質のほか、ミネラル類やビタミン類も多く含みます。食物繊維、ナイアシンなども豊富で、皮膚や消化器の働きを健全に保つ効果が期待できます。乾燥に弱いため、さや付きがお薦めです。鮮やかな緑色をしていて、さやにふっくらとした丸みとハリがあるものを選びましょう。ビニール袋に包んで野菜室に入れるか、塩ゆですれば冷凍保存もできます。豆ご飯やスープにすると栄養分を逃がすことなく、風味も楽しめます。旬のおいしさを味わってください。令和6年4月3日(水)/南日本新聞『買いごろ食べごろ』から
参考図書:『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『別冊やさい畑 野菜づくり名人の秘訣』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜だより』(2015年冬号),『すべてがわかる!「豆類」事典』(世界文化社)
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そらまめ
11月に種を播き,出芽時の鳥害に遭うことなく生長し,茎が倒れないように,周囲をテープで囲っていた,我が畑のそらまめも(途中の整枝・支柱立て作業=丈が40~50㎝に伸びたら,大きいものを残して6~7本に整枝し,養分が莢に向くように先端を摘芯し生長を止め,周囲をテープで囲んで葉の広がりを抑制しておく),ようやくGW季に収穫の時期を迎えました。初夏の味をとして,さやを剥いて中の実を取り出し,塩ゆでにして食べていますが,毎回,中の実よりも捨てる莢の量が多く,生育期間と実を取り出す手間を考えれば,毎年のことながら店頭で莢から剥かれ実だけ販売しているそらまめを購入して食すればと,毎年感じながら栽培しています。
鹿児島県は,そらまめの生産量日本一を誇り,全国的に圧倒的なシェアを占めており,冬から春にかけて,南薩や出水地区をドライブしますと畑にいっぱい植えられており,生産地として有名です。
JA鹿児島経済連のHPでは,「鹿児島県は本土最南端に位置し,たいへん豊かな自然に恵まれています。南国の太陽をあびてうす緑のさやがいっせいに空に向かって伸びていきます。だから,鹿児島のそらまめは太陽の味がするのです。そらまめの出荷は全国的には12月から増え始め,5月~6月にピークを迎えますが,4月までは南国の気候を活かした鹿児島県産が9割以上を占め,年間を通しても鹿児島県の出荷量は,全国1位です。そらまめは収穫後,鮮度の落ちるのが早く,おいしく食べられる期間はとても短いものです。そらまめのサヤには,34-ジオキシフエ二アラ二ンが含まれているため,これが酸化すると黒色化してきます。いいかえれば,サヤが黒くなっているものは鮮度が悪いということなのです。また店頭に売られているものには,すでにサヤから出してあるものもありますが,そらまめに豊富なビタミンB群は,紫外線などに当たると分解されやすい性質があります。できるだけ莢つきを求めたほうがよいようです。」と紹介されていました。
莢が緑色のときにとったものは.豆を取り出して塩ゆでにして食べるほか,乾燥したものは煮豆,豆板醤,甘納豆の原料にも使われます。
■知っておきたい効用
「そらまめ(空豆)」のネーミングは,さやが空に向かって直立するように伸びる姿に由来するものです。未熟な豆を食用にする「いんげん豆」の一種ですが,成熟するほど,たんばく質や炭水化物,ミネラルなどの含有量が多くなります。
脂質のなかに含まれるレシチンには,血栓を溶かす作用やコレステロールの上昇を抑える働きがあるといわれ,動脈硬化の予防に有効とされます。
熟しきっていない豆にはビタミンCが多く含まれています。ビタミンCのもつ抗酸化作用で,美肌づくりに役立てたいのなら,未熟のものを摂るとよいでしょう。
反対に完熟したものには,ビタミンB1やB2・B6などが,より多く含まれます。ビタミンB1は,炭水化物の代謝に不可欠な成分ですが,日本人は不足しがちなので,よい供給源になります。(動脈硬化の予防,高血圧の予防・改善,貧血の予防・改善,老化の抑制)
◆調理との組み合わせのコツ
そらまめに多く含まれるビタミンB群,C,カリウムなどは,いずれも水に溶けやすいのですが,厚い皮でおおわれているので,損失は少なくてすみます。酒のつまみやサラダだけでなく,スープや煮物などにも用いましょう。完熟豆の主成分はでんぷんですから,ビタミンCは加熟しても水に溶けにくいので,効率よく活用できます。そのほか,かき揚げやソテーにしてもよく合います。さやから出すとすぐに固くなるので,調理の直前に取り出すようにしましょう。
※『現代農業』(平成24年4月号)の「あっちの話 こっちの話」に新潟県の阪中啓太さんから「ソラマメも疎植,大きなサヤがいっぱいだ」が投稿されていましたので紹介します。
新潟市の佐藤平司さんから,ソラマメをいっぱいとる方法を教えてもらいました。この地域では,135㎝のウネに2条,株間は30㎝の栽培が多いのですが,佐藤さんは120㎝のウネに1条だけで,さらに株間も45㎝と疎植でつくっています。10年ほど前に,サトイモの株間を45㎝から60㎝に広げて増収した友人がいたので,ソラマメで試してみたとのこと。
この方法でソラマメ1株あたりの収量が増えました。疎植なので苗代も減らせて全体の収量は以前と同じくらい。豆が三つ四つ入っているサヤも増えたうえに,豆自身もひとまわり大きくなります。
1条だけ植えることで株にしっかり光があたり,樹が丈夫で病気になりにくくなるそうです。ソラマメも疎植でいけるんですね。
※平成24年の今冬からのソラマメ栽培に向け,“一寸そら豆”の種を購入する中,タキイ種苗株式会社の園芸新知識『はなとやさい』/2012年10月号から「ソラマメの枝先をカットすればアブラムシの被害を軽減できる!」と,学研の『野菜だより』/2012年11月号からは,「今が植えつけ適期 ソラマメ」として3人の名人からの伝授の技を,家の光協会の『やさい畑』/2012年秋号の「野菜づくりまるごと講座」からは,「種まきの適期を守り,防寒もしっかりと」を,10月14日にテレビ放映があったNHK出版の『趣味の園芸 やさいの時間』/2012年10月号からは,「ポット育苗がおすすめ!」を,最後に『やさい畑』2012年春号別冊付録「野菜づくりのあんなコツこんなワザ221」からは,ソラマメつくりのコツとして3つのコツをと,種を播く前に頭だけは100%学習し,これを来冬の種播き,来初夏の収穫に向け失念しないためにと予習しました。因みに10月26日にお歯黒を下にして3号ポットに種を播き育苗した苗を,11月25日に畝に定植いたしました。
※平成28年6月8日(水)午後7時30分からNHKTVの『ためしてガッテン』では,指宿市のそらまめ生産農家が出演し「初夏だ!そらまめパラダイス」が放映され,①「しっとり豆」と「ホクホク豆」の見分け方 ②「しっとり豆」と「ホクホク豆」のベストなゆで時間 ③皮ごとおいしい調理法 ④ワタの食べ方…が放映されました。今春の我が小菜園のそらまめの収穫は先月済んでおり,来年はこの番組で学んだ事を思い出し収穫後は美味しく頂くことに。
※平成28年10月2日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「ソラマメ 空に向かってつく豆」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
※平成30年10月15日付けで配信のタキイメールマガジン『植彩館』に「はじめてのソラマメ特集」が掲載されており,初心に戻り今秋の種播きの参考に。
高血圧予防にソラマメ=ソラマメは鹿児島県が日本一の生産量を誇り,県産は5月にかけて旬を迎えます。名前の由来は,さやが空に向かって実ることから,空豆の字が当てられたといわれています。さやの中はふわふわした綿があります。環境の変化に弱い豆を,寒さや乾燥から守る働きがあります。タンパク質や糖質,ビタミン類,カリウム,鉄分などのミネラルをバランスよく含み,高血圧や貧血などの予防に効果が期待できます。さやがきれいな緑色で均一に膨らみ,うっすらと産毛があり,弾力のあるものを選びましょう。乾燥に弱いのでさやのままポリ袋などに入れ,冷蔵庫の野菜室で保存し,3日ほどで食べ切るようにしましょう。定番の塩ゆでがお薦めですが,彩りを生かし,下ゆでしてサラダや妙め物,パスタ,スープにするほか,さやごと焼いても綿が甘くなっておいしいです。平成31年3月6日(水)/南日本新聞『食べごろ』,『かごしま元気食彩』から
貧血予防にソラマメ=鹿児島県が日本一の生産量を誇るソラマメは,3~5月に旬を迎えます。名前の由来は,さやが空に向かって実ることから「空豆」の字が当てられたとされます。高血圧予防に良いとされるカリウムや貧血予防に効果が期待される葉酸,鉄が含まれています。また,レシチンという成分は血液中のコレステロールを減らし,脳の活性化に働き掛ける性質があると言われています。さやがきれいな緑色で均一に膨らみ,綿のような弾力のあるのがお薦めです。新鮮なものはうっすらと産毛が付いています。乾燥に弱いので,さやのままポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存し,3日ほどで食べ切るようにしましょう。定番の塩ゆでをはじめ,彩りを生かしたサラダや妙め物,パスタ,スープでも楽しめます。さやごと焼くと,中は蒸し焼き状態になり,うま味と香りが楽しめます。令和2年3月4日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
生産量全国一のソラマメ=鹿児島が日本一の生産量を誇るソラマネは3~5月に旬を迎えます。その名は,さやが空に向かって実ることに由来するとされています。 主成分は炭水化物とタンパク質で,疲労回復を促進するビタミンB1,老化防止や美肌効果があるビタミンB2が豊富です。カリウム,鉄,亜鉛,銅などのミネラル類も多く含まれています。さやがきれいな緑色で均一に膨らみ,綿のような弾力のあるものがお薦めです。新鮮なものはうっすらと産毛が付いています。乾燥に弱いので,さやのままポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存し,3日ほどで食べ切るようにしましょう。定番の塩ゆでをはじめ,彩りを生かしたサラダや妙め物,ミキサーにかけてポタージュなど調理法は多彩です。さやごと焼くと実が蒸し焼きのようになり,うまみと栄養が失われず,濃厚な味が楽しめます。令和4年3月16日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
ソラマメは生産量日本一=さやが空に向かって実ることが名前の由来とされるソラマメは,鹿児島が日本一の生産量を誇り,これから3月にかけて旬を迎えます。タンパク質,糖質,ビタミン類,カリウムや鉄分などのミネラル類をバランスよく含み,高血圧や貧血などの予防効果が期待できます。さやがきれいな緑色で均一に膨らみ,綿のような弾力のあるものを選びましょう。新鮮なものは,うっすらとうぶ毛が付いています。さやから豆を出すと風味が落ちていくので,さや付きがお薦め。プラスチックの袋に入れて冷蔵庫の野菜室に保存し,3日ほどで食べ切りましょう。定番の塩ゆでは,たっぷりのお場に塩と酒を入れて2分程度ゆでます。酒を入れると特有の香りが和らぎます。濃厚な味わいを楽しむのであれば,さやごと焼きましょう。中が蒸し焼き状態になり,うまみが増します。さやが破裂しないよう切れ目を入れておくとよいでしょう。令和5年2月22日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
ソラマメはさや入りで=鹿児島が生産量日本一のソラマメは、空を仰ぐようにさやが上に伸びることが名前の由来といわれます。北アフリカからカスピ海沿岸が原産との説が有力。最も歴史の古い豆の一つで、エジプトや古代ギリシャでも栽培していたようです。さやが濃い緑色で均一に膨らみ、豆の形がくっきりと見えるものがおすすめ。弾力があり、表面のうぶ毛が残っているものがより新鮮です。空気に触れると風味が落ちるので、できるだけさや入りのものを選びましょう。保存はさやのままビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で。鮮度が落ちやすいので、2、3日を目安に早めに食べましょう。植物性タンパク質が豊富で、カリウムや鉄などのミネラル、ビタミン類もバランスよく含んでいます。旬のこの時期はさやごと焼いたり、ゆでたりして、風味豊かな素材の味を存分に楽しんでください。令和6年3月20日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
■ソラマメ無農薬栽培の進め
●育苗
種は,10月下旬から11月上旬に、3号ポットに,おはぐろと呼ばれる黒い線の入ったカ所を斜め下に向け,やや浅めに挿し込んで培養土に埋めます。数日で発芽しますが,本葉が3~4枚に生育するまでポットで育てます。
●定植
播種から2週間ほどで、本葉が開いてきたら、圃場に定植します。1条植えで、株間60㌢ 畝間90~1㍍と十分に株同士の間隔を空け、日当たりと風通しがよくなるようにしています。
●主枝の摘心
年を越した2月頃、苗丈が20~30㌢に育ったところで、主枝の生長点を手で摘心します。さらに、畝の間の土を少し取って、株の中心に載せ、脇芽を広げるように押さえます。主枝の摘心によって脇芽に養分が送られ、土の押さえで株元を広げて光をよく当てることで、脇芽がよい側枝へと育って充実した莢がつきます。
●側枝の間引き
側枝は多すぎてもよくないので、3月になったら、茎の太い4~6本の側杖だけを残し、残りは手で折って間引きます。
●側枝の摘心
側枝が花をつけるようになったら、それぞれ6段目の花がついたタイミングで、生長点を摘心します。
ソラマメはアブラムシがつくから無農薬栽培は難しいといわれますが、広めの株間で摘心を行なうこの栽培法なら、新芽につきやすいアブラムシの飛来を防ぐことができ、無農薬でも問題なく栽培できます。また、莢もよく充実するので、ソラマメに肥料をやりません。欲張ってたくさん収穫しようと肥料を多く与えることが、アブラムシを招くことにつながる原因では。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光り協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『すべてがわかる!「豆類」事典』(世界文化社),『すべてがわかる!「豆類」事典』(世界文化社),『現代農業』(2018年4月号)
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ナタマメ
腰のベルトに農作業中着け聞いているラジオのラジオショッピングからも流れ,また新聞の広告面にも大きく口臭防止に効果大として掲載されている「さつまなたまめ」の苗を,7月に南さつま市の直販店で5株購入し車庫横に植付けていたのが大きく生長し,11月収穫の時期を迎えました。ナタマメは大きくなると食べられませんが,莢に触って爪が立つくらいの若莢は,圧力鍋で調理すれば福神漬け味噌漬けとして食べられるようです。
中国漢方医学のバイブルといわれる薬学書「本草綱目」ほんぞうこうもく)では生薬として,別名「膿取り豆」として紹介されています。ナタマメは中国伝来の豆科の蔓性1年草で,東南アジアの熱帯・温帯地方が原産地で古くから栽培されていたもので,生命力が強靭で,私達が野菜として食べるエンドウマメより葉も豆を包む莢も大きく,莢は15~30cmになります。扁平の莢の形が中国の青龍刀に形が似ており刀・鉈(なた)を連想させることから刀豆(とうず,ナタマメ)の名が着いたそうです。
種から栽培する場合は,4月初旬に種を播き,太くて背の高い支柱に絡ませて栽培し,7月末から8月に赤・白色の花が咲き,秋に豆(種子)・莢を収穫します。
県内の産地は,鹿児島市吉田町西佐多浦地区が昔から有名で,町おこし事業として栽培を推奨されており,莢は漬物に,豆は健康食品に,蔓や葉は健康茶に加工して販売しておられ,同町産のナタマメは,土が生長に合致しているようで莢の長さが50cm以上にもなり,赤色の良質の豆が収穫でき,この豆は「さつま刀豆」と命名され,鹿児島特産の健康食品として注目されています。
良い豆を育てるには若い莢のうちに「間引き」が必要で,その間引いた莢は漬物用にと,南さつま市の道路脇に設けられた農家の直販店では9月~10月に一袋に15枚入りで100円で販売されていました。薬効の強い豆を収穫した後の枯れた莢や蔓も,煎じて健康茶の原料になり,無駄になるところがないようです。
■薬効ですが,ナタマメは良質のたんぱく質,サポニン,鉄分,ミネラル,ビタミン,ポリフェノール,良質の食物繊維等を含んでいて,腎臓機能・腸管の働きを活性させ,免疫力を高めます。体内の老廃物や有害物質を体外に排出する作用=歯槽膿漏・歯周病・腎臓病・蓄膿症や,老化防止・生活習慣病の予防にも優れていることが分かっています。
なお『薩摩生まれの逸品 さすが!薩摩刀豆なたまめ茶』として紹介されていた新聞広告には,なた豆から抽出された成分「カナバニン」には,グズグズやイガイガなど現代人が抱える憂うつな悩みをスッキリせせる効果があると「なたまめ茶」の効能が紹介されていましたが,ナタマメにもタンパク毒があり,完熟の赤い豆には僅かに毒性もあるようなので,食用には正しい処理が必要となりますので気をつけてください。
「次々に花を咲かせて実(さや)をつけ,上に上がっていきます。それからまた実をつけながら,こんどは下へ戻ってくるんです。それで縁起がいいということで,先の戦争のときには兵士がみんなナタマメを一粒ずつ持っていったそうです」
平成20年のNHKの大河ドラマ『篤姫』で,旅立ちにナタマメを持たせるシーンがある。宮尾登美子著『天嘩院篤姫』に,次のように書かれている。
『……「旅に出るときはタッワケ(なた豆)を食え」とか,「タッワケを持たせよ」の習慣にも耳を傾けねばならないが,ただこのなた豆は,上のほうから実り始め,だんだん茎のほうに帰ってくることの縁起であって,無事帰着を祈る意味なのだが…』
また英名は「ジャック・ビーン」で,一晩で雲までぐんぐん蔓をのばす「ジャックと豆の木」のモデルだともいわれています。
参考図書:平成13年8月25日付け『南日本新聞』,刀豆ナタマメ協会,『やさい畑』2010年夏号,『現代農業』平成27年7月号,『薩摩なた豆物語』(刀豆ナタマメ協会)
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さやいんげん
原産地は中央アメリカと言われており,我が国には,江戸時代に明から来日した隠元禅師がもたらしたことから,この名がついたといわれています。
蔓のある品種と蔓のない品種があり,蔓有は,栽培期間が約4カ月で収穫期間は約2か月間と長く楽しめるのに比べ,蔓無しは栽培期間が2カ月と短く,収穫の期間も2週間と短いのが特徴です。我が圃場では,蔓を這わせる支柱が不要な蔓無し品種を,一気に収穫時期を迎えるため,購入した種を一袋全部蒔かずに,数回に分けて蒔き秋の時期まで収穫を楽しんでいます。葉の陰にマメは隠れており,見落とさないよう左右から見渡しながら一日おきに収穫を。
なお,温暖な気候を好み,低温と高温にはともに弱く,栽培気温の範囲は,およそ10~30℃で,発芽適温は23~25℃,生育最適温度は15~25℃。10℃以下では生育が停滞し,5℃以下では枯死するので,初霜や晩霜を避けた栽培作型に心がける必要があります。
土質は特に選びませんが,根の酸素要求量が高く,酸性土壌や肥料集積の害を受けやすいので,早めに堆肥を施し,深耕して通気性のよい土壌状態にし,苦土石灰などを全面に散布し,pHを5.7~6.3の中性に調整しておく必要があり,連作には不向きですので2~3年は空けた圃場に。
■知っておきたい効用(夏バテに効き元気の素)
煮物や和え物,汁の実などの和食料理から,中華の妙め物,肉巻きやソテーなど幅広い料理に使われます。また,鮮やかなグリーンを生かし,サラダやつけ合わせにもぴったりで,とても便利な食材です。
年に3度収穫できることから関西では「三度豆」と呼ばれ,地方によって「五月ささげ」中国では,「菜豆」「四季豆」などの呼び名があります。
豆類に特徴的なたんばく質のほか,β-力ロテンやビタミンB1・B2・B6・C,ミネラル類,食物繊維を含みます。β-力口テンはがんや動脈硬化の予防などが期待できるほか,夏にダメージを受けやすい皮膚や毛髪の健康維持にも効果を発揮。たんぱく質,脂質,炭水化物の三大栄養素のエネルギー代謝を助けるビタミンB2も比較的多いので,エネルギーの消費が増えるこの時期のスタミナ供給源として,積極的に摂りたい野菜のひとつです。
栄養素のほかには,疲労回復効果をもち,美肌づくりにも有効とされるアスパラギン酸や,必須アミノ酸のリジンを含んでいます。(疲労回復,コレストロールの上昇抑制,がん予防,便秘の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
β-力ロテンの吸収を高める油脂類と上手に組み合わせるのがポイント。強い抗酸化パワーをもつたまねぎと合わせて,バター妙めやかき揚げにすれば,コレステロール値や血圧の上昇を抑える効果があります。そのほか,みそ汁の実,牛肉や豚肉などとの煮物やスープなどの料理にも適しています。おかずの定番「ごま和え」は,ビタミンEが豊富なごまとの組み合わせで,活性酸素の酸化作用を抑える力が増加します。美肌対策にも効果を発揮してくれる組み合わせです。
※今夏の収穫を昨日から始めたインゲンマメに関し,今朝=平成24年6月26日/南日本新聞の折り込み生活情報誌『てぃーたいむ』(平成24年7月号)の「菜園くらぶ」に『インゲンマメ』が掲載されていましたのでPDF版で紹介いたします。
※タキイ友の会誌『はなとやさい』の2013年5月号の「知っている人だけ得をする!家庭菜園の裏ワザ」にインゲン植栽の裏ワザとして「インゲンとルッコラを混植すると品質のよい莢が収穫できる」+「実った莢を次々と若どりすれば長期間やわらかい莢を収穫できる」という裏ワザが掲載されていましたのでPDF版に再編して掲載しました。
※右種袋上写真のサカタのタネのつるなしインゲン「アーロン」は,平成29年の4月下旬に種を播き6月下旬~7月上旬にかけ収穫を楽しんだもので,種を播いてから約60日~65日間が収穫の目安と種袋にも記載があり,短期間に莢(濃緑色の丸莢で長さは13㌢程)がたくさん着き,ご近所さんにもおすそ分けして喜んで頂きましたが,家庭菜園向けお勧めのつるなしインゲンで,種播きは4月~5月と8月~9月と年2回栽培が可能な品種です。右種袋下写真のタキイのつるなしモロッコいんげんは平莢種で,令和2年から我が小菜園で栽培している新顔のいんげんで,カボチャとの煮しめに合い美味しく頂いています。
2020年3月25日の南日本新聞の別冊付録『てぃーたいむ』に「狭いスペースでも育てられる家庭菜園」につるなしインゲンが紹介されていましたのでPDF版に変換し紹介します。
※タキイの「インゲン栽培のマニュアル」を見つけましたので,予習・復習学習の参考にと掲載します。
参考図書:『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『野菜講座/栽培収穫編/果菜・根菜』(日本園芸協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『すべてがわかる!「豆類」事典』(世界文化社)
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三尺ささげ
5月末にポットへ種を播き,6月上旬にイザラ支柱を建て定植,7月下旬から9月中旬まで収穫を楽しみ,苗を提供したご近所の見習い農家仲間からも好評を得た,その名前のとおり40㌢以上に伸びる莢が特徴です。
まず「ささげ」と「インゲン」豆の違いを紹介します。「ささげ」はアフリカ原産で,「マメ科ささげ属」でインゲンに似ていますが,より細長いのが特徴。「インゲン(さやいんげん)」は中南米原産で,「マメ科インゲンマメ属」で,見た目は似ていますが「属」が違います。ささげはインゲンよりも暑い季節に実を着けてくれます。ささげは,主に「つるあり種」と「つるなし種」の種類があり,未熟な若いさやを食べるものと完熟し乾燥させた豆を食べるものがありますが,莢の長さが20㌢ほどのインゲンに対し,莢の長さが30~50㌢程になるのがささげです。
三尺ささげは前述したとおりマメ科のつる性野菜で,赤飯や菓子作りに使われるささげの仲間ですが,インゲンと同様,若い莢をおひたしや炒め物・天ぷらなどで食べます。40㌢以上になる長い莢が特徴で,最盛期にはすだれのように垂れ下がり,片手に持てない程一杯収穫できます。シャキシャキとした歯ごたえが魅力で,とり遅れると硬くなるので若採りに心がけましょう。
耐暑性,耐乾性,耐病性があり,草勢も強く,つる伸び旺盛で,一節に長さ約40㌢以上の莢を数本ずつ着け,収穫期(7月中旬~9月中旬まで)が長く次々に花が咲き莢が着きますので, 家庭菜園には嬉しい豊作型のマメ科野菜で,肥料切れや水切れに注意し,こまめに収穫して株を疲れさせないようにしましょう。
また,蔓が長く伸び成長も旺盛なので「緑のカーテン」としても楽しめます♪
<種播き時期>5月上旬~6月中旬にポリポットに3~4粒播き,発芽後2本に間引きます。
<植え付け・支柱立て時期>7月上旬に本葉が出始めたら植え付け,高めの支柱を立てネットを張ります。
<誘引・追肥時期>植え付けから2週間後になると蔓がぐんぐん伸びてきて風で倒れたりするので最初はヒモで支柱に誘引します。その後自然に上へ伸びていくので誘引は必要なしです。2週間に1回程度,追肥をします。
<摘芯>蔓が支柱の高さに到達したら蔓の先端をハサミで切ります。こうすることで子蔓が伸び,次々に莢がつき収穫量も多くなります。先端の摘芯が遅れると手の届かない高所に莢が着き収穫ができないだけでなく,伸びた蔓の重さで頭でっかちとなり重さで支柱のイザラが折れてしまいます。
採れたての莢は柔らかく甘く,シャキシャキした食感が癖になるほど美味しいです。採り遅れると歯ごたえが悪く硬くなるので,早めの収穫を心掛けましょう。三尺ささげは,お盆の頃に 獲れ出す重宝な晩夏のインゲンとも言えます 。
■知っておきたい効用
原産国はアフリカですが,日本で野菜として食べられるのは,「三尺ささげ」や「十六ささげ」と呼ばれる細長いさやの菜豆が中心。名前のとおり50㌢以上に伸び,16~18粒程度の実をもち,さやえんどうやさやいんげんと同様に,若い莢と未熟な豆を一緒に食べます。
β-力ロテンの含有量が抜群に多く,さやえんどうの約2倍,スナップえんどうの3倍近くにも達します。β-力ロテンは優れた抗酸化作用でがんや老化をブロックする役割を果たすほか,体内に吸収されたときにビタミンAAに変わり,皮膚や粘膜を健やかに保つ働きもします。
乾燥したささげは生のささげに比べ,たんばく質や糖質,カリウムやマグネシウムなどのミネラル分を多く含むのが特徴です。(がんや糖尿病,動脈硬化の予防,疲労回復予防・老化の抑制・整腸作用・貧血の予防改善)
◆調理との組み合わせ
脂溶性のβ-力ロテンが多いので,油を使った料理のほうが栄養面のメリットを生かせます。また,ビタミンCも豊富に含まれます。このようにβ-力ロテン,ビタミンCとビタミンEが共存すると,抗酸化作用の効果が高まり,活性酸素に対抗して体内老化を防ぎます。このためがん予防や老化の抑制により優れた働きをすると考えられます。
植物油にはビタミンEが特に豊富なので,天ぷらや妙め物にするなど,油を有効に取り入れる調理法がおすすめです。
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大 豆
庭先には,自家製の醤油を入れてあった空の醤油甕が転がっていますが,自家製の醤油や味噌,豆腐を作る材料用としての目的も無い中,離れた畑に何を植付けるか迷った挙句,節分の豆まきにでも使えばとして,今初夏6月に一晩水に浸けておいて種を播いた「畑の肉」とも言われている栄養価の高い大豆が,台風の上陸をまぬかれた9月に一部は枝豆にと収穫した残りが,11月になり葉も枯れ収穫の時期を教えてくれています。
東アジアが原産の大豆は,奈良時代には既に栽培されていたことがわかっており,酒のつまみ用に未熟なうちに収穫利用する枝豆は17世紀末頃から栽培されていたようです。日本での古代名のマメは「大豆」を指していると「醫心方」=日本に現存する平安時代の最古の医学書で永観2年(984)に宮中医官の鍼博士:丹波康頼(たんばのやすより)が,中国の多くの医書を引用して病気の原因や治療法を述べた=には紹介(すりつぶしておできにぬると良く,煮汁は中毒の痛み止めに,消化不良を治めて利尿もしてむくみも止め,お血や五臓の冷えも取り,産後の体力回復にも良いが,食べ過ぎは良くない)されています。
現在,大豆用と枝豆用に品種が分かれ現在は栽培されていますが,枝豆の成分には肝臓のアルコール分解を助ける効果があるためビールのつまみに出されているものです。
豆科の野菜は,地力の弱い痩せた土地でも栽培できる生命力を持っていますので,化成肥料は少なめに施しましょう。特に根の根瘤菌から窒素分は自給しますので堆肥等の窒素分は少なめに,前菜の土壌の残りの地力で肥料分は不要な野菜では。
なお,発芽適温は25~30度と高い気温を好むため,種播きの好季は5月のGWを目安とし,花が咲き始めたら根元に化成肥料を少々施し土寄せを。種類は,秋大豆型(晩生系)・夏大豆型(早生系)・中間型(中生系)に大別され,つまみに用いられる枝豆は夏大豆型or中間型で,我が畑で今回植付けたのは加工用の秋大豆型でした。
■知っておきたい効用
明治6年にウイーン万国博覧会に出品された大豆に強い興味を持ったオーストリアの学者ハーベルランドによって「畑の肉」と名づけられたといわれる多くのたんばく質を主成分とし,そのなかには体内で十分に生成されない必須アミノ酸がバランスよく含まれています。大豆たんばく質を利用して作られる,豆腐や納豆などの加工食品は消化がよいことが特徴です。そのほかの栄養素では,ビタミンB1l・Eなどのビタミン類,カリウム,カルシウム,マグネシウム,鉄などのミネラル類に富み,食物繊維も豊富です。
栄養素以外の成分でも,コレステロールの上昇を抑える大豆レシチン,腸の機能を整えるオリゴ糖,抗酸化作用に優れる大豆サポニン,骨租しょう症や更年期障害の改善に効くイソフラボンなど,健康に有用な機能性成分がたっぷり含まれるのが特徴。これらの栄養素や成分の作用により,近年ではがん予防に効果がある食品としての認識が高まっています。(コレステロールの上昇抑制,肥満の防止,骨租しょう症の予防,がん予防)
◆調理との組み合わせのコツ
大豆サポニンには血中脂質やコレステロールの酸化を抑える働きがありますが過剰摂取は甲状腺に悪い影響を与える場合もあります。海藻に含まれるヨードには,その弊害を防ぐ働きがあるため,わかめやひじきとの食べ合わせがおすすめでしょう。酢の物や和え物などがおすすめです。脂質は,β‐力ロテンの吸収効率を上げる働きがあるので,にんじんやモロヘイヤなどのβ‐力ロテンを多く含む食品と組み合わせれば,ビタミンAの効力アップにつながります。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『やさい畑 2013年冬号』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『まんがでわかるおいしい野菜づくり』(ブティック社),『寛永七年刊和歌食物本草現代語訳』(源草社),『野菜講座/栽培収穫編(果菜・根菜)』(日本園芸協会),『すべてがわかる!「豆類」事典』(世界文化社)
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ご ま
「胡麻を摺る・ごまかす・護摩の灰(胡麻の蠅)」と,ごまに関する諺には,悪い意味が多いですが,母が昔,庭先にゴザを広げ種実の収穫作業をし,運動会時のおにぎりにまぶして持たしてくれていたことを思い出し,ごま(金ごま)の種袋を買い求め,一列種を播き今夏初めて栽培・収穫に挑戦してみました。
「照りごま」と言われるように,ごまは日が照れば照るほど豊作になり,発芽には20度以上の温度が必要です。種播きは,十分暖かくなった6月播きがお勧めで,畑は日当たりと排水のよい場所を選び,畝間60cm,株間15cmに5,6粒の種を播き,草丈7,8cmの頃に1本立ちに。草丈が1mくらいになった頃,台風の強風対策に備え横に2段,ビニールひもを張って倒壊するのを予防しました。
8月,草丈が150cmほどになったら,花の咲いているところから上の部分をはさみで摘芯し,下の実を充実させました。
収穫は9月になり下葉が枯れ,黄変したさやが2,3個はじけ始めた頃が目安で,収穫前に,すべての葉を落としておけば,葉ごみが混じらないですむよと先輩農家からの指導をうけ実践しました。
実が落ちないようにそっと茎をはさみで切り,畑から運び出し,軒下にビニールシートを敷き,その上に3株ずつ根元を括り逆さまにして1週間干して乾燥させ,軽く棒でたたき実を落とし,初めてにしては大収穫の約7合のごまの実を収穫しました。栽培は楽でしたが,茎を切り取ってから乾燥,その後の約2㎜の実の収穫までの作業は大変でしたが,ごまの実を一粒ずつ舌先で味わいたいと思います。
■知っておきたい効用
良質なたんばく質と脂質を,主成分とすることから,世界中で貴重な栄養源として親しまれています。精進料理などにも欠かせない種実です。成分の半分以上を占める脂質には,コレステロールの上昇を抑える働きがあるなど,生活習慣病予防に有効とされるリノール酸やオレイン酸など,不飽和脂肪酸が多く含まれています。
ビタミンB群・E,カルシウム,鉄など,女性の美容と健康に欠かせない栄養素もそろって豊富。特にカルシウムは吸収率は劣るものの非常に多く含まれています。
また,ごまに含まれる抗酸化物質のセサミンは,老化抑制や肝機能の改善,抗アレルギーに効果が期待できる成分として,近年特に注目されています。ほかにも,不溶性食物繊維が多く含まれているので,腸の蠕動運動を促して便秘予防に効果を発揮し,腸内環境を艮好にします。まさに栄養の宝庫という形容がぴったりの健康食品です。(老化の抑制,コレステロールの上昇抑制,骨粗しょうの予防,ガン予防)
◆調理との組み合わせのコツ
そのまま食べるとほとんど消化されないまま,排泄されてしまいます。また,生のものは栄養の吸収効率も低いため,必ず炒ったものを,砕いた状態で使うようにしましょう。含有成分に欠けているビタミンA・Cを多く含む緑黄色野菜を合わせれば,ビタミンEとの相乗作用で健康効果が増します。カルシウムの働きを助けるビタミンKが豊富な,海藻との食べ合わせもお勧めです。
むきごまより,皮付きのほうが栄養面では優れています。「金ごま」は最も香りに優れ,「白ごま」は油脂が多く,「黒ごま」は鉄やカルシウムが多めです。
※平成24年9月23日(日)の南日本新聞に「ゴマ生産農家「祭り」で交流 湧水」とのベタ見出しの記事が掲載されていましたので,全文を次に紹介します。なお,同催しを主催された鹿北製油のHPには,黒ごま油等の効能について詳細が掲載されていますので,ぜひ覗いてみてください。
「県内外のゴマ生産農家が交流する「ごま祭り」が,湧水町であった。ごま油の製造工程見学をはじめ,種まき時期など栽培方法に関する情報を互いに交換。さらなる面積拡大や収量増を誓い合った。
同町米永でこだわりのごま油を生産する鹿北製油が,契約農家に呼び掛けて毎年実施。今年は12日にあり,長崎や宮崎などを含む県内外から,生産農家や団体,行政担当者ら40人が出席した。
参加者は同製油の工場を見学した後,いきいきセンターくりの郷で意見交換に臨んだ。昨年,ゴマ栽培を始めた伊佐市菱刈下手の有薗繁敏さん(74),フミヨさん(74)夫妻は「カボチャなどと違い,ゴマは重量が軽くて高齢の身にもやさしい」と今後,面積を倍増する考えを発表した。
同製油の和田久輝社長(51)は「生産農家が増え,今後は売り先の開拓が必要。安心・安全な商品づくりを続けていきたい」と話していた。」
※平成29年9月22日の南日本新聞の『かごしま食の底力 機能性研究の現場から』にゴマ 強い高酸化力,老化予防もの見出しで喜界町における栽培と愛知学院大学の大澤教授の研究成果=ゴマの素晴らしい効能が掲載されていましたのでPDF版に再編集し紹介掲載いたしました。
※平成30年10月31日の南日本新聞社会面には,「鹿北製油がゴマ偽装 17商品 外国産混ぜ国産 県内外の取引業者やっ小売店 商品扱い中止,撤去」の5段見出しで,鹿県産ゴマ収量 天候で大きく変動と題した次の残念な解説記事が…
農林水産省によると,国産ゴマの生産量などのデータはないが,鹿児島は全国トップの産地という。県農産園芸課の調べでは,2013年度93㌧だった収量は14年度31㌧,15年度29㌧と急落した。16年度68㌧と持ち直したが,17年度は34㌧と落ち込んだ。天候による変動とされる。鹿北製油が偽装を始めた3,4年前は県内生産量が少なかった時期に当たる。ある流通関係者は「ゴマは輸入物が多い。 国産の需要に対し,供給が追い付けるのか不安視していた」と明かす。
参考図書:『イラストでわかる有機自給菜園』(家の光協会),『有機農家に教わるもっとおいしい野菜のつくり方』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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へちま(ナーベーラー)
ウリ科のつる性1年生植物で,果実が熟した物は硬い繊維質を利用しへちまタワシとして風呂場では,今でも肌触りがよいタワシとして愛用。昔,母が一升瓶に採取したへちま水を薬局に持ち込み化粧水として利用していましたが,今年は,ご近所さんから5月上旬苗を頂き,庭先の日除け=グリンカーテン+風流を兼ね栽培してみました。
別名イトウリと呼ばれ,ユーモラスな果実がぶらりと下がる様子から,花言葉は「悠々自適」。暑い鹿児島や沖縄で親しまれる夏野菜(「ナーベーラー」=へちまの味噌炒め)で,食用は開花後8~12日前後の繊維や種子が発達していない小型の柔らかい幼果を収穫(長さ30~40㎝,直径5㎝,重さ400~500gが適期)します。古くから薩摩の郷土料理として親しまれ,ゆでて酢みそかけや油いため,煮物,あえ物,吸い物の具などに利用されてきました。
なお,大人にとっては,食用や昔ながらのタワシ・化粧水等へ利用していますが,小学校では,窓辺のグリンカーテンとしての利用だけではなく,「生きものを調べよう・実や種子のできかた」の単元で,発芽・開花・受粉・結果を観察する理科教材として学級花壇等で栽培されているそうです。
■知っておきたい効用
食用のナーベーラーは,繊維の発達が少ない品種で,厚くやわらかい果肉をもつタイブです。独特のとろりとしたやわらかさ,みずみずしい甘味は,夏に低下しがちな食欲を増進させてくれます。開花後の柔らかい果実を料理に使い,葉影に隠れ収穫遅れになった果実は肥大を待ってタワシ用に転用します。
葉酸が多く含まれているので,認知症予防に適しています。また,カリウムを適度に含むこと,水分が約95%と多いことから利尿作用に優れ,民間療法でも果実の煮汁が利尿剤として使われてきました。
大豆などにある苦味成分のサポニンも含み,そのコレステロール低下作用や血中脂質を減らす働きから,肥満予防にも向く食材です。(夏バテ防止,利尿作用,高血圧の予防・改善,貧血の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
へちまを日常的に食べる沖縄の代表的な家庭料理は「ナーベラー(へちま)の酢みそがけ」。これは炭水化物の代謝に欠かせないビタミンB群を含むみそと,へちまのミネラルが,汗を多量にかくことで溜まりがちな夏の疲れを,早く回復してくれます。煮物や焼き物,みそ汁の具にも合いますが,皮をつけたまま塩漬けやぬか漬けにすると,また違ったた歯ざわりが楽しめます。
◎タワシとしての利用法
少し暗黄色になり果実が硬くなったものを収穫し,たらいの水の中に浮いてこないよう重しを乗せて10日位浸け,内部が発酵したら,発酵臭の独特な臭いがする皮・肉・種を除き,発酵臭の着いたたわし部分となる繊維を十分水洗いし,日陰で十分に干し,中に残った種子を完全に除去し乾燥させたらハンドメイドの貴方だけの懐かしい台所や浴場で使えるエコたわしが完成です。短時間に製作したいという方は,鍋で煮てから皮を剥き種を取り出すという方法もありますが,エコ探求の方には,水に浸けて腐らしての製作がお薦めです。
◎へちま水としての利用法
実の収穫が済んだ後,葉枝を整理し根元の茎を切りペットボトルに茎を差し込んで,三昼夜。へちま水をここまで採取できるのかと慌てて空きペットボトルを準備する中何本も採取しました。以前は近所の薬局に「へちま水 加工承ります」との貼り紙が貼られた薬局がありましたが,ドラッグストアー進出で同薬局は閉鎖され,防腐剤を加えない無添加でも冷蔵庫に保管しておけば1年間は使用可能として,採取後は,ろ過が不十分だと腐りやすいためろ過紙で不純物を除去し,「ロードマン農場謹製/無添加 美人水」の製造年月日入りのラベルを貼り無添加の日焼け防止液を作ってみました。なお,お書物では,へちま水を採る日は,中秋の日がよいと昔から言われているそうですが,グリーンカーテンとして日除け目的で植えつけ,日陰を提供してくれたうえに副産物として何十本も実は食べ,整理後の根茎からは,へちま水(サポニン・ペクチン・カリウム・多糖類・タンパク質等を含む)を色黒薩摩隼人の農夫の日焼け防止美容液?用にと平成25年以来平成29年も11月に採取しました。
また,“美人水”と呼ばれるへちま化粧水としてご婦人方が使用される際は,新鮮なへちま水に清涼感や角質軟化の目的でエタノールとグリセリンを加えてかき混ぜ,防腐剤としてパラオキシ安息香酸エステル等を加え、ガーゼや綿栓でろ過し,好みで香料を入れて作られています。『漢方医薬新聞』の記事には,へちま水は化粧水以外に,咳きとめ,痰きり,切り傷,火傷,ヒビ,アカギレ,汗疹,痔などの民間薬としても利用されており,中国では葉の絞り汁は,更に効果が高いとして利用されていると紹介されていました。
※『趣味の園芸やさいの時間』2012年10月号の「連載はる,なつ,あき,ふゆ/はたけの時間」に「ヘチマのちから」が掲載されていました。
※『やさい畑』2014春準備号の「ふるさと野菜指南帳」には,「口に入れた瞬間にふわっと香る青くて土っぽい匂いと,たっぷりの果汁。ヘチマって食べるものだったんだー」沖縄県南風原町の栽培記事が紹介されていました。ぜひ今夏は,食用としてのへちま=ナーベーラーを皆さんも家庭菜園で栽培してみませんか。
ダイエットにもヘチマ=かごしまの伝統野菜のヘチマを紹介します。本来は糸瓜と言い、鹿児島では「ながうい」「いとうい」とも呼びます。一説には「いとうり」が縮まって「とうり」となり、「と」はいろは歌で「へ」と「ち」の間にあることから「ヘチマ」になったとか。たわしや「緑のカーテン」のイメージが強いですが、鹿児島や宮崎、沖縄では古くからなじみのある夏野菜。抗酸化作用があるサポニン、βカロテンのほか、ビタミンCは生活習慣病予防や美肌効果、カリウムは高血圧予防、ペクチンは糖尿病や肥満予防と優れた働きがあり、低カロリーでダイエットにも適します。小ぶりで表面につやがあるものを選びましょう。ひと口大に切り、みそを使った妙め物や汁物のほか、シチューやカレーにしてもおいしくいただけます。皮が硬いので必ず皮をむくのが調理のボイント。優しい甘みとトロリとした食感をいろいろな調理方法でお試しください。(令和5年7月19日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『瀬戸正徳の園芸全書』(南日本新聞開発センター),南日本新聞『えんじょい園芸』,『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『やさい畑』(2014春準備号),「育てたい!変わり野菜」(やさい畑2018年冬号別冊付録),『農家が教えるキュウリ・ウリ類つくり』(農文教)
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とうがん
畑の片隅の木々の枝を覆うように,蔓を伸ばし生育し,黄色の花が咲き開花後40日程で30㌢程したゴロリとした実を9月になると着け,その健在ぶりを毎年教えてくれる,昔から本当に手間いらずで自然の恵みとも言える我が家のとうがん。
実の表面に白い粉が吹き出し,この粉が落ちた頃が収穫の時期です。
なお,とうがんには,我が畑の片隅で実を着ける円筒形以外に丸型と,実の表面に白い粉を吹くものと表面がつるつるの2種類があるそうです。
インド,東南アジアが原産地といわれ,日本でも古くから栽培されていました。夏が旬ですが,冬まで貯蔵できることから「冬瓜」という名がついています。95%以上が水分で,栄養面ではあまり評価されていませんが,薬膳や漢方て珍重される低カロリー野菜で体によい効果が期待できる野菜とされています。煮ると清涼感のある透き通るような色合いになり,淡泊な味わいなので,うまみの出る食材と合わせて,その味を含ませるように煮るのがお勧めの調理法です。
■知っておきたい効用
栄養素ではカリウムが比較的多く含まれます。カリウムは過剰に摂取されたナトリ ウムを体外に排出するために有効に働きます。その結果,高血圧の予防や,利尿作用を促してむくみなども改善する効果があります。
ビタミンCを多く含むため,コラーゲンの生成に働くほか,抗酸化作用があり,老化の抑制や動脈硬化を予防します。また,果肉に含まれるサポニンにはダイエット効果や,がんを予防する作用があるともいわれます。つるや葉の部分も食べることができ,中国では栄養豊富な葉野菜の一種として,妙め物などの材料に使われています。江戸時代に著わされた『本朝食鑑』には,「気味は甘寒。無毒。煩熱を解し,消渇(糖尿病などで小便の頻度の多い病)を止め,十種の水気(様々な場所の腫れの病や,病的に余分な水分に伴う病態)を利し,また酒毒を解する。」と記されています。(利尿作用,疲労回復,高血圧の予防・改善,老化の抑制)
◆調理との組み合わせのコツ
あっさりとした淡白な味で,香りにもクセがないため,肉や魚介類などの動物性たんばく質の素材とよく合います。濃いめのかつおだしで簿味に仕立てたあんをかけたり,鶏や豚肉と一緒にくず煮にする料理もおいしいものです。
ウリ科の野菜の特徴として,風味にクセがなく,おいしいだしをとった料理とよく合います。汁物などの加熱料理でも,味がなめらかになります。低カロリーながら食べごたえもあるため,ダイエット食にも向いています。※とうがんのレシピは,こちらから。
体冷やすトウガン=トウガンは「冬瓜」と書きますが,夏が旬の野菜です。丸ごと保存すれば冬まで持つ,というのが由来とされます。鹿児島では主に鹿児島市喜入や指宿市から出荷されます。低カロリーで,糖や脂肪の吸収を抑える効果があるとされるサポニンのほか,不溶性・水溶性食物繊維をバランスよく含むことから便秘解消も期待できます。ダイエット中の人にもお薦めです。大部分は水分で,カリウムが多いため,むくみ解消や高血圧改善が見込めます。体を冷やす効果もあるので,この時季にピッタリです。ずっしりと重く,表皮の緑色が均一なものがいいでしょう。カットされている場合は,切り口がみずみずしく,変色していないのを選びましょう。淡白な味なので,貝柱やエビ,カニのような旨みのある魚介のスープ,ひき肉やシイタケと合わせた煮込みなどにいかがでしょうか。(平成30年7月11日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ダイエットにトウガン=漢字では「冬瓜」と書きます。これはそのまま冷暗所に置いておけば,冬ごろまで持つという保存性の高さから名付けられたものです。丸ごとであれば長期保存も可能ですが,カットされたものは傷みやすいわたと種を取り除き,ラップに包んで冷蔵庫に入れるのがお勧めです。3日程度を目安に食べ切るようにしましょう。果肉は繊維質を多く含み水分が95%を占めるともいわれます。低カロリーでダイエットに適した食材として知られています。食感は軟らかく,淡泊な味わいながら,煮物や妙めもの,あんかけなど,いろいろな調理法でおいしく食べられます。煮物にする場合は,皮を薄く残してむくと,煮崩れしにくくなり,緑色も鮮やかで,少し違った味わいが楽しめます。(令和元年7月3日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
夏風邪予防にトウガン=トウガンは「冬瓜」と書きますが,夏が旬の野菜です。冷暗所で保存しておけば,冬まで貯蔵できることからこの名が付けられたと言われています。青果市場には,鹿児島市喜入地域から多く入荷します。約95%が水分で低カロリー。カリウムを多く含み,むくみの改善や高血圧予防が期待できます。肌の健康維持や風邪への抵抗力アップに役立つビタミンCも含まれています。ずっしりと重みがあり,緑色が濃く鮮やかなものを選びましょう。カットされているものは,切り口がみずみずしく真っ白なものがお薦め。味は淡泊で加熱すると軟らかくなるため,豚肉やエビなどうま味たっぷりの食材と合わせて,煮物やスープにすると味が染み込み,おいしく食べられます。涼し気な見た目とさっぱりとした食感が,夏にぴったりのトウガンをぜひご賞味ください。(令和2年7月5日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
皮も食べられるトウガン=鹿児島で「つが」と呼ばれるトウガンは、漢字で「冬瓜」と書きますが、実は夏野菜です。貯蔵性が高く、風通しのいい場所なら冬まで保存できることが名前の由来と言われています。約95%が水分です。多く含まれているガリウムには体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、高血圧予防や、利尿作用によるむくみ解消に効果が期待できます。丸ごとで買うなら皮の緑色が鮮やかでつやがあり、ずっしり重いものを選び、冷暗所で保管しましょう。カット物は実が白く、みずみずしいものがお薦め。種とわたを取り除き、ラップをして冷蔵庫に入れてください。淡泊な味わいのためどんな食材ともなじみます。煮物や汁物、漬物のほか、皮は捨てずに薄切りにすれば、きんぴらや妙め物に使えます。トウガン料理を食べて、暑い夏を乗り切りましょう。(令和5年8月2日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『まんがでわかるおいしい野菜づくり』(ブティック社),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『新野菜つくりの実際/果菜Ⅱ』(農文協),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『寛永七年刊和歌食物本草現代語訳』(源草社)
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ハヤトウリ(隼人瓜)
今秋から冬にかけ隣地との境木にと植えてある一つ葉を覆うように自生して蔓枝が繁茂し,白いクリ-ム色の実を今年もいっぱいに実をつけてくれたハヤトウリ。
原産地はメキシコなどの熱帯アメリカで,大正6年に鹿児島県日置市に最初に持ち込まれ栽培が広まり,今和泉島津氏の当主だった島津隼彦氏が栽培し,地元の園芸談話会で発表し,当時の鹿児島高等農林学校長の玉利喜造氏が「薩摩隼人の瓜」という意味で「隼人瓜」と名づけました。一株から多くの実が収穫できることから「千成瓜」とも呼ばれ,高温を好み,短日条件で開花・結実するため,初霜の遅い地域が栽培に適し,鹿児島や沖縄を中心に栽培されています。
クリ-ム色の果実と薄い緑色の果実の品種があり,クリ-ム色の品種は比較的刺毛が多く,やや小ぶりです。それに対し薄緑種はやや大きく,しかも豊産性が高いのですが,味的には少し青臭みが感じられクリ-ム色種に劣ります。
果肉はち密で繊維が少なく,風味は淡泊で,漬物としての利用が多いですが,若採りして酢の物やサラダ,煮物などにも利用されます。
ハヤトウリの苗は,ほとんど流通していませんので果実(種瓜)を知り合いの農家や店頭で入手してください。普通,果実の中の種を取り出しておいたものを播くと思いがちですが,ハヤトウリは果実のまま植えつけますので,果実を割って中の種を出してはいけません。果実は放置しておくと,自然に芽が出てきますが,発芽してから植えつけても構いません。果実を別の畝やプランターに植える場合は,果実のお尻(膨らんだほう)の割れ目(花が落ちた部分=へそ)を斜め上に向けて,浅植えしてください。果実は孫づるによく着きますので,余分な子・孫づるなどは早めに除去します。栽培期間が長いので孫づるが伸びだしたころに追肥をします。収穫は10月上旬ごろからです。生食用は開花後15~20日,漬物用は30~35日を目安に収穫します。
11月下旬,近所を散歩していたら風口自治会内の裏通りで,段ボール箱に山と積まれたハヤトウリの箱に,「どうぞご自由にお持ち帰りください」との貼り紙が貼られているおすそ分けの光景や,別の所では,柿の木の高い枝に取り残された赤く熟した柿と,白いハヤトウリの紅白の誠に自然一杯ののどかな晩秋の光景をも見かけましたし,肥薩おれんじ鉄道を上川内駅から川内駅まで乗車した際の車窓からは,同鉄道の土手に白いハヤトウリの実が,誰の手も届かない場所(笑)に実を着けている光景に出くわしました。
■知っておきたい効用
ウリ類の中では,栄養は全面的に豊富ですが,栄養価よりも歯ごたえを楽しむ野菜です。ビタミンCが特に目立ち,他にも,カリウム,カルシウム,リン,繊維,カルボキシル酸と豊富なたんぱく質,多種のビタミン,鉄,などが含まれています。ビタミンCは,美肌や免疫力効果があり,カリウムは,余分な塩分を体外に排出し,むくみの改善にも。血圧を上げるホルモンの生成を抑制し高血圧を予防し,腸内の善玉菌の繁殖を活性化することで便の量を増やし,腸内環境を整える。コレステロールや老廃物を排出し,動脈硬化,糖尿病などの生活習慣病,ガンを予防。胆汁酸の分泌や産生を促して,コレステロール値を低下させる効果が。外国の事例では,タイでは,骨と歯を丈夫にし,風邪の予防に効果があるとされ,台湾では,葉で作るお茶と果実は,利尿作用,抗炎症があり,肝臓結石,心臓の病気を予防すると言われ,中国では,利尿作用があり,血圧降下作用があるといわれます。(高血圧予防,利尿作用,便秘改善,むくみ改善)
※我が家では,昔ながらのなま酢・ちゃんぷる・豚肉との煮物や漬物で料理されていますが,今風のハヤトウリのレシピ集です。
※鹿児島県のHP内にも「鹿児島の伝統野菜」としてはやとうりの紹介(大正6年に日置郡永吉村の矢神氏がアメリカから持参し,試作したのが日本で最初の栽培とされ,大正9年頃から鹿児島県内に広く普及した。)と栽培カレンダーが掲載されていました。
参考図書:『エンジョイ園芸』平成21年7月9日(木)/南日本新聞,『ニッポンの地方野菜』(角川書店),『育てたい!変わり野菜』(やさい畑2018年冬号別冊付録)
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トウモロコシ(スイートコーン)
中南米原産の作物で,米・麦と並ぶ世界三大穀物の一つ。トウモロコシは大別すると4種類に分別(スイートコーン・フリントコーン・ポップコーン・デントコーン)され,現在,我が国で食べられている大部分は,糖分が多く甘みが強いスイートコーンという種類。漢字では,超難読な「玉蜀黍」と書く(トウモロコシ)という名称は,“とう”=中国の国家唐に,“もろこし”=唐土(もろこし)から伝来した植物に由来しているそうです。
種は,『現代農業』の平成22年3月号掲載の「発芽名人になる!」の青木恒男さん指南を参考に通気性のよいピートモス主体の倍土を施したセルトレイに(へそ)を下にしてまっすぐ差し込み,たっぷりかん水し,酸欠と加湿防止のため覆土はせず,表土の乾燥防止のため新聞紙を被せ,その上から適時かん水し,出芽を見守り,途中6号ポットに移植し,十分な根張りをし葉丈が20㎝以上に伸びてから,60㎝間隔の畑に,「他家授粉」の生育を考慮し4列定植し,倒伏防止のためにわき目をかかないで追肥作業を行い(1回目:草丈30㎝,2回目:草丈60㎝,3回目:出穂期)生長を見守っていた平成24年。6月末に,お隣さんが「一寸早かったのですが,カラスに食われる前に収穫しました」と,蒸したのをお裾分けを頂く中,圃場周囲の電柱に毎朝早い時間帯から出勤される黒い飛行物体“カラス”が,次は我が畑のスイートコーンを狙っているのではと,休憩中に察知し,どれどれ明日にはテグス糸を張っておかなければと思っていた矢先の7月2日朝に最初の被害に遭い,慌ててテグス糸を張り,2次被害の防止には努め,「バーカ,もうちょっと完全に熟してから悪戯はせーよと!」と,天に向かって今年も猛省を求め,1週間後から熟した実を蒸して美味しく頂く事ができました。
なお,収穫後の幹葉は,敷き藁代わりに使用し,その後は土に還元しています。
また,吸肥力の強く過剰に蓄積した土壌養分を吸い取って,土壌環境を改善してくれることから,クリーニング作物と呼ばれています。特に,窒素,カリウムなどの無機質をたくさん吸い取ってくれ,家庭菜園では,手をかけすぎ,どうしても栄養過多になりがちですので,トウモロコシは,養分を大量に吸収して,土壌をリセットしてくれる,まさに「家庭菜園の肥料分のお掃除作物」ですので,でっかく甘い実の収穫は別にしても,ぜひ輪作体系に優先的に組み込まれるべき野菜でもあります。
※平成25年の我が畑のトウモロコシは,鳥害対策を手抜きし施してなかっっため,6月23日(日)にカラスの被害に遭い,「こんちくしょー」と思い,早速根元から切り倒してサトイモの根元に敷いて土を被せ緑肥に転用したため,人間様の口には残念ながら1本も回りませんでした。
平成26年は,知恵ある学ぶ菜園家として,天上からの食害に遭わないようにと,隣地に建つ電柱等を意識し,電柱等から離れた場所で栽培する中,今夏はカラスの食害に遭わず人さまの口にもまともに入ると,ゆでたトウモロコシ(スーパースイート極甘コーン)を食していた最中,7月26日の朝,隣地排水溝を住み家にする親子連れのムジナの地上侵攻での食害に遭ってしまいましたが,自然との『共生』の観点からうらむ事はあきらめ,残った幹葉を緑肥に転用有効活用できるとして,当日夕刻には早速,畑に鋤き込む作業を行いました。
※平成27年のトウモロコシは,育苗苗を3月17日に2畝定植し,昨年同様に人様の口に入ることを期待し生育を見守る中,6月6日の朝に最初の被害に遭い,早速,鳥脅し用のキラキラテープを張り巡らしましたが,翌7日の朝確認してみると相も変わらずの被害に遭っていたため,目合い17㍉のネットを買い求めてきてトウモロコシ畝全体を覆い,上からは寒冷紗を被せるという対策を講じました。それでも被害に遭うため,獣害ネットの裾をマルチ押さえピンで押さえ,裏の市道に併設された雨水側溝をねぐらとする小動物が側溝の切れ間から地上に出られないように瓦片で穴をふさぎ,カラスの出勤時間よりも早い午前4時と出勤後の午前5時に見回って見ると,被害の発生は2日間続けて防ぐ事ができ,カラスの空からの侵入食害ではなく,裏の側溝に生息する小動物がトウモロコシ食害の誠に憎き犯人と特定できました。さてさて,これで今夏は残りの枝になる実を何本口にできるでしょうか。
※平成29年のトウモロコシは,4月12日に種(サカタ交配ピーター235)を3列播き,今年も小動物の食害に遭いまともに口にはできないであろうと半ばあきらめながら,(隣地のKさんは,昨年の食害被害が大変こたえられたようで今年は植えられなかった)6月10日に雌穂に絹糸が出始めた時点で畝の周囲を「防獣ネット」で覆うと同時に「ハクビシンなぜ逃げる」(激辛シート)を吊り下げ,前年までにない二重の防護対策で生育管理した実を,二重防護策が功をそうしたのか獣害を防ぐことができ梅雨前線の雨が一休み中の6月25日(日)収穫し,4年ぶりに口にすることができました。またこの収穫の喜びをご近所さん3軒には,家族員数×2本を届けロードマン小菜園収穫の喜びを日曜日のおやつにと共有してもらいました。(上写真右端2点)
■知っておきたい効用
穀物としての乾燥コーンと,野菜としてのスイートコーン(未熟)の両方を食用としています。乾燥コーンは,炭水化物やたんばく質や脂質を多く含みます。
一方,スイートコーンは,胚芽の部分にビタミンB1・B2・Eなどのビタミン類,カリウム,リンなどのミネラルを含み,たんばく質を構成するアミノ酸には,疲労回復効果が高いことで知られるアスパラギン酸,脳の機能を活性化させるグルタミン酸,免疫機能を向上させるアラ二ンを含んでいます。
食物繊維が最も多く含まれるのは,粒皮の部分。水に溶けない不溶性食物繊維が大半を占め,排泄を促して腸内環境を健全に整える作用から,便秘の改善に役立ち,大腸がん予防になります。粒皮の部分は固くて消化が悪いため,冷たい飲み物と一緒に摂らないほうがよいでしょう。(疲労回復,便秘の予防・改善,コレステロールの上昇抑制,高血圧の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
野菜として利用されるのは,胚乳に糖分の多い,スイートコーンと呼ばれる甘味種です。トウモロコシのたんばく質は,必須アミノ酸のリジンが少ないのが特徴。このため,リジンを多く含む肉や卵,乳製品,大豆製品などを組み合わせると,たんばく質の栄養価値を高めることができます。コーンポタージュやオムレツの具材などに適しています。また,ビタミンEを多く含むごまやかぼちゃなどとの食べ合わせは,強い抗酸化作用による老化抑制効果,美肌効果が高まります。
※『やさい畑』2010年夏号「旬をいただく畑薬膳」に 「体内に滞った水分を出す 蒸し暑い夏に必須の利水剤/トウモロコシ」が掲載されていましたので,トウモロコシのひげ・葉・子実の効能再確認のための参考にしてください。
※平成29年3月5日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「トウモロコシ 方言で名が200も」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
※平成30年のトウモロコシは,上に着く実だけを収穫できるようにと二番穂に着いた実は「除房」し,アワノメイガの襲来を防ぐため,雌穂への受粉が済んだ雄穂は早々に切り捨て,前年同様の二重の防獣対策が功を奏し,菜園主の口にも,またご近所さんへも家族数×2本ずつおすそ分けし喜んでもらいましたが,収穫期間は6月13日から同21日間での8日間,4月21日に4列の畝に67本の自家育苗苗を定植したのを,絹糸が黒く変化したのを,先ず手前の列から防獣ネットを簡単に跨げず,脚立を準備し登り畝に入り,茎から実をもぐように折って収穫しましたが,タキイの家庭園芸情報誌『はなとやさい』(2018年7月号)によると,おいしいスイトコ-ンが収穫できる期間は,3日~4日間の間(我が小菜園の収穫期間の半分の期間)で,収穫が遅れると粒の水分がなくなって硬くなり,甘味もなくなるので,収穫は,粒がはちきれんばかりに膨らんで,みずみずしい内に行いましょうとあり,来年の収穫の参考にすることに。
甘み強く,栄養満点=スイートコーンは,トウモロコシの中でも甘みが強い品種の総称です。年々改良が進み,糖度や風味が異なるさまざまな品種が生まれており,生で食べられる品種もあります。主成分はでんぷんやブドウ糖などの炭水化物ですが,胚芽の部分には,糖質代謝を円滑にして疲労回復に役立つビタミンB群や,生活習慣病の予防が期待できるビタミンEのほか,カリウム,カルシウム,マグネシウムなどをバランスよく含む栄養価の高い野菜です。収穫から1日たつごとに,甘みも栄養素も半減すると言われるほど,鮮度が落ちやすい食材ですので,できるだけ早めにお召し上がりください。ゆでる,焼く,蒸すなどの調理法が一般的ですが,外側を剥いで軽く水洗いして,そのまま電子レンジで加熱する方法も手軽でお薦めです。新鮮な旬の味を堪能してみてください。(平成28年6月1日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
夏場の活力補給に最適=スイートコーンは,トウモロコシの中でも甘みが強い品種の総称です。年々改良が進み,中にはメロンより糖度が高い品種もあり,人気を集めています。主な成分は炭水化物ですが,疲労回復に役立つビタミンB1も豊富に含むので疲れやすい夏場のエネルギー補給にぴったりです。他にもビタミンE,カリウム,リン,マグネシウムなどをバランスよく含みます。鮮度が命なので,早めの調理がお薦めです。妙め物やスープ,グラタンに入れたり,ピザやラーメン,サラダのトッピングにしたりと重宝します。塩ゆでかラップに包んで電子レンジで加熱し,丸かじりするのがスイートコーンの甘みを一番堪能できます。これからの時季は,喜入や姶良地区など県内各地から入荷します。県内産スイートコーンを食卓に加えてみてはいかがでしょうか。(平成29年5月31日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
改良進むスイートコーン=年々改良が進み,甘みが強く,生で食べられる品種も増えてきているスイートコーン(トウモロコシ)。主な成分は炭水化物で,糖質がエネルギーになるのを助ける働きがあるビタミンB1が多く,夏場の疲労回復やエネルギー補給にぴったりです。高血圧予防効果のあるカリウム,カルシウムと結合して骨を丈夫にする作用のあるリン酸も豊富です。皮が鮮やかな緑色で,頭のひげが濃い茶色でふさふさしたものを選びましょう。ひげの数が多い方が粒も詰まっています。収穫から日がたつと甘みや栄養素が落ちるため早く食べるようにし,高温に弱いので冷蔵庫に入れましょう。妙め物やスープ、グラタンに入れたり、サラダのトッピングにしたり、重宝します。塩ゆでやラップに包んで電子レンジで加熱し、丸かじりするのが甘みを一番堪能できます。(平成30年5月23日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
栄養満点スイートコーン=スイートコーンは,トウモロコシの中でも甘みが強い品種の総称です。でんぷん質や糖質を多く含みます。食物繊維も多く,胚芽にはビタミンB1,B2,Eが豊富で,栄養的に優れています。「サニーショコラ」「ゴールドラッシュ」「ピクニックコーン」「ゆめのコーン」といった品種が代表的。黄色と白の粒が3対1で交ざったものをバイカラーコーン,栽培の過程で実入りをよくするために摘果された未熟栗をヤングコーンまたはベビーコーンと呼びます。6月から旬を迎えます。おいしいのは,生の状態で3,4日,ゆでたもので2,3日と言われています。あまり日持ちしないので,なるべく新鮮なうちに食べてください。ゆでるのが主流ですが,葉が付いたままラップをして電子レンジで加熱するのもお勧めです。ぜひ味わってください。(令和3年5月26日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『野菜講座/栽培収穫編:果菜・根菜』(日本園芸協会),『新野菜つくりの実際 果菜Ⅰ』(農文協),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『きっと誰かに教えたくなる読めるようで読めない漢字2500』(永岡書店),『品質・収量を大きく変える育苗からわかる野菜づくり』(誠文堂新光社)
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オクラ/ミネラル分豊富な健康野菜
猛暑の季節によく似合う黄色の花(ハマボウ・ハイビスカスの花に似た)が咲き始め,毎日オクラの収穫を楽しんでいます。アフリカ北東部原産の熱帯性植物で,名前の由来も現地語から。和名はアメリカネリといい,陸蓮根(オカレンコン)とも呼ばれ,ヨーロッパ・アメリカ・インド・東南アジアなど,世界中で昔から食されてきた野菜ですが,わが国で食用として栽培されるようになったのは,明治30年代以降で,普及し始めたのは,20数年前と意外に最近のこと。野菜の消費量が減少傾向にある中にあって,安定した人気を誇り,日本の食卓に定着しています。
オクラ特有のネバネバの素である,ペクチンという成分には,血糖値の上昇を抑えたり,血液中のコレステロール値を下げる効果があるというのも人気要因の一つとなっています。また,便秘解消,骨粗しょう症予防を助ける女性にうれりしい野菜です。
今年は,ポットに撒いた最初の種(4/13 五角オクラ)は,育苗中にナメクジの被害に遭いダメとなり,2回目(5/15 丸莢オクラ)は,一昼夜水に浸け,固い殻から少し芽を出したのを畝幅70㌢の高畝に,60㌢間隔で4粒点播きした(従前は間引きして1本立ちにしていましたが,今年から間引きしないで4本立ちの集合栽培=『伝承農法を活かす マンガでわかる 家庭菜園の裏ワザ』(木嶋利夫箸)に,長期間柔らかいオクラを収穫する栽培方法として,4本立ちにすることで樹勢を弱くした結果として,互いが競い合って根を深く伸ばし,すべての株の養水分の吸収がよくなることから,ゆっくりと若い実が育つので長い期間収穫を楽しめる。同時に4本立ちは茎が細く,風にもなびき強風にも強くなり,風の強い畑や台風の風対策にも有効と紹介されていましたので)ものが収穫期を迎え,朝夕各15本以上を収穫。最盛期には一晩で2㌢から3㌢伸びると言われ,チョット目を離すと大きく生長し固くなってしまうので,収穫はXYLに一任しています。追肥は収穫が終わるまで2週間に1回の割合で土寄せを兼ねて行います。肥料が切れると,葉の丸みがなくなり,元気もなくなり,花つきが悪くなります。
なお,4本立ちでのオクラ栽培で留意すべき点としては,元肥は少なめにし追肥中心とし,実の数を減らさない工夫として,実を収穫した下の節の葉は摘み取って風通しを確保することが肝要だそうです。
我が家では,小さく刻んだものが朝晩の食卓にでています。カルシウム・鉄分・ビタミンCが豊富で夏バテ防止には,あのネバネバが最高。食物繊維も多く,整腸作用もあるため健康食品として注目されているようです。
※平成24年も朝夕収穫し(見落とし伸びすぎたオクラを見つけては,何で黙っていたのと愚痴をこぼしながらも)おいしく食した今年のオクラ,9月8日の午後,今年種をお隣さんからいただいた赤色のモロヘイヤの3本を採種用に残し,他の125本には,感謝しつつ枝を切り抜根し畝を整理しました。
※平成26年のオクラの種は,夕刻から雨の予報が出ていた4月12日の夕刻小雨が降り出す中で,朝方から水に浸けて硬い種子殻をふやかしておいてから種播きしましたが,購入した3種の種袋の生産地記載を見て(株)アタリヤ農園=「米国」・日本農産種苗(株)=「台湾」・タキイ種苗(株)=「タイ」と記されており,オクラの種の国際化にビックリでした。
■知っておきたい効用
切ったり刻んだりしたときに生じる独特の粘りは,ペクチンなどの成分で,水溶性食物繊維です。水溶性の食物繊維には,整腸効果のほか,血糖値の上昇を抑えたり,悪玉コレステロールの吸収を妨げる働きがあり,糖尿病の予防にも有効とされています。
また,糖たんばく質は粘膜の保護作用をもつ成分で,気管や消化器全般,特に胃炎や胃潰瘍の予防に役立つといわれています。たんばく質の分解酵素を含んでいるため,たんばく質の消化を助ける働きも。胃腸が弱りがちな真夏には,体力アップのためにもたっぷり摂りたい野菜です。(整腸作用,がん予防,糖尿病の予防,コレストロールの上昇抑制,胃腸病の予防)
◆調理との組み合わせのコツ
同じネバネバ成分を持つやまのいも,納豆,なめこなどの食材を組み合わせれば,胃の粘膜を保護する働きが一層アップします。カレーやシチュウに入れてもいいし,さっとゆでてバターで妙めても,手軽に栄養素を摂れるよい一品料理になります。
うぶ毛が残っていると口当たりが悪くなるため,調理前に,塩をふってまな板の上でころがす「板ずり」を忘れずに。納豆アレルギーの人はその代用として用いるとよいでしょう。
①種子の殻が硬いので一昼夜水に浸けた種を播く。
②柔らかい莢を収穫するには,1カ所に4粒の種を播き,間引かず株立ち栽培。(株の生育を抑え,莢がゆっくり肥大し硬くなりにくい)
※平成20年6月12日の南日本新聞の「エンジョイ園芸」に掲載された『オクラ』記事のPDF版はこちらに掲載しました。
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』(平成24年4月号)の「菜園くらぶ」に『生でも加熱してもおいしい オクラ/収穫まで3カ月』が掲載されていましたのでPDF版で紹介いたします。
※今朝も朝食に供する新鮮なオクラをと,雨の合間に収穫する中,食卓を囲む家族での共通話題にもなりました平成24年7月4日(水)の南日本新聞朝刊24面「かごしま 食べごろ」『オクラで胃の粘膜強化』の記事をPDF版で紹介いたします。
オクラで疲労回復= 初夏の風が舞う季節となり,青果市場も夏に向けての野菜・果実が出回りつつあります。その中から今回は,鹿児島県が国内生産量1位を誇るオクラを紹介します。オクラはアフリカ東北部が原産地とされ,日本へは幕末ごろに伝わりましたが,独特のねぼりや青臭さで普及せず,1960年代から流通し始めました。ねぼりの主成分はペクチンで,ペクチンは整腸作用やコレステロールの排出作用が期待されます。抗酸化作用を持つベータカロテン,高血圧予防に効果のあるカリウム,カルシウムなども含まれています。濃く鮮やかな緑色で,産毛が残っている物が鮮度が良く,小ぶりで柔らかい弾力のある物がおいしいそうです。サラダのトッピングやおひたし,煮物,天ぷらなど,食卓の一品に加えてみてはいかがでしょうか。(平成28年5月18日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
※毎日40本以上も収穫しご近所におすそ分けし喜んで頂いているオクラに関し平成28年7月27日(水)午後7時30分から放送のNHKTV「ためしてガッテン」で「オクラ!ネバネバパワー新伝説」が放映されました。超ネバネバオクラの作り方は『「生」で「刻」んで「水」を加える』だけ!で超すごいネバネバオクラが食卓に。
オクラパウダーに血糖値抑制効果 指宿市発表今夏官民で協議会設置 ビジネス創出へ事業展開
指宿市は8日,特産のオクラを粉末にした「オクラパウダー」が食後の血糖値上昇を抑える効果がある,とする検証結果を発表した。鹿児島純心女子大学や地元企業と連携し,ビジネス創出を図る地方創生の取り組み。市は7月に大学関係者や生産者,飯食・観光業者らで協議会を設立し,「健康」「食」「美」の3分野で事業展開を目指す。
検証事業は2015年度から実施した。指宿産オクラをパウダーにしてマウスやラットに投与した結果,食後血糖値の抑制効果をはじめ,便通改善や内臓脂肪を抑える効果も見られた。
昨年11月からは血糖値の抑制効果に絞って40~64歳の市民30人を対象に検証した。オクラパウダーを取らない場合と,パウダーを1.5㌘,3㌘,それぞれカプセルで摂取した後の食後の血糖値変化を比べたところ,パウダー摂取量の多い方が上昇は緩やかだった。
調査を担当した鹿児島純心女子大学健康栄養学科の中野隆之教授(食品機能学)は「多方面で機能性素材としての活用が期待される」と分析する。
市内ではオクラパウダー入りかるかん(右写真)やオクラの種を使った美容液も開発されている。豊留悦男市長は「検証結果は市が進める『健幸』のまちづくりや指宿のPRに役立つ。農業や観光,健康分野の新産業化につなげたい」と期待した。平成29年5月9日(火)/南日本新聞
令和4年/オクラの種の発芽促進策
種子を水に漬ける | 種子殻が柔らかくなったのをラッピングし温床内の土中に | 発芽した種子を取上げポットに4粒づつ移植 | 生育した苗を畑に定植 |
2晩(4/11) | 1週間地熱利用で発芽を図り(~4/18) | 温床内で3号ポットで23日間育苗 | 種子を水に浸けてから1カ月後に畑へ定植(5/11) |
夏パテ防止に役立つオクラ=今週は特有の歯応えとネバネバが特徴で,鹿児島県が国内収穫量の約40%を誇るオクラを紹介します。オクラは寒さに弱い植物で,露地栽培で収穫できるのは6~8月の夏季になります。国内で出回るのは切り口が星型になる「五角種」。果皮は濃い緑色で,収穫されたものはおおむね5~8㌢くらいです。オクラのぬめり成分には,胃の粘膜を保護したり消化を助けたりする働きがあり,夏パテ防止によいとされます。また,高血圧予防によいカリウムやエネルギー代謝を助けるビオチンなども多く含まれています。全体が細かい産毛で覆われ,張りがあり,濃い緑色でへタが変色していないのが新鮮です。生でも食べられますが,サッとゆでると口当たりがよくなります。おひたし,あえ物,酢の物,煮物,揚げ物などで季節の味を楽しみましょう。(平成29年6月21日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
夏パテ防止にオクラ=特有の歯応えとネバネバが特徴で,鹿児島県が国内収穫量の約40%を誇るオクラ。露地栽培で収穫できるのは夏場で,これからの時季は指宿からの出荷が最盛期を迎えます。ハイビスカスと同じアオイ科の植物で,華やかさとはかなさを併せ持つ印象的な花が咲きます。元も同様に独特の香りとぬめりを持ちます。ぬめり成分には,胃の粘膜を保護したり,消化を助けたりする働きがあり,夏パテ防止によいとされます。高血圧予防効果のあるカリウムやエネルギー代謝を助けるビオチンなども多く含みます。肉類や卵と組み合わせるとスタミナや免疫力向上に,なめこ,納豆などと合わせると滋養強壮にお薦めです。他にもおひたし,あえ物,酢の物,煮物,揚げ物などでどうぞ。見て食べて楽しめるオクラで夏を乗り切りましょう。(平成30年6月13日(水)/南日本新聞『食べごろ』,『かごしま元気食彩』から)
夏パテ予防にオクラ=オクラは,鹿児島県が国内収穫量の約4割を誇ります。色鮮やかな緑色と断面の星形を生かし,料理のトッピングとして食卓を彩ることも多いです。ぬめり成分には,胃の粘膜を保護して消化を助ける働きや,夏パテを予防する効果があるとされます。生でも食べられますが,サッとゆでると口当たりが良くなります。調理前に産毛を除いておくと,舌触りがソフトになり,ゆで上がりの色も鮮明になります。毛は,オクラに塩を少しかけてこすり合わせると取れやすくなります。硬いときはキッチンペーパーなどでこすりましょう。全体が濃い緑色で張りがあり,細かい毛で覆われているのがお薦めです。乾燥と低温に弱いので,保存する場合は新聞紙などで包んで,ポリ袋に入れ,涼しい時季は冷暗所で,暑い時季は冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。(令和元年6月12日(水)/南日本新聞『食べごろ』,『かごしま元気食彩』から)
どっかと居座る残暑の日々でも朝夕,肌に感じる風は確実に涼しさをまとっている。8月もあと1週間を切った。空の道には,夏と秋の雲が行き交う▼庭先菜園では今夏,オクラが豊作だった。淡黄色の花はハマボウそっくりでしおらしいが,実はとがった先を天に向けてぐんぐん育ち勇ましいほど。収穫期を逃すと表皮が硬くなって味を落としてしまうから,せっせとはさみを入れて回った▼食べ方も飽きないよう工夫した。丸ごと素揚げしたり,妙めたり。細かく刻んで納豆とあえてよし,さっとゆでてかつお節としょうゆをかければ涼味が増す。みそ汁やカレーに入れると,ぬめり感が出てひと味違う料理になる▼作家の幸田文さんは,随筆で「季節のかたみ」という印象的な言葉を使っている。厳しい暑さの夏の形見は,庭にバケツの水をひっくり返した時,乾いた土がはぜるような音を立ててひび割れた思い出だという▼湯通ししたオクラのしっとり鮮やかな緑を,この夏の形見にしようか。旬の野菜を食卓に届けてくれた菜園にもそろそろ陰りが見える。郊外を車で走ると,観光農園の入り口にナシ狩り,ブドウ狩りののぼりが立ち始めた▼霧島市のブドウ園には巨峰にピオーネ,シャインマスカットなど甘そうな果汁ではちきれんばかりの粒をつけた房が垂れている。夏の後ろ姿を見送るように,山里の柿も色づき始めた。(令和元年8月26日(月)/南日本新聞『南風録』から)
オクラのぬめりで健康=オクラの生産量は鹿児島県が全国最多で,全体の3分の1を占めます。原産地はアフリカ東北部と言われ,日本では6~8月が旬です。ぬめりの成分はガラクタン,アラパン,ペクチンといった食物繊維です。ペクチンは整腸作用を促してコレステロールを排出,便秘を防ぎ大腸ガン予防にも役立つと言われています。カリウムやカルシウムも豊富で,高血圧や骨の生成に効果があります。産毛がしっかりと残った,小ぶりなものがお薦めです。切り口や一部が茶色くなっているものは避けましょう。冷蔵庫では野菜室で保存します。5度以下になると低温障害を起こすことが多いです。妙め物や煮物,天ぷらなどさまざまな料理に適しており,それぞれ夏野菜の醍醐味を味わえます。栄養価の高いオクラをぜひご賞味ください。(令和2年7月1日(水)/南日本新聞『食べごろ』,『かごしま元気食彩』から)
夏パテ予防にオクラを=暑くなってくると,夏野菜がおいしくなってきます。その中の一つがオクラです。アフリカ大陸北東部が原産地で多年草。日本では越冬できないので一年草です。江戸末期に日本に伝わり,1950~60年代になって広く栽培され始めました。自宅でも庭があれば簡単に育てられます。根が真っすぐ下に伸びるので肥料を敷き込むと短掛間に50㌢以上も成長します。何といっても,ぬめぬめした粘り気「ペクチン」が特徴です。血糖値の上昇を抑え,便通を促すといわれます。はかにも栄養素が多く含まれ,夏パテ防止も期待できます。刻んでサラダにするほか,天ぷらやお好み焼き,妙め料理など加熱してもおいしくいただけます。購入後は鮮度が落ちるので,なるべくその日のうちに使い切りましょう。オクラを食べて夏を乗り切ってください。(令和4年5月18日(水)/南日本新聞『食べごろ』,『かごしま元気食彩』から)
オクラで免疫力アップ=夏野菜として知られるオクラ。鹿児島県の生産量は全国最多で,シェアは国内全体の4割を超えます。原産地はアフリカ北東部と言われ,暖かい環境でよく育ちます。毎年種をまいて栽培するため一年草のイメージがありますが,実は多年草。年中温暖な原産地付近や熱帯地域では繰り返し花を咲かせるそうです。特徴であるネバネバ成分は水溶性食物繊維です。血液中のコレステロールを減らして血圧を下げ,整腸作用もあります。カルシウムやカリウム,カロテンも豊富に含み,免疫力を高めることができます。 生でも食べられますが,うぶ毛を取ってからゆでると舌触りが良くなります。サラダや揚げ物,酢の物などさまざまなレシピでお楽しみください。これから旬を迎えるオクラを食べて,初夏の暑さを乗り切りましょう。(令和5年5月10日(水)/南日本新聞『食べごろ』,『かごしま元気食彩』から)
夏パテ予防にオクラ=鹿児島が生産量日本一を誇るオクラは幕末に花の鑑賞肝として米国から持ち込まれ、1970年ごろから食用に普及しました。和名のようですが現地語に由来し、英語でも「okura」と書きます。濃い緑色で、細かいうぶ毛で覆われ、張りのあるものが新鮮です。育ちすぎると種が詰まって固くなるので、7~8㌢くらいのものがお薦め。低温と乾燥に弱く、ポリ袋や新聞紙に包んで冷蔵庫で保存し、3~4日で使い切りましょう。ぬめり成分は胃の粘膜を保護し、消化を助け、夏パテ予防に効果があるといわれます。水溶性食物繊維のペクチンは整腸作用やコレステロールの吸収抑制が期待できます。塩をまぶして転がすとうぶ毛が取れ、口当たりがよくなり、ゆで上がりの色も鮮やかになります。刻んでサラダやあえ物、丸ごと天ぷらでも美味。これからが旬のオクラで元気に夏を迎えましょう。(令和6年5月8日(水)/南日本新聞『食べごろ 買いごろ』から)
参考図書:『NHK今日の料理2009.7』(日本放送出版協会),『伝承農法を活かす マンガでわかる 家庭菜園の裏ワザ』(家の光協会),『新野菜つくりの実際/果菜Ⅱ』(農文協),『育てる楽しむ食べる野菜づくり大百科』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『農家が教える野菜の発芽・育苗コツと裏ワザ』(農文教)
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ニガゴイ(ゴイ・ニガウリ・ゴーヤー・レイシ)
梅雨前線の雨が九州南岸に近づいたり離れたりして雨が降ったり止んだりする日々が続く平成29年のゴイは,4月下旬にゴイ棚に植え付けたものを6月23日日(金)に初物を収穫しました。今年は,ゴイ棚に3本,グリンカーテン用に1本を植えつけました。ニガゴイ(鹿児島では,ニガゴイを短縮して『ゴイ』と呼んでいます)の収穫時期を,畑の隅に設けた棚にも実り始めました。
畑の一隅にゴイ専用の棚として足場鋼管を用いた棚を設置しているため,連作障害を防ぐため,毎年苗を植え付けるカ所の土を入れ替え,pH調整のため苦土石灰を散布・調整を行い,堆肥・化成肥料を施し乾燥予防のため敷き藁を施し苗を植え付けたものが,プラ支柱を這い登り,棚のネットに蔓から伸びたヒゲを巻きつけながら生長し,苗を植え付けてから64日目には収穫を開始しました。
今年も,昔からあるひょろ長いタイプと沖縄タイプのズッシリしたタイプの2種類を植え付け,独特な苦み風味を味わっています。
ここ数年,エコ運動の普及・啓発活動のため学校の校舎を緑のカーテンで覆い,夏場の教室の冷房効果をねらい,小学校では教室をゴイのつる葉で覆う運動が展開され,着けた実は学校給食にという一石二鳥の運動も展開されています。
イザラやネットを用いつるを誘引してあげると,生長に伴い自然に絡みついて伸びていきますが,つるが混みあってきたら,日当たりや風とおしが悪くなり病害虫が発生しやすくなりますので,適時わき芽や古い葉をかいでやりましょう。実がなり始めたら2週間おきにマルチシートの裾を持ち上げ根元に追肥として化成肥料を施し,夏の終わりまでゴイ独特な苦み食感を楽しみましょう。
栽培ポイントの第一は,整枝。親づるを本葉5~6枚の時に摘芯し,子づるを4本ほど伸ばし,子づるも葉が4~5枚ついたら摘芯し,孫づるに実をならす。
栽培ポイントの第二は,結実してきたら,追肥を十分与えること。1回目は最初の雌花(花の下の柄が長く膨らんでいるのが雌花の特徴)が咲いた頃。2回目は実が膨らみ始めた頃に液肥を施し,3回目の追肥は,最初の実を収穫した時に。
調理方法には,ゴイと豆腐,そして豚肉を炒めた沖縄料理の代表「ゴーヤーチャンプル」が有名ですが,あの苦味がどうもという方には,塩もみしてから料理すると食べやすくなりますよ。我が家では,卵や豆腐と炒め物にしたり,さっとゆでたもの,塩もみしたものを刻んだものに鰹節をまぶしたものが食卓に出ています。
■知っておきたい効用
表面にあるイボと,独特の強い苦味が特徴。苦味成分はククルビタシン類というフラボノイドの一種で,食欲を高め,夏パテを防ぐ効果があります。また,強い抗酸化力によるがん予防や,動脈の硬化・老化を有効に防ぐ働きをもつ成分としても注目されています。
栄養素もビタミン,ミネラルともに豊富に含むほか,特にビタミンCが多く含まれます。ビタミンCは代表的な抗酸化ビタミンのひとつで,苦味成分との相乗作用でがんや老化の抑制効果を高めるほか,ストレスの軽減に対して有効に作用。このほか,ナトリウムの排出を促すカリウムの含有量も比較的多く,体内の水分バランスを失いやすい夏場には貴重な健康野菜といえるでしょう。共存する抗酸化ビタミンであるピタミンEは,「老化抑制ビタミン」とも呼ばれます。(がん予防,老化の抑制,動脈硬化の予防,夏バテの防止)
◆調理との組み合わせのコツ
皮の苦味が苦手な人は,塩もみしてさっと熱湯に通すか,直火であぶると食べやすくなります。ビタミンCは水溶性なので,下ごしらえは食べる直前に。油炒めならビタミンCを大きく損なうことはありませんが,加熱は手早く,シャキッとした歯ごたえを残す程度に。ビタミンEを多く含むごま,カシューナッツなどと和えれば,老化抑制や美肌づくりにも最強の一品になります。
※平成22年の夏も夏ばて防止の食材としておいしく食した今年のゴイ,沖縄タイプのずっしりさんは,9月18日(土)にゴイ棚のイザラを取り除き,隣の柿の木の枝にまで伸び巻きついでいたツルを整理し処分いたしました。ヤーコンの畝の中に植え付けた,旧来の細長いタイプのゴイは,生育旺盛で10月31日まで収穫を楽しみました。
※平成19年4月12日の南日本新聞の「エンジョイ園芸」に掲載された『ニガウリ』記事のPDF版はこちらに掲載しました。
※平成23年1月の南日本新聞に挟み込んで配付された生活情報誌『てぃーたいむ』の中の『菜園クラブ』に掲載されていました「緑のカーテン」でエコ効果も/ニガウリを添付いたします。
※平成23年7月28日の南日本新聞に挟み込んで配付された生活情報誌『てぃーたいむ』の中の『おやじの料理熟』に掲載されていました「ゴーヤーチャンプル」を添付いたします。
※平成23年8月23日の南日本新聞の中の『かごしま元気食彩』に掲載されていました「ニガウリのツナマヨ焼き」を添付いたします。
※平成24年4月26日の南日本新聞の『悠遊優』に掲載されていました「人気のゴーヤーを育てよう/摘芯して枝増やす」を添付いたします。
※市立図書館から借りてきた『現代農業』平成24年(2012)8月号の特集記事“遅出しで当てる”に「ゴーヤーを切り戻して10月出し」と,「まだ間に合う緑のカーテン」の2題の記事が掲載されていましたので,平成25年の栽培管理に向けて早速予習しました。
※平成24年9月4日(火)の南日本新聞朝刊に「緑のカーテン 絆生む」の横見出しで,鹿児島市伊敷台中央町内会の5年目を迎えたゴーヤの緑のカーテンづくり活動が紹介されていましたのでPDF版で同記事を>
※『南日本新聞』の平成25年7月3日のくらし面/「かごしま旬菜」に薩摩川内市の農家が栽培し全国へ出荷しているゴーヤに関し「夏乗り切るスタミナ源」として食改グループの皆さんの「ゴーヤの黒豚丸焼き」が紹介されていました。
※『現代農業』(平成24年10月号)の「あっちの話 こっちの話』に富山から「火傷の傷みがスッと抜けるゴーヤー水」という話題が=ゴーヤーはいろいろな料理に使われますが,富山市の清水久子さんから,ゴーヤー水が火傷にいいと教わりました。久子さんがゴーヤー水をとるのは9月下旬から10上旬。ゴーヤーを十分食べたら,茎を切って最後にゴーヤー水をとるそうです。朝仕込めば,翌日の夕方には500ミリリットルのペットボトルが満タン。一株から4~5本分とれます。集めたゴーヤー水は,お茶パックで漉し,1年くらいは常温で保存できます。ただ,緑色のオリが底に溜まるのでそこはよけて使っています。使い方は,火傷したところにゴーヤー水を塗るだけ。これでスッと傷みが消えるそうです。熱いフライパンなどにふれて火傷したときには試してみてください。またお風呂に100㏄ほど入れれば,あせもや乾燥肌などのかゆみにもよく効くそうですと紹介されていましたので,台風17号が駆け足で通り過ぎ去って行った平成25年9月4日,台風の被害は受けなかったもののもう飽き過ぎる程に頂いたゴイ棚を整理し,刈り取った後にゴイの根茎をペットボトルに差し込み右写真の要領で「ゴイ水液」を一昼夜かけ採取しました。(平成26年は,9月7日にゴイ棚を整理した際にペットボトル5本採取=採取日が満月に近く,昨年と比べると採取量は少なかった。)
※平成26年9月12日(金)の南日本新聞の読者投稿の紙面『ひろば』に鹿児島市内にお住いのYKさん(76歳)が,「ゴーヤー」と「ニガゴイ」についてと題した投稿をされており,鹿児島県民としてもっともなご意見に大いに賛同し,投稿文を紹介します。
鹿児島生まれの鹿児島育ちの人が「ニガウリ」のことを「ゴーヤー」と言っているのを聞くと,少し腹が立ちます。
鹿児島には昔から,「ニガゴイ」という立派な言葉があり,知らない人はいない夏野菜のひとつです。ゴイというのは瓜の意味らしく,からす瓜のことはクソゴイと呼んでいました。
それなのに,本家のニガゴイを見捨てて,沖縄の方言であるゴーヤーと呼ぶのは,鹿児島のニガゴイがかわいそうでなりません。ニガゴイとゴーヤーに微妙な違いがあるのなら話は別ですが,私の見たところ,全く同じ形,色,味で,違いはないようです。
「ゴーヤーは全国区じゃらい。ニガゴイは地方区じゃっが。お前が余計な心配をすんな」と言われれば,「そうや。ごぶれさあごあした」と引き下がりますが,せめて全国にも通じるニガウリと呼んであげて,ニガゴイたちのメンツを立ててやったら,どうでしょうか。
今,ニガゴイの実は真っ黄色に熟れて割れ,夏も終わろうとしています。ニガゴイドン,アイガトゴアシタ。
美容,健康に二ガウリ=レイシ,ゴーヤー,ニガゴイ等といろいろな名称で呼ばれているニガウリは夏場のスタミナ野菜です。鹿児島は全国3位の生産量で肝付や志布志など大隅半島で生産が盛んです。生育旺盛で病害も少なく,日照と気温と十分な水さえあれば肥料などをほとんど使わなくても育ちます。日よけの「緑のカーテン」として栽培されることも多くなりました。抗酸化作用のあるベータカロテンやビタミンCを豊富に含むため美容効果が期待でき,苦味成分のモモルデシンやチヤランチンには糖尿病や高血圧を予防する効果が期待できます。色が濃いと苦味が強いといわれているため,苦味の苦手な人は薄めの色のニガウリを選ぶとよいでしょう。水にさらしたり,塩もみしたり,さっとゆでたりしても苦味が抑えられます。おひたし,酢の物,漬物などで食卓に彩りを加えてみてはいかがでしょうか。(平成28年6月15日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
夏のスタミナ野菜=ニガウリは夏を代表するスタミナ野菜です。夏パテ防止だけでなく,緑のカーテンとしても活躍します。鹿児島は生産が盛んで,生産量は全国第2位です。抗酸化作用のあるベータカロテンに加え,ビタミンB1,Cを含み,疲労回復や美容に効果が期待できます。苦味成分のモモルデシンはコレステロールや血糖値を抑え,食欲を増進するといわれています。太くて緑色が濃く,イボが密集し,弾力のあるものが新鮮です。調理する際は,中の白いわたと種は苦味が強いので周り除きましょう。水でさらしたり,塩もみしたり,さっとゆでたりすると苦味が抑えられます。豚肉や豆腐と妙めるゴーヤーチャンプルーは疲労回復効果をさらに高めます。他にもおひたし,酢の物,漬物などで食卓に彩りを添えてみてはいかがでしょうか。(平成29年7月12日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
スタミナ野菜の二ガウリ=ニガウリは夏を代表するスタミナ野菜で,レイシ,ゴーヤー,ニガゴイといろいろな名称で呼ばれています。鹿児島県内各地で栽培されており,生産量は全国第2位です。害虫に強く,肥料などをほとんど必要とせず,「緑のカーテン」として栽培されることも多いです。ビタミンCを豊富に含み,100㌘当たりの含有量はレモン約3個分で,紫外線で傷んだ肌の修復や免疫力の向上などに矧栗があります。さらに,苦味成分のモモルデシンには血圧や血糖値を下げる効果や,食欲増進作用があるといわれ,夏パテ予防にピッタリです。いぼが密集し,ほどよい弾力があり,みずみずしいものが新鮮でお薦めです。調理する際は,中の白いわたと種は苦味が強いので取り除きましょう。ゴーヤーチャンプルーや酢みそあえなどのニガウリ料理で元気に夏を過ごしましょう。(平成30年6月20日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
夏バテ予防にニガウリ=レイシやゴーヤー,ニガゴイなどの名称で呼ばれており,鹿児島県内では各地で栽培され,生産量は全国でも上位となっています。抗酸化作用のあるベータカロテンに加え,ビタミンCを豊富に含み,風邪予防や美容に効果が期待できます。苦味成分のモモルデシンには血圧や血糖値を下げたり,食欲を増進させたりする作用があるといわれ,夏パテ予防にピッタリです。表面のいぼが隙間なく詰まっていて,程よい弾力があり,みずみずしいのが新鮮です。緑色が濃いと苦味が強い傾向にあるため,苦味が苦手な人は色が薄いものを選ぶとよいでしょう。調理する際は縦半分にカットし,中の白いわたと種をスプーンで取り除きましょう。ゴーヤーチャンプルーやおひたしなどのニガウリ料理で,これから迎える暑い夏を乗り切りましょう。(令和元年7月10日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
夏パテ予防にゴーヤー=ニガウリ(苦瓜)は,レイシやゴーヤー,ニガゴイとも呼ばれます。7~8月に流通量が最も多い,夏を代表するスタミナ野菜です。鹿児島県内各地で栽培され,生産量は全国でも上位となっています。ビタミンCを豊富に含み,風邪予防や美容に効果が期待できます。ビタミンCは加熱すると壊れやすいですが,ニガウリに含まれているものは壊れにくいのが特徴です。特有の苦味はモモルデシンという成分で,胃腸の粘膜の保護や,食欲増進作用があるといわれ,夏パテ予防にピッタリです。色が濃いと苦味が強いといわれており,苦手な人は色が薄めのものを選びましょう。乾燥しないようにぬれた新聞紙などにくるんで冷暗所に置いておくか,ナイロンやポリ袋に入れて野菜庫で保存してください。ゴーヤーチャンプルーやおひたしにして暑い夏を乗り切りましょう。(令和2年7月8日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ゴーヤーで夏乗り切ろう=ゴーヤーは代表的な夏野菜で,沖縄県で使われている呼び名です。和名は「ツルレイシ」または「ニガウリ」といいます。畑で育てられますが,“緑のカーテン”として栽培されることも多いです。栄養価が高い野菜で,ビタミンCとベータカロテンを多く含み,風邪やがんの予防,美容効果があるとされます。苦味成分のモモルデシンは血圧や血糖値を下げ,食欲増進や夏パテを予防するとされます。イボがすぎ間なくぎっしり詰まっていてほどよい弾力があり,みずみずしいものが新鮮です。豚肉や豆腐と妙めるゴーヤーチャンプルーが有名ですが,酢の物,漬物,揚げ物,妙め物などさまざまな調理方法で食べられます。薄く切ってしょうゆ,かつお節であえたものや,輪切りにして肉詰めしたものもおいしいです。ゴーヤーを食べて,暑い夏を乗り切りましょう。(令和3年7月28日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
二ガウリで夏パテ予防=夏が旬のニガウリは,レイシやゴーヤーなどの名称で呼ばれています。鹿児島県内では各地で栽培され,生産量は全国でも上位となっています。抗酸化作用のあるベータカロテンに加え,ビタミンCを豊富に含み,風邪予防や美容に効果が期待できます。苦味成分のモモルデシンには,血圧や血糖値を下げたり,食欲を増進させたりする作用があるといわれ,夏パテの予防にピッタリです。表面のいぼが隙間なく詰まっていて,程よい弾力があり,みずみずしいものが新鮮です。緑色が濃いと苦味が強い傾向にあるため,苦味が苦手な人は色が薄いものを選ぶとよいでしょう。調理する際は縦半分にカットし,中の白いわたと種をスプーンで取り除きましょう。ゴーヤーチャンプルーやおひたしなどのニガウリ料理で,暑い夏を乗り切りましょう。(令和4年7月13日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ゴーヤーで夏パテ防げ防=ゴーヤーは代表的な夏野菜で、主に沖縄県で使われる呼び名です。和名は「ツルレイシ」または「ニガウリ」。エコ対策で「緑のカーテン」に使われているのを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。 ビタミンC、カリウム、カロテンなどが豊富で、特にビタミンCは油で妙めても減りにくい特長があります。独特の苦み成分はモモルデシンと呼ばれ、血圧や血糖値を下げる効果や食欲増進作用があり、夏パテ予防にぴったりです。鮮やかな緑色で変色しておらず、重みのあるもの、イボが隙間なく詰まって程よい弾力があり、みずみずしいものを選びましょう。色が濃いと苦みが強い傾向があるので、苦手な方は色の薄いものを選ぶのもポイントです。種とワタをとり、キッチンペーパーに包んで冷蔵庫で保存すると長持ちします。妙め物やおひたし、酢の物、揚げ物などさまざまな料理でお楽しみください。(令和5年6月21日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『新野菜つくりの実際/果菜Ⅱ』(農文協),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『農家が教えるキュウリ・ウリ類つくり』(農文教),『やさい畑』(2022年初夏号)
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【葉菜類】
おかのり
平成29年に初めて我が小菜園に出場した野菜で,3月中旬に種を播き5月のGW明けから収穫を楽しんでいます。ヨーロッパ原産の一年草で,オクラと同じアオイ科の植物です。中国原産の「フユアオイ」の変種ともいわれており,江戸時代中期に日本へ伝わったと考えられています。春から夏にかけて旬を迎えますが,5月中旬から11月中旬まで長く収穫することができます。別名として「ノリナ」「ハタケナ」とも呼ばれています。名前はその葉の性質からで,生のまま包丁で細かく叩くと海苔のように粘りが出る事や,葉を乾燥させ,さっと火にあぶると海苔のようになるからだそうです。
葉は5方に広がる形をしていて,葉の表面はつやが無く少しざらっとした感じです。
種播き時期は春と秋で,土壌を選ばず,害虫は付きにくいとされています。栽培しやすく,全国各地で栽培が可能で,無農薬栽培や家庭菜園で育てやすい野菜ですが,放っておくと1~2㍍ほどの高さまで育つので,若いうちに摘心して,柔らかくコンパクトに育つように努めましょう。また,暑さに強い品種ですが,あまりに気温が高かったり,日差しがきつかったりする日が続くと,水分や肥料が不足して茎や葉が硬くなるので注意が必要です。葉数が10~15枚ぐらいで収穫するか,茎の柔らかい部分を15㌢程の長さで摘み取って収穫しても良いとされています。主軸を収穫すると,後から脇芽が次々伸びてきて長期間にわたって収穫することができます。
収穫は,初夏の5月上旬頃から霜が降りる11月中旬頃まで,長期間続けられ,夏野菜と考えていいでしょう。
食用にする葉は,手のひらより小さいくらいまでの物が軟らかくて美味しく,葉先までみずみずしい黄緑色の葉を収穫しましょう。鮮度が落ちると葉が黄色くなってきます。
通常は下茹でしてから色々な料理に用います。少しぬめりがありますが,これが好きな人にはたまらない感じ。味自体にクセは無く,青臭さもあまり感じません。茎の部分は固さを見て,根元など固い所があれば切り落とし,柔らかい部分だけ食べると良いでしょう。茹でたものを青菜類と同じようにお浸しや和え物にしても美味しいです。
他の食し方としては,特徴であるぬめりを活かし,細かく叩いて納豆やとろろと混ぜ合わせても良いですし,大葉のように片面に衣を付けて天ぷらにしても美味しいです。我が家ではもっぱら味噌汁の具に使ったり,他の野菜などと共に炒めものに加えて食卓を飾っています。またご近所の奥さんにおすそ分けすると,〇〇スーパーで見かけましたとの反応があり,知らなかったのは私だけだったようです。
収穫する葉は,つわの葉やオクラの葉に似た切れ目と,大きめで厚みがあることが目安。10枚ほどの葉をまとめて株ごと抜き取るか,15㌢ほどの長さを摘み取って収穫します。また,オクラと同様に粘り気はあるものの,クセのない味なのでカレーなどの煮込み料理とも相性がよく,モロヘイヤに近い使い方=軽く茹でた後に粘りが出るまで叩き,かつお節や醤油,白ごまなどを加えて=の調理もできます。
おかのりにはビタミン類,特にビタミンB1とカルシウム,鉄分も豊富に含まれ,茹でるとヌメリが出るので食べやすく,夏場の食欲がないときでも食べやすいです。
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のらぼう菜
平成26年9月,月2回のリサイクルに出かけたXが,菅原神社下の先輩農家のKさんから頂いてきた,S種苗店がお客さんに配った「日頃の感謝の気持ちです~幻の野菜 のらぼう菜 育てやすく 日本一美味しい野菜のらぼう菜とは?」との種袋に着けられた案内書には,菜の花に良く似ていますが,春先にとう立ちした花茎を摘み取り食す。おひたしをはじ,花部分をてんぷらにしたり茎部分にマヨネーズをつけたり,葉部分をさっと妙めて食べても美味しい。味は菜の花よりも苦くなく食べやすく栄養価も高く,ビタミンA・Cのほか,鉄分,食物繊維なども豊富。
種まき時期:9月中旬頃(害虫がいなくなる時期)10㌢間隔で筋播きして,肥料はやらない。
苗床つくり:9月下旬から。7~10㌢になったら10㌢ポットに移し替える。たい肥と野菜尉配合肥料(10粒程度)を少しづつ(2回程度),畑に直接植える場合は
10月初旬に行う。プランターにも植えられます。成長すると80㌢~100㌢位の高さになります。
移植時期:11月頃。30㌢程になったら50㌢位の間隔で畑に植え替へる。(ポイント=棟間をあけて大株に育て,翌春,伸びだす花茎を収穫する)
収穫時期;3月頃~4月くらいまで。新芽が生えてくるので若芽を摘む。 との説明書をもとに9月21日に種を播き,10月23日に定植したのらぼう菜。
市立図書館から借りてきた本によると,江戸時代後期に関東郡代伊奈忠宥が地元の名主小中野四郎右衛門と網代五兵衛に命じ,「闍婆(ジャバ)菜」という名でのらぼう菜の種子を江戸近郊の村々に配布した記録が残り,のらぼう菜の普及によって「天明の大飢饉」・「天保の大飢饉」の際,人々を飢餓から救ったと伝わる洋種ナタネの一種の野菜で,東京都の多摩地域西部に位置するあきる野市の子生神社(こやすじんじゃ)には,この事績を記念して「野良坊菜之碑」が昭和52年に建立されており,東京都西多摩地方で多く栽培されるアブラナ科アブラナ属の野菜で,耐寒性に優れ,かき菜などの「なばな」と同系統だが,在来種のアブラナ(和種なばな)ではなくセイヨウアブラナ(洋種なばな)に属する,洋種菜種の仲間で,江戸時代から東京・神奈川・埼玉のごく限られた地域で栽培されており,翌春,伸びだす花茎をかき取って利用することからカキナ,トウダチナと呼ばれることもあります。ナバナより苦みが少なく,甘みが強いことから最近注目の野菜。
我がこざ園では,2月末から収穫できるようになりましたが,南帰行途中に立ち寄ったヒヨドリの群れに目ざとく見つけられ,菜園主が口にする前に食害被害に遇い,慌てて畝全体を不燃布で覆って,膨らみ始めた蕾を花茎の下から摘み取り,苦味のない甘味のある“幻の野菜”を食し(おひたし,ごま和え,味噌汁など。油とよく合うので炒めても美味),ご近所さんからは,「そん野菜は?」と尋ねられるたびに摘み取り,江戸時代からの伝統野菜の味を味わってと紹介しています。
■知っておきたい効用
ビタミン・ミネラルを多く含む緑黄色野菜の仲間で,特に豊富なビタミンCは,ほうれんそうよりもかなり多く,わずか2分の1量で1日の摂取目安量を軽くクリアしてしまう計算です。β‐力ロテン,ビタミンB2・Eなどの抗酸化作用をもつビタミンもそろって豊富で,活性酸素の働きを抑え,細胞の老化やがんから体をガードします。ほかにも免疫力を高めて風邪のウイルスから体を守り,肌荒れを防ぐなど,さまざまな健康効果が得られます。
高血圧の予防に働くカリウムも,豊富に含まれます。こまつなと同じように多いカルシウムは,血行をよくして高血圧の予防に働くほか,骨租しょう症の予防に効果を発揮します。貧血に効く葉酸や鉄などの栄養素も含まれています。(がん予防・高血圧の予防・改善・老化の抑制・骨粗しょう症予防)
※わがこざ園での平成27年の「のらぼう菜」の種播きは,9月11日に済ませ,10月15日に定植し,残った苗はご近所さんに提供しましたが,「やさい畑」2015年秋号に「摘芯で脇芽を伸ばし花茎の収量アップを目指す」と題したのらぼう菜の育苗・植え付け・摘芯・収穫作業のポイントが紹介されていました。
※平成から令和に元号が替わった令和元年は,5月末から自家採種のため小屋に保管しておき乾燥した莢を手でほぐし,今年で6代目となる種を9月6日に種床に播き,9月21日に2号ポットに取り上げ移植し育苗中の苗を,前年と比べると1カ月から早い台風18号が強風域にも入らず東シナ海を北上し通り過ぎた令和元年10月3日に株間50㌢の元肥を施した畝に定植し,暖冬の影響か前年と比べ2週間も早く,令和2年1月30日から2日間隔で若芽の収穫を楽しんできましたが,鹿県内でも新型コロナウイルス感染者3例目が確認された令和2年4月3日に種採り用2本を残し,抜根・整理しました。
※『現代農業』(2016年5月号)の「わき芽を売る」の特集記事の中に,ずっと太いのらぼう菜の連続わき芽収穫術が神奈川県の先輩農家の栽培方法として紹介されていましたが,
ずっと同じ大きさのわき芽をとり続ける方法として,まず,最初の収穫の際,一番下の葉から上5㌢くらいを残すように切り取り,そこに残した葉20数枚を親菓として,親葉からは三本以上のわき芽が伸び,10日後には長さ25㌢以上となって2回目の収穫が。その10日後にはまた同様に,3回目の収穫ができます。
2,3回目の収穫をする際は,一番下の葉を残して収穫すると,その葉が親葉となって,次のわき芽が伸びてきます。3月下旬になると気温が高くなるとわき芽の生長が早く,大きく伸びてしまうので,4回目の収穫時は上のほう25㌢だけ切り取り,残った部分は一番下の葉だけ残して切り戻します。
わき芽は株元に近いところから出たものほど太くなります。切り戻さないと,上のほうの葉の付け根から,細くて旨味のないわき芽が伸びてしまうので生長点をなるべく低い位置まで切り下げることで,良質ののらぼう莱(わき芽)を最後まで収穫できます。
栽培の秘訣は地際収穫=収穫はなるべく地際ですること。常に地際近くからわき芽が伸びるようにしてやること。わき芽は低い位置からでるもののほうが断然太くてやわらかい。草丈が40㌢くらいの株になったら最初の収穫。地際5~10㌢で切り,上から25㌢くらいを収穫し続ける。芽が長く伸びるなってきてからは,収穫のたびに切り戻していく。先輩農家の発想の着眼点=植物は,頂点に栄養を持っていくようにできているので,なるべく地際で収穫して下からわき芽が出るようにしてやると,太くなる。
◎寒さに強く土地を選ばず栽培でき,冬に栽培するので害虫がほとんど着かず,他のアブラナ科野菜が春にトウが立って出回らない中にあって,そのトウが売り物になり大変甘くて美味しく,行列ができるほど売れ,クセがないので,天ぷらやおひたし,からし和え,ごま和え,ツナマヨネーズ和え,ベーコン炒め,一夜漬け,サラダ,おすましなど,どんな料理にも合い,朝昼晩と一日に三度食べても飽きない不思議な野菜ですと紹介されていました。
※※『現代農業』(2018年3月号)の「とにかくうまい!春はつぼみ菜・わき芽で稼ぐ/のらぼう菜多収の秘密」の特集記事の中で,一番最初の収穫時期が肝心。節間が伸びて,蕾が顔を出してくる前に,株元近くの低い位置に鎌を入れるのがコツと神奈川県川崎市の先輩農家は,収穫はなるべく地際近くから。株元の低い位置に鎌を入れれば,次のわき芽も低い位置から出る。わき芽は低い位置から出るもののほうが断然太くて柔らかいと,ナバナを栽培し続けて70年の栽培技を紹介されていました。
種採りは筒単=のらほう菜には交雑しにくい特徴があり,種採りができます。種採り用に株を1~2本残しておき,花を咲かせたままにすると,やがて莢ができますが,中の種が熟すまでにはさらに日数がかかります。種採りする株だけを後作の邪魔にならない場所へ移植しておくことも可能です。種採りは莢がまだ湿っている午前中に,口の大きなビニール袋へ直接切り落とし,そのまま乾燥させます。莢が自然に割れ,中の種が袋の中にこぼれ簡単に採種できます。それを秋に種床に播き育苗・定植し春に収穫を…。
栄養豊富なナバナ=「菜の花」や「花菜」とも呼ばれるアブラナ科の野菜で,日本へは奈良時代以前に伝わり,食用や油を採るため栽培されました。主な栄養素は,抗がん作用や免疫力を高めるベータカロテン,造血作用のある葉酸,整腸作用のある食物繊維など。カリウム,カルシウムといったミネラル類も豊富です。ベータカロテンは体内でビタミンAに変換され,毛髪や視力,皮膚,呼吸器系を保護する役目も果たします。油で妙めると効率よく摂取できます。
つぼみが開いておらず小さく締まって,葉と茎が柔らかく張りがあり,切り口がみずみずしいものを選びましょう。乾燥しないようビニール袋に入れ,冷蔵庫の野菜室で根の方を下にして保存してください。さっと塩ゆでしておひたしやあえ物にしたり,妙め物やソテー,天ぷらなどでお楽しみください。平成30年2月14日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
春感じるナバナ=春を感じさせるナバナ(菜花)。「菜の花」や「花菜」とも呼ばれるアブラナ科の野菜で,若くて柔らかい花茎や葉,つぼみを食用にします。免疫力を高めたり,風邪やがん予防などに効果が期待できるベータカロテン,造血作用のある葉酸や整腸作用のある食物繊維を多く含みます。豊富なベータカロテンは,油で妙めると効率よく摂取できます。おひたしなどでゆでるときは,茎の太い部分と柔らかい葉の部分を分けて,先に茎から鍋に入れると均等に加熱できます。少し歯応えが残るくらいの硬さで湯から上げるのが良いでしょう。葉と茎が柔らかくて張りがあり,切り口がみずみずしく,つぼみが開かずに小さく締まっているのが良品です。硬めにゆでて水気をよく切ったものを小分けにしておくと,少しずつ使えて便利です。平成31年2月13日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
独特の苦み味わえるナバナ=ナバナ(菜の花)は春を告げる代表的な食材です。ベータカロテンが豊富で,抗発がん作用や免疫を活発にする作用があります。体内でビタミンAに変換され,髪や視力,粘膜,皮膚の健康,呼吸器系統を守る効果があるとされています。カリウム,カルシウム,鉄なども豊富で,骨を丈夫にし,健康維持に役立ちます。花が咲いていない若いもので,葉や茎がシャキッとした新鮮なものを選びましょう。そのまま置いておくとすぐにしなびてしまいます。ぬらした新聞紙などでくるみ,袋に入れて野菜庫に立てて保存すると,持ちがよく茎が曲がりません。さっとゆでて,おひたしやあえ物にするほか,下ゆで後に妙め物,ソテーにすると歯触りが気持ちよく,独特の苦みを味わえます。天ぷらにしてもおいしくいただけますので,いろいろな味をお試しください。令和3年2月17日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
参考図書:金子美登著『有機・無農薬でできる はじめての家庭菜園』(成美堂出版),『やさい畑』(家の光協会)2014年秋号・2015年秋号・2017年秋号・2020年秋号,2021年秋号,『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜だより』(2015年冬号),『現代農業』(2016年5月号・2018年3月号),『野菜塾』(技術評論社),『農家が教える野菜づくりのコツと裏ワザ』(農文協)
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紅菜苔(コウサイタイ)
「放任でよく育ち,味がよい。花菜の仲間にはなんらかの苦みやえぐみがあるものだが,紅葉苔にはほとんどない。茎の赤紫と葉の緑,花の黄色のコントラストの美しさから,景観作物としても人気がある。苦み,えぐみなしの中華ナバナ,あるのは甘みとシャキシャキ感だけ。
紅菜苔は中国の揚子江中流地帯が原産とされるナバナの一種だ。「この野菜がうまく作れなかったら,野菜づくりはやめたほうがいいと思います」と栽培・料理指導者がこんなきつい冗談を言うほど,紅菜苔は育てやすい。種はばらまきでOK。間引きは1回でいい。
先に大きく伸び上がった茎からポキポキ摘み取っていくとわき芽がどんどん出て,2か月近くは収穫を楽しめる。クセのない味で食べ飽きず,色もきれいなので近所におすそ分けしても喜ばれる。
「注意点が1つだけ。彩りがきれいな野菜なので,種袋には黄色い花が咲いた写真がよく使われていますが,あの状態ではとり遅れ。ほかのナバナと同じく,花が咲いてしまうと,硬くなって味が落ちます。かならずやわらかなつぼみのうちに摘み取りましょう」とアドバイス。
元肥さえしっかり効いていれば旺盛な勢いで生長するので,食べごろの茎だけをぜいたくに選ぶ,くらいの摘み方でいい。採り時を逸した茎は折り捨てる。花が咲いたままにしておくと,種づくりに栄養が取られ,株が老化しやすくなる。茎や葉柄の美しい紅紫色は,加熱すると消えてしまう。食べきれないほどとれるので,数本のつぼみを生けて飾るのも一興。食卓の楽しい演出になる。」―という『やさい畑』(2017年秋号)の「個性派野菜を育てよう」の紹介文に刺激を受け,
平成29年の10月上旬に種を播いた,中国野菜の紅菜苔。年が明けて1月末から収穫を楽しみ,3月になってからは,4年前から栽培している菜花で江戸野菜の「のらぼう菜」と味比べを楽しんでいます。
二年草で,チンゲンサイ(タイサイ)やターツアイ,また,身近なキャベツやハクサイなどと同じアブラナの仲間で,和名は紅葉花(ベニナバナ)と呼ばれ,とう立ちした花芽とその若い茎や葉を食べます。同じように花芽を食べる「菜の花」と同じく,なばな類と言えます。
わが国では,昭和40年代後半から本格的な栽培が始まったようで,まだあまり知られていませんが,育て方に難しいところはなく,比較的簡単に収穫を迎えることが可能です。花は菜の花に似ていますが,コウサイタイ(紅菜苔)は菜の花より寒さに強く,寒い時期ほど,赤紫色が濃く鮮やかになるようです。
菜の花にはない赤紫の色素,アントシア二ンが含まれています。しかし,これは茹でると鮮やかなグリーンになります。酢を加えて茹でると色をある程度残すことができます。
コウサイタイ(紅菜苔)は菜の花の様な苦味が感じられません。味にクセがなく,茎はほんのりとアスパラの様な甘味を感じます。軽い歯触りがあり,茹でると少しヌメリもでて,非常に美味しいです。
花菜と同じ仲間で,花蕾と茎(トウ)を一緒に食用にします。甘みと特有の風味があり,名前のとおり葉の根元やトウは赤紫色ですが,熟を加えると濃い緑色になります。
基本的に病気に強い野菜ですが,中性に近い弱酸性の土を好むため,栽培の前には忘れずに苦土石灰を用いて酸度を調整しておく必要があります。
■知っておきたい効用
菜の花は独特の苦みがあるため,苦手な方も大勢いらっしゃいますが,食用菜の花には実は健康と美容維持に効果的な栄養素がぎっしり詰まっていることが判明しています。なかでも花が咲く蕾の状態の菜の花は,たいへんおいしいと評判で,蕾の部分に菜の花の栄養がギュツと詰まっているため,健康と美容維持にもってこいの食材だと言われています。
菜の花は,とてもヘルシーで,タンパク賃・脂質・炭水化物・食物繊維を含み,特にビタミンCの含有量は野菜のなかでもトップクラスの含有量をほこり,ビタミンやミネラルをほどよく含んでいるため,非常に栄養価の高い野菜の1つです。菜の花には,ビタミンA・ビタミンC・ビタミンBなどのビタミン類やカルシウム・カリウムなどのミネラル類がたっぷり含まれており,さらに食物繊維や辛味成分のイソチオシアネート,苦み成分のケンフェロールも含まれています。聞きなれない苦み成分のケンフェロールとは,ポリフェノールの1種で,主な働きは体内のエネルギー代謝を促し,脂肪燃焼をサポートすることで,ダイエット効果が期待されている今最も注目されている成分の1つです。このケンフェロールという成分には,体内に余分なものを蓄積させないように働きかけるだけではなく,溜まってしまったものを体外へ排出したり,燃焼させる作用があることも明らかにされています。辛味成分のイソチオシアネートには,貧血予防や血行不良を改善させる効能があり,さらにはデトツクス効果も期待されています。実は菜の花にはイソチオシアネートの前駆体グルコシノレートの含有量がアプラナ科のなかでもトップクラスであり,特に蕾部分に豊富に含まれているため,菜の花を食べる際は蕾を取らずに,丸ごと摂取することをお勧めします。また,葉酸も豊富に含まれているので,妊娠中や授乳中の女性は菜の花を食べると良いと言われています。血流の流れがスムーズになると,冷え性や肩こり,頭痛などの症状が緩和されますし,菜の花の苦み成分であるケンフェロールとの相乗効果によって免疫力アップや疲労回復効果も得られます。他にも水溶性のビタミンCには美肌効果があり,食物繊維にはお通じの改善などといった効果や効能が期待出来ますので,女性には嬉しい食材と言えます。
菜の花は,漢方の世界でもたいへん有名で,中国の薬物書「本草綱目」には「熱を伴い炎症及び腫物を治癒し,鬱血・癒血を除き,血液の滞りをなくす」と記述されています。(がん予防・視力維持・貧血予防・血行不良・冷え性・肩こり・頭痛・疲労回復・便秘予防・老化抑制・骨粗しょう症予防)
参考図書:『やさい畑』(2017年秋号,2018年夏号),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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パクチー(コリアンダー・香菜)
平成25年8月号の「現代農業」の記事に「3回食べたら病みつき!? パクチーは夏にも食べたい,食べてもらいたい」=大嫌いが大好きに変わる野菜・香りで勝負・葉っぱだけでなく,花も実も売れる・パクチーの発芽名人になるの記事を読み,どんな独特な匂いや味の野菜なのかと興味を持つ中,サカタの種から「独特な香り エスニック料理に」・「独特の強い香気は慣れない人にはびっくりするほど強烈」と記された種袋が販売されていたので,興味本位に買い求め,大粒の種(1つの実に2つのタネが入っている)を先ず手で揉んで小粒にほぐし,これを水に一晩浸し,6月下旬一畝試行的に条播きしたのが7月下旬以降収穫時期を迎えました。タネ播き時期は,4~8月と9月~10月と種袋には。
しかし,好き嫌いがあるようで,Xがご近所さんにお裾分けをしようとしても,年輩の皆さんからは「何の匂い?」と最初から嫌われる反面,若い皆さんからは「レストランで出る野菜」として評判が高いという評価が二分される香菜で,下の葉から摘み取りながら~長く収穫を楽しんでいます。
■知っておきたい効用
地中海沿岸が原産で,日本へは中国から導入された香味野菜。中国では香菜=シャンツァィ,タイではパクチー・ラーと呼ばれ,英語ではコリアンダーといいます。
主に若い葉を利用します。生の葉には独特の強い香りがあり,リナロールやゲラニオールなどの精油成分も含めて,整腸や胃を健康にする作用があります。
日本では,一般的に,果実や葉を乾燥したものを香辛料として「コリアンダー」と呼び,生食する葉を指して「パクチー」と呼び,ここ数年エスニック料理に欠かせない香り野菜として認知度も高まっています。
古代ギリシアでは種子を医薬として用いていたといわれ,古くから薬効が知られてきました。炭水化物と合わせるとその効果はさらに高まるとされ,パンやケーキなどに焼きこまれていたともいわれます。また,種子を使った湯冷ましは,強壮剤としても飲用されていたとの記録もあります。(整腸作用,食欲の増進,消化の促進,炎症緩和,鎮静効果,抗ストレス作用)
◆調理との組み合わせのコツ
中華料理では,生の葉を肉料理や魚料理に添えたり,妙め物や和え物として,あるいはスープに入れるなど彩りをかねた薬味としてよく使われます。独特の強い香りがあるので,エスニック料理にもよく使われます。タイ料理のトムヤムクンやベトナム料理の生春巻き,フォーなどには欠かせない香草です。
また,すっきりした味わいが辛い料理を引き立てるため,インドではカレーのスパイスとしてよく使われるなど,日常的に利用されています。若い葉はスープやサラダに利用し,オレンジに似た香りがする実(タネ)は香辛料として利用できます。
バクチーってどんなやつ?=日本人にはバクチー嫌いが多いと言われていますが,それは慣れていないだけ!香りの強いミョウガやシソが好きなんだから,絶対にバクチーを好きになる素質を持っています。
初心者には天ぷらがおすすめ=火を通すとバクチーの苦味が消えて,甘味が残って食べやすい。サクサクっとして,うまい!甘い!という感じ。
「花」と「緑のタネ」は生産者特権=ピンクや白のかわいい花も食べられます。タネは乾燥させた茶色いものというイメージだと思いますが,緑のうちでも食べられます。畑でつまんで噛むと,さわやかな香り(葉の香りとは全然遣う)が広がり,乾燥させた種子は「コリアンダーシード」として煮込み料理のスパイスとして利用されています。
おいしいだけじゃない!=バクチ一には整腸作用,滋養強壮作用,解毒作用,消臭作用などなど,いろんな効果があると言われています。お酒を飲むときに食べると二日酔いにもなりにくいとか。
味と寄りの強さは「葉<茎<根」=根っこは,味も香りも一番強く,スープに入れてだしをとったり,すりおろして肉科理の下味を付けたり。素揚げにしたバクルーツスティックもおいしい。
参考図書:『現代農業』(2013年8月号・平成29年2月号),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社)
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サラダからし菜(コーラルリーフ)
種袋の紫色の葉に興味を持って購入し,今初夏収穫を楽しんだ機能性野菜です。紫色の水菜の葉形をしたからし菜で,旬は春と秋。種を播く好機は,3~4月(春まき)と9~10月(秋まき)。発芽後,双葉が出たら間引き始め,本葉5~6枚で1箇所1本になるよう間引きしますが,間引き葉はベビーリーフサラダとしても使えます。追肥は春まきでは必要ありませんが,秋まきでは本葉5~6枚の頃に追肥を。
収穫期間は,4月下~5月中旬と10月上~12月下旬となり,うまみと辛みのバランスが程よく,サラダに最適です。サラダからし菜は,もともと自然にある野菜ではなく,様々な改良を加え食べやすい野菜として生み出された品種,一般的な「からし菜」ほど辛くはなく,ほんのりしたからし風味が味わえます。
種播きは,条間15㌢程度で条播きし,発芽するまでは種が十分吸水できるように灌水を行い,乾燥に注意します。晩秋~早春の低温栽培は,トンネルなどで保温して発芽促します。本葉2枚の頃に,葉が重なるところを間引き,株間を3~4㌢に広げます。草丈が20㌢程度になったら,順次収穫できます。
春種播きの場合,とう立ちが早く,草丈が20cm以上になったら,株元を切り取って株ごと収穫します。秋播きでは草丈20cm以上になったら,外葉から随時,かきとって収穫すると長期間収穫が楽しめます。春にとう立ちして,蕾が見え始めたら,先端の茎葉を摘み取れば菜花のように食べることもできます。種子を採取する場合は,開花してサヤが褐色になった頃に茎ごと摘み取り,乾燥させ種子はすって辛子として利用できるそうです。
■知っておきたい効用
紫色の葉に含まれるアントシア二ンは,目によいといわれポリフェノールの一種で,活性酸素を除去する作用があり,この抗酸化作用が,体内で作られた余分な酸化ストレスを防ぎ,さまざまな生活習慣病の予防に役立つといわれています。
また,アントシア二ンは目の健康維持,肝機能障害軽減作用があるとされています。からし菜特有のピリッと辛い風味が特徴で,サラダの彩りとして,また味のアクセントとしても利用できます。(生活習慣病の予防,健康維持,肝機能障害軽減)
◆調理との組み合わせ
別名「赤紫ミズナ」とも呼ばれ,漬け物,おひたしなど料理のアクセントに最適。シャキシャキした食感はサラダに便利で湯通し程度なら色抜けも少ない野菜です。
※紫……アントシアニン
色鮮やかな赤紫色に色づくカラシナとして「コーラルリーフ」の事を『現代農業』平成26年2月号の特集「色品種の便利帳/色品種で健康」では,次のように紹介されていました。
サンゴのような繊細いな見た目で,うまみの中にピリっとした辛さのある赤カラシナです。食感はシャキシャキとした歯ごたえがあります。細長い切葉のコーラルリーフ フェザーと、やや幅広葉のコーラルリーフ ブルームがあります。どちらもアントシアニンをミズナに比べて10倍以上も含むため,タキイの機能性野菜シリーズ「ファイリッチ」として販売しています。アシアニンは水溶性のため,生で食べるか,ゆでる場合はスープや味噌汁で食べるのがおすすめです。
栽培は容易で,プランター栽培にも適した品種です。3月上旬~4月上旬の春播きも可能ですが,アントシアニンは寒さにより生成されるため,より高い成分を求める場合は,9月上旬~10月下旬の秋播き栽培がおすすめです。
参考図書:『現代農業』平成26年2月号・平成29年2月号,『野菜だより』2014年初夏号,タキイ農園芸通販カタログ『花と野菜ガイド』(2014年夏秋号),『はなとやさい』(タキイ種苗2014年6月号)
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ルッコラ(ロケット)
川高裏の元自治会長さん=子供達の通学路沿いの学習農園的畑で,こちらも私同様に母親からの督励を受けつつ,兄弟して定年退職を機に切磋琢磨して家庭菜園に挑戦中=のMさんからハクサイ苗のお返しに,収穫した葉に加え自家採取された種をも頂きましたので,畑の一隅に今季は少々遅いかなと考えつつも10月中旬に頂いた種を3列播いたものが,生長し日々の食卓を飾っています。
旬は5~7月,11~12月でスパゲティ,ピザ,サラダなど,洋風料理によく合う,新顔の葉野菜で,食べると炒ったゴマのような香ばしさが口中に広がり,ピリットした辛味も特徴です。地中海原産で,イタリアではルッコラ,フランスではロケットと呼ばれ,高栄養野菜とし若い皆さんに注目されています。
種を播く場所は,日当たり,水はけのよい場所を選びます。堆肥,化成肥料を均等にまき,深さ20cmまで耕し,土を盛り上げて畝立てをします。種は条播ききに,ふるいで土を薄くかけ,上から手で押して,土と種を密着させ,じょうろで水を十分に与えます。
種まきから2週間も経つと本葉4~5枚になり,間引きをして株問を広げます。その後の管理としては,極端に乾燥が続いた場合にだけ水を与えます。その他は追肥も不要で,収穫までまったくといってよいほど,手間がかかりません。
5週間もすると草丈が15cmくらいになり,早めに収穫します。放っておくと大きくなり,葉も茎も硬くなり,おいしくなくなります。
失敗しない栽培のポイントとしては,種蒔き可能な時期は比較的長い(5~6月,8~9月)ものの,寒さに強く,暑さに弱い性質を持っていまので,じめじめした梅雨時は,病気が発生しやすいので,涼しい時期に栽培するのがポイントの野菜です。アブラムシ等の害虫が着くので寒冷紗等で覆って防除すると手間が省けます。
※平成30年9月号の『現代農業』の読者投稿欄「こっちの話」に,栃木県那須塩原市の農家が,春夏秋冬年4回,育苗・定植し栽培しているルッコラの虫食いや葉先枯れで残った株をそのまま残し,トウ立ちしつぼみ菜になった所を摘み取ると,その後は脇芽が出てくるので繰り返し収穫,1株から30本以上のつぼみ菜を収穫し,直売所で販売しており人気の品に。イタリアでは,トウ立ちしたルッコラをパスタに加えて食べているとの話がヒントになったとの紹介記事が。
■知っておきたい効用
「ロケットサラダ」の名称でも知られるアブラナ科のハーブ。舌先にピリッとくる辛味と,ごまの香ばしい香りが口に心地よく,サラダや付け合わせ材料として人気があります。
抗酸化作用に優れるとされるビタミンA・C・Eがともに豊富なうえ,カルシウムも,高カルシウムで知られるこまつなと肩を並べるほどです。一回の使用量は少なめですが,よく摂ることを心がけて。
心地よい辛味の正体は,わさび,からし,大根などにも含まれる刺激成分のアリルイソチオシアネート。この成分には抗菌・抗がんの働きがあるとされています。さわやかな香りと辛味は料理の風味をアップさせるため,食欲不振や胃もたれの解消にも一役買ってくれます。
また,解毒効果があるとされるゲルコシノレートなども含まれています。(皮膚・粘膜の保護,がん予防,免疫力の増強,骨粗しょう症の予防)
◆調理との組み合わせ
美肌づくりに効果のあるβ‐力ロテンは,脂溶性なので油脂と一緒に調理すると吸収率がぐっと高まります。牛肉のサーロインステーキや炭火焼きの付け合わせとして食べれば,効力がアップ。カリカリに焼いたベーコンや,フライにした鶏レバーなどにのせるのもよく合います。
辛味が苦手でなければ,生ハムなどと合わせてサラダにして生で食べるのもよいでしょう。独特の辛味が,ひと味遣う一品に仕立ててくれます。熟に弱いビタミンCもたっぷりと摂れます。
※タキイ友の会誌『はなとやさい』の2013年5月号の「知っている人だけ得をする!家庭菜園の裏ワザ」にインゲン植栽の裏ワザとして「インゲンとルッコラを混植すると品質のよい莢が収穫できる」という裏ワザが掲載されていました。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『現代農業』(平成29年2月号),『これならできる!自家採種コツのコツ』(農文協),『タネのとりかたもわかる!おいしい野菜づくり』(池田書店),『藤田智の新・野菜づくり大全』(NHK出版)
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バジル
リラックス効果が高く「ハーブの王様」とも言われ,世界中の奥さん方に愛されているハーブのバジル(「スイートバジル」),平成27年は,3月22日に連結トレイに種を播き,育苗トンネル内で生育を図り,5月12日に畑に定植しました。
6月になると気温の上昇に合わせ,草丈が伸びて収穫の時期を迎えました。昨年は霜が降る11月上旬まで摘んでも摘んでも次々と伸びてくる芽(香り成分は,熱に弱いので料理の盛り付け直前に手で葉を千切って使用します)を摘み取り,日々のサラダ等の具材に供されましたが,独特の芳香はイタリア料理に欠かせない素材として,近年ポピュラーになっており,近所の退職農家仲間も畑の一隅に数本植付けています。熱帯アジア原産のシソ科の多年草(日本では一年草)で,別名をメボウキといいます。水に浸けたタネの表面がゼリー状になり,それで眼を洗浄したことから,メボウキ(目箒)と呼ばれるようになったそうです。草丈は40~60cm程度まで伸び,育てやすいのが特徴です。
熱帯原産なので,日当たりがよい場所を好み,気温が高くなるにつれて生育がおう盛で,夏から収量がグッと増えます。水はけのよい土でよく育つので,水はけがよい場所を選びましょう。茎がのびたら順次収穫し,脇芽を伸ばすようにして育てると,大量に収穫できます。また,肥料や水を十分に施し,蕾が見え始めたら摘蕾すると,霜が降りるまでの長期間,柔らかい葉を収穫できます。苗が生長して伸びてきたら,芽先を摘んで脇芽を伸ばします。脇芽が伸びてきたらその脇芽の芽先を摘みます。これを3~4回繰り返すと枝の数が増えぐんぐん茎を伸ばして葉を付けていくので,肥料も切らさないようにしましょう。風通しが悪いと梅雨時期に蒸れて下の方の葉が枯れあがってしまうことがあるので,混み合っている部分は切り落として風通しを良くしましょう。
■知っておきたい効用
熱帯アジアからインド,アフリカを原産地とするシソ科のハーブで,さわやかな甘い香りと,かすかな苦味が特徴でイタリア料理やタイ料理でよく使われます。イタリア語では「バジリコ」,日本語では「目箒(めぼうき)」です。
非常に多くのβ‐力ロテン,カリウム,カルシウムを含みます。相性のよいトマトと一緒に調理すれば,トマトのリコピンによる抗酸化力も加わって,がん予防や動脈硬化予防,コレステロールの上昇抑制や血圧の改善など,幅広い効用が期待できます。
独特の清涼感ある香りは,リナロールやオイゲノールなどの複数の精油成分によるもので,さわやかな香りで食欲を高めてくれるほか,抗菌作用,消化促進作用でも知られています。また,神経を鎮める作用もあり,古代ギリシャ・ローマ時代には,うつ病や不眠症のための精神安定剤として使われていたと言われています。(消化促進,抗菌・解毒作用,骨粗症の予防,高血圧の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
好相性の食材は,トマトとにんにく。にんにく,とうがらし,バジルをオリーブオイルに漬けたバジルオイルは,焼き魚やパスタ,ピザのソースに重宝します。ジェノベーゼソースは,バジルににんにく,オイル,松の実,パルメジャーノチーズを加えてすり混ぜたものです。ビタミンEが豊富で,抗酸化パワーの高いソースです。スープやシチュー,サラダなどの香り付けにも使われます。
☆コンパニオンプランツ=コンパニオンプランツの相棒として一緒に植えておくと,バジルとトマトは料理の相性に加えトマトの害虫を防ぎ,隣でバジルもスクスクと生長します。バジルは,ナスやピーマンとも相性がいいし,キャベツなどのアブラナ科野菜の虫除けにも役立つ。ナス科野菜の株間を利用して,虫除けを兼ねてバジルの苗を植えておきましょう。
※住友化学園芸HPの「e‐グリンーコミュニケーション」内に恵泉女学園大学教授藤田智先生の監修で「バジルの育て方」が詳しく掲載されていましたので,ぜひ覗いてみてください。
※『現代農業』の平成25年8月号の「あっちの話」に柳島かなたさんの投稿で,お隣のいちき串木野市の駒田健治さんに教えてもらった話として「ここにも香辛野菜パワー,バジルで口内炎を治す」が掲載されていましたので紹介します。
干してカラカラに乾燥させたバジルを容器に入れ,焼酎又はホワイトリカーをひたひたになるまで注ぎ,3カ月ほど漬け込み,液が茶色になったら完成。この液を霧吹き付きの容器に移し替え,歯磨き後,一口分の水にバブル液をシュツと一吹きしてうがいをすると,数日で口内炎が治るそうです。
また,駒田さんは同じようにカモミールを漬け込んだ液を歯周病や口のニオイが気になる時に使っておられるそうです。
※平成27年5月23日の朝刊に「バジル 弥生時代に伝来?花粉確認 奈良教育大など論文発表」と奈良県桜井市にある邪馬台国の候補地でもある纏向遺跡でバジルの花粉が見つかったとの報道が,バジル花粉の顕微鏡写真を添え報じられていました。同論文の中で奈良教育大の金原教授は「交流のあった中国から乾燥したバジルが持ち込まれ,薬などに使われたのでは」と指摘しておられるそうです。
参考図書:『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜だより』(2012年7月号),『現代農業』(平成29年2月号)
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パセリ
刺身や空揚げの脇に控えめながら存在感を残しているパセリ。なかなか主菜として食す習慣がありませんが,ビタミンが多くやカルシウムのほかミネラルを含む野菜の中では,極めて栄養価が高いため,私の周りには,もったいないと他人の皿の脇に残されたパセリを集め好んで食している人もいます。
パセリは、古代ローマ時代から使われており,人間との関わりも深く,昔からずっと主役ではなく脇役として輝き続けている訳は,パセリの栽培方法が比較的簡単で,収穫期間が夏から翌年の初夏までと非常に長いのが理由です。
原産地は,地中海沿岸で,濃い緑色の縮れた葉が特徴で,セリ科特有の,さわやかな香りが特徴でハーブ野菜として料理の付け合わせとして使われている野菜で,江戸時代に渡来したものです。種播き(10~11月)から収穫まで約2か月以上期間を要し,発芽率はよくないので,家庭菜園では,春・秋に4~5株苗を買い求め植え付けた方が簡単です。
また,植えつけ後は,手間がかからず,適度な追肥でどんどん育ちます。前述したとおり主菜になりにくいのが難点ですが,料理の彩りに重宝するので,畑の中でも収穫しやすいカ所で育てると,少しずつ収穫できて重宝されますよ。
パセリの根は,まっすぐに深く伸びる性質があるので,植え場所は深く耕し,堆肥と化成肥料を元肥に施し,平畝をつくって苗を植え,本葉が13~15枚になったら,下の方の外側の葉から順に収穫しますが,常に10枚くらい葉を残しておくよう心掛け,とう立ちしてきたら早めに摘み取り,脇芽が出てきたら収穫が続けられます。(連作障害が発生しますので,1年間は間を置いた場所に植え付けを)
■知っておきたい効用
栄養成分は,β‐力ロテン,ビタミンB群・C・E・Kなどの含有量が野菜の中でも一,二を争うほど多く,主要ビタミン,カリウム,カルシウム,鉄,亜鉛,マンガンなどのミネラル類,食物繊維を豊富に含みますが,残念ながら一度に多くは食べられません。
栄養成分以外にも,葉に含まれるクロロフィルには,コレステロールの上昇を抑制したり,貧血を予防する効果があることが分かっています。香りの主成分であるアピオールは,特有のさわやかな香味で胃液の分泌を促し,消化促進や食欲を増進させる働きが。他に,口臭や体臭を防いだり,強い利尿作用で腎臓の機能を整えたりと,夏にうれしい効能が色々。つけ物としての彩りだけでなく,たっぷりと刻んで料理に使いたい健康野菜です。(消化の促進・かん予防・動脈硬化の予防・骨組しょう症の予防)
◆調理との組み合わせのコツ
付け合わせとして使う以外には,みじん切りにしてスープやシチューに入れたり,パン粉に混ぜて香り揚げの衣に使うなどが,広く用いられています。ビタミンC・Eを多く含む食材との組み合わせで,もともと強い抗酸化パワーがさらにアップ。オリーブオイルとにんにくでソテ-した肉や野菜,魚介類にたっぷりのパセリ,仕上げにレモン汁をひとふりすれば,シンプルながら食材を引き立てる上品な味わいの一皿に。香りを生かすなら,水にさらし過ぎずに使いましょう。
使い切れないときは,水洗いの後,軽く水けを切り,葉柄を着けたまま冷凍保存し,使う直前に取り出して,手で軽くもんで細かくすれば,パセリのみじん切りが簡単にできます。消臭効果があるので,葉柄も細かく刻んで使い,捨てずに利用できますよ。
参考図書:『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),よだひでき『まんがでわかるおいしい野菜づくり』(ブティック社)
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からしな
昨年12月末に苗を購入し畑の一隅に植付けて「からしな」。葉には辛味と苦味があり,霜にあたるとなお一層うまみが凝縮し収穫の時期を迎え,不規則な羽のように分裂する葉が炒め物や和え物として2月から食卓を飾るようになりました。
からしなは,中央アジア原産でアブラナ科アブラナ属に属す,クロガラシとアブラナの自然交雑種で,仲間にはタカナ,ザーサイがあり,日本へ中国から伝わったのは弥生時代とされ,たかなが西日本を中心に拡がったのに対し,からしなは,関東以北以外で栽培されてきたという歴史があり,現在,北海道が重要な産地となっており,種はマスタードの原料として使用されてもいます。収穫は,からし菜の草丈が20センチ以上になる頃,だいたい種蒔きから1~2カ月後に行われます。からし菜は冷涼な気候を好み,いかなる土壌でもよく生育しますが,保水力があり,中性に近い弱酸性の土壌での栽培がよりよい条件とされています。旬は春の野菜で,とうが立ったものは漬け物にも利用されています。
■知っておきたい効用
舌先にピリッとくる辛味と,刺激的な香気をもつアブラナ科の野菜。辛味の成分は,含硫化合物のシ二グリン。料理の味にアクセントを与えて食欲を増進させるだけでなく,免疫力の向上効果,がん予防の効果も期待される抗酸化成分です。
主要栄養素で見ても,からしなをはじめとするアブラナ科の植物には,ビタミンAを筆頭に複数の抗酸化ビタミンが多く含まれているのが特徴で,がんや動脈硬化などの生活習慣病を防ぐ国子がたくさん詰まっています。
さらには,赤血球の生成を助ける葉酸,造血に必要な鉄分,鉄の吸収を高めるビタミンCも極めて豊富。骨の健康と深いかかわりをもつビタミンK,カルシウムもたっぷり含まれているので,普段から貧血がちな方や,骨粗しょう症が心配される年配の女性にとっても強い味方になってくれそうです。(がん予防,動脈硬化の予防,免疫力の増進,貧血の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
塩漬けで食べるのが一般的ですが,市販のものは塩分が多い傾向があるので,他の野菜と一緒に妙めて,塩味をコントロールするとよいでしょう。たくさん食べられるようにするためには,さっとゆでておひたしにしたり,妙め物にするのも一案です。調理する際に長く加熱しすざると,せっかくの辛味やツンとした香りが逃げてしまうので,注意が必要です。
ビタミンCや葉酸など水溶性のビタミンも多く含むので,水にさらしすぎないよう気をつけましょう。
※からしなを使った料理のレシピ集はこちらで確認を。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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アシタバ
新聞の折り込み広告に「不思議なスタミナがわく八丈島の秘草!アシタバ」の紹介がありましたが,今日葉を摘んでも翌日には生えてくるほどの生命力から,セリ科シシウド属の多年草「アシタバ(明日葉)」の名前は。江戸時代の流人の島で主要産地の八丈島では,昔から高血圧を防ぐ山菜として食用に供されていたようです。
2年前に苗を購入し畑の隅に植付け,1年目は株の育ちを待ち,収穫の2年目を迎え,草丈60㌢まで生長し,新芽(春と秋に新芽を収穫可)を摘み食用にしています。栽培は,日陰・半日陰を問わず1㍍を超える大株に育ち,無肥料で草は抜かず耕さずの手間いらず自然環境で草勢を強めます。味はほろ苦い味で独特なクセがあるため,てんぷらやバター炒め,ゆがいておひたし,マヨネーズ和え等,クセをやわらげる調理法で食卓に。伊豆諸島では,椿油で揚げたてんぷらが名物料理になっているそうです。中国でも薬用に用いられており,明の時代に編纂された薬草辞典『本草綱目』にもその名があり,また枯れる前に掘り起こした根は,朝鮮人参の代用品として利用されていたようです。我が国では,江戸中期の儒学者 貝原益軒によって記された『大和本草』に,八丈島で栽培されており滋養強壮によい薬草として紹介されています。
最近は,健康野菜として人気を呼んでいますが,その理由は,数ある緑黄色野菜のなかでもビタミン,ミネラルともトップレベルにつける栄養素に富む野菜であるからです。
細胞の酸化によるさまざまな病気をブロックするβ・力ロテン、ビタミンC・E、エネルギー代謝の鍵を握るビタミンB群が、ともにたっぷり。過剰なナトリウムを体外に排出する働きのあるカリウムも多く、高血圧予防に役立ちます。鉄やビタミンKも豊富とあって、貧血症人にとっても心強い野菜といえそう。また、アシタバ特有の色素成分であるカルコン(茎・葉・根の分泌組織から出る黄汁の中に含まれるポリフェノールの一種)は、強い抗菌作用とがんの予防効果が注目され,巷では万能薬のような話にもなっており,前述の新聞折り込みには,動脈硬化症から花粉症までの24種の症状が気になる方にお勧めしますとありました。
【伊豆諸島に伝わるアシタバの言い伝え】 アシタバを食べると乳の出がよくなる。黄色い汁を塗ると,皮膚病の化膿止めになる。虫刺され,かゆみに黄色い汁が効く。水虫には黄色い汁を塗るとよい。アシタバを食べていると胃腸が丈夫になる。酒を飲む前にアシタバを食べると悪酔いしない。二日酔いに効く。アシタバを食べると精力がつく。
■調理との組み合わせのコツ
おひたしに、和え物に、妙め物にと用途の広い野菜ですが、豊富な栄養素を逃さずに摂取するなら、天ぷらがお勧めです。アシタバに特に多く含まれるβ・力ロテンは、油に溶けると吸収力がよくなります。ビタミンCは逆に水溶性で栄養分が水に溶け出してしまうため、短い加熱時間で水分を逃さない調理法が理想的なのです。また、アシタバには独特の強いクセやアクがありますが、揚げ物にするとえぐみもそれほど気にならず、おいしくいただけます。
参考図書:『まんがでわかる有機・無農薬の野菜づくり』よだひでき著(ブティック社),『農薬を使わない野菜づくり』徳野雅仁著(洋泉社),『旬の野菜の栄養辞典』(エクスナレッジ),『根も葉もあってみになる本』(下野新聞社)
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たらの芽
手をかけず放置したままなら4~5mの高さにまで伸び,トゲがある木枝が上に上にと伸びていく先の新芽を,山菜として桜の開花時期に食するたらの木を春山からの山菜採り用に庭の片隅に伸びすぎないようにと剪定しながら植えていますが,たらの芽は,落葉低木のウコギ科のたらの木の新芽です。ほのかな苦みや,もっちりした食感が春を伝える食材として人気があり,「山菜の王様」・「てんぷらの王様」とも呼ばれています。
一昔前までは,桜の開花宣言に合わせるかのように伸びた新芽を,摘んだものが食卓を飾るというほんの一時期の旬の食材でしたが,今では私の田海町の友人も休耕田一面に植え付けており,3月半ばから友人宅訪問時には手土産として配って喜ばれていますが,近年は彼同様に栽培農家が増え,栽培された物が野生で自生したたらの木からの収穫よりも早い時期から結構長い期間店頭にも並ぶようになり,なんだかちょっぴりありがたみが薄れてしまったような気もします。
たらの芽を最初に口にしたのは,40年ほど前。山の手に住まう仲人さんの家の道路脇に自生する木から,採芽されたのをてんぷらで頂いたのが最初で,「木の新芽をてんぷらに?」とびっくりして食べたのが最初ですが,我が家の料理長は,たらの木のトゲが気になる様で,摘んでこないと食卓を飾らない食材となっていますが,トゲの少ないメダラという種類もあるようです。
桜の開花時期のたらの芽だけでなく,たらの葉までを収穫して長く食していますよという記事が,『現代農業』(平成24年4月号)に掲載の「痛快! 春の野山活用術」では,大分県日田市の宇都宮さんご夫婦は,春に収穫したタラノメだけでなく,春に収穫した後の枝を切り戻してそこから出る若い葉をタラノ葉として5月末~8月いっぱいまで収穫されており,切り戻された枝の皮を剥いで乾燥させ刻み「タラノ根皮」生薬として糖尿病の漢方薬として煎じて飲用されておられるとの紹介記事が「タラノメが8月まで楽しめる!? タラノキ,年中フル活用!」として掲載されており,我が郷中で直販店を営む11班のAさんには,これを夫婦して読んで“タラノキ御殿”を是非にとお茶を頂きながら激励を。
■知っておきたい効用
たらの木の新芽を食用にするもので,独特の風味とほろ苦さがあり,「山菜の王様」とも呼ばれます。ビタミンB群では,葉酸を多く含むのが大きな特徴です。葉酸はビタミンB12と協働して赤血球の造血を助け,血行の改善や動脈硬化の予防に働くほか,認知症の予防にも効果があるとされます。
ミネラルの中で多く含まれるカリウムは,ナトリウムとバランスを取りながら細胞中の水分や浸透圧を調整し,生理機能をサポートします。また,リンはカルシウムと結合して骨や歯を形成。細胞内のエネルギー代謝を高めるうえでも一定量の摂取が求められます。さらに,「老化抑制ピタミン」と呼ばれながら,食品からは摂取しにくいビタミンEを豊富に含むことも,アンチエイジングを心がける女性にとってうれしい要素といえます。
(老化の抑制,動脈硬化の予防,血行促進,整腸作用)
◆調理との組み合わせのコツ
おなじみの料理法といえば天ぷらや和え物。ビタミンEは油との併用で吸収率が高まるので,揚げ物にすることで栄養を効率よく活用できます。老化の抑制によいとされるビタミンEは,たらのめ自体にも多く含まれますが,植物油にも豊富にある栄養素です。
ビタミンEはアルコール性脂肪肝の抑制にも効果があるため,酒の肴としても好適。さっとゆでて,ごまやくるみなどの木の実で和えたり,おひたしにしてもおいしく食べられます。
血糖値抑制にタラの芽=少しずつ春の訪れが感じられるようになってきました。青果市場にはタマネギ,ゴボウ,豆類など,春の食材の出荷が増えてきています。今週は「山菜の王者」ともいわれるタラの芽について紹介します。青果市場への入荷量は3月が最も多く,主に東北地方で栽培されています。タラの芽は付け根にある茶色い部分を切り取って調理します。一番お薦めなのが天ぷらで,独特の食感とやさしい苦味が楽しめます。アルミホイルで包み焼きするのもお薦めです。タラの芽には,脂質,タンパク質が豊富に含まれ,ビタミン,ミネラルも多く,苦味のある成分として含まれるエラトサイドには糖やアルコールの吸収を抑制する作用があり,食後の急激な血糖値の上昇を抑えるのに効果的といわれています。栄養豊富なタラの芽で春のエキスをたっぷり味わってみてください。平成28年3月16日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
「山菜の王様」タラの芽=タラの木の新芽のことで,山菜として食用し,ほのかな苦みやもっちりした食感が春を伝える食材として人気を集めています。「山菜の王様」とも言われています。ビタミB群の中でも葉酸が多く含まれ,ビタミンEやカリウム,食物繊維などの栄養素も豊富です。糖やアルコールの吸収を抑える働きも持つことから,食後の急激な血糖値の上昇を防ぐ作用もあります。独特の食感と優しい苦みが楽しめる天ぷらがお薦めです。切り口が黒ずんでおらず,穂先が鮮やかな緑色で,3~5くらいのものを選んでください。香りが大切なため,新鮮なうちに早く食べるように心掛けましょう。タラの芽は,桜の咲く頃に出ると言われています。栄養も豊富なので,ぜひ食べて,春のエキスをたっぷり味わってみてはいかが。令和2年3月11日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
高血圧予防にタラの芽=春の気配が近づくとともに,待ちわびていたかのようにワラビやゼンマイがあちらこちらで顔を出します。中でも「山菜の王様」と呼ばれるのがタラの芽です。ウコギ科のタラノキの新芽の部分を食用としています。長さ5㌢ほどのぼってりとした形で軟らかな歯触りと独特の苦味を持ち,天ぷらやおひたし,あえ物などさまざまな料理で楽しめます。カリウムが豊富に含まれ,むくみの改善や高血圧の予防に効果があるとされます。根の部分に含まれるエラトサイドという成分には,食後の急激な血糖値の上昇やアルコールの吸収を防ぐ効果も期待できます。大きすぎると苦味が強くなります。乾燥に弱いので,新聞紙にくるむか,穴の開いた袋に入れて冷蔵庫で保存してください。日持ちはしないので,なるべく早く食べるとよいでしょう。令和3年3月10日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
参考図書:『新野菜つくりの実際軟化・芽物』(農文協),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『現代農業』(平成24年4月号)
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行者にんにく
店頭でのその名に引かれ苗を購入し,4年前から日陰になる一ッ葉の垣根の根元に植え付けていました。生育は遅く収穫までには3~5年程の生育期間を要し,「幻の山菜」とも呼ばれているそうです。
独特の香りが特徴の滋養野菜で,北海道や本州北部に自生する多年草だそうです。にんにくとよく似た強いにおいと辛みがあり,おひたしや酢の物に,刻んで薬味などに利用してみました。疲労回復や滋養強壮によいとされており,収穫までに何年もかかるため,市場では希少な山菜として珍重されているそうです。
β-カロテンやビタミンCなど,栄養成分のほとんどがにんにくよりも豊富です。特に,ビタミンB1の吸収を助け疲労回復に効果があるといわれる硫化アリルは,にんにくの約4倍,玉ねぎの10倍以上含有しています。このにおい成分は,内臓脂肪の燃焼を促進し,新陳代謝を活発にし,また血液サラサラ効果など,動脈硬化,脳梗塞などの生活習慣病予防のための薬効が多いことでも知られ,近年マスコミで取り上げられ注目度急上昇中の山菜です。
■知っておきたい効用
北海道や東北地方に多く分布し,ユニークな名前は,昔,山で修行をしていた修業僧(行者)が好んで口にしたことに由来するといわれます。「アイヌネギ」・「キトピロ」との別名があり,その名のとおり,アイヌ民族の間では古くから薬効が知られ,万能薬として重用されてきていたそうです。
抗酸化作用の強いβ‐力ロテンを多く含むことから,がん予防効果が期待されています。ねぎ類に共通する刺激臭の香味成分,硫化アリルも,やはりがんを予防する成分のひとつ。血圧を下げる効力のあるカリウムが豊富なので,生活習慣病全般の予防に役立ちます。
硫化アリルには,ビタミンB1の吸収を助けて新陳代謝を高める効力もあり,豚ヒレ肉などビタミンB1が豊富な食材と組み合わせると効力が持続します。また,葉酸は血行を促進させるとともに,認知症予防にも働くとされます。(疲労回復・血行促進・高血圧の予防改善・がん予防)
◆調理との組み合わせのコツ
近年,さまざまな効用が注目をあびている行者にんにくは,脂溶性ビタミンであるβ‐力ロテンが豊富なので,先ず,下処理としては,水洗いして,汚れと根元の「はかま」と呼ばれる赤い薄皮部分を取り除きし,保存する場合は,さっと湯がいて,しっかり水切りした後,他の食品に匂いが移らないよう密封し冷凍保存。
沸騰したお湯に塩をひたつまみ入れ,20~30秒程度さっと湯がきまし,色が鮮やかな緑色になったら,湯を切り冷水に浸し,水を切り,食べやすいサイズにカットし,好みで鰹節などを乗せ,醤油やめんつゆをかけて「おひたし」として頂くか,フライパンに油を熟し,3等分ぐらいにカットした行者にんにくを1分程度炒め,酒,みりん,醤油,砂糖などで味付けし,しんなりしできたら,溶き卵を流し込み,卵が固まってきたら「卵とじ」の完成です。インターネットの北海道通販サイトでは,天然ものの生葉(500㌘が2,100円~2,280円)で4月下旬~5月中旬の季節限定販売されていました。
他に油妙めや天ぷらなどの調理法が最適で,刻んでオムレツに混ぜるのもお勧めで,さっと茹でて酢みそ和えにしても,さっぱりとおいしくいただけます。
ビタミンB1を多く含む肉や魚と一緒に食べると,ビタミンB1の吸収率がぐんとアップし,より効果的です。北海道では,薄切りのラム肉と合わせてジンギスカン鍋に加えるのがポピュラーな食べ方だそうです。
参考図書:「野菜まるごと大図鑑」(主婦の友社),「旬の野菜の栄養事典」(エクスナレッジムック),『やさい畑』(2016年春号),「育てたい!変わり野菜」(やさい畑2018年冬号別冊付録)
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キャベツ
アブラナ科のキャベツは,胃や十二指腸潰瘍を治すといわれるキャベツ特有の栄養素ビタミンU(キャベジン)が豊富に含まれ,ビタミンCやカルシウムも多く含まれています。原産地は,地中海沿岸から仏,英にかけてのヨーロッパで,我が国では明治以降に栽培されるようになり,シャキシャキした歯ざわりと甘みが特徴で「生食の王様」と言われ,ダイコンに次いで栽培面積の多い野菜です。
栽培には,春まき・夏まき・秋まきがあり,家庭菜園で育て易いのは,夏まき秋冬どりでは。7月~8月に種をまき,育苗した苗を畑に定植し,10月~翌年2月まで収穫が楽しめます。春まきは,生育の時期に病害虫の発生が予想され,加えて収穫時期がキャベツの腐りやすい夏場になり,寒い時期に種をまき難易度が高くなります。現在,収穫時期を迎えたのは,秋まきで,セルトレーに種を蒔き,ポットで育苗した苗を1月上旬に畝に定植したもので,今冬,定植早々にヒヨドリの食害に遭いながらも,4月下旬から収穫の時期を迎えました。育苗期間が1カ月強+定植後,結球開始まで2カ月弱+結球後収穫まで2カ月弱と,種を播いてから収穫まで5カ月以上と栽培期間が長いのが秋まきの特徴です。
キャベツ栽培は,害虫との闘いとの記事を見かけ,老眼鏡をかけキャベツの葉をよく観察しますと虫のフンが。モンシロチョウの幼虫である青虫を一列で37匹も捕獲しました。
生食・煮物・炒め物・漬物と幅ひろい調理の具になるキャベツ栽培に,今年も害虫との共生(負けないように)を目指し,2~3年連作は不可の野菜ですので輪作を考慮し植付ける畝を変えながら,春まき・夏まき・秋まき【作り易いのは,前述のとおり夏まき秋冬どり。夏まきは,育苗期の高温をどう乗り切るか,秋まきは,越冬に適した株調整がポイント】に挑戦してみましょう。
■春キャベツと冬キャベツの違い
スーパーの店頭では,年間を通して出回っているキャベツですが,家庭菜園で栽培しやすいのはご案内のとおりアオムシ等の虫害の少ない時期に栽培する冬の野菜ですよね。
冬キャベツは,「寒玉」ともいわれ,12月~3月に収穫できるもので,形は楕円形(扁平)のものが多く,葉の隙間が少なくギュッと詰まっており,葉は分厚く,甘味があるのが特徴で,特に煮込み料理や炒め物など,火を通す調理によく合います。
アオムシからの食害を防ぐため寒冷紗で覆う中,生育を楽しみ4月~5月ごろが旬の春キャベツは,「春玉」ともいわれ,冬キャベツとは別の品種で,形状は丸くて小さく,葉の巻き方がゆるく,葉も薄く,水分が多く,甘味が強いのが特徴で,みずみずしく食感もやわらかいので,サラダなどの生食に向いています。
家庭菜園では,栽培が難しい夏から秋に店頭で売られている夏秋キャベツ(高原キャベツ)は,基本的には冬キャベツと同品種のもので,群馬県・北海道・長野県などの冷涼な気候を生かして高原で栽培されているものです。キャベツは,季節あわせた品種が作られており,わが国では3回の収穫期があるということになります。
■追肥・中耕・土寄せ/収穫適期の見極めポイント
苗の植え付け |
本葉が10枚になったら |
内側の葉が立ち上がり結球し始めたら |
球が硬く締まったら |
1回目の追肥+1回目の中耕・土寄せ |
2回目の追肥+2回目の中耕・土寄せ |
収 穫 |
●因みに平成30年の12月中旬から食卓を毎日飾り,ご近所さんにもおすそ分けして喜んでもらっています冬採りキャベツは,8月19日にセルトレイに種(彩音・富士早生)を播き,夏日を避けるために黒の寒冷紗トンネル内から9月になってからはシルバーマルチの寒冷紗トンネル内で育苗管理しながら,同月28日に1号ポットへ取り上げ移植し,更なる根張りを求め9月20日に3号ポットに移植し直し,10月6日にポットで十分根張りした苗の根先を活着のため一部切断してから定植した苗から育てた=種まきから4カ月経過=したキャベツを,10月30日には根元に化成肥料を施し1回目の追肥を施し同時に土寄せを行い,11月14日には株の根元に鉄棒で穴を掘り2回目の追肥として油粕を施し,併せて葉面に上手に隠れているアオムシを指先で一匹ずつ捕殺しながら,家庭菜園ならではの食べる直前に収穫したシャキシャキ感十分なものを贅沢感に満足しながら毎日頂いています。(上の写真12点)
また,「春キャベツ」は,自家育苗苗の生育管理は温室を持たないため難しく,苗は店頭で購入していますが,その際も8連結ポットで販売されている苗より,単ポット苗は生長しており,そのまま定植可能ですが,その分単価的には高価なため安価な連結ポット苗を購入し,ポットに植え付け直し,1週間から10日間程,トンネル内で追加育苗管理し十分生長した苗をもって畑に4月上旬に定植し,アオムシ被害対策に苦悩する中,5月下旬から収穫でき,毎日新鮮な春キャベツが食卓を飾っています。(おすそ分けの際は,結球した葉の間にナメクジが潜んでいる旨のお断りをいれて差し上げています。)
■知っておきたい効用
ビタミンCが豊富なことで知られ,大きめの葉っぱ2枚分で一日の必要摂取量に達するほど。ビタミンCには,体内のコラーゲンをつくる,体の酸化を防いで感染症をブロックするなどの作用があり,発がん物質や老化物質を抑えるうえでも有効とされています。
一方,キャベツならではの重要な成分として,前述したとおりビタミンUが挙げられます。たんばく質を合成する作用をもつアミノ酸の一種で,胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防,さらには傷ついた粘膜や肝臓の機能回復にも効果があるとされ,市販の胃腸薬の主成分にも使用されています。ビタミンUの作用を有効利用するには,生食がベストですが,生野菜は意外と量が食べられないので,さっと炒めるのが多く食する適切な調理方法です。食物繊維を多く含み,さまざまな調理法で量もたっぷり摂れるため,便秘の改善や肥満予防などの効果も期待できます。(抗潰瘍性作用,風邪や感染症の予防,がん予防,便秘の予防・改善)
※美味しいキャベツの見分け方から調理のコツまでしっかり学んでキャベツ博士を目指しましょうというキャベツの調理力検定というホームページを見つけました。
※『やさい畑』2011春準備号の「旬をいただく 畑薬膳 キャベツ」に食養研究家・武鈴子氏監修で,有効成分キャベジンが過食ぎみの日本人の胃袋には不可欠な野菜。生のキャベツを食べて五臓を養うとの記事が掲載されていました。
※タキイメールマガジン2011年7月1日配信の「植彩館」№112号に「ビギナー応援 はじめよう野菜シリーズ 第2弾-キャベツ-(=キャベツ栽培のテクニック満載! はじめてのキャベツ特集)」が掲載されていました。また,2011年12月の「植彩館」には「春まきキャベツの栽培ポイントを伝授!」としてタキイ研究農場の徳竹俊志氏が,タネまき・育苗,畑作り~定植,施肥・中耕,病害虫予防,収穫を紹介されていました。
キャベツで胃腸丈夫に=青果市場には春野菜がたくさん入荷しています。今回はキャベツを紹介します。市場に年中入荷していますが,ほとんどは球が固く締まり,球内が真っ白で平たい「寒玉」。近年は,球の締まりが緩く,葉が緑色を帯び,冬玉に比べてカロテンが3倍,ビタミンCが1.3倍多く含まれる「春系」の入荷量も増えています。
葉がしっかりしている寒玉は千切りやロールキャベツなどに,葉が柔らかく,ジューシーで甘みのある春系はサラダや汁の具に最適です。キャベツから発見されたことに由来するキャベジンが豊富です。胃酸の分泌を抑え,胃腸粘膜の新陳代謝を活発にする働きがあるので,胃腸を強くする効果が期待できます。胃腸が丈夫になると食欲が湧き,免疫力が高まり,風邪をひきにくくなります。キャベツなど野菜をしっかり食べて,慌ただしい新年度の始まりを元気に過ごしましょう。(平成29年4月5日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
■ ビックリ!キャベツの健康力
『現代農業』の平成26年9月号の特集は「キャベツの底力」であった。先輩農家のキャベツの体質強化法としての「根切り=苗の活着率を高める,葉むしり=病気に強くなり灰色カビ病等もうつらない,酢防除=春の気温上昇時に発生する蒸れ玉抑制」や尿素ふりかけ・外葉はずしで収穫自在も読ます記事であった。毎日,畑から収穫して来て食べている新鮮な「キャベツ」の健康野菜としての魅力を,「絵とき ビックリ!キャベツの健康力」と題した同特集記事から再確認してみた。
なお,同特集の「キャベツホット×ホットニュース」には,我が国民が1年間に1人当たりが購入する野菜の量は,総務省の「家計調査 野菜の品目別1人当たりの年間購入量の推移」によると,キャベツが第1位の5.9㌔㌘。ここ10年で消費量は1㌔㌘近くも伸びており,タキイ種苗の「消費税増税と家庭の食卓に関する調査」調査によると,「消費税増税後も、食卓から消えない(消したくない)野菜」では,1位のタマネギに次いで2位に位置しているそうです。同調査での3位以下は,ジャガイモ・ニンジン・ダイコン・トマト・キュウリ・ナスだったそうで,年間を通してなくてはならない食材の筆頭がキャベツやタマネギといえそうです。
◆キャベツの民間療法
古代ギリシャやローマでは,キャベツは酒の酔いをさますといわれ好んで食べられていた。また,ギリシャの酒宴では,酒を飲む前に,まずキャベツスープで乾杯をしていたそうだ。キャベツに含まれるビタミンKには血液を固める効果がある。出血したときは傷口にキャベツを貼れば治りが早まる。日本では,キャベツの葉を頭に被せて熟を下げる自然療法がある。
◆キャベツに含まれる健康成分
ビタミンK=血液の凝固作用,骨を作り強くする作用があり,外葉に多く含まれる。
ビタミン∪=胃や十二指腸の粘膜を修復し,肝機能の働きを助ける。芯葉にいくほど含有量が多い。
ビタミンC=免疫力アップ,美肌効果,ストレス解消。100㌘中に41㍉㌘含まれ,レモン二分の一個分に相当。外葉と芯葉に特に多い。
他にビタミンA,B1,B2,葉酸,食物繊維,カルシウム,カリウムなども豊富に含まれる。
外葉2~3枚で1日分のビタミンC
成人の1日のビタミンC摂取量の目安は100㍉㌘。これはキャベツの外葉を2~3枚食べればまかなえる。ちなみに,タバコ1本吸うごとにビタミンCは約25㍉㌘も消費される。喫煙者にはキャベツでのビタミンC補給がうってつけだ。ということは,1日何本吸う私はキャベツ何枚の葉を食すれば正確に補えるかと計算機を叩く。
「キャベジン」はキャベツからできた
ビタミンUはキャベツの汁から発見された成分で,別名キャベジン。胃や十二指腸の粘膜を修復する効果がある。じつは,興和の「キャベジン」もキャベツから生まれた。
栄養をまるごといただき,キャベツの千切り
ビタミンCもUも水溶性で,茹でると水に溶け出てしまう。たくさん栄養をとりたいなら,生のまま千切りにしたり,丸ごと煮てスープまでいただくのがよい食べ方。
ガンの予防食の第2位!
1990年代,アメリカ国立ガン研究所はガン抑制効果がある食品40種の順位を発表。 キャベツはニンニクに次いでなんと2位(3位はダイズで以下タマネギ・茶・トマト・ナス・ピーマン・ブロッコリー・メロン・バジル・ジャガイモ・大麦の順に)
活性酸素により細胞が傷つけられることがガンの原因となり,キャベツにはビタミンA,C,Eなど抗酸化成分がたくさん含まれている。しかもキャベツを食べる(噛む)と,グルコシノレートという硫黄化合物が抗酸化成分のイソチオシアネートに変化。まさに抗酸化物質の宝庫なのだそうです。
また,キャベツにはガン細胞を殺す血液中のTNF(腫瘍壊死因子)を増殖させ,免疫力を高める効果もあり,「野菜の中でキャベツの抗酸化力はトップクラス」と話す研究者もいるそうです。
疲労回復にキャベツを=キャベツは,ほぼ一年中流通し,入手しやすく使いやすいため,野菜のオールラウンダーと称しても過言ではないでしょう。これからは鹿児島県内産が最も多く出回ります。疲労回復効果があるビタミンCや高血圧予防に効果的なカロテンが豊富です。特有成分のビタミンU(別名キャベジン)には,脂分が多いものと遠に取ると過剰な胃酸分泌を抑える効果もあり,千切りと豚かつといった揚げ物の組み合わせは,理にかなっていると言えそうです。ビタミンUは熱に弱く水溶性のため,効率よく取るには生食がベストです。冬キャベツは春キャベツに比べ,葉が硬くて厚いため,ロールキャベツやお好み焼きなど,加熱調理もお薦めです。冬キャベツは葉が詰まっていて,ずっしりと重く硬いものを選びましょう。忘年会などで胃腸に負担のかかる時季こそキャベツをどうぞ。平成30年12月26日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
疲労回復に春キャベツ=キャベツは1年を通して店頭に並んでいますが,大きくは春キャベツ(春系)と寒玉キャベツ(冬系)に分けられます。旬の春キャベツは,寒玉キャベツに比べると球形で葉の巻きが緩いのが特徴です。軟らかくて甘みがあるので,サラダなどに適しています。生食することで,熱に弱いビタミンC,Uを効率的に摂取できます。選ぶ際は,軟らかく弾力があり,芯の切り口がきれいで黒ずみがないのがお薦めです。そのまま冷蔵庫に入れておけば,1週間程度は保存できます。芯を下にして置いたり,新聞紙で包んだりすると,さらに長持ちします。使うときは,半分にカットするより一枚ずつ葉をむいた方が乾燥を防げて新鮮さが保てます。疲労回復効果のある春キャベツで,元気回復を図ってみてはいかがでしょうか。令和元年5月1日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
甘く柔らかい春キャベツ=寒玉キャベツが固く締まって平たく内部が真っ白なのに対し,旬の春キャベツは球形で葉の巻きが緩く,柔らかくて甘みがあるのが特徴です。キヤペジンと呼ばれるビタミンUが豊富です。胃酸の分泌を抑え,胃腸粘膜の新陳代謝を活発にするので,胃腸を強くする効果が期待できます。風邪予防や疲労回復が期待できるビタミンCもたっぷり。サラダなど生で食べると,熱に弱いビタミンC,Uを効率的に摂取できます。選ぶときは,葉が鮮やかな緑色で張りとつやがあり,切り口が変色していないものがお薦めです。 カットしたものは,ラップに包んで冷蔵庫の野菜室で保存し,数日で使い切りましょう。丸ごと保存する場合は,乾燥を避けるためポリ袋に入れて芯を下にして野菜室へ。使うときは,半分に切るより1枚ずつ葉をむいた方が新鮮さを保てます。令和4年4月6日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
春キャベツはサラダで=キャベツは収穫時期により,春キャベツ,夏秋キャベツ,寒玉(冬)キャベツと分けられます。秋に種をまき春から初夏に収穫されるのが春キャベツ。最盛期は3~5月です。寒玉キヤべツは楕円形で葉が硬く締まっているのに対し,春キャベツは円形で葉の巻きもふわっとしています。割ってみると黄色っぽいのが特徴です。 豊富なビタミンCは皮膚や血管の老化を防止します。免疫力を高める働きもあり風邪予防に効果的。胃酸の分泌を抑え胃粘膜を修復するビタミンUはキャベジンと呼ばれています。カロテンやカリウム,食物繊維も含まれ栄養豊富です。選ぶときは葉の緑が濃く,ずっしりと重さがありつやのあるものが新鮮でおいしいです。芯の切り口がみずみずしくて白いものがよいでしょう。春キャベツは甘くてみずみずしいので生のままサラダなどで食べるのがお薦めです。令和5年3月8日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
参考図書:『家庭菜園Q&A』(2010家の光5月号付録),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジ),『品質・収量を大きく変える育苗からわかる野菜づくり』(誠文堂新光社),『まるごと キャベツ』(絵本塾出版)
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芽キャベツ
キャベツの仲間で,脇芽がミニサイズのキャベツのように結球してくる芽キャベツ。「長期間収穫が楽しめる家庭菜園向け人気の野菜です」としてYLが苗を購入してきたものですが,別名は,ヒメカンラン(姫甘藍)・コモチカンラン(子持甘藍)とも呼ばれています。
50~70㌢の長く伸びた茎に出る脇芽が,小さく結球し,直径3~4㌢の小さなキャベツが50個以上付き,芽キャベツは寒さに強いので育てやすく,気温が12~13℃のになると結球しはじめます。良質の芽球を生育するためには,株元まで十分な日が当たることが肝要で,株間を苗定植時点から50~60㎝とって,深植えしない点がオイント。生長に従い倒れないように土寄せと追肥(20日間隔で化成肥料を,葉が黄色身を帯びたら液肥を与え,追肥のたびに軽く土寄せし)と支柱を建て,そして芽球と芽球の間の下葉をもいで太陽光が当たるようにして芽球が大きくなるのを待つ(気温が高い時に下位葉にできた芽は充実せず結球も弱いので,下位葉と共に早めにかき取り,上位葉の充実を図り,下位の葉柄からかき折る)中,下部の結球したものから順次ハサミを使い収穫を楽しんでいます。寒さにあたったほうが,甘みが増すそうですので,2月頃まで,収穫を楽しめそうです。
■知っておきたい効用
秋から春にかけて出回り,栄養素の構成はキャベツと似ていますが,その含有量ははるかに多く,ビタミンCは約4倍。ビタミンB1・B2・B・K・葉酸もそろって豊富です。
β-力ロテンは,体内で必要量がビタミンAに変わり,皮膚や粘膜を保護したり,その働きを正常に保つ役割を果たします。Aに変わらなかった分は,その強い抗酸化作用で抗がんや老化抑制に効果を発揮。ビタミンB1・B2は,炭水化物や脂質の代謝に不可欠な栄養素で,不足すると疲労が溜まったり,神経障害をきたすこともあります。特に豊富に含まれるビタミンB1は,筋肉内の乳酸の分解を進めることから,疲労回復に欠かせない栄養素のひとつです。
さらにキャベツの約3倍に相当する食物繊維は,便秘の予防に有効。血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防する作用があり,コレステロールの上昇抑制効果の高い水溶性食物繊維も含んでいます。(便秘の予防・改善,老化の抑制,動脈硬化の予防,高血圧の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
調理するときは必ずアク抜きをします。外側の葉をむき,軸に十文字の切り込みを入れてから,塩を加えた熱湯でゆでます。
芽キャベツは煮込料理に合うので,たまねぎやベーコンなどと一緒にシチューにしたり,また,ガーリックバターのソースを添えた温野菜にして味わうのもよいでしょう。しいたけ,しめじなどのビタミンEの豊富なきのこ類との食べ合わせもお勧めです。
※芽キャベツのレシピ集です。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『新 野菜つくりの実際/葉菜』(農文協),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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コールラビ
中・大カブにひげが生えたようでもあり,また未確認物体のUFOのようでもありとユーモラスな姿が店頭で人気を集めているコールラビ。和名は蕪甘藍(かぶかんらん)。
平成25年の11月,近所の研究熱心な農家のK兄さんから「名前は,ロ-マ字の名前の野菜でケ忘れた!」と言われながら,苗をいただき植え付け,生育を見守っていたところ収穫期を迎えました。生育温度は15~20℃くらいで冷涼な気候を好み,別名は,球茎カンラン,カブカンラン。キャベツの仲間ですが,キャベツよりも暑さや寒さに強く,栽培期間が2か月程度と短いので,初めてでも意外と作りやすい目新しい野菜です。果皮が緑色と紫色のものがあります。どちらも中身は白色です。
畝幅を60㌢とり,植え付けの2週間前までに苦土石灰を全面散布しよく耕し,植え付けの1週間前に,中央に深さ20~30㌢の溝を掘り,溝に堆肥と化成肥料を入れて埋め戻し,高さ10㌢程度の畝をつくります。畝の中央に根鉢の大きさの植え穴を30~40㌢間隔であけ,水をたっぷりと注ぎます。水がひいたら苗を植えつけ,ふたたび水を与えます。
なお,1回目の追肥は,本葉が10枚くらいになったころ。畝の両側に化成肥料をまき,根元に土寄せし,2回目の追肥は,茎が肥大し始めた頃に1回目と同量の化成肥料をまきます。畝の表面の土を除草を兼ね鍬で削り取ってやわらかくし,株元に土寄せします。茎が肥大するにつれて下の方の葉は摘み取り,上の方の大きな葉は5,6枚残しておき,球の直径が5~7㌢くらいになったら食べ頃で,根元から抜き取って収穫します。なお,大きくなったものでもおいしくいただけます。
また,カブのように見えますが,実はキャベツの仲間で,コールラビはドイツ語で,コールは「キャベツ」,ラビは「カブ」を意味し,原産地は地中海北岸といわれ,日本へは明治初年に伝来し,球形甘藍などと呼ばれていたそうですが,なかなか定着しませんでした。
風味は,キャベツやカブとアスパラガスを合わせたようで,ビタミンA・Bは普通のキャベツよりも豊富で,歯ざわりの良さを生かして,皮を剥いて薄切りのサラダでも召し上がれますし,スープやシチュー,煮込みなどでも煮崩れしにくいので美味しく味わえます。
※ひげ根が着いたままの状態で店頭にも並んでいます,まだ珍しい野菜=コールラビの料理レシピはこちらから確認し,皆さんの家庭菜園でも今秋から栽培してみませんか。
※平成28年の冬,年末押し迫った中,種から播き育苗した苗を3列定植。葉に着いたアオムシを何回も捕殺しながら生育した,小菜園のコールラビを収獲し調理主任のXに託したところ,インターネットで調理法を調てと乞われ,(近所の若い奥さんには,スマートホンで調理法は自分で調べてと言って提供)野菜ソムリエが珍しい野菜の食べ方をレシピとともに紹介しますの「農Pro」を訪ね「コールラビのおいしい食べ方&レシピ」を見つけ,同画面を見てもらい今夜の料理に活かすよう案内・相談を。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『やさい畑』(2016年春号),「育てたい!変わり野菜」(やさい畑2018年冬号別冊付録)
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ハクサイ
冬野菜の代表ハクサイ(結球種)が店頭には山積みされ,核家族消費者に合わせ二分の一や四分の一の大きさにカットされ販売されていますが,値段を見ると農家の苦労知らずの安価な値段にビックリ。寒さが一番厳しいこの時期,家族囲んでつつく鍋物の具はもちろん,煮物や妙め物,漬物など,食べかたは多様で,野菜が不足しがちな冬の時期の野菜です。アブラナ科で原産地は地中海沿岸と言われていますが,わが国には,ハクサイの英名「Chinese cabbage」が示すように,中国/華北地方で栽培されていたものが,日本には明治以降に導入され,日本の気候に合った品種が育成された野菜です。低温には比較的強く,暑さには弱い野菜で,20℃前後の涼しい気候を好み,結球期以降は15℃前後が適温とされています。
ハクサイは,根群の発達が不良ですと,土壌の乾燥や過湿など環境の影響を受けやすく,生理障害や病害が発生しやすくなります。通気性のよい土壌を好むので,深耕と有機物の施用が必要です。なお連作は不可で2~3年は空ける必要があります。
前年の平成24年の育苗は,セルトレイ+培養土を利用し,種播き直後は,土の乾燥防止と温度上昇の抑制に注意を払い,育苗日数15~20日で葉枚数3~4枚になったところで,苗を3号ポットに移植。そして畑が空き施肥が済んだ畝に畝間40㌢~50㌢とり定植しました。(鹿児島では種播きは9月が好期/9月5日に連結育苗トレーに種を播き,9月30日に3号ポットへ移植,ポット苗が害虫の食害に遭わないようにと寒冷紗で覆って育苗につとめ,10月12日畑へ苗を定植し,途中化成肥料を追肥として施し土寄せを行う)※種播きしてから86日目,定植してから50日目の12月1日に初収穫を迎えました。平成25年は,9月3日にセルトレイに種を播き,9月21日に3号ポットに移植し害虫防除用にと寒冷紗トンネル内に移して育苗する中,10月8日に堆肥を十分施して準備していた畑に定植,種播きから3か月経過した12月2日から葉が結球したものを順次収穫しています。
ハクサイの頭を軽く手で押さえて,締まっているであれば収穫期を迎えたことを示しています。黄芯系の品種は,球が過熟になって締まり過ぎると,内部の黄色が淡くなりやすいので,適期収穫が重要です。肥培管理のポイントは,施肥・水やり・中耕・土寄せなどの総合的管理が肝要です。結球したら球を斜めに倒し,根元の外葉との間に包丁を入れて一気に切り取り,余分な外葉を取り除きます。
■追肥・中耕・土寄せ/収穫適期の見極めポイント
苗の植え付け |
本葉が8~9枚になったら |
内側の葉が立ち上がり結球し始めたら |
球が硬く締まったら |
1回目の追肥 |
2回目の追肥 |
収 穫 |
■知っておきたい効用
淡色野菜の仲間ですが,緑色の濃い部分は緑黄色野菜のように,β‐力ロテンを多く含んでいます。成分の95%を水分が占め,カリウムが豊富に含まれることから,利尿作用に優れ,高血圧の予防にも有効に働きます。
アブラナ科の野菜には,がん予防成分のグルコシノレートが含まれており,噛んだり,すりおろしたりすると,アリルイソチオシアネートという辛味成分に変化します。この成分の一種スルフォラファンには発がん物質を抑制する働きがあり,がんの予防効果が注目されています。
また,ビタミンCは,風邪の予防やストレスの軽減,疲労回復などに大きな効果を発揮。鍋物やスープなどで,汁ごとたっぷり食べられるはくさいは,水溶性のビタミンCやカリウムの損失を低く抑えられるのも強みです。(がん予防,高血圧の予防・改善,老化の抑制,利尿作用)
◆調理との組み合わせのコツ
白菜のビタミンCは,部位によってその含有量が遣います。最も多いのが外の色の濃い葉なので,この部分は鍋物やスープで栄養を逃さずに摂取しましょう。内側の葉は塩もみや即席漬け,サラダなどの生食にも向いています。
β-力ロテンを多く含むにんじんやほうれんそう,食物繊維に富むえのきたけやしいたけなどのきのこ類を合わせれば,がん予防の効果もさらに高まります。クセがなく,どんな食材とも合いますが、豚肉やベーコンとは好相性。
◇美肌やダイエットにも効果的
ハクサイの成分の95%以上は水分で占められていますが,カリウムが多いのも特徴です。その水分の多さとカリウムの働きによって,塩分を体外に排出する利尿効果や,血圧を下げる機能が期待できます。そのほか,ビタミンCによる免疫力を向上させる働きがあります。また食物繊維が豊富なわりに糖質が少ないことによる美肌効果にも注目が集まっていますし,近年は,ダイエット用食材としても野菜の中では,注目が高まっている野菜です。
昔から,冬の食卓には欠かせないハクサイの漬物。今もなお,老若男女を問わず人気の食品ですよね。キムチ漬けの素材としてもハクサイは最適です。おいしい自家製のハクサイ漬けに,ぜひあなたも挑戦してみませんか。なお,以前,HL(韓国)を旅行した際に,現地の添乗員さんから,ハクサイを購入するための「キムチボーナス」が出るとのお話を伺ったことがありました。なお,食事の際に出るキムチのおかわりは無料なことと,市場では各種色違いのトウガラシの種類にビックリさせられました。
材料:ハクサイ2株(5kg程度),食塩200g(ハクサイの4~5%。天然塩などを用いるとなお一層うまみが増す),タカノツメ,ユズ,昆布(各適量)
①ハクサイの株に包丁で切れ目を入れ,手で裂いて1株を4分割します。これを水洗いして,半日から1日,天日に干します。こうすることで余分な水分が飛び,ハクサイに甘みが出ます。なお,ハクサイ漬けは少量ずつ作って,こまめに食べる方法が最適ですから,一度に漬ける量は2株ほどにします。
②漬物たるの底に,ひと握りの塩を振ります。切ったハクサイをなるべく隙き間なく並べます。段を重ねる時は,株の部分が下の段の葉の部分に重なるよう,向きを逆にします。
③段ごとに塩を振り,適当な大きさに切った昆布,手でちぎったタカノツメ,薄切りにしたユズを散らします。
④押しぶたをし,おもしを乗せます。ほこりよけのビニールや新聞紙などをかけ,冷暗所に3~4日置きます。水が上がってきたら,絞って水を捨て,おもしを軽いものに換えます。
⑤1~2日すると食べられます。1週間から10日ぐらいまでが食べごろです。
※ハクサイ漬けの作り方を,下ごしらえ+材料+漬け込みまでカラー写真入りで紹介したHPがありましたのでURLを紹介します。また昨年(平成22年)11月の南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』の中の『菜園くらぶ』に掲載されていました「鍋物に欠かせないハクサイ」を添付いたします。
※『野菜だより』2011年3月号の「西村和雄さんの畑の食いしん坊教室」にずっしり重いハクサイを育てるが掲載されていました。
白菜は寒さでうま昧倍増=これからが旬を迎える白菜は,日本には原産地の中国から明治時代に渡来。日清・日露戦争で従軍した人が,中国で食べてその味にとても感動し,日本に持ち帰り,普及した野菜で,一年中出回る野菜だが,寒くなるこれからの時季は繊維が軟らかくなり、おいしさが増す。冬の鍋物に欠かせない食材で,ビタミンCやベータカロテン,鉄,マグネシウム,カリウムなどを豊富に含み、風邪の予防・疲労回復・整腸作用・二日酔いを緩和する効能が。カットされた白菜を店頭で購入される際は,葉の色が濃い緑色で黄ばみがなく,巻きがしっかりし,切り口の白色がさえ,このようにずっしりと重いものを選んで。また丸ごと購入され一回で調理しきれない時は,新聞紙などで包み,冷暗所に立てて置いて保存し,カットした場合は,ラップで包み冷蔵庫で保存すると長持ちします。─と紹介されていました。(平成27年11月4日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
※平成28年8月7日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「種まき時期が重要/ハクサイ」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
白菜鍋で体ポカポカ=鍋料理や漬物に欠かせない食材で,これからが旬の白菜。煮込むと甘味が出てとろけるように柔らかく,漬物だと程よい食感を残しつつ味がよく染み込みます。むくみ解消や高血圧予防に効果的なカリウムを含みます。食物繊維も豊富で低カロリーのため,ダイエット中にもお薦めです。ゆでたり煮込んだりすると栄養素が溶け出すので,煮汁もできるだけ取りましょう。外葉が緑で葉の先までしっかりと巻いていて,頭の部分を軽く押すと弾力があって,白い部分につやがあり,ずっしりと重いものを選びましょう。カット物は,葉が詰まっていてみずみずしく,断面が盛り上がっていないものが新鮮です。芯に変色がないかもチェックしましょう。朝晩が冷え込む季節,白菜入りの鍋料理で体を温めてみては。平成29年11月1日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
風邪予防にハクサイ=朝晩の冷え込みが厳しくなりました。寒い季節になるとハクサイの出番が多くなります。ほとんどが水分で,100㌘当たり約14㌔㌍と非常に低カロリーです。免疫力を上げ,風邪予防になるビタミンCや,丈夫な骨の形成に欠かせないビタミンKとカルシウムが比較的多く含まれ余分な塩分の排出を促すカリウムも豊富です。塩分取り過ぎになりがちな漬物でも,ハクサイはリスクが少ないと言われます。葉が上までしっかりと閉じて,ずっしりと重たいものを選びましょう。カットされているものは,断面が平らなものが新鮮です。外側の葉はトロッとした食感が楽しめるので,鍋や煮物にお薦め。内側のやや硬い葉はシャキシャキとした食感を生かして妙め物やスープに。中心部は柔らかいのでサラダや漬物にして,みずみずしい食感を楽しみましょう。平成30年11月7日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
鍋に欠かせない白菜=白菜は95%以上が水分ですが,代表的な成分は美肌効果や風邪予防に効果的なビタミンCです。葉に含まれる辛味成分には肝臓機能を高める作用があり,抗がん作用も期待できます。葉の巻きがしっかりしていて,ずっしりと重みのあるものを選びましょう。カットされている場合は,切り口が白くてみずみずしく,葉が詰まっているのがお薦めです。カットした後も中心部分は成長するため,芯の周辺が盛り上がっているものは避けた方がよいでしょう。癖のない淡泊な味は他の食材とよく調和します。特に豚肉との相性は抜群です。生のままサラダにしても歯触りがよく,おいしくいただけます。寒い日には,家族そろって白菜を使った温かい鍋をつついてみてはいかがでしょうか。令和元年10月30日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
高血圧予防にハクサイ=ハクサイは,水分が多くて癖がなく,ヘルシーです。高血圧予防に効果的なカリウム,骨を丈夫にするビタミンKやカルシウムを多く含んでいます。ゆでたり煮込んだりすると甘味が出て,とろけるように軟らかくなります。栄養素が溶け出すので,煮汁もできるだけ摂取しましょう。これからは鍋料理がお薦めです。外葉が緑で,葉の先までしっかりと巻いているもので,頭の部分を軽く押すと弾力があり,白い部分に艶があり,ずっしりと重いものを選びましょう。カット物は,葉が詰まっていてみずみずしく,断面が盛り上がっていないものがよいでしょう。丸ごと保存する場合は,乾いた新聞紙に包んで冷暗所に置きましょう。カットしたものは,しっかりとラップをして野菜室に入れましょう。いずれも,縦にして保存すると日持ちが良くなります。令和2年12月9日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
あっさりした味わいの白菜=白菜は英語で「チャイニーズ・キャベツ」とも言われるように中国が原産で,日本では明治時代から本格的に栽培されるようになりました。全体の95%が水分で,カリウムが豊富なため,高血圧の予防やむくみを防止する効果が期待できます。免疫力を高めて風邪を予防するビタミンCや,整腸作用があって肌の調子を整える食物繊維も多く含みます。巻きがしっかりしていて,ずっしりと重みがあるもの,外側の葉がいきいきとして,色が濃いものを選びましょう。カットされたものは,切り口がみずみずしく,断面が盛り上がっていないものの方が新鮮です。新聞紙に包んで立てた状態で冷蔵庫の野菜室に,カットしたものはラップをかけて保存しましょう。あっさりした味わいなので,定番の鍋物や漬物はもちろん,妙めもの,煮物,サラダなどさまざまな調理法で楽しんでください。令和3年11月10日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
ハクサイ煮込むと甘み=煮込むと甘みが出てとろけるようなやわらかさになるハクサイは,鍋料理に欠かせません。ほとんどが水分で,100㌘当たり13~14㌔㌍と低カロリー。栄養価も適度にあり,ダイエット中の人にもお勧めです。カリウムが多く含まれ,高血圧予防に期待ができます。骨を丈夫にするカルシウム,ビタミンKも含まれます。外葉が緑色で葉の先までしっかりと巻いていて弾力があり,白い部分につやがあってずっしりと重いものを選びましょう。カットされたものは,葉がしっかり詰まっていて,断面が平らで,切り口がみずみずしく白いものが新鮮です。スープや煮物などのハクサイの甘みが溶け出す料理やサラダ,妙め物やギョーザの具にも使われます。漬物にすると,ほどよい食感を残したまま味がよく染み込みます。秋から冬にかけて旬のハクサイの甘みを堪能してください。令和4年9月28日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
寒さ増し甘み増す白菜=白菜は晩秋から冬にかけて旬を迎えます。ちょうどお鍋が恋しくなる季節にぎゅっと結球し、甘みを蓄えます。漬物から煮込みまで幅広い料理に使える万能野菜です。大部分は水分で、むくみや高血圧の予防が期待できるカリウムを含みます。スープの食材に加えると溶け出した成分も余すことなく摂取できます。整腸作用がある食物繊維も豊富。加熱すると消化が良くなるので胃腸が弱っている時にもお薦めです。生をサラダにすれば、シャキシャキ食感と本来の甘みを味わえて、ビタミンCもそのまま取れます。外葉が緑色で葉の先までしっかりと巻き、白い部分につやのあるものを選びましょう。カットしてある場合は葉が詰まってみずみずしく、断面が盛り上がっていないものが新鮮です。丸ごとなら新聞紙に包んで冷暗所に置き、カットものはラップをして野菜室へ。縦にして保存すると日持ちします。令和5年11月1日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
参考図書:『野菜講座 栽培収穫編(葉茎菜)』(日本園芸協会),瀬戸正徳著「園芸全集 野菜栽培」,井原英子著『無農薬栽培って,簡単!はじめよう野菜づくり』(学習研究社),徳江千代子監『これで安全!野菜と果物を「安心」して食べる知恵』(二見書房),『旬の野菜の栄養辞典』(エクスナレッジ),『やさい畑』(2017年秋号)
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レタス
我が畑では,料理当番が,サラダ用にパッと葉をもぎ取りやすい場所にとして,畑の手前に植え付けています。(サニーレタス・グリーンリーフ・玉レタス・サラダ菜・ロメインレタス・リーフレタス)。
レタスは植物学上の和名は「チシャ」で,茎を切ると白い乳状の汁が出ることに由来し,古くは「乳草」(ちちくさ)と呼ばれ,チサ→チシャと変化したといわれます。この白い汁はサポニン様物質で,苦いですが,食欲増進や,肝臓,腎臓の機能を高める効果があります。
レタスには大きく4つの品種群=玉チシャ・葉チシャ・茎チシャ,カキチシャ・立ちチシャがあります。ふつうにレタスというと,玉チシャの玉レタスを指します。
レタスの発芽適温は15~20℃で,これより高温では発芽しにくく,そのまま播いても芽が出ません。芽出しを揃えるためには「催芽播き」=種をガーゼ等に包んで一昼夜水に漬けておき,軽く水気を切ってビニール袋に包み,冷蔵庫に2日程度入れておき,種から根が少し伸びてきた段階で畑に播きましょう。特に夏場には有効な方法です。なお,好光性種子ですので,種にかける土は薄く,種が隠れる程度に。
結球する玉レタスは,家庭菜園では,夏まき秋採りが適します。一方,結球しないリーフレタスは,春作も秋作もでき種播きから2カ月で収穫でき,玉レタスより生育期問が短く,収穫時期が長く,とても作りやすい野菜です。葉を順次かき取って収穫する「かき取り収穫」がお勧めで,リーフレタスの品種は,葉がバラエティーに富んでおり菜が緑色のもの,赤みを帯びたもの,葉に厚みがあるもの,葉の緑がフリルのように細かく波打っているものなど見た目でも楽しめ,さまざまなリーフレタスを配置して植えると,花壇のようなキッチンガーデンが作れ,加えて食卓も華やぐことになります。1袋に色々なリーフレタスの種子を交ぜて売られているものもあります。
栄養を逃さずパリパリ食感を楽しむには
食べるときは,食感をよくするために冷水につけてシャキッとさせてから使います。
これは,葉が水分を吸ってみずみずしくなるとともに,葉に含まれるペクチンやムチン質に,あたたまるとやわらかくなり,冷えるとかたくなる性質があるからです。しかし,水溶性の栄養がとけ出しやすいため,水につけず,乾燥しないように湿らせたペーパータオルにレタスの葉を包み,冷蔵庫で冷やす方法がお勧めです。
包丁は使わず,手で千切るのが正解
せん切りにする時以外は,レタスは包丁で切らず,手でちぎるのが一般的です。理由は,包丁で切ると金属にふれた部分が酸化しやすく,切り口が赤っぽく変色してしまうからです。ただ,手でちぎってもその部分の細胞が壊れるので,時間をおくと酸化し始めるので,ちぎったそばから水につけてすぐにとり出し,使う直前まで冷蔵庫に入れておきましょう。更に,手でちぎったあとのギザギザのほうが,包丁の切り口よりもドレッシングなどの味がしみやすいという利点もあります。
■知っておきたい効用
栄養価値は全体にそれほど高くないものの,β‐力ロテン,ビタミンC・E,カリウム,カルシウム,鉄などの栄養素を適度に含んでいます。
野菜としては比較的多いのがビタミンEで,抗酸化作用から細胞の老化防止,動脈硬化予防に効果を発揮するほか,β‐力ロテンやビタミンCと共存すると抗酸化作用が高まります。美肌づくりやストレスを鎮めるうえでも有効に作用します。
ビタミンEは,抗酸化ビタミンとして知られ,がん予防コレステロールの上昇抑制,血圧の調整とともに,ホルモン分泌を整え,生殖機能の健康維持に力を発揮します。
(高血圧の予防・改善,骨組しょう症の予防,貧血の予防・改善,不眠症の改善)
※『現代農業』(平成24年10月号)の「あっちの話 こっちの話』に北海道から「トウ立ちしたサニーレタスでアオムシよけ」という話題が=簡単,あっという間にできるアオムシの防除方法をせたな町の長内義未さんに教えてもらいました。使うのはトウが立ってしまったサニーレタスと水だけ。サニーレタス2~3株を根ごと抜いて,水を張ったバケツ(10㍑)の中でグシャグシャに揉みます。そのレタス液をキャベツなどにまくだけでアオムシが寄ってこないそうです。
サニーレタスは虫がつきにくい作物です。グシャグシャに揉んだときにでる白い液が虫を寄せ付けないのでは? というのが長内さんの見解です。
=提供されていました。
※平成28年3月6日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「リーフレタス─苦みが食欲をうながす─」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
※平成30年2月8日(木)の南日本新聞「はじめる家庭菜園」の記事でロメインレタスの存在を知り,種子を購入し,育苗トンネル内の隅に3月9日,種を直播きし,4月5日以降に育苗苗を4列の畝に定植し5月のGW以降(上写真の右端)収穫を楽しんでいます。
同記事には,ロメインレタスは,別の呼び方でコスレタスとも呼ばれ,形は結球したレタスと違い,葉を巻きこまずに,白菜のように立った状態で成長するため,狭い株間でも育てることができ,普通のレタスに比べ葉肉が厚く,シャキシャキとしたかみごたえのある食感で,妙めたり,スープの具など加熱する料理にも適しており,サラダで人気のシーザーサラダでは,このロメインレタスを使用して作られているそうです。
植え付けて50~60日後,草丈が20~30㌢ぐらいになったら収穫時期で,株のてっぺんを手で軽く押さえ,弾力があるようなら刈り取るタイミングです―と紹介されていました。
※タキイの農園芸通販カタログ『花と野菜ガイド』(2018年夏秋号)には,肉厚でシャキットした食感。食べた経験のある人の9割以上が「ロメインレタスが好き!」と回答。玉レタスに比べ,食物繊維やカルシウム・葉酸・ビタミンCなどを豊富に含み,幅広い作型に適し栽培しやすいので家庭菜園に好適との紹介がありました。
加熱してもおいしいレタス=レタスは1年を通してスーパーなどに並んでいます。日本各地で栽培されていますが,これからの時季は鹿児島県産が出回り始めます。和名は「チシャ(乳草)」で,茎を切ると乳に似た白い液が出ることに由来します。レタスにはビタミン,カリウム,べータカロテン,食物繊維などがバランスよく含まれています。成分の95%が水分なので,低カロリーでダイエットに適しています。ちぎってサラダにするのがお手軽で定番。中華スープやチャーハンの具材として,食感が残る程度にサッと火を通してもおいしいです。加熱するとかさが減るので,子どもでもたくさん食べられます。傷みやすいので,早めに使い切りましょう。保存する場合は,ぬらしたキッチンペーパーで包んで袋に入れて野菜室で冷蔵すれば,長持ちします。令和3年10月20日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
暑い夏に冷やしレタス=サラダに使うと見栄えがよく、食感も楽しめるレタス。葉が巻いた玉レタスや、サニーレタスなどの葉レタスがあります。高血圧予防に効くとされるカリウムや造血作用のある葉酸を含みます。サニーレタスは鉄、骨の形成に作用するカルシウム、ビタミンKのほか、抗酸化作用のあるベータカロテンも豊富です。みずみずしく、芯が10円玉くらいの大きさで、切り口が変色していないものを選びましょう。玉レタスは葉の巻きが柔らかく、ふんわりとして軽いものが甘い傾向にあります。葉レタスは葉先まで色がきれいで張りがあるものが良品です。食べる直前に冷水につけるとパリッとした食感になります。手でちぎると切り口の変色を防げて、ドレッシングも絡みやすくなります。妙め物やスープにするのもお薦めです。暑い夏に冷やしたレタスの食感を味わってみてはいかがでしょう。令和5年8月9日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
参考図書:『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『これで失敗しない家庭菜園Q&A』(家の光協会),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『別冊やさい畑―もっとうまくなる野菜づくり講座』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),「育てたい!変わり野菜」(やさい畑2018年冬号別冊付録)
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ホウレンソウ
白黒テレビの時代,米国コミック漫画の主人公“ポパイ”が,缶詰のホウレンソウを口に投げ込むと爆発的パワーで元気を取り戻すでお馴染みのホウレンソウ。以前は,秋冬の食卓に上がる野菜でしたが,今では年じゅう食べることができるようになりました。我が畑では,夏場を除き露地栽培を楽しんでいます。
なお,ほんとうの旬は,寒さで甘みが凝縮する秋から冬にかけて。厳しい寒さが続くと,細胞内のデンプン質が糖分に変化して甘くなるのが冬野菜の特徴です。地を這うように葉を広げ,縮れて厚みを増したホウレンソウは,冬の太陽を浴びて甘みたっぷり。うまく発芽すればあとの作業は簡単です。
日本在来種(東洋種)葉質は薄くて葉色は淡く,葉の形はぎざぎざで葉先がとがっています。根元の赤みが強く,種には角があります。味はよいのですが,春に日長が長くなると花茎を伸ばしてとう立ち(抽だい)し,葉がかたくなって味が落ちます。そこで,日が長い春から夏は栽培できません。
一方の西洋種は,肉厚で葉色が濃く,葉の切れ込みはないか少なく,先端は丸みを帯びています。根元はあまり赤くなく,種は球形です。あくが強くて味は劣るが,収穫量は多く,緯度が高いヨーロッパで,とう立ちしにくいように改良されています。味がよい東洋種にとう立ちしにくい西洋種を交配して,よい性質だけを併せ持ったのが,現在多く栽培されているホウレンソウす。
ホウレンソウは耐寒性が強く,生育適温は10~20℃で,0℃で生長は停止します。しかし,マイナス10℃くらいまで寒害を受けることはありません。
家庭菜園では春と秋に種をまきますが,ホウレンソウの性質にもっともかない,作りやすいのは,9~10月にまく秋まき秋冬どりです。低温期はじっくり育つため,ビタミンCなどの栄養価が高く,甘みも増してきます。ホウレンソウの旬は,やはり冬なのです。低温期に甘くなるのは,寒さにあったホウレンソウが,体内の水分を減らし,凍らないように体内の糖度を高めて自己防衛するからです。寒さにあてて育てたホウレンソウを「寒締めホウレンソウ」とも呼びます。甘みだけでなくビタミンも増えます。
作りやすい秋まきでは,多くの品種が使えます。ただし,気温のやや低い時期にべと病が発生することがあるので,べと病抵抗性品種を使うと安心です。また,冬に収穫したいときは,耐寒性があり,低温でも伸びる品種を選択します。春まきではかならず,とう立ちしにくい晩抽性品種を利用します。秋まきに晩抽性品種を使うと,生育がきわめて遅いので注意が必要です。
失敗しないコツ─確実に発芽させるために─
ホウレンソウは,葉物野菜の中では,発芽させるのが難しいほうです。弱酸性の土づくりと芽だし処理で確実に発芽を目指す必要が。日本の土壌の特徴である酸性の土壌には弱いので,多めに(1㎡当たり100~150g前後)石灰を撒いて,pH6.3~7.0前後の微酸性から中性に近い土壌環境を整え,種蒔きの数日前に芽だし処理を行います。この芽だし処理は,種を一昼夜水に侵した後,冷蔵庫で一晩以上置いて冷やしてからというひと手間を惜しまない発芽促進策を施してから播くことで,高温期には発芽しにくいので,事前にこの作業をしておくことにより,発芽を促進し,生育を揃えることが可能に。
■知っておきたい効用
各種のビタミンやミネラルを多量に含む点で,緑黄色野菜の王様ともいえる野菜です。吸収率は肉や魚に及びませんが,鉄の含有量は野菜のなかでもトップクラスです。
鉄は血液中の酸素を全身に運搬する働きをもつヘモグロビンの成分で,不足すると貧血や筋肉疲労,頭痛,息ぎれなどの症状が現れます。また,赤血球の形成に欠かせず,認知症予防でも注目される葉酸も豊富に含むので,貧血には効果絶大。β-力ロテンやビタミンCもほかの野菜に比べて多く,がんの予防や老化抑制のほか,Cによるコラーゲンの合成促進,Aによる皮膚の健康維持作用など,美肌づくりを助ける美容効果も見逃せません。
濃い緑の葉には葉緑素のクロロフィルがたっぷり含まれ,ビタミンCの抗酸化作用と協働して,悪玉コレステロールの酸化を防止。クロロフィルにはアルコールを中和する働きがあることから,二日酔いにもよいとされています。また,根元の赤い部分には,骨を形成するのに必要なマンガンが多く含まれています。(貧血の予防,がん予防,老化の抑制,高血圧の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
抗がん作用を高めるには,β‐力ロテンとビタミンCの豊富なホウレンソウに,ビタミンEをプラスします。ビタミンEが豊富なうなぎやたらこ,卵,かぼちゃ,アボカドといった野菜との組み合わせがより有効です。ホウレンソウは,アク成分のシュウ酸を含むので,ゆでるか,生で大量に食べすぎないようにしましょう。
※『やさい畑』(家の光協会)の2010年冬号の「旬をいただく畑薬膳」に食養研究家・武鈴子氏監修でホウレンソウの優れた薬効=貧血・便秘薬等の魅力が。葉以外に根元の赤軸には,骨の形成に係るマンガンが豊富で成長期の子供には特にお勧めと紹介されていました。
※『野菜だより』(2011年1・2月号)の「西村和雄さんの畑の食いしん坊教室」に,適量の元肥で淡い緑色に育てたいとしてホウレンソウを甘く育てるが掲載されていました。
※『現代農業』の平成25年11月号の「こっちの話」に塩入信宏さんからの投稿でホウレンソウの発芽率向上のために,「醤油でホウレンソウの発芽率100%」が掲載されていましたので紹介します。
鹿児島市の福留勇作さんから身近なものを使ってホウレンソウのタネを100%発芽させる方法を教えてもらったとして,使うのは家にある醤油(勇作さんは濃口醤油を愛用)。ホウレンソウのタネが入った袋に,タネが浸かるくらいの醤油を入れ,一晩冷蔵庫に入れておくという方法です。冷蔵庫から出した時の急な温度変化で芽が動くことも狙っています。醤油に浸けたタネは,ある程度乾かしてから播きます。
2年前,大阪の知り合いに教えてもらってからこの方法を実践している勇作さん。水に浸けていた頃とは比べ物にならないほど,「絶対に芽が出るよ」と自信満々でした。醤油でゴボウの発芽率がよくなる話は今までもありましたが,ホウレンソウの発芽率も上がるとは,驚きですね。
なお,前年の『現代農業』の「発芽名人になる!」の特集ページで紹介されていた,ホウレンソウの発芽率向上策としての先輩農家からの知恵のおすそ分けとしては,水に浸けたり冷蔵庫で冷やしたりを繰り返して発芽を確認してから種を播く方法や,お腹に種を巻いてや車のダッシュボードで温めて芽だししてからが紹介されており,平成25年は濡れタオルに種を包んでダッシュボードで温めて芽だししてからは実践いたしましたので,平成26年は醤油浸けをも実践してみようと考えています。
下ゆででまろやかに=本来今の時季が旬のホウレンソウを紹介します。西アジアが原産ときれ,中国へ伝わった「東洋種」とヨーロッパへ渡った「西洋種」に分かれました。日本には江戸時代初期に東洋種,明治時代に西洋種が伝わり,現在は掛け合わせた交配種が一般的に出回っています。
主な栄養素は,貧血予防に効果的な鉄,造血作用のある葉酸,免疫力を向上させるベータカロテンなど。高血圧を予防するカリウムや骨の形成に欠かせないカルシウム,ビタミンK,マンガンも豊富です。葉が濃い緑色で厚く葉先までピンとして張りがあり,茎が太めで根元が赤く色づき,ふっくらしているものがお薦めです。乾燥しないようぬれた新聞紙などに包み,ビニール袋に入れて冷蔵庫に立て置きで保存しましょう。あらかじめ下ゆでしておくと,あくの成分・シュウ酸が抜けてまろやかな風味になります。通年流通するホウレンソウですが,収穫蘭にビニールハウスを開けてあえて寒気や霜に当てることもあるほど,寒さで糖度やビタミン量が高まります。つまり,冬においしくなる野菜です。緑黄色野菜の伸でも,カロテン,ビタミンB群,葉酸,ビタミンC,鉄,カリウム,マグネシウム,マンガンの多さは抜群。特に鉄,葉酸,マンガンは造血に関わる成分なので,貧血予防の野菜として位置付けられています。品種改良により,アクの成分のシュウ酸が低減されているものも多いです。さっとゆでる程度にして栄養素をできるだけ残すこと,油を使った調理でカロテンなどの吸収を促すことがおすすめです。平成29年12月13日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
栄養あるホウレンソウ=ホウレンソウの花言葉は「健康」「活力」です。寒くなるこれからの季節に必要となる栄養素が豊富です。旬は11月~翌年1月頃です。葉が肉厚で食味が良く,1年の中で最も栄養価が高いものを味わえる時季で,鹿児島県産の出荷も多くなってきます。免疫力を向上させるベータカロテンに加え,貧血予防に効果のある鉄分,風邪予防に良いとされるビタミンCも豊富に含みます。下ゆでする際は,たっぷりの熱湯でさっとゆで,冷水に短時間さらすと,ビタミンCなどの流出を少量に抑えることができます。グラタンやパスタなどホワイトソースとも相性ぴったりで,おひたしやあえ物,妙め物にもお薦めです。いろいろな料理に合うので,健康と活力を支える強い味方となることでしょう。平成30年10月31日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
総合栄養野菜のホウレンソウ=今から旬を迎え,県内産入荷が始まるホウレンソウです。「総合栄養野菜」と呼ばれるほど栄養豊富で,貧血予防にいい鉄分は牛レバーと同じくらい多く含まれます。抗酸化作用でがん予防に効果的なベータカロテン,免疫力を高め風邪予防が期待できるビタミンCが主な栄養素です。葉の緑が濃く鮮やかで,シャキッとして厚みがあるものを選びましょう。根の部分がふっくらとしている方が甘みがあっておいしいです。乾燥に弱いので湿らせた新聞紙などで包み,ビニール袋に入れ,冷蔵庫の野菜室に根の部分を下にして立てて保存します。すぐに食べきれないときは下ゆでし,冷凍保存しましょう。下ゆでする際は,根元に十字に切れ目を入れておくと土が落ちやすく,火の通りも良くなります。新鮮なホウレンソウをぜひご賞味ください。令和元年10月23日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
栄養価高いホウレンソウ=ホウレンソウは年中出回っていますが、11月からが旬の冬野菜です。戦後、アニメ「ポパイ」の影響や品種改良が進んだことで、栄養価の高さが注目され、消費が増えました。葉先までピンと張りがあり、厚みがあって濃い緑色のもの、また、根元が赤くふっくらして、茎が細すぎないものを選びましょう。軽く湿らせた新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。2~3日を目安に使い切りましょう。軽くゆでて水気を切り、小分けしてラップに包んで冷凍保存すると便利です。アクのもととなるシュウ酸は、えぐみの原因となります。水溶性なのでたっぷりの熱湯で短時間ゆで、水に浸して一気に冷やすと減らせます。ソテーやパスタにする際も下ゆでするといいでしょう。これからの時季はビタミンCが豊富で、鉄や葉酸、カルシウム、カリウムなどもバランスよく含んでいます。ぜひ健康づくりに役立ててください。令和5元年11月8日(水)/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から
参考図書:『野菜講座2栽培収穫編』(日本園芸協会),『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『やさい畑別冊もっとうまくなる野菜づくり講座』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『やさい畑』2017年秋号・2021年秋号=いつ播けば「寒締め」できるのか?,『まるごと ほうれんそう』(絵本塾出版),『野菜だより』(2018年11月号/その作業,なぜやるの?),『農家が教える野菜の発芽・育苗コツと裏ワザ』(農文協)
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山東菜(なっぱ)
鹿児島ではもっぱら若葉を食する「なっぱ」(菜っ葉)と呼んでいる山東菜。我が畑でも母が生前植えており,みそ汁の具材に鍋が煮立ってから畑に出かけて収穫して来て投げ込んでいたのを思い出し,ハクサイが巻くまでの間の黄緑菜葉の代わりにと植え付け,数株ずつ大きくならない前の物を収穫しています。
播種時期は春と秋で栽培が容易な伝統野菜でもあり,生育はいたって早く,間引きを繰り返して栽培します。霜にあてると味が凝縮しておいしくなると言われていますが,その前までに今秋の収穫は終えてしまいました。
山東菜は,結球しない白菜の仲間で,その名のとおりお隣中国の山東省原産の野菜で,我が国には明治時代に伝来したそうです。
前述したように白菜の中で実が結球せず,葉っぱの緑が濃いのが特徴で,葉先が開いた「半結球」状態で大きく育ちます。
なお,山東菜は葉が柔らかく傷みやすい野菜ですので,収穫してすぐに料理しない場合は,濡れた新聞紙などで包んでビニール袋に入れて立てて冷蔵庫に入れておく事をお勧めします。
■知っておきたい効用
葉の緑の部分にはβ-カロチンを多く含んでいます。抗酸化作用に優れたβ‐力ロテンを多く含んでいるので,活性酸素の作用を抑える働きがあります。また,体内に吸収されると必要な分だけがビタミンAに変わり,皮膚や粘膜を健康に保つほか,眼精疲労を解消するうえでも効果を発揮します。
骨や歯の形成に欠かせないカルシウムも豊富に含まれ,その含有量は牛乳の100g当たり110㍉gをしのぐほど。丈夫な骨づくりに寄与するビタミンKが多いこともあり,骨粗しょう症対策のためにも積極的に摂りたい野菜です。
また,葉酸も多く含有しているので造血作用や認知症予防の働きも期待できます。葉酸は妊娠中は欠乏しやすいのでご婦人は注意して摂るように努めましょう。(がん予防,老化の抑制,高血圧の予防・改善,骨粗しょう症の予防)
◆調理との組み合わせのコツ
山東菜は普通の白菜より多くの栄養成分を含んでおり,葉先まで緑色が鮮やかで、シャキッとみずみずしい物は,生のままでも食べられますので、その栄養素を余すことなく食べられるのも調理のポイントになります。β‐力ロテンは脂溶性なので,油と組み合わせて調理するのが,効率よく摂取するためのコツです。手早く炒めれば,シャキッとした歯ざわりが楽しめ,熟に弱いビタミンCの損失を抑えられる利点もあります。
和風なら油揚げやがんもどきと合わせた含め煮,洋風ならブイヨンで煮て,牛乳を加えて仕上げるクリーム煮などがおいしくいただける代表例。ビタミンDの豊富なしいたけやきくらげを加えれば,カルシウムの吸収に効果的です。
若摘みの柔らかな食感=中国・山東省が原産地とされる「山東菜」。白菜の一種のアブラナ科の野菜で,関東では「ぺかな」,関西や九州では「なっぼ」とも呼ばれます。若摘みされた分は今の時季に,大きくなったら漬物用として冬に店頭に並びます。抗発がん作用や免疫力を高めるベータカロテンを多く含んでいます。妊娠前後の女性が胎児の成長のために大量に摂取することが望まれる葉酸も豊富です。葉先まで鮮やかな緑色で,シャキッとみずみずしいものを選びましょう。乾燥しないよう,ぬれた新聞紙などで包んでビニール袋に入れ,冷蔵庫の野菜室で立て置きに入れる保存方法がお薦めです。さっとゆでておひたしやあえ物に,生のままサラダに,焼き肉を包んで食べるといった,多彩な活用で柔らかな食感を楽しんでください。平成30年4月11日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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金光菜(こんこうさい)
『趣味の園芸 やさいの時間』(平成24年7月号)の藤田智先生お勧めの「今月スタートできる野菜」に紹介されていた「暑さに強く生長が早い,美しい葉色はサラダ向き」に夫婦して興味を持ち,インターネットで種を買い求め栽培してみました。
購入した種袋には,真夏に栽培できる葉物=葉色純黄白色,葉形は根元から丸葉(団扇形)で滑らか,葉柄は白色で全体に美しい黄金色となる。耐暑性は抜群に強く,40℃でも生育する。生育は非常に早く,夏期7~8月では発芽後25~27日で葉長27㎝以上となり収穫できる。本種は中国広東省の在来穂と台湾の鳳山小白菜の交配種であると記載されており,
夏場サラダ用の黄緑色野菜の葉物が不足する我が圃場にあって,最適な野菜ではとして期待を持って栽培してみました。
なお,7月24日に播いた金光菜は,17日後の8月10日から食卓を飾っており,通販種苗店(株)武蔵野種苗店=((株)三重興農社)の誠意で20%増量で種が届いたので,一列ずつ順次種を播き9月末まで,サラダの具として毎日食し,ご近所さんにも夏場のきれいな色の菜葉として,煮物よりもそのままサラダにとして数株畑から泥つきのままお裾分けしています。
種播きの方法
1週間前に土作りを済ませた栽培スペースに幅60㎝の畝を立て,支柱などを使って深さ1㎝の播き溝を作り,1㎝間隔でタネを播き,土をかぶせて水やりをします。
種播き後の管理
害虫被害を防ぐため,タネ播き後は防虫ネットをトンネルがけします。発芽後,双葉が開いたら3~4㎝間隔に間引き,株元に追肥,土寄せをします。草丈20~25㎝になったら収穫します。ベビーリーフもおいしく食べられます。夏は生長が早いので,とり遅れに注意しましょう。
カリウムが比較的多く含まれており,カリウムは食塩(ナトリウム)の排出効果を促進する働きがありますので,高血圧予防の効果があるといわれています。
参考文献:『趣味の園芸 やさいの時間』(平成24年7月号)
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しゃくし菜
店頭種袋の写真のチンゲンサイに似た緑の葉と茎の肉厚な白さが気に入り,温暖な鹿児島では栽培は?と首を傾げつつ,暖地での種の撒き時は,3月上旬から11月中旬までOKとの説明書きを信じ,空いた畝に3月18日に種を撒いた「しゃくし菜」が,5月上旬収穫の時期を迎えました。
しゃもじに似ていることから着けられた名称で,しゃもじな・おたまな・へらな・たいな・ゆりな等の呼称もあるようですが,学術的には『雪白体菜』(せっぱたいさい)と言うそうです。明治初期に中国から伝来した非結球白菜のパクチョイの一種で,埼玉県秩父地方の土壌と合い,標高の高い冷涼な気候を好む野菜のようです。
秩父地方では,秋に種を撒き,11月上旬に収穫し,漬物として伝統的な漬物「しゃくし菜漬」・「秩父菜漬け」の名称で販売されておられるようですが,我が家では,きれいな艶のある茎を,みそ汁の具や炒め物にして食しています。
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冬 菜
冬菜は,アブラナ科の野菜で冬場に栽培する葉菜類(ハクサイ・京菜・東菜・小松菜など)を総称したもので,秋に種を播き,耐寒性があり冬場も生育し冬から春先まで長期間収穫でき,家庭菜園向け野菜です。
今冬は,アタリヤ農園から販売されている「寒さに強く冬一ぱい穫れる」と種袋に書かれた「冬菜」を,令和2年は11月上旬に種を播き,1月下旬から緑黄色野菜がほ場からさみしくなる中,間引き菜を楽しみながら色鮮やかな緑色で葉肉は厚く柔らかいのを収穫しています。
上手につくるコツとしては,元肥を多めに施し,なるべく短期間に生育させることで,軟かい良質の葉菜を収穫しましょう。
緑黄色野菜なので,油と相性が良く炒め物にすると栄養を効率よく吸収でき,カロチン,ビタミンC,ビタミンB1,カルシウム,リン,鉄分,食物繊維等が豊富で,特にカルシウムはほうれん草の3倍もあり,また,ほうれん草と比べてアクが少ないので茹でなくてもすぐ調理でき,ビタミン,ミネラルの吸収率が高くなります。
旬は,1月から3月で霜や雪をかぶって気温が下がると,凍結から身を守るために糖分を作り甘みが増します。
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ビタミン菜
平成の元号の月日も残り少なくなった平成30年の秋,種苗店頭の「ビタミン豊富な健康野菜」との種袋の表記に誘われ購入し,種を小菜園に条播きし,10月末から11月上旬の間,アオムシやカタツムリの食害を受けながら収穫・栽培を楽しみました。
昭和29年(1954)に島根県の農業試験場で育成された漬け菜の一種で,その名のとおりビタミンA・Cの含有量が多いという特徴があり,濃緑色の柔らかい厚い葉で,春から秋まで種播きは可能で,抽苔が遅く,耐寒性・耐病性に優れ,栽培しやすく家庭菜園向けの野菜という特徴があり,葉・茎ともに柔らかく,油いため・みそ汁の具に利用できます。
酸性土壌に弱いので,種播きの2週間くらい前までに石灰を施し,畝全体に堆肥・油かす・化成肥料を施し,幅広の90㌢・高さ10㌢程の畝を立て,畝に直角方向に,条間30㌢の播き溝をつけ,条播きし,本葉が5~6枚のころに葉が触れあわない程度に間引き,10㌢間隔にします。本葉が4~5枚の頃と,その半月後くらいに,株間に化成肥料を追肥として施し,成長のよいものから,間引きながら収穫します。
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コマツナ(小松菜)
我が圃場では,炎天下の夏場を除き一畝は,年中植付けています。栽培期間が短く間引きながら収穫が楽しめるため,1週間間隔で少面積に種をずらし播きし,順次収穫し年中栽培しているコマツナ。霜にあたると甘味が増し,この時期は毎日の食卓を飾っています。
かぶの仲間で漬け菜という青菜の一種で,在来の小カブと,外の漬け菜類と交雑してできた野菜と考えられ,我が国独自な野菜です。夏以外ならいつでも収穫できる家庭菜園の代表選手。寒さに強い冬の野菜で,全国に広く分布しさまざまな呼び名があり,古くは「冬菜」,「正月菜」,「雪菜」と呼ばれ,早春にとれる小ぶりのものは関東地方では,「うぐいす菜」と呼ばれました。現在のコマツナは,東京の小松川(現江戸川区)の特産だったことから,五代将軍徳川綱吉が名づけた(八代将軍徳川吉宗説も)と言われています。
あくが少なく,下ごしらえがいらないので,妙めたり,みそ汁の具にしたりと手軽に調理できますが,葉が薄く柔らかいため,収穫後,鮮度が落ちやすい軟弱野菜ですので,収穫したら早めに食べきりましょう。よく専門農家の出荷状況を学習目的で訪ねる近所のスーパーには,早取りで葉が柔らかいという「サラダコマツナ」が出回っていました。
コマツナは栽培期間が短く,初心者でも育てやすい野菜の代表です。発芽適温は15~30℃で,高温期には種まき後2~3日,低温期では5~10日で発芽します。発芽を揃えるには,種蒔き時の畑の土が十分湿っている事が重要です。土が凍結するような地域を除けば,冬に蒔いても発芽してきます。一年中栽培できるといっても,冬は発芽後,凍霜,降雪,寒風などで葉が傷んだり,低温を受けてとう立ち(抽だい)したりすることがあります。冬場はトンネルやべたがけで保温が必要ですが,我が圃場ででは露地栽培で冬場も丈夫に育っています。
◎周年栽培に向け品種選びのポイント
家庭菜園でも周年栽培が可能なコマツナ。春夏件と秋冬作で分けて品種を選び,気温の高い春夏は徒長しやすいため,じっくりと育つ品種を選び,気温が低い秋冬作は生長が遅いので,伸長性のよい品種がおすすめです。また,夏は耐暑性,冬は耐寒性がある品種,春まきはとう立ちしにくい晩抽性の品種を選びましょう。種まき後,夏蒔きは20~30日で,春蒔きと秋蒔きは50~60日で収穫できます。
また,収穫適期が短いため,草丈が20~25㌢になったら根から引き抜き収穫が楽しめます。なお,気温が上がるにつれどんどん生長するので取り遅れがないように注意しながら,列ごとに収穫すると条間が開き,残した株が大きく生長します。ばらまきだと均一にまけないので,条まきにします。
種の発芽率は高いので,種まきの量が多いと間引きが大変になります。種は高温期では4~5㌢,低温期では3㌢程度の間隔に蒔くと,間引きをしないですみます。そして,畝の端から順次収穫していきます。なお,種蒔き後の覆土は1㌢程度の深さにします。害虫対策としては,不織布などのべたがけや,防虫ネットや寒冷紗のトンネルがお勧めです。
■知っておきたい効用
寒さに強い緑黄色野菜のひとつで,体内に吸収されるとビタミンAに変わるβ‐力ロテンを豊富に含むほか,ミネラル類も多く,とりわけカルシウムの豊富なことがよく知られています。鉄分についても同様で,一般に鉄分が多いことで知られるホウレンソウよりも多く含まれています。
体内で変化したビタミンAは,主に目や皮膚,粘膜全般の機能を健やかに保つほか,免疫力の低下で風邪をひいたり,皮膚が乾燥したりといった症状から守ってくれます。カルシウムや鉄分は,血液や骨の形成に欠かせない栄養素。女性に多いことから 「婦人病」ともいわれる貧血や骨租しょう症を予防するためにも,たっぷり食べたい野菜です。(骨租しょう症の予防,貧血の予防・改善,がん予防,皮膚・粘膜の保護)
栄養的には,がん抑制効果があるβ‐カロテン,免疫力を高めるビタミンCがたっぷり含まれています。β‐カロテンは抗酸化作用が高く,粘膜を丈夫に保つため,ビタミンCとともに寒い季節には,かぜ予防のために欠かせません。
最近注目されているのが,アブラナ科植物に共通して含まれるグルコシノレートで,抗がん作用があるほか,肝機能を助けて有害物質の解毒作用を高めます。動物実験ではがんが発症しにくいという結果が出ています。さらに,コマツナナにはもうひとつグルタチオンという抗がん作用のある物質も含まれています。グルタチオンもハーバード大学やチューリンゲン大学で抗がん作用が証明されています。
◆調理との組み合わせのコツ
β‐力ロテンは油と一緒に摂ると吸収率が高まります。ホウレンソウと遣い,コマツナ自体のアクが少なくクセもないので,下ゆでせずにそのままごま油などで妙めても,おいしく食べられます。
おひたしにする場合は,ビタミンCが失われないよう,ゆでる時間を極力短くしましょう。コマツナに油揚げを加えた煮浸しは味もよく,より効率的にビタミンやミネラルを摂
取できます。そのほか,みそ汁や雑煮などの具として使うのもよいでしょう。
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』(平成23年12月号)の「菜園くらぶ」に『栽培しやすい葉野菜 コマツナ』が掲載されていました。
※『やさい畑』2012春準備号の「旬をいただく 畑薬膳 コマツナ」に食養研究家・武鈴子氏監修で,寒さや暑さに強く,一年中種蒔きできるが,最も美味しくなる旬は12月~2月。カルシウムの宝庫であるコマツナの知られざる魅力を紹介との記事が掲載されていました。
将軍が由来のコマツナ=4月に入り,野菜売り場には,タケノコやツワブキなどが,果実売り場には,イチゴやメロンなどが入荷し,場内をにぎわせています。今週は,栄養価が高い緑黄色野菜の一つ,コマツナを紹介します。江戸時代に,徳川将軍が現在の東京江戸川区小松川へタカ狩りに訪れた際に献上され,地名にちなんでコマツナと呼ばれるようになったといわれています。施設栽培などで年間を通じて出回っていますが,もともとは冬場の野菜で「冬菜」とも呼ばれています。カロテン,カルシウム,ビタミンA・C,鉄分,カリウム,食物繊維を多く含み,特にカルシウムの含有量は野菜の中では飛び抜けていて,骨粗しょう症や生活習慣病予防にお薦めです。汁物の具や妙め物,あえ物,サラダでいかがでしょうか。毎日の食卓に,コマツナなどの新鮮な野菜を使った料理で体調を整えてください。平成26年4月9日/南日本新聞「かごしま食べごろ」から
コマツナで骨丈夫に=寒い日が続き,風邪をひきやすい時季です。免疫力を高めるためにも,毎日の食卓に青果物を多く取り入れましょう。今週は,緑黄色野菜の中でも栄養価が高いコマツナを紹介します。施設栽培などで年間を通じて出回っていますが,もともとは冬場の野菜で「冬菜」とも呼ばれています。骨や歯を丈夫にするカルシウムや,止血作用や骨の形成に役立つビタミンKを多く含み,また,抗酸化作用のあるピタミンAやビタミンC,貧血の予防になる鋏分も含みます。あくが少ないので,鍋や妙め物,あえ物やサラダなど,多彩な料理に合わせられる食材です。
葉が肉厚でみずみずしく緑色が鮮やかで,茎は太く張りのあるものを選びましょう。新聞紙に包み,さらにビニール袋に入れて立てた状態で冷蔵庫に保存しますが,葉がしおれてくるのでなるべく早めに使い切ってください。平成28年2月17日(水)南日本新聞『かごしま食べごろ』から
栄養摂取適したコマツナ=ホウレンソウと肩を並べるほど栄養豊富なコマツナ。施設栽培などで年間を通じて出回っていますが,もともとは冬が旬で,別名「冬菜」とも呼ばれています。抗酸化作用を持つベータカロテンやストレスを緩和し免疫力を高めるビタミンCが豊富で,風邪予防の効果が期待できます。また,骨や歯を丈夫にするカルシウムや貧血の予防になる鉄分は,含有量がホウレンソウの2倍以上あります。不足しがちなカルシウムや鉄分を効率よく摂取するのに適した野菜です。あくが少ないので,鍋物や妙め物,あえ物やサラダなど,多彩な料理に合わせられる食材です。年末の慌ただしさに寒さも相まって,風邪をひきやすい時季になりました。鍋料理などで肉や魚介類と一緒に食べて,体を温めつつ免疫力を高めて元気に過ごしましょう。平成29年12月27日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
風邪予防にコマツナ=緑黄色野菜の中でも栄養価が高いコマツナ。施設栽培などで年間を通じて出回っていますが,もともとは冬場の野菜で「冬菜」とも呼ばれます。ベータカロテンやビタミンCを豊富に含み,抗酸化作用でがんや風邪予防への効果が期待されます。ビタミンCとの相乗効果で,免疫力アップや美容効果も見込めます。癖がなくあくも少ないため,妙め物やあえ物,サラダをはじめ多彩な料理に合います。葉が肉厚で緑が濃く鮮やかで,茎に張りがあり,シャキシャキと元気なものがお薦めです。あまり日持ちはしないので,なるべく早めに使い切りましょう。すぐに使い切れない場合は,硬めにゆでてしっかり水気を切り,小分けして冷凍しておくとよいです。 栄養たっぷりのコマツナを食べて,体調を崩しがちな季節を乗り切りましょう。平成30年12月12日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
※平成30年12月5日(水)午後7時半からNHKTVで放映の『ためしてガッテン』で本当にすごい味だった!スーパー“葉もの”小松菜活用術が天然のマルチサプリとして調理法が紹介放映され,我が小菜園でも栽培している小松菜の調理法について家族して観賞し学習しました。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『病気にならない食べ物事典』(PHP文庫),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『やさい畑 2011春準備号』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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チンゲンサイ
中国野菜で最もポピュラーなチンゲンサイ。コマツナに似た癖のない味が持ち味。これまで秋野菜と勘違いしていましたが,周年栽培も可能と知り,4月~6月の春まき栽培(=栽培しやすいが虫害が多く,湿害を受けやすい)に挑戦してみました。
チンゲンサイは暑さや寒さに比較的強く,土壌の適応性は広く,栽培期間も短く(春・夏まきで45~65日,夏まきで30~40日)育てやすい緑黄色野菜です。ただし,連作をするとアブラナ科野菜に共通の病害虫である根こぶ病や,キスジノミハムシが発生しやすいので,2年程は空ける輪作を心がけましょう。
生育適温は15~25℃で,春から秋まで種をまけます。しかし,5℃以下になると生育が遅れ,3℃以下では凍霜害が現れます。また,高温期には節間が伸びたり,葉先の枯れ症状が出やすくなったりし,害虫も多く発生します。※我が圃場では,隣畝の春ジャガから6月初期,ヨトウムシが越境侵入し,3日間,ヨトウミシの捕獲作戦を夜間展開し,駆除しました。(米糠わなも仕掛けましたが,翌朝まで待って米糠わなに入ったヨトウムシを捕殺するよりも,両手が使えるヘッドランプで,夜間葉を照らし手で捕獲するのが手っ取り早かったです。)
もっとも作りやすい季節は春まきと秋まきです。春まきの場合は,種まき後40日程度,秋まきの場合は50~60日で収穫できます。
間引き菜から食材に利用していますが,葉の長さが15~20㎝くらいになり,株の尻(薬軸のつけ根部分)が張り,胴がくびれ,葉の上部が大きくなってやや開き加減になったものが,食べごろの収穫期です。
■知っておきたい効用
代表的な中国野菜のひとつで,肉厚で淡い緑色の茎と,スプーン型の葉が特徴です。栄養豊富なアブラナ科の中国野菜の例にもれず,ビタミンではβ‐力ロテン,ビタミンC・Eなどを多く含みます。この3者の協働で抗酸化作用が高まり,高血圧や動脈硬化を予防。メラニン色素の沈着を抑えて美白効果を高めたり,肌のキメを整えたりといった美容効果も期待できます。
ミネラルでは,高血圧の予防に有効に働くカリウムをはじめ,カルシウムや鉄も多く含まれます。カルシウムは更年期以降に増える骨租しょう症に高い予防効果をもち,カリウムは血圧の安定にも有効。また,わさびに多い辛味成分のアリルイソチオシアネートを含み,消化を助けたり,血栓を防いでがんを予防する効果があるとされます。(高血圧の予防・改善,がん予防,疲労回復,骨粗しょうの予防)
◆調理との組み合わせのコツ
チンゲンサイに含まれる豊富な力ロテンの吸収を高めるには,油妙めがおすすめです。風味のよいしいたけ,良質のたんばく質を含む豚の赤味肉を具材に加えれば,さらに栄養効果もアップします。美肌づくりには,コラーゲンたっぷりの牡蠣との食べ合わせもおすすめです。
同じく豊富なカルシウムの吸収を高めるためには,きくらげや干ししいたけ,しらす干しなど,ビタミンDを多く含む食材を組み合わせます。大きめに切ると,より一層旨味が引き立ちます。
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』(平成25年2月号)の「菜園くらぶ」に『用途が広い中国野菜 チンゲンサイ』が掲載されていました。
胸やけにチンゲンサイ
大きなスプーンが重なったような形のチンゲンサイは,中華料理によく使われる中国野菜の一つです。中国の華中・華南地域が原産地とされ,日本へやってきたのは1972年の日中国交回復以降です。あくが少なく,さまざまな料理に活用できることから,味や食感が日本人の好みに合い,人気を得ました。
ビタミンA,Cに宮む葉色野菜で,カリウム,カルシウム,ナトリウムなどのアルカリ性ミネラルを豊富に含むためき胃酸過多で起こる胸やけに効果が期待できます。
油ととても相性がよく,加熱するとまろやかな甘味とシャキシャキ感があるため,炒め物やクリーム煮,あんかけなどに適しています。最近では,サラダとして生で食べたり,浅漬けなど手軽に利用できるレシピが提案されていることから,新しい食べ方を試してみてください。(鹿児島市青果市場主査・小山田重紀) 『かごしま食べごろ』平成26年4月16日/南日本新聞
※平成28年7月3日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「季節問わず種まける/チンゲンサイ」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
参考図書:『新野菜つくりの実際/葉菜』(農文協),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜まるごと大図鑑』,『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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タアサイ
中国華中が原産地で,中国語の意味は“つぶれたように生育する葉物”で,黒ハクサイとも言われ,漬け菜類に分類されているタアサイを,昨年は,種まきが少々遅れ気味(昨年は,10月30日)でしたので,今秋は,昨年よりも一月ほど早く9月28日に,オクラの収穫あと地を耕し,中性に近い弱酸性に適した野菜ということで,苦土石灰を施し,PH6.2で準備した畑に,堆肥と化成肥料・油粕を十分施し,1㍍30㌢の広畝に種を三条の筋蒔きした中国の代表的冬野菜のタアサイが冬の到来と共に,独特な緑色が濃くなり収穫の時期を迎えています。生育を見守る中,途中,2回の間引き(最終株間を30㌢)の際に,追肥と中耕を行いました。(年内に大株にならないように,9月~10上旬に種を蒔くのがポイント。加えて寒さに遭わせてから収穫するのもポイント。)
暖かい時期には,コマツナのように半立性ですが,低温期を迎えた11月になってから,黒緑色の葉は,小さな羽を広げたように開帳し,地面にはうように大きく茂り,葉が地面に沿って放射状=扁平状(ロゼット状)に広がったものを寒さが増し始めた11月下旬から収穫し,シチュウの具等にして食卓を飾っています。霜に1~2度遭う頃から甘味を増しおいしくなるそうで,越冬対策としては,畝の北側を高くし,葉に寒風が直接当たらないようにチョイの工夫が必要で,冬場でも強く,一個で十分という大きさになります。葉には,特有の風味があり,鮮緑色の色合いを活かした調理に向いており,加熱時間は,短時間にし,肉等との油いため・漬物・汁物の実・和え物などに最高。
なお,連作障害が出るため,少なくとも1年は,間隔を置いて植えるように努めましょう。あまりお店では,取り扱っていない野菜ですので,ぜひ来秋はあなたの菜園でも挑戦をお勧めします。
■知っておきたい効用
地面に沿って扁平状に生育し,スプーン型の濃い緑色の葉をもつアブラナ科の中国野菜。見た目よりも葉や茎がやわらかく,味にもクセがないため,中国料理ではスープ煮や青菜妙めの材料によく使われます。
β‐力ロテンを非常に多く含み,同様に抗酸化力の強いビタミンCやEも比較的豊富なことから,相乗作用でがん予防や老化抑制に強い効果を発揮します。また,β-力ロテンは体内に吸収されると必要量がビタミンAに変わり,皮膚や粘膜を強化して風邪を予防する働きがあります。
ミネラルではカリウムが多く,過剰なナトリウムを排出することで高血圧を予防するほか,筋肉の働きや神経の伝達を正常に保つうえでも有効に働きます。骨や歯の形成に欠かせないカルシウムも豊富で,骨租しょう症の予防のほか,カリウムの働きとあわせて血圧の安定にも効果が得られます。(がん予防,高血圧の予防・改善,骨粗しょう症の予防,老化の抑制)
◆調理との組み合わせのコツ
妙め物から煮物まで幅広く活用できます。β-力ロテンの吸収率を高めるには,植物油を使った青菜妙めを。ビタミンEが特に豊富なごま油を使えば,抗酸化力も一段と高まります。良質なたんばく質を含む食材と組み合わせると,さらに効果が高くなります。レバーと合わせてオイスターソースで仕上げる妙め物や,卵とじなど,色々な組み合わせや調理法を工夫しましょう。
※タアサイのレシピは,こちらを覗いて見てください。
※付録の「菜園手帳」に野菜の生育に大きな影響をもたらす月のリズムが掲載されている『野菜だより』(2016年11冬号)の本文中に「西村和雄さんの畑の食いしん坊教室/畑の中の変わりもの編」に「寒さに耐えて甘みを増す タアサイ」が掲載されていましたので,購入した㈱トーホクの種袋に記載の栽培方法と共に,雨で農作業ができない中,PDF版に編修し,今冬のタアサイ生育管理の学習資料に。
参考図書:吉田企世子監『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジ),瀬戸正徳箸『園芸全集』(南日本新聞社開発センター),『新 野菜づくりの実際』(農文協),藤岡幹恭・小泉貞彦著『よくわかる「いま」と「これから」農業と食料のしくみ』(日本実業出版社)
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みずな(水菜)
最近人気が高く,広く利用されるようになった京野菜で,我が畑で栽培をするようになったのは3年前からという新顔。京都が産地で,畝の間に水を引くなどして育てていたことや,江戸時代の古文書には,京都市の東寺,九条あたりで,肥料を用いず,畑の畝間に水を入れて栽培されたことが書かれており,これらの事から,この名がついたとも言われ,京都でとれたので,キョウナ(京菜)とも呼ばれています。
みずなは,日本独自の漬け菜といわれ,日本の都として長く文化の中心地だった京都では,多くの野菜品種が生まれ,京都の地名や栽培方法から名前も着けられ,みずな(水菜)もその一つです。
葉に切れ込みが多く,特にサラダに利用した時のほのかな辛味と,細い葉柄のシャキシャキとした食感が好まれ人気が高まり,今では全国的に栽培されています。季節もかっては冬野菜でしたが,一年じゅう出まわるようになりました。もちろん,鍋物や漬け物でもおいしくいただけます。
寒さに比較的強く,育てやすい野菜で,ほかの漬け菜類に比べて分枝性が強いことが特徴で,大株にすると葉数600~700枚,4㎏以上になりますが,最近では,子株の段階で若採り収穫する,小束周年栽培が中心となっています。大株は,「千筋菜」・「千本水菜」とも呼ばれています。葉の切れ込みが深いのも,ほかの漬け菜に見られない特徴です。
以前は大株になるまで育て,漬け物や鍋物用にする野菜で,今でも関西のはりはり鍋には欠かせず,雑煮に軽くゆでて添える地域もあります。
最近では,シャキシャキした歯切れよさと,切れ込みの多い葉形,茎の白さが好まれ,サラダ野菜として人気が高まってきました。
味にくせがなく,あくがないので,生食,おひたし,汁物,煮物,いため物など,どんな料理にも広く利用できます。
サラダで楽しむなら,小株のうちに収穫します。小株採りでは春から秋まで種をまけます。この場合,春まきと秋まきで40日程度,夏まきで30日前後,草丈30㌢前後になったら収穫します。
小株どりでは,コマツナに準じて条まきにします。1㌢問隔に種をまき,発芽がそろったころで株間3~4㌢間隔に間引きます。さらに本葉3~4枚で5~6㌢間隔に間引きます。この間引き菜を定植しても大丈夫です。
種の覆土はできるだけ薄くし,種まき後は十分な水やりをして,不織布などでべたがけを行い,害虫からの保護,発芽の促進を図りましょう。
みずなは子葉の胚軸が細く,蜜植状態だと徒長しますので,発芽後は株が重ならないように,早め早めに間引くことが大切です。
「水入菜」と呼ばれていたほど,水管理も大切です。生育初期には十分な水やりをして育てましょう。しかし,生育後半は,水の与えすぎは株の間伸びの原因や軟腐病発生の要因にも繋がりますので注意し,過湿状態にならないように気をつける必要があります。
べたがけ資材は畝幅より広いものを使い,小株どりでは,種まきから収穫期まで被覆して,害虫の被害を防ぎましょう。
種まきの9月~10月は,根こぶ病が発生しやすいので,発生している畑では専用の殺菌剤を土に混ぜて防除します。発生していない畑でも,酸性土壌だと発生しやすいので,石灰資材を施して土の酸度調整をしましょう。
また,水はけがよくない畑では,高畝にして水はけをよくすると予防に効果的です。根こぶ病は,気温が下がると発生しにくくなりますが,種まきが遅れると株が大きくならず,また寒さで葉が茶色くなってしまうので,注意が必要です。
種蒔きから7週間ほどで株が生長し,草丈が30㌢位になったら早めに収穫しましょう。霜に数回あてると味がなお一層凝縮し美味しく頂けます。
小さいうちから間引き収穫をしてサラダなどに利用し,最後には大株にして収穫し,鍋物や漬け物にするのがお勧めです。
なお平成28年には,茎が赤紫色のアントシニアンが豊富なタキイ種苗の「紅法師」(上写真:右)の種を播き,従前の薄緑色のみずなに合わせ彩りを添える赤紫色のみずなも皆さんに好評です。
■知っておきたい効用
一見淡白そうに見えて,実はβ‐力ロテンやビタミンB2・B6・C・Eなどのピタミンを豊富に含む実力派。これら,抗酸化性に優れるビタミンに加えてポリフェノール類も含むことから,生活習慣病や老化を抑制するほか,肌のシミやくすみをなくすアンチエイジングにも有効に働きます。アブラナ科の野菜とあって,ミネラルの含有量も極めて高く,高血圧を予防するカリウム,骨の生成に欠かせないカルシウム,貧血予防に働く鉄が,そろって多く含まれます。リン,マグネシウムも多く,更年期以降の骨組しょう症予防にも最適の野菜といえます。(美肌効果,貧血の予防・改善,がん予防,高血圧の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
味わいはあっさりとしていてクセがなく,生でも加熱してかさを減らしてもおいしく食べられる,利用しやすい野菜です。
水溶性のビタミンB群,Cの効用を生かすなら,生のままでサラダに。ビタミンEが豊富なごま油やくるみ油をドレッシングに使えば,β‐力ロテンの吸収率が上がり,抗酸化パワーも上がります。鍋料理では,鉄の豊富なあさりやかきなど,貝類との食べ合わせがおすすめ。ビタミンCには鉄の吸収を高める作用があるので,貧血予防にも有効です。
※南日本新聞の生活情報誌『てぃたいむ』(平成24年9月26日)の「菜園くらぶ」に『収穫まで1~4カ月!ミズナ』が掲載されていました。
※平成28年9月4日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「水だけでも育つ菜/ミズナ」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
風邪予防に水菜=シャキシャキとした食感が楽しめる水菜。古くから京都で作られていたため「京菜」とも呼ばれ,ハウス栽培により一年中,店頭で見かけます。以前は鍋物に使うことが主流でしたが,品種改良であくが少なくなり,サラダとしても食べられるようになりました。ビタミンCやカロテン,ミネラル類,食物繊維も多く,バランスの取れた緑黄色野菜です。風邪予防,粘膜や皮膚の健康維持などに効果が期待できます。葉が鮮やかな緑色で先まで真っすぐ伸び,茎が白いものを選びましょう。乾燥に弱いので,ぬれた新聞紙で包んでポリ袋に入れ,冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。鍋物はもちろん,漬物やおひたしのほか,妙め物にするのもお薦めです。スポーツや行楽の秋ですが,栄養たっぷりの野菜や果物を食べて,食欲の秋も楽しんでください。(令和元年10月9日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
京都の伝統野菜ミズナ=ミズナは古くから京都を中心に関西で栽培されてきたため,京菜とも呼ばれています。京都に冬の到来を告げる野菜として鍋や漬物に使われてきましたが,最近ではすっかり全国の食卓に定着し,関西以外でもたくさん作られるようになりました。 ベータカロテンが豊富で抗発がん作用や免疫の活性作用があります。カリウムやカルシウムも多く,骨の健康維持に効果があります。マグネシウムや鉄,リンなどのミネラルも豊富です。緑色が鮮やかで色が濃いものを選びましょう。古くなると色があせてきます。保存するときは,ぬれた新聞紙などにくるんで袋に入れ,冷蔵庫に立てておきます。 鍋の具材に入れたり,サラダにしてもおいしいですが,油揚げと一緒に煮たり,野菜妙めに加えても彩りが鮮やかでおいしく食べられます。(令和3年12月8日/南日本新聞)『かごしま 食べごろ』から)
シャキシャキ癖ない水菜=水菜は京都で古くから栽培された日本原産の野菜です。畑の畝と畝の間に水を引いて栽培したことから、「みずな」と呼ばれるようになったと言われています。シャキシャキとした食感と癖のない味から、生で食べられるサラダ用として広まりました。全国の市場で年中出回っていますが、本来は冬から春にかけてが旬とされています。ベータカロテンやビタミンC・Eが豊富で、鉄分やカルシウム、カリウムも含まれるバランスのとれた野菜です。生活習慣病予防や美肌効果も期待できます。葉が鮮やかな緑色で茎につやがあり、株に弾力があるものを選びましょう。根元が変色していないかもチェックするポイントです。新聞紙で包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫内で立てて保存しましょう。肉や魚の臭みを消す作用があり、鍋物にも適しています。妙め物やおひたしなどさまざまな料理でお楽しみください。(令和5年12月20日/南日本新聞)『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『野菜講座・栽培収穫編/根茎菜』(日本園芸協会),『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『やさい畑 2010年秋号』(家の光協会)
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ふだんそう(スイスチャード・虹色菜)
母親が作ってくれた「ふだんそうの白和え」(先ず炒りごまをすり鉢ですり潰し,固いもめん豆腐を手で小さくひねって入れ,砂糖や塩の調味料を入れ,ゆでたふだんそうを絞って適当な大きさにちぎって入れたものを,すり棒で潰しかき混ぜた,おかべの白とふだんそう緑の鮮やかもの)の味を食したく植え,年中収穫し大いに重宝しているのがふだんそうです。
園芸図書等では,今はやりの色鮮やかな「スイスチャード」(西洋ふだんそう)の別名として紹介されていますが,江戸時代に中国から伝来したアカザ科の野菜で,間引き菜から大きく生長した株まで何時でも,もいで収穫できる虫もつかない作りやすい野菜です。種は,外皮が硬いため発芽率を高めるために一晩水に浸してから蒔くようにと勧められています。適正土壌は,pH6.0~6.5で酸性土壌と連作は不可(1~2年空ける)ですが,時を選ばず種蒔きが可能で,一年中,生育は旺盛で,葉をかき取ってあえ物やお浸しに。
一年中途切れることなく収穫できることから不断草(ふだんそう)の呼称が付いたようですが,トウヂシャ,ツネナ,イツモナ,ウマイナ,アマナ,ゴマイラズと呼ばれ,現在種を購入した袋には,「ウマイ菜」となっており,漢字では「恭菜」と書くそうです。
平成25年の年末から翌年2月までと平成26年も5月以降収穫を楽しんでいますふだんそうは,茎色がカラフルなふだんそうで,種袋には「虹いろ菜」とあり,茎の色は白色・オレンジ色・桃色・赤色で一列種を播いて日々色違いの茎葉の収穫を楽しんでいますが,ふだんそうは間引き(株間20~30㌢)収穫を重ねながら,最終的に株ごと収穫する方法と,大株の下葉(外側の葉)から1枚ずつかきとって長期間収穫する方法が。カロテンが豊富に含まれていて,その抗酸化性により,抗ガンの働きがあると考えられていて,更に皮膚や粘膜を健康に維持するのに役立つと言われています。また,ビタミンEも多く含まれていて,カロテンと共に,その抗酸化性は強いと言えます。その他,食物繊維,葉酸,ビタミンB2,ビタミンB6,パントテン酸,ビタミンK,カリウム,カルシウム,鉄,マンガンなども豊富に含んでいます。
なお,今年の冬は,渡り鳥が多数飛んできて,キャベツの新芽・ハクサイの葉,そしてこのふだんそうの葉までつっついて困りましたけど,鳥インフルエンザを持ってこないことを条件に見逃してやりました。
3月10日(木)の南日本新聞『エンジョイ園芸 野菜編』に鹿児島県農業開発総合センター園芸作物部長の永田茂穂先生の“フダンソウ/年間通し種まき,収穫”が,同コーナー最後の記事として掲載されていましたのでご紹介いたします。
■知っておきたい効用
ほうれんそうと同じアカザ科の青菜です。年間を通して栽培でき,いつでも食べられるから「普段草」,あるいは生長が旺盛で次々と葉が生えてくることから「不断草」とする2説がありますが,いずれにしても丈夫で葉数が多く,何より栄養豊富なことが最大の特徴です。
厚みがあってやわらかい葉と葉柄には,β‐力ロテン,ビタミンB1・B2・E・Kなどのビタミン類がたっぷり。これらの抗酸化作用でがんや老化の予防効果が期待できるだけでなく,疲労物質を取り去って体力を回復させたり,ストレスを軽減するなど,さまざまな健康効果が得られます。
カリウム,カルシウム,マンガンなどのミネラル類のほか,貧血の予防に欠かせない鉄,便秘に効く食物繊維もそろって豊富。健康バランスをくずしがちな夏の栄養補給に最適な野菜です。(がん予防,皮膚・粘膜の保護,高血圧の予防・改善,骨粗しょう症の予防)
◆調理との組み合わせのコツ
ほうれんそうと同じように,アクが強いので,さっとゆでてアク抜きをしておきましょう。おひたしからごま和え,汁の実,あるいは妙め物まで,幅広く調理できます。三大栄養素の代謝を促進するビタミンB1・B2・B6が豊富なので,たんばく質の多い豆腐や油揚げなどの大豆製品,肉,魚を使った煮物や妙め物などは,エネルギー代謝を早めるうえでも適切な組み合わせ。B1はアリシンと一緒に摂ると吸収率が高まるため,少量のにんにくと一緒に摂ってもよいでしょう。
※平成27年2月24日(火)の南日本新聞の「食卓を彩る 島の幸」という見出し記事の中に「くせのない万能野菜 徳之島・トウナ」があり,朝食を摂る前の日課にしている朝刊の拾い読みから見落としていた所,Xから「トウナ」は「不断草」のことと,紙面を抜いて渡され読んでみました。
注目集めるフダンソウ=暑さに強く,見た目や食味がホウレンソウに似ているため,葉物が少なくなる夏場に代用品として注目されるフダンソウを紹介します。一年中収穫されることから「不断草」と名付けられています。最近では夏場限定で生産される品種もあります。主な栄養素は,抗酸化作用のあるベータカロテン,高血圧予防効果が期待できるカリウム,便秘改善に効果的な食物繊維など。マンガン,ビタミンK,葉酸も多く含み,夏パテ予防にぴったりです。葉が鮮やかな緑色で全体に張りがあり,葉茎がしっかりしているものがお薦めです。軟らかい食感を好む場合は,小さめのものを選ぶとよいでしょう。癖がないので,おひたしやあえ物,妙め物,スープなど多彩な料理に使えますが,少しあくがあるため,ゆでてから使うとよいでしょう。(平成29年8月2日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』2018年10月号の「すぐできる!ベランダ菜園」にスイスチャード(西洋フダンソウ)が掲載されていましたので,来夏の栽培収穫用学習資料にPDF版に編集して保存・掲載しました。
出典:『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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シュンギク
立冬が過ぎ鍋物が恋しい時期になりましたね。鍋物に必須なシュンギクは,独特の香りとほのかな苦みが魅力的なキク科の野菜で,原産地は地中海沿岸地域で,江戸時代に中国から我が国に。しかし,シュンギクを野菜として食べているのは,日本をはじめ中国,東南アジア,インドなど東アジアだけだそうです。原産地のヨーロッパでは,観賞用の草花として栽培されており,独特のにおいが好まれず,食用にされていないそうです。
シュンギクは,冷涼な気候を好み,生育適温は15~20℃で,寒さには比較的強く,簡単なトンネル栽培で冬越しできます。反対に暑さには弱く,27~28℃を超えると生育不良を起こします。そのため,作りやすいのは,涼しい気候で生育できる春まきと秋まきです。なお,高温と長日条件でとう立ち(抽だい)し,春に花を咲かせます。そのため,初夏から夏の種まきは栽培が難しくなります。
シュンギクの品種を葉型で分けると,大葉種・中葉種・小葉種の3種があり,一般の栽培では,中葉種が栽培されています。また栽培方法には2つの方法があり,摘み取り栽培(草丈23~25㌢)と抜き取り栽培(草丈24~25㌢)です。収穫の方法が異なり,それぞれ専用の品種が出ています。
摘み取り栽培では,中心の茎の途中で摘み取って,節から出るわき芽を伸ばし,生長したわき芽をまた摘み取って収穫していきます。わき芽が次々と出てくるので,長く収穫できますが,次々に育っていくので,肥料切れさせないよう有機質肥料をこまめに施すように努めましょう。茎の節間が伸びる株立ちタイプの品種が適しています。
抜き取り栽培では,株が15~20㌢に育ったら,株ごと掘り上げて収穫します。節間が生長せず,株元から側枝がたくさん出る株張りタイプの品種が適しています。
家庭菜園では,長く収穫を楽しめる摘み取り栽培がおすすめです。シュンギクは軟弱野菜で,収穫後の保存中にしおれやすいのですが,この方法なら,いつでも新鮮なものを楽しめます。最終的には,春のとう立ちまで収穫できます。
この冬,収穫を楽しんだら,株を少し残しておいて,ヨーロッパでは,観賞用の草花となっていてますので,かれんで黄色く,マーガレットのような花を咲かせ目でも楽しんでみましょう。
種の覆土は薄くが栽培のポイント
直まきも移植栽培もできますが,一般的には直まきの条まきが(我が圃場では,今年は9/22に種を撒きました)。なお,酸性土壌には弱いので石灰を多めに施した畑(pH6~6.5)をよく耕して準備を。種は好光性なので,覆土は5㍉以内に薄く土をかけ,軽く押さえます。また,畑が乾燥している時や,畑の土の表面が硬くなりやすい畑では,種まき前に水やりをしておき,発芽まで土を乾かさないように心がけましょう。種まき後は,発芽の促進,害虫の予防などのため,不織布などでべたがけをして,初期の生育を保護するのもよいでしょう。
■知っておきたい効用
冬の代表的な緑黄色野菜として,鍋物やおひたしに大活躍。関西では「菊菜」の呼び名で親しまれています。
こまつなやほうれんそうをしのぐ量のβ‐力ロテンを含み,ビタミンB2・E,葉酸なども豊富です。ミネラルではカリウム,カルシウム,鉄をいずれも多く含むほか,食物繊維も豊富。また,特有の香りは,α‐ピネン,ベンズアルデヒドなどの精油成分によるもので,胃腸の働きを整えて,のどの炎症を防ぐ働きがあるとされています。
これらの成分が集まって,冬に流行しやすい風邪や感染症の予防,高血圧の予防や便秘の予防・改善,貧血予防,コレステロールの上昇抑制による動脈硬化の予防といった健康効果が得られます。アク成分のシュウ酸が少なめなので,下ゆでの必要がなく,栄養素の損失を抑えられるのもメリットのひとつです。(骨粗しょう症の予防,がん予防,老化の抑制,貧血の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
風邪対策には,体を温める作用のあるしょうがとの組み合わせが適しています。しゅんぎくにはビタミンCが少なめなので,ビタミンCを補うことでβ‐力ロテンやビタミンEの抗酸化力がパワーアップします。また,ウイルスの感染予防にも効果的です。グレープフルーツと生のしゅんぎくをサラダに仕立て,マスタードを効かせたドレッシングで和える一皿も,その好例といえるでしょう。肌荒れ防止には,ごま和えやくるみ和えなどのメニューもおすすめです。
香りのよいシュンギク餅=五月の節句の際に作るヨモギ餅(鹿児島弁では「ふっのもっ」)のヨモギ代わりに,シュンギクをヨモギの代用に。色といい香りといい最高でおいしいお餅になります。
が紹介されていました。
食欲増進にシュンギク=特有の香りと風味を持ち,春になると菊に似た花が咲くことからこの名前がついたと言われるシユンギク(春菊)。シュンギクは,あくが少なく,下ゆでをせずにあえ物やおひたし,天ぷらもおいしいですが,これからの時季はやはり鍋料理がお薦めです。ベータカロテンが豊富で抗酸化作用により,免疫力アップやがん予防に効果が期待できます。葉酸や鉄も豊富で,貧血予防にもよいでしょう。骨の形成に必要なカルシウムや,整腸作用のある食物繊維も豊富に含んでいます。独特の香りはリモネンなどの成分によるもので,自律神経に働きかけ,リラックス効果や食欲増進をもたらします。葉が濃い緑色で,葉先までピンとして張りがあり,茎がやや細いものが柔らかいでしょう。料燥しないようぬれた新聞紙などに包み,冷蔵庫に立て置きし保存しましょう。(平成30年11月14日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
髪,皮膚の健康守る春菊=春菊(シュンギク)は,名前の通り菊の一種で,キク科キク属の植物です。菊の花は一般的に秋に咲くのに対し,春に咲くことから春菊と呼ばれるようになったようです。年中手に入りますが,茎や葉が柔らかい11月~2月が旬です。豊富に含まれているベータカロテンは,抗発がん作用,髪や粘膜,皮膚の健康を保つほか,視力の維持,喉,肺といった呼吸器系統を守る働きがあるといわれています。茎はしっかりと張りがあり,細い方が柔らかくておいしいです。下の方にも葉がよく付いているものを選んでください。独特の風味が味を引き立てる鍋の具材としてお薦めですが,おひたしや天ぷらをはじめ,さまざまな食べ方があります。そのままの味を楽しみたい場合は生のままサラダにしてもよいでしょう。(令和元年11月20日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
シュンギクで食欲増進=特有の香りと風味があるシュンギク(春菊)は,春に菊に似た花が咲くことが名前の由来とされています。原産地はトルコやギリシャなどの地中海沿岸といわれています。欧米では観賞用で,食用は日本や中国,東南アジアなど一部の地域だけのようです。βカロテンの含有量が多いため,抗酸化作用による免疫力アップやがん予防に効果が期待できます。特有の香りはリモネンなどの成分によるもので,リラックス効果や食欲増進,胃の保護,せき止めなどの作用があるとされています。葉に張りがあり,緑色が濃くて茎の下の方まで葉がたくさんついているものを選びましょう。あくが少なく調理しやすいため,あえ物やおひたし,天ぷらなどさまざまな食べ方があります。これからは鍋料理がお薦め。香りや食感を堪能しつつ,冷えた体を温めましょう。(令和2年11月18日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
旬のシュンギクをサラダで=特有の香りと風味を持ち,春に菊に似た花が咲くことから名前が付いたシュンギク(春菊)。通年で手に入りますが,茎や葉が柔らかい旬は11月から2月にかけての冬です。豊富に含まれるベータカロテンの抗酸化作用により免疫力アップやがん予防が期待できるほか,体内ではベータカロテンがビタミンAに変換され,皮膚や粘膜,目の健康維持にも効果的です。特有の香りはリモネンなどの成分によるもので,自律神経に作用し,リラックス,食欲増進の効果をもたらします。葉先まで色が濃く鮮やかで,香りが強くみずみずしいものを選びましょう。茎はやや細い方が柔らかくておいしいです。あくが少なく,定番の鍋やおひたし,ごまあえなどに下ゆでせずに使えます。柔らかい葉をサラダにするも香りもよく,かむごとに豊かな風味が広がります。独特の苦味も生だと強くありません。(令和3年11月24日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
「食べる風邪薬」春菊=春菊の旬は11~3月です。一年中手に入りますが,茎や葉がやわらかく,香り高いのは秋から冬にかけてです。冬の代表的な野菜で,栄養価が高く独特の香りを持っています。カロテンが特に多く,風邪などの感染症を防ぐ効果があります。カルシウム,ビタミンB2と,E,鉄分なども豊富に含み,栄養豊かな緑黄色野菜です。呼吸器系や胃腸を整える成分を持ち,食べる風邪薬とも呼ばれます。選ぶときは葉の色が濃く,みずみずしく,根元まで隙間なく生えているものがよいでしょう。香りの強いものが新鮮です。葉に水分を含ませるとシャキッと保存できます。冷水で手早く洗ってポリ袋に入れ,冷蔵庫の野菜室に根元を下にして保存しましょう。サッとゆでて小分けにし,冷凍することもできます。鍋物に欠かせない野菜ですが,ゆでてごまあえ,白あえ,おひたしにしてもおいしくいただけます。(令和4年10月26日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
栄養素トップクラスの春菊=春菊は、春に菊に似た黄色い花を咲かせることが各前の由来。11月~翌年2月ごろが旬で、葉の切れ込み具合で大葉、中葉、中大葉の品種があり、風味が異なります。ベータカロテンやビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄分と緑黄色野菜としては含まれる栄養素がトップクラス。独特の香りはぺリルアルデヒドという成分で整腸作用や食欲増進が期待できます。濃い緑色でみずみずしく張りのあるものを選び、湿らせた新聞紙などでくるんでポリ袋に入れ、冷蔵庫に立てて保存します。2、3日で食べ切ってください。脂溶性のベータカロテンは肉や魚と合わせれば体内に吸収されやすく、カリウムやカルシウムなどの水溶性ミネラルはスープのように煮汁ごと食べれば無駄なく摂取できます。独特の香りや癖が苦手な人も少なくないでしょうが、いろいろな調理法を試し、好みの味と健康を手にしてください。(令和5年11月22日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『野菜講座:栽培収穫編/葉茎菜』(日本園芸協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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シ ソ
シソ(紫蘇)の原産地は,ヒマラヤからミャンマー,中国南部にかけてといわれます。古い時代に日本に渡来し,各地の縄文遺跡からシソの穂や実が出土しています。10世紀の古書『本草和名』や『倭名類東砂』には,「イヌエ,ヌカエ,ノラエ」と呼ばれ,薬草や漬け物用として利用されたことが記されています。その後,現在まで日本のハーブとして薬用,食用,薬味として長く利用されてきており,青ジソは赤ジソの変種で,春まきの一年生草本です。暑さにも比較的強く,土質を選ばず,とても育てやすい野菜で,薬味としては家庭菜園に数株あれば十分OKです。こぼれ種から自然に発芽して自生しやすいですが,親株より葉がかたくなったり,香りが薄くなったりします。また,シソには赤ジソと青ジソがあり,同じ畑で作ると互いに交雑するので,種を採りたいときは注意しましょう。
芽ジソ,葉ジソ,穂ジソと,生育段階に応じて長く収穫できるのも,シソのうれしいところ。いずれも色や香りを楽しめます。
芽ジソは,発芽まもない芽のことです。刺身のつまのムラメは赤ジソ,アオメは青ジソの芽です。
葉ジソは,若くやわらかい葉を摘んだものです。草丈が30~40cmになったら,必要な量だけ順次収穫していきます。梅干しに使う赤ジソは,梅を漬ける時期に株ごと収穫します。
シソは短日植物のため,日長が14時間以下になると花芽分化を起こし,9月上旬から花穂を伸ばし始めます。開花中の花穂は,穂ジソと呼ばれます。穂ジソの収穫適期は,穂の花が1/3ほど開いたころ。刺身のつまや吸い物にぴったりです。また,実ジソは種ができて穂の先端の花が開いているうちに収穫し,天ぷらやつくだ煮,漬け物に重宝します。
土が乾くと葉がかたくなるので,随時水やりをします。土の乾燥を防ぐには,梅雨 明け前から夏の間,敷きわらをすると効果的ですし,月に1~2回追肥を施さないと肥料不足になり葉が小さくなり,葉色も香りも薄くなりますよ。
■知っておきたい効用
薬味や添え物に使われることが多い香辛野菜ですが,栄養成分の含有量の多さでは,野菜のなかでも群を抜く存在です。
栄養素を多く含むのは「青じそ」です。動脈硬化予防やがんの抑制に働くβ・力ロテンは特に多く,緑黄色野菜の代表格といえます。ビタミンB2やカルシウムも豊富です。
一方の赤じそには,赤色色素のアントシア二ンが含まれ,抗酸化作用によるがんの抑制効果,老化抑制に対する働きが注目されています。
また,赤じその葉に多く含まれるポリフェノール成分や,しその実の油に含まれるα・リノレン酸にアレルギーをやわらげる作用があることが分かり,話題になりました。香り成分のベリルアルデヒドにも強い殺菌力があり,食中毒を防ぐ効栗が。薬味としてだけでなく,調理用食材として,積極的に利用しましょう。(がん予防・血行促進・肥満防止・抗アレルギー作用)
※茶業を営む自治会員から愛読書の『家の光』の別冊付録を捨てがたく保存していた冊子があるとして頂いた「家の光創刊1000号記念家の光伝えてきた暮らしの知恵大百科」の中にシソジュ-ス(平成14年7月号「簡単おいしい手づくり食品」)が掲載されていました。
※薩摩川内市入来町の国道328号線沿いの山沿いの大馬越地区コミュニティ協議会では,町おこしの一環として,手作りの田舎発の味を,おしゃれな500m㍑瓶入り(着色料・保存料を一切使用しない)の紫蘇ジュースを,「しそっぷ物語」として,赤しそ味・青しそ味で販売しておられます。同「おおまごえ本舗」のホームページです。
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』(平成24年5月号)の「菜園くらぶ」に『1株あると重宝する香味野菜 シソ』が掲載されていました。
※『やさい畑』(2013夏号)の「農家から学ぶ野菜の知恵袋」の中に,「蚊も寄ってこない青ジソの虫除け効果」として,青ジソの葉をすり鉢やミキサーで潰したものを体の露出したカ所に塗っておくと蚊が寄ってこなかったり,蚊に挿されたら刺された部位に塗り付ければかゆみが止まりますとの農家の知恵が紹介されていました。
暑い夏はシソで元気に=シソはさわやかな香りが特徴です。大葉とも呼ばれる葉が緑色の青ジソと,梅干しや漬物の色づけなどに使う葉が赤紫色の赤ジソがあります。抗酸化作用があるベータカロテンが豊富に含まれます。高血圧予防に良いとされるカリウム,造血作用が期待できる葉酸,ビタミンB群やビタミンE,Kも多いです。清々しい香りの成分はベリルアルデヒドで,強い防腐,殺菌効果があります。刺し身のツマとしても利用され,食欲増進や健胃作用もあり,夏パテしやすい時期に適しています。葉の色が濃く張りがあり,全体にみずみずしさがあるもの,香りの強いものを選びましょう。青ジソは天ぷらや,千切りにしてそうめんや冷奴などの薬味,細かくきざんでパスタやチャーハン,サラダなどに入れて使うとよいでしょう。シソを料理に活用し,暑い夏を元気に過ごしましょう。(令和4年7月27日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『現代農業』(平成29年2月号)
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クウシンサイ(空芯菜)
茎が空洞なため「空芯菜」と呼ばれ,エンサイ(エンツァイ)・ヨウサイ等の別名も。ロードマン農園では,昨年,店頭での「沖縄・栄養豊富な夏野菜」とのセールス標示が目に入り,ポット苗を6株購入して風味豊かな味を食しましたが,今年は種を購入し,4月上旬に一畝種を蒔き,9日間程でU字型をした双葉が開き,途中,追肥と土寄せをしたものが6月以降,葉丈が40㌢からに生育し,脇芽が次々に伸びてきますので,葉先から20㌢程を収穫しています。炒め物料理が好評につき6月末には,もう一畝種を蒔きました。
中国原産といわれ,中華,タイ,ベトナム料理などではもうおなじみの野菜だそうです。いため物のほか,サラダでも食べられます。なんとホウレンソウと比べてカルシウムは4倍,ビタミンはAが5倍,Bが1.8倍,Cが2倍と栄養価たっぷり。今後,まだまだ人気が出そうな野菜です。家庭菜園ではわき芽を少しずつ収穫すれば,数株で,一家4人が十分楽しめ,夏が旬の葉もの野菜として秋野菜収穫前まで楽しめます。
日当たり,水はけのよい場所を選び,高さ10㌢の畝に種は点まきにします。なお,種の発芽率を高めるために,一晩コップの水に浸しておいた種を蒔くとベターでしょう。また,生育すると脇芽が伸び,株が広がってきますので畝幅は広めにし,株が倒れないように竹棒を立て畝をビニール紐で囲っています。
本葉4~5枚になったら,間引きをして一か所一本にします。草丈が20㌢くらいになったら,摘芯の要領で,先端部分を折り取ってわき芽を伸ばします。この脇芽を随時収穫します。摘芯時から2週間に一回のペースで,化成肥料を株元から少し離して施します。収穫は10月頃まで可能です。
家庭菜園での栽培ポイントとしては,高温多湿の気候を好み,水はけの悪い畑でも栽培は可能で,病気にも強い特性が。初心者でも無農薬で栽培はOK。なお,逆に乾燥には弱く,乾きすぎますと生育が悪くなりますので,水やりの気遣いが必要。8月までは種蒔きが可能ですが,種蒔きがこれより遅れると寒さに当たり葉が黒くなって枯死してしまいます。
茎が空洞なため,火の通りが早く,シャキシャキとした歯ごたえがいため物に向いています。油を使って調理することで、β―カロテンの吸収もよくなります。にんにくやとうがらしなどと合わせると,クセのある独特な風味がおいしく引き立ちます。オイスターソースやナンプラーなどで中国風,エスニック風に調味するのがお勧めです。
■知っておきたい効用
中国やタイの家庭料理でよく使われる緑黄色野菜。ビタミン、ミネラル、食物繊維とその他の栄養成分をまんべんなく含んでいますが,特にβ―力ロテンの量は,ホウレンソウを超える豊富さ。抗酸化性をさらに高めるビタミンEの含有量も多く,ビタミンCとのコンビでストレス,肌のトラブル,夏パテなど,活性酸素の害から体を守ります。健康と美容の維持に必要な栄養素を,一皿の料理でしっかり摂れるのがうれしいところ。また,中国野菜全般に共通する特徴として,カリウムやマンガン,鉄などのミネラル分が多く,高血圧の改善や骨組しょう症の予防効果も期待できます。(ガン予防,貧血の予防・改善,血行促進,丈夫な骨の形成)
今回,種を購入した(株)ウタネの種袋「中国野菜 エンツァイ(竹葉系)」には,適正発芽温度=25~30℃ 生産地=台湾産
こんな品種です=
●暑さに強く,高温時の栽培に適した中国野菜で,特有の風味があり,盛夏のスタミナ源として重宝です。
●草勢も旺盛で畑や水田は勿論,水栽培としてもよく生育します。また分枝が多く必ず多収穫が得られます。
●先端尖った美しい緑葉は,博を仰ぐ様に上向きとなります。
つくり方=
●タネを蒔き軽く土をかけます。
●畑に直接条まきか,バラまきとします。
●発芽まで土の表面が乾燥しない様に水やりを行って下さい。
●発芽後生育に伴い,混み合った部分を間引きます。
●肥料は市販の化成肥料を与えて下さい。
●収穫は摘み採る様に行えば分根して,次々に収穫出来ます。
料理メモ=きれいに水洗いし肉などと油妙めにすれば,濃緑色は鮮やか風味も格別,またサッと湯がいてお浸しにも好適。 との記載がありました。
※「みんなの趣味の園芸/植物図鑑」にクウシンサイが掲載されていましたので,こちらもぜひ覗いて学習をお勧めします。
※XYLがJA亀山で購入してきた『家の光り』2012年4月号の家庭園芸コーナーに,板木利隆先生の紹介で「夏によく育つ強健な野菜・エンサイ」の栽培記事が掲載されていました。
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』(平成25年3月号)の「菜園くらぶ」に『丈夫で育てやす エンサイ(空芯菜)』が掲載されておりました。我が家では夏場の緑黄色野菜の端境期に大いに活用され,収穫しても次から次へと伸びる脇芽は,11月上旬までご近所さんへのお裾分け野菜としても皆さんから喜ばれています。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『ご当地ふるさと野菜の育て方』(成美堂出版),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『加藤義松の野菜作り熟』(主婦の友生活シリーズ),「やさい畑」2011初夏号(家の光協会)
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ハンダマ(スイゼンジナ・金時草)
健康野菜との触れこみを信じ,春に苗3本を購入し植付け,平成23年夏場の新しいお味噌汁の具として淡い紫の色汁や,炒め物の食材として我が家の食卓を飾っています鹿県の伝統野菜に指定されていますハンダマ(和名は,「水前寺菜」・「金時草」・「春玉」)について紹介します。先日会った職友の後輩殿から「先輩は,辞した後 農業に励んでおられると伺いましたが,“ハンダマ”という野菜を知っちょいやーですか?」との口頭試問を受けた野菜です。
熱帯アジア原産で,中国経由で伝来し,沖縄本島や奄美・トカラ列島ではハンダマ,宮古ではパルダマ,石垣ではパンダマと呼ばれ,古くから血の薬として各家庭の井戸端付近で栽培され,鉄分が不足しやすい産後の食事として欠かせない食材だったそうで,できものの傷口に火であぶりもんだ物を着けたり,疲労時に,葉や茎を煎じたり煮て食べたり,風邪のひき初めにも良いとの伝承が。
群生するキク科の多年草で,秋も深くなると地上部は枯れてしまうそうです。また不稔のため,挿し芽繁殖とし,冬場は屋内やハウス内で越冬管理し,春の早い時期に伸びた3節目くらいで切って挿し木にしたり,大きくなったものは株分けし,4月から6月にかけて順次畑に植え付けて,夏から秋まで収穫を楽しめます。茎から出た芽の部分が2~3節伸びたところを摘んで,繰り返し収穫します。特に水分を好む植物ですので,土の表面が乾いたらたっぷり水を与えるのが肝要。
収穫の最盛期は6月から9月くらいまでで,生育状況によって2週から3週間に1回収穫できます。
葉の表は緑色,葉の裏が鮮やかな赤紫色をしており,加熱するとヌメリが出るのが特徴。カルシウムがレタスの10倍,鉄分がレタスの7倍,ビタミンAがキャベツの10倍など栄養価も他の野菜に比べても高いようです。他にマグネシウムやナトリウム等を豊富に含み,葉の赤紫色にはポリフェノールを含み抗酸化作用等の機能性が期待され,ホテル等でも調理して出され,近年脚光を浴びている健康野菜です。
◆料理法
おひたし,サラダ,妙め物,みそ和え,天ぷらや漬け物として利用されているそうです。「おきなわ食材レシピネット」からハンダマのレシピを紹介いたします。
※鹿児島県のHP内にも「鹿児島の伝統野菜」としてハンダマの紹介と栽培カレンダーが掲載されていました。
冬にホウレンソウを食べるように夏には水前寺菜をもっと食べてほしい,と内田さん。熊本では水前寺菜だが,加賀野菜では「金時草」,沖縄では「ハンダマ」と呼ばれる。「式部草」の名でも流通するが,葉裏の紫色からつけられたものだろう。
味は確かに,えぐみの少ないホウレンソウを連想させる。食感も似ているが,少しぬめりがある。ホウレンソウをはるかに上回るポリフェノールのほか,ビタミンや鉄分も豊富に含まれ,健康野菜としても脚光を浴びている。
熊本県の産地,上益城郡御船町では「水前寺菜里づくりの会」が結成されている。同町経済振興課の営農指導員,古荘俊夫さんによると,水前寺菜は1759(宝歴9)年,中国から熊本に伝わり,現在の熊本市・水前寺公園(成趣園)周辺で栽培が始まった。
園内の御茶屋「酔月亭」で開かれた茶会では,茶花として飾られたこともあったという。平賀源内が各地の物産を集めて紹介した『物類品隲(ぶつるいひんしつ)』(1763年刊) には,すでに「水前寺草」の名前で記載されている。
熊本では主に一般家庭での栽培,利用されてきたが,野菜として本格的な栽培が始まったのはごく最近のこと。
古荘さんは,石川県で金時草を含む加賀野菜のPRに携わる知人から激励を受け,当時勤めていた熊本大同青果(市内の卸売市場)で地方野菜の振興に力を入れることにし,水前寺菜を流通品目に加えた。2006年には,市の「ひご野菜」,県の「くまもとふるさと野菜」の一つにも選ばれ,いっそう注目を浴びるようになった。
御船町では現在,11戸が約30㌃で,夏は露地,冬はハウスで栽培している。化学肥料を使うと葉色が薄くなりえぐみが出やすいので,有機質肥料のみを用い,防虫ネットなどを使った有機栽培を行っている。
サラダ,おひたし,あえもの,天ぷらなどによい。内田さんは「おひたしがおすすめ。火を通しすぎると紫色が緑色に変わるので,茎と葉を分けて湯に入れ,葉はさっとゆがくのがコツ」と言う。パスタに利用しても,色合いがきれいでおいしいそうだ。
※平成29年2月16日(水)の南日本新聞文化面一面を割いて「かごしま食の底力 機能性研究の現場から⑧」に「ハンダマ 老化や高血圧,肝障害抑制」の見出しで,ハンダマの効能・研究者から・食べる・買うが紹介されていましたので2時間余時間をかけPDF版に編修し,薩摩川内市内の家庭菜園愛好者にハンダマがますます愛好されることを期待し掲載しました。
※令和元年5月26日(日)/南日本新聞の18面/地域総合面に「目指せハンダマ普及 東南アジア原産 夏場の食材 都市農センター試験栽培」の見出しで,
鹿児島市犬迫町の都市農業センターが,スイゼンジナ(水前寺菜)の試験栽培に取り組んでいる。東南アジア原産とされるキク科の多年草。暑さに強いことから,葉物が少なくなる夏場の食材として普及させたい考えだ。奄美や沖縄ではハンダマと呼ばれている。熟を加えると粘り気が出るのが特徴で,おひたしや天ぷら,サラダに使われる。葉の裏が紫色をしており,金時菜や式部草という別名がある。挿し木で増やす。 センターでは市中央卸売市場青果市場の紹介で2017年,試験栽培を始めた。最適な株間や畝間などを調べている。葉の成分分析は鹿児島大学に依頼中という。ハウス内の50平方㍍には現在,昨年末に植えた苗が順調に育っている。葉を長さ26~28㌢で摘み取る。新芽の成長が早く,昨年は4~11月初旬に約20回収穫し,計約300㌔採れたという。 昨年から吉野,吉田地区の6農家にも苗を配っている。榎田浩二所長(59)は「県本土での知名度を高められるように工夫を重ねたい」と話す。
参考図書:『NHK趣味の園芸 やさいの時間』(2010年6月号),『野菜塾』(技術評論社),【連載】築地御厨 内田悟さんに教わる ニッポン地方野菜,『ニッポンの地方野菜』(角川書店),「育てたい!変わり野菜」(やさい畑2018年冬号別冊付録)
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たか菜
たか菜漬けに用いるたか菜は,アブラナ科に属し,カラシナの変種で,原産地は中央アジアでシルクロ-ドを経て中国から我が国に。平安時代に編纂された『和名抄』に「タカナ」の記載がありますので,それ以前に伝来した植物。
我が畑では,「三池たか菜」(明治30年代に中国四川省から入ってきた青菜と佐賀県相知町の紫高菜と交雑して相知高菜となり,福岡県三池地方で盛んに栽培された品種)の種を条まきし,肉厚の鮮緑色の大葉の葉脈周辺が紫色おび縮んできた葉の間引き菜を含め大株まで生長させず順次,秋から春の期間収穫し,半日陰干ししたものを刻み鰹節をまぶしてご飯のおかずとしたりチャーハンの具として,独特の辛味を食しています。
現在,コンビニで販売されているおにぎりにもたか菜の葉で包んだおにぎりが販売されていますが,にぎり飯を「タカナ」の葉で包みこんだのは,辛味で防腐効果を考えた先人の知恵だったのでしょうね。
なお,たか菜の期待される効能・効果としては,免疫を高めたり,便秘の改善,皮膚や粘膜を守る働きがあると言われています。また,癌や血栓の発生を防ぐ作用もあるとされます。その他,高血圧や動脈硬化,糖尿病の予防にも有用とされます。
鹿児島の古の料理を紹介された石神千代乃著の『さつま料理歳時記』の中の「たか菜」には,
4,5月ごろ樽いっぱいに漬けこまれたたか菜が,黄色っぽくなり,古漬けの味をもってくると,重いおもしの下から,そろそろとり出される。たか菜作りは,虫がつかず,うすい日陰にもしげるので,この地の作物としては,ごく作りやすい。
新品種には茎の幅広いものが多く,古い品種は大きくなると硬く,とうが立つ。しかし漬物になってからは,とうの中の白い芯が楽しみであった。たか菜は大きいのになると,一本で3~4キロもあるので,県外の人々の目を驚かせる。米不足の歴史をもった鹿児島では,他所のようにお茶漬ごはんの食事はあまりしない。大量に漬けこんだたか菜漬けを小さく刻んでふかし唐芋のおかずにしていたのが,配給制前の底辺庶民の空腹を満たした姿である。みそ汁の味が郷土の人々の舌にしみこんでいるように,たか菜漬けの味を身近に感じない人は少ない。
私の幼いころ田舎の小学校では,まだ弁当箱をもって通学する子は少なく,8㌔ぐらいの山路を通うのに,雑穀と唐芋をまぜこんだ握りめしをたか菜の葉に包み,それを汚れた日本手拭いの端っこにむすび,ゴロリとひとつぶら下げていた。腰に巻きつけた本包みから,ブリキの筆入れが,裸足の小走りに音を合わせて鳴った。そして,たまにはおにぎり交換も成立した。その味は,輝く宝石として私の心を今でもあたためてくれる。
たか菜のかたいところは,ごく小さく刻んで,生妾のみじん切りと,少しの醤油と味の素をふりかける。また長めに切って,丼に盛っておけば,農作業のお茶どきには,手のひらに受けて貰う茶じょけ(お茶うけ)にもなった。
一夜漬けの新香の味もさることながら,その合い間には,こんな古漬けもまた旧友を思いだすような懐かしい味である。 との記載が。
■知っておきたい効用
塩漬けの材料としておなじみのアブラナ科の野菜。ピリッとした辛味がありますが,からしなほどには辛味が強くなく,しっかりした旨味もあるので,煮びたしやおひたしにしてもおいしく食べられます。
俗に「抗がんピタミン」といわれるβ‐力ロテン,ビタミンC・Eをそれぞれ豊富に含んでおり,これらの相乗作用で発がん物質の生成を抑制するほか,血液浄化作用で血栓を防ぎ,動脈硬化や心臓病の予防にも効果が期待できます。
辛味成分のアリルからし油にも血液をサラサラにする作用があり,コレステロールの上昇抑制や脂質異常症(高脂血症)予防に働くほか,さわやかな香りが胃液の分泌を促し,食欲を高めてくれます。
たか菜には,丈夫な骨の形成に欠かせないカルシウムも含まれています。更年期の骨粗しょう症予防や,精神を鎮める効果も期待できます。(がん予防,皮膚・粘膜の保護,老化の抑制,貧血の予防・改善)
◆調理と組み合わせのコツ
たか菜の塩漬けは,発酵食品ならではの風味があり,チャーハンやパスタの具としても活躍します。ただし,塩分があるので,調理をするときは調味料を控えて,たか菜の塩漬けの塩分を利用します。高血圧を防ぐためには,塩分摂取は1日6㌘未満に抑えましょう。
ビタミンAの効力を高めるには,高たんばくの納豆やじゃことの組み合わせがお勧め。ビタミンEが豊富なえのきだけと合わせたおひたしは,手軽な一品です。
※平成28年11月6日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「タカナ/葉にピリッと辛み」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
高菜の辛みに食欲増進効果=高菜は中央アジア原産のアブラナ科の葉野菜で,カラシナの一種です。日本へは平安時代に中国から九州に伝わり,その後各地へ広がったと言われています。「高菜漬け」は,「野沢菜漬け」「広島菜漬け」とともに日本三大菜漬けとして有名です。食べると感じるピリッとした辛みは,マスタードなどにも含象れるイソチオシアン酸アリルという成分。食欲を増進させる効果があります。また,ベータカロテンを多く含み,動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病を防ぐ働きもあります。漬物にする場合は,葉に厚みがあり艶があるものを,それ以外の料理に使う場合は葉が柔らかくて新鮮なものを選びましょう。塩漬けしたものを冷凍庫で保管しておけば,塩抜き後に煮物や妙め物などで小分けに使えて便利です。令和3年10月27日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
高菜はご飯にも焼酎にも=高菜は中央アジア原産でアブラナ科の葉野菜です。中国から九州に伝わり,平安時代には栽培されていました。品種は「青高菜」と呼ばれるものが多いですが,紫色の「紫高菜」,長崎県雲仙市で栽培されている「雲仙こぶ高菜」などもあります。「からし菜」の仲間だけに少しピリッとした辛みがあります。ベータカロテンを多く含むことから免疫機能を高める働きと,動脈硬化や心筋梗塞予防が期待できます。何といっても高菜は漬物です。ご飯のお供はもちろんですが,おにぎりやチャーハンは格別です。唐辛子と一緒に漬け込んだ「からし高菜」はそのまま食べて焼酎が進みます。漬物に使うものは葉に厚みがあり,つやのあるものが良いでしょう。長期間保存する場合は1週間以上塩漬けにして冷蔵庫で保存します。妙め物にしてもおいしい高菜をぜひご賞味ください。令和4年11月16日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
参考図書:『さつま料理歳時記』(昭和43年/石神千代乃箸・金海堂),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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おかひじき
アカザ科オカヒジキ属の一年草で,日本全国の日当たりの良い海岸の砂浜や砂礫地,塩生地等に自生し,葉が海藻のヒジキに似ている事から,おかに生えるヒジキと言う意味で「おかひじき」と名付けられました。また,別名で「ミルナ(水松葉)」とも呼ばれています。これも見た目がよく似ている海藻のミル(海松)が由来のようです。なお,自生地は,海岸部の開発により減少しています。
東北地方などでは古くから食用として自然に浜などに生えているものを採っていたようですが,栽培の始まりは江戸時代初期,現在の山形県南陽市で植えられ,発祥の地となったとされています。現在も山形市と米沢市で栽培が行われ,山形県置賜(おきたま)地方の伝統野菜として扱われ,4月から10月にかけて収穫されています。現在では,各地で栽培されるようになり,スーパーなどにも並ぶようになりました。
栽培は,春から晩秋にかけて数回に分けて収穫されており,アブラムシを除き害虫が付かないので,基本的に無農薬で栽培できます。連作障害がありますので,1年間は休耕し,水はけの良い砂質の弱アルカリ性の場所(酸性土壌では,必ず石灰を施し,よく耕し土壌酸度pHを7.0~8.0に)に。
なお,種は種皮が硬いので種まき前に1~2日水に浸し,条蒔きで適時間引き(株間30㌢)・追肥を施し,草丈が10~15㌢になったら収穫できますし,株元を残して摘み取っておけば脇芽が出て,秋まで再収穫ができます。
■知っておきたい効用
栄養面では,海藻同様にカリウム,カルシウム,マグネシウム,鉄,亜鉛などがバランスよく含まれているのが特徴(ホウレンソウ並みのビタミンA,ホウレンソウの倍以上のカルシウムを含む)で,さらにβ‐カロテン,ビタミンCも豊富です。(ガン予防,動脈硬化予防,風邪予防,+美容)
◆調理との組み合わせのコツ
種袋の料理メモには,お浸し・カラシ和え・酢味噌和えに美味とありましたが,我が家の食卓には,柔らかい若芽をさっとお湯でゆで削り節をまぶした「おひたし」で供されており,味にはクセがなく,葉の鮮緑色とサクサクした歯切れ感を楽しんで食しています。塩性植物なので,多量の塩分を含んでおり,醤油をかけなくてもOKで刺身のつまにも。低カロリー野菜なので,かき揚げや炒め物などβ‐カロテンの吸収率がアップする油と調理するのがお薦め。ゆでる・炒める・揚げるなど幅広く使える食材ですが,調理のポイントは,心地よい歯ごたえときれいな緑色を残して,手早く加熱し,育ち盛りの子供から骨そしょうが気になる年代まで,ぜひ家庭菜園の一隅で栽培され,積極的に食して欲しい栄養価の高い陸の海藻食材です。
参考図書:『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社)
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ツルムラサキ
インドホウレンソウ,セイロンホウレンソウとも呼ばれている熱帯アジアが原産のツルムラサキ。ビタミン・カルシウム・鉄分が豊富な野菜です。紫紅色の紫茎系は前年のこぼれ種から発芽したものを今年も定植しましたが,緑色の緑茎系は今年も購入した種をポットに播いて(種の生産地はタイと種袋には記載)栽培しました。
種の殻が固いため発芽率を高めるため,前日から一昼夜水に浸けていた種を4月15日に3号ポットに撒き,草丈が10㌢以上に伸びた苗を,Phを6.5に調整し幅90㌢,高さ15㌢,全面に堆肥・化成肥料を施肥した畝に5月19日,朝から水に浸していたポット苗をお昼前に定植しました。(残った苗は,ご近所のロードマン同様の見習い農家?に提供)6月2日には敷き藁を敷く中,近くの山から切り出した竹を用い合掌式の支柱立てを。生育適温が25~30℃とあって6月末から支柱に巻き付くように旺盛に生長しています。
蕾や花も食用になるそうですが,そのままにしいおくと株を弱らせるので早めの摘み取りが肝要とお書物には。暑さに強く・病害虫にも強いツルムラサキを我が家では,さっと湯がいて,独特なネバネバを「おひたし」で食べたり,「お味噌汁の具」に調理され,葉菜野菜の端境期の夏場の時期,食卓をにぎわしています。大きく伸ばし過ぎると,つるが周りの野菜に絡みついてしまうので,草丈30㎝程度になったら先端を摘芯し,脇芽を伸ばして草丈を伸ばさないで,こんもりとした形で育てましょう。収穫する葉は,主枝を摘芯した後,伸びてくる側枝を,葉2枚くらい残してつる先から15~20㎝の長さで収穫します。夏場は,側枝の発生が旺盛になりますので,伸びすぎないうちに収穫を。収穫が遅れますと,茎が硬くなってしまいます。
なお,独特なネバネバ感があって好き嫌いのある野菜ですが,紫タイプはあくがあって食べないというご近所さんも,緑タイプはおいしいと言っておすそ分けを喜んで食してもらっています。
■知っておきたい効用
中国南部から東南アジアにかけて栽培されている緑黄色野菜です。つやのある茎と肉厚な葉をもち,加熱すると軽いぬめりが生まれます。β‐力ロテンをはじめ,ビタミンC・Eや,カリウム,カルシウムなどのミネラルが非常に豊富です。
β‐力ロテンそれ自体が,強い抗酸化作用でがんや細胞の老化を防いでくれるほか,体内で必要な量だけビタミンAに変わり,皮膚や粘膜を健やかに保ちます。つるむらさきは,ピタミンA・C・Eなどの抗酸化ビタミンが含まれており,肌のシミをなくしてつやと潤いを与えるなど,美容面でも高い効果が期待できそうです。
また,葉酸には正常な赤血球の生成をサポートするとともに,近年では,認知症の予防にも効果があるとされています。さまざまな効用をもつ,心強い緑黄色野菜です。(骨粗しょうの予防,風邪や感染症の予防,疲労回復,高血圧の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
さっとゆでておひたしに,そのまま青菜妙めに,衣をつけて天ぷらにと,さまざまな調理法が楽しめます。β‐力ロテンの吸収を高めるなら,オリーブオイルやごま油でさっと妙めて塩味をつけたり,天ぷらにするなど,シンプルな料理にするとよいでしょう。独特のぬめりが苦手な人には,一度ゆでてから,調理するのがお勧めです。
ビタミンCには鉄の吸収をよくする働きがあるので,レバーと組み合わせれば,貧血対策にも有効です。
参考図書:『新野菜つくりの実際/葉菜』(農文協),『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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モロヘイヤ
今年も我が圃場には,エジプトを中心とする熱帯アフリカ原産で,アラビア語で「王様の食べる野菜」を意味するモロヘイヤがすくすく伸び葉を茂らせています。カロテンはニンジンよりも多く,カルシウムはホウレンソウの8倍といわれ,健康野菜として注目されています。
生育に適したpHは6.0~6.5。生育適温は20~30℃で排水性のよい土壌に。草丈30㌢程度で先端の芽を摘芯してと教科書にはありましたが,我が家のモロヘイヤは,60㌢程度伸びたところで主枝を摘芯=芯止めし,次々と伸びてくる脇芽を先端から10~15㌢程度で収穫し,脇芽の生長を促すため化成肥料を畝の両側に追肥します。収穫した葉にはシュウ酸が含まれているためさっとゆでたものを刻んでネバネバを出したものを朝夕食しています。
この緑のネバネバ感が,夏場緑野菜の少ない時期,食欲を増すと我が家では好評のモロヘイヤも,喉を通る時のイライラ感とネバネバ感があわないという方も多いですが,同じようにネバネバ食感を食するオクラやツルムラサキ栽培以上に手間はかからず栽培はいたって簡単(脇芽を伸ばしては摘み,また伸ばしては摘み取る要領)な暑さに強い夏野菜です。生育が早く,株の背丈を高くしてしまうと葉が硬くなり食味が落ちる傾向に留意しながら,収穫期間も長いですので追肥は早め早めに。10月になると黄色の花が咲き始め(日長が13時間より短日となると花芽が形成され開花が始まる)収穫期は終わりを迎えます。花が咲くと6~7㌢のさやが伸びてきますので,来年の種取り用に1本だけ残し他は処分。さやが乾いてきたら,さやごと摘み取って種子を取り出し,紙袋に入れ冷蔵庫で保管しておけば翌年播種可。なお,成熟した種子には強心性の物質が含まれ毒があるので間違って口に入れたり食べてはいけませんよ。
平成26年は,例年より半月早く3月23日にセロリに種を播き,5㌢ほど伸びた苗を4月25日に3号ポットに移植,5月16日に,連作可(1年間は空けるとの書もあり)ではありますが別の畑を選び,化成肥料と堆肥を施した畝幅40㌢の高畝に株間50㌢で定植しました。
モロヘイヤの調理レシピは,ここをクリックして覗いてみてください。平成22年8月の昼前民報TVの3分クッキングでは,「モロヘイヤのスープ」づくりがちょうど放映されていました。
■知っておきたい効用
β・力ロテン,ビタミンB群,C,Eなどの抗酸化ビタミンをはじめ,カリウム,カルシウム,鉄,食物繊維に至るまで各種の栄養成分を含み,その含有量もすべてケタ違いのレベル。特に,活性酸素の作用を抑えて細胞の老化を予防するβ・力ロテン,骨粗しょう症予防やストレス軽減に役立つカルシウムの量は,常食できる緑黄色野菜のなかでトップの数値です。
刻んだときに出るネバネバの正体は,ムチンやマンナンなどの多糖類。消化吸収を助けるほか,血糖値やコレステロールの上昇を抑える働きにより,糖尿病や動脈硬化に効果があるといわれます。(がん予防,老化の抑制,骨粗しょう症の予防,便秘の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
葉や茎などを,おひたしなどで。モロヘイヤのもつカルシウムの吸収を助けるのがビタミンD。ビタミンDは,きのこ類に多く含まれるので,しめじやいりこをおひたしに加えて食べれば,骨粗症の予防に高い効果が期待できます。但し,ゆで過ぎるとせっかくのビタミンCが水に溶けて失われてしまうので,さっとゆがく程度に。包丁でたたいて粘りを出し,同じネバネバ系食品の納豆ややまいもとの組み合わせれば,スタミナ強化に最適。
●保存方法
調理には通常,葉の部分のみを使います。鮮度が落ちるにつれて葉が固くなるので,新鮮なうちに食べ切ること。さっとゆでた後,しっかり水切りをしてラップに包めば,冷凍保存も可能。
※『現代農業』平成24年(2012)8月号の「あっちの話こっちの話」に◎子どもにも大人気、モロヘイヤのジュースが掲載されていましたので,ご紹介します。
浜松市のモロヘイヤ農家・曽布川登茂子さんから,モロヘイヤのおいしいいただき方を教えてもらいました。モロヘイヤのジュースです。
材料は、モロヘイヤ50g,完熟バナナ1本,牛乳コップ2杯,酢大さじ1,レモン汁半個分,氷5~6個です。材料全部をミキサーに数秒かけたら,コップ3~4杯分のモロヘイヤジュースの完成。半日ほどでモロヘイヤ特有の粘りが出て飲みにくくなってしまうので,つくったらすぐに飲みましょう。
※『やさい畑』(2013年夏号)の「旬をいただく 畑薬膳」(食養研究家/武鈴子先生監修)に中近東の王家に愛された野菜・日本の夏にもふさわしい薬効を持つ,夏に消化能力が低下する脾・胃を補う働きがある,ゆでて刻んでねばねばパワーを引き出すモロヘヤが掲載されていました。
参考図書:『新 野菜づくりの実際』(農文協),『やさしい家庭園芸』(家の光協会),『まんがでわかる おいしい野菜づくり』・『まんがでわかる安心!!有機・無農薬の野菜づくり』(ブティック社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジ),『やさい畑』(2015年初夏号,2022年初夏号)
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ニ ラ
鹿児島弁で謙遜した慶弔時の金子届出の際に訪問先の玄関先でのやり取りに使われていました『そげんたいしたものじゃなく,ニラん葉程度ですから遠慮なくお納めを』のニラを,昨年10月種を撒き20㌢程に伸びたものを,圃場に通じる脇の畝2列に6月に5~6株ずつ定植したものが,各種料理の具として食卓を飾っています。特に緑野菜の少ない9月上旬には,味噌汁の具に重宝されていました。
なお,母から受け継いだニラは,何十年も前からのニラで葉幅も狭くなっていましたので,思い切って「大葉ニラ」の種を購入し蒔き,越年する中,9カ月以上も生長を見守り自分で育てたニラを現在食しているものです。
ニラは,ユリ科に属する多年生草本で,中国西部が原産地と言われ,発芽適温は15~20℃,生育適温は20~25℃。土壌適正は広く土壌を選ばないのものの,酸性土壌は嫌うそうで我がニラ畝のpHは6.5。乾燥には比較的強いものの,過失になると生育が遅れるそうで,排水がよく有機質に富んだ土壌がベターなようです。
栽培上の留意点としては,野菜の中で多肥を好む養分吸収量が多い野菜で,チッソとカリの吸収量が多く,リンサン・石灰・苦土の吸収量は少ないそうです。また根が地下20㌢まで伸びるそうですので,深耕した畑に堆肥を全面施肥することが望ましいようです。加えて9月以降はチッソ吸収が盛んになり養分貯蔵の時期になるよですので,この時期のチッソ不足には注意が必要なようです。(追肥=リン硫安カリは収穫後半の9月と,新しい葉が伸びる3月に集中して与え,3年目以降もこのサイクルで栽培を)
ニラは,宿根性のため,3~4年たつと分けつして根が混みあってくるに従い葉の幅も狭くなってきますので,2年ごとに“改植”のため古い株を掘り上げ3~4株分けすると再び太い葉幅が伸びるようになるそうです。(株分けに一番良い時期は,春か秋が良いそうです)加えて,春にトウ立ちしてきたら早めに摘み取り,株が弱らないように注意を。また,4~5回収穫したら2カ月間養生させる(夏の期間に収穫すると,株を消耗させるので収穫を休むようにとお書物には)と長い期間収穫を楽しめますよ。
またニラはふつう葉6枚で分げつし,元の葉は硬くなり美味しい風味が失われます。そこで,20株以上になったら株元で葉を刈り取る(=捨て刈り)すると分げつが促され,約20日後には新しく出たやわらかい葉を収穫できます。
ニラの葉の独特な香りは,収穫前の硫黄分の追肥が必要ですので,収穫前の15~20日前になったら鶏糞を株元に施すことで香りのよい葉が収穫できますが,追肥を施し過ぎたり収穫前に施すとエグミが出ますので注意が必要です。
ニラは,特有の香りがある緑黄色野菜で,特有の香りの元になっているのはアリシンです。アリシンは,臭いや辛味の成分で,殺菌作用や血液をサラサラにする効果があり,動脈硬化の予防などに有効だとされています。また,アリシンはビタミンB1と結合すると,アリチアミンという物質になり,ビタミンB1の吸収率をアップさせ,その効果を持続させるので,疲労回復力を高める働きがあります。ビタミンB1の豊富な豚肉やレバーなどと一緒に調理すると効果的です。ニラの栄養成分は,β-カロテン,ビタミンC、E,B1、B2などのビタミンや,カルシウム,カリウム,鉄などのミネラルが含まれています。(がん予防,美肌効果,コレストロールの上昇抑制,血行促進)
強い香りが特徴のスタミナ野菜ニラ料理のレシピは,ここをクリックして,南日本新聞の平成20年8月13日の『エンジョイ園芸』「ニラ」の記事が,また平成23年6月号/南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』の中の『菜園クラブ』に「育てやすく長く楽しめるニラ」が掲載されていました。
※『家の光』2010年1月号「よくわかる家庭園芸」に再収穫できる香味野菜ニラが掲載されていました。
ニラ根株改植作業(右上左から) ①3年経過し葉幅が狭くなった根株の掘り上げ ②繁茂した根株を1本ずつ株分け ③元肥を施した畝に4本ずつ20㌢間隔で植え付け ④1週間経過後には新芽が伸びてきました。
胃もたれ改善にニラ=夏のスタミナ食材として,餃子のたねやレバニラ炒めなどでおなじみのニラ。原産地は,中国西部といわれ,わが国では古くから薬用として食されてきましたが,本格的に野菜として広まりをみせたのは,戦後になってからのようです。
独特のにおいは,アリシンというニシニクやネギにも含まれる硫化物の一種によるもので,消化液の分泌を促し,内臓の働きを活発にするため,食欲不振,胃もたれの改善に効果が期待できます。また,ビタミン類も豊富で,アリシンとともに胃腸の疲れに有効です。夏風邪や夏パテで弱った胃を温かいニラ雑炊で休めるのもいいでしょう。選ぶときは,葉がしなびたり折れたりせず,ピンと伸びていてみずみずしいもの,濃い緑色で肉厚,幅広,香りが強いものがお薦めです。 『かごしま食べごろ』平成24年8月22日(水)/南日本新聞
※前日,南九州に平年や昨年と比べ19日も早く「梅雨入り」が発表され,翌日には,大雨注意報も発令され本格的な梅雨入りとなった令和3年5月12日(水)NHKTVの午後7時半から放映のあった『ためしてガッテン』でモンゴル人は知っていた!ニラの魅力MAXワザ祭りが紹介され,ニラは収穫された順番によって,「1番ニラ」・「2番ニラ」などと呼ばれており,その中で生産農家が特別扱いしているのが,1番初めに収穫される1番ニラでその味わいは,ニラとは思えないほどの甘ささが特徴で,今回調べたところ,2番以降のニラの糖度は4~5度程度なのに対し,1番ニラの糖度は8以上とイチゴと同じくらいの甘さがあり,根が80㌢程まで大きく広がることが紹介されており,朝夕のみそ汁の具材に入っているニラが増々好きになる番組内容でした。
参考図書:『新 野菜づくりの実際』(農文協編),『農薬を使わない野菜づくり』徳野雅仁箸(洋泉社),『まんがでわかる安心!!有機・無農薬の野菜づくり』よだひでき著(ブティック社),『これで失敗しない家庭菜園Q&A』藤田智箸(家の光協会),『伝承農法を活かす 家庭菜園の裏わざ』(家の光協会),『家庭菜園Q&A』(家の光5月号付録),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『現代農業』(平成25年8月号),『やさい畑』(2013年秋号・2018年春準備号)
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ネ ギ
ネギは,中国西部原産の野菜で,我が国には,奈良時代に伝わり,葉は葉身部と葉しょう部に分かれ,上部の葉身部は,先端がとがった中空の円筒状です。下部の葉しょう部は,円筒形で内部に若い葉を包み込んでいます。この葉しょう部に土寄せを行って軟白し,「白根」を形成させたネギを「根深ネギ」,土寄せを行わずに葉身部・葉しょう部とも利用する「葉ネギ」に大別され,周年栽培が可能な野菜で,家庭菜園向けには,軟白部を育てるために土寄せを行わない(株が倒れないように土寄せは行います)葉ネギが向いています。
日本のネギは,生態系や用途により,3つの品種群に大別され,夏ネギ型の加賀群,冬ネギ型で根深ネギに適した千住群,冬ネギ型で葉ネギの九条群があります。
ネギは,昔から咳や鼻水,喉の痛みに効用があるとされ,風邪の初期症状の時,母親からネギをくるんだ手ぬぐいを首に巻かれた思い出がある方も多いのでは。
耐寒性は強く,-8℃程度になっても凍結枯死するようなことはありませんが,25℃以上の高温では生育が緩慢になります。大部分の品種は1月頃までに花芽分化し,3月下旬から4月にかけて抽だいします。
また,土壌適応性はきわめて広く土壌pHは5.7~7.4の範囲で正常な生育をします。根は乾燥に比較的強いものの,水はけが悪いと酸素不足による湿害を受けやすく,特に高温期には,湿害に伴うて生育不良や軟腐病などの病害が発生しやすくなるので注意が必要です。
春播き栽培と秋播き栽培に大別されますが,わが小菜園では,葉ネギ系(九条群)「春播き栽培」で,種子播きは,3月中旬~4月中旬に。発芽率が悪いので種が触れ合うくらいに多めに条間15㌢で筋まきします。なお,発芽適温は15~20℃で,ネギは嫌光性種子のため,覆土は,種子が見えない程度に目の細かなふるいを用いて均一に行い,発芽を揃えるために,新聞紙等で上から覆い保温と保湿を図り,発芽までは,毎日水やりするのがベストで,発芽後は,雑草に負けないよう除草に留意しましょう。草丈が10㌢程に伸びたら追肥と土寄せを。
定植は,種蒔き後80~100日の苗を使用し,定植する分だけ朝のうちに採苗し,一時日陰に置いて保存します。なお,その際には,苗を一度土から浮かせて抜き取り,なるべく根を切らずに多くつけるよう務めましょう。また,苗は大きさ別に分けておくと,植付け作業や定植後の管理がしやすくなります。
母からネギの種は,「陸軍記念日」(3月10日)前までに播き,定植時の鶏糞はダメと教わっています。これを今年も忠実に?守り,15㌢程に伸びてから定植したネギが,冬の鍋物の具として食卓を飾るようになりました。(平成23年は,母の言いつけを守らず,3/16に九条ネギの種を蒔き,畝幅を80㌢にとり5/20に定植しました。)
植え付け溝は,原則として台風時に倒伏の被害が少ない南北方向の畝とし,溝壁に立てかけるように5~6本ずつを並べ,倒伏しない程度に根元に覆土を。
中耕は畝間の土を軟らかくし,追肥の肥料と土壌をよく混ぜたり,除草することを目的とし,初めは,畝間の土の山を植え溝に落とし込むように,盛夏期から行いますが,あまり早くから多量の土を落とし込むと生育が停滞するので,2回程度に分けて実施しましょう。
土寄せは,菓しょう部の軟白のほか,根の吸肥力の増大,土中酸素の供給,倒伏防止などに役立つ重要な管理作業で,葉しょうの伸びに合わせて3回程度に分けて実施します。
家庭菜園で,手軽にネギの栽培を楽しむためには,種蒔きから植えつけまでの育苗には時間がかかりますので,育苗店で苗を購入して植えつけるとよいでしょう。よい苗は,1㌢以上の太さで,草丈は30㌢程度でそろっているものを選びます。
苗植えつけの際は,根を傷めるので石灰,肥料は入れません。植え溝を掘り,苗を入れて根元のみに土を盛ります。根には酸素の供給が必要なので,その上にわらや乾燥させたトウモロコシの茎などを入れて,空気の層を作っておくことがポイントです。乾燥には強いものの,湿害には弱いので,大雨の後は畝間にたまった水を速やかに排水します。
◎ネギ坊主の想い出
小学校低学年の頃,ネギ種収穫用の近所の畑のネギ坊主を,悪がき仲間でチャンバラごっこの延長で,木刀で全てのネギ坊主の頭を首切りして回り,後でいたずらしたことがバレ,母親から叱られ,夕食を頂く事ができなかった想い出が。
■知っておきたい効用
九条ネギに代表される「青ネギ(葉ネギ)」は,緑色の部分に,β‐力ロテン,ビタミンC,カリウムなどの栄養素を,白い部分には含硫化合物の硫化アリルを多く含みます。
硫化アリルは,ねぎ類に特有の強い香り成分です。この仲間のアリシンは,ビタミンB1の吸収を助け,糖の代謝を円滑にする働きがあります。
また,疲労回復や冷え症の改善に持続的な効果を発揮するほか,ビタミン類とともに,がんや動脈硬化の予防にも役立つと考えられています。
また,硫化アリル特有の強い匂いには,胃酸の分泌を促し,消化促進の働きも。温熱作用や消炎作用にも優れ,民間療法では,風邪やしもやけの外用薬として欠かせない野菜とされてきました。(血行促進,がん予防,高血圧の予防・改善,便秘の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
硫化アリルはビタミンB群と同様に水溶性なので,長く水にさらすと,その効力も薄れてしまいます。生で刻んで,しばらく空気に触れさせてから使うと,優れた薬効を発揮します。旬の時期のねぎは,加熱することで生まれる甘味が身上。鍋や汁物,あるいは焼いてからマリネにするなどの方法で,溶け出した成分も一緒に摂れるような調理法を工夫しましょう。食べ合わせでは,ビタミンB1を多く含む豚肉やうなぎ,鴨肉,大豆,鶏レバーなどが好相性です。
※『野菜だより』2011年1・2月号の綴込付録の「人気野菜ズームUP!」に「毎日食べたい採りたてネギ」が掲載されており,今春からの栽培に向け,今から予習を。
※『やさい畑』(2013年冬号)の「旬をいただく 畑薬膳」に,食養研究家:武鈴子先生監修で「霜の降りる頃から甘みが増し,やわらかくおいしくなるネギ。驚くほど幅広く,強力な薬効を持っています。とくにこれからの季節は大活躍することまちがいなし。風邪やインフルエンザの予防に,手足の冷えや腹痛,下痢に。寒い季節のさまざまなトラブルは,ネギにお任せを。」としてネギの種・根・葉柄の白い部分と緑の部分の薬効と「冬の体調に合わせたネギ料理」=ネギがゆ・豚ネギみそ・焼きネギマリネ=が紹介されていました。
※NHKの人気TV番組『ためしてガッテン』の平成28年12月14日(水)午後7時半から放映された「インフル・肺炎・がんに効く 世界で発見!驚異のネギパワーSP」を,夕食団らんの時間帯に家族してご覧になり,ネギの効能の素晴らしさを(中国ではネギを生かじりしていたことから新型肺炎=SARSの発症患者が出なかった山東省の「ネギの里」があった,迷信と思っていた風邪を引いたらネギを首に巻くことでアリシンにより血流促進効果がある,免疫力のUPはネギの“ヌル”にありガン予防にも期待がetc)改めて再認識された方も多かったのでは。同番組の内容を失念しない内にと同番組のHPから番組内容を印刷するを見つけ貼り付けました。
煮込みに最適な白ネギ=冬の足音が近くなり,鍋物がおいしい季節になってきました。今週は白ネギを紹介します。本来の旬である冬は栄養が増し,鍋物をはじめ煮込み料理に最適な食材です。
白ネギは,ニンニクやタマネギにも含まれ特有の匂いのもととなるアリシンを含み,抗酸化作用による生活習慣病予防や,血流促進作用で体温が上がり免疫力向上が期待されます。豚肉などに含まれるビタミンB1と結び付くと,アリチアミンという物質になって体に取り込まれやすくなり,疲労回復や新陳代謝の活性化に役立ちます。殺菌効果もあり,喉の痛みやせきを鎮める作用があるため,風邪のときに薬の代わりに食べる習慣は理にかなっています。
これから寒くなり,体調を崩すことも増えると思われます。冬場の健康維持のため,白ネギに好みの具材を加えた鍋などで体の中から温まり,健康に過ごしましょう。平成29年11月8日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
風邪予防に白ネギ=鍋料理の引き立て役として欠かせない白ネギ。特有のにおいや辛味のもとであるアリシンという成分は,抗酸化作用による生活習慣病予防や,体温を上昇させる作用による免疫力の向上に効き目があるといわれています。強い殺菌効果もあり,風邪の予防にも効果的です。アリシンにはビタミンB1の吸収を促進する働きもあります。ビタミンB1を豊富に含む豚肉などと一緒に食べると,疲労回復にも効果が期待できます。寒くなる時季の健康増進にピッータリといえるでしょう。全体的に張りがあり,みずみずしく,緑と白の境目がくっきりとしていて,白い部分に弾力があるものがお薦めです。これから寒くなり,体調を崩しやすくなります。白ネギに好みの具材を加えた鍋などで体の中から温まり,健康に過ごしましょう。令和元年11月13日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
鍋に欠かせない白ネギ=白ネギは年間を通して市場に流通していますが,これからの時期に旬を迎えておいしくなります。鍋料理に欠かせない食材のひとつです。特有の辛味はアリシンという成分によるもので,血流の改善や免疫力を高める作用があります。ビタミンB1の吸収を助ける働きがあるので,豚肉などと一緒に食べると疲労回復や新陳代謝の活性化に効果があります。選ぶときには白い部分が締まって弾力があり,重みがあるものがお薦めです。収穫から時間がたつと水分が抜けて,ブカブカとした感触になってしまいます。保存するときも乾燥しないようにラップで包んで野菜室に入れると長持ちします。11月7日は、語呂合わせで「いい(11)な(7)べ」ということで「鍋の日」だそうです。週末は、白ネギにお好みの具材を合わせて鍋料理はいかがでしょうか。令和2年11月4日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
寒さで風味増すネギ=ネギは,白ネギ(根深ネギ・長ネギ)と青ネギ(葉ネギ)に大別できますが,他にもあさつき,わけぎなどネギの仲間は500種類以上あります。白ネギは土寄せして日光を遮り,白くした葉の部分を主に食べます。栄養価では青ネギに劣りますが,体温上昇や殺菌作用といった効能のあるアリシンは青ネギより多く含まれています。青ネギは土寄せはせずに栽培し,緑色に色付いた葉の部分を主に食べます。白ネギより栄養価が高く,特にビタミン,カルシウム,鉄分が豊富です。元々は冬の野菜で,寒さによって風味を増しておいしくなります。出回り量も10~3月が多くなりますが,食欲を増進させたり料理に彩りを添えたりと,薬味や鍋の具材に欠かせない料理の引き立て役として一年中出回っています。表面がみずみずしく,根から葉先までハリがあるものが新鮮です。令和4年11月2日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
ネギで風邪吹っ飛ばせ=ネギはこれから旬を迎えます。東日本では白い部分を食べる長ネギ、西日本では緑の部分が多い葉ネギが好まれてきたそうです。長ネギは緑色と白色の部分に分かれていますが、実はどちらも葉です。盛り土を繰り返して栽培することで、土の中で光に当たらない白い部分へ土の外で光を浴びる緑の部分ができます。特有の香りと辛みのもとはアリシンという成分です。血行を良くして体を温めたり、疲労を回復したり、食欲増進にも効果があります。青い葉の部分はビタミンC、カルシウムなどのミネラルを豊富に含み、風邪予防にぴったりです。おいしく新鮮なネギは葉の先まで張りがあり、茎がぎゅっと詰まっています。乾燥と日光に気をつけ、新聞紙やラップで包み、野菜室で保管しましょう。これからの冷え込む季節にネギを食べ、風邪に負けない元気な体を目指しましょう。令和5年11月15日(水)/南日本新聞『食べごろ』から
参考図書:『野菜講座 栽培収穫編 根茎菜2』(日本園芸協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『新 野菜づくりの実際』(農文協),『野菜の施肥と栽培 根茎菜・芽物編』(農文協),『これで失敗しない家庭菜園Q&A』(家の光協会),『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『品質・収量を大きく変える育苗からわかる野菜づくり』(誠文堂新光社),『家庭菜園レベルアップ教室葉菜3』(農文協),『野菜だより』(2022年1月号)
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レモングラス
見た目は普通のカヤ草のような感じですが,その名前のとおり葉や茎からは,別名「香水ガヤ」とも呼ばれるように強いレモンの香りがします。非常に繁茂し,カヤの葉のように大きく育つので庭植えに適しており。酸性の土を嫌いますので,庭先の土に植えるける場合は,石灰を混ぜ込んで中和しておきます。
数株も植えると,一家庭では消費しきれない量が,夏以降,葉っぱを茂らせ収穫できます。冬になると戸外での越冬は不可で,寒さに弱く,枯れてしまいます。 庭植えしている場合は刈り込んでおけば,翌春になればまた葉が繁茂してきます。
我が家の花壇の一隅にXが友人からいただいてきた株が繁茂したのを最初発見した際は,花壇に誰がカヤを植え付けたのと苦言を呈した「レモングラス」。株分けすれば増えますので,周囲の方にも癒しのおすそ分けを勧める際には,日当たりのいい場所で育て,葉が茂り,蒸れやすいので風通しのいい場所に植えてと指南を。
なおレモングラスの代表種には西インド種と東インド種があり,西インド種が普及していますが,西・東インド種の見分け方は,西インド種は茎が白く,生長しても1.5㍍ほどなのに対し,東インド種は茎が茶色で,生長すると茎が竹のように硬くなり,節もできて草丈が2㍍ほどになります。露地栽培向けには,冬場は地上部が枯れても春になれば再び芽が出る西インド種で,東インド種は耐寒性が弱く,露地栽培では冬越しできません。レモンのような香気成分のシトラールの含有量は,西インド種に比べ東インド種のほうが多いそうです。
春から夏の間は,葉の平らな部分を切り取って収穫し,スープ・煮物などの香りづけ,ハーブティーに利用します。夏は株元から10㌢ほどを残して刈り取り,陰干しにすると保存できます。
東南アジアでは,根を切り落として20㌢程の長さにした茎の部分を市場で売っており,これを刻んで,料理の香味付けにしたり,また涼感を得るために,この葉をかって束ねたものを暑い時期に部屋の隅に吊るしておいてあるそうです。また,熊本市のハーブ農家の太田さんは,長い葉のままのレモングラスをとの所望に応え,他のハーブ(ラベンダー・ローズマリー等)と組み合わせ,正月飾りの「しめ縄」を製作販売され,全国から注文が入り好評を得ておられるようです。
■知っておきたい効用
インド原産のイネ科の多年草で,その姿かたちはイネに似ていますが,香りはレモンにそっくりという不思議なハーブです。その主な精油成分はレモンと同じシトラールで,強力な抗菌作用をもち,インフルエンザなどの感染症の予防にも効果的とされています。また消化促進・整腸の作用があり,胃痛を和らげる効果もあるようです。そのほか,発熱,局所の炎症の緩和にも効き目があるとされます。
葉を刻んでハーブティーにすると,リフレッシュ効果や集中力を高める効果が得られます。疲労回復にも有効とされ,夏パテや疲労を感じたときには,水分補給もかねて,冷たくしたレモングラスティーがおすすめです。
そのほか,ポプリにしたりお風呂に入れて香りを楽しんだりしてもよいでしょう。レモンに似たさわやかな香りが疲れを癒してくれます。(抗菌作用,消化の促進,整腸作用,風邪や感染症の予防)
◆調理との組み合わせのコツ
生の葉は薄皮をむき,スライスまたはみじん切りにして料理に加えます。乾燥した葉は細かく切るかパウダー状に加工,あるいは長いままの葉を適当な長さに切り結ぶ,ガーゼの袋に包んであくなどすると,煮込み料理などにそのまま使えて便利です。タイのカレー料理,トムヤムクンなど,エスニック料理に欠かせないスパイスですが,タイムやローリエなどの香草類と束ねてブーケガルニとしても使えます。ただし,繊維があって食べにくいので,食べる前に出しましょう。
参考図書:『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『現代農業』(平成29年2月号)
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【茎菜類】
【茎菜類】
アスパラガス
南日本新聞(平成26年4月2日)の『かごしま旬菜』に,本県のアスパラガスの産地である日置市吹上町のアスパラガス生産部会の活動が写真入りで大きく報じられていましたが,我が“こざ園”の片隅に植え付けておいたアスパラガスも,秋に枯れた擬葉を刈り取った後,春の息吹と共に忘れされないようにと今初夏にも緑色の若茎を土の中か伸ばし,食卓を飾るようになってきました。
なお,「啓蟄」も過ぎた平成28年3月7日,新たにアスパラガスの種株を@399円を6株買い求め,スコップと鍬を使い30㌢近く植え付け予定地を掘り上げ,堆肥・油粕・化成肥料・藁くずを元肥に施した畝に茨城県が生産地と記された種株を株間40㌢で根を広げて植え付け,上から藁で覆ってこの夏からの新芽の収穫に向けた準備を。
アスパラガスは,野菜では珍しいユリ科の多年生宿根性植物で,原産地は南欧の地中海沿岸から西欧,南ロシアにかけての温暖で降雨の少ない所で,古代ギリシャ時代から栽培され,我が国には,江戸時代にオランダ人が鑑賞用としてもたらし,食用としては大正行時代に北海道で栽培が始まったといわれています。
収穫時期は,春採り・二季採り・長期採りの3タイプがあり,春採り・二季採り栽培の場合は,収穫1年目では10日間が収穫の目安,収穫2年目では20日間が目安。収穫3年目(4年生の株)では40日間を目安として,「春採り打ち切り」後にいったん収穫を休んで株を養生させます。また長期採り栽培では,春採りを早めに打ち切り,夏秋に収穫を再開します。
なお,種を播いてから収穫できるまでは1年以上もかかるため,晩秋の時期に休眠中の大株を購入し,根を広げ,元肥に堆肥を十分施し深く耕した畝に植え付けますが,一度定植すると10年間程度は収穫が楽しめます。また最初の年は収穫しないで,葉をを育てることが肝要です。6月以降になると芽も細くなってきますので収穫はあきらめ,翌年の収穫に備え株を生長させます。その際,大きく伸びた茎葉が強風で倒れて折れないように周囲に紐を張って倒伏防止策を。加えて冬の時期に枯れた茎葉は,地ぎわで切り取り処分を。
■知っておきたい効用
緑色の「グリーンアスパラガス」と淡色の「ホワイトアスパラガス」があるが,栄養価が高いのはグリーンアスパラガスで,アスパラギン酸というアミノ酸を多く含むのが特徴です。体が疲れたときはカリウムやマグネシウムを補給することが必要で,アスパラギン酸にはこれら2つの栄養素を吸収し,細胞内に効率よく取り込む働きがあるとされます。疲労物質である乳酸を早く燃焼させ,エネルギーに変える力をもつともいわれ,こうした作用が神経や筋肉の疲労回復に効果を発揮します。
アスパラギン酸には排泄を促す働きもあり,古代エジプト時代には利尿薬として利用されていたとか。抗酸化作用に優れるビタミンA,貧血防止に効果的な葉酸,骨の健康に不可欠などタミンKなどを多く含み老化防止を目指す女性にもうってつけです。(疲労回復,貧血の予防・改善,がん予防,骨粗しょう症の予防)
◆調理との組み合わせのコツ
ゆでておひたしや和え物,妙め物や揚げ物にしても風味が生きます。ビタミンA・Kは,ともに脂溶性の栄養素なので,油妙めにしたり,油を使ったドレッシングで和えたりすることで吸収率が高まります。水溶性のビタミンB1などの損失を防ぐためには,あまりゆですぎないことが肝心。焼く,揚げるといった調理法が,よりお勧めです。カリウムも塩でもんだり,煮ると水に溶け出してしまいますが,汁も一緒に飲めば流れ出たカリウムを摂取できます。
アスパラで滋養強壮=春から初夏に旬を迎え,ギリシャ語で「新芽」を意味するアスパラガスを紹介します。赤血球の生成に重要な葉酸やゼタミン類を豊富に含み,特にアミノ酸の一種であるアスパラギン酸は新陳代謝を促し,疲労回復や滋養強壮に効果があります。穂先に含まれるルチンは毛細血管を丈夫にし,高血圧や動脈硬化を予防するほか,ビタミンCの吸収を促す効果があります。クセが強くないのでさまざまな料理に利用できます。ビタミンCが豊富なブロッコリーやナバナと組み合わせてグラタン,おひたし,あえ物にすると,アスパラガスの効能をより高めることができます。鶏肉と一緒に妙め物にすると,滋養強壮の効果がさらに高まります。緑が鮮やかで茎が黒ずんでいないもの,切り口が新しいものを選びましょう。ぬれた新聞紙にくるみ,冷蔵庫に立てて保存すると数日は鮮度を保てます。(平成29年3月15日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
旬迎えるアスパラガス=今からが旬で栄養価も高いアスパラガス。抗酸化作用のあるベータカロテンや造血作用のある葉酸,高血圧予防効果のあるカリウム,新陳代謝を促し疲労回復やスタミナ増強に効果があるアスパラギン酸を含みます。普通にゆでても栄養成分がほとんど流出しない特徴があります。穂先が締まって茎が太めで真っすぐ伸び、張りがあるものを選びましょう。乾燥を防ぐため新聞紙などに包んでビニール袋に入れ,冷蔵庫の野菜室でなるべく立てた状態で保存してください。新鮮なものはゆでたり,火を通したりするだけのシンプルな料理で持ち味を楽しめます。下ゆでしてソテーや,生のまま天ぷらに使うと風味が生きます。根元は切り捨ててしまいがちですが,硬い部分をそいで薄くスライスし,かき揚げやきんぴらにするとおいしくいただけます。(平成30年3月28日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
高血圧予防にアスパラ=これから旬を迎えるアスパラガスは,地中海東部が原産とされるユリ科の植物で,地上に伸びてくる新芽の茎を食用とします。グリーンアスパラガスは歯応えがよく,甘みがあって風味も豊かです。ホワイトアスパラガスは独特の甘みとほのかな苦味が特徴です。抗酸化作用のあるベータカロテンや造血作用のある葉酸,高血圧予防によいとされるカリウムなどが含まれます。ゆでる場合は,湯に塩を少し入れ,歯応えが残る程度の硬さがお薦めです。天ぷらや妙め物にする際は,下ゆでせずに生のまま調理した方が風味よく仕上がります。茎が太めで真っすぐに伸びて張りがあり,みずみずしく,穂先が締まったものを選びましょう。色鮮やかなアスパラガスを使って,食卓を彩ってみてはいかがでしょうか。(平成31年3月13日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
緑と白のアスパラガス=アスパラガスは地中海東部が原産とされるユリ科の植物で,地上に伸びてくる新芽の茎を食べます。グリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスは品種の違いではなく,日光に当てて伸ばすかどうか,栽培方法が違うだけです。日光で葉緑素がたくさん作られ,黄緑色になるのがグリーンです。やや臭みがあるものの栄養価は高く,カロテンなどを多く含みます。芽が出る春先に土を盛り,芽を日光に当てずに伸ばしたホワイトアスは,食感が柔らかく,ほんのりと甘みがあります。ただ,栽培に手間がかかる上に傷みやすいため,流通量が少なく価格も高くなります。輸入物も合わせて通年店頭に並びますが,春から初夏にかけてが最もおいしい旬です。サラダや妙め物,ソテー,天ぷら,フライにしてもおいしく食べられます。(令和2年3月18日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
旬を迎えるアスパラガス=アスパラガスは1年を通して輸入物が流通しており,あまり旬を意識しない食材ですが,これから国内産が旬を迎えます。みずみずしい採れたてのものが,多く出回るようになってきます。アミノ酸の一種であるアスパラギン酸が多く含まれ,新陳代謝を促して疲労を回復させます。穂先に含まれるルチンは血管を丈夫にし,動脈硬化の予防が期待できます。鮮やかな緑色で穂先が締まり,根元まで張りがあるものを選びましょう。購入当日に食べるのが一番ですが,ぬれた新聞紙で根元を包んでビニール袋に入れ,立てて冷蔵すれば,鮮度をある程度保てます。軽くゆでるなどの簡単な調理で持ち味を楽しめますし,てんぷらやソテーにする場合は,生のまま使うことで凝縮したうまみを味わえます。旬のアスパラガスで,食卓に彩りを添えてみてはいかがでしょう。(令和4年2月23日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
彩り添えるアスパラガス=これから旬を迎えるアスパラガスは、栽培方法で色が変わります。グリーンアスパラガスは、日光をたくさん浴びて光合成をすることできれいな緑色に。ホワイトアスパラガスは、日光が当たらないように栽培するため、白いまま成長します。アミノ酸の一種であるアスパラギン酸が多く含まれ、新陳代謝を促して、疲労を回復させます。穂先に含まれるルチンは血管を丈夫にし、動脈硬化の予防が期待できます。茎が太めで、まっすぐ伸びて張りがあり、みずみずしいものがよいでしょう。穂先が開いておらず、ほどよく締まったものがお薦めです。サッとゆでてお好みの調味料で甘みとほのかな苦みを楽しんでください。天ぷらやソテーにする場合は、生のまま使うことで風味を感じられます。旬のアスパラガスで、食卓に彩りを添えてみてはいかがでしょうか。(令和5年3月1日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
アスパラガスで疲労回復=アスパラガスには緑色のグリーンアスパラガスと,日光が当たらないように栽培したホワイトアスパラガスがあります。新陳代謝を促し,疲労回復に効くアミノ酸の一種・アスパラギン酸や,穂先には毛細血管を強くし高血圧予防の効果があるルチンが含まれます。抗酸化作用のあるベータカロテンや造血作用のある葉酸も豊富。グリーンアスパラガスの方が栄養価が高いです。茎が太めでまっすぐに伸びて張りがあり,穂先がほどよく締まったものを選びましょう。成長しすぎたり,鮮度が落ちたりすると穂先が乾いて開き,味や食感が損なわれます。茎の細すぎるものや縦筋の多いものも避けましょう。妙め物や煮物,揚げ物のほかサラダにも使えます。天ぷらや妙め物にする場合は,下ゆでせずに生のまま調理した方が風味よく仕上がります。旬の甘みとシャキッとした食感を味わってください。(令和5年6月7日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
栄養豊富なアスパラ=アスパラガスは4月から6月ごろにかけて旬を迎えます。ヨーロッパでは紀元前のローマ時代から栽培され,薬効のある野菜として重宝されていたそうです。日本には江戸時代に伝わり,大正時代に本格的に栽培され始めました。柔らかい茎を食用にしています。緑色のグリーンアスパラガスのほか,日光に当たらないよう土寄せして栽培した白いホワイトアスパラガスがあります。カロテンやビタミンC,ビタミンE,ルチンなどが豊富。皮膚や目の健康を保つ働きや免疫力の向上,動脈硬化・高血圧予防といった効果が期待できます。色が濃くまっすぐで,穂先がしっかりしていて,茎の切り口が乾燥していないものがみずみずしく新鮮です。硬くなりやすいので早めに食べきりましょう。余った分は切り口を湿ったペーパータオルや新聞紙に包んで保存袋に入れ,野菜室に立てて保存しましょう。(令和6年5月15日/南日本新聞『買いごろ 食べごろ』から)
参考図書:『新野菜つくりの実際軟化・芽物』(農文協),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『やさい畑』(2010年・2013年冬号)
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セロリ
食事に時間を割く事ができない多忙な現代人の栄養摂取方法として,ミキサーで葉野菜を細かく粉砕し栄養を吸収しやすくしてから摂る「グリーンスムージー」が話題になっていますが,グリーンスムージーにも使われるセロリは,独特の芳香とシャキッとした歯ごたえが魅力でもありますが,人によって好き嫌いの分かれる野菜。家庭菜園では,初夏まき秋冬どりがもっとも作りやすいでしょう。地中海地方の原産で,日本には16世紀の終わりに中国から朝鮮半島を経て伝わり,独特の強い芳香は,古代ギリシャ,ローマ時代から香料や薬として使われ,疲労回復や精神の安定作用があるといわれてきました。栄養面では,ビタミンやミネラルがバランスよく含まれていて,特に,葉は栄養価が高く,β‐カロテン,カリウム,ビタミンB群などが豊富です。シャキッとした歯ざわりと香りを味わうサラダはもちろん,独特の香りが肉のくさみ消しになるため,煮込み料理の香味野菜としても重宝されています。
独特の香りには,肉や魚のにおいを抑えてくれる働きがあり,洋風の煮込み料理には不可欠な野菜といってよいでしょう。大きめに切ったセロリを加えたポトフなどがよい例です。また,スープストックの風味づけとして使うブーケガルニには,パセリの茎やローリエ,タイムなどの香味野菜といっしょにセロリの葉が必ずといってよいほど使われています。魚介のマリネなどにハープ触覚で利用すると,香りのパワーを発揮します。
セロリの香りの成分・アピインやセネリンには,精神を安定させる働きがあるといわれています。そのため,イライラなどストレスによる症状をやわらげる効果も期待されており,枕元にセロリの葉をさしたグラスを置くと,香りの効果でよく眠れるという言い伝えもあります。疲労回復や食欲増進などの効果を期待するなら,生のままサラダなどで楽しみましょう。
現在,日本で広く出回っているのはクセのないコーネル種。それ以前に持ち込まれた,茎全体が緑色のグリーンセロリは,強い香りであまり好まれなかったようで,他に水耕栽培で作られるホワイトセロリや,密植して栽培するミニセロリなどがあり,適度な湿りけと涼しい気候を好みますので,夏場はまめに水を与えましょう。生長期に遮光をして軟白処理をすれば,白くてやわらかい葉柄ができます。株ごと切り取るか,かき取り収穫のどちらも可能です。
セロリは,野菜園芸ではセルリーという名で分類されており,茎の色で黄色・緑・その中間色に分けられますが,日本でもっとも多いのは中間色です。
■知っておきたい効用
栄養素以上に,その香り成分に薬用植物としての効用をもつ香辛野菜です。特有の香りのもとである香気成分のアピインは,神経系統に働いてイライラを抑える働きがあります。また,さわやかな香りで胃液の分泌を促進し,食欲を高める効果もあります。
微量ながらビタミンB2・B1,葉酸などのB群,Cなどを含みます。また血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防する水溶性の食物繊維も比較的多く含んでいます。栄養素のなかで多いのはカリウムで,過剰なナトリウムの一部を体外へ排出し,高血圧の予防・改善に役立ちます。また利尿が促されるので,腎臓病の予防にも効果を発揮します。
葉の部分は緑色が濃い分,β‐力ロテンが茎部分の2倍と豊富で,さらに,ビタミンB1・B2・C・E,食物繊維なども,茎より多く含んでいるといわれています。葉に多く含まれる香り成分のピラジンには,血栓を防ぎ,血液をサラサラにする作用があるとされています。(がん予防,抗ストレス作用,高血圧の予防・改善,疲労回復)
◆調理との組み合わせのコツ
イライラを抑える香り成分を有効に生かすために,やはり抗ストレス作用に優れるビタミンCやカルシウムを含む食材との組み合わせを。赤や黄色のパプリカとの妙め物や,カリフラワーやブロッコリーとのクリーム煮など,加熱調理にすることで生では味わえない甘味も生まれます。
葉の部分は,ざくざく切って,にんじんやだいこんなどの残り野菜と即席ピクルスにしてみましょう。歯ごたえよく,豊富な栄養素もムダなく活用できます。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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つわ(つわぶき)
石垣の陰や木陰の下に生育し漢字では「石蕗」と書き,濃い緑色の艶色をした「つわぶき」を当地では「つわ」と呼んでいます。山から移植しひっそりと秋には黄色の花が咲き,春の息吹とともに葉が茂り始めたのを,目ざとく見つけたXが茎を摘み取り,柄の部分の皮を剥く際に着いたアクで指先を黒くしながら料理した「つわ」が煮しめやつくだ煮に料理され食する季節を迎えました。
幼き頃の山学校では,遊び疲れた喉を潤すために谷川の水をすくって飲むための皿の代わりに近場のつわの葉を摘んでという懐かしき想い出もおおありでは。
我が街では,“つわぶきの里”として海岸部の過疎地区で村おこしの食材として,高齢者グループにより段々畑に植付けられ,県道に面した無人野菜売り場でビニール袋に入れられ寂しく売っておられる春本番を告げる野の自然野菜でもあり,菊の花に似たつわぶきの花言葉は,木陰に静かに咲くことから,つわぶきの里同様の「謙譲」・「困難に傷つけられない」が着けられています。
なお,店頭では,茎の部分だけが束ねられた状態で売られています。葉,茎ともに張りがあり,葉の黄変や黒ずみがないものを選びましょう。生の状態のままでは,しおれるのが早いので,アク抜きまでを済ませ,適量の水と一緒に容器に入れ,冷蔵庫で保存を。
なお,皮を剥く際にあくが手や指先の爪を黒くして料理をする婦女子にはご苦労さんの「つわのあく抜き」の方法には①皮を取り,7㎝程の長さに折って,これをゆでて水に浸けておく。②つわを並べて上から木灰を降りかけ,熱湯をかけてから皮を剥くと,よく取れる。③つわの剥いたものを,一煮立ち程度にゆでて,一日だけ日に干したものは,煮しめ用によい。
■知っておきたい効用
キク科の多年草で,ふきとよく似た円形の葉と長い茎をもっていますが,まったく別属の植物です。葉の表面に艶やかな光沢があり,「艶のあるふき(のような植物)」が転じて「つわぶき」の名前がついたとする説もあります。
ふきと同様に,葉と50㎝ほどの柄の部分を食用にします。アクが強く,独特の香りがある点も共通しています。栄養面では,カリウムと食物繊維が多く含まれています。
また,つわぶきの葉にはヘキサナールという成分が含まれており,この成分は非常に強い殺菌作用をもつことで知られています。このため,昔から肉や魚が原因となった食あたりや中毒への対処としてつわぶきの葉の搾り汁を服用したり,また打撲や切り傷の外用薬として青汁を塗ったりする(鹿児島では,つわの葉を火にあぶってはれもの吸出の化膿どめにも使われ)など,民間療法で多用されてきました。(高血圧の予防・改善,疲労回復,不整脈の予防,抗菌・解毒作用)
◆調理との組み合わせのコツ
栄養素を摂取するより,風味を楽しむ野菜です。煮物やおひたし,佃煮,和え物,天ぷらなど,シンプルな料理法で特有の香りと歯ざわりを楽しみましょう。独特のえぐみがあるため,調理の前にアク抜きの処理が必要です。
鹿児島の田舎料理では,つわ自体が強い風味を持っており,濃厚な魚肉類のだしには合わなので,昔からかつお節だしで煮るか,干大根・しいたけ・竹の子・厚揚げのような田舎煮しめとして母の味・ばあちゃんの味として伝承され味あわれています。
参考図書:『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『さつま料理歳時記』(金海堂)
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といもがら(ハスイモ)
サトイモの葉柄専用品種のハスイモの葉柄(ズイキ・ようへい=葉と茎を接続している柄)のことを鹿児島では,「といもがら」と称しています。亡き母の兄の丁字屋のT伯父さんの好物で,夏場になると決まって母から「T兄さんの好物だから届けて」と,広がった葉先を落とした葉柄だけを新聞紙に包んだのを,よく頼まれ国道3号を渡って届けた想い出がある,家の片隅に植えられていた野菜でもある。さつま町山崎の従兄の畑から芋を分けてもらって数年経ったのが,霜枯れして今初夏には発芽しなかったので,新たに買い求めた同芋苗には,別名「リュウキュウハスイモ」と植名を記してありましたので,本県には,藩政時代に伝わった野菜なのかもしれませんが,購入した芋苗には,高知県の伝統野菜と鹿児島県民にはどうも解し難い説明がありました。
葉は一見サトイモのような形をしていますが,根から葉先まで青々としているのが特徴です。外側に伸びて大きくなった葉柄を根元から順次切り取り,食べる葉柄に包丁を入れるとスポンジのように空気を含んだ無数の穴が通っており,食物繊維やビタミンが豊富で,近年ダイエット食としても注目を集めています。野菜の不足する夏,生でよし,煮てもよし,独特のシャリシャリ感のある「といもがら」は根強い郷土野菜としての人気があります。産地は,鹿児島県内一円で,昔は夏から晩秋にかけての青野菜として必需品で,どの家庭でも柿の木の下や茶園脇の庭先に植えられていました。
今では八百屋でも見かけなくなった「といもがら」は,最も鹿児島らしい夏野菜ですよね。雨が多く,風が激しいという南国特有の夏の自然の中で,いつもみずみずしいうす緑色の葉柄は,切り取っても折れても,次々に新しい葉柄を伸ばす「といもがら」は,それ自体特別の味が無いだけに,どのようにでも使える野菜です。ちょうど冬の時季における大根のような存在です。外側の皮をピーッと剥いて,鉛筆を削るように薄く削って,塩をまぶし,水にさらして塩抜きしたのを水けを絞って,酢醤油で食べる生でよし,煮て味を染み込ませて食べてよし,いためてよし,雨続きの野菜不足時季には特に役つ野菜です。タレクチザコや鶏の刺身のツマになるときは格上がりで,焼酎飲みは,刺身なしの「トイモガランサシン」でシャリシャリと冷たい歯ごたえを楽しみながら,香りの強いから芋焼酎を手酌ででグイと「だれやめ」をしておられた,飲んべぇのおやっどん達の姿が思い出されます。
子供の頃は,生の「といもがら」は,独特の苦みが嫌いでしたが,歳を取るごとに食する楽しみが増してきた「といもがら」。汁をよく含むので,長めに切り,椎茸,昆布その他の夏野菜を一緒にして煮しめにも使われます。中でも,ヒボカシの鮎や,エッナ(ボラの幼魚)などと,一旦油炒めにしたうえでの味噌煮は,ひなびた田舎料理(母の味)のよさを味わえます。
細い空気の管をいっぱいに持つ海綿状の茎は,太いけれどもとてももろい。見かけだけで心身共にもろい役たたずの人を「いもがらぼくと」とは,ありがたくない言いぐさですが,おんじょ(高齢の先輩)達からは,といもがら菜園に入るのに三つのことを言い残しています。
一,朝日の上らんうちに切れ。(陽に当たるとえぐい)
一,シンを三本残せ。(茎の成育が途切れないように)
一,白かもん(白いもの)を着て採るな。(切口から出るアクは赤いしみとなる)
■といもがらの使い方
① といもがらは,切り取ったら,葉を落しバケツの水につけておく。(皮をむいてから水につけることはいけない。)
② 下方のヒラヒラのところを切り去り,皮をむいてから,適当に切ってつかう。
■といもがらの白あえ
材料と作り方
① といもがらは,皮をとり,斜めうす切り,ふり塩をして,しばらくおいてからしぼる。
② 豆腐は布巾でしぼり,よくすり,砂糖,塩,うす口で味をつけ,①とまぜる。
■ヒポカシ魚とといもがらの煮しめ
材料と作り方
① ヒボカシ魚(火取り魚)は,さば,あじ,いとより,あゆ,えっな,このうちどれでもよい。
② といもがらは,皮をむき,太々と7㌢位の長さに切る。
③ 鍋に魚を並べ,かぶるほどの水をいれ,酒と塩少々をいれ,中火にかけ,蓋なしで煮る。火が強かったり,蓋をすれば汁がにごる。
④ 充分に煮えたら,改めて,うす口,みりんを加え,といもがらをいれ,落ぶたをして,煮つづけ,よい色になったら火を止めて,器に盛る。汁も多い方がよい。
※鹿児島県のHP内にも「鹿児島の伝統野菜」としてといもがらの紹介と栽培カレンダーが掲載されていました。
トイモガラ咲く 鹿屋・永吉さん宅
鹿屋市笠之原町の獣医師永吉勝さん(69)宅で,トイモガラ(ハスイモ)の花が咲いた。食用に育てており開花は初めて。「見る楽しみもできた」と白くかれんな花をいとおしんでいる。
25日,妻のツルミさん(69)が庭を散策中に見つけた。10年前に植え付けた5株のうち,1株に長さ約10㌢はどの花が三つついていた。「カラーの花みたい」とうっとり。
永吉さん宅は,約1,500平方㍍の菜園で栽培する野菜や果物で植物系の食材のほとんどを賄っている。トイモガラの茎は夏野菜の定番で刺し身のけんや煮物にして味わう。「食べるために作ってきたのに,観賞もできるなんて」と笑顔の花も咲かせた。平成28年8月1日(月)/南日本新聞
トイモガラとキュウリの酢みそあえ
トイモガラはハスイモの芋茎。『さつま料理歳時記』(昭和48年刊/石神千代乃著)には,①朝日の上がらないうちに採取を(陽に当たるとえぐみが出る)②芯を3本残せ(成長が途切れぬように)③白かもん(白い衣服)を着て採るな(切り口から出る汁でシミになる)―と記されている。シャキシャキした歯触りも楽しい。キュウリも加え酢みそであえた。
〈材料〉 4人分トイモガラ150㌘,塩小さじ1/2,キュウリ150㌘,塩小さじ1/2,酢みそ(麦みそ大さじ2,酢・砂糖各大さじ1)
〈作り方〉①トイモガラは皮をむき,3~4㍉厚さに,キュウリは2~3㍉厚さに切り,それぞれ塩でもみ,しんなりしたら水洗いし水気を絞る。②酢みそを合わせ①とあえる。令和3年7月3日 南日本新聞『かごしま食歳時記』
参考図書:『さつま料理歳時記』(昭和43年/石神千代乃箸・金海堂),『やさい畑』(2013年夏号)
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タマネギ
10月末に購入した苗を植付けたタマネギが収穫の時期を迎え,3月末からみずみずしい「新タマネギ」がサラダとして食卓を飾るようになりました。
タマネギの種を購入し,種から蒔いて植付けたこともありましたが,太さが不ぞろいな苗しか育苗できませんでしたので,近年は苗を購入し植付けています。
タマネギは,植付け時期の苗選びで成功の半分が決まると言われています。良い苗とは,直径7~8㍉,長さが25~30㌢程度で,これよりも大きくても小さすぎても育たない(根元が1.5㌢以上だと,冬の寒さで花芽文化を起こし春先のとう立ちに関係し,太さが3㍉程度の細いものは,とう立ちはしないものの,寒さで発育不良や霜柱で浮いて枯れる場合がある)とお書物にありましたので,鉛筆くらいの苗を数店舗周り選び,連作を嫌いますので昨年植付けた場所とは違う圃場に,酸性土壌は不適なため苦土石灰を散布しpHを6.3~7に調整し,たっぷりの堆肥と化成肥料と熔リン剤(元肥として)を施した60㌢幅の畝を,穴あきの黒マルチ(株間・条間とも15㌢で穴の大きさが45㍉で5列の穴あきのものを3列使用で)を敷いて植付けました。
マルチ栽培のメリットは,雨による養分流出の軽減と,株間・条間とも狭くて済むことに加え,除草の手間が省ける点があります。追肥が遅れると熟期が遅れ,貯蔵中に腐敗の原因となりますので収穫の2か月前までには施肥を済ませるよう留意する必要がありますので,1月末までに。
葉菜類に分類されるユリ科のタマネギの原産地は,中央アジアや近東で,栽培の歴史は古く,紀元前には,エジプトや地中海沿岸で栽培されており,古代エジプトのお墓の壁画には,ピラミッド建設労働者の食べた食物の記録の中に,ニンジン・ダイコンの量と一緒に記録が残っており,またミイラを作る際には防腐のためミイラの周りに入れられたりと,大古の昔から薬や魔除けとして珍重されてきた野菜で,わが国には,江戸時代に南蛮船で長崎に渡来し,明治になって米国から扁平で辛いタマネギが入ってき,食卓の洋食化に伴い需要が伸びてき,今では日本人(戦時中は貯蔵がきいて栄養が豊富なため軍用品として統制された時代も)の年間野菜購入ランキングでは,キャベツに次いで堂々の第2位。生鮮野菜の輸入量では一番多い野菜となり,家庭料理に欠かせない野菜となっています。
■知っておきたい効用
タマネギは,予防医学の観点から,ここ数年で特に注目を浴びている野菜です。有効成分としてよく知られているのは,鼻や目にツンとした刺激を与える香味成分の硫化アリル。その一種のアリシンが体内でビタミンB1と結合しアリチアミンになると,吸収が高まります。
ビタミンB1は代謝や神経機能の働きを正常に保つ役割をもつので,不足すると疲労が溜まり,食欲不振やイライラの原因に。
また,硫化アリルそのものにも胃の働きを活発にしたり,含有するポリフェノールにも血液をサラサラにして悪玉コレステロールの上昇を抑える,血液凝固を遅らせるといった有益な作用があり,動脈硬化の予防や抗がん作用でも注目されています。民間療法では,古くから抗菌・消炎・鎮静作用をもつ薬草として,広く利用されてきた歴史があります。(動脈硬化の予防,コレストロールの上昇抑制,糖尿病の症状改善,疲労回復)
◆調理との組み合わせのコツ
タマネギの有効成分である硫化アリルは,水に溶けやすい性質をもっています。サラダなどで生のまま食べるときに,香りや辛味が強すぎるときは,水にさらすことで刺激を弱めることができますが,逆にさらし過ぎると,硫化アリルが失われてしまうので注意が必要です。
また,切ったり刻んだりした後,空気に触れさせるにつれて薬効成分が増加するので,加熱調理の場合は切ってからすぐではなく,しばらく時間を置いてから使うようにするとよいでしょう。
●収穫の4~5日前に根切りし,生育を止めて鱗茎を充実させます。晴天の日に株を引き抜いて収穫しますが,抜き取った後,2~3日は畑に放置して乾燥を促進すると,収穫後に発生する乾腐病や軟腐病による腐敗球が少なくなります。
タマネギは切り方で味が変わる ─横に切ると細胞が壊れ辛みが外に出る/縦に切ると細胞があまり壊れない─
現在,息子の不祥事によりテレビへの出演が減ってはいます,司会者のみのもんたがテレビの中で「タマネギの効用」を紹介したことから,我が家の食卓にも3月から大きくなった新タマネギを順次収穫したものが,スライスして頻繁に食卓に供されるようになりました。
しかし,タマネギを切ると涙が出ると言われていますが,涙をこらえながらタマネギを切るのは大変ですよね。タマネギを涙して切らない工夫はあるのでしょうか。
タマネギの刺激物質であるアリシンは温度が低いと揮発しにくい特徴があり,切る直前に冷蔵庫に入れて冷やしておけば揮発性物質の発生を抑えることができます。さらに,このアリシンは熱に弱く,加熱すると分解するので,電子レンジで少し加熱してから,タマネギを切るのも一つの方法です。
なお,生のまま調理する際,縦切りにする場合と,横切りにする場合とでは,涙の出かたが違います。実は横切りにしたほうが,涙が出やすいのです。横切りすると細胞が切られ壊れて刺激物質がたくさん出てきてしまうのです。もっとも,横切りにすると細胞が壊れるので歯ざわりが柔らかくなります。また,横切りにしたタマネギを水にさらすことによって,辛味成分が水に溶け出して,辛味がなくなります。そのため,タマネギをサラダにする時には横切りにする方が適しています。さらに,できるだけ細かく切って細胞を壊すと,辛味がなくなります。
また,炒め物として調理する時は,縦に切ります。横に切ると細胞が壊れて細胞内の成分が染み出してしまいます。そのため,縦切りにして,できるだけ細胞を壊さずにして,噛んだときに細胞が壊れて味が出るようにした方がおいしくなるのです。出典:稲垣栄洋著『トマトはどうして赤いのか?─身近な野菜を科学する』東京堂出版)
※『現代農業』2017年1月号・「あっちの話」に タマネギが霜で浮いたら足で踏むという投稿が紹介されていました。
長野県佐久穂町大石地区は標高1,000㍍の山間地。雪は少ない集落ですが、冬はマイナス15度になる日もあります。秋に植えたタマネギは、霜で浮き上がって根がむき出しになり、その後の生長が遅くなったり、枯れてしまったりするそうです。
「霜対策にはタマネギ踏みが一番」というのは、野沢菜と自家用タマネギなどをつくる島崎規子さん。12月と2月の2回、追肥をしながら霜で浮いたタマネギの株元を足で踏んで歩くのだそうです。すると、浮き上がった根が土の中に戻り、その後の生育も順調にいくといいます。
島崎さんがタマネギ踏みを始めたのは今から15年前。根がむき出しになって枯れるタマネギが多く悩んでいたところ、近所の農家が「この地域では昔から、冬にタマネギ踏みをするものだ」と教えてくれたのがきっかけ。以来、毎年欠かさずやっているそうです。 (私の近所では,もみ殻を根株元に播いて霜対策を講じているのを散見しますが,もみ殻は寒風で飛散しますが,足で霜で浮いた株元を踏む方法が楽ですよね!)
みずみずしく甘い新タマネギ=春一番が吹き,梅の花もちらほらと咲き始め,春の兆しを感じます。今回は,今の時季から旬を迎える「新タマネギ」を紹介します。中央アジア原産で日本では明治時代以降,本格的に栽培されてきたタマネギ。表皮を乾燥させて保存性を高めた黄タマネギに対し,収穫後すぐ出荷される新タマネギは,水分が豊富で甘みが強いのが特長です。主な栄養素は辛味成分の硫化アリルの一種アリシン。血液をサラサラにする作用があり,血栓や高血圧の予防,抗酸化作用による動脈硬化,がん予防が期待できます。辛味が少ないので,サラダなど生食をお勧めします。傷がなく,硬く締まって,ずっしりと重いものを選ぶと良いでしょう。袋に入れて冷蔵庫で保存すると良いですが,傷みやすいのでなるべく早めにお召し上がりください。この時季限定の新タマネギをどうぞご賞味ください。(平成29年3月1日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
生食で多様な効能=みずみずしく,辛味が少なく,独特な甘味がある新タマネギは,春限定の味覚です。一般的なタマネギと違い乾燥処理をせず,収穫後すぐに出荷されます。免疫力を高め,血液をサラサラにし,ビタミンB1の吸収を促進し疲労回復を助けるなど,多様な効能を持つ硫化アリルを豊富に含みます。水に流出しやすく熱に弱いので,これらの効能を引き出すには生食が一番適しています。今が旬のカツオのたたきや刺し身に載せて食べると,春の気配をより感じられます。ビタミンB1が多い豚肉やハムと合わせたサラダや,血栓を溶かす成分を含む納豆に刻んで入れて食べると,効能をさらに高めることができます。表面につやがあり,堅く締まり,ずっしり重みがあるものがお薦めです。新鮮さが売りなので早めに食べ切るようにしましょう。(平成30年3月21日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
疲労回復にタマネギ=新タマネギはみずみずしく,辛みが少なく,独特な甘みがあります。一般的なタマネギと違い,乾燥処理をせず,収穫後はすぐに出荷されます。タマネギは「硫化アリル」を豊富に含んでいます。免疫力を高め,血液をさらさらにし,ビタミンB1の吸収を促進し,疲労回復を助けるといった多様な効能を持つ成分です。水に流出しやすく熟に弱いため,生食がお薦めです。ビタミンB1が多く含まれている豚肉などと合わせたサラダや,血栓を溶かす成分がある納豆に刻んで入れると,さらに効能を高めることができます。表面に艶があり,堅く締まり,ずっしり重みがあるものを選びましょう。新鮮さが売りなので,早めに食べ切ってください。保存する際は,ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れましょう。(平成31年2月27日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
春限定の甘い新タマネギ=新タマネギは一般的なタマネギと違い,乾燥処理をせず,収穫後すぐに出荷されます。独特な甘みがある春限定の味覚です。葉付きで収穫されたものは,タマネギと青ネギの両方のおいしさを楽しむことができます。免疫力を高めるとされる硫化アリルを豊富に含みます。血液をサラサラにし,ビタミンB1の吸収を促進して疲労回復を助けるなど,多様な効能を持つといわれます。辛みが少なく,甘みが強いため,スライスしてサラダなどで食べるのにぴったり。丸ごと蒸してポン酢やしょうゆをかければ,軟らかさと甘みを味わうことができます。表面がきれいで,堅く締まりがあり,ずっしりと重みを感じるものがお薦めです。葉付きの場合は,葉がまだ青々としているものを選びましょう。新鮮さが売りのため,早く食べきってください。(令和3年3月17日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
新タマネギはサラダに=タマネギは春に種をまいて秋に収穫するものと,秋にまいて春から初夏にかけて収穫するものがあります。通常は,収穫後1カ月ほど乾燥させてから出荷されます。新タマネギは3~4月ごろ,温暇な地域で収穫後すぐに出荷されるものの総称です。みずみずしくて柔らかく,辛みが少ないのが特徴です。切ると涙が出るのは,硫化アリルやアリシンという辛み物質の刺激によるものです。抗がん作用や血液をサラサラにする働きがあると言われます。切った後に水にさらさず,そのまま食べると効率よく摂取できます。繊維に対して直角に切ると甘みが増すようです。茎の部分が細くて,ずっしりとした低重心型がおいしいとされています。新タマネギはサラダ,野菜妙めで食べるのがお薦めです。ぜひ,今の時期の新タマネギを楽しんでください。(令和4年3月23日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
加熱で甘み増す新タマネギ=新タマネギは一般的なタマネギと違い、乾燥処理をせず、収穫後すぐに出荷されます。独特な甘みがあり、3~5月に旬を迎える春限定の味覚です。免疫力を高めるとされる硫化アリルを豊富に含みます。血液をサラサラにし、ビタミンB1の吸収を促進して疲労回復を助けるなど、多様な効能を持つといわれます。涙を出させる成分としても知られています。辛みが少なく、甘みが強いので生のままでも食べやすく、スライスしてサラダなどにぴったりです。火を通すとさらに甘みが増してくるので、スープに使用したり、丸ごと蒸してポン酢やしょうゆをかけて食べたりしても、おいしくいただけます。表面がきれいで、堅く締まけがあり、ずっしりと重みを感じるものを選びましょう。新鮮さが売りのため、購入後は早く食べきってください。(令和5年3月22日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
生でも食べやすい新タマネギ=新タマネギは収穫後に乾燥させず、すぐに出荷されるため、みずみずしくて辛みが少ないのが特長です。3~5月に旬を迎える春限定の味覚です。硫化アリルが豊富で、血液をサラサラにする効果や免疫力を高めて風邪を予防する効果があります。便秘や肌荒れを予防するオリゴ糖や血圧を下げる働きがあるカリウムも含んでいます。きれいな丸みがあって傷が少なく、重みを感じるものを選びましょう。上の部分が柔らかいものは、中が傷んでいる可能性があります。上の部分が小さく引き締まっているものがおいしい証しです。水分が多いため、あまり日持ちしません、。ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存し、2~3日で食べきりましょう。生のままでも食べやすく、サラダにぴったりです。火を通すと甘みが増し、妙め物やスープの具材でもおいしくいただけます。ぜひお楽しみください。(令和6年3月6日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
●タマネギの品種紹介
種苗カタログには,各種のタマネギが紹介されています。タマネギの品種を色で分類して紹介します。
なお,色と早晩生にはある程度のかかわりがあり,白色系はほとんどが早生(わせ)品種ですが,黄色系と赤紫系は,早生から晩生(おくて)までの様々な品種が。今秋のタマネギ植付け(種・苗購入時の)参考に。家庭菜園向けには,栽培期間の短い早生品種か貯蔵性をお求めなら中晩生(なかおくて)か晩生がお勧めとありました。
黄色系 |
学問的には「黄皮系」と分類され,生産・流通の主流です。特有の辛さは,加熱すると甘味に変わります。 |
極早生(若丸・濱の宝・貴錦),早生(ハッピー501,錦毬),中生(アトン・O・K黄・ヒーロー・ターボ),中晩生(キーパー・ネオアース),晩生(ラッキー) |
白色系 |
水分が多くみずみずしい辛みが特徴。保存が利かないので,早めに食べきります。 |
超極早生(杏仁丸・春一番),極早生(スーパーリニア・チャージ・マッハ),早生(ソニック) |
赤紫系 |
鮮やかな赤紫色で生食向き。シャキシャキとした歯ごたえと甘みを楽しんでください。 |
極早生(アーリーレッド鈴平),早生(紅秀玉丸),中晩生(ルージュ・フレッシュレッド・赤玉の極み・猩々赤) |
※南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』(平成23年8月号)の「菜園くらぶ」に『生食でもおいしく,加熱すると甘みが増す タマネギ』が掲載されていましたす。
※遅霜を気にしながら畑では,平成24年の春野菜の植付け準備に精出す中,本屋で購入した『やさい畑』(家の光協会)の2012年春号は,創刊10周年記念号となっていたが,この中の「旬をいただく畑薬膳」に食養研究家・武鈴子氏監修でタマネギの葉・外皮・鱗茎・新芽の優れた薬効=生活習慣病を撃退する救世主で薬効を効率的に摂取するには生で食するのが一番の記事が掲載されていました。
平成24年5月に収穫したタマネギは,前年同様に良い苗に当たり(苗の当たり外れを防ぐため2店の種苗店から早生種を別々に購入),左の写真のように肥大したものが多く,ネットに入れ車庫内に吊るして保存。
平成25年のタマネギは,昨年11月1日に,購入苗を堆肥+溶リン剤をすき込んだ畑に穴あき黒マルチに植付けていたのを,4月からボチボチ生長したのを抜き取り収穫。上天気が続いたGW初日の4月27日に半日がかりで完全収穫しました。昨秋購入の苗も良い苗に当たったようで,未熟球はたったの13個(3%)だけ。8~9㎝球が中心でしたが大きいのは14㎝球も混ざっていました。昨年の反省から,収穫早々にネット網に吊るして保存する前に,朝コンテナから出しては庭先にひろげ,夕方にはしまうという自然日干し作業を1週間以上繰り返し,ネットの中で腐らないようにとの作業を行っており,食卓には新鮮なタマネギをスライスした一皿が毎日出され,美味しく頂いています。
なお,『現代農業』(平成24年7月号)の「ちょっといい話」に,タマネギの腐りを予防する方法=乾かしたタマネギの根を切ったお尻の部分を食酢を染み込ませた布で拭いて吊るして保存すれば,貯蔵期間が2カ月ぐらい伸びて,夏場も腐らなくなり,10月まで食べ続けることができたとの記載があり,今年は食酢を塗ってタマネギの腐敗防止策を早速実践し,腐敗予防に各家庭の台所にある食酢が効果のあることを確認いたしました。(右写真)
また,『野菜だより』(2018年新春号)の記事に,「収穫の1週間前に一鍬挿して“根切り”をしておくと,葉と鱗茎の間の養水分の行き来が絶たれ,保存性が良くなる」がありましたので,平成30年の収穫前には一鍬挿しを是非試した上で収穫をと考えています。
ロードマン農場のタマネギ苗植付・収穫記=28年初夏+28年初冬
平成28年は,苗植え付け2週間前に植え付け予定ほ場に苦土石灰を散布し,管理機で耕うん透き込み,1週間前には植え付けほ場に牛糞堆肥と化成肥料・溶燐剤を施し再度耕うんし,保温・除草・保肥目的で穴空き黒マルチで畝を覆い,穴の数を数え(5×51列×2畝)必要な苗の本数を把握,さて種苗店で苗を購入しようとした段階で,台風の影響でタマネギ苗生産地の宮崎県の苗が出荷前に全滅し,熊本からの苗しか入荷してこないことを知り,慌てて予約を入れ,今年は昨年よりも3日遅い11月3日(木)に,向田・大小路の2店舗の種苗店で買い求め植え付けることができました。その後,種苗店等の店頭には,「タマネギ苗の入荷予定はありません」・「予約は受けられません」との表示を数多く見受けました。
なお,各種お書物にも記されていますが,タマネギの上手な栽培にはいくつかのポイントがあります。
まず一番大事なことは,よい苗を選ぶこと。これが最重要です。選択ポイントは根元の白い部分です。ここが細すぎても太すぎてもいけません。細いと生育不良になりやすく,太いと,とう立ちしやすいためです。鉛筆くらいの太さが適当です。だからタナネギ苗を買い求める際は,種苗店を数店見て回り,人が買い求めているからではなく,以上の良い苗を見つけてから買い求めるようにしましょう。
次に植え付けの深さもポイントです。根元の白い部分が半分くらい土に埋まる2㌢程の深さです。緑の葉が分岐しているところが成長点なので,そこまで深く埋めてしまうとうまく育ちません。
苗の間隔は15㌢程度。密植でよく育つのはタマネギの特徴です。冬の寒さで霜柱が立ち,苗が持ちあげられてしまったら,手で根元の土を抑え込み根が士から出ないようにしてください。マルチ植えでない畑では藁や籾殻を根元に散布して防寒対策をするとよいでしょう。
タマネギは生育期闇が長いので,2月頃に一度根元に軽く化成肥料を追肥として施します。この追肥の時期が遅れまると徒長(とう立ち)してしまうので注意を。初夏になり大きく育ったタマネギは,生育期間5カ月半程で葉が倒れてきますので,そうなったら収穫期のサインです。晴れて土が乾いた日を選んで(4月中~下旬)掘り上げましょう。わがこざ園での平成27年のタマネギ収穫は,お天気に恵まれた4月11日(土)の午前中に,穴開き黒マルチの穴の径以上に生長したのをマルチを破って堀り上げ,お天道様に6時間程当てた後,庭先で葉と根を鎌で切り取り,防腐作用のあるという食酢を根を切り取った球に浸けてコンテナに収容しました。また,刈り取った葉は,その独特な匂いから虫除け効果があることが期待できると読んだ記憶から,ピーマン・ズッキーニの苗周りに置きました。
平成28年の収穫は,大きな災害が発生している「熊本地震」の発生をはさむ4月12日と17日の2日間にまたがり収穫しました。なお,南さつま市金峰町の「木の花館」で販売されていた2生産者の苗(@680円/100本)を4括り買い求め,11月2日に穴空き黒マルチ畝に植え付けましたが,収穫時の球は不揃いが多く,大きな球の収穫は全体の四分の三でした。
平成30年(2018)春に収穫した黄色系のタマネギ400本は,規格外の小さな球を除くと生長・収穫率は92%という結果に。購入した苗を平成29年11月3日に,1週間前に溶燐剤・牛糞堆肥・化成肥料・草木灰をほ場に鋤き込み,5穴の穴開き黒マルチで覆い,穴の数を数え購入苗の本数を確認した上で苗を植え付けました。
『やさい畑』(2017年冬号)に「踏みつけ栽培」=茎や葉の刺激により球が充実し,収穫後の保存が伸びるが紹介されており,初の挑戦として2畝の内1畝だけを,生育中期と後期の2回,株を踏みつけると紹介されていました,初挑戦の今年は1月下旬に根元を,紹介文では藁草履でとありましたが,藁草履が手元に無いため,ツッカケを両手に持って1回だけを優しく踏みつけ栽培に挑戦。踏みつけられ横倒しになった株は,3日もしたら元に起き上っていました。収穫20日程前に2回目の踏みつけで,葉を折って根から吸い上げる養分を球に集中させるるは,逆に球に傷を着けそうで今回はパスしました。(試行結果=踏み倒さなかった畝のタマネギに比べ,全体的に球が小さい。踏みつけ栽培のほうが味が若干甘くなると紹介されていましたが,収穫後の袋詰めの際に混ざってしまい,味の違いの確認はできませんでした)
苗を定植してから5か月後の4月4日には,「新タマネギ」として収穫し,食卓を飾るように。完全に葉が倒れ収穫の時期を迎えた中,掘り上げ後の天日干しの天候を確認し,同19日には,穴開き黒マルチ畝から引き抜き,2日間畝の上で天日干しした後,夏日の気温の27.8℃まで上がった同21日に,葉とひげ根を鎌で切り落とし,切断面に収穫後の長期保存効果がある食酢を浸け,冬場食べたミカンの入っていた橙色のネットに入れ,倉庫内に吊るして保存することができました。
なお,同時に苗を植え付けた赤紫系50本は,黄色系収穫から2週間後の5月3日に収穫できた。
※タキイ植彩館メールマガジン平成30年9月4日配信に「よくある失敗を未然に防ぐ タマネギを上手に作るコツ」がありました。
参考図書:『野菜栽培/栽培収集編(根茎菜)』(日本園芸協会),『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『旬の野菜の栄養辞典』(エクスナレッジ),『これで失敗しない家庭菜園Q&A』(家の光協会),『NHK 趣味の園芸ビギナーズ&やさいの時間』(2009年11月号),『現代農業』(平成26年5月号特集「タマネギに感涙」),『蘇先生の家庭薬膳 にんにくと玉葱の本』(農文協),『野菜だより』(2017年冬号・2018年新春号),『家庭菜園レベルアップ教室葉菜3』(農文協)
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たけんこ(たけのこ)
3月上旬~4月上旬は,孟宗竹の子を大鍋でゆでたものを酢味噌や煮しめで食する“たけんこ”。竹の産地である本地域にあっては,幼き頃の子供達のはやし歌に「たけんこ酢味噌丸めてうっせ♪…」とあり,孟宗竹の子が過ぎた5月になると,他人様の山も我が山として山学校のついでに“こさんだけ”(ホテイチク)を取りに出かけ,みそ汁の具や煮しめ用にと,春山~初夏山の贈り物として,ご近所さんが裏山から掘り出し「何もなかんどん,たけんこを持って行かんけ―?」として,買い求める野菜ではなく,自宅の裏に山を持つご近所さんから,頂く野菜として食しており,今朝は近所のI兄ょが,奥さんの実家の麦之浦産の“ハチク”を「いぃケー」として,皮の剥き方まで指南して届けてもらったし,今日の午後には,水引の従兄の嫁さんが,街に買い物に出て来たついでにと“真竹”を玄関口まで届けてくれ,エンドウ豆や干しダイコンと一緒に夕食には煮しめに。多く頂いた時は,皮を剥いて干したり塩漬けに。(外皮を剥けば食する部分は,少々になります) このように頂き物のたけんこの中で,北薩では採れないたけんこで“だいみょうたけ”があり,5月末~6月になると南薩に出かけた際には,農家直販所でたけんこの中でも一味違うだいみょうたけだけは,お金を出して買い求めています。
なお,孟宗竹の子の皮は,5月の節句の際に,木灰に漬けたもち米を包んで煮る郷土料理“あくまき(ちまき)”の包装資材として利用され,店頭で販売されています。
また,新鮮なたけんこは,平成24年4月10日放映のNHK『あさイチ』の中で“旬のスゴ技 今日からあなたも!たけのこ達人”でも紹介されていましたが,穂先が黄色で,根元とイボイボが茶褐色でなく白い色なのが見極めのポイントです。
農作業中,腰のベルト袋に入れ聞いていたMBCラジオから,鹿児島では,「出目子さんから発っちんもそ」(デメ・コサン・カラ・ハッチン・モソ)と言って,母からたけのこの美味しい順番を教えられていましたよね!とのリスナーからの情報が。デメ=①大名竹 コサン=②こさん竹 カラ=③唐竹(真竹) モソ=④孟宗竹の順を詠んだ語呂合わせで,標準語に訳してと言われても難解である。
『さつま料理歳時記』(石神千代乃著)には,「モソダケンコ」として,鹿児島のたけのこ料理法に関し次のように紹介されていました。
冬野菜の主役,大根が品うすになる頃には,鹿児島ではモソダケンコ(こうなんちく)がそれに代わる。
土をもち上げて,頭だけ出している竹の子の脇をかき分けて,カクツと打ち込むヤマングヮの音のよさ,土のついたままで庭先に引きずり,キュツキュツと水々しい皮をはぐと,釜の湯はもうグラグラ煮立っている。
煮しめもタケンコ,お汁もタケンコ,おあえも,いいたくいも,タケンコで,うんざりさせられたのは昔のことで,最近は,色々の野菜が多く作られるせいか,ほどほどの調和をみせている。おかげで,「木の芽立さあ」(若葉の芽だつ頃になると発狂した人)とか,はなやかなニキビ顔や古傷のもり返りの腫物になやむ人等,あまりお目にかからない。
取りたての竹の子は,一刻も早く,米のとぎ汁などでゆでて水につけ,アク抜きしておくことが先決である。
竹の子は,それ自体が,個性的な味わいを持っているので,合性を選ぶ。例えば煮合わせの場合,海草類とか,かつお節,干し野菜等とはよく合っても,魚や,肉類とは合わない。他の物に味を与えることはしても,他から味を貰えない。だし無しか,削り節だしくらいで煮しめると,最も竹の子らしい味わいが出せる。
太い部分などは1~2㌢厚さくらいに切って,うす味に煮しめておけば,どのようにでも使える。ころもをつけて天ぷらによし,金網にのせてちょいと焼き木の芽みそをぬってもよし,茶碗むしに入れるにも都合がよい。細かく切って,炊きたてのご飯にまぜ,塩ゆでのグリンピースでもあしらえば,すぐにおいしい竹の子飯となる。
中華料理式にそれぞれのものを一旦油炒めにし,表面をしめ,味止めしてから煮合わせるなら,肉類と一緒でも問題はない。
最盛期ともなれば,どこの家でも竹の子の煮しめがイロリにかけた大鍋に,クックッ煮えたぎっていた。竹林の多い山間部では,ありあまる竹の子を大きな樽に塩漬けにして蓄える。大きなものは,やや上部の軟かい部分をたて二つ割にし,セイロに入れてポッと一蒸し,冷して,たくさんの塩と重石で漬けこむ。夏頃になってから使うのも,また珍しがられるもので,缶詰のものより,竹の子の味が失われないようである。
■知っておきたい効用
旬を感じる代表的な春の野菜。生のたけのこが出回るのは,3月末頃から5月初旬にかけての,ごく限られた時期。主に孟宗竹の地下茎から伸びた幼い茎の部分を食用とするもので,「朝掘り」と呼ばれる新鮮で掘りたてのたけのこは生食もできます。
ビタミン類は少なめですが,カリウムやマンガンなどのミネラル,食物繊維の供給源となります。ただし,アスパラガスと同様に旨味成分のアスパラギン酸を多く含んでおり,これが体の代謝を高め,疲労回復やスタミナ増強に効果をもつといわれています。
独特のえぐみはシュウ酸,ホモゲンチジン酸と呼ばれる成分によるもので,掘ったあとは増加していきます。これらはカルシウムの吸収を悪くさせて,結石の原因となることもあるため,アク抜きをしてから調理する必要があります。(高血圧の予防・改善,丈夫な骨の形成,便秘の予防・改善,疲労回復)
◆調理との組み合わせのコツ
掘りたてはえぐみが少ないですが,アク抜きは次のように行います。穂先の部分を斜めに切り落とし,皮に縦の切れ目を入れて,米ぬかと赤唐辛子,又は重曹を溶かした湯で皮ごとゆでます。部位によってやわらかさに差があるので,料理法に応じて使い分けましょう。穂先や姫皮は和え物や薄味の「若竹煮」,吸い物に。中間は最も調理法が多い部分で,炊き込みご飯や天ぷらにできます。根元の固い部分は細切りにすると,煮物や中華風の妙め物に向いています。
※毎週日曜日のお昼12時から1107MhzMBCラジオ番組の中で,郷土出身の桂竹丸師匠が司会を務める『たけまる商店営業中!』の中で,次週の「お題」を出して視聴者からウイットの効いた投稿を求めている『日曜なぞかけ』という15分番組がありますが,平成25年4月14日(日)放送のお題は,『たけのこ』で
<竹丸賞>には,
「たけのこ」とかけて,「戦隊ヒーローが敵に負けたとき」ととく/そのココロは「アク(悪)が強いとまずいです!」
<よねちゃん賞>には,
「たけのこ」とかけて,「ドラえもん」ととく/そのココロは「のび太くーん,はい,タケンコプタァー」
<その他の作品>としては,
「たけのこ」とかけて,「蜂が刺した」ととく/そのココロは「…チクリンッ!!(竹林)」
「たけのこ」とかけて,「時代劇にはまっている人」ととく/そのココロは「孟宗(妄想)が過ぎると,大名になるでしょう!!」
「たけのこ」とかけて,「ゴダイゴ」ととく/そのココロは「タケんカワ,ムキ・ユデ!!(ユキヒデ)」
が選ばれ,農作業中一人畑の中で素晴らしい鹿児島県民の投稿に自然と笑みがこぼれてしまっていました。なお,平成25年はたけのこは裏年でした。
※平成26年4月8日の南日本新聞『かごしま元気食彩』に管理栄養士の長友ゆかりさんが,
鹿児島は竹林がとても多く,タケノコの生産量は日本一で,種類も豊富です。郷士料理には、豚骨煮や酒ずしなど、タケノコが欠かせないものも多く,鹿児島にとって大切な食材といえます。
「とってきたその日のうちに食べろ」と言われるほど鮮度が重要で,時間がたつほどあくが増えます。すぐゆでるようにしましょう。
タケノコを切ると節の間に白い小さな塊がありますが,アミノ酸の一種のチロシンという精神作用に有用な成分ですから、洗い流さず使いましょう。食物繊維やカリウムも豊富です。……とタケノコの美味しい料理法を紹介されていました。
※平成30年も3月末以降,下東郷・麦之浦・草道・山崎から「もらって!」と届けられた孟宗竹の筍を,調理主任のXは,届けられたその日のうちに,先ず玄関先で包丁の刃を軽くあて切れ目を着けて竹皮を剥ぎ,続いて包丁で下の硬いカ所を切り落とし,今度は上からバッサリと二等分し,台所のガスコンロにかけた煮えたぎったお湯(米ぬかやお米を一緒に入れて)で茹でるというアク抜きを施し,翌日には「今日の筍料理は〇〇さんから頂いた●●産の筍の」と産地を告げ食卓に供しています。
旬のタケノコ楽しんで=春の柔らかい日ざしが心地良い季節となりました。青果市場には,タケノコ,ツワブキ,春キャベツ等のみずみずしい野菜が入荷し,売り場には春があふれています。春を待ちかねていたように大地を割って出てくるタケノコは,見た目通り食物繊維を豊富に含み,コレステロールの吸収の抑制に効果的だといわれています。一般に出回っているタケノコは,孟宗竹(モウソウチク)という大型のタケノコです。タケノコの穂先の部分は軟らかい半面,あくによる苦味があります。ぬかを入れて皮ごとゆでるとあくが抜けます。ゆでた後,薄くスライスし,わさびじょうゆで刺し身風にするとおいしくいただけます。また,中央部は煮物に,硬い根元のほうはすりおろして揚げ物などの料理に,使い分けるのもいいのではないでしょうか。(平成24年4月11日(水)/南日本新聞「かごしま 食べごろ」から
栄養豊富で低カロリー=今週は,春の訪れを告げるといわれる「タケノコ」を招介します。ほんのりとした甘みに独特な歯応えを持つのが特長です。「竹の子の親まさり」という諺があるように,成長が早く,鮮度が落ちるのも早いため,早くゆでることが大事です。ゆでたタケノコは水につけるか,湿った新聞紙やさらしに包んだ後,冷蔵庫で保存して早めに使い切りましょう。主な栄養素は現代人に不足しがちなタンパク質で,グルタミン酸やアスパラギン酸など,うま味成分のアミノ酸は疲労回復にも効果があります。食物繊維やビタミン類など栄養豊富でありながら,低カロリーでヘルシーなのが特長です。他の野菜や肉,卵とも相性が良いので調理方法はさまざまですが,柔らかい穂先はお吸い物やあえ物,中央は煮物や妙め物など部位によって使い分けると,より味わい深く旬の味を楽しめるでしょう。(平成29年3月22日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
春の味覚タケノコ=春の味覚の代表,タケノコ(モウソウ竹)。モウソウ竹は中国・江南地方が原産で,1740年ごろ琉球に入り,薩摩へ伝わったといわれています。若い芽の部分がタケノコです。高血圧や生活習慣病の予防に効果が期待できるカリウムや,便秘予防の効果も期待される不溶性食物繊維などを豊富に含みます。選ぶポイントは,穂先が黄色から薄黄緑色で,ずんぐりした形で重みがあり,皮がツヤツヤしていること。根元のイボが薄く,皮や切り口のみずみずしいものもよいでしょう。タケノコは時間がたつごとにえぐみが増しますので,すぐにあく抜きして早めに使い切りましょう。食感は柔らかくて風味も良く,タケノコご飯や煮物,妙め物,焼き物などさまざまな料理で楽しめます。ご家庭で風味豊かな春の味覚を楽しんでみてはいかが。(平成30年4月4日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
春告げるタケノコ=春の訪れを告げる味覚とされるタケノコ。これからの時季はモウソウチクが旬を迎え,市場に多く出回ります。タケノコは,高血圧の予防に効果が期待できるカリウムや整腸作用のある食物繊維を豊富に含み,低カロリーでヘルシーな食材です。切ったときに見られる白い粉のようなものは,アミノ酸の一種「チロシン」で,脳を活性化させる作用があると言われています。穂先が黄色く,ずんぐりとした形で重みがあり,切り口のみずみずしいものを選びましょう。時間がたつほどえぐみが増すので,すぐあく抜きをしましょう。部位によって硬さが異なります。根元は硬いので薄切りに,中心部は煮物や妙め物に,軟らかい穂先は汁物やあえ物などと使い分けると,より一層おいしくいただけます。(平成31年3月27日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
※新元号「令和」が発表され,平成も最後の月となった平成31年4月10日(水)のNHKTV『ためしてガッテン』で『激あま!シャキシャキ!魅惑のたけのこ新世界』が放送され,春山からの幸筍のあく抜きの裏ワザ・大根おろし法が紹介され,あく抜きに米ぬか以外の方法があることを学びました。
高血圧予防にタケノコ=春の訪れを告げるといわれるタケノコ。掘りたては生で食べられますが,通常は下ゆでが必要です。ゆでる際は,皮付きのまま先端を大きく斜めに切り,皮の部分に縦に切り込みを入れます。それからぬかと一緒に鍋に入れ,ゆでます。沸騰したら弱火にして,根元に串が通ったら火を止めます。ゆで湯ごと冷ました後,水に浸せば,冷蔵庫で1週間ほど保存できます。カリウムを多く含んでいるため,塩分の排出を促し,高血圧予防が期待できます。不溶性食物繊維のセルロースも豊富なことから,便秘や大腸がんの予防にも効果的です。穂先が黄色で形がよく,ずっしりとしたものを選びましょう。大地を割って元気に出てきたタケノコを食べて,新年度の門出を元気に踏み出しましょう。(令和2年4月1日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
春の訪れ告げるタケノコ=春の訪れを感じさせるタケノコ。これからの時季は,独特の甘みを含んだ上品な味わいと歯ごたえを持つ「モウソウチク」が旬を迎えます。腸内環境を整える食物繊維が豊富で,コレステロールの吸収を抑える働きや塩分の排出を促すカリウムも多く含み,動脈硬化や高血圧予防に効果が期待できます。ずっしりとして,皮が淡黄色でつやがあり,穂先が開いていないものを選びましょう。切り口は白くみずみずしく,根元はいぼが少なく,赤い斑点のないものがよいでしょう。時間がたつにつれてえぐみが増すので,購入後はなるべく早く下ゆでしましょう。すぐ使わないなら,水に浸して冷蔵します。毎日水を替えれば5日ほど保存できます。穂先は汁物やあえ物,中心部は煮物,妙め物,天ぷらがおすすめ。硬めの根元は炊き込みご飯にしてもおいしくいただけます。(令和4年3月30日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
食物繊維豊富なタケノコ=タケノコは春の訪れを感じさせてくれます。成長が早いので油断していると竹になってしまいます。一般的なモウソウダケのタケノコは、これから5月にかけてが旬です。福岡、鹿児島、熊本の3県で全国の約6割を生産しています。モケソウダケのほかにも真竹、淡竹などがあります。独特の香りと味、歯ごたえは煮ても焼いても楽しめます。食物繊維が豊富なので腸内環境を整えてくれるほか、カリウムを多く含んでいて動脈硬化や高血圧の予防が期待できます。穂先が黄色っぽく、根元の切り口ができるだけ白くみずみずしいもの、皮は薄茶色のものを選びましょう。鮮度が命ですので採取、購入後はなるべく早くゆでるなどの下処理をして保存が利くようにしましょう。かつお節や油揚げとあえたり、たけのこご飯にしたりして、この季節ならではの代表的な食材を食卓に取り入れてみませんか。(令和5年3月29日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
タケノコは春の味覚の王者=タケノコは春になると店頭に並び,食卓をにぎわせてくれる食材です。一般に流通しているのは「孟宗竹」です。大型で肉厚,軟らかくてえぐみが少なく,ほのかな甘みがあるのが特長。「春の味覚の王者」ともいわれています。食物繊維のセルロースにはコレステロールの吸収を抑える作用があります。高血圧予防が期待できるカリウムや,新陳代謝を促し,脳を層性化させるチロシンも含んでいます。ずっしりとして,皮が淡黄色でつやのあるものを選びましょう。穂先が濃い緑色のものは日に当たった証拠。筋が硬くなるので,穂先が黄色で開いてないものの方がお薦めです。時間がたつごとにえぐみが増すため,購入後はすぐにあく抜きをしましょう。水につけて冷蔵庫で保存すれば5日程度は持ちます。妙め物や煮物,天ぷらなど,さまざまな料理で旬の味を楽しんでください。(令和6年4月24日/南日本新聞『買いごろ食べごろ』から)
参考図書:『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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【根菜類】
ニンニク
酸性土壌は嫌うため苦土石灰を散布しpHを6.0以上に調整し,十分堆肥を施し穴あきの黒マルチで覆った畝に,購入したホワイト六片という大型のニンニクの種球を10月末に植付けたニンニクの茎葉が,5月中旬黄色くなり,収穫時期を教えてくれましたので,早速収穫し,陰干し保存を。
ユリ科のニンニクの原産地は,中央アジアと言われ,栽培の歴史は非常に古く,日本へは1,000年以上前に渡来したが,特有の匂いなどのため,あまり普及しなかったようです。しかし近年になって,食生活の変化と,肉料理や中華料理の普及に伴い,ニンニクの需要が増えてきたとお書物には記されています。私にとっては,葉は母がおかゆの具に,鱗片は父が囲炉裏の灰の中に入れ焼いた物を,口の中に投げ込まれ,健康に良いからと食べるように薦められていた,幼き頃からの健康野菜であり,土間に設けられたかまどの横に吊り下げられていた身近で独特な匂いの野菜の想い出が。
ニンニクは多年生草本で,鱗茎は数個の鱗片に分かれ,絹白色又は淡紫紅色の皮膜に包まれています。
秋に種球を植えつけると,まもなく発根して萌芽し,年内に某が4~6枚ほど出ますが,その後,冬の低温によって生育が止まり,翌春,気温が上昇してくると生育が始まり,葉が7~8枚出たころから球(鱗茎)が肥大してき,球の肥大には,温度(低温)が関連しています。
ニンニクは,韓国,中国はもとより,熱帯アジア,中近東からヨーロッパまで広く料理に使われており,和食にも合い,近年ますます一般家庭の消費も増加しており,また数々の薬効が認められ,滋養強壮の効果が大きいことも広く知られています。ビタミンB1が豊富なうえ,独特の匂いの元となっている硫化アリルという物質が,ビタミンB1の体内への吸収をよくします。さらに消化機能促進,体内の血液をきれいにする効果,風邪などのウイルスにも効果的な殺菌作用など,機能性食品としてのアピール度が高い野菜です。
また,エキスを害虫駆除に使うほどですので,ニンニクは害虫には強く,手間いらずで比較的生育しやすい作物だと言えます。
なお,何本かは,トウ立ちする異端物もいます。そんな輩の球は小さいですので,葉を炒めて独特な食感を楽しみましょう。
■知っておきたい効用
英語名は「ガーリック」。強い匂いで料理に欠かせない香辛料で,古くからスタミナ剤として,世界中で広く利用されてきました。
主な薬理作用は,辛味成分のアリシンによるもの。にんにくは,もともとねぎ類に共通する硫化アリルをたっぷり含んでいますが,すったり切ったりすると,硫化アリルの一部であるアリインが酵素の働きでアリシンに変わります。これが抗酸化作用を発揮し,抗がん予防の効果を発揮するのです。このアリシンを加熱すると,血液をサラサラにして血栓を防いでくれるアジョエンに変わります。
また,アリシンは体内でビタミンB1と結合するとその吸収率を高め,エネルギー代謝をスムーズに行う役割を果たします。この作用こそが,にんにくが強壮剤として重用されるに至ったゆえんであり,古代エジプトでは,ピラミッド建設の際,強壮剤として労働者たちににんにくを与えていたとも伝えられます。(がん予防,疲労回復,抗菌・解毒作用,コレストロールの上昇抑制)
ニンニク料理のコツ
①炒め物
最初にスライスやみじん切りにしたニンニクを,弱火で焦げないように炒めて香りを引き出してから,他の材料を入れる。
②サラダ
やさしい香りがほしいときは,器にニンニクの切り口を,こすりつけて香りをうつすと風味が増す。
③煮物
りん片を切らずにそのまま煮込み,後で取りだせば,ニンニク嫌いな人でもにおいが気にならない。
④匂いをやわらげる方法
炒めたり蒸したり煮たりすると,においはやわらぐ。また,収穫後すぐに,りん片の皮をむき,酢に漬けて保存しておけば,においがやわらぎ,色々な料理に使える。
⑤においを手やまな板にうつさない工夫
りん片の皮むきの際に,手ににおいがうつりやすいが,あらかじめりん片を水に漬けておき,皮をふやけさせると簡単に皮がむけてにおいがうつらない。においがついた手やまな板は酢と塩で洗うととれる。
※平成21年10月8日の南日本新聞の『エンジョイ園芸』にニンニクの記事が掲載されていましたので添付いたします。
◆ニンニク学習得々情報
種苗を扱うお店の店頭にニンニクの種球根並び始めましたが,タキイネット通販のHP内に「健康野菜として注目される ニンニク ~上手な育て方・貯蔵する~」が板木利隆先生の監修で掲載されていましたので,ぜひ覗いて平成24年秋のニンニクの植え付けの参考に。
※『やさい畑』2015秋号の秋植え野菜驚きの秘策に「ひと皮むくだけで劇的効果!ニンニクのつるつる植え」(①球の肥大が促進される②病気に強くなる③適期に遅れても植え付け可能)が紹介されていたので,同記事を参考に平成27年9月24日,今回初めて水をはじく薄皮をむいた種球を穴空き黒マルチ畝に植え付けました。
※平成30年8月1日(水)NHKTVの『ためしてガッテン』では,健康食材の王様=ニンニク。コレステロールや血圧を下げてくれたり,がん予防の効果がトップクラスだったりと,その力には世界中が注目しています。にんにくの健康効果をしっかりと頂きながら,にんにくの唯一の弱点「食べたあとのニオイ問題」を解決するワザ。にんにくにちょっと一工夫するだけで,ニンニクを使うこれまでの料理がいつでもどこでも楽しめるようになります。しかもこのワザ,ニンニクの「コク出し効果」を引き出すことができるので,あらゆる料理をグッとおいしくすることも可能! にんにくの超お役立ちワザを徹底紹介されましたコレステ・高血圧に!ニンニクの力120%活用&ニオイ問題解決SPをPDF版で紹介頁を掲載しました。
使える!昔農家のお宝ワザ
『百姓伝記』(作者・年代未詳)には,「蒜を作るときは,秋の彼岸の植えるものなり。芽が生え出て緑色になったら,下肥だけをこやしにせよ。小便を多くかけると辛くなる。」と,辛さを変えられる施肥術があり,これを現代風に解説・実践すると,
独特の風味と辛みが特徴的なニンニク。完熟した有機質肥料である下肥を使って育てることが江戸時代は推奨されました。ニンニクは単子葉植物で,アンモニア成分の吸収を得意としているため,アンモニア成分を多く含む下肥がよいとされたのでしょう。現代ならポカシ肥や米ぬかで代用可能です。
小便により辛くなるとも書かれていますが,これはニンニクの辛みやにおいはアリシンという化合物によるもので,分子の中央に硫黄原子を持つのが特徴です。現代の家庭菜園で使いやすい硫黄成分を多く含む肥料は,発酵鶏ふんで,アリシンの合成に役立ちます。2月の追肥が風味に強く影響するので,好みによって施す肥料の種類を変えるとよいでしょう。
追肥は2回=ニンニクの追肥は,11月と2月の2回行う。3月以降に追肥をすると,病気の原因となる。
通常の追肥=11月と2月のどちらの追肥でも,ポカシ肥を1株当たり5㌘施す。米ぬかでもよい。
風味を強める追肥=11月の追肥ではポカシ肥を1株当たり5㌘,2月の追肥では発酵鶏ふんを5㌘施す。発酵鶏ふんに含まれるアリシンの量が増え,苦みやにおいが強くなる。アリシンが多くなると,健康機能性や保存性も高くなる。
参考図書:『野菜講座/栽培収穫編(葉茎菜)』(日本園芸協会),『野菜の施肥と栽培―根茎菜・芽物編―』(農文協),『はじめよう野菜づくり』(学研),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『家庭菜園レベルアップ教室/葉菜③』(農文協),『やさい畑』2015秋号・2017年秋号2018年冬号,『蘇先生の家庭薬膳 にんにくと玉葱の本』(農文協),『現代農業』(平成29年2月号),『ひと工夫でこんなに差が出る!驚きの家庭菜園マル秘技58』(家の光協会)
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らっきょう(だっきゅ)
カレーの付け合わせに出てくる小粒のらっきょう。1日5~6粒食べれば生活習慣病を防ぐとも言われている根を食べる野菜で,中国が原産地。我が国へは9世紀に伝わり,薬用として使用されていたそうで,当初は独特な辛味と匂いが敬遠されていたそうですが,体を温める効果があるとして江戸時代に食用として親しまれる食材になったといわれています。昔は,どこの家庭でも来客があるとガラス瓶に酢漬けにしたものが, “ちゃじぉけ”(お茶菓子)として小皿に盛られてお茶と一緒に出され,「カリカリ」と音を立てて食した初夏の茶じょけであった『らゅきょうの甘酢漬け』。食べ過ぎると屁が出る食べ物でも。
生のまま酢味噌で食べてもよしのらっきょうを鹿児島では『だっきゅ』と呼んでいますが,鹿児島・鳥取・宮崎の3県が三大生産地となっています。平成17年1月に「全国らっきょうサミット会議」を開催した本市では,「唐浜らっきょう」が特に有名で,同地の砂丘らっきょうは肌が白く食感の「シャキシャキ感」が特に有名で,近年は生産特区の指定を受け,遊休農地の活用をとして農家以外の建設業を営む会社が生産販売を。昨年8月末に根株を植付けていたのを,本市の唐浜と並ぶ砂丘らっきょうで有名な南さつま市加世田高橋のるぴなす観光農園で1区画20㎡のオーナー(使用料=1万円,種・肥料代込み,約40㎏~50㎏の収量)ら60人が参加してのらっきょうの収穫祭の記事が「砂丘ラッキョウ収穫ピーク 南さつま」の見出しでカラー写真付きで5月13日の南日本新聞に紹介されていましたので,我が畑でも昨年8月末に種株を植付けていたのを5月18日に収穫を行いました。
なお,写真にあるように紫色の可憐な花が咲きますが,花を着けたままにしておくと,養分が開花にとられてしまいますので早めに摘み取れば,分球数も球重も増えますよ。追肥は3月に畝肩へ,更に4月には通路近くに施すと球肥大や分球が良くなります。
■知っておきたい効用
初夏になると出回るらっきょうは,ユリ科ネギ属の野菜。ツンと鼻を刺す強い刺激臭が特徴。匂いの正体は,たまねぎやにんにくにも含まれる硫化アリルで,その仲間のアリシンには,ビタミンB1の吸収を助ける働きがあり,これによって血行をよくしたり,乳酸を分解して疲労回復を早めたり,脳や神経を健康に保つなどのさまざまな薬効が期待されます。
強い殺菌作用で口内炎を防ぐほか,胃もたれの解消や食欲の増進,風邪予防にも有効とされ,最近ではがん予防効果についても報告されています。また,ごぼうの3~4倍に相当する食物繊維を含み,そのほとんどが,水溶性の食物繊維です。水溶性の食物繊維は血糖値やコレステロールの上昇を抑える働きをもち,糖尿病の予防・改善に有効とされています。(便秘の予防・解消,大腸がんの予防,食欲の増進,血行促進)
◆調理との組み合わせのコツ
夏パテ予防に効果的な組み合わせは,硫化アリルで効力がアップするビタミンB1を多く含む食材。ビタミンB1を多く含む豚肉との組み合わせは,筋肉痛や疲労の回復にも効果的です。硫化アリルの作用は,細胞を壊して酵素を空気に触れさせることで活性化するので,細かく刻んだものをしゃぶしゃぶなどの薬味に添えてもよいでしょう。
甘酢漬けやしょうゆ漬け,はちみつ漬けなどにして保存できます。らっきょうの甘酢漬けの作り方を紹介したURLは。
※スーパーの店頭に,ラッキョウ浸け用にと5㌔入りの袋入りが並ぶようになった平成26年5月14日(水)の南日本新聞『かごしま食べごろ』に,鹿児島市青果市場の方が執筆された「ラッキョウで体調万全に」が,次のように紹介されていました。
中国が原産とされるネギ科の腸で,主にふくらんだ鱗茎部分を食用とするラッキョウを紹介します。8~9月ごろに親となる鱗茎を植え付け,5~7月ごろまでが旬となります。出荷される直前に葉と根を切り取られますが,成長が早く,すぐに切り口から芽が伸びてきます。
鮮度は切り口から伸びた芽の長さで判断ができ,古くなると芽が伸び過ぎたり,表面が乾燥したりします。早めに甘酢漬けやしょうゆ漬けにしましょう。生の場合は袋に入れ,冷蔵庫に入れると鮮度が保たれます。
食欲増進,消化促進,脂肪吸収を抑えるほか,せき止めや精神安定作用,胸の痛み,慢性腸炎や細菌性の下痢にも効果が期待できます。酢漬け,天ぷら,酢みそかけが一般的ですが,らっきょうがゆもお勧め。新鮮な旬の味を楽しんでください。
また,今年も=平成27年5月26日(火)の朝刊には「特産ラッキョウ生徒ら収穫体験 薩摩川内・水引中」の記事が掲載されており,同中生徒が地元農家と一緒になり,教育活動資金に充てるため同校区内の唐浜で伝統のラッキョウの栽培・収穫が継続されている事を知り,我がこざ園でも昨年7月28日に畑の一隅に一列植え付けていたのを5月中旬から,港町星原の「唐浜ラッキョウ」産地の友人から教わった,「根株は,鎌の柄を足で踏んで鎌を立て,刃にスースーと当てる要領で切り離す」で,その日に食べる分だけ毎日4株ほど畑から収穫し,夕食のおかずに酢味噌でシャキシャキ感を味わい食べています。
※AZ川辺店のらっきょう酢売場に「らっきょうの簡単漬け」というチラシが置かれていましたので1枚頂いてきましたのでFMさつませんだいから流れてくる「唐浜らっきょう音頭」を聞きながらPDF版に編集し添付紹介します。
※今年もラッキョウの収穫の時期を迎えましたが,平成27年5月24日(日)/南日本新聞の『南風録』に好き嫌いの多いラッキョウの食べ方に関し,ご当地食材の新しい味わい方アイデアが次により紹介されていました。
カレーライスの付け合わせになじみ深いラッキョウは,もともと薬用として中国から渡来したらしい。食欲増進や消化を助ける効果があるとされ,暑さの増すこの時期に重宝する旬の味覚である▼中でも砂地で栽培される砂丘ラッキョウは肌が白く,シャキシャキとした食感で人気がある。薩摩川内市網津町の選果場を訪ねると,砂つきの球根の山が皮むき機にかけられ特産の「唐浜らっきょう」に仕上げられていた▼出荷量でよそにトップの座を譲って久しいが,大正時代からの歴史ある産地である。関東などで今も評価が高い。若手の生産者グループが高齢農家の収穫作業を請け負うなど,産地維持へ向けた動きが出てきたのは心強い▼もっとも,酢漬けや塩漬けにしたときの鼻にツンとくる強いニオイや辛みは,人によって好き嫌いが分かれるだろう。ラッキョウ好きを増やすには,料理法を工夫する必要があるかもしれない▼鹿児島市のフードコーディネーター,杉水流直子さんは妙め物や天ぷらにして火を通すと食べやすくなると勧める。「ラッキョウの黒豚巻 照り焼きマヨネーズ」を考案し,地元食材を使った料理グランプリの鹿児島県代表に選ばれた▼「ネギやニラの仲間と考えれば,料理のアイデアが広がる。若い人にもっと食べてほしい」と話す。健康にいい優れたご当地食材である。味わわないのはもったいない。
食感の良いラッキョウ=中国が原産とされるネギ科の植物,ラッキョウを紹介します。鹿児島県は全国有数の産地で,中でも南さつま市や薩摩川内市で作られる「砂丘らっきょう」は食感の良さで評価されています。ラッキョウに多く含まれる水溶性の食物繊維は血中のコレステロールを調節し,糖尿病や高脂血症の予防に効果的です。独特な匂いの成分アリシンは,疲労回復に効果的なビタミンB1の吸収力を高めるほか,腸内環境を整える作用があり,慢性腸炎などにも効果が期待できます。酢漬け,天ぷら,酢みそかけが一般的ですが,細かく刻んでタルタルソースにするのもおすすめです。鮮度は切り口から伸びた芽の長さで判断ができ,古くなると芽が伸び過ぎたり,表面が乾燥したりします。生のまま保存するときは芽が出やすいので,冷蔵庫の野菜室に入れると鮮度が保たれますが,なるべく早めに漬物などにした方がいいでしょう。(平成28年5月4日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
甘酢漬けやサラダに=中国が原産地とされるラッキョウはネギ科で,食べるのは鱗茎(りんけい)と呼ばれるふっくらした部分です。中国では紀元前から栽培され,日本には9世紀ごろ伝わりました。もとは薬用で江戸時代以降は食用として広まりました。鹿児島県は,鳥取県,宮崎県と並ぶ主要産地で,県内では南さつま市や薩摩川内市が盛んです。コレステロールの吸収や血糖値の上昇を抑える水溶性植物繊維を多く含みます。特有の香りのもとであるアリシンは硫化アリルの一種で,ビタミンB1の吸収を促進し,疲労回復や滋養強壮に効果的です。選ぶポイントは白くふっくらとして粒がそろい,芽が伸びすぎていないこと。保存の際は新聞紙などに包んでポリ袋に入れ,冷蔵庫に収納し,翌日には下処理しましょう。しょうゆや甘酢に漬けたり,スライスしサラダやあえ物に入れたりして香り,食感をお楽しみください。平成30年5月9日(水)南日本新聞『かごしま 食べごろ』から
ラッキョウで腸内美人=鹿児島県はラッキョウの全国有数の産地です。中でも南さつま市や薩摩川内市で生産される「砂丘ラッキョウ」は独特の香りとシャキッとした食感の良さで人気が高いです。腸内環境を健康に保ち,便秘の予防に役立つ水溶性食物繊維を豊富に含みます。コレステロールの吸収抑制や,血糖値の上昇を抑える働きがあるといわれています。特有の香りはタマネギにも含まれるアリシンによるもの。血行促進や疲労回復,免疫力アップの効果が期待できます。硬く締まってつやがあり,ふっくらと大きめで粒がそろったものがお薦め。生のまま保存するときは,ポリ袋で乾燥を防ぎ,冷蔵庫の野菜室に入れると鮮度が保たれます。芽が出やすいのでなるべく早く使い切るようにしましょう。甘酢漬けやしょうゆ漬けが一般的ですが,刻んで妙め物にしたり,天ぷらにしたりするのもお薦めです。(令和2年5月13日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ラッキョウで血液サラサラに=ラッキョウは平安時代,中国から薬として伝わったとされています。野菜として普及したのは,江戸時代ごろのようです。日本三大砂丘の一つである吹上砂丘を主な産地とする鹿児島県は,全国有数の生産量を誇ります。ラッキョウから生成されるアリシンという成分は,ビタミンB1の吸収を高め,血液をサラサラにして循環器系の機能を正常化する働きがあるといわれています。豚肉などのビタミンB1を多く含む食品と合わせて取ることで,疲労回復効果が期待できます。食欲増進,整腸,殺菌などの効果もあるとされています。粒がそろって大きめのものが良く,土付きのものは芽が出やすいので,購入したらなるべくその日のうちに水洗いすると良いでしょう。甘酢漬けが代表的な食べ方ですが,サラダなど生食や天ぷら,かき揚げにして食べるのもお勧めです。(令和3年5月12日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
旬のラッキョウで健康に=ラッキョウはカリッとした食感に、独特の辛みや風味があります。中国原産で生薬としても用いられ、「薤白(ガイバク)」と呼ばれます。鹿児島県は鳥取県に次ぐ全国2位の生産量を誇る産地です。糖や脂肪の吸収を穏やかにする水溶性食物繊維を多く含み、血糖値やコレステロールの上昇を抑えるなど、その効能が注目されています。健胃、整腸、食欲増進の作用があり、漢方薬に使われることもあります。生だと刺激が強いため、甘酢に漬けて食べるのが一般的。さっとゆでてから千切りにしてサラダに加えたり、薄切りにして豚肉などと妙めてもおいしく食べられます。鹿児島県産はこれから旬を迎えます。粒がふっくらとして丸みを帯び、適度な硬さがあるものがお薦め。表面に傷がなく「芽の出ていないものを選びましょう。ぜひ健康づくりに役立てください。(令和5年5月3日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考文献:『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),南日本新聞『かごしま食べごろ』,『現代農業』=ラッキョウをたらふく堪能(2017年7月号),『家庭菜園レベルアップ教室葉菜3』(農文協)
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のびる
春の息吹とともに3月~4月,耕作されていない畑の片隅や土手から自然に芽を伸ばし自生し,細いねぎに似た形状をしており,根元に丸い小さな鱗茎をつけているのが特徴の山菜。
ねぎやにらとよく似た風味で,食欲をそそる強い香りがあります。我が国最古の歴史書「古事記」には,確実に実在が確かめられる最初の天皇と云われる応神天皇の歌として「いざ子ども 野蒜摘みに 蒜摘みに」があり,古代から食べられていたという記載があり,胃腸を丈夫にし,体をあたためる効果が期待されます。
日本では古くから民間薬や薬味として使用され,ねぎ,にんにく,にら,らっきょうと合わせて臭いの強い野菜として「五辛」(ごしん)・「五葷」(ごくん)と呼ばれ,その臭気や,それを食べることによって生ずる色欲や怒りの心を避けるため,仏教では病気の者以外は食べることが禁じられていたようで,禅寺には「不許葷酒入山門」(葷酒山門に入るを許さず)の石碑が建てて,僧侶(そうりょ)が葷酒を食するのを戒めていたようです。
幼き頃,春のこの時期の近所の姉さん達との「ままごとごっこ」では,生料理の材料に用いられ,何も味付けされていないものを「食べられるんだから食べなさい!」と強要され,口にしたら何とも言えない苦い味の想い出だけが残っていますが,基本的には,ゆでて酢みそあえにしたり,汁の実など,ねぎやにらと同様の味わい方をします。
また,よく洗って外皮をむき,鱗茎の部分に好みのみそを浸けて,生ならではの辛み,香り,食感の両方を楽しんでもよいでしょう。
■知っておきたい効用
「のびる=野蒜」の「蒜」は,ねぎの総称で,その名のとおり野生のねぎと呼ぶにふさわしい形状と特徴を備えています。白い球形の根の部分には,にんにくやたまねぎと同様の硫化アリルが臭い成分として含まれ,その優れた殺菌作用や抗酸化作用によって,がん予防や免疫力の向上に役立つと考えられています。
ビタミンAのもととなるβ‐力ロテンは,主に葉の部分に含まれます。Aの効力を高めるビタミンC,骨を強化する働きがあるビタミンK,造血に不可欠で,認知症の予防にも効果的といわれる葉酸などのビタミン群に加えて,食物繊維は水溶性も不溶性もバランスよく多く含まれています。血糖値や血圧の正常化にも,大きな効果が期待できるでしょう。(老化の抑制,コレステロールの上昇抑制,高血圧の予防・改善,整腸作用)
◆調理との組み合わせのコツ
香味成分のもつ殺菌力や抗酸化作用は,切ったり刻んだりした状態で空気に触れたときに強まります。この作用を活用するなら,球根の部分を生のままでかじったり,おろしたりする食べ方が最適。ピリッとした辛味と野草特有の土臭さは,みそと相性がよいので,軽くゆでて酢みそ和えにしてもよいでしょう。葉の部分も一緒にカラリと揚げる天ぷらも,野趣あふれる春の味覚が満喫できます。
参考図書:『新野菜つくりの実際軟化・芽物』(農文協),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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ダイコン
秋冬野菜の横綱とも言われ,寒さと共においしさが増してくるダイコン(鹿児島弁では「デコン」)は,「ダイコンどきの医者いらず(ビタミンC摂取)」とも言われてきています。
我がロードマン小菜園では,「大根十耕」(ダイコンを作るには10回耕しなさい/深く耕し,土を細かく砕いておく)の先人からの教えを遵守し,pHは6.0~6.2で堆肥を全面施肥した圃場に9月3日,60㌢幅の畝を作り空のビール瓶の底を30㌢間隔で押し当て5粒ずつ種を点蒔きし,間引き(最初は,1葉週間前後の頃,子葉2~3枚の頃,次いで2回目は,20日前後たち本葉5~6葉の頃に1本立ちにと=①発育の旺盛な芽or逆に遅れた芽 ②子葉の奇形や本葉の奇形な葉 ③病害虫に侵された葉を除く作業)を重ね,散水・中耕・土寄せを行ってきたものが,今年も見事に生長し,10月19日から収穫を始め,大根おろし・千切り大根・煮しめに,そして葉も炒め物にしたものが食卓を飾るようになりました。そう言えば先月まで,昨年収穫し,冷蔵庫の片隅に入っていたという干しダイコンが煮しめにでていました。
アブラナ科の根菜類で,我が国の食文化とは切っても切れない関係にある野菜の代表格。根は,廿日ダイコンのような小さなものから,守口ダイコンのように細くて長いもの,そして我が鹿児島の桜島の火山灰地で生産される桜島ダイコンのように20㌔を超える大型のものまであり,全国で100種類以上の品種がある多さと形態の多様性は,野菜の中では類を見ないもの。なお,起源は,ヨーロッパやアジアの温暖な地域と言われ,我が国では,養老4年(720年)に編纂された『日本書記』にも記されているほど栽培の歴史は古く,我が国のダイコンは,華南系の品種の影響を強く受け,また在来野生のハマダイコンの素質も導入され,独自な発達をしてきたとも言われています。
「自然の消化剤」とも言われるダイコンは,栄養分も豊富で,ビタミンCや鉄分,食物繊維に富み,ジアスターゼという消化酵素も多く含まれています。なお,葉の部分には,各種のビタミン,ミネラル,β-カロテンが豊富に含まれており機能的にも優れた野菜と言えるのでは。(食欲の増進,消化の促進,疲労回復,ガン予防)
肥大した根は,葉の近くの部分は,からみが弱くて煮物又は生食向き,真ん中の部分は,甘味が強くてサラダやふろふき用に,下部は辛みが強くおろし向きという,ダイコンの各部位の調理ポイントを頭の中に入れておかれたら,あなたの菜園の今年のダイコンさんをよりおいしく頂けるのでは。
平成22年の今秋種を蒔き,今冬収穫を楽しんでいますのは,右写真3種の左側は,近所の私同様に定年を機に家庭菜園を楽しむ後輩が,母親から譲られたダイコン種から昨年自家採種した種を頂きましたので,昔のダイコンの味をと頂いた種を蒔き生長した“デコン”と呼べるダイコンで実が柔らかく煮物に。写真中央は時無しダイコンで陰干しして漬物に。写真右側は今年初めて植えてみた中国野菜の北京紅芯ダイコン(種袋に記載の特性には,聖護院ダイコンを小さくした形で,上半部は緑色で下部は白色,吸収根は幾分赤味を帯びる。内部は鮮やかな紅色となり美しい。浅根性ですから深く耕す必要もなく,どんな土地でも栽培容易です。料理メモには,肉質柔らかで甘味に富み,生食によく,色の美しさを生かした酢あえ・サラダ・おろしダイコンが好評と)で,我が家では酢漬けにして鮮やかな紅色の食感を味わっています。
※近所の専業農家のM夫人は,亡きご主人から12月に商品として出荷するためには,「9月27日に種を蒔けば丁度値のする頃に出荷できるから」との教えを守って,今年も生産され,見事に大きくなった大根を,私のお墓の進入路前に設けられた100円野菜店で販売されています。また先日は,「ロードマンさん,お宅のデコンと味比べをして」と,畑で抜いた泥が着いたままのデコンを頂きましたが,専門化が作ったデコンは,我が家のより実が柔らかいでした。
■間引き・中耕・土寄せ・追肥/収穫適期の見極めポイント
子葉が展開したら |
本葉が3枚になったら |
本葉が5枚になったら |
根の肩が太ったら |
1回目の間引き |
2回目の間引き+1回目の土寄せ |
3回目の間引き+2回目の土寄せ+追肥 |
収 穫 |
紅芯大根
紅色を生かすなら生食で!
中国東北部から朝鮮半島に分布する,丸形の大根の一種。表面は大根のように白色ですが,中心部は美しい紅色をしています。-般の大根よりも甘みが強く,辛みがマイルド,しかも,食感がやわらかいのが特徴です。消化酵素・ジアスターゼやビタミンCが豊富で,
これを生かすように,生のまま,色を楽しみながら食べるのがおすすめです。
サラダの彩りにぴったり!
歯ざわりがよく,甘みがあるので,サラダやピクルス,浅漬けなどにぴったり。ほかの野菜との相性がよく,彩りとしても活用できます。加熱すると,色素成分のアントシアニンやビタミンCがそこなわれるので,生で食べるのが◎。
出典:『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社)
耐病総太り
我が小菜園で令和になった今秋・冬に収穫中の「耐病総太り」は,品種改良されたダイコンで,右の写真のように上から下まで同じ太さのダイコンです。畑から引き抜くのが昔は一苦労させられたダイコンに比べ,収穫時とても引き抜きやすくなっています。
また,実がスポンジ状になるダイコン特有の現象「す」が入りにくいのも特徴で,実がしっかりしており煮崩れしにくく,ご家庭で喜ばれる人気品種となっています。出典:『学研まんがでよくわかるシリーズ 野菜と花 タネの秘密』(学習研究社)
庭先のダイコン保存状況
※平成24年7月22日の南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』の中の『菜園くらぶ』8月号に,今冬のダイコン栽培に向け掲載されていました「ダイコン 収穫まで約2~5か月!」を添付いたします。
「大根役者」といわれるようになった理由 「八百屋さんもうなる野菜の小咄」(『やさい畑』2013年冬号)
「大根役者」とは,芝居が下手でまったくもって芸のない役者をあざけっていう言葉で,江戸時代の書物によれば,単に「大根」と呼ぶことも多くありました。そんな,人を蔑むようなたとえに持ちだされたダイコンの気持ちを考えると,なんとも不偶ですが,なぜ,よりによってダイコンが選ばれてしまったのでしょうか。
諸説あるうちの一つは,ダイコンの色が白いことから「素人(しろうと)のような芝居」の「しろ」にかけたというもの。また,この「白い色」がらみでは,「芸のない役者ほどむやみに白粉を塗る」という慣用表現があり,それと結びつけられたとする解釈もあります。
次に,ダイコンは消化を促進する働きがあり,胃腸の働きを助けてくれることから「食あたりしない」,つまり「あたらない役者」=「不人気な役者」を指すようになったとする説があります。その優れた効能がアダとなってしまった形ですね。
ほかには「馬の脚」から連想したとする説もあります。「馬の脚」とは,歌舞伎で張り子の馬の脚を演じる役のこと。キャリアの浅い役者や未熟な役者が務めることが多かったため,転じて,下手な役者を指すようになったそうです。
※『やさい畑』2103年冬号の「農家から学ぶ野菜の知恵袋」に,
障子紙にダイコンおろし=障子は,日当たりのよい場所ほど日光で紙質が弱まりよく破れてしまいますが,これを防ぎ長持ちさせるには,張った障子の糊が乾いた後,ダイコンのしぼり汁を刷毛でむらなく塗っておくと紙が強くなり破れの防止効果が高まります。
体が温まるダイコン葉の薬湯=捨てるダイコンの葉を干しておき,袋に入れてダイコン葉の薬湯。体が大変温かくなり,家庭にいながら温泉気分が味わえます。
が紹介されていました。
※当こざ園では,平成26年3月8日に種播きを済ましましたが「春ダイコン」に関し,タキイメールマガジン『植彩館』平成26年3月10日号に「春まきダイコンのトンネル栽培ポイント」が分かりやすく掲載されていました。
大根は葉も栄養満点=おでんの具材としても人気の大根を紹介します。エジプトのピラミッド建設の際には,労働者にタマネギやニンニクとともに給した記録があり,歴史の古い野菜です。栄養面では,大部分は水分ですが,でんぷんを分解するジアスターゼやタンパク質を分解するプロテアーゼなどの消化酵素が含まれ,胸焼け・胃もたれ・二日酔いなどの予防に,辛味成分のイソチオシアネートは血液をサラサラにし,抗菌作用や炎症を抑える働きがあり,歯槽膿漏などの改善効果も期待できます。冬場は,甘くてうま味が増すので,煮物・妙め物・サラダなど,いろいろな料理に使えます。大根葉にはビタミンやミネラル,食物繊維を多く含み,妙め物や漬物で食べると,おいしさと健康に一石二鳥です。これから寒くなる季節,旬の大根を使った鍋料理を楽しんで,心も体も温まってください。平成27年11月25日(水)南日本新聞『かごしま食べごろ』から
心も体も温まる大根=寒い冬に心も体も温まる鍋料理にぴったりの野菜,大根。一年を通じて売り場に並んでいますが,出荷される季節によって春,夏,秋冬に区分され,旬はみずみずしく甘味が強くなる寒い時期です。根にはでんぷんを分解するジアスターゼという消化酵素を含み,食べ過ぎによる胃もたれを予防します。辛味成分のアリルイソチオシアネートは,体内の解毒作用を活性化させ殺菌作用が期待できます。葉にはビタミンCやカリウム,ベータカロテン,カルシウムなどが多く含まれます。葉に近い首の部分は水分が多く甘いので生のままサラダに,先端は水分が少なく辛いので大根おろしといった薬味に向いています。全体的に張りとつやがあり,持った時にずっしりと重いものがお薦めです。定番のおでんや鍋料理などで堪能してはいかがでしょうか。平成29年11月29日(水)南日本新聞『かごしま食べごろ』から
※タキイメールマガジン『植彩館』平成30年8月13日号に真っすぐで肌のきれいなダイコンを目指す!ダイコンの上作テクニックとして,前年は家庭菜園でも人気のダイコン,台風の到来で露地野菜に大きな被害が発生しましたが,事前の対策や対応によって収量・品質に大きな差が出たようです。ここでは上作のポイントや気象災害にも負けない方法をご紹介しますとして5つのコツが掲載されていました。
動脈硬化予防にダイコン=春の七草の一つ「すずしろ」としても知られるダイコン。中国を経て日本に伝わり,江戸時代になって本格栽培されるようになりました。葉に近い付け根部分は寒さで凍らないよう糖度を上げるために甘く,先端部分は土中の虫よけのため辛味が強いと言われています。ナトリウムの排出を促進し高血圧や動脈硬化の予防に効果的なカリウム,デンプンを分解して胃腸の働きを活性化し,胃もたれや胸やけに効果のあるアミラーゼ,血液をサラサラにする辛味成分のイソチオシアネートなどが含まれています。皮に張りと艶があり,ずっしりと重みがあるものを選び,葉付きのものはすぐに葉を切り落として新聞紙などに包んで冷暗所で保存しましょう。甘味の強い付け根部分はサラダや漬物,ほどよい硬さと甘味がある中央部分は煮物,辛味が強い先端部分は妙め物やみそ汁がお薦めです。平成30年11月21日(水)南日本新聞『かごしま食べごろ』から
甘味ある秋冬の大根=一年を通して収穫される大根は,秋から冬にかけてはみずみずしく,甘味があります。葉に近い部分は硬めで辛味が少なく,サラダや妙め物に向いています。真ん中は最も甘味があり,おでんをはじめ煮物に適しています。先端部分は辛味が強く,おろしなどが最適です。根にはジアスターゼというでんぷん分解酵素が含まれています。消化を助け,胃もたれや胸やけの解消に効果が期待できます。葉にもビタミンCやビタミンE,カリウム,カルシウムなどが多いです。色が白くて硬く張りがあり,みずみずしく,ずっしりと重いものを選びましょう。11月に入り,多くの鹿児島県産が市場で取引されています。魚類市場お薦めの脂の乗ったブリを使い,温かいブリ大根をおかずや酒のつまみにしてはいかがでしょうか。令和元年11月27日(水)南日本新聞『かごしま食べごろ』から
大根で胃もたれを防止=これから旬を迎える大根は,寒くなるにつれて水分と甘味が増します。生でも加熱してもおいしく,さまざまな料理に活用でき,冬の食卓に欠かせない野菜です。根には消化を促進する複数の酵素が含まれ,ジアスターゼは胃腸の働きを活発にし,胃もたれや二日酔いを防ぐ効果があります。特有の辛味成分も,胃液の分泌を促進する働きがあり,焼き魚や天ぷらに大根おろしを添えるのは理にかなった食べ方といえます。葉に近いほど甘味が強く,先端に近いほど辛味が強くなるため,上部はサラダなどの生食に,先端部分は大根おろしや漬物に向いています。程よい硬さと甘味のある中央部はブリ大根などの煮物にお薦め。色が白く,皮に張りと艶があり,ずっしりと重みがあるものを選びましょう。部位で使い分けて,より一層おいしくなる大根を楽しんでください。令和2年11月25日(水)南日本新聞『かごしま食べごろ』から
部位で昧変わるダイコン=ダイコンは春の七草の一つ「すずしろ」としても知られ,日本人にとってなじみ深い野菜です。広く一般に出回っているもののほとんどは「青首大根」と言われ,地上に出ていた根の上部が緑色(淡緑)になるのが特徴です。ナトリウムの排出を促進するカリウムが多く,高血圧や動脈硬化,脳梗塞などの予防効果が期待できます。ずっしりと重みがあり,皮に張りとつやがあるものがお勧めです。ひげ根の穴は少なめで,ゆがみなく均一に並んでいるものがよいでしょう。ダイコンは部位によって味が変わります。上部は甘みがあるのでサラダ,大根おろし,漬物に。中央部はほどよい硬さで甘みもあるので煮物に。先端部分はやや硬めで辛みもあるので,妙め物やみそ汁に使うとよいでしょう。葉は漬物や妙め物にするとおいしく食べられます。みずみずしく甘みが増す寒い時期にかけてぜひご賞味ください。令和4年12月25日(水)南日本新聞『かごしま食べごろ』から
大根おでんでぬくぬく=大根は春の七草の一つ「すずしろ」としても知られ、昔からなじみ深い野菜です。胃腸の働きを活性化する酵素が含まれるほか、胃もたれや胸焼けに効くアミラーゼ、発がん物質を解毒しがん予防に効果が期待できるオキシターゼも含みます。辛み成分のイソチオシアネートは血液をサラサラにする作用があります。切り干し大根にすればミネラル成分が濃縮され、カリウムやカルシウムの含量がより高まります。皮に張りとつやがあり、ずっしりと重みのあるもの、ひげ根の穴は少なめで、ゆがみがなく均一に並んでいるものが良品です。葉は緑色でみずみずしく、変色していないものを選びましょう。甘みがある上部は大根おろしやサラダ、漬物に、程よい硬さの中央部は煮物に最適です。先端部分は辛いので、妙め物やみそ汁に使うといいでしょう。寒い季節におでんにして温まってはいかが。令和5年12月13日(水)南日本新聞『かごしま食べごろ』から
たくあん 塩と米ぬか漬け基本
日本を代表する漬物といえばたくあん漬け!と言っても,異議を唱える人はいないと思います。そんなたくあん漬け,主役はもちろん大根ですが,それを何で漬け込んだものかご存じですか? 意外に,40代以下だと分からないという人が多いのです。正解は,塩と米ぬかで漬けるのが基本となります。そこに黄色を出すためのクチナシ,タカノツメや昆布,ざらめをお好みで入れる人もいますが,基本的にはぬか漬けの材料にいろいろ加えたものなのですね。
いくつか古いレシピを集めたのですが,もっとも基本的なのが,塩と米ぬかに加え,渋柿の皮とナスの葉を入れるというもの。干し柿を作るときにむいた皮は,乾かすと渋が抜けて甘くなります。砂糖が貴重な時代,これを甘みに使ったのです。
近所のスーパーに出かけて漬物コーナーに並ぶたくあんを手に取り,裏の表示をみてください。本来なら米ぬかと塩が筆頭に並ぶはずですが,多くの商品に糖類や甘味料のはか,アミノ酸,保存料,着色料と記載されているでしょう。
本来のたくあん漬けは,干した大根と先述した材料をたるなどにギュウギュウに詰め,上からものすごい重しをのせて漬けます。そのうち水が上がってきて自然に発酵し,あの独特の味と香りが生まれるのです。書いているだけでよだれが出てきてしまいますね。(農と食のジャーナリスト山本 謙治)平成27年7月26日(日)/南日本新聞『やまけんのたべものふるさと探訪』
参考図書:『野菜講座/栽培収穫編(果菜・根菜)』(日本園芸協会),『野菜の施肥と栽培/根菜類・芽物編』(農文協編),『これで失敗しない家庭菜園Q&A』藤田智箸(家の光協会),『新 野菜づくりの実際』(農文協編),『野菜で体がよみがえる 知られざる野菜と果実の底力』(草思社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『やさい畑 2010年夏号』(家の光協会),『自家採種ハンドブック』(現代書館),『まるごと だいこん』(絵本塾出版),『かゆいところに手が届く!野菜作り達人のスゴ技100』(NHK出版)
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ラディッシュ(廿日だいこん)
家庭菜園の入門編的野菜として親子でプランターでも簡単に栽培でき,収穫まで短期間で作れることから「廿日だいこん」の別名があり,種播きから約1か月弱で収穫できる,最も作りやすい野菜の一つです。
収穫までの期間が短いことから,手入れはそれほど大変ではありませんが,唯一の作業としては「間引き」が必要です。これは、隣同士の葉と葉が重なり合わないよう,間隔を適度に調整するもので,第1回目は,本葉が出揃ったときで,葉と葉が重ならないよう「しっかりしているな」と思われる株を残して,適度な間隔になるよう引き抜いていきます。さらに育ってきて間隔が狭まってきたなと感じたら,2回目・3回目と間引きを繰り返し,最終的には,株どうしの間隔が5cm程度になるよう調整していきます。
球状の根っこの果肉部分は,直径3~5cm程度と小ぶりで,小さめのプランターで育てることも可能です。根色も白色だけでなく赤色,紅白,紫色とあり,形もミニダイコンから小型の円形までとバラエティー豊かで生食向きのミニだいこんで,「廿日だいこん」の名前は,種まきから20日前後で収穫(実際は20日間での収穫は無理)できることに由来しています。基本的に,真夏の7・8月と,真冬の1・2月以外であれば,いつでも種播きが可能で,我が畑では,12月初旬頃でも種播きできます。収穫までの期間は、初夏であれば30日弱,春・秋なら30~40日,初冬なら50日位です。
なお,春播きと秋播きが作りやすいので,種播きを一週間ずつずらして播けば長い期間収穫が楽しめますよ。
■知っておきたい効用
食用となる根の部分には,ビタミンCやカリウムなどの栄養素のほかに,色素成分アントシア二ンの一種であるシア二ジンという物質を含みます。シア二ジンは,なすなどに含まれる色素と同様に抗酸化作用があり,細胞の老化やがん化を抑制したり,コレステロールの上昇を抑えて動脈硬化を予防するなどの効果が期待できます。
また,だいこんと同じ消化酵素のジアスターゼ(アミラーゼ)を含んでいるので,胃もたれや食欲不振を解消し,胃腸の働きを整える作用もあります。葉には,根の部分にはないβ‐力ロテンやビタミンB群,カルシウム,鉄がたっぷり。最近は葉も食べられる品種が増え,料理の用途も一層広がっています。(がん予防,コレストロールの上昇抑制,動脈硬化の予防,高血圧の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
消化酵素のジアスターゼは熟に弱いので,根の部分は,薄くスライスしてサラダで食べるのが一般的です。まるごと使用する場合は塩とレモンをふりかけてさっぱりと。フランスではフレッシュなバターをつけて前菜に食べることも多いようです。葉の部分は脂溶性のビタミンを多く含んでいるので,植物油でソテーしたり,ベーコンと合わせた蒸し煮などが適します。良質なたんばく質を含む油揚げと合わせた和風の妙め煮なども,栄養価値が高い酒の肴になります。
※平成28年2月7日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「ラディッシュ─短期間で収穫の喜び─」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『まんがでわかるおいしい野菜づくり』(ブティック社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック)
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カ ブ
ダイコンとはひと味違う,まろやかなしっとりとした食感が持ち味で,スライスして柚子やダイダイ等で味付けしたりキムチで和えたりして我が家では食卓を飾っていますが,コクのある味わいが楽しめるカブは,旬は晩秋からで,寒さに強く栽培期間が短いので,秋から冬の菜園計画の必須野菜。間引きを重ねて株間を広げ,収穫しますが,我が圃場では,小カブ・中カブ・聖護院カブを栽培し春まで楽しんでいます。
カブは根の部分はもちろん,葉の部分を漬け菜として利用しますが,じつは根より葉のほうが栄養価が高く,葉は煮物にすると,汁けを含んで味がしみ込んだやわらかな食感を楽しめ,みそ汁やスープの具にも重宝します。
カブは,直根性の野菜なので,畑にじかに種をまいて育成します。生育適温は15~20℃と冷涼な気候に適しており,暑さと乾燥には弱く,寒さには強い野菜です。種まきは,冬を除けばいつでもできますが,家庭菜園では9月~10月ごろの秋まきがもっとも病害虫の被害が少なく,作りやすくなります。
カブは,アブラナ科の野菜ですのでアブラナ科に属する野菜を同じ場所で連作すると,根こぶ病が発生しやすくなり,生育が悪くなるので,前作にアブラナ科の野菜を育てた場所での植えつけは避けましょう。連作を避ける以外には,根コブ病に強い抵抗性品種である「CR品種」の種を選ぶことも一つの方法です。カブは,はじめに厚めに種をまいておき,株同士で刺激しあい,互いに先に養分を吸収しようとして根が充実して育つ特性を活かし,途中で3回ほど間引きをして育成します。
畝の表面に,深さ1~2㌢程度の溝を2本作り,条間は20㌢とりましょう。高畝で筋まきが一般的で,溝に1㌢間隔で種をまき,軽く土をかぶせ,手で押さえ,最後にたっぷり水を与えます。土壌が乾燥したり湿気が多すぎたりと,畑の水分の急変が原因で,根が割れてしまうこともあります。
カブは,間引きが遅れると葉ばかりになって根が育たないので,タイミングを逃さないようにします。発芽して,子葉が出そろったところで,1回目の間引きをします。まきすぎて密になっている部分を間引き,約3㌢間隔にします。子葉の形が整っているもの,大きいものを残しましょう。本葉が2~3枚出たところで,2回目の間引きを行います。5~6㌢間隔になるように,生育の悪い苗を抜き取ります。このとき,化成肥料30㌘/㎡を周囲にまいて土に混ぜ合わせ,土寄せをします。本葉が4~5枚出たところで,最終的に10~12㌢間隔になるように間引きし,2回目の間引きのときと同様に,追肥と土寄せを行います。もちろん間引き菜は,スープの具や炒め物などとして有効に利用できます。
加えてカブは,収穫が遅れると,肥大しすぎてすが入ったり,根が割れてしまったりするので注意が必要です。小カブなら種まきから45日~50日後,根の直径が5㌢くらい,中カブは種まきから60日~70日後,直径10㌢くらいで,大カブなら種まき後75日以上で直径15㌢程度を目安に収穫を。 ※カブ割れ対策=間引きのタイミングを誤らない,高畝で水はけ対策を。
■知っておきたい効用
根の白い部分にも緑の葉にも,それぞれの栄養効果があり,特に甘味を増す冬にはたっぷり食べたい野菜です。根の部分は,だいこんとよく似た栄養構成で,カリウム,ビタミンC,食物繊維のほか,でんぷん分解酵素のジアスターゼを含みます。ジアスターゼは消化を助け,胃もたれや胸やけを防ぎますが,加熱に弱いところが難点です。だだ,カブの場合,だいこんのように生でおろして食べる機会が少ないので,ジアスターゼの恩恵は受けにくくなっています。
一方,葉のほうは,コマツナに近い量のβ‐力ロテンをはじめ,ビタミンC・E,カリウム,カルシウム,鉄,食物繊維の含有量が,そろって多いことが特徴。がんをはじめとする生活習慣病予防から骨租しょう症予防,貧血や便秘の改善に至るまで,幅広い作用が期待できます。(高血圧の予防,便秘の予防・改善,老化の抑制,消化促進)
◆調理との組み合わせのコツ
根の部分を食べるときは,生のままスライスしてサラダなどにするとジアスターゼの効用が生かせます。また,ジアスターゼの効用はやや落ちてしまいますが,すりおろしたカブで白身魚や海老を包み,ふっくらと蒸す「かぶら蒸し」も胃にやさしい一品です。
葉の部分は緑黄色野菜で,β‐力ロテンが豊富。ほかにカルシウム,ビタミンCが含まれます。力ロテンと相性のよい,油を使った妙め物やきんぴらなどにして無駄なく食べましょう。
※『やさい畑』2010年秋号に「小カブ─間引き法を工夫し,収量アップ─」の記事が写真入りで掲載されていました。
※平成29年2月5日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「カブ 葉の方が豊かな栄養」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『別冊 やさい畑 もっとうまくなる野菜づくり講座』(家の光協会),『伝承農法を活かすマンガでわかる家庭菜園の裏ワザ』(家の光協会)
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にんじん (ポイントは,発芽と初期生育の成否)
にんじんは中央アジア原産で,セリ科の最重要野菜です。細長い東洋系品種と太く短い西洋系品種の2系統に分類されています。カロテンの語源は「キャロット」。栄養の権化のような野菜です。
にんじんは,発芽まで乾燥させないことが栽培成功の第1のポイント。うまく芽が出れば,まずはひと安心。間引きと土寄せで大きくしていきます。春まきと秋まきがありますが,かならず季節に合った品種を選びましょう。我が家の畑では,にんじんと言えば「黒田五寸にんじん」を母親の代から栽培しています。
根の長さは五寸にんじんの15~20㌢程度が主流で,東洋系にんじんに比べて太く短いのが特徴です。戦後,急速に日本での普及が進み,にんじんといえば西洋種をイメージすることが多いようです。
にんじんの生育適温は18~21度で,栽培には涼しい気候が適しています。とはいえ,苗の段階では比較的高い温度にも耐えられるので,夏に種を播き,秋から冬にかけて収穫するのが,もっとも一般的な栽培法です。
にんじんは直根性の植物で,根がまっすぐに伸びて生長するため,畑に直接種を播いて育成します。種を播いた後に移植すると,根がいくつかに分かれた,また根のにんじんができてしまうので,注意しましょう。
にんじんの発芽適温は15~20度で,7月に種を播き発芽まで7~10日必要です。
にんじんは,よく「発芽させるまでが難しい野菜」と表現されるほど,発芽が難しい野菜です。しかし,これを乗りきってしまえば,後は順調に生育しますから,種播きの成功が鍵となります。セリ科のにんじんはもともと水辺の植物なので,種播きから発芽まで,たっぷり水を与えることが第1のポイント。しかし,過湿になると発芽しなくなるので,水の管理に注意が必要です。乾燥を防ぎ,発芽を促進させて幼苗を保護するために,不織布などをべたがけにすると効果があります。にんじんの種は好光性のため,種が隠れる程度に薄く覆土します。
なお,にんじんの種播きの適期は短く,梅雨明け前の雨後をねらって行います。但し早く播きすぎると根が変形したり,病害虫に食害されたりします。逆に遅くなって梅雨明け後に種播きをすると,気温が高く乾燥するので,水の管理が非常に難しくなります。
にんじんは「共育ち」といい,幼苗時は,隣の葉が触れ合う程度の密植状態で育成します。にんじんの葉は細かく切れ込んでいるため,株の競合が穏やかなので,間引きを急ぐ必要もありません。一度に間隔を広くとるのではなく,優良な株を見極めながら間引きを重ねて,徐々に株間を調整するのがポイント。また,にんじんの初期生育は遅く,雑草が繁茂すると負けてしまい,生育が悪くなるので,間引き作業の合間に雑草を見つけたら,小さいうちに,抜き取っておきましょう。
家庭菜園では,なるべく薬剤を使いたくないので,①1~2年間をおき連作を避け,②畑の排水性を保持するように努めましょう。
根の直径が5~7㌢くらいになり,肩の部分が横に張り出してきたら,収穫の適期です。西洋系なら根の長さが17~18㌢程度,重さ200㌘程度が理想です。間引くように収穫していきます。年内は肥大が続き,太りすぎると根が割れてしまうので,タイミングを逃さないように注意しましょう。8月に種播きした場合は,冬が収穫期となるので,12月ごろに土寄せして防寒します。こうしておけば,葉が枯れた後も,随時掘り取って収穫することができます。しかし,温暖地では翌年3月になると新根が再生長を始め,裂根が増えて品質が低下するため,それまでに収穫します。
■知っておきたい効用
カロテノイドはにんじんから発見されただけに,屈指のβ-力ロテン含有量を誇り,中サイズのにんじん2分の1本で,1日の摂取量が軽くまかなえます。
西洋にんじん特有の鮮やかなオレンジ色はβ‐力ロテン,京にんじんなど東洋系にんじんの赤色はリコピンによるもの。リコピンにビタミンAの効力はありませんが,強い抗酸化作用をもつことから,がんや心臓病,動脈硬化などの予防に有効であるとされています。
ほかにも,にんじんに含まれる因子が白血球を増やして免疫力を高めることや,がんのリスクを低下させることが,多くの研究や実験で実証されており,いまや医学の世界でも「にんじんはがん予防に効果あり」が共通の認識となっています。
ミネラル群では,カリウムに血圧を安定させる働きがあり,血栓や動脈硬化の予防効果も期待できそうです。(がん予防・風邪や感染症の予防・整腸作用・高血圧の予防改善)
◆調理との組み合わせ
にんじんのβ‐力ロテンは,皮の下に最も多く含まれています。最近は無農薬のにんじんも多く出回っていますから,たわしなどで表面の汚れを落とし,皮はむかずにそのまま調理に使うことをお勧めめします。
生食するときは,すりおろしたり,千切りや,スティック状にしてサラダにしてみましょう。煮物や天ぷら,和え物,スープ,妙め物など,さまざまな料理に使えます。葉の部分も,炒め物や和え物などにして食べられます。
ニンジンで体調万全=厳しい寒さが続いておりますが,これから3月にかけて指宿市や南九州市など鹿児島県内産のニンジンの入荷がピークを迎えます。ニンジン(Carrot)から発見されたことが名前の由来であるベータカロテンは,抗酸化作用や体内でビタミンAに変わることで粘膜を保護し,風邪や高血圧,肌荒れの予防に効きます。他のビタミン類の効果を促進する働きもあり,野菜から摂取する栄養素の代表格ともいわれるほど有能です。冬場の健康維持のためにも,ベータカロテンの含有量が高いニンジンを積極的に食べたいものです。ニンジンは生のまま食べると,ベータカロテンの吸収効率は含有量の8%程度です。加熱調理することにより吸収効率が高くなり,煮ると30%,油で妙めると50~70%です。カレーや煮物,スープなど調理法はさまざまですが,油と相性が良いため,沖縄料理のニンジンシリシリなど妙め物が特におすすめです。(平成29年2月15日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
油と相性いいニンジン=ニンジンは,3月にかけて指宿市や南九州市,鹿屋市など県内産の入荷がピークを迎えます。体内で必要な量のみがビタミンAに変換されるベータカロテンが豊富です。抗酸化作用で皮膚や粘膜を保護し,風邪や肌荒れの予防に効果が期待できます。ベータカロテンは皮に多く含まれるので,皮は薄くむくとよいでしょう。また吸収効率は加熱調理すれば上がり,油で調理した場合が特に高くなります。油との相性の良さを生かすなら,妙め物やかき揚げ,てんぷら,バターソテーなどがお薦めです。カレーや煮物,スープなど,和洋中問わず幅広く利用できます。表面が滑らかで皮のオレンジ色が濃く,艶があるものを選びましょう。保存に適した野菜で,冷やすと甘みが増します。ラップに包んだりビニール袋に入れたりして,冷蔵庫で保存しましょう。(平成30年2月21日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ニンジンは皮ごと=秋から冬にかけて旬を迎えるニンジン。中東のアフガニスタンが原産で,ヨーロッパに伝わった「西洋系」と中国に伝わった「東洋系」があります。国内で一般的に流通しているのは西洋系で,日本には江戸時代後期に伝わり,明治時代以降普及しました。多くのカロテンを含み,ベータカロテンは免疫力を高める効果や抗酸化作用があり,がんや生活習慣病の予防に役立ちます。また,体内でビタミンAに変換され,髪や視力,皮膚の維持,呼吸器系統を保護する役目も果たします。選ぶ際はオレンジ色が濃く,皮に張りがあり,葉の切り口の軸が小さい方が果肉がやわらかいでしょう。生のままサラダのほか,妙め物,煮物,漬物,スープ,ジュースなどに使えます。皮の部分に栄養が多く,食感が気にならなければ,よく洗って皮ごと食べるのがお勧めです。(平成30年9月26日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
料理に不可欠のニンジン=ニンジンは,産地を変えながら一年中出荷されますが,秋から冬にかけてが旬です。一般的なオレンジ色の五寸ニンジンのほか,おせち料理でおなじみの金時ニンジンなどがあります。五寸ニンジンは北海道と千葉県で全国の半分近くを生産しています。金時ニンジンは西日本を中心に香川県が最も多く生産しています。カロテンが多く含まれ,ベータカロテンは抗発がん作用や免疫を活発にする作用があります。ビタミンAに変換され,髪や粘液,皮膚の健康や視力の維持,のどや肺など呼吸器系を守る働きもあるとされます。千切りにしてキャベツや大根とサラダに,軽く塩でもみ水分を絞ってナムルやあえ物にもできます。薄切りや細切りなら妙め物に,筑前(ちくぜん)煮や肉じゃがなどの煮物料理にもよく使われます。料理に欠かせない代表的な緑黄色野菜です。(令和2年10月21日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
栄養豊富なニンジン=さまざまな料理に使えるニンジンは定番の野菜です。最初に日本に伝わった、漢方薬として有名な朝鮮ニンジンの根の分かれた形が人の姿と似ていたため「人参」と名付けられたそうです。現在、広く流通する西洋系のものは19世紀ごろ日本に伝わりました。ベータカロテンや食物繊維、ビタミンC、カリウムなどの栄養素を含みます。油と相性がいいベータカロテンは妙め物などの加熱料理で、食物繊維やビタミンC、カリウムは熱に弱いためサラダやジュースなど生のまま調理することで栄養素を損なわずに摂取できます。表面に張りやつやがあり、全体に濃く鮮やかな色をしているものを選びましょう。水分をふき取り、キッチンペーパーで包んで冷蔵庫の野菜室に立てて保存するか、カットして冷凍保存するのもお薦めです。栄養豊富なニンジンをどうぞ。(令和6年1月24日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
参考図書:「やさしい家庭菜園」(家の光協会),「野菜まるごと大図鑑」(主婦の友社),「野菜づくり虎の巻」(家の光協会),「旬の野菜の栄養事典」(エクスナレッジムック),「現代農業/発芽名人になる②」(農文協),「ミサコばあちゃん直伝! 旬の野菜 カンタン・おいしく食べるコツ」(東京堂出版),『まるごと にんじん』(絵本塾出版)
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カライモ(甘藷・かいも・サツマイモ)
江戸時代には幕府の命で飢餓対策用に植栽が各藩に推奨され,また終戦後には国民を食料難からの腹を満たすために「救荒野菜」として栽培された“甘藷”。ビタミンCやβ-カロテン・食物繊維が豊富なサツマイモを鹿児島では,大陸からのルーツを尊重しカライモ(唐=カラから伝来した芋/『かいも』)と呼んでいます。父は藁で周囲を囲み保温した「からいもん床」で苗を育苗していましたが,私は4月下旬に苗を購入した「安納」・「紅あづま」・「鳴門金時」を「秋分の日」も過ぎましたので収穫始めました。昔から救荒作物とされており,かなりのやせ地でも育ち,窒素分をやり過ぎると蔓が盛んに伸び出し,隣の畝の芋蔓と交差し盛り上がる程の「つるぼけ」を起こし,肝心の地下茎への養分の転流・蓄積が行われず,太りの悪い水っぽい味の無い芋となってしまいます。途中,炎天下の7月に畝の草取りを2回,後は伸びた蔓から新しい根をつけるのを防ぐ蔓返し(つるおこし)を3回ほどで他には何の手入れもせず。鹿児島の火山灰の大地に一番適合しているのがカライモ。
幼き頃,寝る前に囲炉裏の灰の中に入れておき,朝方寝起きと共に食べた「焼っがらいも」(やきいも)の味は,今でも忘れられません。戦後,食糧難の時期,空腹時の腹を満たしてくれたのが,供出の残りの自家食糧用の小芋の「湯でがらいも」(ふかしいも),「ねったぼ」(餅つきの最後にからいもと餅で作ったきなこでまぶした団子),「こっぱん団子」(からいもを輪切りにし干して粉にした団子)であり,「からいもん飯」(母は,子供が「からいもん飯」と学校での昼食弁当にいたずらを言われないようにと,からいもが混ざらないよう,炊いたお米や麦の上にある芋を上下混ぜる前に,ご飯のみを注意して弁当箱に詰めてくれていました。それでも混ざっているので弁当ふたで隠して食べていました。/子供心にも感謝しながら)という団塊世代以上の人には,カライモにまつわる想いで(からいもの天ぷら・からいもん餅・こっぱん団子etc)も多いのでは。
父は,春になると畑に掘った稲わらで覆った竪穴の「かぃもがま」(からいも貯蔵用の穴)から種イモを取り出し「からいもん床」に植え付け育苗して,長い畝にからいもを作っていました。焼酎工場に卸す仲買人が,畑に大きな「ちきぃ」(さお計り)を持参され,袋に入れたからいもを測り,畑で父にお金を渡しておられたのと,丁度,からいもの収穫の頃,西日本新聞社主催の九州一周駅伝があり,丘(今の葬斎場の前の段々畑)での収穫を一時中断し,国道3号線まで降りて行って,鹿児島県チームに声援を送ったことも。父が生産していた頃は,「農林57号?」・「紫」が中心でしたが,戦後生まれの私は,収穫量ではなく,おいしさ中心に数種類の苗を購入して植え付け,収穫を楽しんでいます。
なお,連作障害は心配ないとありますが,一応,前年植え付けた場所を外して植えています。
また諺に『栗よりうまい十三里』がありますが,十三里はサツマイモのことで,「栗=九里」と「より=四里」を足すと十三里になりますが,江戸から十三里の所に,サツマイモの当時の産地,埼玉県の川越があったことからの諺です。
■知っておきたい効用
江戸時代に薩摩国から栽培が広まったさつまいもは,ほっくりとした甘味が身上。赤紫の皮と黄色い果肉をもつ「紅あずま」や「鳴門金時」から,白肉種の「黄金千貫」まで,さまざまな人気品種があります。紫色の品種の紫色はアントシア二ンで,ポリフェノールの一種です。抗酸化作用があり,がんの予防などに効果があり,セールスポイントは「美容と健康にうれしいビタミンの宝庫」では。
主成分は炭水化物で,エネルギー源となる成分の大部分はでんぷんですが,甘味成分のショ糖も含まれます。腸をきれいに掃除してくれる食物繊維もたっぷり。肌に張りや艶を与え,メラニン色素の沈着を防ぐビタミンC,細胞の老化を防ぐビタミンEがそろって多く,女性の美容健康に絶大な効果を発揮します。
高血圧の予防に役立つカリウムも豊富です。食物繊維には,腸のなかで水を吸って膨らむ水溶性食物繊維も比較的多く含まれるため,満腹感を感じやすく,ダイエット中のおやつにも適します。(がん予防,老化の抑制,便秘の予防改善,糖尿病の予防)
◆調理との組み合わせのコツ
さつまいもに多いビタミンCやカリウムは水溶性で,調理時に損失しやすいのですが,いも類ではあまり失われないのが特徴です。そのまま食べるなら焼きいもや蒸しいもで。油で揚げても栄養の損矢を抑えられますが,カロリー過多になりやすいので,ダイエット中は避けましょう。風邪の予防には,β‐力ロテンとビタミンB2が豊富なかぼちゃやブロッコリーとの食べ合わせがおすすめです。
我が家では,定番の蒸し芋・焼き芋以外に,今年は,皮を剥き輪切りにした生芋をオレンジジュースで煮,干しブドウで少々彩をつけたもの(下写真右~2番目)が“おやつ”に出てきています。現代風の芋料理は,「サツマイモ レシピ」で数多く紹介されています。
※もちは祝い飾りや行事食に欠かせない食材で,もちを通して年末年始の行事やいわれを学ぶことも多いです。元日の雑煮,鏡割りのぜんざいで使った後,今の時期まで残っているもちは,鹿児島では(上写真右端)「ねったぼ」にする機会が多いと思います。鏡割り後あたりから悩まされるのはカどの発生です。もちの保存方法はいろいろありますが,冷凍が一番長持ちします。使う時にはいったん水を通し,軽くレンジにかけてから焼くなどすると使いやすいでしょう。水に漬けて保存する際は,水を毎日替えること,冷暗所に置いておくことが大切です。
●材料(2人分) サツマイモ200㌘,もち70㌘,砂糖大さじ2,A(きな粉大さじ3,砂糖小さじ1,塩少々)
●作り方(50分) ①サツマイモは皮をむいて1㌢厚さに切り,しばらく水にさらしておく。②蒸気の上がった蒸し器に オーブンシートを敷き,①のサツマイモを並べて10分ほど蒸す。③②のふたを開けて,サツマイモの上にもちをのせ,さらに7~8分蒸す。④③のサツマイモともちを温かいうちにすり鉢かボールに移し,すりこぎなどでつぶして練り,途中で砂糖を加える。⑤④が均一に混ざったら,いったん冷まし,二ロ大くらいの大きさに丸め,Aをまぶす。
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サツマイモの苗は直立挿し!?水平植え!?
とにかく大きいイモを収穫したいのなら直立挿し。イモは節の付け根にイモのもと(根原基)ができる。3節くらいしか埋めない直立挿しは,イモの数が少なくなるぶん大きくなる。また,むしろ大イモよりも中イモを収穫したいのなら水平植えだ。より多くの節を埋めるから,イモがたくさん着くぶん小ぶりになる。
サツマイモにくわしい中谷誠先生(国際農林水産業研究センター)に聞くと「苗を2つに切り分けた場合,生長点のあるほうが活着がよく,もとのほうは葉の付け根からわき芽を出しながら発根しなければいけないので活着が遅れ,イモ着きが悪くなるのではないか」という。ただし「同時に活着したとすると,根原基の数はもとへいくほど多いので,イモ数は増えて,中くらいのイモが多くなるかもしれない」ともいう。
なお,一般にマルチ栽培で水平植えは作業が大変で不向きだが,作業的にもっともラクなのは直立挿しだ。
(出典『現代農業』2011.5)
※南日本新聞の生活情報誌『てぃたいむ』(平成23年4月27日)の「菜園くらぶ」に『ビタミンCと食物繊維が豊富サツマイモ』が掲載されていましたのでPDF版で紹介いたします。
※『やさい畑』2011秋号の「旬をいただく 畑薬膳 サツマイモ」に食養研究家・武鈴子氏監修で,腸内環境を整えるサツマイモはデトックスや免疫力アップに効果的,救荒食にふさわし栄養補助食,胸焼けやガスは皮ごと食べれば防げると,サツマイモは薬効の宝庫との記事が掲載されていました。
※平成24年のカライモ苗の植え付けは,『現代農業』平成24年4月号の特集記事「植え方でガラリッ/サツマイモの植え方で収量比べ」を参考に,4月19日の午後,ベニアズマ・鳴門金時・パープルスイートロードの3種の苗を,浅植え・水平挿しで植えつけました。
※平成24年7月8日(日)の南日本新聞こども新聞面の「何でも質問隊」に「サツマイモはどこから来たの/中南米から中国を経由」の記事が掲載されていましたのでPDF版で質問と答えを掲載しました。
※平成25年のカライモ苗の植え付けは,前年よりも10日程遅く4月28日の午前中に,キャベツ・白菜収穫後地に,ナフコ・ニシムタ・コメリ・AZで買い求めた紅アズマ・栗アズマ・鳴門金時・安納イモの4種の苗を,浅植え・水平挿しで植えつけました。
※『やさい畑』2103年冬号の「農家から学ぶ野菜の知恵袋」に,
火傷にサツマイモ=火傷をしたときに,生のサツマイモをおろし金ですりおろし,患部に当て,サツマイモの水分が取られないようにセロハン紙かビニールを上から当てて包帯を。痛みもすぐに止まり,傷跡も残らずきれいに治ります。
が紹介されていました。
※平成26年3月24日配信のタキイメールマガジン『植彩館』の「サツマイモ特集」には,板木利隆先生の監修で,ほくほくと甘くてたまらない美味しさ!女性や子供達にも大人気のサツマイモ!作りやすく家庭菜園にもおすすめです!として「おすすめ品種」として15品種(パープルスイートロード・紅あずま・高系14号・クイックスイート・ひめあやか・ほしこがね・太白・なるっ子・アヤコマチ・タマオトメ・ベニハルカ・安納・栗黄金・べにオトメ・ヘルシー菜すいおう)の紹介に加え,「栽培ポイント」としては,品種選び・優良苗の入手・栽培方法が紹介されていました。
※『昭和の日』昭和89年になる平成26年4月29日,先ず植え付け畝(畝幅80㌢・畝高30㌢・畝間40㌢)を鍬を使って準備を済ませた後に株間(40㌢間隔)を測り,準備した畝に必要な蔓苗本数を確認してから苗を買いに走り,「紅あずま」・「鳴門金時」の2種類の蔓苗を植え付けました。なお,『やさい畑』(2014年春号)の特集記事「植え付け&種播きの秘策」で学習した「丸々と太り,甘さが増す垂直植え」で今年の苗は植え付ける予定でしたが,調理主任のXから「大きな芋は調理に大変」とのリクエストがあり我が家の台所向けには小芋の収穫が主体として「斜め寝かせ植え」で蔓苗を植え付け,9月8日から食べる分だけとして蔓をはいで2株ずつ収穫し,おやつ用にふかし芋で美味しく頂いています。
※平成26年9月26日(金)の南日本新聞の『フォローアップかごしま経済』に,種苗法に基づく農林水産物の知的財産権が切れた種子島の安納いもが独占栽培が昨年切れ,今秋から島外産と競合するとして,次のリード文で紹介されていました。
種子島特産の安納いもの僅産拡大がとどまるところを知らない。2013年は1万㌧の大台を初めて突破,販売額(青果用,キロ平均単価180円)も約23億円と過去最高になった。一方,種苗法に基づき,苗の栽培・販売を島内で015年間独占できた育成者権は13年秋で切れ,島外各地で参入が相次ぐ。他産地と初めて競合する14年の本格出荷が間もなく始まり,正念場を迎える。
平成26年10月1日(水)の南日本新聞の『かごしま旬彩』に,本県のサツマイモの主産地の一つ南九州市頴娃町の「えい太くん」(紅はるか)を使った芋プリン・サツマイモのサラダ料理が「今月はコレ!」で,熟成された甘さ魅力として紹介されていました。
※平成27年のカライモ苗の植え付けは,これまではマルチで覆った畝に植え付けていませんでしたが,南薩地域の焼酎用のからいも植え付け畝が,トラクター施工でのきれいで,また長い黒マルチ畝の広がる光景が刺激を受け,前日にカマボコ型に近い凸畝を畝紐を張り,元肥に堆肥と米糠施した植え付け畝を,黒マルチで覆い準備し,前年よりも5日早く皐月晴れの5月1日の午前中に,しっとり系の「安納いも」・「紅はるか」と,ホクホク系の「紅あずま」の苗を植え付け,9月11日に初収穫を行い,残りを9月26日に収穫を終えました。写真説明:左=今年の苗植え付け 右=蔓を刈り取り今年の収穫の様子
※皆さんもご覧になられたかもしれませんが,平成27年10月4日の午後7時台の民放TV番組で放映された『この差って何ですか?』で,さつまいもの調理法でお芋の甘みに5倍もの差がつくことを。
終戦直後の昭和20年代~30年代初頭,朝食は,供出の残り物の芋が入った「からいもの飯」,おやつは囲炉裏の中で焼かれた「焼き芋」でと,ひもじき食糧難の時代を過ごした身にとっては,興味深く鑑賞させられた番組でした。
さつまいもが甘くなる調理法の1位は「焼く」で,糖度は46.3度=イチゴジャムと同じくらいの甘さ。2位は「蒸す」で,糖度は33.6度=プリンと同じくらいの甘さ。3位は「炊く」で,糖度は26.7度=バナナと同じくらいの甘さ。4位は「揚げる」で,糖度は23.2度=巨峰と同じくらいの甘さと,調理方法によって甘味が全然違うという事実が,プロの料理家の方が調理・出演して紹介されていました。なお,生のままのさつまいもの糖度は8.7度で,これはミニトマトと同じ甘さだそうです。
※大型連休中にからいも苗植え付け畝に黒マルチをはり植え付け準備までは済ませた中,平成28年5月1日の「赤旗」日曜版「くらし彩々」の『手作り菜園』に「サツマイモ 一やせた土地でよく育つ」が掲載されていましたのでPDF版に編集して掲載しました。
なお,平成28年のカライモ苗芋(べにはるか・紅あずま・金時いも)の植え付けは,大型連休最終日の5月8日午前中に,今回は「苗指し棒」(右写真)(長さ40㌢のステンレスパイプ棒で先端が苗先を挟めるようY字型に加工されているカライモ焼酎の原料となるカライモを植え付けている専業農家用の品=@1,050円)を,50㍍を超す長い畝間を車輪の着いた人力台車に苗を乗せ,次から次にと上手に苗を差し込んで行かれる様子を南薩路の車窓から見かけ,AZで販売されていたので買い求め,7㍍近くしかない短い畝2列に苗を指し棒に挟み,土中に斜めに30㌢近く差し込み植え付けを行いました。
※市立図書館から借りてきた坂井健吉著『ものと人間の文化史90さつまいも』には,カライモの「いもづる」に関連する言葉の考察として,同言葉は褒め言葉ではなく,さげすんだりあなどったりする言葉が多いが,裏を返せば,バイタリティに富んで屈せず,庶民に親しみのもたれたものとしての例えられるとして「いもづる」・「いもづる式」・「いも侍」・「いも姉ちゃん」・「いもを洗う」・「いもすけ」・「いもほり坊主」があり,これらは江戸時代末期から明治にかけての藩閥政治で薩摩藩が強かったので,これをねたむ人達の薩摩藩に対する異称から,ねたみ心が軽蔑心となり,薩摩藩とサツマイモをかけて,あまりいただけない言葉としての「いもづる」ができてきたようだと解説されていました。
※平成29年元日の正月番組の中で紹介されていましたが,江戸時代に編纂された『甘藷百珍』には,尋常品(どこの家庭でも日常みられる料理)として21点,奇品(形が珍しく,人の意表をつく料理)として63点,妙品(形が珍しく,味が奇品より優れる料理)としては28点,絶品(妙品の更に上をいく極上級の料理)には11点の四等品に分類され,料理品目は全部で123点にも及び,そのほとんどは,現代のレシピと違って極簡単な説明で書かれ,調理法は至って簡単です。
ちなみに「絶品」の11点の名称だけを紹介しますと
「でんがくいも」,「ハンペンいも」,「南禅寺いも」,「樺焼いも」,「ふはゝいも」,「狸(たぬき)斟羹(じる)いも」,「いもとじ」,「いも麻(ごま)豆腐」,「藷(いも)仕立核桃(くるみ)豆腐」,「塩焼いも」,「塩蒸やきいも」です。同名称から江戸人になり代わり貴方の料理のカンと腕で復元調理に挑戦してみませんか。
※タキイネット通販の平成29年2月13日増刊号メールマガジンの「植彩館」に「手間が省ける~! 挿し穂から始めるサツマイモ栽培」の記事が細川代一氏の監修で紹介されており,また末尾にはサツマ芋の苗植え付け作業時の腰をかがめての作業を助ける「かんしょ植え付け器さすけAP-02」(苗をらせん状に絡ませて,土に挿し込み引き抜くだけで植え付けが完了し,マルチの上から作業できるので,あらかじめマルチへの穴あけが不要で,使用した農家からは以前の手植に比べ1.5倍という長さ63㌢の鋼管製品@3,560円)も紹介されていました。
※平成29年の梅雨明け発表があった翌日の7月14日,『やさい畑』(2017年初夏号)の「農家から学ぶ野菜の知恵袋」に,今から86年前の昭和6年に「家の光」に読者から投稿された「サツマイモを太らせる秘訣」のアイデアとして「天候によって,または肥料の関係でサツマイモが蔓ばかり伸びて,肝心の芋が太らない時には,草木灰を水に溶かして,1,2回葉の上にかけると不思議と蔓の伸びが止まり,芋がよく太ります」の紹介がありましたので,保存していた草木灰を水に溶かしジョウロでカライモの葉面に散布しましたが,ジョウロの目がが木灰のくずで詰まりうまくいきませんでしたので,バケツの中の草木灰の上澄み液を手で散布することにしました。
味わい深いサツマイモ=鹿児島県が全国一の生産量を誇るサツマイモ。栽培・貯蔵技術の発達でほぼ一年中出回りますが,栄養価が高く日持ちする新もの中心の9~11月,水分が適度に抜け甘みが増した貯蔵ものが出る1~2月の年2回が旬です。主成分のデンプンは,60~70度で加熱すると酵素の働きで麦芽糖に変わり甘みが増します。ピタミンCはデンプンに保護されて加熱しても壊れにくく,抗酸化作用のあるビタミンEや高血圧予防に有効なカリウム,整腸作用のある食物繊維など,機能性成分も豊富に含みます。焼き芋にする場合ホクホクとした食感なら紅さつま,しっとりとした食感なら紅はるか,クリーム状のねっとりとした食感なら安納芋といった品種をお薦めします。最近は高糖度のものが多いので,うまく調理すればスイーツにも負けない味わいが得られます。
※今年のカライモ収穫を終えた翌日,平成29年10月26日の南日本新聞『かごしま食の底力―機能性研究の現場から―』に「サツマイモ 世界救う〝準完全栄養食〟」の見出しで,サツマイモの素晴らしい栄養性能が紹介されていましたのでPDF版に編集して紹介します。
イモの充実と食味がアップ! “ツル返し&株間踏みつけ” 圧力をかけるとおいしくなる
サツマイモのツルがモサモサと茂ってきたら,「ツル返し」が必要。茂ったツルを持ち上げて不定根を土から引き抜くことによって,地中のイモが大きく育つ。
そもそもサツマイモは中南米の乾燥地帯原産で,乾燥を好み,痩せた土でよく育つため,無肥料栽培にとても向いている作物だ。一方,肥料を施した畑では窒素過多でツルボケし,ツルばかり茂って肝心のイモがあまりつかない。
そんなときは,ツル返しをするとともに,株間をツルの上から思い切ってギュツと踏みつけるといい。サツマイモが危機を感じて,栄養生長から生殖生長にスイッチが入り,イモのつきがよくなる。また,踏んで圧力がかかることでイモの細胞に蓄えられた養分が凝縮され,おいしさもアップする。『野菜だより』(2018年夏号)
※平成30年9月12日(水)午後7時半からNHKのTV番組『ガッテン!』では,「ベニアズマ」:「べにはるか」の焼き芋対決や,種子島の「安納芋」の冷凍食,郷土料理の天ぷら「がね」が登場する中,「さつまいも大革命!味の新世界てんこ盛りSP」が放映され,家族して興味深く観賞しました。
サツマイモ貯蔵で甘く=サツマイモの生産量は,鹿児島県が全国1位を誇っています。旬は秋のイメージが定着していますが,秋だけでなく冬にかけてもおいしく食べられます。収穫後に2,3カ月貯蔵すると水分が抜け,甘くておいしいサツマイモに変化します。そのため8~11月に収穫した場合の食べごろは,10~1月ごろです。皮の色が全体的に鮮やかで,表面に張りと艶があるものを選びましょう。真ん中が太く,持ったときにずっしりとした重みを感じるものがお薦めです。水分に弱く,水が付着した部分から傷んでしまうため,土つきの場合は洗わずに土をはらってください。乾燥させてから新聞紙に包んで保存しましょう。すでに洗ってある場合は通気の良い,涼しいところで乾燥させて早めに食べてください。(令和3年9月1日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から)
種類豊富なサツマイモ=サツマイモは国内だけではなく海外でも人気です。鹿児島県が収穫量全国一で,これから旬を迎えます。甘味が強く貯蔵により粘質でしっとりとした肉質になる「紅はるか」や,舌触りがなめらかな「シルクスイート」,果肉がオレンジ色で甘味が強くねっとりとした「安納いも」など種類は豊富です。 整腸作用のある食物繊維や,風邪の予防,疲労回復に効果があるとされるビタミンCが含まれます。サツマイモのビタミンCは加熱しても壊れにくい特長があります。皮に張りがあり,色が均一で,表面に蜜が浮いて固まっているものは糖度が高いと言われています。8月31日は,「や(8)さ(3)い(1)」の語呂合わせにちなんで,野菜の日に制定されています。近くのスーパーや青果店でサツマイモをはじめとした野菜を手に取り,ぜひ味わってください。(令和4年8月31日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から)
食感多様なサツマイモ=鹿児島県はサツマイモの収穫量が全国1位を誇ります。中米が原産といわれ、江戸時代に薩摩(鹿児島)から全国に伝わったので「サツマイモ」と呼ばれるようになりました。現在は改良が進み、ホクホク食感の「紅あずま」や「紅さつま」、ねっとりとした「安納いも」「紅はるか」、舌触りが滑らかでしっとり系の「シルクスイート」など多様な品種があります。腸の状態を整え、便秘予防が期待できる食物繊維が豊富です。切り口から出る乳白色の液体・ヤラビンにも整腸作用があります。皮に張りがあり、傷や黒ずみがなく、ひげ根の少ないものを選びましょう。低温と乾燥に弱いので、冷蔵庫には入れず、新聞紙に包んで風通しの良い冷暗所で保存してください。語呂合わせで8月31日は野菜の日に制定されています。サツマイモをはじめ、今が旬の夏野菜などいろいろ味わってみてください。(令和5年8月30日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から)
薩摩から広がるサツマイモ=鹿児島県はサツマイモ収穫量が全国1位を誇ります。中米が原産といわれ、江戸時代に薩摩から全国に伝わったことが名前の由来。土壌を選ばず痩せた土地でも育つため、江戸時代の凶作や戦時中に多くの人々を飢えから救いました。関東を中心に紅あずま、関西や南九州地域では紅さつまや鳴門金時が作付けされでいます。品種改良が進み紅はるかなどのねっとり系品種も多くみられます。米や麦よりもカロリーが低く、ビタミン類や食物繊維が豊富に含まれているのが特長。切り口から出る乳白色の液体・ヤラビンは整腸作用があり、便秘予防に効果があります。紅色が濃く、肌が滑らかでつやがあるものを選びましょう。低温と乾燥に弱いので、新聞紙に包んで風通しの良い冷暗所で保存してください。語呂合わせで8月31日は野菜の日。サツマイモをはじめ、今が旬の夏野菜などいろいろ味わってみてください。(令和6年8月28日/南日本新聞『買いごろ 食べごろ』から)
☆ 食感・甘みでみたサツマイモの品種 出典:『現代農業』(平成24年2月号)
しっとり系 |
安納いも |
種子島の在来品種。ねっとりした甘みの強い焼き芋は大人気 |
べにはるか |
注目の新品種。収穫後1カ月ほどでしっとり甘くなる。焼き芋は冷めても美味しい |
アヤコマチ |
β‐カロテンを含み,色鮮やか。栄養豊富な総菜等に |
種子島紫 |
種子島の在来品種。舌触りが滑らかで食味がよい |
ひめあやか |
食べきりサイズの小芋が多く取れる。肉食は,食欲をそそる鮮黄色で食味は良好 |
べにまさり |
早掘り栽培でも糖含量が高く良食味。しっとりした食感と上品な甘みが魅力 |
クイックスイート |
デンプンの糊化温度が低く,調理の早いうちから酵素が働き,甘みが増す |
ホクホク系 |
パープルスイートロード |
多収で芋の形がよい。貯蔵してから焼き芋等に加工する |
高系14号 |
適度なホクホク感があり,貯蔵により甘みが増して食味が向上する
(鳴門金時・ベニサツマ・宮崎紅・五郎島金時etcの地域ブランド品種は,高系14号からの選抜) |
ベニアズマ |
多収で立枯病に強い。栗のようにホクホク感があり良食味 |
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『再発見,からいもの魅力』(南方新社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『病気にならない食べ方食べ物』(海竜社),『サツマイモの世界 世界のサツマイモ―新たな食文化のはじまり』(現代書館),『焼きいもが,好き!』(農文協),『まるごと さつまいも』(絵本塾出版)
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サトイモ
昨年暮れ,収穫後の親イモを来年の種イモとして使用するため,70㌢の深さの穴を掘り,周りをワラで囲んだ中に逆さまにして埋めて保存していたのを,霜の降らないの確認した3月末に穴から掘り出し,4年間空けた(=輪作)畑に堆肥を十分施肥し(「サトイモは堆肥でつくれ」とも言われています)幅広の畝に,平成24年以降は,
『現代農業』平成23年5月号「サトイモ植え,わたしのコツ公開」,2012新春号『野菜だより』の“親イモ逆さ植えでサトイモ大収穫!”,『現代農業』平成24年4月号“植え方でガラリッ”「サトイモの逆さ植え」の特集記事を参考に親芋の逆さ植えで栽培し,ご近所にもこの親芋の逆さ植えを普及させようと努めていますが,収量の問題ではない,今世間で問題となっている『いじめ』を野菜までにはと,お書物で紹介されている「親芋の逆さ植えは,効果抜群」の頁を示して紹介しても,周囲の見習い農家内では増える傾向にはありません。
そんな愚痴をこぼしている中,令和元年10月,我が小菜園を視察に見えた中郷のA先輩から「近所の叔母さんが,種芋に子芋を分けて下さいとご近所さんから言われるが,親芋にするには子芋より親芋が良いのに言っておられたし,君と一緒の親芋の逆さ植えを実践しておられるよ」との情報に接しましたし,市立図書館から借りてきた家の光協会の『ひと工夫でこんなに差が出る!驚きの家庭菜園マル秘技58』(右写真)の中に,サトイモの親イモ逆さ植えがマル秘ワザとして紹介されていました。
「サトイモの逆さ植え」について詳しく知りたい『園芸新知識/はなとやさい/2021年3月号/園芸なんでもQ&A』>
「サトイモの逆さ植え」は長野や熊本で栽培されていましたが,最近になって全国的に広がってきました。芽を上にして植える従来の植え方では,親イモの上に子イモ,その上に孫イモが地表近くにできます。孫イモなどが地表から出て日光に当たると「青イモ」になり味が落ちるので,土寄せが必要となります。
しかし,芽を下にして植える逆さ植えでは深植えした状態になり,親イモが普通植えの場合より下にできます。すると,子イモや孫イモは地表よりかなり下にできるため,土寄せの必要がなくなります。さらに親イモが深くにできるため,子イモや孫イモが育つ空間も広くなり,大きくて揃いのよいイモに育つようになります。
逆さ植えの方法はまず,タネイモの芽を下にして苗床に植え,その上に土をかぶせ,地温を上げるためにマルチを張ります。約20日後に芽が伸びてきたらマルチを取り除き,2~3本出る芽のうち丈夫な芽を1本残し,芽を下にして普通の深さに植えます。するとタネイモから出た芽は,いったん下に伸びるため,通常より深い位置に親イモを作ります。親イモが発育して肥大するにつれ,親イモに子イモがつくようになります。地中に十分な広さがあるので子イモは大きく育ち,さらにその上に孫イモをつけ,孫イモも大きく育ちます。
ただし,逆さ植えのデメリットとしては,次の三つが考えられます。
①苗床で逆さ植えにして出てくる芽を 生育旺盛な1本に揃える必要があります。②普通植えに比べ,発芽までにやや時間がかかるようです。③発芽が遅れるのに加え,子イモと孫イモが大きく育つ分,収穫時期はやや遅くなるようです。
植え付けから1か月半も経つと親芋から芽が何本も出てきますが,元気な芽を1本だけ最初は残し,他の側芽は全て引き抜き,根株の生育を図ります。なお,この側芽かきは最初の1回だけで,後から出る芽はそのまま残します。梅雨明け後,7月に化成肥料を追肥として施し土寄せし,8月に根元の草取りを兼ねて中耕したサトイモ,(夏場襲来した台風の強風で葉は引きちぎられたり折れてしまいましたが,元気に回復し)今秋は9月中旬から毎週一株ずつ子芋がいっぱい着いた親芋を掘り起こし煮物が食卓をにぎわしています。最初の収穫は,9月の中秋の名月のお供え物としてあげるために掘ったのですが,その時はまだ小さかったものが,今では本当に大きな子イモに。
なお,わが家で作っているサトイモは,30年ほど前,市の農林水産課が農家に推奨した品種を分けてもらったものを植え続けており,品種は失念し不明です。
サトイモは,サトイモ科に属し,原産地は東南アジアで,縄文時代にお米よりも先に大陸から伝わった作物と言われています。万葉集には『蓮葉(はちすば)は かくこそあるもの 意吉麻呂(おきまろ)が 家なるものは 芋(うも)の葉にあらし』とサトイモを 芋(うも)として詠まれており,歴史時代から食されていた植物です。
お袋の味の代名詞ともなっていますサトイモの煮っころがしが有名ですが,主成分はデンプンで,タンパク質やビタミンB1,カリウムを含み,食物繊維も多く,イモ類の中では,低カロリーです。あの独特のヌルヌルは,消化酵素等を含んだ物質で,消化を助け,免疫力を強め,病気予防に効果があるそうです。甘さの割にカロリーが低くダイエット中のあなたに向けのイモではないでしょうか。我が家のサトイモに関する想い出として,以前というよりも昔になりますが,初物の収穫が始まった頃,サトイモの味噌汁を欲する親父に,サトイモの新しいのは,皮を剥くと手が痒くなると母がこぼし,親父が食べたいばかりに,しかたなくサトイモの皮を剥いていたのを昨日のように思い出しました。
発芽の最低温度は15℃,生育に適した適温は25℃~30℃で,高温多日照を好む作物で,地上部の葉は霜に当たると枯れてしまいますが,土中のイモは5℃まで耐えてくれるそうです。多湿を好みますが,乾燥には弱く,乾燥すると生育が低下してしまいます。今年も夏場のサトイモ畑の乾燥を防ぐため,ホースを伸ばし井戸水を畝の間に施し,夏の暑さ(乾燥)から,根元の乾燥を防ぎました。また,土質は,選びませんが,連作は極端に嫌う野菜ですので4年~5年の輪作を心がけるようにしましょう。
暦も最後の1枚となり「師走」となった12月1日,最後の2畝をスコップを使い収穫し,食用の子芋は,ひげ根を取り土が着いたままの状態で,乾燥を防ぐためワラと籾殻を敷き詰め,雨水を防ぐためにワラで三画粋の屋根で覆った土穴に。また親芋はワラを敷き詰めた土穴に前年お書物で学んだように芽を下にして埋め保存しています。
■知っておきたい効用
水分が多く,いも類のなかでは低カロリーなほうです。一方,たんばく質やカリウムなどの栄養素,食物繊維を豊富に含みます。
独特のぬるっとしたぬめりは,たんばく質と炭水化物が結合して生まれるガラクタンという成分によるもの。水溶性食物繊維の一種で,血中のコレステロールの上昇を抑えたり,がんのリスクを減らすとともに,脳細胞を活性化する働きがあるとされます。また,水溶性植物繊維のなかにはマンナンという成分も含まれます。
ビタミンEは,抗酸化作用があり,老化の抑制や血行改善に効果があります。いも類のなかでも特に豊富なカリウムは,余分なナトリウムの排出を促す作用により,高血圧の改善に役立ちます。(便秘の予防・改善,糖尿病の予防,高血圧の予防・改善,胃潰瘍の予防)
◆調理との組み合わせのコツ
さといもにはぬめりが多いため,煮汁が粘ってにごりが出て,調味料がしみ込みにくい野菜です。そのため,塩で軽くもみ,水から煮てぬめりをとるなどの下ごしらえが必要です。ただ,長時間火を通しすぎるとぬめりが落ちてしまい,有効成分が生かせなくなります。短時間でゆでて,出てきたぬめりを水で洗い流すとよいでしょう。さといもと同様に食物繊維を多く含むごぼうやこんにゃくを合わせると,味も合い,高血圧やがんの予防効果を高められます。
◎皮をつるりとむくテクニック
里イモの皮むきには,昔から皆さんご苦労されておられるようで,TVからは,小川の竹籠に皮付きの里イモ入れ,川の流れと竹籠との摩擦で皮をむく独自な方法が紹介されていましたが,庭先を小川が流れているような家庭は少ないですよね。特に小さな里いもは,すべって皮がむきにくいものですが,加熱してからむけば扱いやすく,つるりとむくことができます。この方法なら,有効成分のぬめりをとりすぎることもなく,一石二鳥です。
里いもを洗って上下を切り,蒸気の上がった蒸し器に並べて蒸すだけ(200㌘あたり10~15分が目安)。皮を切り落としたところから里いもを押すと,包丁でむくよりも薄く,簡単に皮がむけます。
※『やさい畑』2012年秋号の「農家から学ぶ野菜の知恵袋」には,サトイモを洗うと手がかゆくなるのなら,サトイモに触れないで洗う方法として,①サトイモに水をかけ皮が濡れる程度にし ②これを布袋に入れ,地面に向け10回ほど振り上げるようにして叩き ③芋を取り出し流水で洗う という方法が紹介されていました。
※『現代農業』平成23年5月号に「サトイモ植え,わたしのコツ公開」=逆さ植えで青イモが減った 巨大親イモを種イモとして逆さ植えの栃木・兵庫県先輩農家の2編の記事が掲載されていました。
※12月11日(土)の南日本新聞『晴耕雨悦』に作家の木村幸治氏が“仲間と囲む宴に陽は落つ”とサトイモを寄せられていましたので,同記事を掲載しておきます。
※10月3日(月)の南日本新聞『かごしま食育レシピ』に「里芋のみそころばかし」の記事が掲載されていましたのでPDF版で紹介します。
※2012新春号/1月号『野菜だより』の西村和雄さんの畑の食いしん坊教室に「親イモ逆さ植えでサトイモ大収穫!」の記事が掲載されていました。
※平成24年のサトイモの植え付けに際しては,『現代農業』平成24年4月号の特集記事に“植え方でガラリッ”「サトイモの逆さ植え」を参考に,3月28日,初挑戦で親芋を逆さにして植付けてみました。
※『やさい畑』2102年秋号の「旬をいただく 畑薬膳」に中秋の名月は,別名「芋名月」とも言いますが,満月にお供えする風習のある「サトイモ」に関し,胃腸を活性化し消化や排便を促し,滋養強壮・血行促進・精神作用がありますよと,食物研究家の武鈴子先生の監修で掲載されていました。
※『やさい畑』2103年冬号の「農家から学ぶ野菜の知恵袋」に,
深く刺さったとげをサトイモで取る=とげが深く刺さってしまい,とげ抜きで取れないときは,すりおろしたサトイモを患部に塗ると,かなり深いとげでも1日もたたずに取れます。
サトイモの皮を楽にむく方法=サトイモやナガイモの皮をむくと,手がかゆくなって困るという体質の方が折られますが,食用油を数滴手に落とし,手全体に塗りつけてから皮をむくと,手にまったくかゆみがありません。食用油以外には,重曹又は食酢を手にこすりつけておくとかゆみを感じません。
が紹介されていました。
ダイエットには特にお薦め=サトイモは,親イモを中心に子イモや孫イモがたくさん増えていくことから,子孫繁栄を願う緑起のよい食べ物として親しまれています。独特のぬめりは,水溶性食物繊維のマンナンやガラクタンによるもので,便秘防止・消化促進・免疫力向上などの効果が期待できます。さらに低カロリーで食物繊維も豊富なため,ダイエット中の人には特にお薦めしたい食材です。筑前煮や煮転がしなどが一般的です。みそや昆布,タマ,ネギと組み合わせるとダイエット効果をさらに高めます。サトイモ入りのみそ汁を食卓に加えてみてはどうでしょう。丸みがあって変色や傷がなく,泥付きのものが良品です。低温と乾燥に弱いので,土がついたまま新聞紙に包み,風通しのいい冷暗所で保存しましょう。貯蔵性が高く年中出回るサトイモは,秋から冬にかけて旬を迎えます。(平成29年9月13日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
※スーパーに旬のサトイモが並ぶ。鹿児島は大隅半島を中心とした全国屈指の産地だ。「鹿児島産」と書かれた店頭表示がうれしい。特有のぬめりに胃腸を守る働きがあると聞けば自然と手が伸びる▼日本人とサトイモの付き合いは古い。「くらしのこよみ」(平凡社)によると,稲より先に渡来し,万葉集にも登場する。江戸時代まで芋といえばサトイモを指していた。一つの親芋から子芋,孫芋がたくさんできるため,子孫繁栄の縁起ものとして祝いの膳に欠かせない▼今夜は中秋の名月。「芋名月」とも呼ばれる。昔ながらにススキや団子,粟と一緒に供える家もあるだろう。この夏は全国的に豪雨にたたられた。出来栄えはどうだっただろうか。秋の恵みをいただけることの感謝を忘れまい▼気になるのは男心にも,女心とも例えられる移ろいやすい秋の空である。九州南部はおおむね日中は晴れる予報だが,次第に雲が出てくるそうだ▼風流人は月が雲にさえぎられても「無月」,降られたら「雨月」と呼んで十五夜を楽しんだという。「杯中に無月のこころ閑かなり」(京極杜藻)。酒の杯に月が映り込まなくても,それはそれで良しとしよう▼塩ゆで,煮っころがし,みそあえ。サトイモはどう料理してもおいしい。寒気の南下で夜は冷えるらしい。月をゆっくりと待ちながら,焼酎のお湯割りを手に「芋づくし」はいかが。平成29年10月4日(水)/南日本新聞『南風録』から
※小雨の降る中で明けた平成29年11月30日の南日本新聞の『かごしま食の底力―機能性研究の現場から』に「サトイモ/血管しなやかに,高血圧抑制」の鹿県内で進む「湛水畝立て栽培」(サトイモは畑で作るのが一般的ですが,水田に畝を作って種芋を植え,水を掛け流しながら育てると,根からの水分吸収量が増えて光合成速度が増し,生育が促進されるという新しいサトイモの栽培法)の記事が紹介されていましたので,朝1時間ほどかけPDF版に再編集し掲載しました。
植物繊維豊富なサトイモ=古くから祭事や神事に使われたサトイモです。東南アジア原産で,日本には縄文時代に伝わりました。主に里で栽培されていたため,サトイモと呼ばれるようになりました。主成分はデンプンとタンパク質で,食物繊維,ビタミンB1・B2,カリウムをバランスよく含みます。ヌルヌルの成分には肝臓を丈夫にしたり,胃腸の表面を保護し胃潰瘍や腸炎を予防したりする効果が期待できます。低カロリーで食物繊維も多く,ダイエットにもお薦めです。丸みがあって変色や傷がなく,泥付きのものが良品です。低温と乾燥に弱いので,土がついたまま新聞紙に包み,風通しの良い冷暗所で保存しましょう。筑前煮や煮転がしなどが一般的ですが,コロッケや汁物などさまざ患な料理法が楽しめます。秋から冬にかけて旬を迎えます。/ほっくりしたおいしさと,ねっとり感をご賞味ください。(平成30年9月12日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から)
縁起物のサトイモ=サトイモは親芋を中心に子芋,孫芋とたくさんの芋ができるため,子孫繁栄の縁起物としてお正月料理などに親しまれています。主成分はでんぷんとタンパク質で,食物繊維,ビタミンB1・B2,カリウムをバランスよく含みます。独特のぬめりはマンナンやガラクタンという成分のせいで,便秘予防や免疫力向上といった効果が期待できます。低カロリーで食物繊維も豊富なため,ダイエット中の人には特にお薦めしたい食材です。丸みがあって変色や傷がなく,泥付きのものが良品です。皮は乾いているものよりも少し湿り気のある方が新鮮です。低温と乾燥に弱いので,泥が付いたまま軽く湿らせた新聞紙に包み,風通しの良い冷暗所で保存しましょう。秋から冬にかけてが旬です。筑前煮や煮転がし,コロッケをはじめさまざまな料理でご賞味ください。(令和元年9月11日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から)
食物繊維多いサトイモ=サトイモは東南アジアが原産地で、日本には縄文時代に伝わったといわれます。米より古い主食であったとも考えられています。カリウムが豊富でイモ類の中ではカロリーが低く、食物繊維も比較的多いです。特徴であるぬめりは、食物繊維の一種であるマンナン、ガラクタンなどの成分によります。マンナンは便秘の解消や糖尿病の予防効果で知られています。ガラクタンには、腸の動きを活発にし、血糖値の上昇を抑える効果があります。土が適度についており、表面が湿っているものが新鮮です。表面の土を洗ってあると品質の低下が早く、風味が落ちている場合があります。乾燥に弱いので、表面に傷やひび割れがあるものは避けましょう。貯蔵性が良く、最近では年中出回っていますが、旬は秋から冬にかけてです。ホクホクした食感のサトイモをぜひご賞味ください。(令和2年9月16日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から)
ホクホク食感のサトイモ=サトイモは親いもを囲むように子いも,孫いもが育つため,豊作や子孫繁栄の象徴とされてきました。品種によって食べる部分が異なり,「石川早生(わせ)」に代表される子いも用,「たけのこいも」に代表される親いも用,「セレべス」に代表される親・子兼用の三つに大別されます。イモ類の中ではカロリーが低く,カリウムが豊富で食物繊維も比較的多いです。特長であるぬめりは,マンナンとガラクタンという水溶性食物繊維によるもの。マンナンには便秘解消や糖尿病予防効果があり,ガラクタンは血糖値やコレステロール値の上昇を抑えてくれます。お尻がかたく締まり,しま模様が等間隔でふっくら張りのあるものを選びましょう。泥付きの方が保存に向きます。最近は年中出回っていますが,旬は秋から冬。ホクホクした食感のサトイモをぜひご賞味ください。(令和3年9月15日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から)
サトイモ保存は常温で=サトイモは,山で取れる山イモ自然薯)に対し,村(里)で栽培されることに由来しています。子イモがたくさん増えることから子孫繁栄のめでたい食べ物とされています。サトイモのぬめりは,マンナン,ガラクタンという成分によるもの。マンナンは便秘解消や糖尿病を防ぐ効果で知られています。ガラクタンには腸の働きを活発化し,血糖値上昇を抑える効果があります。他のイモ類よりカリウムの量が多く,ナトリウムを体外に排出する働きがあるため,高血圧予防も期待できます。泥付きの方が日持ちします。皮のしまがはっきりとして,柔らかくなっていないものがお薦めです。寒さと乾燥が苦手なので,冷蔵庫には入れずに新聞紙に包んで常温で保存するとよいでしょう。土垂,石川早生など粘りのあるタイプと,セレべス,八つ頭などほくほくしたタイプがあるので,品種を選んで使いましょう。(令和4年9月7日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から)
里芋ぬめりで免疫向上=里芋は東南アジアが原産といわれ、縄文時代には日本へ伝わっていたとみられています。平安時代の辞典「和名抄」には食用になることが記され、万葉集にも詠まれています。ふっくらと丸みがあって変色や傷がなく、泥付きのものが良品です。皮は湿り気がある方が新鮮です。お尻の部分が柔らかいと傷んでいたり、鮮度が落ちていたりする可能性があるので注意しましょう。低温と乾燥に弱いので、軽く湿らせた新聞紙に包んで冷暗所に保存します。ぬめりはガラクタンやマンナンという成分に由来します。前者は免疫力を高め、血中コレステロールの抑制や便通をよくする働きがあり,後者も糖尿病予防などが期待されます。ナトリウムや葉酸、ビタミンB6も含んでいます。皮付きのままラップに包み、電子レンで加熱すれば手でむけます。筑前煮転がし、コロッケなどいろいろな料理で楽しんでください。(令和5年9月6日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から)
秋の夜長に里芋食べて=秋から冬にかけてが旬の里芋、ねっとりとして柔らかい「土垂」や、ぬめりが少なく、ほくほくした食感の「八ツ頭」、きめが細かく煮崩れしにくい「海老芋」などの種類があります、一つの親芋から子芋、孫芋と増えていくため子孫繁栄の縁起のいい食材とされています、ふっくらと丸みがあり、変色や傷がなく、泥付きのものが良品です、皮は湿り気がある方が新鮮、軽く湿らせた新聞紙に包んで冷暗所に保存しましょう、ぬめりはガラクタンやマンナンという成分に由来し、前者は免疫力を高め、血中コレステロールの抑制や便通をよくする働きがあり、後者は糖尿病の予防などに効果が期待できます、ナトリウムや葉酸、ビタミンB6も含んでいます、ご汁やみそ汁、コロッケなどの揚げ物でもおいしく食べられます、秋の夜長にいろいろな料理で楽しんでみてはいかが。(令和6年9月11日/南日本新聞『買いごろ かごしま 食べごろ』から)
使える!昔農家のお宝ワザ 里芋の巻/face> 出典:『やさい畑』(2018年冬号)
江戸時代に,「農家は必ず栽培すべき野菜」とされたサトイモ。「努力しだいで必ず収穫できる」と言われ,各地で様々な工夫がみられましたが,その中から,現代にも通用する2つの増収法を紹介します
『農業蒙訓』(伊藤正作[天保十一年=1841年]) 尻切りによる増収法=里芋は日当たりよき畑に床植えして土を覆ひ,芽が二,三寸立ちたるとき,田畑に移しかえる。この時,種芋の尻を四,五割ばかり小刀にて切り,切り口に灰をつけて,白根の傷まぬように植え替え,肥を施すべし。芋の入りが倍になる。
【解説&実践法】
種イモを発芽させ,イモの尻(下部)を切り落としてから植えつけるという方法。栄養分の詰まった種イモを切ってしまうと,生育が悪くなって収量も減るかと思いきや,逆に2倍に増えるというから驚きです。サトイモの原産地はインド東部~インドシナ半島。そのため低温に弱く,気温の低い時期に芽を出してしまうと,寒さで傷んでしまうことがあります。そこで,誤って冬のあいだに発芽しないよう,種イモの尻の部分からは,芽の伸びを抑制するホルモンが出されています。尻を切り落とせば,それまでホルモンによって抑えられていた芽の伸びが一気に進み,地上部の生育が旺盛になります。その結果,光合成によってつくられた養分が地下に転流し,親イモが充実して,周囲に食べごろサイズの子イモ,孫イモがたくさんつきます。
種イモを芽出しする 3月中~下旬,ポリポットに畑の土や腐葉土などを入れ,芽を上にして種イモを植えつける。日当たりがよく暖かい場所に置き,芽を6~9cm程度まで伸ばす。
種イモの尻を切る 芽の伸びを抑制していたホルモンの放出が止まり,芽の生長が一気に進む。
切り口に草木灰を着ける 種イモの切り口に草木灰を着けて植えつける。草木灰には殺菌効果があり,種イモが腐るのを防ぐ。
子イモの数が多い 地上部の生育が旺盛になり,茎葉での光合成量が増え,地下に転流する栄養分が増え,食べやすい大きさの子イモがたくさんつく。また孫イモやひ孫が肥大しやすくなる。
『菜園温古録』(加藤寛斎[慶応二年=1866年]) 芋を太らせる植えつけ法=芋種へ下肥を汲み掛け,鍬にてまぶし,灰をくるみ,一日干して植えるなり。やわらかに芋太く育ち,一畝からの収穫が,二畝と同じ量になるべし。
【解説&実践法】
種イモに下肥をまぶすことで,収量を増やすという栽培法。種イモにまぶす下肥は,単なる人糞と思われがちですが,実は1年以上かけてじっくり完熟させたもの。江戸時代における代表的な肥料で,化学肥料が一般化するまでは広く使われていました。肥料成分として重要な窒素は,窒素化合物であるアンモニアや硝酸の状態で野菜に吸収されます。じつは,アブラナ科などの双子菓植物は,硝酸成分をよく吸収しますが,サトイモをはじめとした単子葉植物は,アンモニア成分を好みます。汲み取り式便所のにおいを覚えている方ならよくわかると思いますが,下肥にはアンモニア成分が豊富に含まれています。下肥をまぶすことで,株の生育がぐんとよくなり,イモも大きく育ちます。家庭菜園では,下肥と同じようにアンモニア成分を産出しやすい米ぬかを使うとよいでしょう。
米ぬかをかける 植え穴に種イモを入れたら,軽く土をかけ,イモが見えないようにする。その後,米ぬかを1株当たり5~10㌘(一つまみ程度)ふりかけ,さらに土をかけて,植え穴を埋める。
米ぬかが分解される 米ぬかは微生物の良質な餌となり2~3週間で分解され,根から吸収されるアンモニア成分になる。未分解の米ぬかは,害虫を引き寄せることがあるので,イモに直接触れないようにする。アンモニアを吸収すると サトイモの根が伸び始めた頃,米ぬかの分解が終わり,土中のアンモニア成分が増えると,その結果,サトイモはアンモニア成分を効率よく吸収することができる。生育が旺盛になり,地上部がよく育って,イモも肥大しやすい。
令和4年の生育管理メモ
種 芋 植 付 | 収 穫 開 始 | 収 穫 終 了 |
3/9=土中に埋設していた前年の親芋を掘り上げ逆さ植で | 中秋の名月に供えるため9/9~ | 茎葉が枯れだした12/11まで収穫を楽しみ,親芋・子芋は分別し貯蔵穴に |
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『新 野菜づくりの実際』(農文協編),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『ひと工夫でこんなに差が出る!驚きの家庭菜園マル秘技58』(家の光協会),『農家が教える野菜づくりのコツと裏ワザ』(農文協),『かゆいところに手が届く!野菜作り達人のスゴ技』(NHK出版)、『やさい畑』(2023年4月号)
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ジャガイモ
現在,庭先の畑で栽培していますジャガイモですが,昭和30年代までは,水はけの良い岡のジャガイモが美味しいとして,菅原神社先の借地の傾斜地で『男爵』を栽培し,蒸かしイモやカレーの具として利用していました。
ジャガイモの原産地は,冷涼な気候の南米アンデス山脈地方。スペイン人によって,16世紀にヨーロッパへ渡りました。初めて日本にジャガイモが伝来したのは,江戸時代初期,インドネシアのジャワ島から,オランダ人が長崎に持ち込んだとされています。明治に入り,北海道でヨーロッパ型農業をとり入れるようになって,開拓者の食料として,またデンプンの原料として,本格的なジャガイモ栽培が始まりました。このころに,日本でも栽培しやすい『男爵薯』や『メークイン』が導入されました。
ジャガイモは,約3か月という短い期間で栽培でき,種イモの約10倍以上の収量があり,穀類にも匹敵するほどデンプン質が多く,栄養価と栽培効率のよさから,世界じゅうで栽培されており,品種も数多く,代表的な品種としては,男爵・メークイン・キタアカリ・デジマ・ニシユタカ・インカのめざめ・アンデス赤等があり,調理の目的に合わせ煮崩れしない・しやすいの数種類を植え付けています。
ジャガイモは,霜に弱く,また夏の暑さに弱い性質があるので,栽培時期を選ぶ必要があり,霜が過ぎてから種芋を植付ける春植えと,霜が降りる前に収穫する秋植えがあります。ジャガイモの土壌酸度は,pH5.0~6.0の弱酸性が適し,若干酸性に傾いた土壌を好み,植え付け前にほとんど石灰を散布する必要はありません。かえって石灰を施すと,土壌がアルカリに傾き,そうか病にかかりやすくなる場合があるので注意を要します。
また,収穫前に咲く花(開花した花は,イモの肥大に影響するので早めに摘み取れとの指導書記載もあり)やミニトマトに似た着ける実を見ればお分かりのとおり,ジャガイモはナス科の野菜ですので,連作すると障害が出やすくなるので,数年以内にトマトやナス,ピーマンなどのナス科の野菜を作っていた場所には,植えつけないように注意が必要です。
ジャガイモの種イモは,検査に合格した健全な種イモを使用するのが原則です。自家採りしたものや青果物として購入した種イモは,ウィルス病などの病害が広がる原因となるため使えません。(大蔵省のXからは,毎年残りイモを種イモに使えばと言われ困っていますが)
植えつけ後,1片の種イモから5~6本の芽が出ますが,茎葉の数が多いままにしていますと,小さなイモしか収穫できないので,茎が10㌢~15㌢くらい伸びた頃に,強い芽を2~3本残して,他の芽をかき取る「芽かき」をし,同時に追肥・土寄せ(=子イモは種イモより浅い位置で生長しますので,土寄せは子イモが地表に顔を出し,緑化するのを防ぐため)を。2回目の追肥は,開花前後を目安に中耕を兼ね,しっかり株元に土寄せを。
植え付けから3か月程で収穫期を迎えますので,天気の良い晴れた日を選び,根元に鍬を入れて掘り返し,イモの表面を自然乾燥で泥を落とし,大きさ別に分け風通しの良い場所に保管します。
■知っておきたい効用
ジャガイモは,炭水化物のでんぷんが主成分ですが,いも類のなかでは糖分やカロリーが少なくても満腹感を得られやすいため,ダイエットに適した野菜です。「カリウムの王様」 といわれるほど豊富なカリウムには,体内のナトリウムを調整し,血圧を安定させ,むくみを改善するなどの働きがあります。その栄養値の高さからフランスでは、「大地のりんご」の名で親しまれています。
でんぷん質がビタミンCを保護するため,加熱しても損失しにくいのが大きな特質となっています。ビタミンCはコラーゲンの合成に必要な栄養素なので,美肌効果もあります。高い抗酸化作用で免疫力向上にも寄与するため,夏風邪を防いだり,暑さからくるイライラや夏パテを軽減してくれる効果も。皮に含まれるポリフェノールの一種,クロロゲン酸にもがんの予防効果がありますが,青い皮や発芽部分にはソラニンという有害物質があるため,上手に除きましょう。(ガン予防,高血圧の予防・改善,老化の抑制,美肌効果)
※平成26年8月27日(水)午後8時から放映された,NHKの「ためしてガッテン」(立川志の輔、小野文惠アナウンサーの司会コンビ)の「新ジャガ! 感動5連発 常識破りの調理で新食感」は,寝かせたジャガイモよりも新ジャガの美味しい食べ方が紹介された番組で,まだ植えつける前ですが,今年の秋ジャガ収穫時には,我が家でも新ジャガ料理で美味しさを試してみようとXと話し合った興味深い番組でした。
Q 種イモにはスーパーで買った食用のイモでも使えるのですか?
A 結論から申し上げますと残念ながら使えません。食用のジャガイモは人が食べるのには安全ですが,ウイルスやそうか病などの病原体を保毒している可能性があります。ジャガイモの病気は種イモによる伝染が多いので,検査に合格し,販売されている種イモを購入して使用してください。
この件について我が家では,春・秋ジャガイモの種イモを購入する際,毎年Xから「高い種イモを購入しなくても,スーパー店頭の安いジャガイモを使えば」と,年2回は愚問が寄せられて困っている事案です。
■ジャガイモは春植え,秋植えで収穫のタイミングを変える
ジャガイモは春植えと秋植えでは収穫に対する考え方が大きく異なります。
春植えでは「地上部が枯れ始めたら収穫」と言われますが,これは比較的短い期間で消費してしまう場合です。家庭菜園で収穫した春ジャガイモを長く保存して食べるには,「地上部が完全に枯れるまでおいてから収穫」したほうが腐りにくく,保存性が高まります。早く食べる分だけ地上部が枯れてきたら収穫して,残りは地上部が完全に枯れるのを待つのが畑の使い方からも合理的です。
一方,秋植えのジャガイモは地上部が霜にあたることで,イモの肥大が途中で生長が終わってしまいます。寒さでイモが傷む前に,地上部が枯れたらすぐに掘り上げます。
出典:「やさい畑」(2017年春準備号)
ジャガイモの花は摘み取るべきか?
この時期,我が小菜園を訪ねてくる見習い農家仲間から「ジャガイモに花が咲いていますが,摘み取っておられるんですか?」との照会を受けます。極力手間をかけない自然農法を目指す観点から「お隣の奥さんは,北海道出身で,ジャガイモに花が咲いた後に摘み取っておられましたかと尋ねたら,花を咲かせたままにしていましたよ」との回答を得たことを紹介していたが,今春も同様質問を頂いたので,インターネットで調べてみると,
ジャガイモに花が咲いたら摘み取るようにと,現役農夫から教わった。摘み取る理由は,花を咲かせる栄養分が,花を摘み取ることにより根の方に栄養分がいくので良いジャガイモができるというのが理由のようだ。
植物は花が咲き実を付けることに一番栄養分を使います。ジャガイモでも花に栄養が行ってしまうため,花は摘みとったほうがよいという人もいますが,実際のところ手間をかけるほどの増収効果は期待できず,花と収穫量にはあまり差が無いようです。ジャガイモの花を摘み取ると,その切り口から病気が発生する危険性が高くなります。ジャガイモの花は美しく,畑を彩ってくれる貴重なものです。摘み取らないで,花を眺めながら収穫を待った方がよいとされています。加えて花を摘み取るために畑に入ると,畑の土を踏み固め,折角の培土(土寄せ)を崩し,後日の芋の緑化の原因にもなる。
『生活実用シリーズNHK趣味の園芸やさいの時間藤田智の野菜づくりQ&A』(日本放送出版協会)には,
Q ジャガイモの花は摘み取ったほうが収穫量が多くなると聞いたのですが,本当なのでしょうか?
A 本当です。私の知る実験結果では,花を摘み取ったほうが,その分の栄養がイモに回り,収穫量がふえることは事実です。しかし,とてもわずかな差なので,個人的には,そのまま残しておき,可憐に咲く淡い色の花を観賞するのも,楽しみの一つだと思います。
参考図書:『やさしい家庭菜園』・『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『ジャガイモの歴史』(原書房),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジ),『野菜だより』(2018新春号・2023新春号),『やさい畑』(2018春準備号・2023春準備号),『まるごと じゃがいも』(絵本塾出版)
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○春ジャガの植付け・収穫状況
今年は,昨年よりも20日も早く3月上旬に,男爵を2㎏・メークインを6㎏・アンデスとベニアカリを各1㎏を,ウィルス処理された種ジャガを購入し,前作との間隔を3年以上の圃場に畝幅70㌢で植付けました。ジャガイモ圃場のpHは6.0です。元肥としては,堆肥・化成肥料・油粕・木灰を。3月下旬の遅霜対応としては,不織布で覆うのではなく,土から覗いている新芽に少々土を被せ対応しました。写真(右端)畝が白くなっているのは,薪を使い風呂を沸かしている友人から木灰を頂戴したので,畝全体に撒いたからです。
なお,種イモの切断面に木灰をよくまぶした後,即植付けず3日間暗い場所に保管したものを,切断面を下にして植付けましたが,JA理事さんの知り合いからは,“「日本農事新聞」の記事によると,木灰は塗らなくても良い+芽を下にして植え付けたら元気で旺盛な芽が出てくると書いてあったよ”との情報提供を。
◆4月になってからの生育・管理状況
4月の3週目までは,まだ遅霜に注意が。霜注意報が出た夜は,不織布で覆い新芽の保護に努めています。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われてきましたが.今春は何時までも寒い日が続きますよね。
晴天の日曜日の4月18日,各2本ずつ伸びた芽を残し,大きな芋に育つ事を期待しつつ芽かきと1回目の追肥,土寄せを行いました。
GW最中の5月1日,ようやく地温も上がり始め,小さな花(写真:右端)が咲き始めました。
◆5月末~6月上旬/多くの事を学ぶ中,収穫を楽しみました
葉が黄色くなりもの言わぬながらもジャガイモが収穫の時期を教えてくれました。
雨の日よりも晴天が2・3日続いた後に,土が乾燥した状態で収穫するのが望ましいとお書物にもありましたので,5月29日(土)晴の日に3畝に種イモ=男爵2㎏を3月7日(日)の夕刻に植え付けたものを収穫しました。枯れ始めた葉を先ず鎌で切り取り,畝に鍬を深く打ち込み皮向けには十分注意を払い,掘り上げ後,2・3時間くらい乾かしてから収納をとありましたので,その通りに収穫・収納しました。今季男爵の収穫量は,計量はいたしませんでしたがコンテナ箱の五分の四程となりました。6月になっても「梅雨入り」が遅れる中,6月11日(金)には,明日夕刻から雨との予報に接し,男爵やメークインよりも生育が遅れていたアンデス系のベニアカリの収穫を終えました。
なお,今季は春ジャガイモでしたが,①春ジャガは切って植える(へそを落とし,必ず縦に切る)。②切り口を上に,芽を下にして植えると病害虫に強くなる。③肥料はイモとイモの間に施肥する。④4月半ばに芽が20~30㌢に伸びてきたらよい芽を2本残して他の芽は摘みとる(芽かき)。
ということを学習しました。
また,図書館から借りた本『家森教授の病気にならない食べ物便利帳』(大和書房)から,ジャガイモはインドネシア経由で我が国には伝わったことから,都市名の「ジャカルタ」から「ジャガタライモ」,「ジャガイモ」となったこと。ヨーロッパでは「畑のリンゴ」と呼ばれている。栄養学的には「カリウムの王様」とも呼ばれカリウムが非常に豊富で,体内のナトリウムを排出し,体内の塩分バランスを保ち,血圧を正常に導く働きがあると同時に,利尿効果も高く,肝機能の改善にも役立つことを。お勧めの調理方法としては,煮物でジャガイモの形を残したいときは,メークインを,ちょっと煮崩れし味がしみ込んだホクホク状態に仕上げたいなら男爵を。ジャガイモのビタミンCは,加熱しても壊れにくく,皮ごとゆでてから皮を剥くことにより更に残存度が高くなること。コロッケやポテトサラダに調理する時は,熱いうちに皮を剥いてつぶす。カレーやシチューに調理する時は,あまり小さく刻むと煮ているうちに澱粉が抜け出て味がなくなるので,大きめに刻んで使うという男の料理定番のカレー料理まで学びました。
※南日本新聞の「エンジョイ園芸」に掲載された『ジャガイモ』記事のPDF版はこちらに掲載しました。
※『家の光』(平成24年1月号)の「家庭菜園」には,『多彩な品種で使い分ける楽しみ/ジャガイモ』が掲載されていました。
※タキイメールマガジン『植彩館』(平成24年1月27日配信)に園芸研究家:水音冶郎氏の「土づくりからおさえてばっちり収穫!ジャガイモ特集」で,平成24年の春ジャガイモの栽培に向けてのポイント(タネイモの準備・植付け時期と畑の準備・植え付け・生育期の管理・収穫)がイラスト入りで,分かりやすく紹介されていました。
また,平成26年1月27日配信の『植彩館』には,長崎県農林技術開発センター農産園芸研究部門馬鈴薯研究室に勤務され,暖地二期作向けバレイショ品種の育成と栽培技術の開発を担当されておられる坂本悠さんが春ジャガイモの作り方のコツを紹介されている記事が配信され,本県のジャガイモ産地である長島町では,1月下旬早くも植え付けが始まったとラジオからは報じられるのを聴き,加えて店頭に春ジャガイモの種芋が並ぶ中,今春のジャガイモ植え付けの予習を同記事でさせていただきました。
しっとり系で煮崩れしにくい=メークイン・インカのめざめ・はるか・ピルカ・シンシア・とうや・ノーザンルビー・インカのひとみ ホクホク系で煮崩れしにくい=十勝こがね・アローワ 食感・煮崩れ度ともに中程度=シャドークイーン
ホクホク系で煮崩れしやすい=男爵薯・アンデス赤・キタアカリ・ベニアカリ・サッシー
※平成27年1月19日配信のタキイメールマガジン植彩館には,(独)農研機構北海道農業研究センター・畑作研究領域上席研究員の田宮誠司さんの紹介で「ジャガイモの品種を上手に使い分ける」の記事が。
※令和2年1月23日配信のタキイメールマガジン植彩館には,早くも「めざせ大収穫! 春ジャガイモ作り方のコツ」が今新春にも掲載されており,種苗店には種芋が店頭に並ぶようになった中,春先の種芋植え付けに向け予習を。
ビタミンC豊富なジャガイモ=菜の花,タケノコ,春キャベツといった,春の訪れを感じられる青果市場からジャガイモ(バレイショ)を紹介します。原産地は,南米のアンデス高地で寒冷に強く,収穫率もいいことから,救荒作物として,小麦,トウモロコシ,米に次いで,栽培面積が世界4位を占めます。栄養面ではタンパク質,炭水化物,脂質の三大栄養素のほか,食物繊維,ビタミンやミネラル類を含みます。風邪予防や美肌に効果的なビタミンCは,でんぷんに包まれているため,ゆでても大部分が残ります。品種は,長円形で煮崩れしにくいメークインと,丸く粉質でホクホクした食感の男爵イモが一般的で,料理に応じて使い分けましょう。光に当たって緑色に変色した皮や芽には,ソラニンという毒素が含まれるので,取り除いてください。ビタミンC豊富なジャガイモで,風邪を予防しましょう。平成28年2月24日(水)の南日本新聞『食べごろ』から
ビタミンC満点の新バレイショ=春を呼ぶ季節野菜の一つ,新バレイショを紹介します。食感がホクホクとしている「男爵」はマッシュポテトに,煮崩れしにくい「メークイン」は肉じゃがにお薦めです。主成分はでんぷんで,カロリーは米の約半分です。加熱しても壊れにくいビタミンCやカリウムを含み,高血圧予防に効果的です。特にビタミンCはフランスで「大地のリンゴ」と呼ばれ,リンゴの約3倍含みます。食物繊維なども豊富です。ずっしりとし,全体がふっくらしていて皮が薄く,色が均一でシワや傷がないものが新鮮です。保存は5度前後で適度な湿気のある暗い場所が良いですが,湿度が高過ぎると発芽しやすく,皮にシワが寄ります。リンゴから出るエヂレンガスの働きで,発芽を遅らせることができます。長期保存の場合は,紙袋や段ボール箱の中でリンゴと一緒に保存してみてください。 平成28年3月23日(水)/南日本新聞『かごしま食べごろ』から
高血圧予防に新バレイショ=秋に植え付け,赤土の土壌で大切に育てられ,旬を迎えようとしている鹿児島県産「新バレイショ」を招介します。主成分はでんぷんで,カロリーは米の約半分です。加熱しても壊れにくいビタミンCやカリウムを含み,高血圧予防に効果的です。特にビタミンCはリンゴの約5倍も含まれ,フランスでは「大地のリンゴ」と呼ばれているほどです。ホクホクした食感から「男爵」はポテトサラダに,煮くずれしにくい「メークイン」はカレーやシチューにお薦めです。皮付きのまま水からゆっくりゆでると,熱が均一に通り,うまくゆで上がります。ずっしりとし,全体がふっくらしていて皮が薄く,色が均一でシワや傷がないものが新鮮です。身近な鹿児島県産「新バレイショ」で春の味覚を先取りしましょう。(平成29年2月22日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
春告げるバレイショ=鹿児島の新バレイショは全国第3位の生産量を誇ります。1月の大島から始まり,赤土地帯の長島地区を最後に,5月ごろまで春を告げる野菜として全国に出荷されています。カロリーはコメの半分ほどです。バレイショのビタミンCは,デンプンに守られているため加熱しても失われにくいので,風邪予防や疲労回復,肌荒れ防止などに効果が期待できます。カリウムを含むため高血圧予防にも効果的です。ずっしりとし,全体がふっくらしていて皮が薄く,色が均一でしわや傷がないものが新鮮です。ホクホクとした粉質の「男爵」はポテトサラダやコロッケに,煮崩れしにくい粘質の「メークイン」はカレーやシチュー,肉じゃがなどの煮込み料理に適しています。身近にある鹿児島県産の新バレイショを味わって,春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。(平成30年2月28日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ビタミンC豊富なジャガイモ=年間出荷量が約200万㌧で日本で最も栽培されているジャガイモです。南米のアンデス高地が原産地で,日本には1600年前後にオランダから伝わり,明治時代後期に本格的な栽培が始まりました。多く含まれるビタミンCは,デンプンで守られているため,加熱しても失われにくいのが特長です。余分なナトリウムを排出させる作用や高血圧を予防するカリウム,皮にはポリフェノールの一種で抗酸化作用の強いクロロゲン酸も含んでいます。皮が滑らかで薄く,ふっくらとして重みのあるものがお薦めです。新聞紙などで包み,風通しの良い冷暗所で保存しましょう。ホクホクした食感の男爵タイプはポテトサラダやコロッケ,煮崩れしにくいメークインタイプはカレーやシチューに向いています。煮込む際は最初に60~70度の温度で10分程度ゆでると煮崩れしにくくなるそうです。(平成31年2月20日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
新バレイショは皮ごと=バレイショは保存が利くため通年出荷されますが,これから旬を迎える新バレイショは貯蔵されずに,収穫後すぐに出荷されます。この時期に出回る新バレイショはみずみずしく皮が薄いので,皮ごと食べられます。風邪予防や疲労回復,肌荒れに効果が期待されるビタミンCを多く含んでおり,でんぷんで守られているため,加熱しても失われにくいです。塩分を排出し,高血圧を予防するカリウムも含まれています。皮が滑らかで薄く,ふっくらとして重みのあるものを選びましょう。粘りが少なくホクホクした「男爵」はポテトサラダやコロッケに,煮崩れしにくい粘質の「メークイン」はカレーや肉じゃがなど煮込み料理に適しています。徳之島や長島町など県内各地から出荷される春の味覚を,ざまざまな料理で味わってみてください。(令和3年2月24日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ジャガイモは「大地のリンゴ」=ジャガイモは、フランスでは「大地のリンゴ」と呼ばれるほどビタミンCを多く含み、加熱しても栄養が失われにくいのが特徴です。余分なナトリウムを排出させるカリウムも豊富で、高血圧予防が期待できます。選ぶ際は①丸くふっくらしていて皮が薄く、表面が滑らか②表面の色が均一でしわがなく張りがある③大きすぎず固くしまっている―ものが良いでしょう。常温保存が適しており、一つずつ新聞紙などに包み、風通しの良い冷暗所で保存しましょう。夏場は芽が出やすくなるため、冷蔵保存がお薦めです。ほくほくした食感が特徴の「男爵」は、ポテトサラダやコロッケなど加熱し、つぶして使う調理に最適です。しっとりした食感で煮崩れしにくい長卵形の「メークイン」は、妙め物やカレーなどの煮物に向いています。煮る、焼く、揚げるといったさまざまな調理方法でお楽しみください。(令和5年2月15日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
※タキイ種苗の園芸新知識『はなとやさい』(2022年2月号)に「ジャガイモの逆さ植え」が紹介されていましたのでPDF版に編集し掲載しました。
■平成24年の春ジャガの生育管理/課題─葉へのヨトウムシ食害─
3月26日に種芋3種類(メークイン・ベニアカリ・キタアカリ)を購入し植え付け(今回は,種芋の切断面には木灰をまぶさず,切断面が渇くのを待って2日後に)。
4月6日朝までに及んだ今春の遅霜対策としては,新芽を土を被せたありプラスチック製の小鉢を被せたりして対応しました。4月24日に芽かきに併せて根元に追肥(化成肥料と米糠)を施し,土寄せ・中耕を行い,梅雨入りを前にした5月29日に収穫を。
なお,今季春ジャガの収穫で学んだ反省点としては,葉に食害を与えたヨトウムシの大量発生の原因探求であり,元肥として畑全体に施肥した発酵未熟な牛糞堆肥?なのか,芋の甘味を増すためとして追肥の際に施した米糠?であったのか。ヨトウムシの食害は,隣の畝のチンゲンサイまで拡がり,米糠トラップ(豆腐の空容器に米糠を入れ,地面と同じレベルに穴を掘り,米糠に寄って来るヨトウムシを捕殺する罠 ※『野菜だより』2011年11月号 害虫対策その4を参考に)の罠誘引捕獲作戦を展開する中,待っての捕獲から自らの手での先制攻撃作戦に切り替え,5月26日の深夜午前1時~午前2時までの3日間は,ヘッドランプを点けジャガイモ畝に入り込んでの真夜中の捕獲作戦を果敢に決行,ジャガイモ・チンゲンサイの畝で340匹を越えるヨトウムシを捕殺。捕獲した憎きヨトウムシは,バケツの中の水に投入しお陀仏にした後,昼間,畑に飛来する雀の餌に供し喜んで食して頂きました。
◎平成25年の春ジャガイモ植え付け~収穫で学んだこと
=①種芋を浅植えし,黒マルチで覆う(超浅植え栽培) ②種芋を逆さ植えし,黒マルチで覆う(最近話題の省力・増収栽培法) ③開花時に「石灰ふりかけ」で肌がきれいで糖度が増す
平成25年春の春ジャガイモの種芋は,3月6日と前年よりも20日も早く種芋を植付けることができました。今春は男爵・北アカリ・紅アカリを各1㎏とメークイン3㎏を5列の平畝に植え付けました。
なお,購入したメークインの種芋は大きな種芋でしたので植付け前日に,平成24年2月号の『現代農業』の「種いもはどう切る」で学んだように種芋から出た新芽を活かし二等分に切断し,木灰を塗して準備したジャガイモの種芋を,畝幅70cm・種芋間隔40㎝で普通に植付けましたが,平成25年3月号の『現代農業』の「土寄せ・追肥・掘り取りいらず!超浅植え栽培」と2013年春号『やさい畑』の「ジャガイモの逆さ植え」を,種芋植付け後にはなりましたが,来春のジャガイモ種芋植付けに向け学習いたしました。
加えて安くて身近な石灰(カルシウム)を,積極的に効かせて病気に強くする石灰防除法を『現代農業』の記事から「石灰ふりかけ」の技を学び,平成25年の春ジャガイモイモの栽培では,花が咲いた5月中旬にジャガイモに粉状消石灰を雪が降ったかの(右上写真)ようにぶっかけて,腐れやソウカ病のない肌のきれいなイモを採る(イモの糖度が増すというオマケ効果もある)を試してみました。
◎平成26年の春ジャガイモ植え付け~収穫[メモ]
前年と同日の3月6日に種芋3種(ベニアカリ・メークイン・アンデス)を植え付け,4月21日に芽かきをすると同時に株元に化成肥料を施し土寄せを。5月31日にXの加勢をもらいながら収穫した芋の大きさを大中の2種類に大別し収穫を行いました。
なお,今春ジャガイモには,虫も着かず病害虫も発生することなく,安心した生育管理の中で収穫ができました。特記事項としては例年になくトマトに似た実が着いていたことでした。
◎平成27年の春ジャガイモ植え付け~収穫[反省メモ]
遅霜を気にしすぎ,前年と比べ11日も遅く3月17日に購入した種芋4種(キタアカリ・ベニアカリ・インカルージュ・メークイン)を各1㌔,切断面に木灰を塗り5列の畝に植え付けました。しかし,ベニアカリとインカルージュの2種は発芽率が悪く,空き畝が極端に目立つ状態に,今春ジャガの種芋は悪いのに当たったとの諦めが先行し,まともに芽かきや追肥の管理作業を放棄した中,虫食い被害にも遭うことなく,梅雨の晴れ間の「芒種」の日の6月6日に収穫を行いました。よって今年は無放任栽培に近い管理でしたが,鍬で掘り上げてみますと,元(牛糞堆肥・化成肥料・油粕・木灰・米ぬか)の効果かそれなりの収穫ができ,翌日には小屋に一時保管していたジャガイモの入った箱(昨年収穫した秋ジャガ芋の残り芋が入っていた分を掘った穴に埋設処分して空箱になったプラ容器)を庭先に運び出し,一日経って乾燥した皮面の泥を軍手で吹き落とし,新聞紙を被せ保管収穫できました。
◎平成28年の春ジャガイモ植え付け~収穫
前年より1週間早く3月10日に種芋4種(チェルシー・シンシア・キタアカリ・メークイン)を植え付け,4月18日に脇芽欠き・追肥・土寄せ作業を。2回目の土寄せ作業を5月5日に行う中,5月21日に収穫することができました。なお,秋ジャガイモを収獲した11月26日時点でも屋内貯蔵箱内に残っていた春ジャガイモは,芽が数カ所から出ており調理に不向きと判断し,一箱分は,残渣埋設処分するために掘った穴に〝ごめんなさい〟と断りながら埋設処理しました。
◎平成29年の春ジャガイモ植え付け~収穫
前年より1日早い3月9日に種芋2種(キタアカリ4㌔・メークイン2㌔)を,植え付け前日に輪切りした切断面に木灰を塗り付けておき,6列の幅広溝に元肥に牛糞・化成肥料・米糠・木灰を施し40㌢間隔で植え付け,4月19日に脇芽欠きを兼ね1回目の追肥を施し土寄せ作業を。また4月27日には葉面に消石灰(芋の腐れ防止・ソウカ病の予防・芋肌がつるつるになり芋の糖分が増す)を散布し,5月5日に2回目の土寄せ作業を行い生育を見守る中,種芋植え付けから79日目の晴天の5月27日に収穫作業を行い,コンテナ2.5箱分を収穫することができました。
◎平成30年の春ジャガイモ植え付け~収穫
2月27日,今季から初めての導入になりますが『やさい畑』の土寄せ不要の見出し記事から30㌢間隔で穴が開いた穴開き黒マルチを導入することにし,マルチ設置前の耕うん畝全体に牛糞堆肥と米ぬかを施し管理機ですき込み,頭だけではなく植え付けほ場の平面図を描き,メジャーを用い基本の竹杭を四方に打ち込み,10㌢高の60㌢幅畝の真ん中に牛糞堆肥・ジャガイモ専用化成肥料・米ぬかを施してから穴開き黒マルチで覆い,快晴となった3月4日の午後,こちらも初の試みとなりましたが収量増効果を信じ「芋のへそ切り」を施し,切断面に木灰を塗って4日間おいた,とうや1㌔・メークイン2㌔・キタアカリ2㌔を,今回までは逆さ植え・浅植えまでは“ひっしけじろ”で挑戦する勇気がでず普通植で5列に植え付けました。翌日の5日には,朝方雷を伴う激しい雨の“春一番”に見舞われ,朝一小菜園を覗くと穴開き黒マルチの穴の6カ所からは,種芋への土被せが少なかったようで,種芋が顔を一部出しており,ごめんねと断りながら慌てて土を被せてやりました。
4月8日に脇芽欠き,同月26日には消石灰を,雪が降ったかのように葉面に真っ白にふりかけ,葉に着くテントウムシダマシを朝一捕殺を繰り返す中,種芋植え付けから79日目の5月22日に,枯れだしてきた葉枝を刈り取り,1㍍四方の掘り上げた穴に搬入・埋設処分する中,マルチを剥ぎ,鍬を慎重に使って掘り上げ,お昼休みを挟み3時間ほどお日様に干し,泥を落とし野菜コンテナ3箱(前年と比べ増量)に新聞紙を間に挟みながら収穫・保管を。メークイン・キタアカリは収穫量が多かったのに対し,今春初めて植え付けました「とうや」種の収穫量はダメでした。翌日は雨との予報が出ていたため,収穫あと地は,後作を考慮し夕刻には管理機で速やかに耕うんし,苦土石灰を散布し上弦の月明かりを頼りに,午後7時半までには,畝紐ぞいに鍬を使い南北に畝を起こし直すという,丸1日かかっての春ジャガイモ収穫・あと地整理作業を行いました。
ジャガイモによる食中毒を予防するためにできること
令和元年7月9日正午過ぎ,兵庫県宝塚市の小学校の校長から「今朝掘り出したジャガイモを食べた児童が気分が悪いと訴えている」と,119番通報があり,市消防本部によると,5年の児童13人が食中毒とみられる症状で病院に搬送されたが,命に別条はないという。消防などによると,搬送されたのは10~11歳の男児8人と女児5人で,家庭科の授業中にジャガイモを食べたとみられる。市教育委員会が詳しい状況を調べている―との報道がありましたが,6月~7月にかけジャガイモのソラニン類という有毒成分(発芽部分や表面が緑化した皮の下,未成熟なイモに多く含まれる)による食中毒が増えており,農水省の消費・安全局食品安全政策課のHPには,「ジャガイモによる食中毒を予防するためにできること」として,次の注意点(10ポイント)の記載がありました。
栽培時の注意点=①イモに光を当てない(地面の外に出ないよう土寄せ),②イモは大きく育て,熟してから収穫する
収穫時の注意点=③イモに光を当てない,④イモは大きく育て,熟してから収穫する,⑤収穫,保管時にイモを傷つけない
保管時の注意点=⑥イモに光を当てない,⑦収穫,保管時にイモを傷つけない
調理して食べる時の注意点=⑧芽とその周辺や緑色の部分は除く,⑨皮はできるだけむく,⑩苦みやえぐみのあるイモは食べない
◎令和2年の春ジャガイモ植え付け~収穫
3月3日に6列の畝にダンシャク・メークイン・デジマ・キタアカリ・アンデスレッドの種芋を植え付け,2回の追肥・土寄せ作業を行う中,前年より1日遅い5月22日の午前中に鍬を使い掘り上げ,4時間余お日さまに干し,泥が乾いて落ちたのを午後から野菜コンテナに芋の間に一段毎に新聞紙を挟み収穫を終えました。
なお,収納した野菜コンテナには,調理主任のXにジャガイモの種類が判るよう大きな張り紙を。また,収穫の際に出た小さな芋は,残渣穴に葉枝と一緒に埋設処分し,収穫あと地は,夕刻までに管理機で耕うんし畝を起こし直しましたが,完全に収穫したと思っていましたが,その後の2回の耕うん作業で,何個か収穫漏れの芋が管理機の爪で傷ついた状態で土の中から出てき,傷ついた芋に「ごめんさい」と謝り方でした。
◎令和3年の春ジャガイモ植え付け~収穫
3月1日に7列の畝にキタアカリ3㌔・デジマ1㌔・メークイン2㌔・ダンシャク2㌔の種芋を輪切りし,切断面に灰を塗した種芋を植えつけ,4月下旬には「消石灰」を葉面が真っ白になるまで散布し,収穫までの間に追肥・土寄せ・花芽欠き作業を行い,梅雨の中休みの5月23日=種芋植付から83日目に,午前中掘り上げ大中に選別し,午後からお日様に半日干した芋を,野菜コンテナ4箱に収穫することができました。選別の段階でピンポン球以下の芋は,Xに意見を聞き調理に不向きと区別し,収穫前に刈り取った葉枝と一緒(残っていた秋ジャガイモも)に掘った穴に投棄処分しました。
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○秋ジャガの植付け・収穫状況
平成22年の秋ジャガは,カボチャを収穫したあと地を管理機を用いよく耕うんし,畝を作り,牛糞堆肥・化成肥料に加え,友から頂いた木灰を種芋の間に施し,9月16日にトヨシロ・メークイン・アンデスの3種類の種芋を植えつけ,途中,中耕・土寄せの際に追肥を根元に施肥し,霜で葉が葉が枯れてしまった12月10日の午後収穫しました。
平成23年の秋ジャガは,近所の農家の先輩から「みんな今年は植えかたが早かど」との情報に接し,9月7日にダンシャク・アンデス・メークインの種芋を種苗店で購入し植付けましたが,南日本新聞の生活情報誌『てぃたいむ』(平成23年9月29日)の「菜園くらぶ」に『高温多湿と霜に弱いので秋植えは注意!ジャガイモ(秋植え)』が掲載されていましたのでPDF版で紹介いたします。
平成24年は,種芋の植え付け時期が遅れ,まともな芋が収穫できませんでしたので,
平成25年は早くから学習し,8月末には芋植付けの圃場を準備し,久しぶりに上陸した台風17号が過ぎ去った台風一過の翌日の9月5日に秋ジャガ(ニシユタカ・デジマ)の種芋各2㎏の植え付けを行い,9月30日に芽かき+追肥+土寄せ作業を行い,例年でした12月中旬の初霜が降り葉が霜枯れしてから収穫していましたが,「大雪」の日ながら上天気の12月7日,名物の川内川の川霧が晴れ始めた午前10時過ぎから畑に出て収穫作業を行いました。
平成26年は,9月1日にニシユタカ・デジマ・農林一号・アンデス赤・メークインの5種類の種芋各1㌔を畝幅を十分広く取り,元肥に化製肥料・牛糞堆肥・油粕・木灰+米ぬか(芋の甘味を増す)を施し5畝に植え付け,9月26日に芽かき・追肥・土寄せを行う中,葉も枯れてきましたので例年より2週間も早く,小雪は過ぎましたがまだ霜も降らない中の3連休中の11月24日に思い切って収穫しました。
なお,購入した袋に「昔からあるジャガイモでたくさん穫れます」と表示があった「農林一号」と,「秋も作れます!表皮,黄色でおいしい」とあった「アンデス赤」の2種は,実つきが極端に悪く失敗でした。
※平成26年7月22日配信のタキイメールナガジン「食彩館」に森一幸先生の指導で早くも「秋ジャガイモの作り方と貯蔵」が。同案内の中でのお奨め秋ジャガ品種は,デジマ・アンデス赤・ニシユタカとありました。
平成27年は,9月5日に出島・ニシユタカ・アンデスレッドの3種類の種芋を植え付け,11月21日に収穫しました。
◎平成28年の秋ジャガイモ植え付け~収穫[メモ]
種芋の一大生産地である北海道に台風が上陸し,秋ジャガの種芋が全滅するという被害に遭い,ようやく入手したメークイン・出島・アンデスレッドの種芋を9月5日に6列の畝を作り植え付けました。今秋はこれまでに被害に遭うようなことはなかった「ムジナ」が株の根元を掘り返すという被害に3回も遭う中,夕刻から雨の予報が出ていました11月26日午前中に収穫しましたが,これまでにない不作で,Xからは「種芋代にもならなかったね?」と言われてしまいました。
◎平成29年の秋ジャガイモ植え付け~収穫[メモ]
平成29年は,農事暦+備忘録を兼ね毎日付けている3年連記ダイアリーによると前年と比べ1日遅れのまだまだ日中は残暑厳しい9月6日に植え付けを行いました。店頭には8月上旬から種芋が販売されており希望する品種は選べるものと考え,Xからは「キタアカリ」をとのリクエストを受け,市内3店舗を訪ね回りましたが「キタアカリ」の種芋は置いてなく,長崎県農林技術開発センターで開発された新種で肌のきれいな「さんじゅう丸」(品種名の由来は「病害虫に強い」,「収量が多い」,「外観が良い」の3つの優れる特徴を持つことに由来。肉色は淡黄色で肉質は中~やや粘質で煮崩れしにくく煮込み料理に適しており「デジマ」よりでん粉含有量は低いが食味はやや良)と,「ニシユタカ」・「デジマ」の3種の種芋計5㌔を買い求め,植え付けほ場予定地の略図をメモ紙に起こし,計算機を叩き畝間を計算し3列の畝に40㌢間隔で種芋を配置し,種芋の間に牛糞堆肥・化成肥料・油粕を元肥として施し植え付けました。
収穫までの途中,2回の土寄せと1回の追肥を施す中,1回目の土寄せ・追肥に合わせ「消石灰のふりかけ」を行う中,種芋植え付けから83日目の11月28日に収穫を行いました。
◎平成30年の秋ジャガイモ植え付け~収穫[メモ]
平成も最後の年となる平成30年の秋ジャガイモは,9月4日に2店舗で購入した種芋3種(農林1号・ニシユタカ・デジマ)と,自家保有の種芋でウイルス処理をされていないメークインの4種を6列の畝(畝幅60㌢の高畝・畝間40㌢)に植え付け(Xが欲したキタアカリや,煮ものにしても煮崩れしないメークインの種芋は店頭に見当たらず),9月28日に脇芽欠きを行い,追肥・土寄せを行う中,病害虫の発生には遭いませんでしたが,9月30日には東シナ海沖を北上した台風24号の強風で茎葉が一部飛散し折れるという被害に遭う中,種芋植え付けから81日目の11月24日に収穫を。台風被害に遭った分だけ収量は,前年と比べ2割の減収でした。なお,規格外の小さな芋は,掘り起こす前に切り取った葉枝を埋設処分するために掘った穴で一緒に処分するため,調理主任のXに選別してもらいましたが,思ったより少なくほっとさせられました。
平成最後の秋ジャガイモの収穫に際し,葉枝等埋設処分するため掘り上げた地下60㌢土中からは,1,300年余の歴史を経て律令時代の薩摩国府関連の土師器片の底部が出土。埋設処分作業を一時中断させられましたが,小菜園主へのご褒美に感謝。右上写真4点
◎令和元年の秋ジャガイモ植え付け~収穫[メモ]
令和最初の秋ジャガイモは,前年と同日の9月4日に3種(アンデスレッド・ニシユタカ・メークイン)の種芋を植え付けました。キタアカリの種芋は,3店舗捜して回りましたが置いてなく諦めました。9月26日に「ごめんなさい」と断わりながら脇芽欠きを行い,10月上旬に追肥と土寄せ作業を行いました。340㍍東側に最初に出没した猪は,130㍍付近までジャガイモ畑を掘り返し,凹地にある我が小菜園のジャガイモ畑も獣の食害に遭いやしないかと心配しましたが,猪・アナグマの食害に遭うことなく,無事,11月29日晴天の中で半日干して野菜集荷用コンテナに収穫を終えることができました。
◎令和2年の秋ジャガイモ植え付け~収穫[メモ]
令和2年の秋ジャガイモは,9月12日に3種(ニシユタカ・デジマ・メークイン)の種芋を植え付けました。今年も探して回りましたがキタアカリの種芋は,店頭に置いてなく諦め,メークインは春ジャガイモの食用保存芋を転用し植え付けを行いました。10月4日に「ごめんなさい」と断わりながら脇芽欠きを行い,ジャガイモ専用の肥料を追肥として施し土寄せを行い,10月16日に消石灰を葉面にふりかけ,10月29日に花を摘み取り,前年と比べ3日遅く12月2日曇り空の下,野菜集荷用コンテナ3箱に収穫を終えることができました。
なお,食用に利用してなかった芽が一杯出た春ジャガイモの残り芋は,収穫前に刈り取った芋葉と一緒に残渣穴に埋設処分し,保管倉庫には収穫した3種のジヤガイモは,調理役のXに直ぐに判るようコンテンに大きく表示を。
◎令和3年の秋ジャガイモ植え付け~収穫[メモ]
今秋の秋ジャガイモは,オクラ収穫あと地に9月15日に,デジマ/3㌔=3列と,ニシユタカ/2㌔=2列の種芋を植え付け,10月19日に芽欠きを行い,併せて追肥と土寄せを行い,11月21日には葉面に消石灰を散布(腐れやソウカ病のない肌のきれいなイモが採れ+イモの糖度が増すというオマケ効果もある)する等して管理する中,前年より1週間遅い12月9日に収穫し,2日間陰干して芋に着いた泥が落ちたのを,ぼろ切れで軽く優しく拭き上げ芋の土を落とし野菜ケース2箱に収納しました。
意外に知られていないジャガイモのお話
図書館から借りた藤岡幹恭&小泉貞彦著『よくわかる「いま」と「これから」農業と食料のしくみ』(日本実業出版社)の中の「意外に知らない野菜のはなし」に,ジャガイモに関する興味ある記載がありましたので紹介します。
ジャガイモの伝来
アイルランド人やスコットランド人の飢餓を救ったのがジャガイモ。原種は,アンデス高地といわれるが,コロンブスが欧州に持ち込んだといわれる16世紀初めから,世界中に広まっていく。主役ではないが,あらゆる料理の副材料,いざとなれば主食ともなる。もっとも重要な野菜だ。
日本にジャガイモがやってきたのは,1598年,戦国時代の末期にオランダ人の船でジャワから長崎にもたらされたといわれている。18世紀の天明の飢饉,19世紀の天保の飢饉の間に,ジャガイモ栽培が全国に広まった。高野長英は『救荒二物考』を著し,早生ソバとジャガイモの栽培を奨励,種いもを全国に配布して歩いた。
日本でジャガイモが本格的につくられるようになったのは明治以降。北海道開拓にあたり,ヨーロッパ農法をモデルとし,ジャガイモを主要な作物として普及させた。北海道は,コメづくりに向いていない,コメがとれにくかったという事情もある。大正時代に入ると,各地で急増したでんぷん製造工場の原料供給用として,ジャガイモ生産も急増した。北海道が,現在では,全国生産の8割を占める。
ジャガイモは,ジャカルタの昔の名,ジカトラからきた。そしてジャガイモの別名である馬鈴薯(ばれいしょ)は,マライ半島からきたという意味である。ジャガイモの呼び名は,九州,中国の山間部だと年に二度とれるので「ニドイモ」。福島県だと「カンプラ」。なぜかオランダ語に由来するという。山梨と飛騨地方に残っている「セーダイモ」「センダイイモ」は,ジャガイモの普及につくした甲斐の代官中井清太夫,飛騨の代官幸田善太夫の名からとられたものだ。
栄養があって栽培が簡単なジャガイモ
ジャガイモの成分は,生だと水分が80%近くを占め,サツマイモに比べても多い。しかし,でんぷん(糖分),たんばく質,繊維,カルシウム,カリウムなどを含み,ビタミン類ではCを多く含む。ホウレンソウやトマトにも負けない。
栽培しやすいのも特徴。家庭菜園でも,もっとも手をかけなくてよいのがジャガイモだろう。種からの栽培はペルーなどを除くとほとんど行なわれていないが,普通はイモを半分か三分の一に切って,土に埋めるだけで3か月後には収穫できる。アンデス原産というが,いまは欧米での主要食物であり,ヨーロッパの生産者,研究者などが品種の改良,生産の増大に努めてきた。
ロシアのボルシチ(スープ)やイタリアの料理には,ジャガイモは欠かせない。アメリカのファーストフード文化で,牛肉ハンバーガーなどの取り合わせとしても,ジャガイモは欠かせない。それには,ちゃんと理由があったのだ。
また,料理の仕方も多様で,わりと簡単である。煮ても焼いても,フライにしてもいい。長時間煮ても,ビタミンCの成分が壊れにくい。ペルーでは,秋に収穫したジャガイモ(欧米,日本のものより小粒)を,冬,日本でいうと凍り豆腐のように,凍結と乾燥を繰り返し「チユーニョ」という長期保存の加工品にする。チユーニョは,ペルーでは一年中食べられている。生でも保存の仕方によっては半年くらいもつ。冷凍ポテトチップスは,米国流ファーストフードに欠かせない。ジャガイモのでんぷんは,カマボコなどの食品にも使われるし,アルコールの原料にもなる。将来,私たち人類の食料の主役はジャガイモになるかもしれない。
野菜づくりのカン違い集から
①ジャガイモの花を摘んでいた
実は,花を咲かせないほうが,ほんの少しイモが充実し,収量も少しだけ多くなるんですよ。とはいえ,一生懸命やっても,その差は微々たるものです。北海道の産地でも,花を摘んでいる人はいません。ジャガイモの花色は,白,紫,青,ピンクなど,品種によってさまざまです。マリー・アントワネット妃も好み,髪に飾っていたというジャガイモの花を楽しんでもよいのではないでしょうか。
②食用のジャガイモを種イモに使えると思っていた
どちらも同じだと思うかもしれませんが,食用のジャガイモは,ウイルス病に感染している可能性があるんですよ。ウイルス病にかかると,イモがじゅうぶんに肥大せず,収量も減ってしまいます。せっかく作るのですから,検査に合格した健全な種イモを使いましょう。
③掘り上げたジャガイモは,日向でしっかり乾かすほうがよいと思っていた
そのまま保存すると腐りやすいので,乾かす必要がありますが,光に当てると,えぐみのもとになる有毒の色素,ソラニンが生成され,緑色になってしまいます。日向ではなく,日陰で3~4時間乾燥させましょう。
④ジャガイモは,どれでも秋植えができると思っていた
そういうわけにはいきません。ジャガイモには,休眠期間があり,その長さは品種によって異なります。秋植えの種イモには,春に作ったイモが利用されます。そのため,『男爵薯』や『メークイン』など,休眠期間が長い品種を秋に植えても芽が出にくいのです。秋植えに向くのは,『デジマ』や『ニシユタカ』などの休眠期間が短い品種です。
参考図書:『やさい畑』(2011年冬号)』(家の光協会)
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個性豊かなジャガイモの品種と特徴 参考図書:『別冊 やさい畑』もっとうまくなる野菜づくり講座-家庭菜園検定参考テキスト-2011年12月(家の光協会)
品 種 |
特 徴 |
ダンシャク |
明治以降,我が国の主流品種で日本で一番食べられている。デンプン含有量が高く,粉質で粉ふきいもやコロッケにすると美味。=早生種 |
メークイン |
収穫量が多いのが特徴。楕円形で肉質はねっとりして微密。煮くずれしにくいので,煮物やおでんに向いています。=中生種 |
キタアカリ |
明るい黄色の肉質が特徴で,ほくほくした食感。収穫量が多く,栽培しやすい早生種。ビタミンCの含有量が特に多い。=早生種 |
とうや |
大きく丸イモででんぷん質のやや少ない低カロリー品種で,ダンシャクより煮崩れが少なく,滑らかな食感です。=早生種 |
出島 |
多収で,表皮が滑らかで外観が良い品種で,食味が良いです。 |
シンシア |
フランス生まれで,味が濃く粘質感があります。煮くずれしにくいので煮物に。長期保存が可能です。 |
シェリー |
フランス産の赤皮品種で形はメークインに似。皮が薄いので皮つきのまま調理できます。粘質で煮くずれしないのでポトフなどに。 |
インカのめざめ |
やや小ぶり。濃い黄色の肉質で調理しても鮮明。ほくほくとした粉質で,「アンデスの栗じゃが」と言われるとおり栗のような風味。 |
アンデス赤 |
岡山県で開発され多収性。赤い皮色で肉質は,鮮やかな黄色。ほくほくしとした粉質で栗のような風味。 |
ノーザンルビー |
果皮が赤く,肉質も赤系の品種の中でも特に濃い赤で,色むらが出ません。栽培がしやすくシスト線虫に強い性質。 |
シャドークイーン |
紫色の品種で,果皮も果肉も鮮やかな紫色。ユニークな色合いなので,サラダやコロッケ等にすると楽しい食卓の演出が。 |
※「大寒」前日の平成28年1月19日に訪ねたコメリ店頭に春ジャガイモの種芋の横に置かれていた「じゃがいもを作ってみよう」のチラシには,春植えに向く品種=キタアカリ,ダンシャク,メークイン,とうやなど 秋植えに向く品種=デジマ,ニシユタカ との紹介が。
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ゴ ボ ウ
無残にムジナの被害に遭ってしまったスイカ畑のあと地に,9月3日に3列種を蒔いた「秋蒔きゴボウ」(早生種)の収穫を11月中旬に始め,寒風の吹く御用納めの28日に,正月料理用にと残していた最後の1列(7㍍)の畝を,先ず鎌を使って葉を切り取り,鍬よりも使い勝手の良いスコップを用い,根のすぐ横をスコップの刃2倍強の深さまで掘り起こし,父が愛用していた鉄棒を使い根の周りをほぐし気合を入れ一気に抜き取りました。収穫したゴボウは,何時でも利用できるようにと土がついたままの状態で,まっすぐ伸びたA級品と,マタボがあったり,抜く際に先が折れてしまったB級品とに区分し,土の中に横にして埋戻し保存しました。
なお,平成23年の秋,9月22日に種を蒔いたゴボウは,お正月料理には間に合わず,1月10日過ぎからの収穫となり,1カ月早く種を蒔けばと学習させられました。
ゴボウの専業農家は,長いまっすぐなゴボウを生産・収穫するため,専用の深耕するトレンチャーを使って深く耕してからその上に種蒔きされていますが,我が家庭菜園では,種蒔き前の畑を,スコップで深く掘り起こし,その上に堆肥と化成肥料を撒き耕うんして畝を作り種を点蒔きし,途中2回間引きを行い,最後の間引きの際に,追肥と中耕を行いました。連作は不向きで3年程は空ける必要がありますが,今回植付けた場所は,長くゴボウを植付けていませんでしたので,センチュウ駆除の土壌防除は施さずに済みました。
キク科の根菜類であるゴボウの野生種はヨーロッパ,シベリア,中国などに見られ,原産地はこれらの地域にあるものとされています。薬用植物として中国から渡来し,わが国で改良されて栽培化した植物で,外国産の植物で日本において作物化した,唯一の植物です。わが国独特の食材として,日本料理に欠かせない材料となり,北海道から九州まで幅広く作付けされています。
また,ゴボウを食用としているのは世界中で日本だけと言われ,ほとんどが薬用とされています。つまり,それだけ効能が高い食材です。炭水化物のイヌリン,繊維質のセルロースといった成分が,胃腸を洗浄してくれるので,発がん性物質を抑えてくれます。また,コレステロール低下作用や,高血圧を改善する働きもあります。さらに,便秘解消の効果や低カロリーといった理由から,ヘルシー食品としてのイメージが高まっていますので,ご近所にお裾分けされる際は,これらをアピールされることをお勧めします。特に,近年,安全・健康志向の高まりから,ゴボウは繊維質を豊富に含む食品として注目されています。ゴボウ100㌘中には食物繊維が85㌘も含まれ,これはニンニクとほぼ同程度で,野菜の中では群を抜いて多い値です。食物繊維は,便秘の解消,コレステロール低下作用,腸内有害物質や発ガン物質の吸着・排せつ作用,腸内環境の改善などの機能性があるとされ,関心を集めていますので,この辺もうんちくされれば一目置かれること間違いなしですよ。ちなみに農園主のロードマン氏が,ご近所に泥が着いたままのゴボウを届けると「ゴボウまで生産できるようになったの!」とびっくりされ,少々鼻高々に。
■知っておきたい効用
ごぼうの栄養効果といえば,まずは食物繊維。野菜に含まれる食物繊維は,その多くが水に溶けない不溶性に偏っているが,ごぼうの場合は不溶性(リグニン)と水溶性(イヌリン)の食物繊維をともに多く含んでいる点に大きな特徴がある。
水溶性食物繊維の働きとして知られるのは,血糖値の上昇を抑えたり,コレステロールを吸着して体外に排出する作用。この食物繊維の働きにより,糖尿病をはじめとする生活習慣病全般の予防に効果が期待される。
また,不溶性食物繊維は,腸の蠕動運動を活発にするため,腸の働きを整え,大腸がんを防ぐ効果があるとされます。さらに,ごぼうのアクの主成分であるポリフェノールは,強い抗酸化力をもち,がん細胞の発生や老化を抑制するパワーが注目されています。(コレストロールの上昇抑制,糖尿病の予防,整腸作用,がん予防)
◆調理との生み合わせのコツ
ビタミン類全般など,ごぼうに不足している栄養素を豊富にもつ食材を組み合わせた調理法を工夫しましょう。定番の惣菜でもある「きんぴらごぼう」や「たたきごぼう」は,β-力ロテンが豊富なにんじんや,カルシウムに富むごまを合わせることで栄養バランスを高めた理想的なメニュー。ビタミンB1をたっぷり含む豚肉や,ビタミンAの多いうなぎとのコンビも、栄養効果が高まります。ごぼうの香りは魚や肉の風味を引き立てるので,豚汁などにも合います。
■安心して食べる知恵
少量でもおなかいっぱい
ゴボウは,豊富な食物繊維の働きにより整腸作用があり新陳代謝を促進し,生活習慣病にも効果があるとされています。ほかにも,最近注目を集めているのは糖尿予防効果です。ゴボウに含まれる糖分・イヌリンは体内でブドウ糖に変わらないため,糖尿病の人やその予防に最適とされています。またゴボウは,少量でも満腹感が出るため,ダイエットフードとしても優秀です。できるだけ毎日食べるようにしましょう。
きんぴらゴボウ
泥を落とし,皮を削らないように洗ったゴボウを,回しながら鉛筆を削るような感じで削り,ささがきにします。次に酢水につけて数分。あまり長くつけていると香りが失われるので注意が必要です。その後、熱湯でさっとゆでたら,水気をよく切ってフライパンへ。サラダ油をひいたフライパンで,酒,みりん,砂糖,醤油で作ったタレを回しかけ,焦がさないように気をつけながら汁気がなくなるまで炒り煮してください。仕上げに白ごまをふりかければ完成です。
香りは皮にあり
ゴボウの香りやポリフェノールは,身よりも皮に多く含まれています。ポリフェノールは抗酸化作用のある,大事な成分です。そのため,皮は完全に剥いてしまうのではなく,たわしや包丁の背で軽くこそげ落とす程度にしましょう。
切り方の工夫
繊維が多く硬い野菜ですから,切り方には工夫が必要です。汁物の際には半月型の薄切りに,煮物は斜め切りや乱切りに,柳川ではささがきにします。こうすることによって,食べやすくなるとともに味もしみやすくなります。
※本頁の末尾には,『薩摩国府の発見とゴボウのお話』を掲載してありますのでご覧ください。また平成21年1月の『エンジョイ園芸』のゴボウの記事を添付いたします。
※川辺の病院の待合室備え付けの図書『家の光』2010年10月号の「よくわかる家庭園芸」に「食物繊維が豊富で香りがよいゴボウ」との見出しでゴボウに関する畑の準備・元肥・種蒔き・間引き・追肥・収穫までの記事がイラスト入りで分かりやすく掲載されていました。
※『やさい畑』2011冬号の「旬をいただく 畑薬膳 ゴボウ」には,食養研究家・武鈴子氏監修で,きんぴらからかき揚げ,煮物や炊き込みご飯に,独特な風味や香りをもたらすゴボウ。薬効の高さを考えると,並みいる野菜の中でもまさに〝ごぼう抜き〟の存在としてのとの記事が掲載されていました。
※平成24年12月23日の南日本新聞の生活情報誌『てぃーたいむ』の中の『菜園くらぶ』に掲載されていました「食物繊維がたっぷりゴボウ」を添付いたします。
ゴボウの根の長さは土壌中の空気の割合で決まる!
長くて立派なゴボウを育てるポイントは,土をなるべく深く耕すこと。ゴボウの根は,土壌中の空気率が30%程度ある所まで伸びて肥るため,肥大根の長さは耕す深さに比例します。そのため深く耕して下層まで空気をたっぷりにすることが,先まで肥った長いゴボウを収穫するコツ。土がかたいと根が肥らないばかりか,根の先端が分かれるまた根にもなりやすいので注意を。
ゴボウは,発芽さえしてしまえば干ばつ に強く,夏の日中に葉がしおれることがあっても,根が深く入っているので枯死することはありません。一方,耐湿性は野菜の中では最も弱い部類に入り,高温期に2日以上水に浸かると,根の腐敗が始まります。長さが十分のゴボウを作るには,地下水位が低い畑を選び,高畝にするなどして水はけを良好にしておくことがポイント。
※タキイメールマガジン『食彩館』の令和3年7月5日号にゴボウの上手な栽培方法・育て方が紹介されていました。
糖尿病予防にゴボウ=6~7月にかけて紫色のアザミに似た,とげのある花を咲かせ,主根の長さが50㌢から1㍍ほどになるキク科の植物です。根を野菜として食べるのは日本と韓国,台湾,中国などで,欧米では葉を野菜とし,根や種を薬用にすることが多いです。主な成分は炭水化物ですが消化吸収されないイヌリンが豊富で,便秘解消や整腸作用のほかへ糖分吸収を遅らせ,血糖値の上昇を防ぎ,糖尿病予防などの効果が期待できます。きんぴらや筑前煮,五目ご飯はもちろん,かき揚げ,鍋,スティツクとレシピは多様です。乾燥しやすいので泥付きを選びましょう。2㌢ほどの太さで均一に伸び,ひげ根が少なく,ひび割れていないものが良品。柔らかく,曲がるものは避けてください。平成28年2月10日/南日本新聞「食べごろ」から
肉・魚と合うゴボウ=ゴボウを食用にするのは,日本や台湾,韓国など一部だけだそうです。独特の風味や食感があり,食物繊維を豊富に含んでいるのが特徴です。むくみや便秘解消のほか,腸の働きを整え,糖分吸収を遅らせて血糖値の上昇を抑える作用があります。また,風邪の予防も期待できます。アルギニンが含まれているので,疲労回復や健康な体づくりには欠かせない食材でしょう。油とよく合い,独特の香りは素材の持ち味を生かしながら臭みを消す効果があるため,肉や魚と相性は抜群。きんぴらや筑前煮,五目ご飯はもちろん,天ぷらやかき揚げ,鍋,ゆでてサラダにしてもおいしいです。香りとうま味は皮付近にあるので,鮮度も風味も保ちやすい泥付きを選びましょう。ひげ根が少なく太さが均一ですらりと伸び,ひび割れていないのが良品です。平成30年1月31日/南日本新聞「食べごろ」から
風邪予防にゴボウ=ユーラシア大陸北部が原産のゴボウは,ヨーロッパや中国では薬用として重宝され,食用にしているのは日本のほか,韓国や台湾などの一部です。30~450㌢の短根種と70~100㌢の長根種があります。食物繊維が豊富で,水溶性食物繊維のイヌリンは整腸作用があり,血糖値の上昇を抑えます。不溶性食物繊維のリグニンは,コレステロール値の抑制や大腸がん予防に効果的です。抗酸化作用の強いタンニンやクロロゲン酸のポリフェノールも含み,風邪予防やアンチエイジングも期待できます。太さが均一で弾力があり,土付きの方が日持ちも良くてお薦めです。水洗いせずに新聞紙などで包み,冷暗所か冷蔵庫で保存しましょう。風味や栄養分は皮周辺に多く含まれています。むかずにタワシなどで洗い,サラダやきんぴら,煮物や揚げ物でお楽しみください。平成31年1月23日/南日本新聞「食べごろ」から
食物繊維豊富なゴボウ=ゴボウは特有の風味と食感があり、煮物やきんぴら、サラダなど色々な料理で楽しめまず。食物繊維が豊富で、水溶性のイヌリンには腸の働きを整え血糖値の上昇を抑える作用があります。不溶性のリグニンにはコレステロール値を抑制し、腸の動きを活発にさせ、便秘解消や大腸がん予防などに効果が期待できます。膏血圧予防にいいカリウムや貧血予防になる葉酸のほか、強い抗酸化作用のあるタンニンやクロロゲン酸などのポリフェノールも多く含まれます。弾力があり、太さがある程度均一で、先端が緩やかに細くなっているものが良品です。表面にひび割れや黒ずみがあり、先端がしおれているものは避けましょう。土付きの方が風味が良く、日持ちもします。うま味成分は皮の部分に多いため、皮は軽くこそぐ程度が良いでしょう。秋から旬を迎えるゴボウを味わってください。令和5年10月11日/南日本新聞「食べごろ」から
参考図書:『日本園芸協会野菜講座/栽培・収穫編3』,徳江千代子監『野菜と果物を「安心」して食べる知恵』(二見書房),『旬の野菜の栄養辞典』(エクスナレッジ),『はなとやさい』(2021年6月号)
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ヤマイモ=自然薯(じねんじょ)・つくね芋・ねばり芋
ナガイモ・ヤマトイモ・自然薯・イチョウイモ・ねばり芋等を総称してヤマイモ(ヤマトイモ)と言われ,昔の人は,人間にとって根菜類がいかに重要であるかを実感していたようで,江戸時代の儒学者で,植物や薬草にも詳しかった貝原益軒は著書の中で,次のように繰り返し根菜類の大切さを次のように説いています。
「山ヨリ出ルヲ以ッテ自然薯(生)ト云,昧最モ良シ腎ヲ補ヒ,牌,胃ヲ益ス 虚人服スベシ」(『大和本草』)
今年は,4月に袋に入った種イモを購入し,イザラの支柱を立て,植え付けていた単形の自然薯とつくね芋の根塊が途中で折れないようにと,スコップを用い慎重に穴を掘り収穫しました。
連作を嫌うとありましたので,昨年とは違う場所に,苦土石灰を散布し,スコップを使い-50㌢まで深く掘り起こして,60㌢幅で30㌢の高畝を作り,株間40㌢で堆肥と化成肥料を種イモの根元に施し,芽が出,蔓が生長したら絡まって上に伸びていくように,山から切ってきたイザラを根元からお隣の擁壁に立て掛けるように立てました。
なお,ヤマイモの食用にする部所は,根のように見えても栄養分を貯蔵する器官で,直接土から肥料分を吸収ことはなく,逆に土中に未熟な有機物があると病害虫発生の原因に。ヤマイモは肥料を吸収する根は,浅い位置に伸びるため,芽が出てきた時点で土壌表面にぼかし肥を散布しました。
生育途中の7月に,土寄せを兼ね根元に追肥の化成肥料を施し,夏の乾燥時期には,根元をワラで覆い,10月には,お隣の敷地にまで伸びた蔓葉をお隣さんにお詫びしつつ剪定し,蔓が霜枯れした12月に収穫の時期を迎えました。前年は,途中,強風でイザラごと倒れたのですが,今年は倒れるようなこともなく手間いらずでした。
今年は,昨年までの自然薯に加えつくね芋を同じ畝に植え付けました。つくね芋には,昔の山学校で収穫を楽しんだ馴染みの“むかご”の実がなり,炒めたり塩ゆでしたり,炊き込みご飯で昔の味を思い出しつつ,根よりも早く11月に食しました。
なお,根塊は栄養価が高く,独特のねばりと味があり,すりおろして食するトロロ汁は,喉を通る時の喉ごし感は何とも言えませんよね。疲労回復に役立つ成分を多く含むため,昔から滋養強壮に良い野菜として重宝されてきましたが,ヤマイモには含まれる酵素のジアスターゼはデンプンを分解し,消化を助けます。ぬめり成分の水溶性植物繊維が胃の粘膜を保護し,胃潰瘍や胃炎から体を守るほか,糖尿病や高血圧の予防,コレストロールの上昇抑制に役立ちます。新陳代謝を促進するコリン,血液浄化作用のあるサポニン等をも含み,優れた野菜です。(疲労回復,糖尿病の予防,高血圧の予防・改善,消化の促進)
ヤマイモは鹿児島を代表するお菓子『カルカン』作りに欠かせない材料であり,また鹿児島弁では,酔狂を指して『山芋を掘る』(やまいもほい)と言いますが,酔って同じ事を何回も管を巻いたように述べると言う,酔った焼酎飲んごろの悪しき表現にも使われていますし,山の雑木林に入ると,誰が掘ったのか?山芋を専用の道具を使い直角に掘った幅30㌢の深い穴が埋め戻さないまま残っており,足下を良く見て歩かないと,穴に足を取られてしまい大変な目に遭うということが何回もありました。
※栄養生長から生殖生長に変わる段階で“むかご”ができるそうで,むかごが沢山着くと地下の芋が大きく育たないそうですので,蔓を伸長誘引する支柱立てが肝要だそうです。
※昭和48年に鹿児島市の金海堂から発行された郷土料理家:石神千代乃先生(明治41年生)著の『さつま料理歳時記』の霜月(11月)に鹿児島での郷土料理としての山芋の調理方(山芋の落としあげ・とろろまぐろ・いかと山芋のいと和え・山芋の吸物・山芋の茶きんしぼり)に加え,山芋に関する随筆が記載されていましたので,随筆の全文を次に紹介します。
■やまいも
「この辺かな……いやここから続けばと……そげな筈じゃ無かどん」等と山芋掘りの男は,一人言をつぶやきながら,かついできたカガリ(つづらかご)を脇に置いて,キンツを地面に突きさし,山の中で人知れず掘りつづける。
これは夏のあいだ山路の行き帰りにつけておいた目印が,今は黄色く枯れてしまったので,そのつるをたどり,探しているところである。
さてそのからむ相手が人間に変り,深酒悪酔のブツブツになると,鹿児島言葉で「ヤマイモホイ」 といわれ,かねてどんなに実直にみえても,さっぱり女性にもてなくなる。共に鹿児島名物であった。
山芋は里芋と同じく随分古代からこの地上自生し,山家のごちそうとされた。
近年は年毎にその貴重さを増して,都会に住む者には縁遠くなりがちではあるが,その風味の土の香りや,ねぼりの濃さは,郷土の味として深く愛されるところである。すりおろした山芋は,その純白さがまず目を楽しませる。「山芋,化けてうなぎとなる」とは,荒唐無稽の言い方ながら,うなぎに匹敵するほどの強い成分を持つといわれる。郷土のほこる「かるかん」が,自然生山芋の特長を最大に生かした名菓である事はうれしい。
山芋は,そばきりやつけあげ等のつなぎにも,あのもっちりともたせる役割に使われ,落しあげにしてもおつなものである。
其の他,いろいろの料理に利用されて珍しがられているが,山芋のつるになるヌカゴとりも,山歩きのたのしみである。クコやコメグミ等の実のあるところ,枯れかかるつるに今にも落ちそうについている。指先大のこの実はからいりにし,塩をふりかけて,プチリプチリつまみながら秋の夜長にかたむける酒もまた格別である。
※今年は,我が菜園でもぜひやまいもの栽培に挑戦してみたいという方に,タキイメールマガジン『植彩館』平成26年1月14日号に「ねばねばとろろん ヤマイモを栽培しよう」として,ヤマイモ(ナガイモ・ツクネイモ・イチョウイモ・自然薯)のお勧め品種に加え,親切な栽培カレンダー・栽培ポイントを高橋重俊氏が紹介されていましたので一読を。
※令和4年の「ねばり芋」の種芋を植え付けは3月で、12月に収穫しましたが、根先が-40㌢近くまで伸びており、スコップを使っての掘り上げ作業に苦労させられ、先端を何本か折ってしまいましたが、タキイの園芸新知識『はなとやさい』の2023年1月号の「滋養たっぷりのスタミナ野菜 ヤマイモを育てよう」に、ヤマノイモ科ヤマノイモ属は大別して「ナガイモ種」には、ナガイモ群に=長芋・ねばり芋・姫神芋などがあり、ツクネイモ群には、つくね芋・新丹丸などが、イチョウイモ群には、いちょういもなどがあって、「ヤマノイモ種」の自然薯には、自然薯があることが表で紹介されていました。
参考図書:『野菜の施肥と栽培―根茎菜・芽物編―』(農文協編),木嶋利男著『伝承農法を活かすマンガでわかる家庭菜園の裏ワザ』(家の光協会),吉田企世子監『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜で体がよみがえる 知られざる野菜と果実の底力』(草思社)
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ショウガ
4月末のGW入りに[長島の道の駅]で種ショウガを購入し,隣家の日陰になる1坪程の南西地の畑に植付けていたショウガを10月になり収穫する中,ショウガの生育・管理に関し,復習の意味で学習してみました。
畑の準備
耕土が深く有機質に富んでおり,肥よくで保水性や通気性の高い畑が必要です。種ショウガを植えつける1か月ほど前に,完熟堆肥と苦土石灰を全面に施し,深さ20㌢ほどに耕して,土とよく混ぜておきます。
なお,ショウガは連作を嫌い,連作により根茎腐敗病やネコブセンチュウが発生しますので,4~5年間作付していない畑を選ぶようにしましょう。
種ショウガの植えつけ
寒いと種ショウガが腐ってしまうので,晩霜のおそれがなくなるころを目安に,畝幅,株間は45~60㌢×20~30㌢m程度に深さ10㌢ほどの植え溝を掘り,種ショウガを溝と平行に,芽を上に(種ショウガは小さな芽が出ている方を上側に)して植えつけます。
◎失敗しない栽培のポイント
株が大きくなり始めたら,株元まで十分に土寄せをします。土寄せが足りないと,塊茎が十分に太りません。また乾燥に弱いので,芽が出てきたら株周りに敷きわら,敷き草をして,水分を保つようにします。特に梅雨明けなどの乾燥期には,水やりを十分に行います。
また,茎は風に弱く,土際から折れてしまうことがあり,そこから二次的に腐敗菌が侵入したり,生育が侵されることがありますので防風対策も肝要です。通常,露地栽培をするときには,種ショウガを晩霜の終わるころに植えつけ,初霜の来る前に大きくなった株(根ショウガ)を収穫します。
■知っておきたい効用
薬効豊かな香辛野菜の代表選手ですが,その作用は主に独特の辛味や香り成分によるものです。辛味の主成分はジンゲロールで,熟を加えることによってショウガオールに変化します。生でも,加熱した後でも血行をよくする,体を温めて発汗を促すなどの働きがあり,風邪や冷え症の特効薬になってくれます。近年ではショウガオールの抗菌作用,抗酸化作用ががん予防に有効とされ,抗がん食品としての注目度が高まっています。
香り成分のジンギベレンやシトロネラールには,胃腸の機能を高める作用があるとされ,漢方では下痢止めや解毒剤としても使われます。独特の香りが胃液の分泌を促すため,食欲もアップ。生ですりおろして,あるいは妙め物の香り付けにと,料理に合わせてさまざまに使いこなせる柔軟さも大きな魅力です。(がん予防,風邪や感染症の予防,冷え性の改善,食欲の増進)
◆調理との組み合わせのコツ
辛味や香りの成分は,細かくするほどその特性や薬効が生かされます,生の場合はおろして,妙め物や煮物の臭み消しや香り付けにする場合は,細かく刻んで使いましょう。暑さで体調をくずしがちな季節には,胃潰瘍の予防に有効とされるキャベツや,ビタミンCをたっぷり含むブロッコリーなどの野菜と合わせて妙めれば,体力アップが図れます。
なお,肉をショウガ汁に漬けるのは,風味を加えるとともに,ショウガにたんばく質を分解する酵素が含まれるからです。
【寒くなる季節にショウガを】 平成23年10月5日/南日本新聞『食べごろ』から
ピリッとした辛味が特徴のショウガ。亜熱帯が原産で,九州や四国などの暖かい所で栽培され,中華料理やカレーの香辛料としても広く親しまれています。初夏から秋にかけ,収穫後すくに入荷する新ショウガは,みずみずしくて繊維が少なく,すしのガリなど酢漬けに向いています。
霜が降りる前までに行われる収穫は,これからが本格的な時期。温度が14度ぐらいで保存すると1年間貯蔵することができ,貯蔵後に出荷されたものを〝囲ショウガ〟といいます。自宅で保存する際は冷蔵庫で冷やし過ぎないように注意が必要。
含まれる匂い成分と辛味成分が,健胃作用や解毒作用,保温作用,消炎作用などをもたらし,漢方薬にも多く用いられています。これから寒くなるこの季節,ショウガパワーを積極的に取り入れていきたいものです。(鹿児島市青果市場主査・陳ケ尾智)
※『やさい畑』2010秋号の「旬をいただく 畑薬膳 ショウガ」には,食養研究家・武鈴子氏監修で,薬味に漬け物,炒め物や和え物など幅広い料理に応用の利く万能食材で,漢方薬の生薬としても薬効が高く,一年を通して様々な形で健康に役立ちますとの記事が掲載されていました。
※『やさい畑』2010冬号の「やまけんの農の匠訪問⑪」の中に,全国一の生産高を誇る高知県高岡郡四万十町のショウガ生産農家井上健一さんは,種ショウガの植付けに際しては,株間を27㌢(過去のデータから,この間隔が一番大きくなった)で植付けておられ,水管理がショウガ栽培の命との記事が。
※厳しい霜の朝であった平成25年1月7日(月)午前8時半からTBS系で放映の「はなまるマーケット」で放映の正月太り・正月疲れ解消にショウがパワー!で紹介されていましたお茶漬けで有名な永谷園生姜部の活動と同部の開発したショウガレシピを紹介したURLです。
※『現代農業』(平成24年10月号)の「あっちの話 こっちの話』に京都から「ショウガの搾り汁が円形脱毛症に効く!?」という話題が=木津川市の駒克枝さんに円形脱毛症を治す方法を教えてもらいました。方法は簡単。すりおろしたショウガをガーゼに包んで患部にチョンチョンチョンとつけるだけ。ポイントは患部のぐるりからチョンチョンすることです。これを朝晩毎日行ないます。克枝さんの義兄さんが実際にやってみたところ1カ月もしないうちに治ったといいます。克枝さんは,この方法を克枝さんのお父さんから教わったといいます。お父さんは元軍医でこういう話をたびたび開かせてくれたそうです。=提供されていました。
※南日本新聞の情報誌『てぃーたいむ』(平成25年5月号)の中の「菜園くらぶ」に「ショウガ」が掲載されていましたのでPDF版に再編して掲載し,4月3日に土佐大とお多福の2種類の種芋を植付けた今年の我が畑のショウガの生育管理=追肥の時期に早速活かすことにいたしました。
※『現代農業』の2013年12月号の『こっちの話』に我が薩摩川内市の実験屋:有馬正雄さんの春先までもつショウガの保存法「湿ったモミガラでショウガを長期保存」が掲載されていましたので紹介します。(私は,穴を掘り土と籾殻を上からかぶせ今冬までは保存していました。)
まず,地面に深さ45~50㎝の穴を掘り,そこへ底をき切りにしたドラム缶をはめ込み,右図のように中にはモミガラを入れ,ショウガを埋めておくだけという方法。モミガラは地面から10~20㎝まで盛りあげ,ワラで作った傘をかぶせて雨除けをしておきます。
ポイントは,乾いたモミガラではなく湿ったモミガラを使うこと。ショウガはイモと違って湿度が必要なようで,わざと半年間野ざらしにしたモミガラを使います。ギュッと手で握ってしっとりと感じるくらいの湿り気がいいそうです。これで温度も10度くらいを保てます。この方法だと,4月くらいまで保存でき,ネズミの食害に遭うこともないそうです。
※よし今年は,我が菜園でもこの春には,冬場に薬用として家族の体を温める薬用効果を期待して植え付けてみたいという方に,タキイメールマガジン『植彩館』平成26年2月6日号に「さわやかな香りと辛み うまいショウガを上手に育てよう」と題し,人気の「土佐大しょうが」の産地:高知県吾川郡いの町でショウガ生産を研究されておられる池澤嘉明さんの指導で土佐大しょうがの露地栽培が紹介されていました。
※平成30年のショウガの種芋を買い求めに上川内のナフコでは,店頭に国産の種芋と中国産の種芋の2種類が並んで販売されており,中国産は国産の二分の一の値段でしたが,食の安全の観点から,やはり今年も国産(熊本県)の「大ショウガ」1.5㌔(2,027円)を買い求めましたが,「ショウガの育て方」と題した植え付け・管理・収穫までを解説した1頁の印刷物が置かれていたので頂いて帰り,早速,南西カ所の畝に,化成肥料・木灰・油粕・米ぬか・牛糞堆肥を元肥として施し,間土を被せ40㌢間隔で前年と比べ1日早い3/28植え付けを行いました。
※『やさい畑』(2017年初夏号と2020年春号)に,木嶋博士の驚き育てワザ15 若返り&共育ちで収量大幅アップ!「ショウガの分割まとめ植え」として紹介されていました。
① 種ショウガは手で折って小分けしてから植えつけるのが原則で,小さく分割することが刺激となり,一種の若返りが起きます。
② 小分けした種ショウガを単独で植えず3個を「まとめ植え」にする。 科学的なメカニズムはまだ解明されていないそうですが,イネやネギなど発芽時の子葉が「双葉」ではなく,1枚の植物=単子葉植物では,幼苗3本をまとめ植えにすると生育が格段によくなることが知られており,ショウガも単子葉植物ですので。まとめ植えをして「共育ち」にすると,驚くほどぐんぐんと生長。
③ 植え付け後の管理として,芽が15㌢程に伸びたら株元にたっぷりと土寄せし乾燥防止に敷き藁を行い,その際に生の米ぬかを撒いておくとショウガはその成分をうまく吸収し育ちが良くなる。
◇日本への伝来
3世紀末に書かれた『魏志倭人伝』には,「倭國の山には,薑垂(キョウ,しょうが),橘(キッ,たちばな),椒(ショウ,さんしょう),茗荷(ミョウカ,みょうが)があるも,以て滋味と成すを知らず」と記されていますが,これを概訳しますと「日本の山には生妻などが見受けられるものの,倭人は賞味することを知らない」となり,日本に生姜が中国から渡ってきたのは2~3世紀で,中国の呉の国(紀元222~280年)から伝えられ,一説には稲作の伝来とほぼ同時期で,3世紀には既に生姜は栽培が行われていたといわれています。
奈良時代には,平城京周辺で生姜の栽培が行われていたようで,8世紀初めに編まれた『古事記』には,生姜を「ほじかみ」と呼び,「波志加美」・「波自加禰」という万葉仮名で著されてています。
元々は山椒を「ほじかみ(薑)」と呼んでいたようですが,同じく辛い香辛料の生姜が伝わると,呉国から伝わったことから,山椒を指す「ほじかみ」に対して,生姜は「くれ(呉)のはじかみ」と呼ばれるようになりました。「ほじかみ」の語源は,「(辛くて)歯をしかめる」からだという説があり,現在,焼き魚に添えられる細くて紅い葉生妻の酢漬けを「ほじかみ」と呼ぶのは,その名残といえるでしょう。
平安時代に入ると,生妻は香辛料や生薬としてますます広く栽培され,『延喜式』 にも,また,料理の指南書である『四条流包丁書』にも,生姜についての記述があります。生妻の産地として遠江(静岡県大井川西部)や越前(石川県と福井県北部)の名が挙がっています。
生妾は当時,香辛料としてはもちろん,砂糖や蜂蜜に漬け込んだ高級保存食として,極めて価値が高かったようです。
「はじかみ」から「しょうが」に呼び名が変わったのは室町時代といわれ,「生妻」という漢字をあてるようになったのは江戸時代からで,江戸時代の漬物レシピ集である『四季漬物塩嘉言』の中の「生妻味噌漬」の項に「生妾」の文字が登場します。
明治時代になると,生妾はますます食材としての地位を確かなものにし,「風邪のひき始めには生妻湯を飲む」という民間療法も広く知られるところとなりました。
しかし,昭和の時代に入ると,戦争や経済不況で,栄養価の低い生妻はあまり重要視されなくなりましたが,終戦後には需要が再び伸び始め,作付面積も収穫量も輸入品を含め増えるようになりました。
現在の「生妻ブーム」は,決して一過性のものではなく,生妻ブームは昔から連綿と続いてきており,「生妻はもうあきた。今度はどんな健康食品にしようかな」などと迷うことなく,生妻の味覚と効能を,今まで以上に愛し続けて欲しいと願っています。 (遠藤榮一・遠藤栄共著『ガリ屋がまとめた生姜のはなし』創元社刊(=右上図書)から抜粋紹介)
ショウガで体温めて=独特の香りと辛味が特徴のショウガは,南アジアが原産といわれます。日本には3世紀以前に中国から伝わり,奈良時代頃から食べられていたようです。9~10月に収穫され,すぐに出荷されるものは新ショウガといわれます。数ヵ月間貯蔵されたものは通年で出回っています。辛味成分はショウガオールやジンゲロンなどで,血行促進や体を温める作用があるため,冷え症対策にお薦めです。香り成分のジンギベレンやシネオールは消臭や食欲増進の効果があるとされています。
新ショウガは色が白く艶があるもの,通年出回るシーヨウガは全体がふっくらとした大きな塊を選びましょう。キッチンペーパーなどに包みポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室か,約15度の冷暗所で保存してください。おろしや刻んで薬味にするほか,甘酢漬け,しょうが場,シロップにして体を温め,寒さに備えましょう。(平成30年10月24日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
冷え性対策にショウガ=ショウガの特徴は鼻をツーンと抜ける独特の香りと辛味です。根の部分と思われがちですが,ジヤガイモなどと同じ,茎が土の中で肥大した「地下茎(ちかけい)」です。初夏から秋にかけ,収穫後すぐ入荷する新ショウガは,繊維が柔らかく辛味が爽やか。一年中出回っている,貯蔵後に出荷された囲(かこい)ショウガは,辛味が強いのが特徴です。辛味成分は,ショウガオールやジンゲロンなどで,血行促進や体を温める作用があり,冷え症対策にお薦めです。香り成分のジンギベレンやシトロネラールは消臭や食欲増進の効果があるとされています。新ショウガは茎の付け根がきれいな赤色で,全体がみずみずしく艶があるもの,囲ショウガは全体がふっくらとして硬くしまったものを選びましょう。寒くなる季節,甘酢漬けや煮物などショウガを使った料理で体を癒やしてください。(令和2年10月14日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
辛み穏やかな新ショウガ=ショウガは熱帯アジア原産で,現在は世界中で香辛野菜として広く用いられています。この時季に店先に並ぶのは,収穫後すぐに出荷される根ショウガで,「新ショウガ」と呼ばれます。貯蔵された後に出荷される根ショウガに比べると,柔らかく辛みも穏やかでみずみずしいです。独特の辛み成分はジンゲロールやショウガオールによるもので,食材の生臭みを消す作用や殺菌作用があります。血行を良くし,体を温め新陳代謝を高める作用もあり,風邪予防や冷え症対策にお薦めです。特に,しょうが湯や豚汁など加熱する料理に使うことにより,効果が大きくなるとされます。新ショウガは,全体がみずみずしく張りがあるものを選びましょう。一度に使いきれない場合は,薄切りや千切り,みじん切りにしたものをを小分けにしてラップに包み,冷凍しておくと使いやすくて便利です。(令和3年9月29日/南日本新聞『かごしま 食べごろ』から)
ショウガ水に浸し長持ち=ショウガは熱帯アジアが原産地とされ、2~3世紀ごろに中国から日本に伝わったといわれています。古事記にも記載があり、古くから香辛料や薬用に利用されてきました。独特の辛みと香りはジンゲロールやショウガオールによるもの。老化防止やがん予防、血行促進や新陳代謝を活発にする効果があります。皮に傷がなく、みずみずしく、ふっくらとして張りのあるものを選びましょう。乾燥を防ぐために水に浸して保存するのがお勧めです。定期的に水を取り換えれば1カ月程度持ちます。使いやすい大きさにカットし、小分けにして冷凍すれば、そのまま調理できるため便利です。香り成分は皮の近くにあります。肉や魚の臭い消しには皮ごと使いましょう。砂糖で煮つめたシロップは風邪予防や夏パテ防止に最適です。今が旬のショウガをさまざまな料理でお楽しみください。(令和6年6月26日/南日本新聞『買いごろ 食べごろ』から)
参考図書:『野菜講座』(日本園芸協会),『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『野菜づくり虎の巻』(家の光協会),『新野菜つくりの実際軟化・芽物』(農文協),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『ガリ屋がまとめた生姜のはなし』(創元社),『現代農業』(平成29年2月号),『やさい畑』(2020年4月号)
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みょうが
畑の片隅にひっそりと植え付けていたみょうが。夏が旬の野菜で土壌は選びませんが,半日陰で適度な湿気のある場所に4月に根株を植付けます。乾燥防止のため籾殻と敷き藁を厚めに敷き詰め,追肥を。丈が15㌢くらいに伸びてきたら株間15㌢となるように間引くことで,混んで根が絡むのを予防しましょう。
なお収穫の目安は,花が開く前を目途とし,花が開きますと食する根元の蕾がプカプカになり味が落ちますので注意を。11月頃になると茎葉が枯れるので切り取り,上から厚めに藁で覆い,肥料を施し翌年に備えます。昔から「食べると物忘れがひどくなる」と言われていますが,これは迷信で食しても物忘れするような事はありません。それよりも食感や香りで頭がすっきりとなります。
■知っておきたい効用
日本原産で『魏志倭人伝』にも登場するほど歴史が古い野菜。野菜として栽培しているのは,日本だけといわれます。食べるのはかたくしまった蕾の部分で,つぼみ状のものを「花みょうが」,軟白した若い茎を「みょうがたけ」といいます。漢方では消炎や解毒の作用がある生薬として,主に煎じ薬や外用薬に利用されてきました。
日本料理と相性のよい独特の香り,しゃっきりと軽快な歯ざわりが楽しめます。香りのもとである精油成分のα‐ピネンには,胃の消化を助ける働きがあります。さわやかな香味には,夏の暑さで低下しがちな食欲を増進させる効果も。また,しょうがの仲間であることから,しょうがと同様に体を温める作用があり,血行や発汗を促したり,反対に体温を調整して発熱を抑える効果もあるとされています。
民間療法では,生はリウマチの治療や消化促進に効果があるとされています。(食欲の増進,血行促進,発汗作用,高血圧の予防・改善)
◆調理との組み合わせのコツ
体を温めるα‐ピネンの香りを生かして,食欲増進に役立てましょう。合わせやすいのは,みょうがの薄切りとなすやきゅうりなどの塩もみです。また,なすやきゅうりと一緒にぬか漬けに用いるのもよいでしょう。ぬか漬けにすると本来みょうがには含まれていないビタミンB1が浸透します。
α‐ピネンは揮発性なので,生で切ったり刻んだりする食べ方がおすすめです。アクがあるので,切ってからさっと水にさらしてアク抜きをして食べましょう。
※みょうがのレシピ
Q ミョウガは,数年おきに植え替えるといいと聞きましたが,やり方を教えてください。時期はいつがいいですか。
A 地下茎で増えるミョウガは,何年か栽培を続けると根が混み合ってきて,芽が出にくくなります。少なくとも2~3年おきには株を掘り上げて植え替え,生長するスペースをつくってやりましょう。2~4月の芽が動き始める前が植え替えの適期です。
からみ合った根をていねいにほぐして傷んだ部分を取り除き,地下茎(根茎)を20㌢くらいの長さに切りそろえます。元肥として苦土石灰100㌘/㎡,堆肥2㎏/㎡,化成肥料(N・P・K=8・8・8程度)100㌘/㎡を施して,深さ30㌢くらいまでよく耕します。畝幅30㌢,株間を15㌢とり,10㌢の深さに根茎を植えつけます。
また,本葉7~8枚になったら20㌢おきに株を掘り上げる間引きを行うと,新しい根が張るスペースができます。このときに化成肥料100㌘/㎡を追肥しておきます。ミョウガはとても丈夫な植物で,地下茎を切断しても心配ありません。(園芸研究家:麻生 健)
※『やさい畑』の2010年冬号に,日陰スペースを有効活用としてみょうがの畑準備・植付け・追肥・わらを敷く・収穫までが,豊富な写真入りで掲載されていました。
タキイ種苗KKの『はなとやさい』(2021年2月号)に「ミョウガを育てよう」が紹介されていましたのでPDF版に編集・掲載。
参考図書:『新野菜つくりの実際軟化・芽物』(農文協),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『やさい畑』(2010冬号/家の光協会),『やさい畑』(2011春準備号/家の光協会 読者の悩み相談室),『現代農業』(平成25年8月号/農文協),『藤田智の新・野菜づくり大全』(NHK出版),『はなとやさい』(2021年2月号)
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らっかせい(だっきしょ)
らっかせいは漢字で書くと「落花生」。花がしぼんだ後,花のつけ根にある子房柄と呼ばれる部分が地中にもぐり,子房の部分が生長して豆がなるという珍しい育ち方をすることからついた名前です。鹿児島県内では,種子島や鹿屋が産地として有名ですが,ご主人の焼酎のつまみにと植えておられるご近所さんから頂くばかりでしたが,平成24年の今夏は,千葉県産の種豆(千葉半立)を買い求め4月中旬に広畝に20㎝間隔で種を横向きにして播き栽培してみました。
栽培は比較的筒単で,暑さとともに生長しいく中,黄色の花を咲かせます。花の開花に合わせ化成肥料を追肥として施す中,土寄せをする程度の手間いらずで栽培し,葉が黄ばみ始めた9月上旬,収穫が遅れる茎が枯れ豆が外れると,土の中の豆を拾い集めるのが大変なので,ためしに一株掘り起こし豆の着き具合を確認して収穫。早速,さやごと塩・醤油味でゆでて豆を食べています。鹿児島弁では『だっきしょ』,今風では「ピーナツ」と垢抜けした名前で呼ばれています。
なお,豆を収穫できるだけでなく,サツマイモネコプセンチユウとネグサレセンチユウの成育密度を減らす対抗植物の効果も期待できます。また,根に共生する根粒菌が,植物の栄養となる土中の窒素分を増やしてくれ,一石三鳥の効果もあります。
らっかせいとピーナツの違いを一言でいうと,「らっかせい」は植物の状態と,実の殻付きの状態までを指し,余談ですが殻なしで薄皮がついた状態では「南京豆」と呼ばれ,「ピーナツ」は殻も薄皮も剥かれて食べられる状態を指します。
■知っておきたい効用
たんばく質,脂質,炭水化物ともに豊富で,脂質には悪玉コレステロールの生成を抑制するオレイン酸がたっぷり。ビタミンでは,ビタミンB1,葉酸,ナイアシン,パントテン酸などのB群やビタミンEを特に豊富に含みます。
ビタミンB1は炭水化物の代謝を助け,疲労物質の発生を抑えて疲労回復に優れた効果を発揮します。B1はたんばく質の代謝と深い関係があり,ホルモン機能を調整する働きもあります。ナイアシンにはエネルギー代謝のみならず,アルコール代謝を促進する作用があり,お酒のおつまみにピーナッツが登場するのも,その健康効果によい組み合わせの一例です。
そのほかにも,脳の老化抑制に有効とされるコリンやレシチン,抗酸化物質のサポニンを含むなど,生活習慣病予防に有効な栄養成分に富む種実で,約30粒でごはん1杯分のカロリート同じに。(コレステロールの上昇抑制,動脈硬化の予防,高血圧の予防・改善,整腸作用)
◆調理との組み合わせのコツ
ビタミンEの抗酸化力は,β‐力ロテンやビタミンCの働きが組み合わさると,その作用が高まります。このため,両栄養素が豊富な「あしたば」「こまつな」「なばな (菜の花)」などの青菜類との組み合わせは,脳の老化抑制や美肌効果,生活習慣病の予防効果を高めることになります。ミルなどで砕いて細かくすれば,サラダや和え衣として気軽に利用できます。また,調理をせず,そのままお酒のおつまみとして食べれば,アルコールの代謝にも有効です。
◎塩ゆでらっかせいの基本技
①さやつきのままボウルに入れ,表面の汚れを洗い流し,その際,傷んだ豆を取り除く。②実がかぶるくらい水を入れ,塩を加え火にかけ,煮立ってきたら火を弱め,1時間ほど好みのかげんにゆでる。(実が浮いてくるので落し蓋を)③ゆで上がったら,ざるにあげて水けを切り冷まし食卓に。柔らかめが好み方は,火を止めた後,ふたをして30分ほど蒸してください。
※国内のらっかせい企業150社が加盟し,らっかせいに関する課題を調査研究し,消費者への普及啓発活動を展開している「全国落花生協同組合連合会」のHP内に家庭菜園で落花生を作りましょうや,落花生レシピ(生の落花生をお家で調理)等が掲載されていますので,ぜひ覗いてみてください。
※立川志の輔師匠と小野文恵アナウンサーの司会進行で放送されています,身近な生活の話題の一つのテーマを,最新の科学を駆使・実践していくことで今までの常識を覆し,新しい常識を発見していく生活情情報番組,NHKの人気TV番組『ためしてガッテン』の平成29年年1月11日放送(再放送1月17日)の内容は,2月の節分を前に「福はー内 鬼は外」と播いたり,ビールのつまみにとつい口にする「ピーナツ」で,番組の
タイトルは『血管を強くしなやかに!ピーナッツパワー解放ワザ』でした。
同番組の中では,アメリカ・ハーバード大学が30年間にわたって12万人の食生活を調べた研究の中で,「血管を健康にして死亡率を飛躍的に下げる食材」として浮かび上がった食材が,意外にもピーナッツ。実は,ピーナッツの約半分は脂肪で含まれる油は,飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がとてもバランスよく含まれていることから,コレステロール値を下げるほか,血管を強くしたり,糖尿病を軽減したりと,様々な効果を発揮します。
お勧めは1日20粒程度。ミネラルやタンパク質も多いため,優秀な健康食材として一躍注目を集め始めており,ピーナッツの健康パワーとおいしさをフル活用するためのワザを徹底研究。市販のピーナッツにひと手間を加えるだけで,「最強のおつまみ」や「万能コク出し調味料」に変身。
同番組の内容を失念しない内にと同番組のHPから番組内容を印刷するを見つけ貼り付けました。
参考図書:『新特産シリーズ ラッカセイ』(農文協),『やさしい家庭菜園』(家の光協会),『旬の野菜の栄養事典』(エクスナレッジムック),『野菜まるごと大図鑑』(主婦の友社),『やさい畑』2011年初夏号(家の光協会),『現代農業』(2017年9月号「もうやめられない!ラッカセイ」),『すべてがわかる!「豆類」事典』(世界文化社)
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ヤーコン
南米のアンデス高原が原産地で,ペルー系がニュージーランドを経由して我が国に入ってきて四分の一世紀と歴史の新しいキク科の健康野菜で,品種としては,ペルーA系・サラダオトメ・アンデスの雪・サラダオカメ等があります。
私はお隣さんから昨年春に苗ではなく根を数株頂き,初めて聞いた植物名故に図書館に行って『新特産品シリーズ ヤーコン』(農文協)を借りて学習(保水性・排水性の良い畑+風当たりの弱い畑+病気のない畑+連作不適)する中,植付け時には堆肥と化成肥料を。追肥として化成肥料を1回施しただけで,草丈は1.5㍍も伸びました。病害虫には強いようで,虫はつかず11月にヒマワリの花を小さくした花を見,霜に当たり葉がしおれた後の12月に収穫しました。
塊根部を食する部分と種イモに分け,食する塊根部分は新聞紙に包み暗い場所に保管。種イモ部分は,土の中に埋めて保存。それを3月末に掘り出し,幅広の畝に植付けました。収穫まで8カ月以上要しますが,サツマイモorダリアの根に似たイモの部分を,生のまま輪切りやサラダにしたり,他の食材と混ぜてのキンピラ,野菜炒めにして食しています。ナシを思わせるシャキシャキした食感があります。
オリゴ糖やポリフェノールを多く含み生活習慣病に良い健康食品として,近年再評価されつつあるヤーコンは,植物繊維も豊富で,中性脂肪・血糖値を抑制する効果も。糖質が少なく低カロリーで,作物の中で飛びぬけて多いフランクオリゴ糖のおかげで,腸内のビフィズス菌を増やし,腸の働きが活発となり便秘解消にも効果があるそうです。カテキン,テルペン類,ミネラル類も多く含んでいるそうです。
また,根だけでなく夏収穫した葉は,根同様の効果があるそうで,血糖値の上昇を抑えるインスリンに似た効果があり,糖尿病や高血圧の予防のため乾燥させて「ヤーコン茶」として飲むこともできます。加えて,中性脂肪やコレストロール,肝臓の中性脂肪を低下する効果も研究者からは発表されており,成人病に陥りやすい現代人には,最高の健康野菜と言えるのでは。
ちょうど4月~5月が植え付けの適期(出芽・発根適温は25℃前後)です。手間のかからない健康野菜のヤーコンをあなたの畑にも植えてみませんか。
さつま町の従兄は,集落全員で植えたが,誰も食べ方まで知った者がいなくてと,ミカン箱に入れて2箱も届けてくれました。
11月17日(水)の南日本新聞に『新顔“健康野菜”ヤーコン,マコモ』というさつま町の生産者の記事が掲載されていましたので,ここに写しを添付しておきます。
健康野菜のヤーコンに少しでも関心をお持ちになられましたら,ぜひヤーコンのレシピ集や,
専門家のヤーコン栽培HPをぜひ一度覗いてみて,あなたの畑にも植え付けてみませんか。最初だけは苗(ポット苗150円程度で販売されています)を購入し,次年からは種イモを利用されればOK。種イモ数株あります=欲する方は取りに来てくだされば差し上げます。下右から2番目の写真は,植付け2週間後の発芽状況です。また,左端の写真は,市立図書館にある「新特産シリーズ ヤーコン」の本で,栽培・加工・料理について紹介されています。右端は,11月末から咲き始めたひまわりの花に似た親指大のヤーコンのかわいい花で,収穫の時期をお知らせするかの如く咲き始めました。(12月10日の厳しい霜で葉は霜枯れしてしまいました。12月14日にスコップを用い収穫し,食用の部位と来年植えつける種芋に分け,翌16日に種芋は。藁で覆った貯蔵穴に保存しました)
また,市内原田町にあるラークス川内店で生産者販売コーナー(店内入って直ぐ左側)で売られていたヤーコンの脇に掲示されていました“ヤーコンの健康効能と糖尿病予防・便秘解消成分栄養”は,ここをクリックして覗いて見てください。12月20日の南日本新聞に『ヤーコンのブドウ漬け』が,北海道内の漬物の味を競う第1回「T-1グランプリ」で大賞に選ばれたとの記事が。
※秋野菜の植付け準備に汗を流し,今日の農作業がようやく済んだと庭先で一服していた平成23年8月28日(日)夕刻,お隣のM女史が,「農家の姉の本棚を整理していたら『家の光』(緑の便利帳)に,貴方の畑にも植付けてあり,奥さんから珍しい野菜として食べてみるよう昨年も勧められたヤーコンに関し「元気のもとヤーコン」との特集記事が掲載されていた。もし良かったら読まれませんか?」と,平成19年4月号を届けられましたので,これをPDF版10頁にて紹介いたします。内容は,茨城大学の月橋輝男先生監修の栽培と貯蔵=作り方はこんなに簡単!,産地を訪ねて=新潟県長岡市/山古志野魂同好会(地震にも耐えた不滅の「野魂」),静岡県三島市石黒つや子さん(目に見えてみんな健康に 料理や加工に夢中です),おいしくむだなく使えるヤーコンレシピです。
※『現代農業』平成23年12月号の「あっちの話 こっちの話」に長野県の立花かおりさんから「糖尿病の予防にヤーコン葉茶」のお話が掲載されていましたので紹介します。
松川町の元気な母ちゃん,大島宗子さんが愛飲しているのがヤーコンの葉のお茶です。ヤーコンの葉は糖尿病予防と改善に効果があるとか。
ヤーコンの葉はイモを収穫する11月頃,霜に当たらないうちに刈り取って日陰で干します。3日もして乾いたら,手で擦り合わせて粉にするだけ。煎じて飲むことができます。
ヤーコン茶は苦いそうで,大島さんは小さじ2杯のヤーコン茶葉に対して,ウーロン茶のティーバッグ一つを入れて一緒に煎じています。こうすると苦みが抑えられ,飲みやすくなるそうです。
栽培もお茶にするのにも手がかからない,栄養たっぷりのヤーコン,魅力的ですね。
平成26年のヤーコンは,4月21日に保存していた種イモを,葉枝が繁茂することから畑の隅に一畝植え付ける中,晩秋を迎えた11月23日の“勤労感謝の日”に塊根がいっぱい着いた最初の一株を収穫し,“畑のナシ”と呼ばれる味を美味しく頂いています。しかし,まだまだヤーコンの食べ方をご存じない方が多い中『やさい畑』(2014年冬号)に「注目の長寿野菜/ヤーコン」の見出しで,静岡県三島市で「ヤーコン舎」を主宰する石黒つや子さんが,育てて食べて,捨てるところなし! 手がかからずイモはどっさり,健康成分をたっぷり含むヤーコンですが,どうやって食べればいいかわからないという声を聞くます。実は,イモはもちろん,茎や葉も利用できて捨てるところのないお得な野菜で,ヤーコンの徹底利用法を,次の様に紹介されていました。
種イモの100倍を収穫,栄養がない現代人にぴったちのユニーク野菜,葉もイモも4~5株あればたっぷり楽しめる,手軽に健康成分がとれるヤーコン料理(メタボに効く!ヤーコン茶,冷凍保存でヤーコンをいつも身近に)
※平成30年3月5日配信のタキイ通販のメールマガジン「食彩館」に「作ってみよう!食べてみよう! 話題の野菜 ヤーコン」が紹介されていました。低カロリーで生でも食べられる!無農薬で丈夫に作れるので家庭菜園でも注目の野菜! ヤーコンの特性と栽培方法,調理法を紹介とありましたので,これからヤ-コン栽培に挑戦したい家庭菜園家には一読をお勧め。
参考図書:『新特産品シリーズ ヤーコン』(農文協),『やさしい家庭園芸』(家の光協会),『やさいまるごと大図鑑』(主婦の友社)
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チョロギ
4月に「寒さ,暑さにも強く作りやすい。春にはピンクの可愛いい花が咲き,観賞用にも利用できます」との店頭でのプレート案内を確認し,畑の片隅に一鉢の苗を購入して植えつけていましたチョロギ。12月になり葉枝も枯れ,忘れかけていたのをおせち料理の黒豆の飾りになると紹介されていたのを思い出し,年取りの日に収穫しました。
名前の由来は色々とあるようで,漢字表記では,その形が石蚕(いさご,トビケラ類の幼虫のこと)の腹を思わせることから「草石蚕」と書かれたり,音から「丁呂木」・「丁梠木」と書かれたり,祝い事の際に食べる場合、縁起をかついで「長老木」・「長老喜」・「長老貴」・「千代呂木」などのおめでたい当て字で書かれることもあります。元々は中国語の「朝露葱」を日本語読みにしたものではないかと言われており,他には韓国語のミミズを意味する「チョンロイ」・「チョンイ」が転化したとの説もあります。
またその形から「ネジ芋」,「法螺芋」と呼ばれることもあり,他に「甘露子」,「宝塔菜」の名もある多名な珍しい野菜でもあります。
地下茎の先が白く小粒(1~2.5cm)の塊茎が巻貝状の形になることから,13世紀に中国で栽培が始まり朝鮮半島を経由して江戸時代初期に我が国に伝来したと言われています。一回見たら忘れられない不思議な形状のシソ科植物で,栽培自体は難しくないものの収穫量は少なく加えて小さくて軟らかい為に傷つきやすいといった理由からか、あまり多くは栽培されておらず生産量の少ない珍しい健康野菜です。掘り上げてから時間が経つと,表面が茶色っぽくなっり,乾燥してくると白さがなくなり歯切れも悪くなりますので,食べる分だけ掘り上げて使うのが得策です。
正月料理のおせち料理では,縁起がいいように赤く染めて用いられており,黒豆に入れる場合は,梅酢で赤く色付けしてあり,生で食べると食感はカリカリ,加熱するとラッカセイのような味で食感がホクホクしています。食べ方は酢漬けや炒め物以外にも天ぷらやサラダなど調理法は様々あります。収穫した塊茎の泥は,井戸端の流水で洗って台所に届けたのですが,螺旋状のカ所に泥が食い込み,残った泥を落とすのが小さな塊茎で大変だったとXからは苦情を頂戴した野菜でした。
■知っておきたい効用
健康野菜としての注目される効能としては,中国では一千年以上前から漢方の生薬としては「草石蚕(ソウセキサン)」と呼ばれ,強壮作用、鎮咳作用がある長寿の薬とも言われていたそうで,整腸作用があり,腸内の善玉菌を増やして消化や便通を良くし,また、近年の研究では,脳細胞を活発にする成分が含まれることが分かり,脳梗塞や痴呆症に効果があることが期待され,体温を下げる効果等様々な効用を持っています。そして,血行を良くし,免疫力を高めて精神を安定させる効果もあるそうです。
明の時代の著書『本草綱目』には,「徐風破血、下気精神」とあり,外からの病の侵入から身体を守り,血の滞りを治し,気を静め精神を安定させる効果があると記されています。(脳梗塞,認知症)
※我が国では,まだまだ知名度の低いチョロギの普及啓発を図る日本チョロギ愛好会の存在を知りました。ぜひ皆さんも同HPをのぞかれ家庭菜園の一隅に3月末になったらコメリの市内店舗(東郷町斧渕店or樋脇町市比野店)の店頭に足を運び一苗購入し,日当たりのよい場所に堆肥を施して植えつけ,ご近所さんへこの珍しい健康野菜のPR普及に努めてみてください。夏場にはシソの花に似た花が咲きますよ。
参考図書:『やさしい家庭菜園』(家の光協会),野菜果物大百科第89号,『はなとやさい』(2016年1月号)
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キクイモ(菊芋)
ご近所さんから「薬効はあるのですが繁茂しすぎて困った。処分するので必要なら差し上げますよ。但し畑の片隅に植付けて」と,4月に種芋を分けて頂いたキクイモ。北アメリカが原産のキク科の根菜で,江戸時代に日本に入ってき,食糧難の時代には食べていたものの,しだいに忘れられていたのが,再び注目を集めたのは,糖尿病を予防する効果があるとわかったためだそうです。
9月には2㍍以上に伸び,支柱を立てて囲う中,ヒマワリに似た黄色の花が一斉に咲き,11月に枯れてしまった根元を,12月に掘り起こしショウガのような芋を収穫しました。
収穫した芋は,そのままの状態では,干からびてしまい,土中に埋めておくのが良策と伺っていましたので,ショウガを埋めた横に穴を掘り保存し,必要に応じ掘り出して料理に。
種芋は,雑草のように生命力が強く,外来生物法によって要注意外来生物に指定されており,周囲の植物・野菜・果物などに与える影響は大きく,栄養分を吸収してしまいます。=私に種芋を分けてくださったご近所さんも,この件は注意事項としてお話がありましたので。
植える場所は,肥沃な土地が最適で,気温差が17度以下になる寒暖差の大きい所(寒暖の差が大きいことでキクイモのイヌリン成分が豊富に)なら何処でもOKすが,基本的には肥料・水などは必要ありません。土中5~6㌢で株の間は50㌢以上離したほうがいいでしょう。2~3週間で芽が出て来ます。なお,種芋としてはなるべく小さい物の方がいいでしょう。
一度植えると,その土は栄養分が吸収され,枯れた土地になるので連作には適しません。連作する場合は,堆肥を施してください。また,水はけの良い終日日当たりの良い所に植えてください。
泥を落とすのは食べる前,料理の前に。保存のためにも,またキクイモのイヌリンの成分が減らないための工夫です。
大きくて形の良いのを食用(スーパーでは,2個入り98円で販売されていました)にして,小さいのは翌年の種芋にするとよいでしょう。
おいしく食べよう!
キクイモの旬は秋。肉質が緻密で甘みと独特な香り・歯触りが。炭水化物の一種イヌリンが豊富で煮ると特有の甘味が出ます。イヌリンは,キク科植物に特有の多糖類で,血糖値を下げる働きがあります。皮をむいててんぷらや煮物,炒め物,漬物にします。あくが強いので水にさらしてから使います。糖尿病予防には,お茶にして飲むのが利用しやすいでしょう。薄くスライスして数日天日で干して粗く砕き,更にから炒りしたものをお茶のようにエキスを抽出して飲みます。薄切りにしたものを塩もみし,ショウガの千切りと和える一夜漬けもお勧めです。
※キクイモ研究会」のHP URLと,キクイモ/レシピです。
■キクイモは,戦後,外国から入ってきた植物で,その生育が旺盛で在来植物の生育を阻害するとして「要注意外来生物」に指定されています。我が畑の片隅でも草丈が2m50㎝を越えるまでに伸び,余りにも旺盛に繁茂し過ぎるため,平成24年9月27日,スコップを用いて完全に根を抜根・整理し,栽培することを止めました。なお,翌28日の夜のテレビでは,キクイモの糠漬けが紹介されていました。
※平成30年3月16日(金)の南日本新聞に「金峰で住民研究会発足 キクイモ栽培 人や町元気に」見出しで,南さつま市金峰地域の住民らでつくる「金峰キクイモ研究会」が発足。警視庁OBで代表の山之内安明さん(68)=同市金峰町新山=は,「キクイモを食べて住民や地域がいつまでも元気であってほしい」と普及を目指す。北米原産のキクイモは,ショウガの形に似ているキク科の植物。血糖値や中性脂肪の改善,便秘解消に効果があるとされるイヌリンを多く含む。キクイモは金峰では認知度が低かったため,友人らに声を掛け研究会を立ち上げた。発足式は11日,阿多地区公民館であり,19人が参加。山之内さんがイヌリンの効果やキクイモの植え付け方,甘酢漬けなど食べ方を紹介。会員はそれぞれ4月に植え付けを始め,定期的に集まり意見を交換する。収穫は秋以降になる。山之内さんは「地域を盛り上げたい。興味がある人には作り方をぜひ教えたい」と意気込む―の記事がありました。
※平成30年11月20日(火)の南日本新聞に「キクイモの栽培学ぶ 金峰で住民らが勉強会」の見出しで,南さつま市金峰で,ショウガの形に似たキク科の植物「キクイモ」の勉強会があった。住民らでつくる研究会が初開催。興味のある80人が市内外から訪れ,育て方や食べ方,保存方法を学んだ。北米原産のキクイモは血糖値や中性脂肪の改善,便秘解消に効果があるとされるイヌリンを多く含む。栽培,普及に熱心な地元の山之内安明さん(69)が「食べてみんなが元気でいてほしい」と研究会を3月立ち上げた。阿多地区公民館で9日開いた勉強会で,山之内さんは畝幅や株の植え付けの間隔,白絹病の注意点などを挙げ「4月に植え付け,伸びた茎は台風対策で8月ごろ高さ1㍍ぐらいに切っても大丈夫」とアドバイスした。皮はむかずにスライスし,サラダや甘酢漬けなどにして食べる方法を伝授。畑に移動し「寒くなり,茎が枯れてから掘り出して」と,収穫のタイミングも教えた。長島町の大堂英之さん(80),幸子さん(76)夫婦は「栽培や料理の仕方を学ぼうと来た。自分たちでぜひ育ててみたい」と話していた。問い合わせは山之内さん=080(6585)2058―の第2弾記事の掲載がありました。
参考図書:『やさしい家庭園芸』(家の光協会)
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【一口メモ】
葉栽類では,コマツナ・レタス類・パセリ・ツルムラサキ・タカナ・モロヘイetcは作りやすい野菜です。
果栽類では,インゲン・シシトウ・ピーマン・ミニトマト・キューリ・カボチャ・ニガウリ・オクラetcは作りやすい野菜です。
根栽類では,カブ・ラディッシュ・ジャガイモ・サトイモ・ダイコンetcは作りやすい野菜です。
|
比較的やさしい野菜 |
やや難しい野菜 |
難しい野菜 |
春 |
サヤインゲン,オクラ,ホウレンソウ,クレソン,ラディッシュetc |
ナス,キュウリ,ピーマン,レタス,キャベツ,ネギ,ショウガetc |
メロンetc |
夏 |
サヤインゲン,コマツナetc |
キュウリ,キャベツ,ニンジン |
メロン,セルリー,ミツバetc |
秋 |
エンドウ,コマツナ,レタス,ホウレンソウ,シュンギクetc |
イチゴ,タマネギ,ネギ,キャベツ,レタス,ダイコンetc |
ハクサイ,ヤマイモetc |
(出典)さなえちゃんファーム『菜園HOWTO栽培管理の仕方』から
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代表的な野菜の科名と連作障害
わが国で現在広く栽培されている野菜は,34科・129種・154種類登録され,約150種類が野菜として栽培。輸入野菜も増える中,約100種類が販売されていましたが,現在の主要野菜は50種類程度で,地産地消運動による地域特産の野菜品種の掘り起こしが盛んになり,販売される品種は増加傾向にあるとといわれています。ここでは,18科・78種の身近な野菜を紹介します。
身近な野菜の科名
科 名 |
野 菜 の 名 前 |
アオイ科 |
オクラ |
アカザ科 |
フダンソウ(スイスチャド),テーブルビート,ホウレンソウ |
アブラナ科 |
カブ,カラシナ,カリフラワー,キャベツ,ケール,コマツナ,コールラビ,サントウサイ,ダイコン,タカナ,チンゲンサイ,ノザワナ,ハクサイ,ブロッコリー,ミズナ,ラディッシュ,ルッコラ |
イネ科 |
トウモロコシ |
ウリ科 |
カボチャ,キュウリ,スイカ,ズッキーニ,トウガン,ニガウリ(ゴーヤ),ハヤトウリ,ヘチマ,メロン |
キク科 |
キクイモ,ゴボウ,シュンギク,チシャ,ツワブキ,レタス,ヤーコン |
サトイモ科 |
サトイモ |
シソ科 |
エゴマ,シソ |
シナノキ科 |
モロヘイヤ |
ショウガ科 |
ショウガ,ミョウガ |
セリ科 |
アシタバ,セリ,セロリ,ニンジン,パセリ,ミツバ |
ツルムラサキ科 |
ツルムラサキ |
ナス科 |
シシトウ,ジャガイモ,トウガラシ,トマト,ナス,ピーマン |
バラ科 |
イチゴ |
ヒルガオ科 |
サツマイモ,クウシンサイ |
マメ科 |
インゲン,エダマメ,エンドウ,三尺ササゲ,ソラマメ,ダイズ,つるなしインゲン,ラッカセイ |
ヤマノイモ科 |
ヤマイモ |
ユリ科 |
アスパラガス,タマネギ,ニラ,ニンニク,ネギ,ラッキョウ,ワケギ |
※特にアブラナ科・ウリ科・ナス科・マメ科の野菜は,連作すると病原菌や有害センチュウの密度が(下表:連作障害)高くなり,土壌養分のバランスも崩れ,病害虫や障害が発生する「連作」に弱い野菜です。野菜の科目=仲間を(上表:身近な野菜の科名)学ぶ中,野菜の種類を一定期間替えて栽培する「輪作」体系の構築=畑のプランニング(下表:畑を空ける休栽期間の目安)を図るようにしましょう。
アタリヤ農園さんのホームページ「ホームガーデン百科」の「基礎知識」の中の「連作障害と輪作」に「主な野菜の作付け間隔」がイラスト入りでありましたので,併せて紹介しておきます。
連作障害
野菜名 |
障 害
|
キュウリ,スイカ,メロン |
つる割れ病,センチュウ類 |
トマト |
青枯病,萎チョウ病 |
ナス |
青枯病,半身萎チョウ病 |
ピーマン |
立枯性疫病,ネコブセンチュウ |
エンドウ |
立枯病 |
キャベツ,コマツナ,ハクサイ |
根コブ病 |
出典:『やさしい家庭園芸』(家の光協会),『プロが教える農業のすべてがわかる本』(ナツメ社)
畑を空ける期間(休栽)の目安
畑を空ける期間 |
野菜の種類 |
1年間 |
キャベツ,コマツナ,カブ,シュンギク,ズッキーニ,タアサイ,ダイコン,タカナ,ツルムラサキ,ニガウリ,ネギ,ブロッコリー,ホウレンソウ,ラディッシュ,レタスなど |
2年間 |
インゲン,エダマメ,オクラ,カリフラワー,キュウリ,ジヤガイモ,ニンニク,ハクサイ,ブロッコリー,ヤーコンなど |
3年間 |
サトイモ,シロウリ,ソラマメ,トマト,ピーマン,マクワウリ,ヤマイモなど |
5年間 |
エンドウ,ゴボウ,スイカ,ナスなど |
連作障害が少ない |
オクラ,カボチャ,サツマイモ,シソ,ズッキーニ,タマネギ,トウモロコシ,ニラ,ニンジン,ニンニク,モロヘイヤなど |
参考図書:『やさしい家庭園芸(家の光協会)』,『「よくある失敗」と「対策」がわかる野菜づくり』(日本文芸社),『現代農業』(2019年10月号・「連作障害ってホントはなに!」)
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病害虫を寄せ付けない コンパニオンプランツ
一つの畝で複数の作物を育てる混植の中でも、病害虫予防や互いの生育を促す組み合わせを「コンパニオンプランツ」と呼び、同じ場所で複数品目を作ると土壌生態系が多様化し、連作障害予防につながります。無農薬栽培への関心が高い現実を踏まえ、病害虫予防に効果を見込める組み合わせを優先し、初めてコンパニオンプランツを試す人がすんなりスタートできるよう各組み合わせの植え方や育て方のポイントを示しました。家庭菜園の限られたスペースを有効活用するという観点からも、コンパニオンプランツはお得です。今春からの作付け計画にぜひお役立てください。
相性抜群の植物同士が、助け合いながら生育しさまざまな相乗効果を生み出す、まさに黄金の組み合わせ。近くに植えると互いにに助け合って育ち、生長がよくなったり、収量が増えたりする植物同士を「コンパニオンプランツ(共生植物)」 といいます。
害虫を避ける匂いを発生したり、根に共生する微生物から抗生物質を出して病原菌から守ったりと、効果がある植物同士を選んで一緒に育てれば、農薬や化学肥料に頼らなくても、十分でおいしい野菜を栽培できるのです。
特に家庭菜園では、限られたスペースを有効に活用して多種の野菜を育てたい人が多いと思います。相性のよい野菜を育てて効率的に収量がアップできるテクニックは、おおいに役立つでしょう。
主な効果は、次の「害虫防除」「病気予防」「生長促進」「環境利用」4つです。また、1つの野菜同士の組み合わせで複数の効果が期待できる場合もあります。
植え方や育て方で効果も違ってくる。コンパニオンプランツの効果を最大限に発揮させるには、組み合わせによって育て方にコツが必要となります。
基本的な植えつけ方としては、ある野菜の株間に別の野菜を組み合わせる「混植」と、畝や列の間に別の野菜を組み合わせる「間作」の2つの方法です。また、適した栽培時期、混植や間作の際の野菜同士で間隔、野菜の種類によっては植えつける際の根の広げ方にもコツがあります。
コンパニオンプランツの効果
1.においや色で害虫を防除する
多くの害虫は自分の好きな植物を探すとき、匂いや色に頼って識別しています。異なる種類の野菜を混植すると、やってきた害虫が混乱し、目当ての野菜を見つけにくくなります。たとえば、キク科、セリ科、シソ科などの強い匂いがある野菜があると、その匂いが苦手な害虫は近づかなくなり、近くに植えられた野菜が守られます。
2.微生物のカで病原菌を減らす
ネギ亜科ネギ属の野菜には、根に共生する善玉菌の微生物が抗生物質を出し、ウリ科やナス科の野菜に被害を与える病原菌を減らすことが知られています。同時に、異なる種類の野菜を育てると土中の微生物が豊かになり、特定の病気が発生しにくい環境になります。とりわけネギの仲間は強い匂いを放つため、周囲に害虫がつきにくくなります。
3.お互いに生長を促進する
野菜によって要求する肥料成分が異なるため、野菜同士で必要な成分を融通しあって双方の生育がよくなる組み合わせがあります。根の深さや張り方が異なるため、水分を分け合って共によく育つ場組み合わせもあります。また、マメ科の野菜の根には根粒菌が共生して空気中の窒素を固定し、土壌を豊かにするので、混植した野菜がどれもよく育ちます。
4.空間や環境を有効活用できる
相性のよい野菜同士であれば、近くに詰めて育てられるため、畑全体の収量がアップします。また、草丈が高い野菜の株元で低い背丈の野菜を育てると、地上の空いているスペースを有効利用できます。地中では両方の根が張り出して(つまり根量が2倍になり)、土壌中の水分や空気の通りが良くなり、生育が促進されます。
相性の良い組み合わせ/caption>
キュウリ×長ネギ | 善玉菌の効果で土壌病害に強くなる |
ピーマン×落花生 | 落花生に着く根菌類がピーマンを元気にする |
ナス×生姜 | 養分を分かち合うベストカップル |
ナス×ニラ | 混植で土壌病害を防ぎ、生育を促進 |
トマト×ニラ | ニラの匂いと善玉菌がトマトを守る |
ピーマン×蔓なしインゲン | インゲンの根粒菌が窒素を固定し、ピーマンが良く育つ |
サトイモ×大根 | 葉陰を作ると同時に、害虫防除効果も |
ゴーヤ×蔓ありインゲン | 蔓野菜同士でスペースを分け合って良く伸びる |
イチゴ×ニンニク | ニンニクの匂いと殺菌効果がイチゴを守る |
ニンジン×カブ | アブラナ科とキク科は害虫を忌避し合う |
キャベッ×サルビア | 虫を匂い成分で追い払う |
出典;『やさい畑』(2011年春準備号、2012年春準備号、2013年春準備号、2024年2月春準備号)
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【ぬか漬けの進め】
食べきれない野菜は,ご近所さんへおすそ分けすると同時に,発酵の力で生の野菜よりもビタミンやミネラル分などの栄養素が豊富な『ぬか漬け』にも利用しています。ぬか床は,ぬか漬けの素※を購入し,キュウリ・ナス・ダイコン・小カブを漬けこみ,美味しく食しています。
毎日,朝夕のぬか床をかき混ぜる作業が付いてきますが,新鮮な野菜を食する以上に,“ぬか”漬けしますと,一味違う食感を味わえ,食も一段と進みます。ダイコンは,適当な大きさに切り,2日程干してから漬けこんでいます。それでも汁が漬けこんでから3日間程は出て参りますが,3日~4日後にはOK。夏場のキュウリやナスは,朝収穫した物を早速漬け込み,夕方には,色落ちしない,半漬け程度が食べ頃です。私は下戸ですが,焼酎を飲む人には,最高の“つまみ”に。
※ぬか漬けの素の製造元は,西日本食品工業株式会社(熊本市)の「本格鉄窯焙煎ぬか漬の素」で,製品の包装材には,(原材料:米ぬか・食塩・昆布・明ばん)で,選び抜かれた良質の生ぬかを昔ながらの鉄窯で本格的に丹念に炒りあげて従来のぬか漬の素より更に香ばしいぬか本来の風味のあるぬか漬の素に仕上げてあります。
本品を容器に入れて水コップ6杯(約1リットル)を入れてよくかき混ぜて,その中に材料の野菜を漬けてください。
塩加減は良いと思いますが,好みにより食塩を補充されても結構です。
夏は6~8時間 春秋は10~12時間 冬は20~24時間と記載されていました。
■ぬか床の毎日の手入れポイント
毎日かならず1回,夏場なら朝夕の2回,ぬか床の底まで手を入れて空気を含ませるようによく混ぜる。野菜を漬けないときでもこの作業は,忘れないようにかならず行うこと。かき混ぜた後は平らにならす。容器の縁やふたの部分に付いたぬかは,雑菌が繁殖しやすく,カビ発生の原因に。かたく絞ったぬれ布巾か,ペーパータオルで拭き取る。
野 菜 | 漬 け 方 要 領 | 漬け時間の目安 |
ナ ス | へたを落とし,縦半分に切って粗塩を皮に多めにすりつける。ぬか床から取り出すと変色するので,食べる直前に取り出す。 | 1日 |
キュウリ | 大きければ切断し,粗塩少々を全体にすりこむ。 | 半日 |
オクラ | へたをむき,粗塩をまぶしてこすり,さっと洗って水けを拭いて漬ける。 | 半日 |
ピーマン | へたを取り,中の種を取り除き,粗塩をまぶして漬ける。 | 1日 |
カ ブ | 皮付きのまま縦半分に切って,茎も一緒に漬ける。 | 半日~1日 |
ニンジン | 皮を剥き半分に切り全体に塩を塗す。 | 夏場1日 |
※漬け時間の目安は,野菜の大きさ,温度,シャキシャキ感等の食感の好みにより違います。
◆ぬか漬けQ&A
Q 水分が出て,ぬか床が緩くなってきたらどうする?
A 何回か漬けていると野菜から出る水分でぬか床が緩くなります。そのままにしておくと,カビの原因になるので注意。少し緩くなった程度なら,表面にペーパータオルをぴったりとかぶせて水を吸い取ります。かなり緩くなったら,中央にくぼみを作り,ペーパータオルをを巻いて埋め,ペーパータオルが水分を吸収したら取り出しますを繰り返します。また,ぬか床が減ってきたら,週度くらいの割合で,ぬか2つかみと粗塩小さじ1の割合で補充を。ぬかの補充は,緩くなったぬか床調整にもなり,味もぐんと良くなります。
Q ぬか床表面が,白っぽくなっているのは何?
A 白っぽいのはカビが生えている証拠。カビが発生した部分と周囲を厚めに取り除き,残りのぬかを全部取り出して別の容器へ移し,元の容器を熱湯で洗い,完全に乾かした後にぬかを戻し,混ぜればぬか床として再開可に。
Q 発酵が進んで漬け物の味が酸っぱくなってきたら?
A 発酵が進み過ぎると,ぬか床は酸っぱくなり,色も悪くなってきます。原因としては,ぬか床の塩分不足や,毎日のかきまぜ作業を怠ったことが要因に。解決法は,漬けている野菜をすべて取り除き,新しいぬか30gと塩,粉とうがらしを適量加え,よくかき混ぜ,ぬか床の発酵を抑えるようにします。
Q 夏の時期,しばらく自宅を留守する際のぬか床の手入れ方法は?
A 暑い日に1日中外出する際は,漬け物容器の中ぶたの上に,大きめの保冷剤を載せておくと,冷気で味が落ちず安心です。
1週間程度不在する際は,赤トウガラシ以外の野菜を取り出し,ぬかを保存袋に移し,空気をしっかり抜いて冷蔵保存を。又は,保存容器に入れて,表面を平らにならしラップを密着させてふたをし,同様に冷蔵保存をします。帰宅したら,清潔な漬け物容器に戻し入れてよくかき混ぜます。1カ月ほど留守するなら冷凍保存がお勧め。自然解凍後,新しいぬか,塩を足して混ぜ,使い始めると良いでしょう。
※「キュウリ」の項の「糠漬けの進め」でも掲載いたしましたが,ご近所の農家の奥さんからお借りした『家の光』2010年8月号に「夏こそ漬けもの」としてキュウリの浅漬け・糠漬けの特集記事が掲載されていましたのでPDF版で再掲紹介いたします。
※平成30年のぬか漬けに際しては,ナスの皮を上手に剥くため皮むき器「ピーラー」を購入し初めて使用しみました。これまでの包丁で皮を剥くのと比べ,簡単にすいすいと面白いように剥け,皮を剥いた面に粗塩を塗し,早速ぬか床に漬け込みましたが,包丁で剥いていた時と比べ漬かり具合も数段向上し,ぬか床から取り上げ小皿に切って並べた際も,ナスの皮肌もきれいで味も最高で家族に好評でした。
※令和3年の小菜園からの夏野菜の自家消費に困り,ナス・キュウリのぬか漬けにと6月27日に買い求めた,香川県小豆島に製造所があり,広島県広島市の日東食品工業株式会社が販売している「ぬか漬の素」の梱包袋の裏面に印刷されてた「ニットーリレーぬか漬の素 おいしい漬け方」には,キュウリ・なすの漬け方のポイントに加え,ぬか床の手入れに関するQ&Aが,なぜ野菜に塩もみをするのでしょうか? 水分が多くなったときは? 白い膜がはったときは? 漬けた野菜がすっぱいときは? 漬け物が塩辛いときは? 夏場のぬか床の取扱いは? さらにおいしく召し上がっていただくために が紹介されていました。
参考図書:『家の光』平成24年5月号別冊付録「旬の味を満喫!漬け物と保存食」,『旬の野菜手帳』(枻出版社)
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薩摩国府跡の発見とゴボウのお話
上川内駅北東の高台=屋形原(藩政時代の参勤交代道路に隣接したシラスの山でしたが,現在,造成され平地化し宅地となっています)に薩摩国府はあったとして,戦前設置された『聖跡』の碑が。それが昭和39年(1964)に,私の近所のおばさんの「瓦の破片は出ませんが,一間間隔でゴボウが曲がって困っています」という情報から,川内高校が中心となって鹿児島県内の考古学者・学徒(玉龍高校・出水高校の考古学クラブ)をまきこんだ薩摩国府跡の発掘調査が始まり,その後の薩摩国分寺跡全面発掘調査の起因をつくり,薩摩国府跡は,薩摩国分寺跡の西側六町四方の区画に存在することが判明しました。
現在,県庁所在地は鹿児島市にあり,本県ては鹿児島市だけが一局集中で発展していますが,律令制の時代(鹿児島市が一寒村の頃)本市の国分寺町・御陵下町一帯には,政庁である国衙が置かれ,薩摩国の政治・経済・文化の中心地であった,お話をPDFで『“ゴボウの曲がり”から始まるお話』として,我が青春の想い出を添付しましたので,お暇があられましたらお読みください。
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